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169通常国会 参議院厚生労働委員会 一般質疑(年金改竄問題等)

  • 背景に“徴収至上主義”/年金額改ざん/小池議員が厚労省批判(関連記事)
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2008年9月18日(木)

小池晃君

 年金記録改ざん問題について聞きます。

 先ほど、第三者委員会のあっせん事案で年金の記録改ざんの問題で同様の処理がされている同僚の方について、アクセスしている、連絡しているというふうに石井さんおっしゃいましたけれども、いつからやっていますか。

 〔委員長退席、理事家西悟君着席〕

政府参考人(石井博史君)

 お答え申し上げます。

 十七事案についての報告を関係閣僚会議に行いまして、そして公表した。九日でございますけれども、それ以降速やかにということで、先週でございますけれども着手しているわけでございます。

小池晃君

 要するに、九月九日のこの報告からやっているというんですけれども、運営部長は、昨年十二月二十五日に私、この委員会でこのことを取り上げたんですよ。総務省の第三者委員会で実際改ざんが行われているということが同定されていて、同僚の方についても同様の処理を行われた可能性があるというふうに第三者委員会はちゃんと認定している。私、この同僚の方にすぐに連絡すべきじゃないかというふうに言ったときに、石井さんは、同僚の従業員の方々に対してお知らせを行い、必要な訂正を行うことを検討するとおっしゃいました。

 九か月間何もやってなかった。なぜですか。

政府参考人(石井博史君)

 お答え申し上げます。

 確かに、昨年の十二月の二十五日の質疑でそういうお尋ねをいただきまして、そういう趣旨のことをお答え申し上げたことを明確に覚えております。

 それで、そのときに検討させていただくというふうに申し上げたわけでございますけれども、本年、年が明けまして、一月の十一日からでございますけれども、第三者委員会によって記録訂正のあっせんを受けた者についてやはり事実と違う処理をしていると、ここのところの要するに原因究明をきちんとすべきではないのかと、こういう要するに御指摘がやはりこの国会の場におきましてもなされたものですから、そこのところをする以上は、やはり私どもきちんと調べさせていただいて、把握できた事実関係を基にして手続を進めるのが妥当であろうということで、大変恐縮でございますけれども、今日まで掛かったというのが経緯でございます。

小池晃君

 理由になっていないですよ。だって、分かっていたんですよ、その時点で。それ、原因調べるのは同時並行でやり、直ちに、だってその人たちにとってみれば年金受け取れないという財産権の侵害じゃないですか。

  〔理事家西悟君退席、委員長着席〕

 大臣ね、大臣は会見でも、今日も、とにかく一番大事なことは被害者救済だとおっしゃった、とにかく被害に遭った方の年金を元に戻すこと、これに全力を挙げると言った。しかし、現場では、この問題は去年の十二月にもう第三者委員会で認定されているのに九か月間何もやってないんですよ。住所が分からないとか亡くなった人がいるかもしれないというけど、この九か月間にできることはあったはずじゃないですか。

 これ責任、私、重大だと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 事情は今、石井部長が申し上げたとおりですけれども、全力を挙げて早急にこれは取り組んでいきたいというように思っております。

小池晃君

 駄目ですよ。大臣、だって、去年の十二月に私は指摘したんです。同僚の方に、これ、このあっせん事案だけでも百七十二人だし、もっともっと膨大にいるわけでしょう。こういう人たちに対して九か月間にわたり連絡すらしなかった責任をどう考えるのか。

国務大臣(舛添要一君)

 手をこまぬいて何もしなかったということではなくて、今申し上げたようにいろんな様々な調査をやっています。そして、これはもう九日の日の閣僚会議で早急に手を打つと、準備が整いましたから、そういう方針でやっていきたいというように思っております。申し上げたように、一日も早く回復をする、記録を回復するという努力であります。

小池晃君

 私はこういうやり方にやはり社会保険庁、厚生労働省がいかに年金の受給権というのを軽んじているかということがはっきり出ているように思うんです。

 それから、その組織的な関与ということについてですが、やっぱり背景にあるのは、やっぱり組織的に、とにかく徴収率を向上させる、その一本やりでやってきた、それがあると思うんです。

