2009年171通常国会:速記録

大臣所信に対する質疑


  • 後期高齢者医療 保険証取り上げ/「しゃくし定規にしない」/厚労相が小池議員に答弁(関連記事)
2009年3月17日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 障害者自立支援法の見直しについて聞きます。 大臣は、二月二十四日付けで地方六団体あてに改正案の要綱を通知をしております。ところが、厚生労働省にその内容を示していただきたいというふうに何度もお願いしたんですが、昨日まで出せないというふうに言われ続けてまいりました。これ地方自治法に基づく通知だというふうに言うんですけれども、義務が発生するのは自治体だけではないわけで、国民や障害者の権利義務にかかわる問題ですから、これ示さないのは納得いきません。 今お配りしている資料、一枚目、二枚目が昨日ようやく私の下に持ってこられた資料ですが、これお聞きしませんが、一言申し上げておきたい。こんなやり方では国民や障害者の理解は得られないということをまず申し上げておきたいというふうに思います。 具体的にこれを踏まえて聞きたいんですが、利用者負担については、利用者の負担能力に応じた負担を原則とするというふうにされています。応益負担を見直すことは一歩前進です。しかし、社会保障審議会障害者部会でも、現行制度の利用者負担について、既に実質的に障害者の負担能力に応じて負担する仕組みとなっているというふうにされているわけです。支援費制度では、所得階層に応じて二十段階を超えて細かい徴収基準がありました。これに対して現行の負担というのは、これは軽減の措置の下でも生活保護、低所得一、二、そして一般のわずか四段階ですから、とても実質的に応能と言えるようなものではないと思います。 しかし、大臣、社保審部会のように現行制度が既に実質的に応能負担だという立場に立つのであれば、たとえこれ自立支援法を見直したとしても、利用者負担というのは現行の負担水準と変わらないということになってしまうんではないかという私危惧持つんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 これまでいろいろな対策を打ってきましたから、そういう意味で実質的に負担能力に応じた仕組みになっているということを申し上げているわけでありまして、こうした中で、与党の方のプロジェクトチームでこの二月の十二日に見直しの基本方針がまとめられました。その中で、利用者負担については能力に応じた負担として二十九条などを見直すということと、その際に、特別対策や緊急措置によって、今私がさっき申し上げたように、改善した現行の負担水準の継続や更なる改善、分かりやすい制度とするということが与党からも言われておりますので、そういう意味で、具体的にじゃどういうふうな改正内容にするか、これは更に踏み込んで検討させていただきたいというふうに思っております。

小池晃君

 今の答弁でいうと、更にやはり現行の負担水準よりも引き下げる方向で検討をするんだというふうに受け取ってよろしいですか。

国務大臣(舛添要一君)

 これは、だから今申し上げたように、更なる改善というわけですから、更なる改善というのはそういうことになる可能性はあるということです。

小池晃君

 見直しというのであれば、応益を応能に看板だけ掛け替えるようなやり方ではなくて、私ども、自立支援法はこれは廃止をして、憲法二十五条に基づく障害者の権利を全面的に保障する制度として新たに抜本的に転換をすべきだということを申し上げておきたいと思います。

 さらに、支払方式について厚生労働省にお伺いしますが、事業者からも利用者からも日額払い制度に対する批判強いわけですが、今回の見直しでもこれは続けると。応能負担にするというのであれば、これは月額に戻しても利用者の負担にはならないわけです。 この際、施設などの運営に大きな被害を与えている日額払いを改めて、支払方式を月額払いにするという見直しをすべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

政府参考人(木倉敬之君)

 お答え申し上げます。

 今、自立支援法の中でサービスの費用、報酬というものの支払を日払いという形にしておりますのは、利用者の方々がサービスを選択をして組み合わせて多様にお使いをいただきたいという仕組みを前提とするという考え方に立ったものでございます。 日払いとするのか、それとも利用するかしないかにかかわらず月払とするのかということは、我々も議論をさせていただきましたけれども、やはり利用者負担の考え方に立ちますと、利用者の立場に立ちますと、やはり利用されたその日を前提に報酬を支払う、そのときに負担をお願いするという仕組みを基本として考えていくべきものと、これを与党プロジェクトチームでも御指摘をいただいているものというふうに考えているところでございます。

