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168臨時国会 厚生労働委員会 薬害肝炎救済法に対する質疑/採決

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2008年1月10日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。本当に今日はありがとうございます。

 皆さんにお聞きしたいと思っているんですが、最初に山口参考人に、本当に命を懸けた闘いで重い扉を切り開いたということに心から敬意を表したいというふうに思っていますし、私どももできる限りのことをしていきたいと思っています。

 その点でお伺いしたいのは、製薬企業の責任問題なんです。

 国の責任については発生責任、拡大責任ということで法律に書かれたわけですが、製薬企業の側はいまだに責任を認めてないし、謝罪もしてないし、拠出金どれだけ出すかもはっきりしてない。これ本当に重大だと思うんですね。この製薬企業の責任についてどういう御意見を原告としてお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。

参考人(山口美智子君)

 私たち、裁判の中でも、法廷でもずっと製薬企業は国の後ろに隠れていて全く、何というんですか、もうインターフェロンは効いた、効いたと法廷では言っておきながら、四一八のリストのときにはそうじゃないというようなことで、そして私たち、製薬企業にも入ったわけですけれども、もう全然自分たちの責任をいまだに認めていないというところがありますので、私たちももう怒りで一杯です。

 今後、やはり国が製薬企業に対して強く、ただ、何ですかね、指示をしたとかいうこと、そういった甘いことではなくって、強制力を持ってやっていただきたいなというふうに思っています。

小池晃君

 ありがとうございました。その点での国の責任、しっかり果たさせていきたいと思います。

 それから、清澤参考人にお伺いしたいんですが、訴訟の中でも国の方は、ノンAノンBの問題について、C型肝炎ウイルスが発見された九〇年代以降でなければ、これが予後不良な疾患だという一般的な知見はなかったという主張をしているんですね。実は私は一九八七年に医者になったんですけれども、私の経験でも、ノンAノンBというのは非常に遷延するし、GOT、GPTの乱高下激しく、重症化しやすいという認識でした、私自身。

 例えば一九八三年の雑誌「肝臓」で大林明先生が論文書かれていて、ここでは、やはり輸血後肝炎というのは非常に慢性化し、肝硬変、肝がんに進展していく危険があるという指摘されていますし、一九八五年の「臨床肝臓病講座」、ここでもやはり同様の趣旨を書かれていますし、一九八八年の「メディチーナ」で、先生も出席された座談会で、非A非Bは非常にフォローアップが大事だということが強調されているという経過があります。

 私は、肝臓病に取り組んでいた医者の中の一般的な常識的なものとして、やっぱり非A非Bというのは非常に危険なんだと、やっぱりこれはしっかり見ていかないといけない病気なんだという認識は当時あったというふうに言って差し支えないと思うんですが、御意見をお聞かせください。

参考人(清澤研道君)

 小池先生の言うのは、今から考えるとそうだと思うんですね。

 私は、先ほど古川委員のときにもお答えしましたけれど、当時は、先生のおっしゃった当時は、点だったんですね。ある一点で、これは昔、輸血液があった、多分それが原因じゃなかろうかというような点の解析だったんです。私がやった仕事は、点が線になったと。継続して実は同じ患者さんたちをずっと私どもは血液を全部採っていったんですね。それを全部測定したらそういう結果が出たということで、私はあのときは、ああ、ようやく点が線になったなということで、点のレベルではそういう疑いは十分あったと思いますが、やはり線になったということではっきりしたというように私は思っております。

小池晃君

 HCVウイルスが発見されることによって学説としては一つの完結というか、その論理性ができたと思うんですが、危険性という点ではこれは八〇年代から医師は持っていたわけだと思うんですね。

参考人(清澤研道君)

 そういうことでいいかと思います。

小池晃君

 そういう点で言えば、私は、やはり八〇年代から国、企業はこの危険性を回避する義務があったんだというふうに思うんです。

 それから、佐野参考人と木村参考人にお伺いしたいんですが、この問題について、法律の枠組みでは先天性疾患に対する限定された薬剤の救済ということになっている問題点、私も御主張、本当に痛いほどよく分かるんです。

