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166通常国会 参議院厚生労働委員会 パート労働法「改正」案に関する参考人質疑

  • パート労働法改定/差別禁止条件厳しい/“対象者いるのか” 参考人から疑問/参院厚労委(関連記事
2007年5月16日(水)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 時間の関係ですべての方に質問できないかもしれませんが、御容赦ください。

 最初に幾つか坂本参考人にお伺いしたいと思っているんですが、この改正案では、正規の、通常の労働者への転換を推進するために事業主に対して一定の措置をとるように義務付けているということですが、非常に中身が不十分であるという指摘がされております。その点について、参考人の方から問題点を指摘していただけますでしょうか。

参考人(坂本福子君)

 この通常の労働者への転換ということで、法案の方では三つの条件を挙げております。要するに、通常の労働者の募集を行う場合に、その当該事業所で雇用する短時間労働者へ周知する。あるいは、そして二番目に言っているのは、短時間労働者に先に応募の機会を与えると。三番目は、雇用する短時間労働者に、その試験や何かの場合にそれを与えるというようなことを言っております。

 しかし、そのうちのどれか一つというのでは、これはやはり、そこで働いているパート労働者がやっぱりもし希望する場合に、それは優先的にやっぱり応募の機会を与えるというふうにしなければ、これまでパート労働者として働いてきたその労働者の権利といいますか、その慣行という、そういうものを先にすべきだというふうに併せて考えております。

 やっぱり通常の労働者への転換というのは、パートタイマーであってもやっぱりきちっとした通常の労働者への転換を希望する者が多いわけですから、その意味で、まずその優先権を与えるということと、もう一つ、これは全然ここには触れておりませんけれども、例えば正規労働者の場合でも、私たちが考えますパートは単に労働時間が短いだけということであれば、例えば育児、介護、そういう正規労働者は一つのパートになる。ヨーロッパなんかでは、私が行ったときにやっぱりうらやましいなと思ったのは、例えば六時間、四時間パートという形で正規として働いている。だから、オランダなんかはもういわゆるパート法というのはないんですね、普通の法律が適用になると。

 そういう意味では、やっぱり今度の法案としては非常に、現実に働いているパート労働者を保護すべきものではないというふうに、もう少し、もう一歩先に進んだ改善案、それを考えていただきたいなというふうに思っております。

小池晃君

 それから、今回の、まあ法体系の問題もあるんですが、公務員はこの適用除外になっております。現実には公務員の世界で非常にパート労働が増えているという実態がある中で、先生もそういう裁判にも取り組んでおられると思うんですけれども、公務パートの実態とその問題解決に何が必要なのかについて、御意見をお聞かせください。

参考人(坂本福子君)

 いわゆる公務労働の場合に、今の段階ですと、国家公務員の場合は基本的には人事院規則、それから地方公務員の場合には地公法という形になってきております。ただ、いわゆる地方公務員の場合には基本的には労働基準法が適用ということでして、殊に非常勤あるいはパート、いわゆる非正規の労働者については、これはほとんどその地公法の適用が、地方公務員法の適用が外というふうに考える。実態には非常に多いんですね。

 私も現実に裁判やっております保育士さんというのは、非常勤保育士。これは任用でもって一年契約という形になっております。一年一年任用なされるんですけど、実際にはもう九年から十年、そして十数回。なるべく長く働いてくださいよと言われる形できておりまして、ある日突然、もううちの方の非常勤パートは要らないよという形で解雇されると。

 この点についてやっぱり救うべき法律というのがやっぱり今のところ不足しているんではないか。裁判所の判断も非常にまちまちでございます。

 やっぱり地方公務員については、とりわけ労基法の適用があるんですから、そういう実態をやっぱり見て、それを救えるような法律をもう一つ作っていただきたいのか、立法政策まで踏み込むのか、あるいは労基法の適用をきちっとうたってもらうのか、単に任用という行為であって、それは民間と違うというふうに切られるのは非常に困るんだということを思っておりまして、是非その辺は、むしろ立法の問題ではないかというふうに考えております。

小池晃君

 これも今度の法律自体の大きな問題点だと私どもも思っております。

 それから、ほかの参考人の方からも御指摘があったんですけれども、いわゆるフルタイムパートの方々が今度の法律では全く救われないではないかと、この点について御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。

参考人(坂本福子君)

 たしか答弁では、衆議院の答弁を見ましたら、フルタイムパートというのは、まずそのフルタイムパートということ自身がどういうことなのかという問題が一つあります。そして、そのフルタイムパートの場合には適用がないと。実際、私たち弁護士会でもこれはずっと以前から意見書を出しておりまして、やっぱりパートというのはパーツから来ているんであって、単に時間が短いという労働者なんだと、フルタイムパートというのはおかしいではないかと。とするならば、フルタイムパートは何法の適用をもってどう救済されるのかという問題が含まれてきます。