小池晃君

 利用者利用者と言うけれども、障害者から選択できるから日額制度にしてほしいという要望でも出ているんですか。

政府参考人(木倉敬之君)

 これは審議会の場でも、親の会の皆様からもこのような御指摘がございました。実際に、日払いということの仕組みとした前提でサービスの選択が可能な仕組みであるのでこれを維持してほしいということは御指摘をいただいているところでもございます。

小池晃君

 育成会の代表の発言のことだと思うんですが、社保審部会では、育成会の代表も、月額制のデメリットとして定率負担があるから実態として行かない日も負担が発生すると、その辺も勘案して考える必要があるというふうに発言されております。応益負担でなくなればそういう問題なくなるんだから、解消されるんですから、これはやはり圧倒的多数の障害者団体も日額制を見直すべきだと言っているわけですから、ここも見直すべきだと申し上げておきます。

 それから、自立支援医療ですが、今回の概要でも部会の報告でも医療については能力に応じて負担という文言は全くありません。育成医療については、この四月から中間層について手直しされますが、自立支援医療全体としては応益負担のままなわけですね。自立支援医療については、利用者負担を見直すということは検討されていないんでしょうか。

政府参考人(木倉敬之君)

 この仕組みにつきましては、与党プロジェクトチームの基本方針の中では、この福祉サービスについての御指摘ということでありますが、この御議論の過程では同じような規定ぶりである自立支援医療についても今の考え方、同じような考え方の規定にすべきであるというような議論はあったわけでございますので、それを踏まえて今具体的な規定ぶりを検討させていただいております。

 なお、今御指摘ありましたように、この負担の上限につきましては、育成医療の中間層の軽減、あるいは重度かつ継続の、長く医療が続く、御負担が続く方の負担軽減措置、これの追加というふうなことにつきましては、予算措置として二十一年度から実施させていただきたいというふうに考えておるところでございます。

小池晃君

 医療についても応能負担の方向だという御答弁、検討しているということですが、現在の負担水準、実態見るとどうか。

 これ、私試算をしてみたんですが、住民税が年額十万円程度のいわゆる中間所得層で、心臓の手術で月をまたがって二十日間入院するというようなケースの場合、医療費総額が四百万円というケース想定すると、これ十八歳未満の育成医療の場合は食費負担一万五千六百円含めて三万五千六百円です。ところが、十八歳過ぎて更生医療になると、これは医療保険と全く同じ負担になるので、食費負担一万五千六百円を含めて二十一万四百六十円なんですね。旧支援費の場合はいずれも一万二千四百七十円で済んでいたわけです。いろんな形で手直ししていることは承知をしているんですが、しかし、育成医療について、新たに負担上限が設けられた中間層でさえ支援費のときに比べるとこれは倍の負担になっている。十八歳過ぎて更生医療になる。まあ心臓の例えば手術しても、弁置換とかね、手術をその後やる場合もあるんです、十八歳過ぎて。そういう場合はもう健康保険による負担と同額になってしまうわけであります。 大臣ね、こういう負担のままでいいんでしょうか。私は、自立支援医療についても、今の負担軽減策を超えて抜本的にやっぱりこれは見直していく必要があると思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 その点も与党含めて様々な議論がなされているので、事実上応能負担になって、相当な見直しを行っていると思いますから、そういう形で与党とよく相談をしながら、今の小池委員の意見も配慮しながら方向付けを行っていきたいと思います。

小池晃君

 医療については応能負担になってないですよ。いろんな問題点がまだまだたくさん残っていると。

 福祉サービスについても、さっき言ったように、支援費のときの、あるいはそれ以前の応能負担に比べれば負担の段階は極めて粗いです。そこのところはしっかり踏まえていただきたい。 それから、障害程度区分の見直しですが、今までの障害程度区分というのは、これは障害者の心身の状態を総合的に示す区分という書き方で、サービス量とはリンクしていなかったわけですね。実際に国庫補助基準を超えて必要なサービスは提供されていましたし、厚労省の方からも超えてもやっていいと、やるべしと、そうすべきだという通知を出していたと思うんです。 今回のこの概要を見ると、心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の量を示すものというふうになっているわけですね。こういう書き方をされると、これは今までと違ってサービス量とリンクしてくるんではないか。例えば、障害支援区分ごとに利用の上限を設けるというようなことも検討されているんじゃないかというふうに読んでしまうわけですが、この点について御説明をいただきたい。

