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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

166通常国会 厚生労働委員会 パート法「改正」案の採決(日本共産党の修正案提出)および児童虐待防止法改正案に関する質疑・採決

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2007年5月24日(木)

【パート法改正案に対する修正案趣旨説明及び討論】

小池晃君

 私は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、日本共産党及び社会民主党・護憲連合を代表して、修正の動議を提出します。

 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。

 これよりその趣旨を説明します。

 パート労働者は千二百万人を超え、今や基幹的な労働力として雇用されているばかりか、パート労働から得る収入は労働者の生活を基本的に支えるものとなっています。にもかかわらず、正社員とほとんど同じ労働時間や仕事であっても、賃金や労働条件の面で均等な待遇を受けていない実態があり、これを抜本的に改善することが強く求められています。若者の多くがパート労働者として働いている現状からしても、この格差是正は喫緊の課題と言えます。

 ところが、政府の対応は、パート労働者に通常の労働者と同じ権利を保障した一九九四年のILOパート労働条約にいまだ署名も批准もせず、これまで差別の禁止や均等な待遇の実現に背を向けてきました。今回の政府案も、パート労働者の差別を是正するものとはなっておりません。

 本修正の目的は、パート労働者などの均等待遇を法案に明記するなど、格差是正を実現するための措置をとるものであります。

 以下、提案する修正案の骨子を説明します。

 第一に、パート労働者の多くが有期労働者であることから、有期契約を理由に通常の労働者と差別してはならないことを明確にするため、法の対象に有期労働者を加えます。

 第二に、すべてのパート労働者及び有期労働者を対象とした上で、通常の労働者との均等待遇の確保を法案に明記し、差別的取扱いの禁止を規定します。

 第三に、通常の労働者を募集、採用する場合、現に雇用する同種の業務に就いているパート労働者及び有期労働者で希望する者については、優先的に応募する機会を与えなければならないこととするとともに、優先的な雇入れの努力義務を課すこととします。

 第四に、通常の労働者から申出があった場合、申出に係る期間、短時間労働者として雇用するための措置を講ずる努力義務を課すこととします。

 第五に、事業者への規制を強化します。パート労働や有期労働を理由に通常の労働者との差別的取扱いをした場合や正社員への優先的応募の機会を与えない場合、厚生労働大臣が行う勧告に従わない場合には、これを公表し、勧告に従うよう命令できる規定を新たに置きます。

 以上述べて、趣旨説明とします。よろしく御賛同くださいますようお願いいたします。

小池晃君

 私は、日本共産党を代表して、政府提出の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対して反対、日本共産党、社会民主党・護憲連合提案の修正案に賛成の立場で討論を行います。

 本法案は十四年ぶりとなる改正案であり、多くのパート労働者が期待してきたにもかかわらず、その内容は、圧倒的多数のパート労働者の願う均等待遇とはほど遠いものとなっています。

 以下、政府提案に反対する理由を述べます。

 反対する第一の理由は、均等待遇への実効性が余りにも乏しいことです。通常労働者として均等処遇するとした八条の通常の労働者と同視すべきパート労働者の対象は、大臣が答弁したパート労働者の四、五%よりも少なく、しかも、その判断は事業主にゆだねるとしており、限りなくゼロに近いことが質疑の中で明らかになってきました。また、九条の職務内容同一パート労働者の均衡待遇についても、勘案すべき点にパート労働者の意欲を盛り込むなど事業主の恣意的判断にゆだね、同じ賃金表を適用するよう努力するだけで、格差是正していく上で何の歯止めもないものとなっています。いわゆるフルタイムパート労働者は、法案の対象にすらなっておりません。

 第二の理由は、本法案が均衡待遇という考え方を取ることで、パート労働者の間に新たな格差、差別を持ち込み、それによって格差の固定化が生まれる危険性があることです。しかも、今回の法案を理由に、転勤や配転ができない正社員をパート化するなど、その処遇を悪化させ、労働者全体の労働条件を引き下げることにもなりかねません。

 第三の理由は、福利厚生の処遇について、今回の政府案は配慮義務であるにもかかわらず、給食・休養施設及び更衣室に限るという、これまでのパート指針よりも狭くなり、大きな後退となることです。参考人からも人権侵害だとの厳しい批判が出されました。少なくとも健康の保持又は業務の円滑な遂行に資する施設利用は差別的取扱いを禁止すべきであります。

