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169通常国会 予算委員会 経済・社会保障等に関する集中審議

  • わずかな年金から保険料天引き/後期高齢者医療制度/憲法の生存権奪う/参院予算委 小池議員が廃止要求(関連記事)
2008年4月7日(月)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 昨年から今年にかけて、日常生活品といいますか、生活必需品、どんどん値上がりをしているんですね。ところが今年、公的年金の物価スライドが行われない。年金額据置きです。

 大臣、パンもみそもしょうゆも、もちろん灯油も上がっているのに、なぜ年金額据置きなんですか。

国務大臣(舛添要一君)

 これは物価スライドをどういう形でやるかという問題ですけれども、委員おっしゃったように、昨年末から原油価格の高騰ということもありまして、物価は上がっております。

 しかし、この物価スライドは一年ごとに数字を取りましてやりますんで、昨年の平均を取りますと、対前年比でまさにゼロ%と、そういうことでございますんで、物価スライドをしないと。かえって、一月ごと上げるというわけにいきませんから、一年単位でやると、そして安定的に行うと、そういう趣旨でございます。

小池晃君

 生身の人間の暮らしなんですから、私、本当血が通っていないと思うんですね。食料品、灯油、こういう高齢者の生活の命綱となるものの値上がりというのは、まさに年金暮らしの方々に深刻な打撃となるわけです。

 年金の物価スライドというのは、そもそも年金の実質価値を、何が買えるかということを維持するためのものであって、言い換えれば、同じ水準での生活が続けられるようにするために物価スライドするはずです。

 ところが、生活必需品がこれだけ上がっている。それが反映されない。これで公的年金の役割が果たせるとお考えでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 繰り返しになりますけれども、一年ごとに物価を前年比で取って決めるということですから、この平成二十年度、一月から十二月を取って、その結果として次の年度にこれを反映させるということは、もし前年比で上がればそれに応じて物価スライドでやる、こういう仕組みでございますんで、そこはよく御理解いただければと思います。

小池晃君

 でも、年末に上がっているわけですね。実は下がっている品目があって、薄型テレビとかパソコンとかなんですよ。これはヘドニック法という計算まであって、性能が上がると価格が下がるというそういう設定になっていまして、例えば、パソコンの画面大きくなると値段が下がる、メモリーが大きくなると値段が下がる。どんどん下がっているんです。そういったことで、差引き、消費者物価がゼロになると。これでは、私、高齢者の生活を維持することできないと思う。

 しかも、とりわけ年金暮らしの方々に重い負担になっているのが、医療や介護などの社会保険料、それからこの間の増税であります。ところが、消費者物価指数には社会保険料や税金含まれていませんから、幾らこれが増えても年金には全く反映されないという仕組みになっている。

 これは実際、横浜市の例で計算をしてみまして、ちょうど今年七十五歳になられる高齢者の御夫婦で、税金と社会保険料がどう増えてきたのか、そして年金が、この間物価の下落でマイナススライドしていますから、どれだけ減ったのかというのを調べてまいりました。そうすると、税や保険料の負担というのは、これは十六万円以上増えている。一方で、年金はどんどん下がって五万円ぐらい減っちゃっているんです、実額で。まさに、社会保険料の値上がりというのが反映されない。だから、負担増一番大きなものが反映されないということになっているわけですね。

 大臣、こういうことで公的年金としての役割が果たせているというふうにお考えでしょうか。お答えいただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 今の御質問は二つのポイントがあると思います。

 一つは、CPIを、要するに消費者物価指数、CPIを取るときにどういう項目を取るかという。これはいろんな議論がありまして、例えば原油価格を入れるのか入れないのか。コアとかコアコアとかそういうような言い方をいたしますけれども、そのCPIの取り方が問題であって、それは今おっしゃったように薄型テレビとかいろんなので安くなったのもありましょう。しかし、これは物価指数をどう取るかという問題で、これはこれでまた一つ議論をする必要があると思います。

 それからもう一つは、今そこにお示しになりました、じゃ社会保険料というのは物価指数の中に入れるかどうか。

 この議論とは別に、もし仮に、社会保険料の負担増は増えたからというそのことだけを取って、その赤い線の年金の増額をやった場合に何が起こるかと。そうすると、これは、年金受給者は増えますけれども、年金を受け取るわけですから、要するに、現役世代というのは社会保険料の負担だけですから、世代間の公平ということから見てもやはり問題があると思いますから、今の小池委員の議論については今の二点からきちんと更に議論を深める必要はあると思います。ですから、一概にこれで生活できないんじゃないかというようなことではないというふうに思います。