政府参考人(木倉敬之君)

 障害程度区分につきましては、現行におきましても支給決定プロセスの中で勘案事項の一つとして用いておりますが、おっしゃるように、サービス量をこれで決めておるものではございません。

 今、その御指摘がありますのは、今の障害程度区分の測定をしております項目につきまして、特に知的障害の方であるとか精神障害の方について重いという状態がより反映されるものにすべきではないか、なかなかそれが判定の中に出てこない、出てきにくいということの御指摘がございます。これについては、法律の文言というよりも、実態のそういう測定をします項目自体を根本的に見直さなきゃいけないんではないかということで、ずっと議論を続けさせていただいているところでございます。 今の条文の規定ぶり、これはまだ議論の途上でございますが、今の与党PTの今の御議論の御指摘は、その障害程度区分という名称であるとか定義の仕方につきまして、サービスの必要量を明らかにするということでありますけれども、その支援の必要量を明らかにするということをより分かりやすく、今は何か障害の程度の区分というような表現になっていますので、より分かりやすく定義や名称を見直すべきではないかという御指摘をいただいておりますが、まだこの規定ぶりについては議論を続けさせていただいておるという段階でございます。

小池晃君

 いや、私の言ったことに答えてないんですけれども。これが要するに提供されるサービス量の上限というようなことになるような方向で検討しているんですかと。

政府参考人(木倉敬之君)

 そのようなサービスの上限として使うというような考え方を持って検討しているということはございません。

小池晃君

 回りくどいちょっと言い方なんですが、そういったことはしないと、介護保険みたいに負担限度額というような形は考えてないんだと。大臣、どうですか。そういったことは考えないんだと言ってくださいよ。

国務大臣(舛添要一君)

 だから、障害者区分だけでサービス量を決めるわけではないんで、介護保険の場合は要介護度何で幾らが上限と決めていますから、そういうことではありませんということを明確に申し上げているわけです。

小池晃君

 そういうことではないと。

 後期高齢者医療制度について聞きます。 一年以上保険料を納めてない、払えない人から保険証の取上げ始まろうとしておりますが、高齢者からの保険証の取上げというのは命の危機に直結します。絶対やるべきではないと。 資料の三枚目、四枚目に示しましたが、厚労省、この一月に広域連合に対して事務連絡を出しております。資格証明書を発行する、いわゆる保険証の取上げやる場合にはあらかじめ国に報告を求めるというもので、その書式も示されているわけです。 大臣、余り形式的な話じゃなくて政治家として聞くんですが、この報告を求めた何というか心というか、どういうことでやろうとしているのか。これは、後期高齢者に対しては保険証の取上げというのはこれはやらないようにしてほしいと、やらないようにしてくれという地方自治体へのメッセージだというふうにこれは受け取ってよろしいんですか。その辺、ちょっと分かりやすく言ってください。

国務大臣(舛添要一君)

 そういうふうに受け取っていただくと大変有り難いということでございますけれども、要するに、しゃくし定規に、はい、もう時間来たから、あなた資格証明書出してこれで終わりねと、そういう冷たい扱いをしちゃいけませんと、慎重にも慎重を期して、事前の相談をやる、個別についてきっちり手を打つと、そういうことをやった上でということが本意でございます。

小池晃君

 実際にそういうふうになっていくかどうかということをしっかり見極めたいというふうに思いますが、同時に、保険証の取上げについてはこれは後期高齢者だけではないわけで、後期高齢者以外の国保加入者についてもこの間きめ細かな対応をするんだという再三答弁をされていますよね。

 私、この書式というのはなかなかよくできているんじゃないかなというふうにも思うんですね。やっぱり、国保加入者の資格証の発行についても、現場ではかなり一律機械的な適用をされているわけですから、私は、こういうものを土台にして滞納者の実情の把握をしていくような仕組みを私つくっていく必要あるんじゃないかと思うんですが、大臣、うなずいておられるんで、ちょっとどうですか、お答えいただきたいと思います。

国務大臣(舛添要一君)

