2009年171通常国会:速記録

2009年度予算の委嘱審査・雇用保険法改正案に対する質疑


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2009年3月24日(火)

【2009年度予算案について予算委員会からの委嘱審査】

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 医学部の入学定員が医師不足に対する世論に押されて増える、これは今までの医師数抑制の閣議決定の誤りが明らかだと思います。

 文部科学省にお伺いしますが、来年度国立大学医学部入学定員が増える分、国の経費負担はどれだけ増えるんでしょうか。

政府参考人(久保公人君)

 お答え申し上げます。

 来年度の医学部の入学定員の増改訂に伴います支出と収入の差額分が増になりますが、これにつきましては、医学部の入学定員増改訂に伴う支出の増が三億四千万強、授業料の収入増が約二億八千万強でございますので、出入り、運営交付金の影響額は両者の差額であります約五千六百六十三万円の増でございます。

小池晃君

 三百六十一名の定員増に対して、私も驚いたんですが、五千六百六十三万円しか国の負担が増えないわけですね。これ、一人当たりにするとわずか十五万円なんですよ。やっぱり増やす経費が少な過ぎる上に、学費が高過ぎるんだというふうにこれ思うんです。

 そもそも、昭和三十一年に作られた大学設置基準では、医学部の学生定員が四百八十人を超えると、どれだけ増えても専任教員数というのは百四十名で頭打ちになっているわけですね。やっぱり学生定数を増やすんであれば、予算ももっと増やすべきだし、やはり医学部教員の基準も見直すべきだということは申し上げておきたいと思います。

 それに加えて、文科省にお伺いしますが、国立大学附属病院の債務残高は幾らになっているんでしょうか。

政府参考人(久保公人君)

 国立大学附属病院に係ります平成二十年度末の債務残高見込額は、合計で約九千四百十三億円となっております。

小池晃君

 これ、今日お配りした資料の二枚目には、附属病院の債務残高だけじゃなく、医学部を持つ大学の平成十九年度末での債務残高の表をお配りしておりますが、これだと一兆円を超えるわけですね。

 附属病院に対する運営費交付金も年々減り続けていると思いますが、年次推移をお示しください。

政府参考人(久保公人君)

 運営費交付金の年次推移につきましては、附属病院運営費交付金予算額の推移ということでございまして、平成十六年度が五百八十四億円、十七年度が四百九十九億円、十八年度が四百二十五億円、一年飛びまして二十年度が三百八億円、二十一年度は二百七億円を予定しております。

小池晃君

 大臣、今までのちょっとやり取り聞いていただいて、経営努力して頑張って収入が増えれば、収支にお構いなく運営費交付金どんどん減っていくわけですよ。最初の約六百億円から二百億円ですよ、来年度予算だと。頑張れば頑張るほど自分の首絞めるような構造になっているわけですね。それに加えて一兆円の債務残高を大学病院抱えているんですよ。ある大学の医学部長さんが私に言ったのは、霞が関の役人が自分の庁舎の金を自分で稼げと言われるかと。そういうふうに言いたくなる気持ち、私、分からないでもないと思うんですね。

 こういう実態を放置しておいて、大臣、これは所管外だと思いますが、国立大学病院というのはまさに地域医療の中核を支えている病院でもあるし、医学研究の中心でもあるわけですから、私は、こういう事態を放置しておいて、まともな医学研究ができるのか、学生や研修医の教育ができるのか、あるいは地域医療への貢献ができると大臣、思いますか、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 国立大学そして国立大学病院、様々な問題を抱えているのはよく分かります。そういう中で地域医療の拠点としての役割に対してはこの二十一年度予算においても様々な支援策を厚生労働予算の中で組んでおりますけれども、基本的にはこれは文部科学大臣とも、例えば研修医制度については一緒に検討会をやってきているわけでありますから、よく連携を取りながら、今のような委員の問題意識も踏まえてどういうふうに改善すべきか、これは、必要な助言また相談は文部科学大臣及び関連の大臣とやりたいと思っております。

小池晃君

 このままじゃ駄目だと強力にやっぱり厚労省から物を言うべきですよ、これ。

 臨床研修の見直しのことを今おっしゃられましたけれども、大学の研修医を増やしたいというのであれば、やっぱりこういう財政負担の問題を解決することが私は先決だと。地域の研修枠に上限を設けて大学にできるだけ研修医を集めようというのは、私は、より良い医師を育てるという臨床研修制度の目的からいっても私はこれは本末転倒ではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 臨床研修制度の改革の方向については一つの提言が出ましたので。ただ、今現場からは委員がおっしゃるような声もあって、元々はいい医者をどうすればつくれるかということで、今まで実は厚生労働省と文部科学省で合同でやった検討会ってなかった、私は驚いたんだけれども。だから、今回初めて両大臣をヘッドにしてやりましたので、今のような問題も含めて今後更に検討を進め、より良い改善策をつくりたいと思っております。

