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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

164通常国会 参議院厚生労働委員会「医療法『改正』案、健康保険法『改正』案の質疑」

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2006年6月6日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 混合診療の問題についてお聞きをします。本法案では、保険外併用療養費が制度化されます。これで保険外の自己負担が一層拡大するのではないかという問題であります。

 六十三条では、保険外併用療養費の支給対象として評価療養と選定療養が示されていますが、これは現行の特定療養費の支給対象としての選定療養と高度先進医療、この仕組みとどう違うのか、簡潔に御説明ください。

政府参考人(水田邦雄君)

 この保険診療と保険外診療の併用の問題についてでございますけれども、実はこの制度改正は二段階でやっておりますので、ちょっと説明複雑になるかもしれません。お許しいただきたいと思います。

 まず、現行の特定療養費制度のうちで高度先進医療につきましては、これは保険導入前の技術でありましても、中医協の下の専門家による組織における科学的評価の結果を踏まえて保険診療との併用を認める制度でございますけれども、患者の視点から見ますと、このような制度の対象になるか否か、必ずしも医療技術が高度であるかどうかということとは関係なく、必ずしも高度でない先進的な医療技術につきましてもこのような形で保険診療との併用が認められますと、早期に少ない負担で治療を受けることができるのではないか、あるいは医療機関と医療技術の組合せで承認する仕組みが現在取られておりますけれども、これでは認められるまでに時間が掛かり過ぎるんじゃないかと、こういった指摘がございまして、必ずしも高度でない先進的な医療技術につきましても保険導入の前段階として保険診療との併用を認めるということと、高度で先進的な医療技術も含め、保険導入手続を迅速化、透明化したところでございます。これは昨年改正したことでございます。

 これ具体的に申しますと、高度先進医療につきましては、技術ごとに実施可能な医療機関の要件を定めまして、それを満たすものを特定承認保険医療機関として承認する仕組みに、それから先進医療につきましては、技術ごとの実施可能な医療機関の要件を定めまして、それを満たすものは届出により実施可能な仕組みにそれぞれ改めたところでございまして、これが現行制度になっているわけでございます。

 一方で、特定療養費制度のうち選定療養につきましては、この中身が差額ベッドなどからその他治験に及びます様々なものが混在していると、こういう指摘がなされたわけであります。

 これらを踏まえた上で、今回の改革法案に移るわけでありますけれども、まず高度先進医療につきまして、手続の簡素化の観点から、医療機関と技術の組合せによる承認制を廃止いたしまして、将来的な保険導入のための評価を行うものであるかどうかという観点から、現行の高度先進医療と選定療養とを再構成しまして、高度な医療技術や治験中の医薬品など、将来的に保険導入のための評価を行うものを評価療養と位置付けまして、それからいわゆる差額ベッドなど、保険導入を前提としないものを選定療養とすることとしてございます。

 今回の改正は、導入手続の透明化、迅速化を図るものでございまして、評価療養につきましては、定期的に評価を行いまして、有効性、安全性のほか、普及性、効率性、技術的成熟度等の観点から適当と認められたものにつきましてはこれを保険導入をすると、こういう仕組みにしたわけでございます。

小池晃君

 答弁、短くお願いします。

 評価療養の定義としては、今回、「高度の医療技術を用いた療養その他の療養」とあるんですが、この「その他」というのは一体何なのか。これではどんなものも入ってきて歯止めがなくなってしまうんじゃないかという懸念があるんですが、そこはどうですか。簡潔にお願いしますね。

政府参考人(水田邦雄君)

 この「その他の療養」ということでございますけれども、条文中に明記されました「高度の医療技術を用いた療養」のほか、治験中の医薬品等が該当するものと考えてございます。

 ただ、この具体的な類型を今後どうするかということにつきましては、当然ながら、これは中医協におきまして公開の議論を経た上で厚生労働大臣が指定することとしてございます。

小池晃君

 いや、だから歯止めはあるのかというふうに聞いたんですが、中医協で議論するということだけなわけですね。

 それから、その選定療養としては、腫瘍マーカーの検査とか精神科デイケアなんかの回数を超える医療行為も含まれていますが、これは選定療養というふうに入ってしまえば、今の説明にあるように、将来にわたって保険適用の対象として検討しないということになってしまう。しかし、こうした医療行為というのは、本来は医療上の必要性があればこれは当然保険で見るべきものだと思うんですが、保険適用の道を将来にわたって閉ざしてしまうということは問題があるんじゃないですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 この点につきましては、現在、保険給付を行うに当たりまして、委員御承知のとおり、制限回数が設けられている医療行為がございます。そのうちで腫瘍マーカー検査など、患者の要望に従いまして、患者の自由な選択の下に制限回数を超えて行われることが想定されるものにつきまして保険給付との併用を認めているところでございます。

 このような制限回数を超える医療行為につきましては、医療上の必要性に乏しいために制限回数が設けられているということを踏まえますと、将来的な保険導入のための評価を行う療養には該当せず、患者の選択に係るものであることから、改正後の選定療養として位置付けられるものでございます。