 考え方として、同時に、じゃ救済はその三百五十万、ウイルス性肝炎全体だと言われちゃうと、ちょっと違うんではないかなと。やっぱりそこに行く前に、やっぱりそういうその三百五十万、ウイルス性肝炎とは違う問題として、佐野さんの問題で言えば、同じ薬剤を使って感染しているという実態があるわけですし、木村さんの問題でも、これは予防接種によるということについて最高裁の判決で確定しているという問題があるわけですから、これはやっぱり薬害であるし、これはその三百五十万の救済という同レベルで恒久対策ですよと言われても、そこは違うんではないか。やっぱりそこはしっかり位置付けるべきじゃないかというふうに私は思っているんですが、その点についてのお考えをお聞かせ願いたいと、佐野参考人と木村参考人にお伺いしたいと思います。

参考人(佐野竜介君)

 そうですね、それは全くそのとおりだと思います。

 私どもは、少なくともここで出しておりますのは意見でございますので、要求ではありません。基本的にどのような施策を取られるのか、そういったことに関しましては今後の御判断をまちたいとは思いますが、何らかの形での対策は取っていただきたいと、そのようには考えております。

参考人(木村伸一君)

 我々の考えといたしましては、今回のこの法案に関して否定的な考えは一切持っておりません。ですが、この法案を第一歩として更なる対象者の拡大、そして最終的には全国の肝炎患者の救済、そういうことを望んでおります。

 そのもととなるのはやはり集団予防接種、これによって感染したという最高裁判決におきまして、国の責任が全面的に問われたわけでございまして、厚生労働省との交渉の中では集団予防接種以外の感染経路があるではないかと、そういう発言もされましたが、特に母子間感染を頭に出し、そういう発言をされてきましたが、私が今まで機会あるごとに言っていたことがあるんですが、確かに母子間感染は集団予防接種によって感染したわけではないということですが、では、そのもととなる母親、この母親は一体どういった感染経路であるか、もしその母親が母子間感染であれば更にその母親は、そういったことを追求していくと、最終的にはやはり集団予防接種に行き当たるんではないかと、こういったことを私は訴えてきました。

 そして、現在、追加提訴の準備をしている中で、正にその事例で、思われる患者さんというのが、昨年の十一月に札幌で一般者に対する説明会を行われたんですが、その参加者の中に親子で参加してきた患者さんがまさにその事例ではないかと。この親子が実際に原告になり得るかはこれからの精査の結果次第ではありますが、この親子を是非世間へ知らしめ、また国、厚生労働省にも突き付け、この問題の重篤さ、そして何よりも集団予防接種によって肝炎患者が、これだけ多くの肝炎患者が全国にいるということを知っていただきたいと思います。

小池晃君

 ありがとうございました。

 本当にこの薬害C型肝炎の訴訟が一つの門戸を切り開いて、そして次に進む場合に、やっぱり三百五十万という恒久対策も必要なんだけれども、今日提起された問題について、それ、薬害としてしっかり仕組みつくっていくということが政治の課題だというふうに受け止めていますんで、頑張りたいと思います。

 終わります。


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 本法案、薬害C型肝炎の被害者の皆さんが全員一律の救済をと、命の線引きは許さないというふうに訴え続けて、ついに政府動かして、法案の成立も目前までこぎ着けております。この訴訟にかかわってきたすべての人々、とりわけ原告団の皆さんに、病を押して闘った皆さんに心から敬意を表したいというふうに思います。

 そして、同時に今日午前中の参考人質疑では、先天性フィブリノゲン欠乏症あるいは血友病など、先天性疾患で血液製剤を投与された場合、あるいは予防接種などによるB型肝炎の感染者、こういった方々が限定されていることについて疑問の投げ掛けておられることも十分に理解できることであります。

 そこで、最初に提案者にお聞きをしたいと思うんですが、先天性疾患の被害者も予防接種によるB型肝炎の被害者も、ともにこれは感染の被害者であるということに変わりはないと思うんですが、提案者の認識を伺います。

衆議院議員(大村秀章君)

 今、小池委員から御質問をいただきましたこの点につきまして、この先天性疾患に対するこの血液製剤投与による肝炎の感染者、そしてまた予防接種、B型肝炎の感染者も、ある意味でこの感染の被害者であるということの認識は私も同じだというふうに思っております。ただ、今回の法案は、先ほど来御答弁申し上げましたが、今回の薬害C型肝炎訴訟を解決をするというための法案の仕組みになっておりますので、その点は御理解をいただきたいと思います。ただ、被害者であることは認識は一緒だと思っております。

小池晃君

 その立法の趣旨について言えば、今のお話からすれば、その先天性疾患の感染被害者の方、あるいは予防接種によるB型肝炎の被害者の方を排除するような趣旨で作られたものでないということは当然のことであると思いますし、それはそれとしてやはり別個の施策ということが求められてくるという認識でよろしいでしょうか、立法趣旨を伺います。