小池晃君

 より良い医師を育てるというのが一番大切な視点なので、その視点でやっぱりきちっと議論をすべきだと。

 それから最後に、原爆症認定の問題で、これは予算委員会で私は河村官房長官にお尋ねしましたが、千葉訴訟の東京高裁の上告期限が迫っています。この問題、一点だけ。これは上告すべきでないというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 小池委員の今の意見をしっかりと受け止めました。その上で、今法務省を始め関係省庁とどう対応するかを検討しているところでございますということまで今申し上げておきたいと思います。

小池晃君

 こんなのは絶対上告すべきじゃないですよ。早く結論を出していただきたい。午後にも聞きますから、ちょっとそれまでにちゃんと返事できるようにしてください。よろしくお願いします。

 終わります。

【雇用保険法改正案に関する質疑】

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 派遣切り、非正規切りが広がる中で、不当なリストラを許さないということが最も大事な雇用対策だと思います。今日は、自動車大手のホンダでの非正規切りの問題を取り上げたい。

 ホンダは、売上不振を理由にして、鈴鹿、狭山、栃木と熊本で既に期間労働者千三百人の契約を打ち切り、四月末までに更に三千人辞めさせて非正規をゼロにする計画です。地域経済にも大きな影響を与えると懸念されています。

 ホンダで雇い止めされた期間労働者の話を聞いたんですが、栃木の真岡工場のSさん四十歳、入社当初は三か月ごとの更新だったけれども、数年前から一か月単位の更新となったと。繰り返しつなぎながら十一年間、正社員と一緒にエンジン部品を造ってきたという方です。それが昨年十二月、突然契約満了を言い渡されて打切り通告されている。

 十一年間どうやって短期契約つないできたかというのは、これはねんきん特別便、今日資料でお配りしましたが、御本人の了承を得て、ここにはっきり出ているんですが、要するに、雇用契約期間はもう一か月、二か月の短期なんですね。しかし、上限は最長一年か二年十一か月だと。真岡工場では最長一年なんですが、契約が終わるときに、次も来てくれるよねというふうに工場側から言われて、一週間ぐらいすると、貴殿の入社を通知しますという電報が届いてくる。これでこういう細切れ雇用がずうっと続いてきているんです。もう見ていただければ分かるように、五日から七日間、場合によっては一か月間空けた後、全く同じ部署で作業に就くと。ある年は、五月の連休、ちょうど六日間辞めたことにして連休明けから再雇用という、そういうときもあります。つまり、形式的にいったん契約を打ち切って、空白期間を置いて再契約したことにする。会社側は、これは継続雇用ではないというふうに主張しているんです。

 Sさんは、今、製造ラインで正社員と同じ仕事を十一年間やってきたのに、こんな差別はひどいということで労働組合に入って、これは事実上期間の定めのない雇用だ、不当解雇だと訴えておられるわけです。

 四月末までに切られようとしているホンダの三千人の期間労働者は、皆同じようなやり方で長期にわたって更新、再雇用を繰り返されて、今回突然、年度末にほうり出されようとしています。

 厚生労働省にお伺いしますが、このように短期雇用を長期間にわたって繰り返して突然雇い止めをすると、これは労働契約法の趣旨に違反しているんじゃないでしょうか。

政府参考人(金子順一君)

 委員からただいま個別の事案につきましてお話ございましたけれども、これにつきましてはコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、今御指摘のございました労働契約法の関係でいいますと十七条の第二項というところに、使用者は、期間の定めのある労働契約について、労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならないと、こういう規定がございます。したがいまして、この労働契約の期間につきましては、使用者が労働者を使用する目的に照らしまして、必要以上に短い期間とならないよう配慮していただく必要があるというふうに考えております。

 具体的にこの「必要以上に短い期間」とは何を指すのかということになりますけれども、これにつきましては、一定の長さ以上の期間とすることを求めているわけではございませんので、「必要以上」に該当するかどうかということになりますと、個別具体的な事情に即して判断をしていく必要があるだろうと、こういうふうに考えております。