 ただ、その制限回数を超える医療行為の中には、現時点におきましては医療上の必要性が乏しいと判断されるものでありましても、新たな医学的知見が得られるなど、言わば想定外の状況の変化によりまして医療上の必要性が生ずる場合も考えられるわけでございまして、仮にそうした状況が生じた場合には、制限回数の当否について検討するという形で保険導入について検討することも、これは考えられるわけでございます。

小池晃君

 大臣にお聞きしますが、その評価療養に入れば、これはすべて今説明あったように保険適用の検討対象となっていくわけで、これは当然、安全性、有効性など確認されれば速やかに保険適用する、この大原則、変わりないですね。

国務大臣(川崎二郎君)

 基本的には変わりはありません。評価療養として、保険診療と保険外診療との併用が認められた技術については、専門家による組織において有効性、安全性等について定期的検証、評価を行い、その結果を踏まえ、保険導入を行うこととしております。

小池晃君

 ちょっと具体的に聞きたいんです。

 一昨年、規制改革・民間開放推進会議が混合診療を容認されるべき具体例として五例を挙げています。これ、当時大問題になりまして、いわゆる外保連、外科系学会社会保険委員会連合会長の出月康夫先生などは、すべて厳密な医学的適用に基づいて実施されるべきものであり、すべて直接保険に適用を急ぐべきものであると主張されました。

 この五例についてどうなったのか、保険適用されていないということであればなぜか、御説明ください。

政府参考人(水田邦雄君)

 五例につきまして順次御説明させていただきたいと思います。

 一つ目が、乳がん治療により摘出された乳房の再建術ということでございまして、従来は筋皮弁術といたしまして保険適用されておりましたけれども、平成十八年度の、今回の診療報酬改定におきまして、新たに乳房再建術として独立した点数を設定したところでございます。この乳房再建に当たりまして人工乳房を使用する場合もありますが、この人工乳房につきましては、実は我が国において薬事法上承認された製品がないということがございます。したがいまして、これは治験が実施されれば評価療養の対象とされることになるものでございます。

 二つ目、舌がん摘除後の形成術についてでございますが、これは従来から筋皮弁術等として保険適用されているものでございます。

 三番目、PPH法による痔治療でございますけれども、これは昨年十一月から先進医療として特定療養費制度が適用されてございます。

 それから、四番目の子宮筋腫の動脈塞栓療法につきましては、これは使用される医薬品が薬事法上の適用外使用に該当することになりますので、これも治験が実施されれば評価療養の対象となることになります。

 それから、最後、五番目、盲腸ポート手術についてでございますけれども、これにつきましては医療機器が薬事法の適用外使用に該当することから、これも治験が実施されれば評価療養の対象とされることになるものでございます。

小池晃君

 結局、五つのうち一つは最初から保険適用されていたと。残り四つのうち三つは薬事法の問題なんですね、これ。規制改革会議などは、これが新しい治療を受けられないのは問題だと、混合診療だと言うけれども、これ問題はやっぱり薬事法の承認申請が行われていないというちょっとレベルの違う問題なんだということだと思うんです。

 そもそも八四年から高度先進の制度始まって、もう一体どれだけの技術がこの中から保険適用になったのか、お示しください。

政府参考人(水田邦雄君)

 委員御指摘のとおり、この高度先進医療制度、昭和五十九年、一九八四年に創設されたわけでございます。これまで延べ百八十五の技術が承認されてございます。このうち六十六の技術が高度先進医療から保険導入にされたものでございまして、内容を申し上げますと、内容と申しますか……

小池晃君

 もういいです。

政府参考人(水田邦雄君)

 いいですか。

 六十六の技術が保険導入されてございます。

小池晃君

 二十年間でわずか六十なんですね。一方で、今年の診療報酬改定だけ見ても、高度先進を経由せずに直接保険適用された技術が五十あるわけであります。

 今までは、必要な医療技術というのは、いったん高度先進にいくというのは例外的な存在であって、直接保険適用を、もちろんよく検討してですが、入ってくるというのが主流だったと思うんですね。しかし、今回こういう、大臣の合意があり、法律でこういう保険外併用療法という仕組みができ、評価療養、選定療養という形ができ上がってくると、非常に危惧するのは、いったん評価療養に入るという動きが、流れが強まるんじゃないだろうかと。

 局長、私、こうした制度の下では今まで以上に保険外負担の対象というのは広がっていく危険があるんじゃないかというふうに危惧するんですが、その点はいかがですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 その点については様々なケースがあろうかと思います。これまでの新技術、これは、新規性がないものにつきましてはこれは当然既存技術との比較という形で保険導入されるわけです。先進的な技術につきましては、これは技術評価分科会、学会からの意見を踏まえて検討するわけでありますが、これは言ってみますと二年に一遍、そういうものは認められるわけであります。