 ここに私持ってまいりましたのは社会保険庁が作成した滞納処分マニュアル。これを見るとどんなことが書いてあるかというと、例えば、融資が決まらない場合は銀行に確認するんだと。これにより融資が実行されないという心配もあるが、融資がなかなか決定しないということはそれだけ事業所の状況が悪いということだと。銀行に社会保険事務所が連絡したら企業にとっては大変なことになるじゃないですか。それから、旅館やホテルは予約受付用の電話加入権の差押えは効果的であると、こんなことも書いてある。倒産直後は売掛金等の財産が多く存在する場合が多く差押えを行ってもトラブルが発生する可能性は少ないことから保険料の回収には絶好のチャンスである、こんなことも書いてある。

 やり取りの例も載せられていて、会社の方から差し押さえられれば会社はつぶれる、社員のことはどうでもいいんですかと聞かれたらば、倒産を意図して行う処分ではありません、結果的にそのような事態に遭遇することはあり得ると思いますが、だからといって処分を見送ると差押えができるとする法律は有名無実化し、行政としては対抗できないこととなってしまいます。申し訳ありませんが、自力で問題解消を図るべく御検討くださいと、こういう対応をしろと。まさに倒産に追い込むようなこういうやり方を具体的に指南しているわけですよ。

 私は、こういうことから見れば、結局、この背景にあるのは、これだけぎりぎりぎりぎりもう徴収率を上げるために、もうサラ金まがいですよ、このマニュアルは。こういう形でやってきて、恐らく報奨金なんという話もあったけれども、そういうこともやったんでしょう。とにかく徴収率を上げろ上げろという中でやっぱりこれは生まれてきた。事務局を挙げて徴収体制の強化一本やりという号令が結局国民の年金権はないがしろにすると、年金正しく給付するという業務よりも、徴収率を〇・何%でも上げるということが最優先だと、こういう中で今日の事態がまさに生まれてきた。まさに組織的な社会保険庁全体の体質の表れじゃないかというふうに私は思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 これは、委員、長期的に、まあ税金か保険料かという話があって、それは国税の場合はもっと厳しくやりますよ。だから、保険料だったら払わないでいいのかという議論になりますから、どういう形であれ、いかに経済情勢が厳しくてもみんな我慢して払うと。そして、これは国民皆保険、国民皆年金を守っていくために努力するという中で、そして、ただ、今おっしゃったように、どうしても経済情勢が悪いから払えないと、こういうときに対してどういう猶予措置をとりどうするかという制度設計をすることが問題であるというふうに思いますので、そういう問題意識で長期的なこの制度設計についても考えてみたいと思っております。

小池晃君

 やっぱり私は制度設計以前に行政の姿勢の問題だと思うんです、これ。

 ちょっと今日資料でお配りしたのは、これは国民年金ですけれども、実際今もこんなことをやられている。これ、国民年金の保険料の滞納をされている方のこれは実はお父さんに送られている文書なんです。これを受け取った方は盲学校の先生をやられている全盲の方なんですね。だから、知り合いの人に読んでもらって中身を見てびっくりしたと。要するに納付せよと、息子さんの分の滞納分について。星印で、「この処分によって予想される信用失墜等の諸事情については、当所では責任を負いかねますのでご了承ください。」ということで、二枚目には、もうこういう次々、口座の調査をやる、キャッシュカードが使用できなくなる、不渡りとなることがあります云々という、もう脅迫めいたものが送られてきているわけですね。

 私はやっぱり、年金受給権ということをないがしろにして今こういうことを社会保険庁が送るという資格があるのかと。信用失墜の諸事情についてと、信用失墜しているのはまさに年金行政じゃないですか。

 私、年金受給権をないがしろにして取立てはサラ金並みにこういう、御本人じゃないですよ、これはお父さんに送られたというんですよ。それで、びっくりしたということで私どものところに送られてきた。こういう、私は、今の年金行政の姿勢そのものが問われているんじゃないか、まさにこの年金改ざん問題というのはそのことが問われている事案ではないかというふうに考えるんですが、大臣、そこを見直すという議論は必要じゃないですか。

国務大臣(舛添要一君)

 未納問題に対してどう対応するかというときの一つの切り札が税金でやろうという話なんです。税でやろうというのはまさにそれなんです。ということは、国税の場合だったらこれと同じよりももっと厳しい督促が来ますよ。