小池晃君

 しかし、こういう繰り返し繰り返し短期雇用であれば、これは期間の定めのない雇用とみなすというのが判例の考え方だし、それが労契法の考え方ですよね。

政府参考人(金子順一君)

 私ども、有期契約の関係で、労働基準法の第十四条の規定に基づきまして大臣告示の指針というのを決めております。ここでは、一年を超えて、契約を一回以上更新して、かつ一年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合に、できる限りその契約期間を実態に即して長くしていただくようにということで、告示で指針を示しているところでございます。

 この一年を超えて継続して雇用ということを判断するに当たりましては、空白期間があったとしても、個別の実態の判断を見て、前後の仕事の内容でございますとか、空白の期間といいますか、こういったことを判断して個別に判断をしていくということにしているところでございます。

小池晃君

 大臣、こういう働かせ方をどう思います。これ、ホンダの狭山工場のAさんは、会社は一か月、二か月と言うけれども、人生というのは二か月ごとにあるわけじゃないんだと。こんなやり方で、二か月先分からないので結婚も子供もできないと。こんなやり方許されていて、安心して働ける環境なんてあるはずないと思うんですよ。

 ホンダの基本理念というのは、これは創業以来、人間尊重だというのはとんでもないと思うんですね。ホンダというのは、昨年までに内部留保を五兆円以上増やしているんですよ。その一方で、正社員と全く同じような働かせ方をこういう形でやってきて、期間満了だということを理由にして十一年間企業に貢献してきた労働者をばっさり切り捨てると。

 大臣は、これ、このSさんの働き方、もうはっきり証拠があるわけですが、これ継続雇用ではないと思いますか。ホンダは、これを契約満了だから問題ないと言って三千人、この年度末首切りしようとしているんですが、これ許していいと思いますか。大臣の政治家としての明確な見解を示していただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 いつもの答えになりますけれども、個別の事案についてはコメントができないということを前提にした上で、一般的には、こういう短期間でやるということは、必要以上に短い雇用期間設定は好ましくないということで指導しております。

 こういうケースについてということを言っちゃいけないので一般論について言いますけれども、失礼しました、今こういうケースについてというのはちょっと取り消させていただきます。

 一般論で申し上げれば、要するに裁判例が分かれておりまして、必ずしも判例も明確にどうだということを言っていない状況でもあります。したがって、私が申し上げましたように、必要以上に短い雇用期間を設定するということは好ましくない、こういう方向で指導していきたいと思っております。

小池晃君

 大臣、これ労働契約法の精神、趣旨からいったら、こういう在り方はやっぱり問題があるというふうにはっきり言っていただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 もう一遍言いますと、労働契約法第十七条二項が、有期労働契約について、労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い契約期間を設定することのないよう使用者は配慮しなければならないということを規定しておりますので、この規定をしっかりと配慮していただきたいと思います。

小池晃君

 配慮していないですよ、これは全く。

 これ、ホンダからは事情を聴き取るなり調査をして、労働契約法に基づいて継続雇用させるということをきちっとやっていただきたい。これ調査を求めます。いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 一般論で申し上げますけれども、私が申し上げたこの法律の趣旨にそぐわない行動があった場合にはきちんと対応したいと思っております。

小池晃君

 そぐわないと思いますので調査をしていただきたいと思います。

 法案についてですが、私どもは、今回の法改正に当たって、離職理由での差別をやめること、緊急に非正規対策だというのであれば、給付日数もすべて非自発と同じ日数に引き上げるべきだと求めております。

 今回の改正案では、六十日まで延長できる個別延長給付、この要件について、厳しい雇用情勢の地域として、その基準は省令で定めるとしておりますが、以前の説明では有効求人倍率で平均の半分以下、都道府県というふうに聞いておりました。直近の一月で見ると有効求人倍率〇・六七で、対象となるのは〇・三二の沖縄県一県になってしまう。これはもっと広く対象とすべきじゃないですか。

政府参考人(太田俊明君)

 個別延長給付に係る地域指定要件につきましては、雇用機会が不足していると認められる地域の基準を厚生労働省令で定めることとしております。

 その基準につきましては、今お話ございました有効求人倍率や有効求職者の数など、地域における求人求職の状況あるいは雇用保険の基本受給率等を踏まえて設定することで、現下の雇用失業情勢を十分に反映した支援ができるような基準としたいと考えているところでございます。具体的には、改正法成立後、関係審議会において御議論をいただいた上で決定するというふうにしているところでございます。

