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168臨時国会 厚生労働委員会 最低賃金法、労働契約法に対する質疑

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2007年11月27日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 冒頭、前回取り上げた薬害C型肝炎の問題について、四十七名の方が亡くなられているということが今日報道されました。四百十八人の命のリストのうちほぼ特定できた二百五十名の中で四十七名ですから、これは一九%、約二割、全体にすれば約八十名ということにもなりかねない事態です。

 告知されていたのか、きちんと治療を受けていたのか、特に死因は何なのか、前回私質問しました。大臣は、前回の答弁で、きちんと製薬メーカーは死因についても徹底的に調査してもらわないといけないと、こう言いました。

 しかし、私、今日確認したらば、いまだに製薬メーカーに対しては死因の調査の指示をされていないと、事務方そう言っています。どうしてこういう事態になっているんですか。

国務大臣(舛添要一君)

 きちんとこういうことについてもメーカーとして協力をしてくれというような指示を既にしております。しかし、今のところ、今委員がお示しになって、今日私の方から田辺三菱製薬からあった報告を公表いたしましたが、メーカーの方からはその死因の調査をやっていないということでありますので、これは国として基本的に調査をやるということで今対応をしようとしております。

小池晃君

 違うんですよ。私聞いたら事務方は、私、医薬局に電話したんですよ、指示出しているんですかと。そうしたら、出してないって言っているんですよ。どうなっているんですか、違うじゃないですか。

国務大臣(舛添要一君)

 私は、きちんとそういう指示を出していますから、少し精査をして、どういう状況であるかを精査した上で、またこの委員会ないし理事会に御報告いたしたいと思います。

小池晃君

 重大だと思いますよ。大臣は出したつもりでいても、現場じゃ出してないんじゃないですか。そういう事態になっているんですよ、だとすれば、本当だとすれば。これはしっかり調べて、どういう経過だったのか報告をしていただかないと困る。

 その上で、今日大臣は、メーカー任せだと時間が掛かるから、国で今週中に検討会を立ち上げると。何言っているんですかと。メーカーにやらせて時間掛かるじゃなくて、厚生労働省がまだ指示出してないんですよ。十月二十二日に製薬企業を呼び出してから一か月以上も放置されているという事態ですよ。一か月たってようやく検討会ですか。これで対応しているというふうに言えるんでしょうか。

 私は、こういう形で放置した大臣の責任は極めて重大だと思いますが、大臣、その責任についてはどう考えますか。

国務大臣(舛添要一君)

 メーカーはメーカーなりに私の指示に基づいて対応はしていると思いますが、私の視点から見て十分ではないし、国民の目線から見たときにそれがきちんと対応できるとは思わないんで私は、それから個人情報についてメーカーがどこまで取れるかというようなことの制約もあることもやはり考えないといけない。

 そういうことで、国が検討会を開いて、国が直接調査をする方向で検討会を、既にこのメンバーも決め、立ち上げ、今週中にその作業に入ると、そういう決意で国民の目線できちんとやるということを決めた次第であります。

小池晃君

 大臣は、じゃ、事務方から製薬企業に指示が出たことを確認されたんですか。

国務大臣(舛添要一君)

 その点についてどういう経緯があったか精査して御報告いたします。

小池晃君

 全然駄目だと思いますよ。私、これ製薬企業の責任はもちろん一番ですよ。しかし、一日一日が今本当に大事なわけですよ、この被害者の方にとってみれば。もう本当にどんどん進行していく病気です。これをやっぱり対応を更に後手後手で、二〇〇二年の対応だって悪かった。それをまた今回処理するという対応もまた遅れていると。私、厚生労働省の責任、極めて重大だし、大臣がもし指示しているんであれば、それが事務方が製薬企業に死因の特定の指示出していないって、これは重大な問題ですよ。はっきりこの責任取っていただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 一日も早く告知しろということはきちんと守られてやっていると思います。ですから、一日も早くこのフィブリノーゲンを告知、その投与事実を告知しなさい、これはきちんと今やっている。

