2009年171通常国会:速記録

国民年金法改正案に対する質疑


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2009年6月16日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 与謝野大臣に専ら伺います。

 経済財政諮問会議に提出をされました骨太の方針で、経済財政の中長期試算を出されています。世界経済順調シナリオで十年以内にプライマリーバランスが黒字化するためには消費税七%の引上げが必要だという試算なんですが、与謝野大臣は、増税分は社会保障、それ以外には一切使わないという答弁を繰り返してこられましたが、この七%分の引上げのすべてが、これは社会保障の機能強化に充てるという試算になっているのかどうか、お答えください。

国務大臣(与謝野馨君)

 まず、その試算は非常に機械的なものでございまして、社会保障全体に使うことプラス機能強化をやるということになっております。したがいまして、機能強化を一切やらないということを前提にもう一度機械的な試算をしますと、消費税率五%でも二〇一八年にはPBを達成できるという計算もございまして、いろんな計算を実はやっております。

 先生が今取り上げられた計算は、機能強化を大いにやるという部分が入った計算でございまして、機能強化をやらないという計算も実は存在をしております。

小池晃君

 国民は、社会保障に消費税を上げた分使うんだと聞けば、それは、その社会保障の給付にこれは反映されて社会保障の水準が上がるというふうに普通は一般的には理解されると思うんですよ。ところが、そうではないんだと。要するに、この七%という計算の場合もすべてが機能強化になるわけじゃないと。そうすると、社会保障の今想定されている機能強化というのがありますけれども、これに充てられる分というのは消費税率にすると大体何%というふうに試算をされているのか、お示しください。

国務大臣(与謝野馨君)

 社会保障国民会議の最終報告の数字を申し上げます。

 これは平成二十年十一月四日出た報告でございますが、これは一つは基礎年金国庫負担割合の二分の一への引上げのための所要の公費負担及び中期プログラムの工程表で示された社会保障の機能強化と効率化のための追加所要額は、二〇一五年時点で消費税率に換算して三・三から三・五%程度とされております。

 以上でございます。

小池晃君

 つまり、この七%の引上げということを言っているわけですが、中期プログラムの工程表を踏まえた機能強化ということだと二〇一五年で三・三から三・五ということですから、要するに七%のうちの社会保障の機能強化に回るのは半分程度ということにこれはなるわけですね。

 つまり、要するに、もう一回繰り返すと、今回の試算というのは、増税のうち社会保障の給付を新たに増やすのに使うのは半分程度で、先ほどのお話でいうと、残り半分程度は今の社会保障の水準維持のために使うということなわけですね。そういう説明でよろしいですね。

国務大臣(与謝野馨君)

 今でも社会保障財源は大きな赤字国債の発行に依存しているわけでございまして、赤字国債をいつまでも出し続けるということは不健全でありますので、将来仮に消費税をお認めいただければ、これはやはり社会保障の持続可能性の方にまず使うということが考えられているわけでございます。

小池晃君

 しかし、今の社会保障の水準維持のために使うといっても、消費税で入ってきたお金には色が付いているというわけじゃないわけですよ。これ、結局、社会保障のために使いましたと言いながら、もう今まで社会保障に使っていた財源は、これは別に回せるということになるわけで、例えて言えば、子供が勉強するから本買うからお小遣い上げてくださいと、それにこたえて上げましたと。ところが、本は今までどおりしか買わなかったと。余ったお金は、おもちゃ買ったりお菓子買ったりに使うということになるわけで、結局、こういうやり方をすれば、今まで社会保障に使っていた財源を今までの無駄遣いの穴埋めに使ったり、あるいは今年のばらまきで生まれた赤字の穴埋めに使ったり、新たな無駄遣いにも使えるということになるじゃないですか。どうですか。

国務大臣(与謝野馨君)

 元々お金がないんで、これは元々お金がないから借金をしているわけでして、そういう借金を続けていくということは不健全ですので、やはりきっちりした安定財源を求めるというだけでございます。

 それからもう一つ、今の社会保障費、年金、医療、介護の支出額というのは、国、地方を通じて膨大な額になっておりますので、先生御懸念のようなオーバーフローということはあり得ない話だと私は思っております。

小池晃君

 いや、それはごまかしだと思う。やっぱり、消費税は社会保障のためだというけれども、これ、赤字の穴埋めに使うということを今認めたわけじゃないですか。結局、そういうことになるんですよ、こういう路線で行ったら。そうじゃないですか。だって大臣ね、これは結局、社会保障のためだといって集めて、それが財政再建のために、赤字を穴埋めするために使うということになると認めたことになるんじゃないですか。それが新しい無駄遣いになるということだって否定できないでしょう。

国務大臣(与謝野馨君)

 過去の赤字の穴埋めに使おうなんということは毛頭考えていません。将来の社会保障をやる場合に赤字国債に依存し続けるというのは不健全であるので、その財源として、また安定した財源として使うということを申し上げているわけでございます。

小池晃君

 いや、結局こういう形でやれば、先ほど、繰り返しますけれども、お金色付いていないわけだから、やはり赤字の穴埋めに回っていくと。しかも、行政の肥大化には使わせないんだというふうに盛んにおっしゃいますよね。ということはこれ、行政のスリム化には使えるわけですよね。そういうことになると、これ、中期プログラムでは何言っているかというと、中期プログラムでは法人税の実効税率の引下げがうたわれているわけですよ。法人税の実効税率を引き下げると、その分、財政的に穴が空いていくと。そこのところに結局消費税上げた分が充てられていくということは、これは否定できないんではありませんか。

国務大臣(与謝野馨君)

 行政の肥大化に使わせないというのはどういうことかといいますと、やはり新たに国民に税制抜本改革を通じて御負担いただく、その中でも、消費税については社会保障給付という形で全額国民に還元をいたします。そのためには、新たにいただくものについては区分経理をしてきっちりこれが国民に還元されるということを明らかにしますということを申し上げているわけでございまして、官の肥大化というのは、他の経費に使わないという意味を示しております。

小池晃君

 しかし、その国民の中には大企業や財界というのは、これはいないということなんですか。結局、だって、中期プログラム見たら、一方では法人税の実効税率は引き下げると書いてあるわけですよ。そうなれば、そこの部分の赤字に回っていくということにこれは結果としてなるんじゃないですか。それは絶対ないというふうに言い切れるんですか。お答えいただきたい。

国務大臣(与謝野馨君)

 法人税率の問題は将来の問題で、確定的に書いてあるわけではありません。ただし、法人税の問題は、法人税率の問題と法人税を掛ける課税ベースの問題と両方実はあって、単に法人税率の表面税率の問題だけ議論するわけではありません。

小池晃君

 いや、だから答えてくださいよ。消費税率引き上げた分が、結局、法人税率引下げの穴埋めに回る可能性は否定できないでしょうと。

国務大臣(与謝野馨君)

 法人税率の引下げには使いません。

小池晃君

 今までの歴史を見ると、これは結局、消費税で二十年目に今年なったわけですが、この間、三月までで二十一年分になりますが、これで徴収した消費税は二百十三兆円なわけですよ。この二十一年間で法人三税の減収というのは百八十二兆円になっているわけで、私は、こういう形で、社会保障だと言うけれども、色付いていないんだから、結局、赤字の穴埋めに使うと、あるいは大企業の減税の穴埋めに使うと、そういう意味じゃ絶対に許されないということを申し上げて、質問を終わります。

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