 ところで、今回の評価療養になりますと、これは随時検討して、評価療養の範疇に入りますので、あるいは患者さんの目から見ますと、その基礎的な医療費については保険から特定療養費という形で、言ってみますとより安価な形で先進的な技術が早く受けられると、こういうメリットもあるわけであります。

 したがいまして、全体を通じまして今回は今までの特定療養費制度を改めまして、保険に導入される技術、特に新しい技術についてはやはり一つの流れ、透明で、流れというものをつくるということも眼目の一つでございます。その結果として、患者さんにとってそういったメリットを早く享受できるということもある点は御理解いただきたいと思います。

小池晃君

 自由診療よりも、特定療養費あるいは保険外併用療法になった方が負担は少なくなるというのは、それは分かるんですね。

 実態で見ると、例えば先ほど例があったPPHという自動吻合器による痔の治療があります。これは、痔の手術というのは大体通常の手術であれば一週間から十日の入院なんですが、PPHだと二、三日だと。これ、先進医療に採用されたときには、ある新聞は痔持ちに朗報というふうに大きく報じたわけです。しかし、朗報というのは、これは追加費用を払える人にとってはこれは朗報になるわけで、これ約十五万円ほどの費用が掛かってくる。十五万円払える人であればすっきり二、三日で退院と、払えなければ一週間これうつ伏せになってうんうんという、そういう事態になるわけですね。

 もちろん、おっしゃるように、これは自由診療だったら全部丸ごとなんだから、それよりいいじゃないかというふうにおっしゃりたいんだと思うんですが、私は、このPPHなんというのは本来は本当に速やかに保険適用すべきものではないだろうかと。機械そのものはそんなに別に目新しいものじゃないんです。似たような機械を大腸がんの手術で使っているんです。しかも、何でもかんでもPPHになるかというと、これ医学的には適用をかなり限られるという話も実はあるんですね。

 ですから、やはりこういうものは速やかに保険適用するという道こそ大事であって、私、非常に危惧するのは、今回のようにこういう評価療養あるいは選定療養という仕組みができてきますと、保険で利かないような範囲が安易に広がる、そういう仕組みになりかねないんではないか。そうすれば、日本の医療保険というのはどんどんどんどん、まあいわゆる公私二階建て型の仕組みになっていきかねないんではないか。そうなれば、正に貧富の差が治療の差、二、三日の入院が一週間、十日間、こういうことになってしまうのではないか。

 大臣、基本的な認識としてこういう方向に日本の医療が、保険外と保険負担の二階建てのような仕組みにどんどん歯止めなく進んでしまうということは私はあってはならないと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 これは先ほどもお答え申し上げたように、基本的には保険導入を行うこととしておりますので、そうした御指摘、御懸念はいただかないでいいんだろうと思っております。

 今回の改革の基本は、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保すると、この基本に立っております。評価療養として保険診療と保険外診療との併用が認められた技術については、先ほど申し上げたように、有効性、安全性等について定期的に検証、評価、これ随時行います。その結果を踏まえ保険導入を行うこととしておりますので、金持ちしか先進医療を受けられなくなるというおそれはないと考えております。

小池晃君

 しかし、こんなこと言っている人たちもいるんですよ。二〇〇一年十月の財政審に財務省の主計局が医療制度改革の論点という文書を出しています。

 そこで、混合診療の例としてこんなことを挙げているんです。医師の指名、指名料ですね、セカンドオピニオンの紹介、先発薬剤の使用、通常よりも高度な医療機器、これ括弧してMRIを言っている、の利用、それから手厚い看護体制、終末期医療の提供。

 こういうものを混合診療の対象にするということになれば、私は、大臣はそういうことはないと言ったけど、正に貧富の格差が治療の格差、命の格差にもなりかねない。こんな提案を厚労省としては容認されるんですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 御指摘の資料は、平成十三年十月十日の財政制度審議会の合同部会に財務省から提出したものであると承知をしてございます。

 これらの資料の中では、「公的医療保険の守備範囲の見直し」ということで、ただいま委員が御披露されました様々なものが選定療養として置くべきであるという例示として示されているわけでございますが、現時点におきまして、これらについて選定療養として位置付けることは考えていないわけでございます。

 そもそも、この選定療養は、差額ベッドなど、保険給付として画一的に給付するよりも、むしろ患者の嗜好、選択にゆだねた方がいいというものに今限定して指定することとしてございます。

 今後、新たに患者等の要望があるということも考えられるわけでありますが、そういった場合には具体的な選定療養の類型の追加、検討ということになるわけでありますが、それにつきましても、中医協における公開の議論を経た上で適切な手順にのっとって見直しを行っていくことになるものでございます。

小池晃君

 現時点ではと、すごい何か腰が引けたような言い方に聞こえるんですが、大臣、こういう財務省が言っているようなことはとんでもないと思いませんか。それ、どうなんですか。これは、それとも将来的にはこういうところも検討の可能性になるとおっしゃるんですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 確かに、先ほどから議論をしておりますけれども、医療をめぐる状況について様々な意見があることは間違いないと思います。その中において、私どもは国会で申し上げておることを基本に、国民皆保険制度を守りながらしっかりやっていきたいと、このように思っております。