 さて、そこで、今四十七名お亡くなりになった。普通の感覚でいえば、何が死因なんですか、なぜお亡くなりになったんですかと、そういうことをきちんと調べないといけない。したがって、これについてきちんと国で調べる。要するに、そういう方向を取ったということですから、一日も早く知らせる。これをきちんと当然今やっております。そして、死因についても私の納得のいく答えがメーカーから上がってきませんから、国が直接乗り出して、専門家のお医者の先生方も含めて人選も決めました。そして、直接この患者さんが、今から設計します、専門家の意見をいただいて設計します調査票にお医者さんからその内容を書いていただいて直接国に出していただく、そういう形の新たな手を今取ろうとしているところであります。

小池晃君

 死因を特定する指示を厚生労働省の事務方は製薬企業に出していないんですから、大臣のところにそういう報告が上がってくるはずがないんですよ。そういう事態に今なっているということをきちっと調査していただきたい。これは私は重大な問題だと思います。

 引き続いて労働契約法についてお聞きしますが、本法案では就職の際に周知されていた就業規則があれば、その内容が合理的である限り就業規則が労働契約となる、そうされています。就労と給与を払うという合意さえあれば、労働基準法の重要事項の文書明示義務に違反して、賃金や就業場所等の示しがなくても本法により労働契約は成立をし、その就業規則がその労働契約の内容になってしまうということでよろしいですね。確認です。

政府参考人(青木豊君)

 労働契約法案の第六条は、「これは、労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。」と定めておりますし、また労働基準法の十五条の労働条件明示については、従前から労働契約の締結に当たって労働条件が明示されなかったとしても、その労働契約自体は有効に成立するものと解しております。

 さらに、この今回の労働契約法案第七条は、労働契約の締結の場面において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、原則として労働契約の内容はその就業規則で定める労働条件によるものとすることを定めておりますので、したがって御指摘のとおりということになります。

小池晃君

 つまり、使用者側は刑事罰を科せられる可能性がある行為を行ったとしても、労働者の側から辞めるという自由しかないわけで、これではもう労働者保護とは言えないのではないかというふうに思うんです。

 就業規則にはいろんなことがあるということが参考人質疑でも取り上げられて、今日資料で蛇の目ミシンの就業規則をお配りしております。

 この就業規則二枚目に三十七条というのがありますが、これは、三十七条は営業社員が成績を達成できなかった場合は退職するというふうに定めておりまして、具体的には一級から七級の社員が売上高二百四十万円以下の場合はいきなりこれ退職となると。これは裁判でも争われているんですが、このケースでは就業規則を初めて見せられたのは退職するときだ、解雇されるときだというんですね。

 局長、引き続き聞くんですが、本法案で就業規則が労働契約の内容になるんであれば、就職の際に、せめて労働者に対して就業規則を配付するということを前提にすれば、少しは紛争回避に役立ったんではないかと思うんですが、なぜそれをしなかったんですか。

政府参考人(青木豊君)

 就業規則の交付というのは、確かに就業規則の周知方法の一つでございます。しかし、そのほかにも作業場への掲示でありますとか備付けなど、有効な周知方法はあり得るので、就業規則の交付を義務付けるまでの必然性はないというふうに考えたわけであります。

 その上で、労働契約法の七条では、労働契約の締結の場面において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、原則として、労働契約の内容はその就業規則で定める労働条件によるものとするということを定めておりまして、周知を欠く就業規則は労働契約の内容となることがないようにいたしておるわけであります。

小池晃君

 ところが、周知といっても、引き出しに入っているだけとか見れないイントラネットに入っているだけという実態なんだということは前回も申し上げたとおりで、やはり事前に示されていなければ争いようもないわけであります。

 その上で、本法案で、使用者が就業規則を変更した場合、裁判でその労働条件の引下げが合理性がなく無効だという判決が確定しない限りは、就業規則によって変更された労働契約が事実上有効になるということだと思います。これは何度か確認されてまいりました。つまり、それまでは賃金は減額、労働時間は延長されたままということになる。