 反対の第四の理由は、有期雇用労働者を均等待遇、差別禁止の対象から除外していることです。パート労働者の八割は有期雇用労働者です。有期雇用契約は、非正規労働者の雇用の不安定と低い労働条件を固定化する原因ともなっています。この有期労働者を継続的な業務に細切れ的に従事させ、安い労働力として使用するという雇用調整が放置されていることは重大です。

 日本共産党は、人件費削減のための有期雇用は最初から認めず、何度も契約更新を繰り返すような働かせ方を禁止することなどを求めています。実際に均等待遇を実現するためには、有期雇用労働者を対象とすることこそ現実的な解決の道であることを確信するものであります。

 以上申し述べて、討論といたします。

【児童虐待防止法改正案質疑】

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 本法案、衆議院の青少年問題特別委員会の関係の議員の皆さんが正に超党派で作業を進められた。勉強会も、何か聞くところでは月二回、十三回開かれたというふうに聞いております。そういう御努力重ねて超党派で法改正にこぎ着けたということについて、最初に心から敬意を表したいというふうに思っております。

 その上で、いろんな質問ありましたので、重複することは割愛しながら質問していきたいと思います。

 最初に、元々この法律は二〇〇〇年に制定をされまして、二〇〇四年に改正されて、今回二度目ということになるかと思うんですが、二〇〇〇年に児童虐待防止法ができて以来も児童虐待事件は後を絶ちません。〇五年度に児童相談所で対応した児童虐待相談件数は三万四千四百七十二件、これ九〇年からの十五年間で実に三十一・三倍ということであります。この児童虐待防止法施行前の九九年から六年間で約三倍になっています。法制定後七年たちましたが、なぜこの虐待が減らないのか、むしろ増加しているのか、その問題についての認識をまず伺います。

衆議院議員(石井郁子君)

 私も最初の児童虐待防止法から今日までかかわってまいりまして、本当に法制定七年たったなという感慨もございますし、またなかなか減らないということで歯がゆい思いも当然しているところであります。

 しかし、やっぱり法整備ができたことで随分前進した面はそれぞれあるというふうに思うんですが、そこはおきまして、まず児童相談所における児童虐待の相談件数は、平成十二年、今いろいろお話ございましたけれども、一万七千七百二十五件から、平成十七年度三万四千四百七十二件と、ほぼ二倍でございます。引き続き増加の傾向にあると。

 私たちは、その背景としましては、やっぱり核家族化の進行、親子を取り巻く環境の変化等、養育力の不足している家庭が増加しているということは一つ否めないということがあると思います。

 それからもう一つが、今申し上げましたように、児童虐待防止法の制定及びその後の改正で、児童虐待にかかわるこの通告制度が普及したことによりまして、関係者のみならず広く国民にこの児童虐待の認識が深まりました。児童虐待が疑われるケースの通告が大変増加したということも考えられると思います。

 そのほかいろいろあるんですけれども、やはり早期対応、早期発見というようなことの認識が深まりましたし、それから、先ほどの委員の質問の中でありましたけれども、しかし虐待はやっぱり親が子にするというケースが圧倒的なんですよね。そういう意味での親へのケアとか指導ということがこれからの大変な重要な課題だというふうに思うんですけれども、また社会全体の問題としても考えなきゃいけないことがなおあると思いますが、児童虐待防止対策と、防止という観点での充実強化をなおやっぱり図っていくということが共通の私たちの認識として持っているところでございます。

小池晃君

 そこで、要するに児童虐待防止法ですから、児童虐待がなくなると、少しでも減らしていくということが目的だと思うんですが、今回の改正によりまして、この間増加しているようなケースに適切に対応していけるというふうにお考えでしょうか。そこについて説明をお願いします。

衆議院議員(やまぎわ大志郎君)

 平成十六年に改正をさせていただいたときに積み残しになっておりました課題として、先ほど来答弁させていただいているとおり、児童の安全の確認等を実効的に行うためにどうすればいいかという問題、そして親権の問題と、この二点がございました。

 今回の改正によって、この児童の安全の確認等を実効性を持たせるということにつきましては、ある程度これは進むものと私たちは考えております。具体的なものは先ほど来御説明しておりますので割愛しますが、その立入りから臨検等々にまで行くということでございます。

 なお、御指摘のように、この児童虐待防止対策の根本的な解決というのはこれは予防でございまして、その予防の中にも虐待を行う親を生じさせないように支援をしていく、この発生の予防と、さらに虐待を行ってしまった親自身への教育をして再発を予防していく、この二点が重要だと考えております。