小池晃君

 ちょっと角度を変えて聞きたいんですが、そもそも、混合診療の旗振り役をやっておられるのは内閣府の規制改革・民間開放推進会議、今日室長に来ていただいています。

 私、おととし十一月にも委員会で質問をして、この推進室にはどんなところから企業が来ているんだと聞いたら、結構、保険会社とか一杯来て、とんでもないというそういう質問をしたんですが、その後どうなっているか。今この規制改革・民間開放推進室に多数の民間企業から出向者いると思うんですが、この出向元の企業名を列挙していただきたいと思います。

政府参考人(田中孝文君)

 現在、室員は現時点で合計三十三名、うち十七名がいわゆる民間からの非常勤の公務員でございます。

 企業名を列挙いたします。

 オリックス、関西電力、国民生活金融公庫、JFEスチール、信金中金、セコム、ソニー、帝人、東京海上日動火災保険、トヨタ自動車、日本経団連、日本生命、日本郵船、松下電器産業、三井住友海上、三菱東京UFJ銀行、森ビル。

 以上でございます。

小池晃君

 これ、今列挙した中でも、生命保険会社、損保会社、オリックス、セコム、保険会社、そういった企業から一杯出てきているわけですよ。しかも、議長は、これオリックスの宮内義彦会長でありまして、今、村上ファンドの問題で、ああいうところに多額の資金を出資して運用していたということで、社会的、道義的責任が厳しく問われている人であります。

 医療保険というのは、これ、オリックスの今や売出しの先頭の商品ですよね。混合診療になって保険証使い物にならなくなれば、一番喜ぶのはこういう連中、まあ連中という言葉は悪いですが、こういう方たちなわけですよ。そういう人たちが自ら議長に座り、そしてそういう企業から出向者を集めて、三十三名中十七名が今言ったような民間企業から来ている。私、前回も言ったけど、内閣府って殻をかぶった、私、民間企業のこれ集団ですよ。こういったところが混合診療をやれ混合診療をやれって旗振りをする。私、こういうやり方というのはどう見たって利益誘導ではないかというふうに思うんです。

 大臣、これ、尾辻大臣にこの問題を言ったときには、必要があれば物を言うというふうに尾辻大臣はおっしゃった。それから二年たっても全然変わらないんです。これ、今こそ物を言うべきじゃないですか。厚労省としてどうなんでしょう、大臣。

国務大臣(川崎二郎君)

 財政諮問会議等では、外国人労働者問題や、医療の何といいますかキャップ制の話とか、はっきり私も物を言っておりますので、また、先ほどから申し上げたように、国民皆保険制度をきちっと守るという立場から言うべきことは言うてまいります。

小池晃君

 何かあんまりまだ言っていらっしゃらないように思うんですね。やっぱりきちっとこれは物を言うべきだと。

 しかも、私、もう一つ言いたいのが、やはり日本経団連なんかはこれかなり強く公的保険の守備範囲を小さくしろということは言われている。それはなぜかといえば、公的保険の守備範囲小さくなれば企業の保険料負担小さくなるというのが一番の理由だろうと思うんですが、アメリカからの要求もあるわけですよ。

 これ二〇〇一年の小泉首相とブッシュ大統領の合意では、投資イニシアチブというのがつくられて、この二〇〇五年の報告書には、混合診療の解禁、これは明記されています、アメリカ側の要請として。

 それから、在日米国商工会議所というのは、これは一貫して株式会社による病院経営や混合診療を迫っています。ホームページを見ますと、こんなことが出ているんですね。年間を通じて主要議員や政府高官と意見交換するほか、国会ドアノックと呼ばれる議員への個別訪問もやっている。私の部屋はノックされたことないんですけど、与党の先生のところは来ているのかもしれない。こういう働き掛けをやっている。

 それから、二〇〇四年十一月二十二日の規制改革・民間開放推進会議では、わざわざアメリカ大使館から公使を招いて意見聞いて、この公使は医療については四つの提言している。営利目的の病院、医療サービスの外部委託、特区の利用、そして混合診療だと。こういういろんな動きがあった上で今回の法案が出てきている。

 私は、こうした経過を見れば、この法案がアメリカからの混合診療解禁という強い圧力に応じる第一歩になる、そういう危険性極めて強いというふうに思いますが、大臣、この点いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 先ほどからお答えいたしておりますとおり、国民皆保険制度をしっかり守りながらやっていきたいと。今回の改革は、そうした中で、安全面に十分配慮しながら、保険導入前の新規技術であっても、適切なルールの枠組みの中で入院に要する基本的費用等の保険診療との併用を可能とすることにより、患者が早期に少ない負担で診療を受けられるようにするものであると。そういう意味では、大原則きちっと守っていけば、新しい医療というものが患者が受けられるということについては多分小池委員も評価いただけるんじゃなかろうかな。

