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166通常国会 参議院厚生労働委員会 社会福祉士・介護福祉士改正案に対する質疑

  • 「准介護福祉士」制度撤回を/小池議員 「レベル向上しない」/参院委(関連記事
2007年4月24日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 介護福祉士、社会福祉士の定義規定、義務規定の改正というのは、これは介護福祉ニーズの多様化、複雑化に伴うものであります。また、介護福祉士取得に国家試験を義務付けるなど、資格取得方法の見直しは専門性の向上につながるというふうに思います。しかし、准介護福祉士制度の創設というのは、これは資格ルートの一本化によって介護福祉士のレベルアップを図っていくという法改正の趣旨に反するものであって、これは大いに疑問があります。

 今日は、この最大の理由がフィリピンとの経済連携協定だということなので、外務省においでいただいておりまして、お聞きをしたいと思うんです。

 そもそも、介護福祉士の養成方法、免許取得方法の変更というのは、これはあくまで国内問題であります。EPAそのものにも、日本への入国の条件としては、わざわざ日本国の法律に基づく介護福祉士としての資格を取得というふうに書いてあるわけです。

 外務省にお聞きしますが、介護福祉士の条件として国家試験が付与されたとしても、条約上の資格としては介護福祉士としか規定されていないわけですから、これは何の問題もないんじゃないか。条約の条文の一体どこにこれが抵触するというふうにおっしゃるんですか。

副大臣(浅野勝人君)

 准介護福祉士の制度は、日比EPAとの整合性の……

委員長(鶴保庸介君)

 御起立いただけますか。

副大臣(浅野勝人君)

 ここは立って、失礼しました、失礼しました。外交防衛委員会が座ったまま答えることだったので、失礼しました。

 准介護福祉士の制度は、日比EPAとの整合性の確保にも、確保にも配慮して所管官庁が法案に盛り込んだものと承知をしております。

 日比EPAの取決めに当たって、日本政府は、養成施設を卒業すれば国家試験を受けなくても介護福祉士の国家資格が得られるという現行制度を前提にして、介護福祉士を目指すフィリピン人の方々の受入れを約束をしております。したがって、この制度を見直し、すべての者が国家試験に合格しなければ駄目だということでは日比EPAとの整合性が確保されているとは言えないと考えております。

小池晃君

 いや、ですから、条約の条文のどこにそういう規定があるんですかと。これ抵触する部分というのを私一生懸命探したけど見付からないんです。

政府参考人(田辺靖雄君)

 具体的にフィリピンとの協定の条文のどの部分が問題となるかという御質問でございますが、一つ、ちょっと細かくなるわけでございますが、日本・フィリピン経済連携協定の附属書八の第六節第二項という部分に介護福祉士の国家資格を取得した者の滞在を認める規定がございまして、その八の第六節第二項(c)におきまして、養成施設を卒業した者はすべて国家資格を取得することを前提とした規定ぶりになってございます。少し細かくなっておりますけれども、協定の条文の記載の仕方の問題がございます。

小池晃君

 いや、この二項の(c)見ましたけど、別に国家試験に合格しなければいけないという規定にはなってないと思うんですが。

政府参考人(田辺靖雄君)

 ちょっと細かくなって恐縮でございますが、その規定におきましては、読み上げますと、「1の規定に基づく滞在の間に介護福祉士としての資格を与えられず、1(b)に規定する滞在の後に介護福祉士の国家試験に合格することにより介護福祉士の資格を与えられた者」と書いてございまして、そこに1(b)と書いてございますのは、いわゆる実務経験コースのことでございまして、そこに1(c)と書いていないということは、1の(c)はいわゆる養成施設コースでございまして、養成施設を卒業しますと自動的に資格が与えられるという現行の制度を前提とした書きぶりになっているということでございます。

小池晃君

 前提としている議論でやったのかもしれませんが、これ、だからといって国家試験を合格しなければ資格は付与されないというふうにも読めない部分ではないかなというふうに思うんですね。

 しかし、そもそもこの時間の経過を見ますと、条約に署名したのは二〇〇六年の九月です。今回の制度改正の基になった介護福祉士のあり方及びその養成プロセスの見直し等に関する検討会が始まったのは二〇〇六年一月です。報告書は同年七月に出ているわけですね。衆議院の議論だったかと思いますが、法の中身がまだ明らかになっていなかったからって、そんな説明を答弁でされていますけれども、明らかに厚生労働省サイドの検討としては、既に条約の署名の時点で大きな方向性は決まっていたはずです。つまり、その条約に署名する前に、介護福祉士については国家試験の合格をすべからく必要とするという大きな政策的な方向は決まっていたはずなんですね。