 当然、これは私どもは労働基準法その他一般的な法律が適用になるというふうに、正規労働者と変わりないんだというふうに考えておりますけれども、単に呼称でもってフルタイム、じゃ正規労働者と同様の適用がないのかということが、これが非常に現実には大きく問題になってくるのではないだろうかな。やっぱり、きちっとそうした意味では労基法の適用があるということが定められてしかるべきではないかというふうに思っております。

小池晃君

 続いて鴨参考人にお伺いしたいんですけれども、現場の実態をお話しいただいたんですが、ちょっといろいろ聞くと、ダブルワークとかマルチプルジョブホルダーの問題というのが非常に深刻になっていると聞くんですね。法の抜け道みたいな形で、非常に長時間労働、正社員並みあるいは正社員以上の、これはまあ最低賃金低過ぎるという問題も背景にあると思うんですが、こういうダブルワークあるいはマルチプルジョブホルダーみたいな実態とその問題点について御意見をお聞かせください。

参考人(鴨桃代君)

 今は本当にダブルワークの人が増えています。パート労働者は、言えば短い短時間労働者であるという定義付けにはなっておりますけれども、結局ダブルワークをしている人たちは、今の時給が余りにも低過ぎるがゆえに、それだけでは生活ができないという中でダブルワークをしている。

 そうすると、私たち、二〇〇三年のときだったと思いますけれども、均等待遇アクションということで実態調査をしたときに、ダブルワークで働いている人たちが一日十時間で年間で三千時間近い労働をしている人たちがいたわけです。ところが、ダブルワークをする目的というのは、生活をできるためにということでダブルワークをするわけです。でも、時給が千円に届かないわけですよ。そうすると、パートとパートだけのダブルワークでは、三千時間働いたとしても単純に言って年収三百万に届くか届かないかという状況があるわけです。

 だから、本当にダブルワークをしている人たちは、ある意味で生活のためにということで大変な中でダブルワークを選択しているわけですけれども、そのダブルワークだけでは生活ができないという現実を考えたときに、やっぱりパート労働者の賃金、時給ですね、この時給そのものをもっと底上げしなければ、本当に短時間労働者であるはずの人たちが正に長時間労働で働いているという実態になってしまっているということ。

 ダブルワークの人たちは、例えば十時間を働いていても、今の例えば社会保険とか、そういった適用からいえば、一つの営業所の中で四分の三時間以上というふうになっていますから、そうすると二つ働いて十時間を超えていても社会保険適用にならないわけですよね。当然、年金の問題もそこから生まれてくるわけです。残業時間に対しても、本来十時間であるならば残業時間の適用があるはずだけれども、そういったものも労基法の中で適用になるというふうにはなっていますけれども、現実にはあり得ないですということで、そういった問題がかなりあって深刻な問題になっているというふうに思います。

小池晃君

 それと、参考人がお配りいただいた資料で六枚目に、いわゆる三要件を満たすパートがどれだけいるかということで政府が説明している資料がありまして、これを根拠に五%なんだという議論があるわけですよね。昨日もやり取りがあって、柳澤大臣は五%どんぴしゃというわけじゃないんだというようなことも言っていましたが、ちょっとその説明の中で、要するにこれは配転、転勤の頻度が正社員と比べて多いか同じかと聞いたときに、これは有期の人がこの質問に対して丸を付けるわけがないから、この五%というのは、結局有期というのはもうクリアした数字で出てきているからこれは近似値として考えていいんだという、ちょっと私とんでもないんじゃないかなと思うような、そういう説明を政府はしているんですけれども。

 この五%、まあほとんどこんなにいないんじゃないかというふうに実態としては思うんですが、この数字の政府解釈についてはどのような感想をお持ちでしょうか。

参考人(鴨桃代君)

 先ほども言いましたように、この五%という数字がそもそもどういった実態の中で把握されているのかというのがちょっとよく分からないですね。

 私たちの本当に相談の中からいいますと、仕事が同じというのは皆さんもうあるわけです。だけど、さらに残業も同じものありますね。そこまでは行きますよね。だけど、この先の異動、配転という問題が入ってきたときに、それも同じパートといったら、どこに実際として存在しているんだろうかというふうに思ってしまうということです。

 だから、五%なり一%ではないだろうかというようないろんな数字は飛び交っているんですけれども、現実一%なら一%で、じゃ実際どこに存在しているのかということを教えていただきたいというふうなことの方が実感としてあります。

