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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

第170回国会 厚生労働委員会 第7号

  • 国保証/取り上げやめ 制度直せ/小池氏要求 厚労相「検討」(関連記事)
2008年12月4日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 国民健康保険証の子供からの取上げが問題になっております。私は、昨年三月の予算委員会で当時の安倍総理に子供から取り上げられているという事実を指摘をいたしました。そのとき総理は、そんなことがないように指導しなければならないと答弁しました。

 大臣、今回、実際には三万三千人資格証が発行されていることが明らかになった。本来あってはならないことだと思いますが、大臣、どう受け止めていらっしゃいますか。

国務大臣(舛添要一君)

 ずっとこれまでも御答弁申し上げていますように、資格証明書、そこまでに至る期間において本当にきめの細かい相談に乗り、手を打っていく、そしてそういう証明書というのを発行するというのはまさにそういう相談の機会を与えるものであるということで、一律にやるのではなくて、きめの細かい本当に配慮が必要であると、そういうことを申し上げておりますので、その点については変わりません。

 基本的にはこの保険証というのは世帯を単位にやっておりますけれども、今後は、こういう子供たちに対してどういうふうな施策をするか、これは様々な検討を加えていきたいと思っております。

小池晃君

 きめの細かい対応とおっしゃるんだけれども、先日の調査は同時に自治体ごとにどういう取組やっているかも調査しているんですね。

 これを見ますと、例えば、政令市である川崎市では子供を含む四千六百四十七世帯、それから政令市昇格が決まっている岡山市では千六百二十三世帯、文書催告だけで保険証の取上げをやっているんですよ。もう訪問するとか電話掛けるとか一切やってないわけですね。このほかにも時間外、休日の電話、訪問などやってない自治体は少なくありません。

 局長、これで十分と言えるのか。滞納者とまともに接触の努力もせずに、本当に特別な事情があるやなしや、生活困窮世帯かどうか、分かるんですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 資格証明書の発行につきましては今回新たに留意点を通知出したわけでありますけれども、その対応策におきましても、極力滞納世帯と接触を図るなど、資格証の発行に当たって一律、機械的な取扱いをしないということ、さらに、子供のいる滞納世帯に対しましては特にきめ細かな対応取るように指導したところでございます。

 私どもとしましては、まずは今回のこれらの措置の徹底に努めることといたしまして、来年度早期にもこの実施状況をフォローアップしたいと考えておりまして、その後の対応につきましてはその実施状況を踏まえて考えていきたいと考えております。

小池晃君

 ということは、現状はやっぱり十分な接触の機会を持っているとは言えない結果だということですね。イエスかノーかで端的に答えてください。

委員長(岩本司君)

 水田局長、簡潔に願います。

政府参考人(水田邦雄君)

 市町村によっては一律、機械的な運用がなされている懸念もあるということでございます。

小池晃君

 そういうことなんですね。非常にこれは問題だと。

 実態として取り上げられた人がどうなっているか、例を挙げたいんです。徳島県の元鉄筋工の方。これ一年、大臣聞いていてください、一年の滞納で保険証を取り上げられたと。去年の八月におなかが痛いということで、しかし病院にはもう保険証ないから行かないと、売薬で済ませていたと。痛みが我慢できずに今年一月受診したけれども、お金がないから検査はもう受けないと、薬だけにしてくださいと。四月には首にしこりを感じて役所に行って掛け合ったんだけれども、滞納額を納めないと保険証を出さないと言われたと。七月に症状がひどくなって、二万円だけ支払ってあとは分納にするから保険証くれとお願いしたらば、例外的に認めるということで短期証が出て、その足で病院に行ったら、もう胃がんがリンパ節に転移して末期だと言われたという。これNHKの調査でも、〇六年、〇七年の二年間で四百七十五名が死亡していると、保険証を取られてですね。

 これらの人が本当に何か払えるのに払わない、いわゆる悪質滞納者だというのであれば、命を落とすまでこんなふうになるかと思うんですよ、私。やはり、今の実態というのは、病気や失業、倒産、そういったことで払えない人からもかなり機械的にやっていると、国保行政が国民の命を奪っていると。

 私は、子供であろうが大人であろうが、この保険証の取上げ、こんなやり方は直ちにやめるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 悪質な滞納者に対してはきちんとした対応をしないといけない。しかし、そうじゃなくて、本当に経済的に困窮している、そういう方々に対してきちんときめ細かく対応すべきだということを既に指導し、更に指導を強めていきたいというふうに思っております。

小池晃君

 私は、悪質な人というのは、それは中にはいるかもしれないです。たらたら飲んで、たらたら食べて、病気になった人の分まで何で出さなきゃいけないんだと言って払わないような人こそ、私は悪質な滞納者だというふうに思いますよ。