 ですから、そういうことも考えたときに、私はやはり、自らの意思で保険料を払って自分の老後をきちんとこれで守っていくんだという私は保険料方式の方がいいと思っています。介護保険もそうですよ。だから、介護保険にしても医療保険にしても税金半分、保険料半分という仕組みになっている。これは我々みんなで議論して、その比率をどう変えるか、税金だけでやるか、保険料をどうするか、これはやればいいと思いますけれども、そういう大きな議論の中でやらなければ、じゃ、経済困窮して税金払えない、ひどい血も涙もない国税庁かというのと同じことになりませんか。

 だから、もちろん社会保険庁の今までの不祥事に対してきちんと襟を正して、それは姿勢を改めると、これはきちんと今努力してやっていますよ。しかし、今の議論は長期的にはそういうことに行くので、私は、そういう長期的なビジョンも持った上で、今その局面だけの話をすると少し十分ではないのではないかなと、そういう気がしています。

小池晃君

 私は、税ではない社会保障制度だから言っているんですよ、こういう在り方でいいのかと。年金受給権を守るというけれども、肝心の例えば改ざんされている実際の受給者に対して連絡すら取っていない、九か月間放置しているというのがまさに今の社会保険庁じゃないですか。しかも、この背景にあるのは、こういうまさに、本当に徴収ありきの、受給、年金給付はもうそっちのけにして徴収率だけ上げるということが問われているんだというふうに思います。そこを見直さなければ私は本当の改革にならないし、この問題は次から次へと出てくるというふうに思います。

 ちょっと関連して、時間が迫っている問題を幾つか聞きたいんですが、一つは後期高齢者医療制度の問題なんですが、十月十五日に四回目の天引きがあり、今回からは天引きの対象を拡大します。六十五歳以上の国民健康保険の加入者を含めると天引きの対象者というのはどれだけ増えるのか、保険局長、答えてください。

政府参考人(水田邦雄君)

 十月から新たに保険料を年金からお支払いいただく方についてのお尋ねでございますけれども、まず今年の四月に年金からの徴収を開始しなかった自治体にお住まいの方がおられます。国民健康保険の被保険者、これは六十五歳から七十四歳までの方のみの世帯でありますが、約三百万人、それから長寿医療制度の被保険者約九十万人でございます。次に、長寿医療制度加入前に被用者保険の被保険者本人であった方、これが約三十五万人でございます。それから、同じく被用者保険の被扶養者であった方が約二百万人でございまして、合計いたしますと最大で約六百二十五万人が見込まれるわけでございますが、この中には、七月の政令改正によりまして口座振替に切り替える方も入っております。また、年金額が少ないこと等によりましてそもそも特別徴収の対象にならない方も含まれておりますので、実際の対象者数はこれよりも少なくなるものと考えております。

小池晃君

 合計六百二十五万人だと。

 今まで後期高齢者医療制度での天引き対象者は八百三十万人です。それから、六十五歳以上の国保で四月から天引きされていた方が五十四万人です。だから八百八十四万人だった。これが十月十五日に千五百万人に拡大するわけです。大臣、これ、まさに一〇・一五ショックということになるんじゃないかと私は思うんですね。

 大臣、後期高齢者医療制度に対する怒りはなお全く収まっていないんですよ。そういう中で物価は今急騰しているわけです。年金は据置きのままなんです。そういうときに八百万人が千五百万人に、天引き対象が二倍近くに十月十五日に拡大をすると、これが国民の理解を得られると思いますか。私は、今これだけ怒りが高まっている中であれば、この拡大ぐらいせめて延期するという決断があってしかるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 その前に一つ申し上げておきたいことは、低所得者の方で四百七十万人の方々は、たしか二千百円ずつ四、六、八と払っていますから、その分がありますので、四百七十万人の方はこの十月から支払がなくなりますので、全体からそれを引いていただいて結構だと思います。

 その上で、しかし、これはどういう形で払うか。払わないといけない。しかし、お上が天引きしか駄目だよ、こう押し付けるということに対する反感が当然ある。それが不満の一つの原因になっていますから、特別徴収、つまり天引きではなくて、普通徴収という形も認めるように、既に七月、八月の段階でそちらも選択できますよということでお知らせをしております。その周知徹底が十分できたかというと、知らなかったという方もアンケート取ってみるとおります。しかし、一応そういう手を取って、選択できるという形になっていることは御理解いただければと思います。