小池晃君

 より幅広く対象とする方向で検討するということですね。うなずいていらっしゃいますけど、それでよろしいですね。

 六か月以上の期間満了で引き続き雇用を望んだにもかかわらず雇い止めになった場合は、特定理由離職者とするというふうに今回なっているわけです。これ、改正案の条文では、離職者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新について合意が成立するに至らなかった場合に限るというふうになっているんですが、これ、例えば自動車大手のマツダで、三年の期間制限を超えた派遣労働者が六か月間の有期雇用契約で直接雇用されている。で、これ今年三月三十一日で期間満了で雇い止めになるんです。こうした人がマツダでは二百人いるというんですが、こうした場合、労働者が継続雇用を望んでいれば特定理由離職者に該当するんでしょうか。

政府参考人(太田俊明君)

 今回の改正案におきましては、特定理由離職者という区分を創設いたしまして、被保険者期間が六か月以上で受給資格を得られるようにすることとしたところでございます。具体的には、この期間の定めのある労働契約を締結していた労働者であって、更新を希望したにもかかわらず契約更新がなされなかった離職者等を想定しているところでございます。

 その解釈でございますけれども、例えば労働契約の締結に際して次回契約の更新をしない旨の明示がなされている場合であれば、これは原則として特定理由離職者には該当しないと考えているところでございますが、一方、更新しない旨の明示がなされた場合であっても、その後の就労状況等を勘案して、労働者が更新を期待することが合理的だと思われるような場合には特定理由離職者とする予定でございまして、個々の就労状況等の実態を勘案して柔軟な運用を行っていく予定でございます。

小池晃君

 これ、大臣、該当しないと、四十歳で加入期間五年から十年だと、六か月の給付が三か月になっちゃうわけですね。

 労働者というのはその六か月だけの契約を望んだわけじゃないんですよ。やっぱり直接雇用の要件が更新なしだった、だから拒否したら働けないというのでやむを得ずそういう条件で働いている。しかし、やっぱり働きたいと思っている。

 今回の措置というのは、できるだけ多くの失業者に給付を適用しようということだし、そのために三月三十一日に拡大するということを与野党一致で拡大したわけだから、私はやっぱり、その六か月のみの期間契約となった期間労働者はこれかなり自動車、電機でもいるわけで、やっぱりしゃくし定規に対応するんじゃなくて、こうした労働者、継続雇用を望んでいる人はすべからく適用していくというやはり運用をしていくべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 今のような例で、この六か月で決めているのでもうしゃくし定規にやるということじゃなくて、例えば場合によっては更新もあり得るよと言われたことがあるとか、同じ状況の労働者が更新されているじゃないかというような状況を見て、それは今おっしゃったような柔軟な運用というのはやりたいと思っています。

小池晃君

 三月三十一日に一斉に二百人切られるんですね、マツダなんかは。それで、みんな、自分たちは継続雇用を望んでいるから、今回ので、ああ、三月三十一日になって助かったと思っていたら、実はそうじゃなかったとなったら、これは本当に大きな失望を与えると思うので、きちっとここは運用の面で幅広く対象にするということを是非やっていただきたい。

 それから、先日の予算委員会の公聴会で年越し派遣村村長の湯浅誠さんが、雇用保険、離職してから二月待たないと給付が受けられないということを訴えられました。これ、二十八日間の認定期間があって、これ最速でも労働者に手当が渡るのは三十五日程度、で、離職票が出るのに時間が掛かっちゃうとこれ四十日ぐらいになる。

 大臣、失業すると同時に本当に生活危機に陥るわけだから、やっぱり失業手当というのはできるだけ迅速に給付を開始をするということを私、検討すべきじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 これは、そういう希望がありますけれども、具体的に言いますと、失業の確定について、これは受給資格者がこの求職活動を確保するということで、求職の申込みをした日以降、四週間に一回ずつ、二十八日、御承知のように、そういうことになっているんで、まあ仮にもう少し短く二週間といったら支給額が少なくなるとか、それから、すぐ安定した求職活動ができない受給資格者もおるんで、こういう点を考えて、そのバランスから考えて四週間に一回ということを考えているんで、この制度の趣旨というのを御理解いただければ幸いだと思います。

小池晃君

 いや、給付が開始してから四週間に一回の認定というのは、それはいいと思うんですよ。最初のところなんですよ。やっぱりとにかくお金なくなって大変だと、暮らしつなぐというときにもっと考慮が必要だと。これ、引き続き検討していただきたいというふうに思います。