 あくまで患者の視点に立って、これまで全額自己負担であったものについて保険診療との併用を可能とすることにより自己負担を軽減するものであり、そういう意味では、米国がいろんなことを言ってきたことは事実でございますけれども、私どもなりにしっかり議論をした結果、今回御提案をさせていただいているというものでございます。

小池晃君

 私は、保険証一枚でだれでもどんな病気でも掛かれるというのが日本の医療の一番いいところだと思っておりますし、そういった社会を壊すようなことは絶対に許されないというふうに思っております。この問題、引き続き取り上げていきたいというふうに思います。

 資料をお配りください。

  〔資料配付〕

小池晃君

 後半、看護師の問題について取り上げたいと思うんです。

 医療の現場については、医師不足も大変深刻ですが、看護師不足も深刻です。福岡放送の三月の報道番組で、看護師不足、特集されていますが、その中では、二十五年間ずっと勤務してきた看護師の姿を紹介しております。彼女が言っているのは、食事や仮眠どころか、十時間ほぼ立ちっ放し、事故が起こらないのは幸運だしかない。一年前より更に仕事が忙しくなった。そして、医師や患者、同僚など周囲に優しくなれなくなったと。そう感じて退職したというんですね。

 番組は続いて、ここ数年ベテランの看護師が職場を離れるケースが相次いでいると。まあ新卒看護師の離職も大変大問題なんですが、ここではそういうレポートをしておりまして。介護が必要な患者が増えた、医療の進歩で高齢者の手術ができるようになり、体力がない分だけ看護師の負担が増えているんだと。それから、カルテへの詳細な記入が、まあ診療報酬に連動したこともあって、仕事量が大幅に増えて、患者に寄り添うことすらできないでいる。これが実態だというふうに思うんです。

 最初に大臣にお聞きしたいんですが、元々不足があった上に業務量が今激増している、大臣は衆議院の答弁で、看護師の労働実態については事業者の責任だという答弁されているんですが、私は事業者の努力だけでは克服できないような段階に来ているのではないかと思うんですが、その点、いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 看護職員の労働実態等について各般の調査等を通じて把握しておりますが、例えば平均夜勤回数や平均週所定労働時間等については、今御指摘でございますけれども、着実に改善していると理解しております。平均夜勤回数、平成元年が九回、十三年の調査では八・三回になってきております。また、平均週所定労働時間、正職員の場合、元年が四十三時間九分、平成十三年で三十九時間二十七分、これは看護職員実態調査からでございます。

 一方で、医療技術の進歩、患者の高齢化、重症化、平均在院日数の短縮化等により、看護職員の役割は複雑多様化し、その業務密度は高まっていると。これはある意味では委員と同じ受け止め方をいたしております。医療の安全を確保し良質な医療を提供するためには、看護職員の確保とともに、勤務条件や職場環境等を改善していくことが重要であると認識しております。

 今後とも、看護師等の養成、処遇の改善、就業の推進等、総合的な看護師確保対策は進めてまいりたいと考えております。

小池晃君

 月九日が八日に近づいたなんて当たり前で、八日というのは目標だったわけで、それを超えてない、八日以上の実態が残っているということが問題なんですよ。しかも、大臣、後半で言ったように、仕事の中身が全然変わってきている。密度が極めて高度になってきているということを私は見逃すことできないと思うんです。

 そこで、その看護師の養成をどう進めるかなんですが、お配りした資料は昨年十二月の第六次看護職員需給見通しであります。これ、現在の不足数四万一千七百人が五年後には一万五千九百人まで改善するというけど、果たして本当なのか。今回は、その配置数を算定する上で医療機関の実態調査を行い、また都道府県に示した策定方針には看護職員の労働条件整備を考慮するということを明記している。これはいいことだと思うんです。具体的には、週四十時間労働、産前産後休暇、育児休業の全員取得、年休、介護休業取得に必要な人員を見込むこと、夜勤は三人以上基本、月八回、研修に必要な人員確保、こういったものを算定の条件にしているんです。これは、以前から都道府県のいろんな算定がばらばらだというふうに指摘されて、こうなったはず。

 ところが、検討会報告書を見ますと、今回の策定に当たって、年休取得数を達成した数字を基に算定した医療機関や都道府県があった一方で、実現可能な数値の都道府県もあったとされている。すなわち、確保すべき労働条件を整備して、すべてやったわけじゃなくて、その基準を引き下げて需要数を算定したところがあったということなんですね。

 そこで、局長にお聞きしますが、きちっと年休取得数を達成した数字を基に必要な看護師の人員を算定したところはどれだけあるのか。そうでないところは実現可能な数字というのは一体どういう基準だったのか。そもそも、これ非常に大事な作業なんですけれども、都道府県から上がってきた数値について、今のような点について厚労省として検証はしたのか。お答えください。

政府参考人(松谷有希雄君)

 御指摘の第六次看護師需給見通しにつきましては、それの見通しに関する検討会が取りまとめました策定方針に基づきまして、看護職員の確保を推進する責務を有する都道府県ごとに各医療機関等に対する実態調査を具体的に行いまして、関係団体などから参加協力を得て設置した検討の場で策定をしたわけでございます。

