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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]
「いつでも元気 2004.7 No.153」より

Dr. 小池の国会奮戦記
改憲派の狙いは憲法9条・25条/変えるべきは、憲法ではなく現実政治だ

 イラクで日々明らかになる戦争・占領の実態…「世界に憲法9条があれば」と思う方は多いことでしょう。

2大政党化で改憲を競う

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「思いやり」予算とは、日本が負担する義務のない在日米軍の駐留経費を支出するために、78年、当時の金丸信防衛庁長官が「思いやりの精神で」と始めたもの。米軍の家族住宅や体育館・野球場建設、水光熱費、訓練費、新施設のための場所探しの費用までふくまれ、04年度予算では、2441億円に。中小企業対策費の1・4倍です。

 いまこのときに国会のなかでは、自民・民主両党議員が政党の枠を超え、議員連盟という形で、改憲のネットワークを次々と広げています。改憲派は「いけいけどんどん」と、まるでテレビゲーム感覚でミサイルの話などをしています。

 議員連盟が憲法改悪の議論をすすめる土壌となり、さらに2大政党化で、自民と民主が憲法改悪も競いあうという状態です。自民党は結党50周年の来年11月までに改憲草案をまとめるとしていますし、公明党は「加憲」、民主党も「創憲」と、いずれも改憲の方針を出しています。

「戦争放棄」達成のため

 改憲派はいろいろいいますが、狙いは9条です。小泉首相は「自衛隊は誰が見ても軍隊でしょう」と開き直ってはばかりませんが、憲法9条があるから「戦争をする」とはいえないんですね。イラクに派兵する場合も、「戦闘地域にはいかない」「人道支援のためだ」といいわけせざるをえない。

 しかしこれではアメリカの要求に応じきれない。有事関連法案も、無理やり解釈改憲で対応したが、もう限界だ、明文改憲に手をつけざるをえないと。

 9条といえば「戦争放棄」です。サミット参加国のなかでイタリアも、憲法に「戦争放棄」の条項をもっています。しかしイタリアは軍隊をもち、徴兵制もある。イラクにも軍隊を派遣しています。

 「戦争放棄」だけでは、「平和維持」とか「治安」とかの口実で、派兵ができてしまうわけです。日本ではなぜできないか。9条第2項があるからなのです。

 「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と。

 憲法前文にある「…政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」という一節。二度と戦争はさせないぞ、という気迫が、この2項に込められているのではないでしょうか。

 改めて「憲法9条はほんとうにすごい。世界の宝だ」と感じます。

新しい権利も憲法を根拠に

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 国会のなかでは改憲派が多数を占めていますが、国民の本心は改憲を望んでいない。「朝日」の世論調査でも、9条は「変えるべきでない」が60%で、「変える方がよい」の2倍(5月1日付)です。憲法9条に手をつけるとなったら、国民の世論は大きく反発するでしょう。だからこそ改憲派は、いまの憲法は古くなった、プライバシー権もない、環境権もない、などといって正面突破を避けている。

 しかしいまの憲法は、じつに懐が深いのです。そもそもプライバシー権とか、環境権、知る権利などは、戦後、憲法を根拠に、国民がたたかいとってきたものです。憲法13条の幸福追求権などを足がかりにしながら、一つひとつの権利を国に認めさせ、確立してきた。新しい時代の流れに応じた権利は、いまの憲法のなかで根拠づけ、対応していけます。

 遅れているのは現実政治です。男女同権や社会保障は憲法に明記されているのに、実態はヨーロッパとは比べものにならない低い水準です。変えるべきは憲法ではなく、憲法を実行しようとしない現実政治の方なのです。

25条にふさわしい年金制度を

 いま大問題の年金も、まさに憲法25条の生存権を保障するたたかいです。憲法に「生存権」をしっかり書き込み、社会保障の向上は国の責任と明記している点でも世界にまれな優れた憲法です。

 ところが自公政権は、はなからこの憲法を無視。生存権侵害を拡大する大改悪を強引に押し通してしまいました。

 衆議院では民主党を抱き込んで通過させましたが、参院にきて様相はがらっと変わっていました。本会議(5月12日)や厚労委員会での私の追及で、自民・公明がいってきた「保険料は上限をもうけて固定」「給付は現役世代の手取りの50%以上」という2枚看板がウソだったことがわかり(左表)、国民の怒りがますます大きくなったからです。

 坂口厚労相は、「これは物価も賃金も1円も上がらないという仮定の話で、上がれば保険料は上がる」「給付は、50%以上の水準が確保されるのは受給開始時点のこと」と答弁。「開始後はさらに下がりつづける」と認めたのです。物価や賃金が上がったとき保険料は上げる。しかし給付額については、賃金スライドを凍結しているから上げない。実質引き下げとなって、今回の一律15%カットと合わせると、30%以上の削減になるというのです。

 こんなウソで、「100年安心」なんてよくいえたものです。小泉首相も「公的年金だけで全部生活をみるというものではない」とくらせない年金であることを認めました。破たん必至の改悪を実施させるわけにはいきません。

 でたらめな年金改悪をストップさせ、 年金制度の土台を建て直して、生きる権利を保障する「最低年金保障制度」をつくれの声を、大きくしていきましょう。憲法を暮らしに生かす政治を実現するため、全力をあげようではありませんか。

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