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169通常国会 厚生労働委員会 一般質疑

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2008年4月8日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 来週から後期高齢者医療制度の保険料の天引きが始まりますが、直前になって長寿医療制度と名前を変えた。大臣、これ何で呼び名変えたんですか。

国務大臣(舛添要一君)

 これは、この制度についての説明が十分でない、そしてできるだけ身近で親しみやすいような通称としてこういう名称にするということを総理の方から御提案がございました。

 それで、やはり生活を支える医療だと、そして本当に長生きしてよかったなと、そういう意味での長寿を国民が喜ぶことができるような仕組みの一環としてこの新しい医療制度を位置付けたいと。そして、法律自体は御承知のように二年前の六月に成立をしておりますけれども、その後いろんな紆余曲折があり、様々な暫定的な移行措置その他をとっておりますけれども、やはりここに来て周知徹底十分行われていないと、そういうようなことで、総理の指示の下にこの長寿医療制度という通称を提案した次第でございます。

小池晃君

 法律の条文、どこ見ても長寿医療制度という言葉はないんですね。こういう名前変えるんだったら法改正必要なんじゃないですか。

国務大臣(舛添要一君)

 あくまでこれは通称で、初心者マークというのを若葉マークというのと同じような意味だというように理解をしております。

小池晃君

 要するに中身変わらないということで、こういう取り繕いで私はこの制度の本質を隠すことできないというふうに思うんですよ。

 資料を見ていただきたいんですが、その実施対策本部がQアンドAというのを出しまして、今まで言ってこなかったような言い訳が始まっているんですね。これ見ますと、保険料が何かすごく安くなるというような数字が出ているんです。国保から後期高齢者になると、例えば基礎年金だけの場合、月額二千八百円が千円になる。これは、二千八百円というのは、これは資産割が入ってない数字ですね。確認です。

政府参考人(水田邦雄君)

 この二千八百円という額でございますけれども、これはそもそも国民健康保険の資産割については入ってございます。ただ、なぜ入れているかといいますと、全般的な傾向を見るためには八割の市町村で採用しているものを入れる必要があると考えたからであります。

小池晃君

 私、言い間違えました。資産割が入っている数字ですねと確認したわけです。入っているんですね。

 しかし、基礎年金だけの単身世帯でどれだけの人が資産割を払っているかというと、本当に限られたケースだというふうに思う。こういうケースというのは所得割も掛かりませんから、基本的には均等割と平等割だけという方が多いと思うんですね。

 お聞きしますが、基礎年金のみの受給者で均等割と平等割だけで月二千八百円の保険料という、そういう自治体はあるんでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 これは、応益保険の方でございまして、全国平均的な保険料率等を用いて算定した後期高齢者医療保険料と、それから約八割の市区町村が採用している方法によりつつ全国平均的な保険料率等を用いて算定した国民健康保険で比較でございますので、具体的な市区町村というよりは全体の傾向をつかむために用いたものでございます。

小池晃君

 いや、私の聞いたことに答えてほしいんですけれども、均等割と平等割だけで月二千八百円という自治体はありますかと聞いているんですよ。

政府参考人(水田邦雄君)

 この算定基礎を申し上げますと、被保険者均等割二・三万円、世帯別平等割二・四万円、資産割、世帯割一・九万円、所得割率七・三六%という平均を取ったものでございます。

小池晃君

 だから、私言ったことに答えてないじゃないですか。資産割入れればそうなるかもしれないけれども、均等割と平等割で月二千八百円、私ども実際に国保料の算定方式が公開をされている千四百市区町村全部調べました。均等割と平等割だけで二千八百円の自治体は一つもありません。これは本当に極端な形で数字を出してきて、あたかも大幅に保険料が下がるかのように言うのは私フェアではないというふうに思います。

 それからさらに、低所得者では負担が軽減され、高所得者では負担が増えるというふうにありますが、これ根拠は何ですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 一般的にはと申し上げておりますのが、先ほど言いました全般的な傾向で見ますと、夫婦の場合、平均の年金収入が五百二十万以下の方であると全般的には下がる傾向にあるということでございます。つまり、逆に言えば五百二十万、年金収入を御夫婦で五百二十万超えるところは負担が増える傾向があるということを言っているわけであります。