 最近、小池委員に褒められることが多くて、大変心強く思っておりますので、そういう意見も取り入れながら、やっぱりこういうことをきちんとやるのが厚生労働省改革だと思いますので、対応できる限りやりたいと思います。

小池晃君

 最後に、レセプトのオンラインの義務化の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。

 大臣にお伺いしたいんですが、レセプトオンラインの義務化、これに反対する裁判が始まっています。全国で約千七百名もの保険医、開業医の皆さんが裁判に立ち上がっておられる。かなりのこれは規模だというふうに私は思うんですね。大臣、これだけ多数のドクターが裁判にまで訴えて義務化撤回を訴えていると、このことについてまず大臣としてどう受け止めておられるか、御答弁願います。

国務大臣(舛添要一君)

 個々の係争案件についてはコメントいたしませんけれども、いろんな各地からそういう声があるというのは、これはよく分かっておりますし、私もいろんな地方に参りますけれども、そこでお医者さんに会うたびに一番最初に今言われるのはこのことです。

小池晃君

 これは、全国保険医団体連合会のアンケート調査を見ますと、義務化されれば医科、歯科の一割、医科で一二・二%、歯科で七・二%が廃業すると答えているわけですね。これは医師会などからも同様の声が上がっているというふうに聞いております。

 私は、こういう事務手続、オンラインの義務化、私は、個々の先生方で、条件がある、能力がある、希望がある方がオンラインすることは何の問題もないというふうに思うんです。しかし、やっぱりそういう条件がない方まで含めて一律に義務にするということは、やっぱり今の医療現場、大変な負荷が掛かっている、ただでさえ問題が多い、そういうところに対して本当に大きな負荷になっていく危険があるというふうに思うんですね。 大臣、私、こういう制度の切替えによって医療崩壊に拍車が掛かる、そんなことは絶対にあってはならないというふうに思うんですが、大臣はいかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 それは、例えば小規模の診療所なんかで、とてもじゃないけどこれだけの財政負担に耐えられないと、それやるぐらいなら私はもう医者をやめるよという声もあります。

 ですから、そういう声に対してどう対応するか。これ地域医療の崩壊をもたらしちゃいけないと思いますので、そういう対応策については様々考えておりますし、また新たな手が打てればそれはやっていきたいと思っています。

小池晃君

 対応策やると。これもう僕、二、三年前からこの問題はここで質問をして、代行請求するんだとかいろんなこと言われてきたんですよ。でも、実施やっぱり近づいてくるにつれ、やっぱりできないという声がこれだけ出ているわけですし、与党の中でもやっぱりそういう声出ているわけですから、私は、いろんな手だてで解決するというんじゃなくて、この義務化についてはいったんやっぱり白紙にすると、ストップするというふうにやっぱりこれは示す責任があるんじゃないかと思いますが、重ねて伺います。

国務大臣(舛添要一君)

 与党の中でも様々な意見がありますので、そういうことも勘案して、どうするかを検討したいと思います。

小池晃君

 これはもう見直していただきたい、撤回していただきたいというふうに思います。

 最後ちょっと、もう質問はしませんが、実態を示して要望だけしておきたいと思います。 昨年九月三十日に医療課長通知が出て、医療機関に対する特定共同指導の実施に係る取扱いについてという通知が出ました。この通知では、指導対象となるレセプトの患者名について、以前はおおむね実施の一週間から十日前に通知することというのがあったんですが、それがなくなってしまっているんですね。 現場のいろんな話を聞くと、前の日の夕方に指導対象となる患者名を知らされて、慌てて徹夜でカルテを用意して、やむなくみんなで徹夜で作業をするというような話も聞いているんです。 やっぱり前の日に示すというのは、僕は、何かいろいろ聞いたらば、いや、それで改ざんする人がいるからとかそういうふうに厚労省言うんですが、やっぱり性悪説に立って対応するんじゃなくて、やっぱり圧倒的多数の先生方はこれはまじめに保険診療取り組んでいるわけですから、もし問題があればそこは監査という形にしていけばいいわけで、個別指導の段階から、性悪説でもうとにかく前の日に言うんだというような乱暴なやり方はこれやめていただきたいということを、ちょっとここでは要望としておきますが、申し上げておきたいというふうに思います。 以上で質問を終わります。

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