 こうした予防対策として、児童福祉分野のみならず保健、教育など様々な分野において取組をしているところではございます。それぞれの対策の強化を図るとともに、各地域ごとに横断的に対策を実施していくことが必要だと考えております。

小池晃君

 さらに、本改正で、第四条の国及び地方公共団体の責務に、虐待を受けた児童等に対する医療の提供体制の整備を加える、こうしております。これは非常に大事ではないかなと思っているんですけれども、具体的に提出者、発議者としてどのようなことを期待、想定されているのか、お答えください。

衆議院議員(高井美穂君)

 現在、児童虐待対応に対して、医療機関については児童虐待を受けたと思われる児童を発見した際に通告をためらう事例が見られるということ、それから虐待を受けた児童に対する著しい情緒、行動の問題とか、精神障害への治療的かかわりなど専門的な対応ができる機関が少ないということが課題としてあると指摘されております。

 そのために、地域の事情に応じて、やはり児童虐待を受けたと思われる児童について、医療機関から児童相談所それから市町村保健センター等の適切な機関に必要な情報が迅速に提供されるシステムをつくらなくてはならないということを考えております。それから、虐待を受けた児童に対して適切な医学的な評価、治療が行われるための体制の整備も必要だというふうに思っております。

 先ほど来、櫻井委員の質問の中にも、医療機関等の連携、体制整備というのも本当に必要だと思いますし、歯科医師の方からの情報というのも貴重なものだというふうに感じておるところでございまして、今回の改正においては、これらの医療提供体制を整備すべき旨を明確化はしたところではありますけれども、よりおっしゃったような趣旨を踏まえて体制整備が進むように、また情報の連携が取れるように頑張ってまいりたいというふうに思っております。

小池晃君

 今お話あったように、虐待を受けた子供たちに対する医療ケア、精神的ケアというのも非常に大事だと思うんです。

 その点で、少年院の在院者に対する法務省の法務総合研究所のアンケート調査で、やはり虐待を受けた経験のあるという方が非常に高率を占めていまして、きちっとケアされていればこんな結果にならなかったんじゃないかということで本当に心痛む結果が出ているんですが。

 現在、児童相談所で必置義務となっているのは、これは児童福祉司だけであります。児童心理司や医師については運営指針において置くことになっているだけで、虐待児のその後のケアにも配慮していかなければいけないと思うんですけれども、児童心理司あるいは医師の配置についてこれは積極的に進めるべきではないかと考えますが、発議者の御意見をお聞かせください。

衆議院議員(伊藤渉君)

 委員御指摘のとおりだと思います。

 まず、現状、児童相談所の児童心理司や医師については、子供に対する診断や心理検査のほか、虐待を行った親への親指導など、児童相談所が子供や保護者への適切な援助方針を決定するに当たり極めて重要な職員と認識をしております。

 こうした中で、例えば児童心理司について見ますと、まだまだ全体的な人数は少ないわけですが、着実に増員は図られておりまして、平成十八年度においては九百四十一人、児童虐待防止法制定前の八百十六人と比べると、少数の中ではありますが、一・二倍にはなっているところでございます。

 なお、この児童福祉司と同様に配置基準を設けるべきとの御指摘ではございますが、例えば地域によって児童福祉司が行う家庭訪問への同行を行っていたり、障害者相談所や知的障害者更生相談所と兼任で行っている地域もあるなど、地域の状況によって多様な実態がありまして、全国一律の基準を設けるということについてはなかなか難しい点もあるとは聞いております。

 いずれにしましても、必要な職員が適切に配置されますよう、どのような施策が適切なのか、我々立法府としても行政府と一体となってこの点については検討していくべき課題と考えております。

小池晃君

 さらに、この法案について懸念の声も寄せられておりまして、委員の部屋にもファクスなども来ているんではないかと思うんですね。先ほども御指摘ありました。私の部屋にもメールやファクスが来ております。

 ちょっと紹介すると、この方、現在、小一の不登校の息子がいます。息子はアスペルガー症候群です。聞くところによると、この法案が通ると、不登校というのはネグレクトというふうにイコールにされて児童相談所の保護の対象になる可能性があると聞きました。学校へ行ってないからといってそのような対象になるのは親子共々、正直不安ですと。どうか不登校イコールネグレクトといったようなことが法案で起こらないように働き掛けてくださいというようなメールが来ているんですね。ほかにもいろいろと同様の趣旨で来ています。

 提出者にこういうことが起こらないように運用すべきだというのは当然だと私は思うんですが、こういう不安を抱えている方に心配ないんだということを是非御説明いただきたいと思います。