小池晃君

 これもそんなことないんですね。実際に私どもは、各自治体が示している保険料の計算式、現状の国保料の計算式と、それから後期高齢者の計算式を当てはめて、実際全部算定してみました。資料で全国八百五区市、町村までちょっとできなかったので市と区でやりましたけれども、こういう形で計算すると、例えば高齢者夫婦世帯の場合、やはり低所得者の方がむしろ負担が、もちろん負担減になるところもあるんですよ、それは否定しません。いろんな自治体があるんです。ただ、こうやって大まかに見てみると、決して政府が言っているように低所得者の方が負担が軽減されて高所得者で負担が増えるなんていう傾向はこれ出てこないんですよ。

 大臣、この新たに出したQアンドAでかなりいろんなことを言い出しているんですが、この資料の中でもはっきり言っているんですね。国保料というのは、これは自治体ごとにこれは違うわけだから、保険料の計算方式も違うし、医療費も水準も違うんだから、やはり単純な比較は難しいと一方で言っているわけですよ。そういうふうに言いながら、何かこう数字を見ると大幅に保険料が下がるようなそういう数字だけ示すというのは私はこれははっきり言ってミスリードじゃないかと思いますけど、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 これは細かく申し上げますと、年金収入、夫婦世帯では五百二十万円程度まで、そして単身世帯では年金の収入金額にかかわらず負担増にならないと、こういうようなことをずっとお伝えしてきたんですけれども、それぞれの人にとって幾らになるんだと。それは、全体五百二十万と言ってどうだというのは分かりませんから、平均値を取ったらどうなるか。だから、その平均値にぴったり合う市町村があるかないかというのはそれは分かりません。しかし、全体の傾向はそうだと。

 ただ、委員御承知のように、東京都のように、それぞれ市町村によって特別計算方式をやったりする。そこにおいて、今言ったように、かえって裕福な方の方が軽減されるようなケースも出てきています。しかし、東京都は広域連合の中でそういうことに対する是正措置もやっている。ですから、分かりやすく一般的な平均値で、こうですよということじゃなくて、条件をきちんと付けて申し上げておりますので、どうか御理解をいただければと思います。

小池晃君

 だから、一般的な平均値じゃないんじゃないですかと言っているんです。これ資産割まで含めて基礎年金だけの受給者を比較するというのは、これは実態を反映していない数字でないですかと。それから、低所得者の方は負担軽減され、高所得者で負担増えると言うけれども、そんなふうに乱暴に言えるんですかと。これは単身者ではそういう傾向が一定あるかもしれない。しかし、夫婦世帯にしてみると、これは、それはないですよ、そういう傾向は、はっきり言って。

 だから、私はこういう形で、何か、一方で言っているわけでしょう、単純な比較難しいと。言いながら単純な比較出しているじゃないですか。こういうやり方は私は誤解を招くんじゃないかと。正確にやはり国民に対して説明していく必要あるんじゃないですか。これ見た人は、ああ、もう保険料下がるんだなというふうに思うでしょう。そういう自治体ばかりではないと、むしろ夫婦なんかの場合は逆に増えるケースは多いと、そのことをはっきり率直におっしゃった方がいいじゃないですか。いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 いや、同じお答えになりますけれども、一般的な傾向を示して、しかしそれは条件を付けてかくかくしかじかということを申し上げておりますし、東京都の例も出した。そして、単身で六・六万円だけ、それから夫婦で厚生年金だけ十六・七万円ですか、これだとこうだというようなことを話をしているわけで、あくまで一般的な傾向だということですから、それはミスリードではなくて、各市町村によって、個々特別な事情によって違いがありますので、そこは何度も申し上げているとおりでございます。

小池晃君

 私はこういう宣伝の仕方というのは、やはり新しい制度を始めるときにフェアなやり方ではないし、むしろ、こういうことをやるから国民は非常に不信感を持ってくるんだと思いますよ。やっぱり事実をありのままに伝えるという姿勢を取るべきだというふうに思います。

 天引きは、昨日も申し上げましたけれども、中止すべきだし、後期高齢者医療制度は廃止をするということを改めて求めたいと思います。

 あわせて、ちょっと医療に関連して、中央公論の三月号に村上正泰という方が「このままでは医療・介護難民が発生する」という論文を、文書を発表しておられる。今日、資料の五枚目に入れておりますが、この方は今週発売の週刊東洋経済にも同趣旨の発言を写真入りでされていますね。

 この村上正泰という方は、いつからいつまで、厚労省のどのポストにあったんですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 この村上正泰氏は平成十六年夏から平成十八年夏まで保険局総務課に在籍されていたと記憶しております。

