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質問第四号

海外に派遣される自衛隊員への抗マラリア薬「塩酸メフロキン」予防投与の実態と副作用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

 平成十九年八月九日

小池 晃

 参議院議長 江田 五月 殿

海外に派遣される自衛隊員への抗マラリア薬「塩酸メフロキン」予防投与の実態と副作用に関する質問主意書

  • 自衛隊員6人自殺/海外派兵で抗マラリア薬投与/抑うつ・不眠 副作用の疑い(関連記事

 米国で幻覚などの副作用が指摘されマラリア予防のための投与が中止されてきている塩酸メフロキンの予防投与を海外に派遣される隊員に対して自衛隊は引き続き行っているが、海外の状況を踏まえ再検討の必要があると考える。

 そこで、以下質問する。

 海外のマラリア流行地域に派遣される自衛隊員に対しては、抗マラリア薬塩酸メフロキンが予防投与されている。最近十年間の予防投与の実績について、派遣ミッションごとに派遣部隊名と派遣隊員数、派遣年月日、派遣期間と当該派遣部隊が塩酸メフロキンの投与を受けた期間をそれぞれ明らかにされたい。
 最近十年間、海外に派遣され塩酸メフロキンを投与された自衛隊員の派遣中・派遣後の自殺、原因不明の死亡など不審死の状況について、総数を明らかにされたい。また、当該不審死事例それぞれについて派遣ミッション名、派遣部隊名、派遣年月日、派遣期間と塩酸メフロキン投与期間を、それぞれ明らかにされたい。さらに、政府は、当該不審死の原因や今後の対策についてどのように考えているか明らかにされたい。
 塩酸メフロキンは、使用上の注意として「予防に用いる場合には、副作用に留意し、投与期間は原則として十二週間までとし、その後の継続投与については、副作用の発現等に留意し、定期的に検査を実施する等慎重に行うこと。」(塩酸メフロキン製剤「メファキン『ヒサミツ』錠275」添付文書)とされている。海外派遣された自衛隊員で、十二週間を超えて塩酸メフロキンの予防投与を受けた者は存在するか。存在する場合、派遣ミッションごとに派遣部隊名、派遣隊員数、派遣年月日、派遣期間、当該派遣部隊が塩酸メフロキンの投与を受けた期間について、それぞれ明らかにされたい。
 塩酸メフロキンは精神障害などの副作用が指摘され、塩酸メフロキンの予防投与による幻覚やうつ症状がイラク派遣部隊帰還兵による殺人事件の要因の一つと指摘されている。塩酸メフロキンの副作用の問題について、どのように政府は認識しているか明らかにされたい。また、塩酸メフロキンの予防投与について、オーストラリアは既に行っておらず、米軍もイラク派遣部隊について塩酸メフロキンではない他のマラリア予防薬に切り替えている。一方、さきに指摘したとおり日本は引き続きマラリア予防のため塩酸メフロキンの予防投与を行っているが、副作用の指摘もあり、再検討が必要ではないか。政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。


答弁書第四号

内閣参質一六七第四号
 平成十九年八月十五日

内閣総理大臣 安倍 晋三

 参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員小池晃君提出海外に派遣される自衛隊員への抗マラリア薬「塩酸メフロキン」予防投与の実態と副作用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

参議院議員小池晃君提出海外に派遣される自衛隊員への抗マラリア薬「塩酸メフロキン」予防投与の実態と副作用に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 平成九年度以降に海外に派遣された自衛隊員に対する抗マラリア薬である塩酸メフロキンの予防投与の実績については、次のとおりである。塩酸メフロキンの投与期間は、個別の自衛隊員ごとに異なり得るが、基本的に、それぞれ、派遣地域到着一週間前から派遣地域を離れてから四週間後までであり、左の6.以外の自衛隊員に対しては、十二週間を超えて塩酸メフロキンを投与した。

  1. 国連東ティモール支援団(以下「UNMISET」という。)に平成十四年三月二日から約七か月間派遣された第一次東ティモール派遣施設群六百八十人
  2. UNMISETに平成十四年九月八日から約七か月間派遣された第二次東ティモール派遣施設群六百八十人
  3. UNMISETに平成十五年三月二日から約八か月間派遣された第三次東ティモール派遣施設群五百二十二人
  4. UNMISETに平成十五年十月十一日から約八か月間派遣された第四次東ティモール派遣施設群四百五人
  5. インドネシア共和国における自衛隊部隊等による国際緊急援助活動を平成十七年一月十二日から約三か月間行ったインドネシア国際緊急医療・航空援助隊二百二十八人
  6. パキスタン等大地震に際しての国際緊急援助活動を平成十七年十月十二日から約二か月間行ったパキスタン国際緊急航空援助隊百四十七人
  7. 国連ネパール政治ミッション(以下「UNMIN」という。)に平成十九年三月三十日から現在まで、軍事監視要員として個人派遣されている六人
  8. UNMINに平成十九年三月三十日から現在までの間に連絡調整要員として個人派遣された延べ九人

二について

 防衛省として、平成十九年八月一日現在で把握している限りでお答えすると、平成九年度以降に海外に派遣された自衛隊員で、当該派遣に際して塩酸メフロキンの予防投与を受けた者のうち、平成十四年度以降に自殺したものは、一及び三についてで述べた1.、2.及び4.のうちの六人である。

 防衛省として、個々の自殺の原因について特定することは困難であるが、右に述べた自殺した者六人については、いずれも、塩酸メフロキンの投与時に重篤な有害事象が発生したとの報告は受けておらず、塩酸メフロキンの予防投与との因果関係は低いと考えている。いずれにせよ、今後とも、塩酸メフロキンの投与に当たっては、適切に配慮してまいりたい。

四について

 政府としては、塩酸メフロキンについては、マラリアの治療及び予防の際に重大な副作用として、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症、けいれん、錯乱、幻覚、妄想等が発現することがあると認識している。防衛省として、その副作用の問題を認識し、医官の管理の下、自衛隊員にインフォームド・コンセントを行った上で慎重に投与しているところであり、今後とも、塩酸メフロキンの投与に当たっては、適切に配慮してまいりたい。

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