 ただ、実態はどうなのかというと、今日、資料をお配りしましたけれども、これ千葉県の社会保障推進協議会、資格証発行世帯の所得状態をこれは自治体に問い合わせて調べているんですよ。これを見ると一目瞭然で、回答があった自治体の中で、資格証発行されている中で、所得なし又は二十万円未満の未申告、これは四九・八%、それから所得百万円以下が一八・九%、二百万円以下が一三・一%と。ここまでで八割になっちゃっているんですね。

 大臣、これ実態を見ると、かなりやっぱり支払能力のないような人たちから次々保険証が取られていると、こういう実態なんじゃないですか。局長、こういう実態があるんじゃないですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 お示しになった調査それ自体、私どもの調査じゃありませんし、私ども全貌を承知しているわけではございませんので、評価は差し控えたいと思います。

 これは、繰り返し申し上げておりますけれども、そもそもこの資格証明書、これは、保険料を支払う、納付できない特別な事情がないにもかかわらず長期にわたって滞納している方に発行するものでございますので、私どもは自治体に対しまして、一律、機械的な取扱いをしないように指導してきたところでございますし、今後とも適切な対応を取るように指導をしていきたいと、このように考えております。

小池晃君

 大臣、実態を見ると、自治体のその調査、これ厚労省の調査でもきちっときめの細かい対応なんかしてないというところがあるわけですよ、さっき局長も認めたし。しかも、取られている人はこういう低所得世帯が多いと。やっぱり、私、こういう実態は放置してはいけないと思いますが、大臣、率直な御感想をどうぞ。

国務大臣(舛添要一君)

 例えば、最後は生活保護とか様々な支援する策がありますから、実態をよく見た上で、先ほど引用されたようなリンパのところまで病気が広がっていたと、そういうことがゆめゆめ起こらないようにきちんと指導をしていきたいと思います。

小池晃君

 どうしてこういうことになっているのかというと、これ、きっかけになったのは介護保険導入のときに国民健康保険法を変えられたわけですよ。八六年の改正で滞納対策として資格証を導入されたんだけど、そのときにも厚生省は悪質滞納者に対しても必ず行えとは言ってなかった。資格証発行は任意だったわけです。だから、発行していたのは一、二割だったんです。ところが、九七年の改定でこれは一年以上の滞納者は義務化されました。これが二〇〇〇年から施行されたわけです。

 資料の二枚目、見ていただきたいんですが、もうこれも一目瞭然で、この資格証の義務化の施行された二〇〇〇年から一年間滞納した、二〇〇二年から激増しているわけですね。前年から比べても実に三・五倍になっているわけですよ。一年以上の滞納者は資格証を義務にするという法律が、まさに払えない世帯から国保証を取り上げる、医療を受ける権利を奪っていると思うんですよ。

 大臣、やっぱり保険証の取上げ義務、これやめるべきではないですか。併せて、これは訪問などを義務付けるとか本人出席による弁解の聴取を必要とすると、こういった形に、やっぱり本人の権利を最大限保障する方向に制度を見直すべきではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 この問題以外の社会保障のあらゆる分野において、モラルハザードというものを阻止しながら、しかし本当にきめの細かい手だてをどうするのかと、これは様々な知恵を働かせないといけないというふうに思っていますので、この問題についてもそういう大原則を中心にして対応したいと。

 ただ単に、だから、じゃ義務化をしなかった場合に何か改善策はあるのか、どうするのかということでありますから、今委員がおっしゃったことも含めて、これはよく検討してみたいと思います。

小池晃君

 しかも、これまで老人保健法の下では高齢者は資格証発行の対象から外されていたわけですが、後期高齢者医療制度で新たに資格証の発行の対象になろうとしている。

 これは、朝日新聞の調査では、十月末で主要七十二市区だけで保険料の滞納者が約二十万人だと言います。このままいけば、来年四月に、一年経過すると保険証が取り上げられるわけですね。高齢者から保険証取り上げられたら、これはまさに死に直結するということになるわけですよ。

 大臣、これ、制度始まったばかりでしょう。まだ大混乱しているわけでしょう。与党の中でも見直しの議論があるわけでしょう。そういうときだからこそ、私、これ、保険証の取上げをこの四月からこういう実態の中でも淡々と始める、私はこういうことをすべきではないというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 まあ、まだ一年たっていません。それから、先ほどの朝日新聞の二十万人という数字ですけど、これ、いつかお話ししたように、自動的に銀行口座から落ちると思っていたのが今度制度変わって直接支払わないといけないということになったということで、それでみんなそのことは、知らせはしたんですけど、うっかりしていてということがあるんで、悪質で意図的にやっている方がそこはそれほど多いとは思いません。