 外務省にちょっと加えてお聞きしたいんですが、国会でこの条約そのものを審議された際に、日本の制度については先方に説明しているというふうに答弁されています。ただ、日本が制度変更をこれからする可能性があるということはきちっと伝えたのか、制度変更した場合にはどうするのかということについては協議したのか、この点についてお答え願います。

副大臣(浅野勝人君)

 政治判断の問題だものですから、私から。

 介護福祉士法の改正案が固まったのは今年に入ってからで、交渉中には制度改正の詳細は明らかでなかったため、現行制度を前提として交渉を行い、去年九月に署名をしております。フィリピン側との間では、この部分を中心に二〇〇四年の十一月には大筋の合意をしておりました。

 小池先生御指摘の報告書というのは厚生労働省の内部の検討会の報告書で、去年の七月に出されていると承知をしておりますけれども、大筋合意はそれよりかなり以前でありまして、あくまでも厚生労働省内部の検討会の報告書であって、この法案の改正案の要旨であるとは理解をしておりませんでした。

小池晃君

 いや、しかし、そういう議論があって、一つの意見として出ていたわけじゃなくて、ちゃんと検討会の報告書という形で出された後に署名しているわけですね。ちょっと今の説明では納得いかないんですよ。

 しかも、私の言ったことに答えていらっしゃらない。日本の制度について説明しているという答弁だけなんです、今まで。要するに、日本の制度がこれから変わる可能性があると、もうその時点で明らかに変わる可能性出てきていたわけですね。そのことについて説明したんですかと、変わった場合どうしますかということについて協議したんですかと、これをお答えいただきたい。

副大臣(浅野勝人君)

 一般的に制度改正があり得ることについては交渉中に言及した経緯があります。

 それから、この日比EPAの中には将来協議をして何らかの問題点を改正するという改正条項も入っておりますので、将来この条約を一切手直しをしないということにはなっておりません。

小池晃君

 そんな将来の話をしているんじゃないんです。正にその条約の協議しているさなかに厚生労働省の中では制度見直しの議論が進んでいたわけですよ。条約結んで十年たって制度を改正するという話じゃないんです。

 そういう点でいうと、私は、国内での制度改正がほぼ厚生省内、内部といっても別に秘密でやっているわけじゃなくて、公開される議論の中でやっていたにもかかわらず、それなのに制度変更をした場合どうするかという協議もしないで条約の署名を進めたというのは、私、やっぱり余りに拙速だったんではないか。この日比EPAのやはりフィリピン側との協議の進め方がやはり余りに問題があったんではないかと思いますが、問題ないというふうにおっしゃいますか。

政府参考人(田辺靖雄君)

 ただいま浅野副大臣から御答弁いたしましたように、昨年の九月にこのフィリピンとの協定を署名しておるわけでございますが、実はそれまでの間は細かな条文の調整等を行っておる段階でございまして、既にその前に大筋合意をいたしておりました。

 そこで、昨年の七月に厚生労働省の検討会においてそういう方向が示されていたということでございますが、そのような可能性につきましてはフィリピン側にも説明をしておったところでございますが、さらに、その後、今年に入りましてから、この法案の条文案が固まってまいったということでございましたので、今年に入ってからでございますけれども、フィリピン側に今回の准介護福祉士制度を含む法改正案というものを説明をいたしまして、これはフィリピンとの協定の間でそごを来すものではないというふうに考えておりまして、フィリピン側ともそのような説明をして、フィリピン側の理解も得ておるというところでございます。

小池晃君

 いや、分からない。分かりません。納得できません、こういうやり方は。

 日本のやっぱり介護、福祉にかかわる制度、資格、養成について、EPAが直前にその制約となるような協定を結んでしまうというのは、私はどう考えてもおかしいと思うんですね。

 ちょっと確認したいんですが、これ介護福祉士だけじゃないわけで、フィリピンEPAには看護師の資格取得についても規定が含まれています。厚労省側にお聞きしたいんですが、例えば日本看護協会は看護師養成課程四年制化を求めております。私もこれは正しい方向だと思っているんですが、もしもこうした看護師の資格要件の変更が起こった場合に、今回のように条約が障害になっていくという可能性があるんですか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 日本・フィリピン経済連携協定に基づくフィリピン人看護師候補者の受入れにつきまして、協定上は、看護師候補者がフィリピンにおいてどのような資格等を有している必要があるか、また入国に際しての活動目的、また日本の看護師資格取得前及び取得後に許容される滞在期間について定められておるところでございます。