衆議院議員(石井郁子君)

 いわゆるネグレクトとは、児童虐待防止法の第二条三号でこのようにしています。「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。」というふうになっているわけです。

 子供が登校を希望しているにもかかわらず保護者が登校させないというようなケースというのは保護者としての監護を著しく怠ることに該当すると考えられますけれども、家庭内で不登校の子供の状態を見ながら適切な監護が行われているというケースが多いと思いますけれども、それはネグレクトには該当しないと言えると思います。もちろん、不登校イコールネグレクトと短絡的に考えて、不登校というだけで保護が必要と判断されることなどはあってはならないわけでございまして、不登校の原因がネグレクトと疑われる場合は適切に確認されなければならないというふうに思います。

 今回の改正において、市町村福祉事務所の長及び児童相談所による児童虐待を受けたと思われる児童の安全確認が努力義務だったのを改めて、安全確認のために必要な措置を講ずることが義務化されたところでありまして、したがって、子供の不登校の原因が虐待によるものかどうかということについては児童相談所等により適切に確認が行われるというふうに考えているわけでございます。

小池晃君

 ありがとうございました。

 児童虐待の相談件数については非常に増加しているわけですけれども、氷山の一角であると同時に、ほとんど児童相談所がかかわっていないケースがあるというふうに言われておりまして、やはり体制づくりというのは非常に重要だと。先ほど、予算については超党派でという御意見は正にそのとおりだと思います。我々も是非そういう立場で要求をしていきたいというふうに思っておりますが。

 やはり同時に、過去の事件の検証という点では、専門委員会が社会保障審議会の下につくられてはいるんですけれども、個人情報にかかわる問題などについては情報の収集が困難だというような声もお聞きをしております。体制も十分とは言えないというふうに聞いております。やはり過去の事件の検証をしっかり進めていく上でも、第三者機関を設置するなどの体制の整備が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

衆議院議員(やまぎわ大志郎君)

 これは委員御指摘のとおりだと思います。本当に痛ましい事件が続く中で、私たちもそういう問題意識を持っているからこそ改正、改正と続けているわけであります。

 このような認識の下に、国におきましては、平成十六年より、社会保障審議会児童部会の下に外部の第三者から成る児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会、これを設置いたしまして、児童虐待による死亡事例等の分析、検証及び二回にわたる報告書の作成を行ってまいりました。一方、御指摘のとおり、地方公共団体においてはいまだ死亡事例の多くについてこの検証作業が行われていないという状況にございまして、今回の改正案においては検証作業の責務を規定することにしたところであります。

 なお、地方公共団体において検証作業を行うに当たっては、情報収集や守秘義務の観点などから、各自治体の児童福祉審議会において第三者によってこれが行われることが適当だと考えております。

小池晃君

 本改正で、虐待が疑われるときに児童相談所の職員等が安全確認、臨検又は捜索、こういう規定が設けられて、一方で、虐待を行った保護者に対しては、都道府県知事の勧告に従わなかった場合ですけれども、一時保護、施設入所等必要な措置を講ずると、面会や通信の制限を行うというふうにしておりまして、虐待児の安全の確保という点ではこれは一定されると思うんですが、大事なことはその虐待を行った保護者に対するケアをどう進めていくのかということだと思います。

 本改正十三条では、施設入所等の措置を解除しようとする際には保護者に対する指導の効果等を勘案するとされておりますが、ここで言う指導というのは具体的にどのようなことを想定されておられるのか、御答弁を願います。

衆議院議員(高井美穂君)

 御指摘のとおり、児童虐待の問題をやはり解決するためには子供を保護するということは一番でございますが、虐待をした保護者自身の養育態度、生活態度を変えて再発防止を図るということが何よりも重要だと思っております。

 保護者指導、親指導につきましては、養育方法の改善に関する助言や生活上の問題解決に関する助言などを内容とした児童福祉司による指導のほかに、児童相談所や保健所、民間団体などが実施するグループカウンセリング、それからマンツーマンによるトレーニングなど専門的なプログラムということも取り入れて、やはり多様な形で実施しなくてはならないというふうに思います。

 しかしながら、過去、保護者に対するアセスメントが十分でなくて安易に施設入所の措置解除が行われて死亡につながった事例がございますので、今回の法改正では施設入所等の措置を解除しようとする際には保護者に対する指導の効果等を勘案するという規定を創設をいたしまして、保護者指導やその効果についてのアセスメントの実施を求めることとしたところでございます。もっと深い様々な専門プログラム等の研究も進めてまいりたいというふうに考えております。