衆議院議員(大村秀章君)

 この法案は、先ほど来申し上げておりますが、薬害C型肝炎訴訟を解決をする、全面一律救済をするというための法案ということで仕組まさせていただいております。したがって、対象はそのことにこういった法案の、そういった方を、薬害C型肝炎訴訟の原告団を対象とすると、原告団及びその感染者を対象とするということで仕組ませていただいておりますが、排除すると、それ以外の方々を排除するということではなくて、やはりこれは、衆議院の委員会の決議にもありますように、これは次なるこれからの課題であるということでございますので、引き続き関係者の皆様なり、与野党でも十分議論をしていきたいというふうに思っております。

小池晃君

 では、大臣にちょっと伺いたいんですが、今の立法趣旨を踏まえて、薬害被害、感染被害の問題として先天性疾患の問題あるいは予防接種のB型肝炎、こういった問題はやはり重要で緊急な課題としてあるんだと、これに全力で取り組むんだという御決意、確認したいと思います。

国務大臣(舛添要一君)

 委員がおっしゃったように、今のようなその先天性の方々、それからB型、現としてこういう問題がございます。今回の法律はその訴訟の和解の過程で出てきているので、今提案者がおっしゃったような形になりましたけれども、厚生労働大臣としては今お挙げになったような問題についても今後きちんと対応してまいりたいと思います。

小池晃君

 時効や除斥にかかわる問題をお聞きしたいんですが、今回は司法による救済の対象とならなかった方も含めて製剤の投与と感染の事実ということが裁判所の関与の下に認められれば給付金を支払うという、そういう構造になっているわけです。その際に、HIV訴訟の和解協議の中では、例えば二十年以上前に製剤を投与された、あるいは発症したという場合は、時効や除斥期間の完成ということが問題になるというケースがあったわけですが。

 そこで、この法律の仕組みについてお伺いしたいんですけれども、これは要するに、先ほど言ったように、判決や和解調書などによって投与と感染の事実が証明されれば給付金が支払われるという構造になっているわけで、そういう点でいえば、血液製剤の最終投与時あるいは慢性肝炎などの発症時が二十年以上前の場合で、損害賠償請求の除斥期間の完成が行われてしまうような可能性がある場合であっても、これは給付金を支払うという仕組みになっているというふうに理解をしてよろしいか、お聞きします。

衆議院議員(福島豊君)

 ただいま先生が御指摘いただきましたように、除斥期間の経過によって損害賠償請求権自体が否定される可能性があるとしても、製剤の投与、因果関係、症状について、確定判決、和解調書などによって確認されておりますと、本法に基づいて給付金の請求ができるものであります。

小池晃君

 分かりました。

 それから、更に提案者にお聞きをしたいと思うんですが、この法案の趣旨は全員一律の救済ということであります。その趣旨に照らせば、もういたずらに因果関係を争うということはこれはやってはいけないことだと私は思うんですね。

 例えば、この間、薬害エイズ・肝炎訴訟の中で、血液製剤を投与されたと同時に大量輸血をしたような場合については、これは因果関係を争う姿勢を国が取っているという、そういう実例もあるんです。産後出血のような場合は、大量輸血をしながら血液製剤を投与しているケース多いですから、恐らくこれから対象者にそういう方も出てくるだろうと。私は、そういう方の場合、いたずらに争うということをやるということは、これは法の趣旨に反するというふうに考えております。現在の原告団の中から万が一でも対象外になるような人が出るようなことは絶対にあってはならないというふうにも思っております。

 その点で提案者に、投与の事実と感染の事実が証明されれば支払の対象にするということが立法趣旨で、いたずらに争うというようなことは立法の趣旨とは反することであるということについて確認をしていただきたいと思います。

衆議院議員(山井和則君)

 小池議員にお答え申し上げます。

 小池議員が今御質問された趣旨のとおりであると思います。このような全員救済法案を成立さして、そして原告の中から実は救済されない人が出てきたということでは立法趣旨に当然かなわないわけでありますから、一律救済という理念を十分に尊重したものにして、全員救済ということにせねばならないと思いますし、先ほど質問されたとおりであると思います。