 この間、ADRといいますか個別労紛、あるいは労働審判等も整備されて、そこで解決される事例も増えておりますが、しかし、訴訟まで徹底的に争う企業も少なくありません。特に大企業ほどそういう傾向が強いと。結局、裁判争えばこれは何年も掛かる、訴訟費用も大変だ、先ほども議論がありました。局長、そこまでできる労働者が一体どれほどいると考えておられるんですか。

政府参考人(青木豊君)

 労働契約法案の十条で就業規則の変更による労働条件の内容の変更について規定がされているわけでありますけれども、これは、変更後の就業規則を労働者に周知させて、かつ労働者の受ける不利益の程度などの事情に照らして合理的なものであるときは、これは労働条件は変更後の就業規則に定めるところによる旨を定めておりまして、あくまでも周知の有無と変更の合理性によって有効か無効かを決するというふうになっています。

 したがって……(発言する者あり)いや、まず前提のお話として、労働者が裁判で勝つまでは有効というような、例えばあらゆる就業規則変更に合理性を推定するなどの法的効果は、この条文にはないわけでございます。

小池晃君

 しかし、今言ったみたいに、私が言ったように、ちょっと私の質問に答えてないんですけれども、訴訟で最終的には今言った合理性の判断もしなければいけないわけでしょうと、そういうことができる労働者がどれだけいるのかというふうに私聞いているんですが、答えありませんでした。

 やっぱりこの実態から見れば、裁判に掛かる手間と費用を考えれば、よほどのことがない限り、これは泣き寝入りになってしまうんではないか。現状では一方的変更でたくさんの労働者が泣き寝入りをしているのに、それを追認するような法律を幾ら作っても、これは労働者は救われないというふうにやっぱり言わざるを得ないと思うんです。

 さらに、第四銀行事件の七つの考慮要素のことについて、この間、質問何度もされていますが、これ全部入っているんだというふうにおっしゃる。

 大臣、これは大臣にお聞きしたいんですが、使用者あるいは裁判所が、これ全部入っているんだと、答弁のとおり解釈するための担保というのはこれは何か考えていらっしゃるんですか、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 これは、判例法理を足しも引きもしないという基本的な原則でやっているわけですから、この判例法理に何らの変更を加えるものではありません。

 したがって、こういうふうな形で、今御引用なさった第四銀行の判例、これについての七要素と四要素の関係、今おっしゃったわけですけれども、きちんとこの法案で書かれたことを周知徹底して、これを守っていただくと。この変更のときの合理性ということをきちんと徹底して、我々も周知していく努力をやっていきたいと思います。

小池晃君

 それから、本法案には労働組合等との協議の状況ということが明記されていて、これは少数組合、労働者個人との協議も含まれると答弁がありました。

 大臣は、この労働契約法によって企業の社会的責任を世に周知させ、その合理的な行動を求めるために法律が必要だと。そういう趣旨からすれば、その立法趣旨からすれば、本法案によって、就業規則によって労働条件を不利益変更するときには、多数組合のみならず、少数組合あるいは労働者個人との協議を行う必要があるというふうに立法趣旨として考えておられるということでよろしいか。

国務大臣(舛添要一君)

 法案の第十条で「労働組合等との交渉の状況」とあるその労働組合等には、多数労働組合や過半数代表者のほかに、少数労働組合や労働者で構成される親睦団体など広く労働者の意思を代表するものが含まれていると、そういうふうに考えております。

小池晃君

 それを使用者にはどのように徹底するつもりか、あるいは使用者団体だけではなくて、労働組合やあるいは労組の全国団体通じて労働者に対して周知もすべきではないかというふうに考えるんですが、その点いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 それはもう基本的には、個別の事案について、労働組合、使用者、いろんな種類の労働組合ありますけど、それの判断に事案ごとに従うしかないと思いますが、しかし、判例法理も見ましても、多数組合の同意さえあれば就業規則変更ももうそれは好きなようにできるというふうには私は読めないというふうに思います。

小池晃君

 いや、だから、今言ったこと、局長でも結構ですけれども、周知の仕方についてお伺いしたい。

政府参考人(青木豊君)

 労働契約法案は、これは労働契約に関する基本的ルールを明確にして、言わば個別の労使紛争をできるだけ予防していこうということでありますので、これは、その実効性を高めるためには、労使双方に対してその周知、趣旨の徹底というのを図っていくのは大変大切だと思っております。