小池晃君

 龍井参考人、坂本参考人にもこの数字についてちょっと御意見をお聞かせ願いたいと思うんですが、この五%という数字のほかに、パート労働者の中で期間の定めのあるという方が八割、だから残りの二割掛ければ、五%掛ける二〇%で一%になるんだと、あるいは一%未満だと、大体そんな人は見たこともないというような、そういう議論があるわけですが、その辺の数字の見方についてどんな御意見をお持ちか、それぞれお聞かせください。

参考人(龍井葉二君)

 実は、そこは詰めなくちゃいけない課題だと思う反面、もう一つ大事な論点があると思っていますのは、暗黙のうちに、通常の労働者と同じというときに、通常の労働者が一つのパターンだというふうに暗黙に思っちゃうわけですよ。じゃ、これは今後、これの運用の話とかかわってくるんですけれども、だったら、例えば全国転勤要件だと掲げたとします、正規、通常の労働者が。じゃ、全員がしているかということですよ。

 多分、だから、だれと物差しで比較をしていくかというときに、それが一応パターンに思っちゃうんだけれども、全員がしているわけじゃないし、全員が異動しているわけじゃないわけですよ。今はその見込まれるという訳の分からないのが入っていて、それは主意じゃありませんよとなっていますよね。だから、この答え方のときに、これ経営者アンケートの場合も多分御本人、御本人というのはつまりパート労働者の当事者に聞いたって、だれと比較をするかというのが残っているわけです。だから、そこが分からないまま何か勝手なイメージで比較しているとなると、私はこの数字は、実態より少ない可能性もあるんですよ。つまり、全員が、通常の労働者全員が配転しているわけじゃないし、全員が全国転勤の要件をやっているんじゃなかったら、そういう通常の労働者と私は同じだというふうに答えれば、これは広がる余地だってあるわけですよ。

 ですから、そこはその数字の厳密性と同時にどう運用していくかということと併せて追及していただきたいと私は思います。

参考人(坂本福子君)

 実は私も五%というのは非常に疑問なんですね。

 というのは、数少ない中ですけれども、例えば弁護士がパートの相談を受けた中で、じゃこの三要件を満たすパートさんが相談に来ているかといえば、今まで私は当たった例はないんです。何十年間、やっぱり弁護士としてパートさんの相談も受けています。

 一体、五%と言ったのは、確かに新聞や何かから、あるいは国会の答弁から引いたのであって、しかも転勤要件というのが通常の労働者で、今、龍井参考人もおっしゃられましたけれども、私たちが男女差別のときに転勤の問題が出てきていても、必ずしも、男性が転勤があるから、だから賃金が高くていいんだという、その転勤でもって言われることがあるんですけれども、でも同期に入った男性でも半数以上は転勤もしていないと、こういう例が結構あるんですね。

 だとすると、この数字というのは一体どこからどういうふうにやったらこの五%が出てくるのか、非常に私は疑問に思いつつ、これは実は、私たち一緒にやっている弁護士の仲間でも何人か討論をしたんですけれども、どうも確かにつかめなくて、やっぱりもっときちっとした数字を出してもらいたい。何人是正されるんだろうか、どれだけ是正されるんだろうかと。少なくとも、改善と言うからにはやっぱり改善する方向の法案であってほしいなということで、これは是非、議員の方たちにもきちっと調査していただきたいなというふうに思っております。

小池晃君

 安倍政権としては再チャレンジ支援策の目玉みたいな形でこれを出してきている。ところが、実際にその対象になる人がどれだけいるかが極めてあいまいであるというのは、もうこれ大問題ではないかなというふうに思います。

 龍井参考人に、そもそもこういう安倍政権が再チャレンジ支援策の目玉として出してきたこの中身について、連合としてそういう観点から見てどのように評価されているか、ちょっと御意見をお聞かせ願えますでしょうか。

参考人(龍井葉二君)

 冒頭の背景のところではしょりましたけど、結局これだけ液状化というかぐしゃぐしゃにしちゃった、その政策の責任がまずあるわけですよ。それをまずじゃ改めますというふうに宣言するのか、いや結局それはもう格差は開いちゃいました、二極化しちゃいました。その上でなおかつ、再チャレと言うと聞こえがいいけど、あれはやっぱり自立型ですよ。自力ではい上がってくる人、つまりそれは安倍さん自身がセーフティーネットじゃないとはっきり言っておられるわけなんで、それはやっぱりそういう二極化のここで言っている底支えをするという発想が私はないんだと思いますよ。

 ですから、最賃の引上げも、まあそれは、こういう場ですから変な言い方ですけど、もう参院選前の何か慌ただしくやってきたなというので、繰り返し申し上げますように、トータルな働き方をこうするんだ、部品じゃなくてこうするんだというメッセージがあるんだったら私は真摯に受け止めたいと思いますけど、とてもそういう実態にはなっていないと私は思います。

小池晃君

 ありがとうございました。終わります。

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