 需要につきましては、保健医療福祉政策推進の観点から望ましいと考えられる事項を提示した上で、各医療機関等の判断を踏まえ把握することを基本といたしまして、前提とされる勤務条件につきましては、週四十時間労働、週休二日制、産前産後休業……

小池晃君

 それはもういい。

政府参考人(松谷有希雄君)

 いいですか、育児休業の全員取得のほか、年次有給休暇については法定休暇日数の消化等を基本の方針として示したところでございます。実際の需要の策定に際しましては、年次有給休暇について、策定方針に基づきまして達成された方が望ましいと考えられる日数を基に算定した医療機関等や都道府県があった一方で、御指摘のとおり、実現可能な数値を基に策定した都道府県もあったことなど、医療機関等や都道府県によって勤務条件の改善の見込み具合は異なっております。

 今回の需給見通しは、勤務条件の改善見込み具合を実際どの程度と見込むかも含めまして、厚生労働省が示した策定方針に基づきまして各都道府県ごとに作成したものを積み上げるということを基本に策定をしたわけでございます。したがいまして、需給見通しの前提となっております勤務条件につきましては、事務的に厚生労働省において検証を行うというものではなくて、むしろ今回実施した実態調査を通じて把握した情報や関係機関との協力体制を活用して、地域の実情に即した看護職員確保対策を講ずるという方が適当であるというふうに考えてございます。

 幾つの県がどのやり方を取ったかにつきましては、ちょっと済みません、手元にないので、後ほどお知らせしたいと思います。

小池晃君

 要するに、もう都道府県がやったそのままの数字を積み上げただけだという話なんですよ、条件示したけれどもね。やっぱりこの数字が不確かなものでは正確な見通しにならないと思うんです。

 例えば、前提条件で有給休暇取得率一〇〇%という条件になっているんですが、昨年の日本医労連のアンケートでは年間五日未満が三〇・九%、これ五年前より大幅に増えています。それから、日本看護協会の調査でも十日以内が五四・五%、平均だと八・二日だというんですね。

 これ厚生労働省の調査では、一年間に使える有休の日数二十日以上持っている人が九割以上なんです。全看護職員百二十五万人の未消化分を仮に十日というふうに、二十日のうち八・二が平均だというんですから、少なく見て十日として、一人年二百四十日出勤として計算すれば、これだけで五万二千人が足りないということになる。三人夜勤で月八日以内の基準というのも、これ実際、厚労省の調査では月九日以上が四割弱、しかも五割が二人以下夜勤なんですね、実態としては。

 局長、端的にお答えいただきたいんですが、三人夜勤で月八日以内という厚労省示した基準でシフトを組んだ場合には、それで新たにどれだけ看護師が必要になるのか、試算はあるんでしょうか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 今御指摘の、一人当たり夜勤時間が一月当たり六十四時間以内、八時間の八回ということ、そして三人以上の夜勤を基本とするということとしているわけでございますが、今回の需給見通しはこうした策定方針を示した上で先ほどのような形で各都道府県において算定したものであることから、御指摘のすべての医療機関について三人夜勤体制、月八回の当直と仮定を置いた場合に必要となる看護師数の試算は行っておりません。

小池晃君

 行っておりませんといっても、これ、厚労省と都道府県が協力すれば見込み数出せないはずないわけなんですよ。やっぱり非常に不十分だというふうに思う。

 日本医労連は、今回の策定方針の基準で需給見通し出すなら二百万人は最低必要だということで、根拠も示して厚労省にも要求しているというふうに聞いていますし、私は医療現場の声をもっと真摯に耳傾けるべきだと思うんです。

 それから、供給の問題です。

 大臣は衆議院の答弁で、看護師の総数は足りているんだと、離職した有資格者が五十五万人いるんだというふうに答弁されていますが、この五十五万人の推定の根拠、年齢構成、看護歴なんかはこれ把握されているんでしょうか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 潜在看護師五十五万人の推定根拠でございますけれども、平成十六年七月に行いましたこの推計は、対象年齢を六十五歳までといたしまして、免許保持者数から就業者数を減じて平成十四年末現在数を大まかに推計したというものでございます。

 具体的に申し上げますと、まず免許保持者数につきましては、看護師等学校養成所の各年の入学時の年齢構成比を用いまして卒業時点での年齢構成を算出をする、これに毎年の国家試験合格率を乗じて免許取得時点での年齢分布を推計をいたしてございます。さらに、この免許取得時点での年齢分布を基に各年ごとに生存率を乗じまして、平成十四年末の六十五歳以下の免許保持者数を約百七十七万人と推計したところでございます。この約百七十七万人から六十五歳以下の就業者数、約百二十二万人でございますが、これを差し引きまして、平成十四年末現在の潜在看護職員数を約五十五万人と推計したところでございます。