 委員御指摘のように、今後、日本の看護教育課程の変更がなされた場合であっても、この協定上で定められている事項に直ちに抵触するものではないことから、特別な措置を必ず講じなければならないというものではないと認識しております。

小池晃君

 看護師についてはそういうことであれば安心ではあるんですが。

 大臣、私、先ほど大臣の答弁で、現行の制度で協定を結んだと、その制度の変更がされたら相手国に混乱を与えてしまうから、これはこういうことをせざるを得ないんだとおっしゃったんだけど、

条約を結んで十年後とか二十年後に制度を変えるという議論が出てきたんだったらばそういう議論成り立つと思うんですね。しかし、正に条約の締結過程の中で制度変更の議論がもう公式に厚生労働省の中でやられていて、ほぼそういう方向固まってきつつある中でこういう議論がされていた。

 例えば、国会のこの条約の審議の中でも、この制度を変更することが今後障害になるかということについて別に説明されてないわけですね。それで、今こういう法案の審議になってこういう大変な問題になってきているわけで、私は、大臣、政治家として、こういう議論の進め方、EPAの締結の進め方というのは問題があったというふうに思われませんか。大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 もちろん、経済連携協定ということで、それぞれセンシティブな項目について、恐らく協定交渉でも真剣な両国の議論が行われただろうと思うわけでございます。そういう場合に、この看護師、それからこの介護福祉士の問題については、まだその改正の作業の中とは言い条、やはり協定の前提としては現行制度を前提とした交渉が行われていたに違いないわけでございまして、先ほどもそういう趣旨の答弁が外務省当局からもあったわけでございます。

 そういうことを考えますと、これはもう私どもとしては、やはり現行制度を前提とした協定が締結されたということでございますので、私どもとしてはこの今回の改正とその協定との間で調整を図らなければならない、そういうことは私ども国際協調の国是に立つ日本としてはやはり避けて通れない問題であったと、このように考えます。

小池晃君

 国際協調は大事だと思いますが、どのような資格になるのかというのは、これは国民の安全、命にかかわる問題です。我が国の主権にかかわる問題です。それがこういう形で変更を迫られる、私はこれは日本の主権にもかかわる重大問題だというふうに思います。

 中村局長、先ほどの議論の中で、当分の間ということなんだと、暫定なんだと言いつつ、期限を決めるのは困難だというふうに答弁をされている。これ、正にフィリピンEPA改定しなければ、変わらないのであれば、確かに期限決められないことになる。暫定措置と言いながら、事実上、もうその国際交渉の行く末に懸かっているという、こういうことになっているわけですね。

 これがどういうふうになっていくかということなんですが、老健局長にお聞きしたいんですけれども、この准介護福祉士という資格は介護保険制度上はどういう位置付けになってくるわけですか。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 お答えを申し上げます。

 介護保険法による訪問介護につきましては介護福祉士その他政令で定める者というふうにされておりまして、当該政令で定める者につきましては介護員の養成研修を修了した者とされているところでございます。

 それで、准看護師、准介護福祉士を訪問介護員として扱うかどうか、どう取り扱うかという問題でございますが、これは介護福祉士法におきます法令上の位置付けでございますとか、養成校における養成課程で修得した内容等を今後総合的に勘案しまして、今後検討したいというふうに考えております。

小池晃君

 今後検討したいというのは、介護保険制度の中にこれは位置付けられるわけですね、制度上はね。

 先ほど言ったように、暫定措置と言いながら、実際期限もなく続いていく。今回のその法改正の趣旨というのは正に介護職の資質向上のはずだったわけですが、一方でそうした趣旨掲げながら、それの抜け穴ができていくようなことになっていくわけです。

 しかも、先ほどの質疑のやり取りの中で、介護福祉士と准介護福祉士の待遇については今後の政策判断だという答弁を中村局長されました。要するに、その介護報酬上も差別化されていくような可能性があるということですよね。そうなっていくと、結局、その安上がりの労働力を前提にした介護体制につながっていく。介護保険制度を預かる老健局長としてはそういう危険性感じませんか、こういう仕組みになっていけば。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 准介護福祉士の問題でございますけれども、今後、どちらにしても介護保険法上の位置付けを検討するということでございます。