 それから最後に、内定取消し問題を取り上げたいんですが、十人以上の内定取消し、企業名公表という措置とっているんですが、今現場で何が起こっているかというと、内定取消しは表立ってしないけれども、内定辞退を強要したり、あるいは入社後すぐに待機社員にして都合のいいときに解雇するというやり方が今広がってきている。

 学生の家族から相談がありました。ラディア・ホールディングス、まあ元グッドウィルグループ、この傘下の技術者派遣大手で従業人一万一千人のシーテック、ここが今年採用内定二百五十人に対して事実上の内定辞退を強要しています。

 シーテックは、昨年十月に内定式をやっている。二月中旬までに雇用通知をして、月給二十万円って示している。四月一日の入社式の案内まで出している。ところが、突然三月四日に説明会を開いてリストラ計画を説明しました。グループ内のコールセンター派遣業務などの別会社、株式会社プレミア・スタッフに基本給四万円ダウンで移籍する同意書を配った。これでは不安でしょうから、採用を辞退する人は連絡してくださいと。質疑も受けずに打ち切ったっていうんですね。

 学生は、これはひどいじゃないかと、同意も辞退もしない場合どうなるのかと会社にただすと、同意書がなくても入社はできますけれども、二か月後には四千人の整理解雇の対象になる場合がありますと。入社後は仕事がないので、全国の営業所に行って自宅学習してもらうと、自主学習してもらうと。別会社に行く人も、初めはスタンバイで自宅待機だと。学生が、スタンバイ二か月で整理解雇だったら雇用保険ももらえないじゃないかと、退職金はないのかと、せめて受給できる六か月まで残れないのかと言っても、約束できませんと、退職金はお金がないので払えませんと。

 今、この二百五十人のうち七十人が移籍の同意書を出したんだけど、残りは仕事を探しながら迷いに迷っていると。そりゃそうだと思うんですね。だって、入社後即失業するのか、あるいは辞退して最初から失業者になるのか、それとも四万円ダウンの子会社かと。会社に入るとき、こんなひどい選択を迫られている。

 これ、東京労働局も、告発を受けて、会社に対して、移籍先の給与の改定とか、あるいはその説明をし直しなさいという指導をしたそうですが、それにとどまっているんですね。

 何でこんなやり方を取るかというと、内定取消しやったら企業名公表されちゃうから、だからそういうことをやらずに、まあ多額の損害賠償もできるから、生じるから。大学関係者の話では、こういう手口が今広がっているというんですよ。

 内定取消しさえしなければいいのか。そういう指導じゃ駄目だと思うんですよ。シーテックに対して私は、労働局がちゃんと調査をして、学生の要求に誠実にこたえるようにきちっと指導すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 個別の案件については答えませんが、一般論で言えば、この内定取消しで名前公表される、それを逃れるために一方的に労働条件を変えるとか、その学生に対して一定のことを強要すると、こういうことはあっちゃならないことだというように思います。あんたは技術系だから私が採用した、今度は文科系のところで働きなさいと言われたって、それは働けるわけがない。

 したがって、それは強力に指導するとともに、学生の方から賠償要求をやればきちんと対応させます。

小池晃君

 これ、本当、きちっと指導していただきたい。二百五十人ですよ。かなり大規模な事実上の内定取消し、強要なんですね。

 社会に初めて出るときにこんな裏切りをされるというのは、私は本当に学生にとってみても、こんなつらいことはないと思います。本当に今の指導じゃ弱いと思いますので、きちっと改めて調査し、指導していただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 それから、午前中お聞きしましたが、東京高裁の判決について改めて上告をしないでいただきたいということについて、もう一度伺いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 委員の希望はしっかりと受け止めましたけれども、いまだ関係省庁と協議中でございます。

小池晃君

 午前中も申し上げましたけれども、あの東京高裁の判決に対して上告する理由は何一つないと私は思います。自民党の議員懇談会も無用な係争はやめるべきだという意見書を出しております。やはり、この上告は絶対にすべきでないということを重ねて、上告期限あと二日ぐらいだと思いますが、絶対上告しないということを求めたいと思いますし、この問題では、やはり東京高裁の判決が一つのリミットだというふうにずっと河村官房長官もおっしゃってきた経過もあるわけですから、やはりきちっとこれを受けて、原爆症の認定行政の見直し、それからこの全国の集団訴訟の一括解決ということをやることを改めて大臣には強く求めておきたいというふうに思います。

 質問を終わります。

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