 したがいまして、年齢につきましては実態を勘案したものとなってございますが、就業歴、再就業の実態を勘案したものではございません。

小池晃君

 だから、余りこの数字、五十五万人というのも根拠があるものではないんですね。しかも、第六次見通しでは、表に示されているように、再就業者数だけが五年間年々増加していくという仕組みになっていて、最終的には一万三千人も増えるというんですね。

 この再就業者数がこれだけ増える根拠はあるんでしょうか、局長。

政府参考人(松谷有希雄君)

 この需給見通しの策定におきましては、供給につきましては現状及び今後の動向を踏まえて把握するが、その際、都道府県において一定の政策効果も加味することとされたところでございます。

 このうち、再就業者数でございますけれども、ナースバンク及びハローワークの実績、実態調査結果によって把握いたしました再就業者数を基に推計したものでございまして、今御指摘のとおり、十八年の八万五千人から二十二年には九万八千人と約一万三千人増加しているところでございます。

小池晃君

 ちょっと余り具体的な根拠はお示しにならなかった。

 私、ある県の担当者に聞いたんですね。そうしたら、その方こう言っている。再就業者数の見通しはあくまで努力目標だと、ここしか数動かせない。確かにそうですよ。新卒者の数動かないから、ここしか動かせないから、年五%ずつ向上させる数字にした、別に根拠はないと、こういうふうにおっしゃっている。

 そもそもこの再就業者数、要するに、いったん看護師辞めた人がまた働こうと思うような今環境かどうかということだと思うんですね。今、平均在院日数短縮迫られている、医療現場、コスト削減迫られている、インフォームド・コンセント、院内感染対策、医療事故対策、みんな大事ですが、労働密度は高まる一方だ。こういう中で、いったん辞めた人が本当に就職しようと思うだろうか。日本看護協会の最近の調査では、平均在院日数の短い施設ほど離職率が高いという、そういう結果もう出ている、これが実態なんですよ。実際、神奈川県のナースセンターで再就業の実績聞いたらば、この七年間で就職実績は千八百二十三人から千三百十二人に連続して後退しているというんですね。

 これ大臣、こういう厳しい労働環境が続けば、再就業者が増えるどころか、私は減ることさえ懸念されるんではないかと。こんなふうに一万三千人もこれから再就業者が増えるような今現場の環境にあるとお思いですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 県のデータを基にこの間も少し議論をさせてもらいました。看護協会、医師会、また県当局、また私どものハローワーク、そうしたものが各県において協議を重ねながらしっかりとした体制をつくり上げているところは、今お話しいただいた再就業者数がある意味では増えてきていると、体制がやっぱりしっかり整備できていないところはその足取りが重いということは事実でございます。

 そういった意味で、各県におきましてしっかりとした体制が取れるように私どもしっかり支援をしていかなきゃならないと。現実問題、そうした機能が十分まだ機能していないということも事実だろうと思っております。

小池晃君

 極めてこの再就業者対策というのは不十分だと私、思います。

 そもそもこの需給見通しというのを見ていただくと、毎年五万人の新規の就業者数があるんですが、その二倍を超える退職者数が出るという構造なんですよ。そういう中で、再就業者が増えていくからその不足数は減っていくと。これは本当に私、無理があると思うんですね、こういう構造。辞める人の方が入る人よりも二倍多いという基本構造の中でやっていくということに非常に無理があるというふうに思う。

 私は、需給見通しについても、需要の部分も供給についてもいろんな不十分点あると思うし、都道府県に対してきちっと基準どおり計算させることはもうもちろんだと思うんですが、局長、これ需給見通し全体についてやはり抜本的に見直していくということが必要なんじゃないですか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 需給見通しの考え方でございますが、必要量について測定方法あるいは算定方法等についてはいろいろな考え方があるわけでございます。修学場所別の推計作業のみでは各施設が本当に必要としている数が反映されていないんではないかという指摘もございまして、今回は都道府県ごとに実態調査を各医療機関に対して行いまして、各関係団体などが参加協力を得て設置した検討の場で作成をしたと、先ほど申し上げたような形での検討をしたわけでございます。また、需要面につきましては、保健医療福祉施策推進の観点から望ましいと考えられる事項を提示した上で、各医療機関等の判断を踏まえて把握したことから、医療現場の声は反映されるということに今回なったわけでございます。逆に、本来こうあるべきだというところ、全国統一でやるというところからは遠くなったということであろうかと思います。

 今後、職員の需給見通しを行うに当たりましては、これらの両者のバランス、現実の現場での問題と、それから政策上こうあるべきだというものとのバランスをどのように取るかということで、また改めて検討してまいりたいと思っております。

小池晃君

 これ、やっぱり抜本的に見直すべきだというふうに思います。

 大臣、そもそも今度の法案、本法案は、医療機関への平均在院日数削減、診療報酬の引下げなどがメジロ押しになっている。こういう中で一番最初にしわ寄せ来るのは看護師の労働だというふうに思うんですね。その結果が医療の低下、患者の命、健康にも響いてくるわけであります。