 それから、介護報酬の問題でございますけれども、介護福祉士であることに着目した介護報酬、介護報酬上どう評価するかということにつきましても、准看護師の問題も含めて、今後の状況をよくにらんで介護報酬改定などなんかの議論において検討されていくべき問題だというふうに考えております。

小池晃君

 これで准介護福祉士と介護福祉士の報酬上の格差も出てくる。私、介護保険上にもこういう身分上の格差が制度上こう位置付いていくというのは、これ大変問題だと。介護保険制度に対する国民の信頼にもかかわる問題にもなるんじゃないかというふうに思うんですね。

 やっぱりこれは本当になくさなきゃいけないものだというふうに思うんですが、直ちにフィリピン側との協議して条約を改定する必要があると思うんですけれども、外務省としては、今回の国内法制度との関係でこの条約が改定が必要であるという認識はお持ちなんですか。

副大臣(浅野勝人君)

 介護福祉士法の改正案、今回の改正案は准介護福祉士の制度を設けておりますので、日比EPA協定との整合性の観点から問題があるとは認識をしていません。

 したがって、この協定を改正するための交渉が必要な条件にはなっていないと考えております。

小池晃君

 さっき厚生労働省は改定をしなければいけないと言ったじゃないですか。外務省は改定する必要はないと言っているじゃないですか。これでいいんですか。大臣、いいんですか、これで。こんな姿勢だったら、このままずっと続きますよ、准介護福祉士は。これでいいんですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 先ほど来の、小池委員も十分お分かりの上で御質問になっているかと思いますけれども、これは、今こうした事態を避けるため、あるいは、こうした事態をすぐさま是正するためにこの再交渉が必要かということについて浅野副大臣が答弁になったと思います。

 我々としては、今後の推移を見て、我が国国内法制の点からいっても、やはりこの当分の間ということの判断の下で、私どもとしてはできるだけ国内法制の整合性というものの観点から早くにこの改定の機会を持つように努めてまいりたい。しかし、これは私どもとしては外交交渉の衝に当たっているわけではありませんから、大局的には国内的な面からそういうことを考えますけれども、実際の外交交渉をいかがするかというのはまた外交当局の御判断によるんだろうと、このように思います。

小池晃君

 いや、その思っているだけじゃなくて、何も行動しないんですか。外務省に対して、これは直ちに改定すべきだという意見を厚生労働省として言わないんですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 せっかくこの前、先ほどの外務省の報告によれば、この説明をし、理解を得られたということでございますので、そのまたすぐさまに改定だというようなことはやっぱり国際交渉の在り方としてもやや性急に過ぎるということであろうと思います。

 したがいまして、私どもとしては、当分の間というものをどう判断するかでございますけれども、我々としてはできる限り、国内の問題を仮に説明するにしても、しっかりとした説明ができるような状況を早くつかんで、そうしたことを外務当局にまたお願いをいたしたいと、このように考えるわけです。

小池晃君

 性急過ぎるんじゃないんですよ。国内制度の改定を議論しているさなかにこんな条約結んだのがいけないんですよ。原因つくったのはEPAじゃないですか。おかしいですよ、議論が。だから、その性急だから言えないなんというのはおかしい。

 しかも、先ほどもちょっと議論ありましたが、現在、他国とEPA、FTA交渉でも医療や介護に関する人の受入れが行われているというふうに聞いております。現時点で、医療や介護、福祉にかかわる人材の受入れが合意されているものについて御紹介いただきたいと思います、外務省に。

政府参考人(田辺靖雄君)

 現在関係のある協定といたしましては、日本・タイ経済連携協定、これはこの四月の三日に署名をいたしましたが、その中におきましては、この協定発効後二年以内に、タイの介護福祉士を受け入れるかどうかにつきまして結論に達することを目的とした交渉を開始するということにいたしております。

 それから、現在、日本・インドネシア経済連携協定につきましては、昨年の十一月に大筋合意を見たところでございますが、まだ署名には至っておりませんが、その大筋合意の中におきましては、看護師、介護福祉士の受入れの枠組みを構築するという旨の大筋合意は行っておるところでございます。

小池晃君

 今のお話のとおりなんですね。

 しかし、フィリピンEPAの状態をこのまま放置していたら、やっぱりこれタイやインドネシアと結んだ場合も准介護福祉士という制度を前提にした合意になっていく危険性があると思うんですね。だって、フィリピンでは准というのは認めてもタイやインドネシアでは認めないという議論に、これはならないと思うんですよ。これは、いろいろとそういう意味ではほかにも波及していく。そういうふうに結んでいけば、それこそすべての国と合意しなければ准介護福祉士というのをなくせないという、泥沼化していくというかね、そういう危険性だってあるじゃないですか。

