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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議

  • 各党が意見/共産党 生存権を基準に/民主 消費税の増税を主張/自公 負担増給付減を明言(関連記事
  • 最低保障年金制度を提案/両院合同会議での小池政策委員長の意見表明(関連記事

2005年4月14日(木)


小池議員

 日本共産党の小池晃です。

 日本共産党を代表して、意見表明を行います。

 社会保障制度の改革を議論するに当たって、まず、議論の前提について述べておきます。それは、社会保障制度について、国民が何を求めているのかということです。

 この間、年金、医療、介護と、社会保障のあらゆる分野で負担増と給付削減をもたらす制度改定が実施されてきました。年金でいえば、支給開始年齢がどんどん引き上げられ、ついに、支給水準そのものも減らされました。医療の窓口負担もふえ続け、自営業者もサラリーマンもすべて三割負担となりました。介護保険も、高過ぎる保険料や利用料に加え、軽度の人を給付の対象から除外することまで行われようとしています。その結果、国民の間には、現在の暮らしと将来の暮らしに対する不安がかつてなく広がっております。日本は生活不安大国になってしまったとさえ言われています。

 このもとで、社会保障制度をどう改革すべきか。それは、もちろん、国民の不安を一層拡大する方向ではなく、制度と将来への安心を取り戻す方向に切りかえることでなければなりません。

 そのため、本両院合同会議において議論を始めるに当たって、国民の八割の声を押し切って強行した改悪年金法の実施をここで中止し、白紙に戻すことをまず求めます。負担増と給付減の路線を進んだままでは、そのレールの先に希望の持てる年金制度を構築するのは不可能だからであります。ましてや、昨年の改悪をいまだに画期的だとか、すぐれた抜本改革だとかするような立場にしがみつくならば、希望の持てる制度をつくることは到底できません。

 もう一つの問題は、社会保障改革の基準をどこに置くかということであります。

 私は、改革の基準として、憲法二十五条の立場を提起したいと思います。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とした憲法二十五条の立場で進めてこそ、国民が安心でき、希望が持てる制度改革ができるのだと考えます。

 年金制度について言えば、その最大の欠陥は、最低保障という考え方が欠落していることにあると考えます。

 無年金者は百万人を数え、日々の暮らしを到底賄えない低額年金の人々も膨大な数に上っております。国民年金しか受給していない高齢者は九百万人ですが、その受給額は平均月額四万六千円です。二万円から三万円台の受給者も少なくありません。厚生年金でも、女性の平均は十一万円と低水準で放置されております。こうした事態を解決してこそ、安心と信頼を生み出すことができるのではないでしょうか。

 主要先進国では、生存権を保障するために、国の責任で年金受給者の所得の最低額を保障しています。最低保障年金を否定する与党の立場こそ、世界の流れに背を向けるものです。しかも、国連の社会権規約委員会も、二〇〇一年九月の日本に対する勧告の中で、最低保障年金制度が存在しないことについての懸念を表明しています。日本政府はこの指摘にこたえる責任があるのです。

 日本共産党は、深刻化する現状を抜本的に打開するために、最低保障年金制度の実現に速やかに踏み出すことを提案します。

 最低保障年金制度は、厚生年金、共済年金、国民年金の共通の土台として、全額国庫の負担による一定額の最低保障額を設定し、その上に、それぞれの掛金に応じて給付を上乗せする制度です。この制度を、当面、最低保障額を月額五万円からスタートさせ、安定的な年金財源を確保しながら引き上げを図っていこうというのが私たちの提案です。

 この制度が実現すれば、現在の無年金者には月額五万円の最低保障年金が支給されます。現在例えば四万円の国民年金受給者は、最低保障額の五万円に加えて、支払った保険料に相当する二万円を上乗せし、月額七万円が受け取れるようになります。国民年金の満額である六万六千円を受給している人は、最低保障額の五万円に加えて、支払った保険料に相当する三万三千円を上乗せして、合計八万三千円を受け取ることになるという設計です。厚生年金についても、一定額までは同様の底上げを行います。

 この最低保障年金制度に踏み出すことによって、無年金者がいなくなります。二十五年間保険料を払い続けないと一円も年金がもらえないという問題もなくなります。月三万円の国民年金とか月十万円の厚生年金などの今の貧し過ぎる年金額を直ちに底上げし、憲法二十五条にふさわしい年金に向かって大きく前進できます。年金制度全体の空洞化も解消に向かいます。年金制度の改革を言うなら、この道にこそ踏み出すべきではないでしょうか。

 先ほどから年金一元化をめぐる議論が行われておりますので、この点についても一言申し上げます。

 年金制度間の格差をなくし、国民から見て公平でわかりやすい制度にすることは大切だと私どもは考えます。そのために一番具体的で現実的な方法は、今提案した最低保障年金制度の創設で、国民年金と厚生年金の低い部分の底上げを図り、全体として格差を縮小していくことです。そうしてこそ、だれもが生存権を保障される年金制度への道が開けます。

