Dr.小池の世直し奮戦記
国保証取り上げられ命絶った青年
いのち守る国へ! 政治を前に動かそう
「いつでも元気 2010.5 No.223」より

Dr. 小池の国会奮戦記/国保証取り上げられ命絶った青年/いのち守る国へ! 政治を前に動かそう

 高すぎる国民健康保険料(税)を払えない。そのため保険証を取り上げられ、病院にかかることができずに命を落とす。あってはならないことが、この日本では起こっています。

他人事ではすまされない

 東京・板橋区の二九歳の男性は、仕事がうまくゆかずに国保料を払うことができませんでした。「差し押さえもありうる」という厳しい督促状が毎月のように届き、ついに保険証を取り上げられた一カ月後に、自ら命を絶ったのです。私は三月四日の参議院予算委員会で、男性の家に残されていた督促状の束を示しながら、鳩山由紀夫首相に迫りました。
 小池「見てほしい。保険証を取り上げられて、命を絶つ。こんな国でいいのか。胸の痛みを感じないか」
 首相「痛みは当然、人間であれば感じる。しかし取り上げる根幹の制度は廃止できない」
 保険証取り上げが市町村の義務とされたのは九七年の自社さ政権のときで、民主党も賛成しました。それ以来、こうした事態が全国に広がったのです。「人間であれば...」などという他人事ではすまないはず。

高すぎる保険料の原因は

 国保料の収納率は、ついに八八%という史上最低の水準になりました。この原因となったのが、支払い能力を超えた高額の保険料です。
 所得三〇〇万円の四人家族の国保料は、札幌市で四四万三〇〇〇円、京都市で四四万五〇〇円、福岡市は四四万八五〇〇円。東京二三区をはじめ、この春から国保料引き上げの自治体も目白押しです。
 そもそも国保は、農業や自営業の方のための医療保険として出発しました。ところが非正規労働者や失業者が激増。国保加入者の所得が下がるなか、八四年には市町村国保会計の五〇%だった国庫負担が、〇七年には二五%にまで削減されたのです。加入者の所得が減っているのに、国庫負担を削減したのですから、一人あたりの保険料が高すぎて払えなくなってしまうのは当然です。

経済的理由で47人手遅れ

 三月一一日に発表された全日本民医連の調査では、経済的な理由で医療機関への受診が遅れ、結果として死亡に至ったと考えられる事例が、〇九年の一年間で四七人に上るという衝撃的な数字が明らかになりました。「経済大国」といいながら、こんなことが起こっていいはずがありません。これは政治の責任です。
 先日、板橋の街頭で、「国会で取り上げていただいてありがとうございました」と声をかけられました。自殺した男性のご両親でした。「国会で取り上げてもらって、息子の死もムダにはならないのかなと思いました」といわれるご両親の手を、私は固く握りしめました。
 板橋区議会では、共産党の区議が私の質問を引用しながら、区に保険証取り上げをやめよと迫り、その結果「所得の少ない人からは保険証取り上げをやめ、正規の保険証を発行する」と答弁したそうです。
 「いのちを守れ」の声と運動が政治を動かしています。
 政治を前へ! がんばります。

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