小池晃君

 さらに、改正案で新たに先ほども指摘しました臨検の制度を創設されて、この言葉の響きについては私もちょっと先ほどと同様の感想を持ちますが、しかし、この実施に当たっては、裁判所や警察との連携というのは非常に重要だと思います。児童福祉司とか児童相談所の職員のみならず、きちっとこういう問題について理解ある者をやはり警察官、裁判官などの中にも増やしていく、それからやっぱり病院あるいは保育所、学校、こういう虐待を発見する契機となり得る場所において関係者の研修を行う、理解を広げるということが非常に重要だと思いますが、こういう点での連携を図っていくために一体何が必要とお考えか、お答えください。

衆議院議員(伊藤渉君)

 改正案によって創設される臨検につきましては、司法、警察にもかかわる全く新たな制度であることから、関係省庁間で十分協議を行いましてマニュアルを作成するとともに、関係者に周知徹底を行い、円滑な事務遂行ができる体制を構築をすることが重要であると認識をしております。

 また、児童虐待に関係する機関である病院、保育所、学校などについては、現在、それぞれの分野ごとに関係団体や教育委員会などにおいて児童虐待に関する理解を深めるための研修が実施をされているところであり、今後より一層の充実を図ることが必要だと考えております。

 さらに、各地域において分野横断的に関係機関の連携を強化をしまして、早期発見、早期対応を図っていくことも重要でございます。現在、要保護児童対策地域協議会においては、研修、事例研究などが進められておりますが、こうした取組を進めることも有効であると考えております。

 いずれにしましても、児童虐待対応を効果的に実施するために、児童福祉分野にとどまらず、関係分野が一体となって取り組んでいくことを必要と考えておりますし、我々としてもその後押しをしていきたいと、そのように考えております。

小池晃君

 ありがとうございました。

 最後の質問ですが、日本子ども虐待防止学会なども、やっぱりこの問題については社会全体の仕組み、家庭の在り方、それ自体にまで踏み込んだ検討が必要だと提言をされております。その点で言いますと、〇六年の国民生活白書では、ゼロ歳児を持つ共働きの夫婦では、妻の育児時間四・二時間に対して夫は〇・七時間、家事時間は妻三・四時間に対して夫は〇・一時間というふうになっている。さらに、共働きの世帯において妻が育児を行う理由は、六二・三%が夫が忙しいからと。私、びっくりしたのは、週に六十時間以上働く男性の割合というのは、実は独身者とか子供のいない既婚者よりも、子供を持っている既婚者の方が割合が高いんですね。これはびっくりいたしました。

 やっぱり多くの家庭で母親に全部家事が集中して、父親はいつもいないと、長時間労働だと。やっぱりこういう働き方というのが底辺にあってこの虐待の問題も起こっているわけですから、こういう働き方を変えていく社会づくりが求められていると思うんですが、提出者の御見解をお聞かせください。

衆議院議員(石井郁子君)

 委員御指摘のとおりでございまして、本当に社会全体の在り方として考えなければ、やっぱり虐待の問題、本当に根本的に解決につながらないと思います。ただ、今の御質問は、しかしこの法には直接どうこうということではないと思いますし、法改正に当たって超党派の議員でそういう点も含めていろいろ議論はしてきたところではございますけれども。

 最初の質問に戻りますけれども、虐待はやっぱり減らないと、日本の社会で。それは通告制度、いろいろな法整備の影響もあったこともありますけれども、ますます今日、そういう虐待を生み出すような家庭環境というか、そういう基盤というものがあるんじゃないかという点には目を向けていかないと、本当にこの虐待問題、子供たちのこういう深刻な虐待をなくすことにならないというふうに思います。

 私も女性で共働きしてきましたから、本当に日本のやっぱり共働きというのはいかに母親に子育てが集中するかということがありますし、もっともっと父親が子育てに参加する社会、そのためにも労働時間の短縮ですね、そういうことが本当に進まないといけないし、先ほども、虐待を受けている家庭の状況では一人親とか経済的困難というのがあると、それがもう大きな要因を占めているということもデータとしても出されておりますし、ですから、そういう経済的な困難、福祉的な問題、そしてまた育児の困難ということに対してやっぱり社会的な支援、政治の支援ということがこれからますます必要ではないかというふうに私は考えているところでございます。

 以上です。

小池晃君

 ありがとうございました。

 終わります。

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