 大臣ね、私、こういう海外との今EPA、FTA進んでいる中であるということも含めて、やっぱりフィリピンと、先ほどはすぐにやれないとおっしゃったけれども、これ直ちにやっぱり再改定の交渉に入るように外務省に申し入れて、准介護福祉士という資格はなくすというふうにしなきゃいけないんじゃないですか。大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 お尋ねのタイやインドネシアなどとこの経済連携協定を交渉していくに当たりましては、今回の改正法案の審議の状況及び結果に十分配意をしていただくように求めていくことは当然であると考えております。

小池晃君

 いや、それは当然だと思いますけどね。でも、フィリピンですよ。これはそんなに、先ほど言ったようにすぐにやることはできないというんじゃなくて、やっぱり直ちに外務省に対して申入れをするべきだというふうに思います。

 それから、ちょっと関連してお聞きをしたいことがあるんですけれども、介護にかかわって軽度者から福祉用具を貸与をやめるという問題が起こりまして、この四月から要支援一、二、要介護一の方に対する福祉用具の貸与基準が見直されています。昨年十一月から全国調査を行って、その結果が見直しに結び付いたということなんですが、ちょっと数字だけ最初にお聞きしたいのは、昨年四月にこの貸与基準を見直しを行って軽度者に対する福祉用具の貸与がどれだけ減少したか。要支援、要介護一の軽度者に対する特殊寝台それから車いすの提供件数が、一昨年十一月と昨年十一月でどう変化したか。数字だけお答えください。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 お答えを申し上げます。

 介護給付費実態調査によりますと、要支援一、二及び要介護一の軽度者に対する特殊寝台の貸与件数でございますが、改正の前の平成十七年十一月サービス提供分においては約二十七万四千件でございました。それが改正後、平成十八年の十一月分におきましては一万件となりまして、二十六万四千件の減少ということでございます。

 それから、同じように要支援一、二及び要介護一の軽度者に対する車いすの貸与件数でございますが、改正前の十七年十一月のサービス提供分におきましては十一万八千件でございましたが、その後、十八年十一月分におきましては五万件ということで、六万八千件減少したということでございます。

小池晃君

 その介護ベッドについては、二十七万四千人が利用していたのが一万人ですよね。二十六万四千人の人がベッドを奪われたわけですね。制度改悪前の四%にまで激減している。

 私、この見直しの実施のときに申入れにも行って、局長にこれは貸しはがしだと言ったら、貸しはがしという言葉はひどいって局長おっしゃっていたけど、実態見たらこれ貸しはがしですよ、やっぱり。これだけ多くの人から奪って、すべて必要なかった人だっていうんですか。私は、これだけのことをやったら、こういう介護ベッドなどが必要な人からも奪われたっていうケースだってあったことは間違いない。結局、利用をあきらめる、あるいは自費で購入するということを強いられた人がたくさんいたに違いないと思うんです。

 大臣ね、私、この数字見て、これ結局、給付費減先にありきでやってきた結果がこういうことになった。二十七万人中二十六万人のベッドを奪った。こういうやり方をやったことについて、大臣は責任を感じませんか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 この福祉用具の貸与につきましては、一部に不適正な利用が認められた事実もございまして、平成十八年四月の介護報酬改定におきまして給付の適正化の見地から見直しを行いました。その際、利用者保護の観点から施行後六か月の経過措置を置くなど、厚生労働省といたしましても円滑な施行に努めてまいりました。

 ただ、見直し後、例えばぜんそく発作などが起こるもの等、日常的に福祉用具を必要とする状態であるにもかかわらず対象とならないという一部の事例が認められました。そこで、本年四月一日より、この運用の見直しを、専門家による分析結果あるいは我が省としての調査を踏まえまして行ったところでございまして、今後とも、見直し後の制度を適切に運用することにより、福祉用具を真に必要とする方が適正に福祉用具貸与サービスを利用できるように努めてまいりたいと考えております。

小池晃君

 二十七万人中二十六万人が不適正だったというんですか。それは、そういうことでしょう。こういうことについて、やっぱり本当に重大な責任だと受け止めていただかないと困ります。

 そのことを申し上げて、質問を終わります。

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