小池晃君

 厚労省では医療費適正化計画、後期高齢者医療制度などの改革法案の作成にかかわってきたということですね。

政府参考人(水田邦雄君)

 この方は保険局総務課の課長補佐をしておられましたので、医療保険制度全般に関する業務に参画しておられたと記憶しております。

小池晃君

 この文章の中で村上氏は、三十八万床の療養病床、二十三万床も削って十五万床にしてしまう、今から振り返れば、本当に大丈夫なのだろうかというふうに書いています。

 この決定過程についても詳しく述べていて、二〇〇五年十二月の与党の医療制度改革大綱のときには具体的方針なかったけれども、〇六年度の診療報酬改定で急に医療区分一、この点数が出てきて、これでは不採算になるんじゃないかと。そうしたら、介護の世界からも、それまで介護保険制度改正のときは全く議論されていなかった介護療養型病床の廃止が急に老健局から持ち込まれてきたんだと。それぞれ縦割りでみんなが勝手にやっていて、まとまったものを見ると大変なことになっているということに愕然としたというようなことが書かれていて、村上氏は、二十三万床の病床削減が縦割り行政の弊害により細部にわたるまで十分な対応が練り上げられないまま打ち出された、患者の受皿が整備できるのか不確かなまますべてが突然決まったというようなことを書いております。これ、書いていることがすべて正しいかどうかという、これは分かりませんが、その当時いろんな形で言われてきたことがかなり裏付けられるような話に私は読めた。

 大臣、こういうやっぱり政策決定過程の在り方というのは大変問題があるんじゃないかと思いますが、ちょっと大臣、時間ないから大臣に答えていただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 今この論文を初めて見ますので、きちんと読んでみてどういうことであったかというのをお答えしないと、ぱっと見ただけで時間がありませんので。

 ただ、基本的にはやっぱり、例えば分かりやすい言葉で言うと、社会的入院というのをいかに減らしていくか。医療資源というのは限られているわけで、それを最適な配分をすることによって持続的な医療制度、国民皆保険制度を守っていくと、そういう視点が必要なので、ここに書いている縦割り行政ですか、そういうことできちんと政策プロセスがいっていないということが本当かどうか、私もまだ読んでいませんから分かりません。

 しかし、厚生労働大臣としてやっぱり考えることは、国民の幸せのためにどういうふうに医療資源を適正に使うかということに尽きると思います。それは財源にしても、野方図に国民にお願いするわけにはいきません。限られた財源を使って最も効率的なことをやる。しかし、例えば療養病床の削減計画にしても、問題があればそこで調整をしながらやっていく。そういうきちんとしたブレーキも掛けながら、そして全体像を見ながら私はやっていきたいと思っております。

小池晃君

 しかし、これはブレーキ掛かっていないんじゃないかと。この文章の中でも最後に言われているのは、やっぱり経済財政諮問会議の二千二百億円の削減先にありきでいろんな政策決まっているから大変な事態になっているんだということが書かれています。

 今日、資料の最後に社会保障費の自然増をこの間抑制してきたことをグラフに、表にしてみましたけれども、これで見ますと、二千二百億円毎年削ってきたんだけれども、社会保障の自然増そのものが年々減少をしておりまして、結局、始めた二〇〇二年と二〇〇八年を比べると、既に自然増そのものが九千四百億円から今年度七千五百億円になっていますから、二千億円近く減っているわけですね。だから、二千二百億円削るというけれども、自然増そのものが二千億円減っている。だから、私、今までの社会保障改革というのが既に行き過ぎた社会保障費の抑制をつくり出してきて、そこに機械的に二千二百億円掛けるということが大変な被害を生み出しているんだというふうに思うんです。

 こういう中で、今年度も二千二百億円削減ということをやられたわけですが、私はこの推移を見るだけでも、これ以上やっぱり二千二百億円の削減というのはこれはやるべきでないし、これははっきり大臣には来年度行わないということを明言していただきたいと思うんですが、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 私も常々二千二百億円の削減はそろそろ限界に来ているということは申し上げてきております。やはり社会保障、これは最後のセーフティーネットですから、これはきちんと守りたい。本当に政府全体の方針として全体の支出を抑制する、そういう一環としてやっていますけれども、しかし予算は毎年決めていくわけですから、その予算編成過程においてそろそろ限界に来ている。そういう意味で、これはきちんと議論して決めるべきだということは申し上げます。そして今、内閣総理大臣の下に社会保障国民会議が開かれて、まさに負担と給付の問題について議論をしていますので、そういう場でも今後とも主張は繰り返し続けていきたいと思います。