 しかし、現状の枠組みのままで一元化に進めばどうなるでしょうか。国民年金と厚生年金、共済年金の保険料や給付水準の統一は、結果として、保険料の大幅な引き上げか、もしくは給付水準の引き下げを招くことが懸念されます。

 国民年金を被用者年金に合わせれば、事業主負担のない国民年金の保険料は数倍にはね上がり、年金に加入できない人たちがさらに増大することは必至であります。逆に、被用者年金を国民年金に合わせれば、被用者年金の給付水準を大幅に引き下げることになります。それは、財界が要求しているように、被用者年金への事業主負担をなくしてしまう入り口になりかねません。日本共産党は、年金の水準を一層貧しくするこのような一元化には反対します。

 続いて、年金の財源について意見を述べます。

 社会保障制度への信頼を回復し、生活と将来への不安を軽減するためには、必要な財源を確保しなければなりません。問題なのは、社会保障財源というと、まるで打ち出の小づちのように、消費税の増税で穴埋めすれば事足りるかのような安易な議論がまかり通っていることであります。財界は、二〇%などということさえ平気で口にします。しかし、消費税率の二けた化が日本の社会と経済にどのような影響を与えるのかを具体的に検討したことがあるのでしょうか。

 例えば、年金が月十万円しかない高齢者の場合、今でも年間七万円程度の消費税を負担しています。もしも税率が一〇%に上がれば、さらに七万円の負担がふえ、消費税だけで一月半分の年金が消し飛ぶことになってしまいます。これが果たして耐えられる痛みなのでしょうか。

 消費税は、低所得者ほどずっしりと重くなる逆進性を持っているだけではありません。それは、勤労国民の消費を冷やし、日本経済に大きな打撃を与えます。そうなれば、まさに九七年の橋本内閣の失敗を繰り返すことになります。九兆円の負担増を国民に押しつけ、家計は大打撃を受けて消費が冷え込み、日本経済はどん底まで突き落とされました。景気の悪化で税収が減ったことが大きな要因となって、国、地方の借金は、逆に九年間で四百五十兆円から七百五十兆円へと三百兆円もふえました。消費税の大増税をしても、財政を立て直すどころか、かえって悪化させてしまいました。

 財源問題で道を誤れば、社会保障はさらに崩れ、消費税増税の重荷だけが国民生活にのしかかることになるのです。しかも、消費税は、もともと消費者、すなわち国民にかかるものです。中小零細業者も、消費税を価格に転嫁できず、身銭を切って負担しています。結局、消費税を年金財源に充てた場合、価格に転嫁できる大企業だけがこれを負担せずに、その上、保険料の事業主負担も免れることができます。このように、大企業の年金財源への責任を免罪することは到底認められません。

 最後に、それでは一体何が必要なのか。

 第一は、歳出のむだを徹底的に洗い直すことであります。例えば、道路特定財源は年間六兆円近くもの金額が使途を道路建設だけに限定され、車がほとんど通らないような高速道路の建設にも巨額の資金が投入されています。発着能力をはるかに下回る需要しかないのに関西空港にもう一本の滑走路をつくる、首都圏の水は足りているというのに群馬県に事業費規模過去最大の八ツ場ダムをつくる、裁判でも事業差しとめの判決が出た諫早湾干拓に予算をつけ続ける、こういうむだと浪費の蛇口をきっちり閉めることが何よりも先決です。

 もう一つは、大企業や高額所得者、大資産家など、負担能力のある人に応分の負担を求めることであります。九七年以降の九年間だけをとってみても、一般庶民には、消費税増税や配偶者特別控除廃止、年金課税強化などの増税があり、定率減税分を差し引いても、平年度ベースで五兆六千億円の増税になっています。一方、大企業、高額所得者、資産家には、法人税率引き下げや所得税の最高税率引き下げ、土地や株の取引関係など、合わせて五兆三千億円もの減税になっています。担税力の向上している大手企業と高額所得者の能力と責任に応じてきちんと負担を求めるようにしていくことこそ必要であります。

 また、日本共産党は、世界に類を見ない巨額の年金積立金を、百年などと言わず、高齢化がピークを迎える二〇五〇年ごろまでに計画的に取り崩し年金の給付に充てること、リストラや不安定雇用に歯どめをかけ年金の支え手をふやすこと、少子化の克服は年金問題を解決する上でも大事であり、子供を安心して生み育てられる社会をつくること、こうした改革に取り組むことを提案しています。この方向に着実に進むことによって、できる限り保険料の上昇を抑えながら給付水準を維持し、低額年金については底上げする道を切り開くべきです。

 公的年金制度は、老後の生活保障という役割を持つ社会保障の中核的な制度です。日本共産党は今も将来も安心できる年金制度の確立のために全力を尽くす決意を述べて、意見表明を終わります。

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