小池晃君

 これ、こういうふうに社会保険料をどんどん、一番今負担重くなっているのは社会保険料ですからね。それが年金に反映されなかったら、私は年金暮らしの方の生活は維持できないと思いますよ。現役世代とのバランスと言うけど、現役世代だっていいことないわけじゃないですか。現役世代にも負担増を押し付け、年金暮らしの人にも負担増を押し付けているというのが今のやり方ですから、私はそういう議論は成り立たないというふうに思うんです。

 しかも、今日議論できませんが、マクロ経済スライドというのを導入しましたから、たとえこれで物価指数が上昇したとしてもそれが反映されないという仕組みに今なっているわけで、私は公的年金が年金暮らしの方の生活を維持する役割を今果たせていないというふうに思うんです。

 しかも、この上、この四月から後期高齢者医療制度で保険料が天引きをされるということになる。介護保険料に加えて医療保険料の天引きであります。これは、六十五歳以上の国民健康保険の加入者の方も同時に併せて、便乗ですが、天引きをしようとしている。しかも、わずか一万五千円の年金からの天引きなんですね。高齢者にも資産があるなどと言いますが、高齢者世帯の六割が年金収入のみです。総理、聞いていてくださいね。しかも、年間所得百万円未満では八割が年金のみで暮らしているんです。総理、税金には非課税措置というのがあるんですが、今度の後期高齢者も含めて全員払わなきゃいけないんですね。しかも、これがわずか月一万五千円の年金まで介護に加えて医療も天引き。

 私は、憲法で、健康で文化的な最低限度の生活というのは保障しているわけです、憲法二十五条、これに違反するのではないかと思いますが、総理、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 まずその前に、CPIの中に租税負担とか年金を入れるかどうか、これは、大田大臣もおられますので、私は、普通はそういうことはしない。

 それから、やっぱり給付と負担のバランスと書いて天からお金が降ってくるなら問題はありません。しかし、そういうことをきちんと踏まえた上で、そして今高齢の方々、国民健康保険、私の記憶が間違いなければ、九五%ぐらいの人がきちんと払われております。

 天引きであれ何であれ、保険料は払わないといけません。それが年金から天引きされるということだけで、これは利便性やその他を考えて言った話で、それとこれとは別な話であり、しかも今回かなりの移行措置をとってありますし、これはいろんな計算の仕方があり、市町村によっても違いますが、平均を取れば、例えば基礎年金、月約六・六万円だけで生活している方について言うと、保険料の負担が二千八百円から千円に減ります。厚生年金、平均で十六・七万、これだけで生活している人について言うと、七千七百円から五千八百円に減りますし、いろんな負担が増える方には、例えば息子の被扶養者だった方、最初の六か月はゼロです。その次の六か月は一割です。さらに、その次の一年は半額です。そういうきめの細かい対策を取っていますし、もし本当に憲法二十五条のこの定めることができないなというようなことであれば、生活保護という手もありますし減免措置もありますので、是非これは市町村に来ていただければ、きめの細かい、お一人お一人に心の通った対策をいたします。

小池晃君

 制度によって最後生活保護まで落とし込む、そういう制度設計というのは私はもうそもそも憲法違反だと、そのことを認めたことになると思いますよ。

 しかも、いろいろおっしゃったけれども、例えば、国民健康保険で基礎年金だけの場合二千八百円と言い出しているんですが、これ、でたらめな数字です。資産割まで払っているような人の場合はそういう数字になると思いますが、そんな人はわずかなんです。全国の自治体で調べました。均等割と平等割で今二千八百円なんて払っているところはありません。そういうでたらめなことで今になって宣伝しちゃいけないと。

 しかも、利便性、利便性と最近言うんですね、天引きで利便性だと。利便性だと言うのであれば、じゃだれか国民から天引きしてくださいという声があったんですか。利便性だと言うんだったらば希望者だけやればいいじゃないですか。のべつ幕なし天引きするのは、こういうのはおためごかしと言うんですよ、そういう言い方は。

 大体、私、この天引きの問題というのはみんな怒っている。なぜかといえば、年金支払うときはこれ申請主義でしょう、年金を出すときは申請しなければ記録の修正すらしないんですよ、出すときは。ところが、そこから取り立てるときは全く逆なんですよ、何の承諾も得ずにもう問答無用で取ってしまうと、こういうやり方に怒っていらっしゃるんじゃないですか。大臣、おかしいと思いませんか、年金払うときは申請主義、取り立てるときは有無を言わさず徴収する、おかしいと思いませんか。国民の納得が得られると思いますか。