 したがって、今回も一年を経過したことにどうするかということですから、この問題についてもまた今全体の見直しをどうするかということを考えておりますんで、そういう中でも検討していきますが、取りあえず、今は各広域連合が責任主体でありますんで、そことよく状況について検討しながら今後のことは考えたいと思います。

小池晃君

 朝日の調査がこれは疑問だと言うんであれば、厚生労働省としてちゃんと調査してくださいよ。滞納者何人いるのか、調査してください。

国務大臣(舛添要一君)

 疑問だと言ったのは、なぜ支払わないかと、数字がおかしいということじゃない、なぜ支払わないかということの裏に今言ったような問題があるから、悪質な滞納者という意味での二十万人で、その方が無保険になるということではありません。

 ただ、今そのことを優先的に調査することがいいのか、それとも、もっともっとほかにやることが山ほどあります。ですから、いろんな状況を全体的に把握する中で、ここだけ特化して調査ということではなくて、これは全体を広域連合と相談しながら状況の把握には努めていきたいと思います。

小池晃君

 こんなのすぐ分かりますよ。そんな大した手間の要る仕事じゃないと思いますから、これはやっぱり四月から保険証取り上げられるなんということを私は絶対しちゃいけないと思います。きちっと調べて対応していただきたいと。

 それから、今、衆議院では子供に保険証を発行する法案が準備をされています。これ、厚労省の調査でも、全国九百八十六の自治体は、滞納しても、世帯単位ですから、子供のいる世帯には保険証の返還を求めないという対応をしている自治体もあるわけですね。

 局長にお伺いしたいんですが、今回もしもこの法案が通って、ちょっと逆に、例えば子供には保険証が出るからっていって、子供以外の世帯構成員にはもう機械的に保険証を取り上げるなんてことはあっちゃいけないというふうに私は思うんですけれども、子供には保険証を出すということができるようになった場合でも、引き続き世帯については特別な事情を十分に勘案して機械的な取上げはやらないということになりますね。このこと確認、簡単にお願いします。

政府参考人(水田邦雄君)

 御指摘の法案につきましては国会で御議論されるものでございますので、現時点で成立した場合の対応につきまして立ち入ってお答えをすることは難しいわけでございますが、いずれにせよ、これ繰り返し申し上げましているとおり、資格証明書の運用に当たりましては一律、機械的な運用を行わないように指導してきておりますので、今後とも自治体が適切な対応を取るように指導していきたいと、このように考えております。

小池晃君

 そういう懸念のないように対応していただきたいと。

 最後に、先日、この当委員会で医師の臨床研修制度について全く意味がなかったかのような議論があったんですが、私は異論ありまして、やっぱり将来専門になる分野にかかわらず、すべての医師が基本的な診療能力を身に付けるということについては、これは理念は間違っていないと思うんです。それは国民にとってだって大きなメリットがあるはずなんです。

 医師不足の原因というのは、私は、基本的、根本的には医師養成数の抑制方針にあるんであって、やっぱり臨床研修制度にすべて原因があるかのような議論というのはちょっと乱暴過ぎるんじゃないかと思うんですね。

 臨床研修制度の導入で総合的な能力どれだけ向上したのか、調査結果あったらちょっと簡単に紹介してください。

政府参考人(外口崇君)

 研修医の診療能力につきましては旧制度と現行制度を比較した調査がございまして、アンケート調査でございますけれども、現行制度導入によりCTやMRIによる診断を始め、創傷処置、気管挿管、骨折の鑑別診断、眼底所見の判断等の基本的な診療能力が向上したと考えられ、ショック、老年症候群等の経験症例が増加したという結果が得られており、一定の成果が得られていると考えております。

小池晃君

 今のは本人に聞いたんじゃないんですよ。指導医とかに聞いた結果なんです。

 都会に研修医が集中するということも言われるけれども、沖縄とか北海道なんかでは研修病院が頑張って研修医が集まっているような病院もあるわけです。

 私は、臨床研修制度の見直しに当たって、すべての医師が基礎的な能力を身に付けるという理念、後退することはあってはならないというふうに思いますし、やっぱりこの四年間の実績というのを十分に検証して、慎重の上にも慎重にこの見直しの検討を進めていくべきだと思いますが、いかがですか。

政府参考人(外口崇君)

 臨床研修制度の導入により研修医の診療能力が向上したという評価がある一方で、臨床研修と卒前教育との内容に重複がある、大学の医師派遣機能が低下し地域の医師不足を招いたという御指摘もいただいております。

 現在、文部科学省と合同で臨床研修制度のあり方等に関する検討会を開催しており、研修医の偏在、研修内容、期間、卒前、卒後の一貫した教育、研修病院の質の確保等の論点について様々な議論が行われているところでございます。

 厚生労働省としては、臨床研修制度に対する様々な評価やこの検討会での議論を踏まえ、制度の改善に向けた作業を進めてまいりたいと考えております。

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