 大臣、このような、医療現場に対して物すごい圧力を掛けるような、経営的なあるいは日数減らしということでの圧力を掛けるようなやり方というのは、今の看護師の労働の実態を更に悪化させ看護師不足に拍車を掛ける、そういう危険性があるというふうには考えませんか。

国務大臣(川崎二郎君)

 看護職員確保対策については、看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づき、養成力の確保、離職の防止、再就業等の総合的支援を行っているところであり、また看護職員の勤務時間、夜勤体制を加味した診療報酬の改定がなされたところでございます。現実に、看護職員の夜勤回数につきましても、先ほど申し上げたように、元年九回が八・三回に変わっておりますし、二交代及び変則二交代制の場合も、平成五年月五・一回だったものが平成十三年には月四・七回に減少しております。そういった意味で、夜勤回数の軽減を含め、看護職員の処遇改善に努力をしてまいりたいと思っております。

 一方で、平均在院日数の短縮等、これはもう入院日数というものを減らしていかなきゃならぬという大きな目標の中で進んできているところでございますので、それがゆえにということで御指摘いただいておりますけれども、どうぞ平均在院日数の短縮等については御理解を賜りたいと思います。

小池晃君

 私は順番が全く逆だと思うんですね。看護体制を厚くすれば結果としてケアは向上するし、ケア内容が濃密化するし、その結果、平均在院日数が減っていくということになれば、それは非常にいいことだと思いますよ。

 ところが、そういう現場に対する手当てをすることなしに、一律に機械的な目標を押し付けてプレッシャーを掛けるようなやり方というのは、大臣おっしゃったように、今看護現場は必死に努力して少しでも労働環境を良くしようと努力している、そういう努力をぶち壊すことになるんですよ。私は、そういう意味では本当に改革すべきことというのは全く間違っているし、今のこういう労働実態改善する、そのために抜本的な手を打つことこそ医療現場、特に病院医療の現場では一番求められている改革であるということを申し上げたい。

 最後に、これだけ厳しい労働条件の下で働いている中で、今、成果主義賃金制度が看護の職場に持ち込まれているということを紹介したい。

 NTT東日本関東病院ですが、二〇〇一年から看護師に成果主義が導入されています。個人単位の目標をチャレンジシートに記入をする。その達成度を看護師長がランクを付けると。SA、A、B、C、Dの五段階だと。資格賃金は五割、成果賃金が五割、一時金にも影響するから、年間数十万円の格差が生まれるんですね。

 看護師さんに直接話を聞くと、人が足りずに本当に必死に頑張って何とかいい医療をと働いているのに、データを幾つ集めたとか、症例を何人分まとめたとか、患者向けパンフレットを幾つ作ったと、こういうことだけしか評価対象にならない、ベッドサイドで患者の悩みを聞いてもそれは点数にならない、評価されない、こんなことで差別されたらたまらないというふうに言っています。二年間Dランクの人はNTT病院には必要ないというふうに言われる。ほとんどの人が平均以下のCにしかならない、事実上の賃下げだと。残業しても評価下がるのではって、申告しないでサービス残業になっているというふうにも聞きました。私、この声の中で一番胸に響いたのは、医療というのは命を預かる仕事でチームワークが一番だと教えられてきたんだと、それを個人の達成目標を持つように指示され、個々のチャレンジシートは公表されないから、各自がばらばらで働くようになって、チーム医療をしにくくなっているんだというふうにも聞いた。

 大臣、これ一般企業でさえ五割が適正な評価できないという、いろんな弊害が成果主義賃金については問題指摘されているんですよ。これ、ましてや、チームワークが何よりも大切な医療分野にこういったものを導入する、私はこれは厚労省としてもしっかり物を言うべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 医療を取り巻く環境が大きく変化しており、医療機関の経営について、限られた資源を最も有効に活用する体制を構築し、医療機関の経営管理者が合理的かつ効果的な取組を行うことができるよう、経営管理体制の強化や人事管理機能の強化等が求められているというのは、これは事実だろうと思います。

 御指摘の成果主義に関して、能力主義、成果主義により賃金の決定を行っている企業があること、また医療の分野でもそのような観点からの取組を行っている事例も参考にして、医療の質や経営の成果、貢献度といった点を視野に入れた処遇、賃金制度の導入について検討していく必要があると考えております。

 一方で、患者の視点に立った安全、安心で質の高い医療を受ける体制を構築するためには、複数の医療専門職がチームを組み、それぞれの役割を果たしていくことが重要だと考えております。それは今、小池委員もチーム医療ということをお触れになりました。特に、看護サービスにおいては人材を量的のみならず質的に充実させることが必要不可欠となりますが、業績を適正に評価するシステムを機能させるなどして、常に看護職員が満足感を持って職務に従事できる環境を整えるということが何よりも大事だと考えております。

小池晃君

 今の大臣の発言に照らせば、私は成果主義賃金の導入というのはこれは認めるべきでないというふうに申し上げます。

 以上で終わります。

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