 したがって、この労働契約法案が成立した暁には、現在の判例法理だとか実務に即した適切な法律の解釈、運用が行われるように分かりやすいパンフレットを作成するなどして周知を図っていきたいと考えておりまして、御指摘の労働組合に対する周知についても検討していきたいというふうに思っております。

小池晃君

 それから、労働者の範囲をどうするのかという点も大きな論点なわけですが、ILOで二〇〇六年六月に雇用関係に関する勧告が採択されて、雇用関係が存在する条件として経済従属性を考慮に入れるということが提案されております。この勧告採択に日本政府賛成しておりますが、大臣は、労働者性の拡大というこの勧告について、ILOの、どう評価されているのか。

 あわせて、今回の法律を制定するに当たって研究会の報告書では、労働者の範囲について、労働基準法の労働者のみならず、それ以外への拡大、請負契約についても対象にするということがされていたんですが、この法律には反映しておりません。労働者の範囲の拡大という問題について、これは引き続き検討を深めていくべきではないかと思いますが、大臣の所見を伺います。

国務大臣(舛添要一君)

 先に引用されましたILOの雇用関係に関する報告では、雇用関係の存在の決定というのは第一義的に業務の遂行及び労働者の報酬に関する事実に従って行われるべきだと規定されておりまして、我が国の労働基準法もこの考え方にのっとっているというふうに思います。

 したがって、労働契約法の対象となります労働者の範囲についても、この現行の労働基準法と同様に整理していいと思いますが、ただ、今委員が御指摘いたしたような労働者の範囲、この在り方については、今のような議論もありますから、今後様々なそういう議論を取り入れながら更なる検討課題としてまいりたいと思います。

小池晃君

 それから、最低賃金制度にかかわってお聞きしたいんですが、資料をお配りしております、三枚目以降を見ていただきたいんですが、建設請負会社のエム・クルー、これはネットカフェ難民を扱う会社として登場して、社長がホームレスだったこと、あるいは竹中平蔵さんと非常に仲がいいというか、そんなことでも話題になっています。これは、都内主要駅ほとんど、レストボックスという二段ベッドの宿舎を提供して、簡易宿泊と建設請負の仕事紹介をセットにして営業している、そういう企業です。

 この会社で働いている労働者が今年十月労組を作りまして、安全協力費とか福利厚生費の名目で最大一日五百円の天引きが同意なく行われているということで全額返還を求めております。

 お配りしたのは、この会社の建設会社に対して向けたチラシと、それから労働者に向けて出した案内。これを見ますと、建設会社が支払う料金というのは一日一人当たり、これキャンペーン中なんでちょっと安いんですが、組合によりますと、一日一人当たり一万二千三百八十円なんです。ところが、二枚目見ていただくと、労働者に対する賃金見ると、これ七千七百円なんですね。問題の経費五百円ここから引きますから手取りで七千二百円、もう実にマージン率が四二%ということになるわけです。

 これ、時給換算すると九百円で、まあ最低賃金はクリアしているかもしれません。しかし、料金の六割程度の賃金で、しかも交通費込みだと。宿泊費、これは千八百円取られるんで、残るのは五千四百円。これ、宣伝では、エム・クルーで働いて頑張れば部屋が借りられるようになる、こう言っていますけど、これでは生きていくのが精一杯ではないかなというふうに思うんですね。

 最賃がやっぱり低いことがこういう事態を生んでいる原因の一つにもなっているのではないかと思うんですが、この会社、建設請負で派遣事業法の登録していません。しかし、実際には他社の工事現場に労働者を送る、実態としては労働者派遣。元々、建設は禁止されているはずなんです。

 大臣、今こういう貧困ビジネスというのが大きく広がっているんですね。宿泊施設付きの派遣や請負、こういう事態について実態把握がされているのか。もし把握していないのであれば、私は派遣法や労基法に基づいてきちっと調査すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 今は一つ個別の案件を御引用なさいましたけれども、一般的に、基本的には労働関連の法令に違反したところに対してはきちんと厳正な処置をやると、そういう方向で我々はやっていっているし、今後ともその方向は曲げないでやっていきたいというふうに思っております。