小池晃君

 大臣、今、法の立法趣旨について幾つかの点確認をしてきましたが、除斥期間の問題も含めて、あるいは、とにかくやっぱりいたずらに被害者を苦しめるようなことをこれ以上絶対にしないように法律の趣旨に沿った運用をしていただきたいというふうに思いますが、重ねてお伺いをします。

国務大臣(舛添要一君)

 立法府の皆さん方の意思をきちんと踏まえまして、法律が成立した暁にはその意思に沿った形での実施、実行を行いたいと思います。

小池晃君

 さらに、基本合意の中で、事件の検証を第三者機関において行うということがあるわけですね。これは私、大変重要だと思っておりまして、大臣、これできるだけやはりきちっと、そして早く検証作業を行っていく、再発防止を具体化するということが大事になっているというふうに思うんですが、この点で、これを一定の、いつまでもというんじゃなくて、きちっと期限を区切ってやっぱり直ちにやっていくと。どのくらいの時期の間に検証作業を進めようと、第三者機関というのはどういう想定をされておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。

国務大臣(舛添要一君)

 特にこれは原告弁護団の方々から第三者機関というお話がございまして、十五日に取り交わすであろう基本合意書の中にもきちんとそのことは明記される予定であります。そして、それを受けまして、これは広く意見を募りまして、どういう方々をメンバーにすればいいのか、どうすれば公平なのか、そしてこれはただ単に専門家の方だけではなくて、国民の意見を代弁できる方も入れた上でまず第三者機関をつくりまして、それで、例えばどれぐらいの期間あれば一つの報告書が出せるのか、それも含めて検討しますけれども、迅速にこれは対応していきたいと思います。

小池晃君

 それから、追加で、今日、一部報道で、十七日に新聞各紙に出される病院のリスト、納入先のリストの問題について報道があって、これは投与記録の有無はこの十七日のリストには掲載されないという報道がされているんですが、これは一体何でこういうことになっているのか、御説明願いたい。

国務大臣(舛添要一君)

 今、委員からありましたように、十七日に医療機関の、新聞折り込み広告でこれ公表いたします。今、投与記録の保管の有無について、実は昨年十一月七日付けで、私が七千の医療機関に調査報告書を出せということで言っていまして、ほぼ集まりつつありますので、正確な、実を言うと七千の中で統廃合されたりなくなったりとかいうことまで一番アップ・ツー・デートな新しいデータを出したいと思って今努力をしていますが、取りあえず十七日にはもう印刷中で間に合いませんから、今のカルテの有無、もう分かるところから厚生労働省、社会保険庁のホームページにおいて逐次発表していきたいというふうに思います。

小池晃君

 これ、きちっとやっぱり急いでやるべきだと思いますし、先ほどちょっと事前に聞いたときには全部そろってから公表すると言ったけれども、今大臣は報告が医療機関からあればそこからもう順次公表していくと、ホームページ上、という理解でよろしいんですね。

国務大臣(舛添要一君)

 もう十七日に折り込みを出す、そうするともう来週中にもうできるところから逐次やって、ホームページですから毎日更新できますので、それは私の指示できちんとやらせたいと思います。

小池晃君

 これきちっと公表していただきたいというふうに思います。

 それから、今日、資料もお配りしておりまして、ちょっと少し資料がいろいろあるので説明に時間が掛かるかと思いますが、あっ、済みません、その前にちょっともう一点、どうしても主張しておきたいことがありまして、今度の法案でその給付金の支払は医薬品医療機器総合機構ということになっております。これは、単に事務的な作業を行うわけではなくて、病気が進展したような場合のその後の給付金を変更する、追加で支払うような場合のその認定も行うということになるというふうに聞いております。ところが、この医薬品医療機器総合機構の現在の理事長は宮島彰氏であります。正に、このC型肝炎の被害者リストが製薬企業から報告された際にそれを公表せず、地下室にしまい込み、今日に至るまで出てこなかったと、この原因をつくった人物なわけですね。その人が理事長の機構がこの給付金を支払うと、これほどの私、本当に問題はないと思うんです。

 今日も、この場に来ていただきたいということで、私、要求したんです、理事長に答弁をと。ところが、理事会で合意が得られないということになりました。これ、極めて遺憾であります。私は、この法案がきちっと運営されていく上でも、あの方はその経過について何も公的な場所でしゃべっていないわけですから、そのことについて明らかにしないような人が機構のトップにいて、きちっとこの事業が行われるのかどうかというのは、私、重大問題だと思うんですよ。だから、これはきちんとこの場に来ていただいて、参考人なり、しっかり答弁求めてきちっと議論していきたいというふうに思っております。そのことは、参考人招致については改めて要求をしたいというふうに思います。

