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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

2 ・17 難病・慢性疾患対策を考える集い

小池参院議員あいさつ

 日本患者・家族団体協議会(JPC)、全国難病団体連絡協議会(全難連)などが主催した「2 ・17 難病・難病・慢性疾患対策を考える集い」での小池晃議員のあいさつを紹介します。

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 十一月の集会に引き続き、本当にたくさんの方がお集まりになって、この問題にたいする皆さんの思いと熱意をしっかり受け止めています。難病問題を医療制度と福祉制度の谷間にとどめ置くことは許されないし、本当に安心できる制度にしなければいけないと思っております。

 前回、十一月の集会で、難病全体についての私どもの考え方は説明させていただきました。今回はスライドも使って、来年度の予算にしぼって私どもの今の見方を説明させていただきたいと思います。

 この間、この制度はいろいろな形で後退させられてきました。九八年には自己負担が導入され、約 10 %の受診抑制が起こりました。これは厚生労働省が認めていることであります。コンピューターの認定によって、二〇〇〇年以降、毎年予算額が削減をされてきた。そういうなかで、来年度については小児慢性で二億円増、特定疾患の治療研究事業では三十億、難病対策全体では七十一億円の予算増ということで、このこと自体三年ぶりのことで、やはりこれはみなさんの運動の成果だと思っております。毎年削られてきた予算が増加に転じたと言うのは、本当にみなさんの運動が国会を動かし、政府を動かしたと言うことではないかと思います。

 ただ、さまざま問題があるんではないだろうか。これから決まって行く問題もありますので、問題点として指摘するだけでなく、ぜひ改善をさせていきたいと思っています。

 まず低所得者については、住民税非課税の方は負担減になっていくと思います。外来、入院とも負担減になると思います。しかし、住民税非課税と言うのは、例えば単身者でいえば、所得百八万八千円、夫婦二人で百九十五万円ということですから、非常に少ない、狭い範囲であります。

 これを超えると、いまの更生医療の負担をあてはめれば、外来治療は負担増になってしまうのです。厚生労働省は、だいたいいまの更生医療の料金表で外来四千七百円、入院九千四百円のあたりの層の方が、一番多いのではないかと説明しているのですが、そうなると外来治療は負担増のケースが多くなってくるのではないか。先ほどお話ししたように九八年に有料化したときには受診抑制がありました。それがまた起こってしまう危険があるのではないでしょうか。

 具体例で、夫四十歳で年収五百六十万と言うケースで見てみました。今年度の所得税額で十一万四千円弱であります。で、こうすると更生医療の負担額でいいますと、外来で九千三百五十円、入院一万八千七百円ということで、これでは外来、入院ともに負担増になってしまいます。これから負担額を決定する場合は、十分な検討が必要です。更生医療そのままでは、負担増の人が多くなってしまうので、このまま認めるわけにはまいりません。

 そのほかにもいくつか問題点があります。ひとつは所得、収入を、本人ではなく、家族の収入で見ることの問題点です。個人単位の社会保障といいながら、家族の収入で判定するというのは難病患者の自立という点では逆行なのではないか。障害者の支援費制度では、親からの費用徴収はなくなったわけですけれども、難病患者はこれとは逆行ではないかと思います。

 それから、前年の所得で負担額を決めることも問題です。難病になって仕事を辞めなければならない場合に、前の年の所得で負担がかかってくるということになると、これは大変なことになってしまいます。更生医療でも年度途中で収入が減った場合は、そこで再認定するというやり方をとっているそうでありますので、ぜひそういう配慮が必要ではないかと思っております。

 さらに、一番心配なのは「軽快した場合に一般医療に移行する」という問題です。これが、みなさん本当に不安に思っていらっしゃるんではないかと思います。これにはさまざまな問題があります。「症状の軽快がありうる疾患」というのを決めるのはなかなかむずかしい問題があります。学会のなかでも、寛解しているかどうかというのは、いろいろな病気でさまざまな意見があるわけですから、これはなかなか、どの病気が軽快がありうるか、その範ちゅうに加えるのか、これはよくよく議論しないと安易にやってはいけないだろうと思います。

 それから、悪くなったら再認定しますからと厚労省は説明していますが、それが果たしてスムーズにいくのかどうか、ここはやはりはっきりしておかないと、いったんはずされたら、はしごをはずされたままではないかと、おびえている方はたくさんいると思いますので、ここのところは問題です。

 それから、そもそも私が思いますのは、軽快しているとき、寛解しているときというのは、医療費がそもそもあまりかからないのですね。そういうときに認定をはずされると病院に行きにくくなってしまう。それで検査が遅れてしまって、むしろ病状が悪くなると言うこともあるんじゃないか。だから、医療費、難病予算全体のことを考えても、むしろ軽快しているときにわざわざ認定をはずすなどということはせず、続けて行くべきではないかと思っております。

 それから、地方自治体の負担もだんだん深刻になってきておりまして、二〇〇〇年度に地方からの申請額、必要な額ですね、二百四十七億円にたいして、実際交付されているのは二百二十六億円で、差額が二十一億あるんですね。この分は地方自治体がかぶっているということになっておりまして、やはりここのところは、地方からの申請額はしっかりと埋めていくというというのが国の責任として求められているということも指摘しておきたいと思います。

 それから事業評価の話のなかで心配しているのは、「重症度のランク付け」の計画が打ち出されていることです。重症度 A 、B 、C と。こういう形で分類していくと、次は C をはずそうということにもなってきますので、こういう対象者の絞り込みにつながるようなことは、いかがなものかと思っています。「そうでない」というのであれば、しっかりそれを示していただきたいと思います。

 最後に、これから難病対策をどう発展させていくかということですけれども、私はまずこの間の運動の教訓、成果にしっかり学ぶということが必要ではないかと思うんですね。障害者プランでも、新しいプランが去年のクリスマスイブに発表されましたけれども、障害者施策の対象となっていない障害についても、必要性を踏まえて対応する。ICF の活用も検討するということで、難病も含めていくということも打ち出されています。これもひとつの前進だと思っています。

 福祉施策の充実も今回出てきています。難病相談センターの設立、日常生活用具の拡大、こういった成果も生まれてきています。こうした成果も踏まえて、さらに運動を発展させていく。大きな流れで言えば、医療や社会保障をあたたかく、手厚くしていく政治に転換していくということを、ご一緒に力を合わせてやっていきたいということを最後に申し上げまして、私どもの来年度の難病対策についての私どもの意見とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

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