小池晃君

 いや、そういう一般論じゃなくて、こういう貧困ビジネスというのはかなり大きなトレンドになってきている中で、厚生労働省としてもこれはやっぱり一定の問題意識持って調査をするという態度、必要じゃないですか。

国務大臣(舛添要一君)

 その点も含めまして、先ほど来のほかの委員の先生方にもお答えいたしましたけれども、九月から労働政策審議会において、そういう点も含めて派遣労働の在り方について再検討を加えるということをきちんとやっておりますので、その結果を踏まえて必要な対処をいたしたいと思います。

小池晃君

 それから、最低賃金について生活保護を下回ってはいけない、これ当然の話なんですが、生活保護制度には勤労控除という仕組みがございます。勤労収入を得るために特別な経費が必要になることから、平均でいうと月二万三千百三円、時給だと百三十一円です。

 基準局長は、これ、労働して賃金得る場合には生活保護を受ける場合よりも必要経費が増加するという観点から見れば、一定程度上回るものとすべきであるという考え方もあり得るという答弁をされていますが、私はこの生計費の問題については勤労控除に相当するような部分というのもこれは考慮の対象にすべしと思うんですが、どのようにお考えですか。

政府参考人(青木豊君)

 最低賃金と生活保護の比較に当たっては、そもそも制度上の違いといいますか、があるわけでして、生活保護は年齢や世帯によって違うとか、今お話のありましたような各種加算だとか住宅扶助だとか医療扶助だとかいろいろあるという、これをどういうふうに考慮するのかというのは実はやっぱり問題だというふうに思っています。

 一つの考え方ということで、私どもは従来から衣食住ということで、若年単身世帯への住宅扶助、それから若年単身世帯の生活扶助基準と、それと住宅扶助ということで言ってきているわけで、それが一つの考え方じゃないかということも申し上げてまいりましたけれども、具体的な整合性をどういうふうに考えていくかということについては、これは最低賃金審議会、中央の最低賃金審議会、それから地方の最低賃金審議会で具体的に調査審議をして決定されるべきものというふうに考えております。

小池晃君

 審議会で検討というけど何を要素とするのかと、基準をやっぱり責任を持って示すべきであるということを申し上げたいと思います。

 最後に、最低賃金審議会の構成についてお聞きしますが、労働者委員が何名か。ナショナルセンター別にはどうなっているのか。それから、パート労働者とか非正規労働者、最低賃金が問題になるようなそういう組合からの委員はいるんでしょうか。簡潔に。

政府参考人(青木豊君)

 最低賃金審議会委員の労働者代表でございますけれども、中央及び地方の最低賃金審議会、合計いたしますと、合計で二百四十三人、中央は六人、地方は二百三十七人ということでございます。

 お尋ねのナショナルセンター別に見ますと、二百四十三人は日本労働組合総連合、連合に加盟する労働組合から推薦された候補者でございます。それから、パート等非正規労働者についてでありますけれども、これは最低賃金審議会の労働者代表委員につきましては、関係労働組合の推薦を受けた者の中からいわゆるパートタイム労働者等、そういう労働者を含む労働者一般の利益を代表するにふさわしい者を任命しているというふうに考えております。

小池晃君

 やっぱり当事者がいなけりゃこんな議論できないと思うんですが。

 ちょっと、もう時間ないんで答弁はいいですが、厚生労働省が把握している労働組合の構成比率は、連合で言うと六六%、連合以外で三三%だというふうに私はお聞きしました。大臣、この最低賃金審議会の労働者委員が長年連合だけだという事態続いているんですけれども、やっぱりこれは広く公募して民主的手続で毎年改選すべきだという声が寄せられておりますが、この問題についてやっぱり検討していく必要があるのではないかというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 この毎年改選を二年改選というふうにしたのは、国の審議会一般の任期が二年だということでそれに合わせようということの趣旨でありますけれども、委員のおっしゃるような意見があるということをきちんと賜った上で更に検討を続けていきたいと思います。