 それから、責任問題で、製薬企業の問題についてちょっと資料をお配りしているので、ちょっとお話をしたいと思うんですが。

 今日資料でお配りしたのは、一九六三年の日本産科婦人科学会雑誌に載っている乾燥ヒト血漿について私のおわびという論文であります。この論文を書いた人はどなたかといいますと、一番最後にありますが、株式会社日本ブラッドバンク専務取締役内藤良一。その後のミドリ十字の社長になっていく人物であります。これは、乾燥ヒト血漿についてその功罪と私の罪業ということで、自分がいかに誤っていたかというおわびの文章なんですね。

 二枚目開いていただいて、真ん中の下の辺りに、乾燥ヒト血漿の肝炎発生率、非常に高いんだと、輸血後肝炎よりも高いんだということが書かれている。その上で、その右側に書かれているんですが、紫外線照射でやったんだと。ところが、紫外線照射というのは血漿の肝炎ウイルスを不活化するために完全であると信じられていたけれども、一九五八年にストルミア、これはアメリカの医学者ですが、この方がほとんど無効であるという判決、判決と書いてありますが、これは論文で明確に判断をしたということが書いてあるんですね。その下には、日本で乾燥ヒト血漿による肝炎災害がどのくらいあるかということについて試算までして、五%が肝炎にかかったと仮定すると毎年およそ五千人で、死亡率一%と見ても過ぐる十年の間に五百人の死を招いたというふうに言っているわけですよ。彼は昭和十五年、これをアメリカで学んで帰って導入した張本人として、その罪業の深さを痛感するものでありますと。これ、ちなみに一九六三年なんですね。そのときにこう書いている。

 ところが、四枚目見てください。一九六四年にフィブリノーゲンが認可されます。フィブリノーゲン―BBank、これが最初です。このときの添付文書に何と書いてあるかというと、右のところに矢印付けておきましたが、フィブリノーゲン―BBankは紫外線照射を施してあるが、これは完全不活化を信頼することができないと。要するに、内藤良一氏というのは、紫外線照射はほとんど無効だという論文を書いて、大変申し訳なかったというふうに言った翌年に、正に紫外線照射による製剤を堂々と売り出し、ほとんど無効だと言っていたのを完全不活化を信頼することができないなどと書き換え、それでこの薬を世に出していったということなわけですね。

 私、これは、薬事法の第五十九条というのは、病原微生物によって汚染された医薬品は販売してはならない、正に薬事法違反じゃないかというふうに思うんですよ。

 だから、先ほどから新薬というのは危険性があるからいろんな責任生じるというけれども、そういう一般論ではないんだと、これは。正に明々白々、危険だということを承知の上でその翌年にその処理方法による製剤を生み出したというのが正にこのフィブリノーゲンであったわけなんですね。

 あるいは、クリスマシンについても、これ第\因子についてはコーナインという薬が当初あって、これは先天性疾患だけ適応申請をしていたんですよ。ところが、クリスマシンに切り替えるときには臨床成績資料も出さずに後天性疾患まで広げてやったわけですね。ここでも製薬企業の責任は私は余りにも明白であるというふうに思うんです。

 最後、資料のところにミドリ十字三十年史を載せました。ここで何を書いてあるかというと、要するに、一九六〇年ごろから日本の売血に対する国際的な批判が高まっていった。いわゆる黄色い血の問題であります。昭和三十五年八月に国際輸血学会が開かれて強く批判されたと、社会問題化したというふうに書いてあります。

 最後のページ。首脳陣の英断というところがありまして、ここで逆境に直面した首脳陣はひるまなかった。創業当初の苦難を克服したあの不屈の企業精神が生きていた。それは銀行血部門、要するに売血の問題を可及的速やかに撤廃し、医薬品部門の拡大に総力を傾け、併せて社名変更、日本ブラッドバンクからミドリ十字に変えて、そして血液製剤を中心とした医薬品メーカーとして大きく脱皮し、この当面の苦難を乗り切ることになった経営の大転換をした。正にそれを乗り切るための最大の商品として売り出したのがフィブリノーゲンであった、こういう経過なんですよ。