小池晃君

 選択といったっていろんな条件があるしね、実際これが出たからみんな歓迎するなんて声全然出ていないわけですから、実態としては怒りは収まっていない。今報道されるところでは、解散・総選挙の日程等も報道されている。そうすると、選挙期間中にこれだけの一千万人超える、天引き対象二倍かということになると、私は国民の審判が厳しく下されることになるだろうというふうに思います。中止をすべきだということを改めて申し上げたい。

 それからもう一点、これも差し迫った問題なんですが、八月十八日に、共産党の議員団として、社会保険病院、厚生年金病院について、公的病院として継続できるようにという申入れいたしました。現段階でどういう扱いになっているか、説明してください、大臣。

国務大臣(舛添要一君)

 これは、そのときにも申し上げているし毎回申し上げておりますけれども、地域の医療体制を損なうことがないと、そういう条件の下でということを常に申し上げておりますので、今、医師不足含めて各地域で医療の問題が大きくなっています。したがって、拠点病院としてきちんとこの役割を果たしておられる病院、今おっしゃった社会保険病院、厚生年金病院については、地域の医療を損なわないんだというその大原則の下に対応したいと思っています。

小池晃君

 いや、九月十二日に独立行政法人の評価委員会に諮ったという話あるでしょう。そこを言ってくださいと言っているんです。

国務大臣(舛添要一君)

 要するに、社会保険庁がなくなりますから、RFOに行くということですね。いや、そのことを申し上げればいい、ちょっと意味が、ちょっと私がそういうふうに判断をしたものですから。局長の方でもし答えることができれば、ないしは社会保険庁。いいですか。

小池晃君

 大臣おっしゃるように、地域の医療を損なわれないようにするということは、これは大事なことであります。

 しかし、一方で何がやられているかというと、九月十二日に、厚労省の独立行政法人の評価委員会に中期目標の変更案が諮られているんです。要するに、RFOに移管するということで、そういう方向に向けた準備が進んでいる。その根拠は何かというふうに役所に聞くと、与党の合意だと言うんですよ。

 しかし、与党の合意と言うけど、その与党の福田政権が今、政権投げ出しているわけじゃないですか。解散・総選挙だって言われている状況なわけじゃないですか。そういうときに、地域の住民の皆さん、みんな不安に思っているんですよ。これ、RFO、整理統合対象になると、これつぶされるということになるんじゃないかということで、RFOじゃなくて公的にしっかり支えてくれという願いを持っているときに、こういう言わば政治的空白時期に勝手に厚生労働省の内部でRFOに移管するということを決定しちゃっていいんですかと。

 だから、厚生年金病院について言えば、これは法的には、日本年金機構の発足まではこれは社会保険庁として保有が可能なはずです。それから社会保険病院についても、当面は新法人の全国健康保険協会が保有することもこれは法的には可能なはずなんです。

 私、ずっとということじゃなくて、とにかく今言いたいのは、今こういう政治情勢なわけですよ。そういうときに、住民の皆さんはRFOじゃ駄目だという声を上げているときに、私はとにかくRFOへの出資、強行しないで、当面の回避策を取るという政治の決断が今必要なんじゃないかというふうに思っているんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 先ほどのRFOの件、ちゃんと説明しないで、説明していただいてありがとうございます。

 それで、議院内閣制ですから、我が国は。私は、与党の合意に基づいて政府として対応するということを言っておりますので、与党の方ときちんと協議をした上で、今の小池委員の意見も参考にしながら対応を考えていきたいと思っております。

小池晃君

 今日の与党があしたの与党じゃないかもしれない状況の中で、この九月の末に見切り発車することは許されないと私思いますよ。ここはやっぱり政治的判断で、こんな乱暴なことやるべきじゃないと、回避をすることを求めます。

国務大臣(舛添要一君)

 何度も申し上げますように、地域の医療体制が損なわれないように十分に配慮をする、そして、このRFOに入っても、これはやっぱり改革もしないといけないということでありますから、適切な譲渡先を検討してその確保を図るということで、私はこの問題も、医療体制の再構築、今みんなが困っている医師不足、こういうことと一緒に考えていきたいというふうに思っております。

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