小池晃君

 四十年ぶりの最賃法の改定に労働者の期待は大きいわけですが、なかなかいろんな問題がある、事業者の支払能力定めているのはOECD加盟三十か国で日本とメキシコだけというような問題もあります。更なる修正を是非することを呼び掛けたいということで、質問を終わります。

以下、最低賃金法改正案に対する修正案趣旨説明

小池晃君

 私は、ただいま議題となっております最低賃金法の一部を改正する法律案に対し、日本共産党を代表して、修正の動議を提出いたします。

 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。

 これよりその趣旨について御説明いたします。

 今日、貧困と格差の拡大が日本社会の深刻な問題となっており、どんなにまじめに働いても生活保護水準に達しないワーキングプアと呼ばれる世帯は四百万以上、年収二百万円以下の労働者は実に一千万人を超えています。

 その原因の一つは、先進国で最も低水準の最低賃金額が、労働者の最低生活の下支えどころか、おもしになってきたことにあります。その深刻さから三十九年ぶりの改定が行われることになり、労働者も大きな期待を寄せていました。ところが、政府案では、都道府県別の四十七種類という世界一細かく分かれている地域別最低賃金制を固定化し、引上げのブレーキとなってきた事業者の支払能力を決定要素に残すなど、労働者の切実な要求から懸け離れたものとなっており、衆議院の修正もその枠組みを残したものとなっています。

 本修正の目的は、貧困と格差の解消に果たす最低賃金制の役割を重視し、世界では当たり前になっている全国一律最低賃金制の創設を始め、真に最低限度の生活を保障するための措置をとることとしております。

 以下、提案する修正案の骨子を説明いたします。

 第一に、第一条の目的規定に、憲法第二十五条第一項の趣旨を表す「健康で文化的な最低限度の生活を確保するために必要な」の文言を追加し、最低賃金法の目的を明確にしております。

 第二に、全国を通じすべての労働者に対し一律に適用される全国最低賃金を創設します。さらに、全国最低賃金が不適当と認められる地域については、全国最低賃金額を上回る額で地域最低賃金を定めるものとしております。また、労働者又は使用者からの申出により、全国最低賃金を上回る額で産業別最低賃金を定めることができることとします。

 第三に、全国最低賃金と地域最低賃金は、労働者及びその家族が健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な経費を基本として定めなければならないこととし、事業者の支払能力は決定要素から削除します。

 第四に、改正後の制度の中小企業における円滑な実施を図るため、中小企業に関する取引の適正化に係る措置、中小企業に対する支援に係る財政上、税制上及び金融上の措置等の措置を講じなければならないこととしております。

 第五に、最低賃金額は時間だけでなく、日、週又は月によって定めること、産業別最低賃金に係る違反についても罰則の対象とすること、派遣中の労働者の最低賃金は派遣先、派遣元の最低賃金のうち金額の高い方の適用とする等、所要の措置を講じることとしております。

 この修正によって、最低賃金を大幅に引き上げてほしいという労働者の願いにこたえるものになるものと確信します。

 以上述べて、提案理由の説明といたします。

 是非とも御賛同くださいますよう、よろしくお願いいたします。

以下、最低賃金法改正案、労働契約法案への反対討論

小池晃君

 私は、日本共産党を代表して、労働契約法案、最低賃金法改正法案に反対、最低賃金法修正案に賛成の討論を行います。

 労働契約法案に反対する理由は、本法案が労働契約の締結、変更について労使合意を原則と定めながら、使用者が一方的に決められる就業規則による労働条件の不利益変更を例外として認めたからであります。

 労働条件の変更の七割が就業規則の変更によって行われており、そのうち二割は労働者との協議が行われていません。就業規則を見ることさえできない職場も多く、労働契約法にはこの実態を是正し真の労使対等を実現することこそ求められていました。

 ところが、本法案は、使用者の横暴を是正するどころか、使用者が合意原則を踏みにじる手段として利用してきた就業規則による労働条件の不利益変更法理を法律化したのです。しかも、判例法理は一切変えず法文化したとしていますが、実際には判例の七要件を四要件に後退させています。

