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労働基準法改定案
小池晃議員の反対討論
参院委

2008年12月4日(木)「しんぶん赤旗」より転載

 日本共産党の小池晃議員が二日、参院厚生労働委員会で行った労働基準法の改定案に対する反対討論は次のとおりです。


 反対理由の第一は、割増賃金率の引き上げについて、中小企業には当分の間適用をしないとしている点です。

 労働基準法という、労働条件の最低基準を刑事罰をもって守らせる法律に、大企業と中小企業の労働者で異なる基準を持ち込むことは許されず、せめて経過措置とすべきです。このままでは、大企業からのしわよせで、下請け・中小企業の労働者の時間外労働が、ますます長くなる事態すら生じかねません。

 反対理由の第二は、時間外労働が月六十時間を超える労働者に、引き上げ分の割増賃金の支払いのかわりに「年休ではない有給の休暇」を与えることを可能としている点です。

 これは一種の変形労働制というべきもので、一日の時間外労働を抑制することにはなりません。しかも年休の取得率が低下し続けているもとで、長時間残業をしている労働者が翌月に「代替休暇」を与えられても、確実に休める保障はなく、時間外労働抑制の実効性には疑問があります。

 そもそも、今回の法案は時間外労働が月六十時間以上でないと、賃金の割増率が50%になりません。衆院での修正により対象が拡大したとはいえ、時間外労働の上限を法定化せず、青天井で残業ができる仕組みを残したままでは、過労死を生むような長時間労働はなくせません。

 いま、自動車や電機などの大企業が輸出の落ち込みや景気の後退を口実に、大量解雇を進めており、大きな社会問題になっています。その多くは、正社員と同じように働かされてきた身分不安定な派遣労働者や期間労働者です。こうした非正規労働者をまるで調整弁のように大量解雇し、残された正社員には、大臣告示すら上回る長時間労働を押し付ける。こうした事態を放置したままでは、日本経済の安定的発展はありえません。

 割増賃金についてはすべての時間外労働にたいする割増率を人員増の費用に見合った「均衡割増賃金率」に相当する50%とすべきです。時間外労働時間の上限を法律で規制し、日々の長時間労働を規制するため、EU(欧州連合)と同様に一日のうち連続休息時間を十一時間確保すべきです。そうした法改正こそ求められており、本改正案には、一部前進面はあるものの、全体としては不十分なものだと言わざるをえません。

 以上の理由から本案に反対することを表明し、討論といたします。



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