国務大臣(舛添要一君)

 それは、年金記録問題を含めてこれはきちんと対応を、先ほど来ずっと申し上げたようにやっております。

 しかし、九五%の方がこれはちゃんとお払いになっているわけですよ。だから、一回一回お払いに行く、そういうことをしなくて年金からこれは天引きする、それは利便性、効率性、取る方にとっても、それから払う方にとってもそうであって、要するに払わないでいいんですかということなんですよ。払わないでいいと、つまり天引きしないなら払わないでいいというなら別ですよ。払わないといけないんです、これは国会できちんと決めた法律に基づいて払わないといけない。しかし、そのことについては様々な暫定的な軽減措置もやり、この凍結を含めてやっているわけですから、こういう二つの話をある意味で情緒に訴えておっしゃるというのはいかがなものかなと私は思います。

小池晃君

 私は情緒に訴えて言っていません。今、年金を払うときには申請主義、取り立てるときは問答無用、こういうやり方はおかしいではないかと言っているのに、全く答えていないんですよ。利便性、利便性と言うけど、結局取り立てる側の利便性ですよ。とにかく、のべつ幕なし取り立てるための仕組みとして考えただけじゃないですか。だから、おためごかしだと私言っているんです。

 消えた年金、全く解決していないわけでしょう。総理、もう総理、最後答えていただきたいけれども、正確な年金額が数千万単位で確定していないわけですよ、今。私のところにもねんきん特別便来ましたよ。もう本当にみんな怒っているわけです。こういう形で徴収だけは強制的に天引きで行う、同じ人にねんきん特別便が届き、同じ人には天引きの通知が来る、こんなことで納得できるかということが私はあると思います。

 総理、答えていただきたいけれども、四月十五日には全国で一斉に年金天引きが行われるわけですね。これ、全国で怒りの声が上がることは間違いない。私はこの天引きは中止をすべきだ、後期高齢者医療制度はこれは廃止すべきだというふうに思いますが、総理、いかがですか。総理、答えてください、最後、もう時間ないんだから。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 そもそも長寿医療制度というのは、七十五歳以上の方々に生活を支える医療を提供すると同時に、これまで長年社会に貢献してこられた方々の医療を国民みんなで支える分かりやすい仕組みをつくるためのものでございます。年金の記録問題、これはできるだけ早く解決を図られるよう、市区町村、企業を始め各界の御協力を得ながら国を挙げて全力で取り組んでまいるものでございます。

 ですから、先ほど申しましたこの長寿医療制度の目的を、この目的をよく国民に理解していただくということが大事であります。その趣旨を丁寧に御説明申し上げ、そして高齢者の方々の御理解を得ていかなければならないと、こういうように思っております。

小池晃君

 この制度のねらいを国民は見抜いているからみんな怒っているんですよ。やっぱり高齢者の皆さんの医療を安上がりにする仕組みつくったんだと、七十五歳以上の人だけ別枠にしてできるだけ医療費を安く仕上げるための制度としてつくったんだというふうに見抜いているから、だから後期高齢者医療制度を長寿医療制度と名前変えたってこの問題の本質を覆い隠すことはできないというふうに申し上げておきたいというふうに思います。

 私は、高齢者を別枠にして高齢者だけ医療費を粗末にする、高齢者の命を本当に粗末にするようなそんな国でいいはずがないというふうに思います。

 財源ということをおっしゃるけれども、財源というのであれば、軍事費四兆八千億円、米軍への思いやり予算はSACO経費も含めて二千億円以上なんですよ。こういったことにメス入れれば、社会保障の切捨てだってやる必要ないです。あるいは、この間、大企業や大資産家に十年間で七兆円も減税やっているわけですね。そういうことを一方でやりながら、高齢者あるいは庶民に対して増税やこういう社会保障の改悪をする。理解が得られないのは当然じゃないですか。

 私たちは、消えた年金問題も一刻も早く解決をさせなければいけない。そして、最低保障年金制度をやっぱりつくって、憲法二十五条の生存権を保障する。もちろん消費税の増税で庶民に負担を押し付けるなんてことは絶対にやってはいけない。後期高齢者医療制度については、これは中止をし廃止をする、そのことを強く求めて、私の質問を終わります。

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