 また、厚生労働省は合理性がなければ就業規則による労働契約変更は無効となると説明していますが、厚生労働省自身が認めたように、就業規則に合理性があるかどうかは、使用者が争えば裁判で決着を付けるしかありません。裁判となれば相当な手間と費用と時間が掛かります。その負担に耐えられない多くの労働者は、結局泣き寝入りせざるを得ません。また、裁判に訴えることができたとしても、勝つまでは労働条件の引下げを押し付けられ、勝つ保証もなく、勝ったとしても失われた時間は帰ってきません。

 貧困と格差の拡大が問題となっているときに、わざわざ労働条件の不利益変更を可能にする法律を作ることは断じて認められません。

 最低賃金法に反対するのは、労働者、国民の切実な願いである現行最低賃金の抜本的引上げに結び付くものではないからです。

 現在の最低賃金は年収二百万円にもならない低水準の上、四十七都道府県ばらばらで大きな地域格差があります。本法案には生活保護水準との整合性が盛り込まれましたが、大幅引上げや格差解消には不十分な内容です。

 事業者の支払能力を最低賃金決定の際に考慮に入れている国は、OECD三十か国中メキシコと日本だけです。支払能力基準を削除し、最低賃金が憲法二十五条の生存権保障であることを明確にする必要があります。

 また、本法案によって、地域別最低賃金は必ず定めなければならないものとされました。本委員会の審議の中でも、地域別最賃の導入は世界でわずか九か国にとどまり、圧倒的多数は全国一律最低賃金であることが明らかになりました。深刻化する地域格差を解消し、すべての労働者の賃金引上げを実現するためにも、地域別最低賃金を必須のものとするのではなく、中小企業支援の抜本的な強化と併せて、全国一律最低賃金の導入こそが必要です。物価や生計費の違いは全国一律最低賃金に上乗せして地域別最低賃金を定めればよく、全国一律最低賃金を導入しない理由にはなりません。

 以上をもちまして、私の反対討論といたします。

以下、社会福祉士・介護福祉士法改正案への反対討論

小池晃君

 私は、日本共産党を代表して、社会福祉士・介護福祉士法改正案への反対討論を行います。

 反対の理由は、介護福祉士の資質向上のため国家試験を必須とする資格取得方法を一元化すると言いながら、養成施設卒業者については、国家試験に合格しなくても准介護福祉士という別の国家資格を付与するからであります。

 介護福祉士資格の教育課程高度化、国家試験義務化は評価できますが、国家試験を義務化しておきながら国家試験に合格していない者にも准介護福祉士資格を付与することは、一元化の趣旨に反し、介護福祉士に対する社会的評価、制度に対する国民の信頼を損ねることになりかねません。さらに、介護福祉士資格への二重構造の持ち込みは、上下関係、処遇面から様々な混乱、差別を介護現場に持ち込むことになります。また、介護職全体の労働条件を低い水準に固定化し、介護職員不足に一層拍車を掛け、むしろ介護の質の確保を困難にする危険もぬぐえません。

 准介護福祉士資格の導入は、日本・フィリピンEPAとの整合性確保が導入理由の一つです。EPA交渉中に介護福祉士制度変更の方向は明らかであったのに、全くそれを反映することなく署名を行ったことには重大な問題があります。また、日比EPAについて、日本では昨年十二月に国会承認が終了していますが、フィリピンでは上院において七回の公聴会が行われましたが、有害廃棄物の持ち込み、フィリピン憲法への抵触の懸念、フィリピン経済にとって有益なのかなどについて議論が続き、次回の公聴会の日程は設定されたものの、年内に承認される見通しはないそうであります。我が党は日比EPAに反対いたしましたが、この経過を見てもフィリピンとの交渉がいかに拙速、ずさんであったのかが明らかであります。

 なお、本法案による個人の尊厳の確保、認知症に対応した介護、医療、福祉サービスとの連携などを社会福祉士、介護福祉士に新たに義務付けたこと、社会福祉士の資格取得方法の見直しは評価できるものであることを申し添えておきます。

 以上をもって討論といたします。

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