小池晃君

 もうこれは絶対にやるべきでないということを申し上げたいです。

 最後のところで、社会保険病院、厚生年金病院の今後についてちょっと聞きたいんですが、与党が整理機構、RFOに出資する方針決めたということで、大臣は衆議院でも答弁されています。ただ、RFOというのはこれは譲渡、廃止の業務を行うという組織ですから、ここに行っちゃうということは、もはや整理の対象になるんじゃないかということが地域の住民あるいは職員の方から不安の声が出されている。

 大臣、はっきり、RFOに出資するからといって決して整理の対象にするということじゃないんだということを明言していただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 これはもう社会保険庁の改革との絡みも伴って社会保険病院、厚生年金病院、これはもう特別会計で保有しないということで整理をされた。そして、与党の議論では今RFOに移すということでありますけれども、何度も私が申し上げていますように、与党の合意の中でもそのことがこの地域の医療を損なうことがないように十分配慮をするということですから、その点は明言を申し上げておきたいと思います。

小池晃君

 いろんな病院あるんですが、例えば私がかつて医者としてかかわってきたときに、近くにあった、国立王子病院というのがありました。これは統廃合で、その後医療で社会保険北病院というのができたんですね。そういうまさに国立病院の廃止に伴う後医療みたいな病院もあるんですよ。

 私は、地域医療が損なわれないようにということを、一般的なその話だけじゃなくて、やっぱりそういう経過もいろんな様々ある中で、歴史がある様々な病院だし、やはり公的な医療機関として維持するということを最優先にこの問題については取り組んでいくんだということが必要だと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 何度も申し上げますように、やっぱり地域医療の中核を担っているところ、その病院がなくなれば地域の医療が崩壊する、そういうことがないようにきちんと、これは与党の皆さん方の見解とも同じだと思いますんで、政府・与党一体となってそういう方針でやりたいと思います。

小池晃君

 RFOの業務というのは、これは譲渡し又は廃止するまでの間の運営又は管理というのが法律上の任務ですね。

 ということは、その病院の将来にかかわる責任というのは、今後もこれは引き続き国が持っていくという理解でよろしいんですね。

国務大臣(舛添要一君)

 それは、政府・与党全体でこの地域医療の崩壊を食い止めると、そういう観点から、片一方ではしかし社会保険庁改革という観点もあって、厚生年金病院や社会保険病院をきちんと改革しようという今までのニーズもあるわけですから、その両方をきちんと考えた上で、しかし地域医療を崩壊させないと、政府・与党一体としてやっていくということであります。

小池晃君

 最後もう一つ。

 先ほど、神経難病の質問ありましたけれども、線維筋痛症という病気ありまして、これはアメリカの患者会の雑誌なんですね。物すごく立派な患者会があって、こういうフィブロミアルジア、FMというふうに略していますが、これ、日本でも大体患者数が人口の二%、二百万人と言われている。ところが、日本では余りこれだけの組織があるということにはなっていません。

 この問題について、アメリカでは既に治療薬のリリカというのがこれは承認されていますが、これは日本でも一刻も早く使いたいという声があります。これにこたえるべきじゃないかということと、今これ治療薬未承認だし、難病指定も行われていないんですね。これ線維筋痛症の病名では保険請求することもできなくて、ほかの病名とか症状で請求するしかないというのが実態なんです。その結果、正しい治療受けられないという人もたくさんおられるんじゃないか。

 私は、この新薬の、早く使えるようにするという願いにこたえることと含めて、国としてやっぱりしっかり応援していくべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 今年の一月に、患者団体の皆さんから今委員がおっしゃったように早期承認をしてくれということがリリカについてありました。それで、製薬メーカーに確認したところ、今国内メーカーも線維筋痛症に対する薬の開発を始めたということであります。開始するという意向を今確認いたしました。厚生労働省としてもこれを支援していきたいと。

 それと、難病支援、先ほどの疼痛症の話もありましたけれども、もう本当にたくさんの疾患がありまして、どういうふうに優先順位を付けるかということでございますんで、これもまた特定疾患の難病の検討会において検討を今後する課題になると思います。

小池晃君

 しっかり応援していただきたいと思います。

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