 大臣、この問題でいまだにミドリ十字を引き継ぐ田辺三菱製薬が謝罪もしていない、責任も認めていない。これ私、余りにもひど過ぎる話ではないかというふうに思っておりますし、やはりこうした経過を振り返れば企業の責任は明白ではないかと、大臣、これ企業の責任明確じゃないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 今委員がおっしゃったように、この今いろんなデータをお示しになりましたけれども、この血液製剤の製品の長い経過を見てみますと、やはり安全対策というのを製薬企業は十分に施さないといけない、そのための努力は私は欠けていたと言わざるを得ないと思いますので、きちんとそれは責任を認めるべきだと、そういうふうに考えております。

小池晃君

 安全対策が欠けていたというレベルの問題なのかなと。やっぱりこれは明らかに知っていた。内藤良一さんという人は、もう御存じだと思いますが、あの戦争の中で旧七三一部隊部隊長の石井四郎氏の右腕というふうに言われた人ですね。それが戦後この製薬企業を起こしていったわけですよ。

 私、これ実際に死亡率まで出しているんですよ、これだけ。自分の罪業の深さを反省すると言っているんですよ。ところが、そのことを全く顧みずにその製品を売り出しているんじゃないですか。犯罪ですよ、これは。

 だから、私、今のような甘い態度じゃなくて、やっぱりきちっともっと厳しく、まあちょっと言葉は非常に悪いけれども、首根っこをつかまえて被害者のところに連れていって一緒に謝るというぐらいのことをしなければ、一般的な指導などで済むような話ではないと。拠出金だってしっかり出させなければ、これは税金にもかかわってくるんだからきちんと責任を果たさせるべきだと思いますが、もう一度伺います。

国務大臣(舛添要一君)

 今審議されています法律が成立しました暁には、その意思、立法府の意思に基づきましてきちんと責任を果たし、また損害賠償を応分に負担していただくということを、厚生労働大臣として全面的にそして全力を挙げて行いたいと思います。

小池晃君

 分かりました。

 それともう一点、ちょっと一点だけ。

 前回大臣が調査を約束した、消えた年金の問題で、サンデー農機という会社の被害者の問題で、九五%合っているけれども違うと、思い出したら来るようにという話を紹介しましたが、あれ調査してどうなったのか、ちょっと簡単に結果だけ報告してください。

委員長(岩本司君)

 簡潔にお願いします。

政府参考人(石井博史君)

 十二月の二十五日に本委員会におきまして小池委員から御指摘をいただいたケースでございまして、遺族年金請求の事例でございますけれども、御相談が付いておりまして、亡くなられた御主人の四十年以上前に勤めていた事業所名の特定に関する御相談付きの、そういう案件でございます。

 それで、経緯ございますけれども、はしょって結論的なところで申し上げますと、十二月の上旬でございますけれども、相談があったのは九月の下旬でございます。そのときに、もう少し事業所名の特定につながるような、そういう要するに事柄が思い浮かぶ、あるいは分かるというようなことがございましたらまた御連絡をということで、社会保険事務所とその御相談の、御請求の方とは一応その連絡がそこでいったん切れているという経緯がございまして、その後、十二月の上旬になりまして、請求された御本人の方から本件の新たな担当となりました別の社会保険事務所の方にお電話がございました。

 そして、そのお電話の内容によりますと、実は当時、御主人と一緒に働いていた同僚の方が分かったと、こういうお話であったわけでございまして、また、お勤めになられておられた会社のどういうような事業をなさっていたかという点もある程度分かってきたと、こういうお話もあったものでございますから、そういった点をお申出いただきたいということで、書面で出していただいたというのが十二月二十五日のことでございます。

 この書面で出していただいた情報に基づきまして調査をした結果、名称が類似する事業所の中にその同僚の方のお名前がまず発見されまして、そして、それを頼りにずっと検索をしていった結果、その御主人のお名前も見いだすことができた。それから、会社の事業も、ほぼこれは同じであるというふうな判断ができるような、そういうような内容のものが確認されたということでございまして、これは御主人の記録であるというふうに判断されたものでございますから、その結果を十二月二十七日に御本人に連絡申し上げております。

 なお、お申出にはもう一件事業所にお勤めというお話がございましたものですから、現在はそれについてもなお調査を続行中と、こういうことでございます。

小池晃君

 質問をするまでは、思い出したら、こういった対応をして、十二月二十五日に質問したら、二十七日にありましたと言ったんですよ。こんなことやったら国民みんな、消えた年金の人、国会で一人一人取り上げなきゃ解決できないですよ。

 これ、重大だということを申し上げて、終わります。

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