2009年173臨時国会:速記録

一般質疑


  • 「事業仕分け」に問題点/人選 規制緩和論者も/内容 労働と医療壊す/小池議員が追及<(関連記事)
2009年11月17日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 最初に、行政刷新会議の事業仕分について質問したいと思います。

 そもそもこのメンバーの人選自体に私は大変疑問を持っておりまして、例えば厚生労働分野の事業仕分を行う第二グループに入っている福井秀夫さんという人がおります。この方は、自公政権のときの規制改革会議の再チャレンジワーキンググループ労働タスクフォースの座長を務めた方で、「脱格差と活力をもたらす労働市場へ」という文書を一昨年五月に発表しました。

 私は、この文書をその翌日の当委員会で取り上げたんです。当時ちょうどパート労働法の審議だったんですね。政府がパート労働の均等待遇、まあ均等処遇の対象を拡大する法案を出しているのに、この文書は対象を広げるべきでないという、そういう意見を出したんですよ。同じ政府の中から広げるべきという法案出しているときに、これ一体何なんだという質問をしまして、当時の柳澤伯夫大臣も珍しく意見が同じだというふうにおっしゃって、政府の一部門の末端の組織といえども、その方向性について全く違うことを意見表明するということは適切さを全く欠いているという答弁したんです。

 これ、規制改革会議そのものが度々やっぱり財界の意向を直接押し付ける主張を行って、労働分野や医療分野では本当に問題を起こしてきたし、それは当委員会でも党派を超えた批判の対象になってまいりました。民主党の皆さんも批判を繰り返してきた。とりわけ労働タスクフォースは、これは同一労働同一賃金にも反対、最低賃金を引き上げることにも反対、労働者派遣法は更に緩和すべきと、こういう異常な意見を出してきたんですね。

 細川副大臣も当時の委員会で、政府の非常に重要な諮問機関から意見が出されているが、これまでの労働法制を否定するような内容だというふうに指摘をされていて、全く許されない意見書だというふうに追及されています。

 副大臣は、福井秀夫氏が厚生労働分野での事業仕分にふさわしい方だとお考えでしょうか。

副大臣(細川律夫君)

 おはようございます。

 小池委員の御質問にお答えいたしますが、実は私も一昨年の、あれは六月だったと思いますが、衆議院の方の厚生労働委員会でその労働タスクフォースの意見書について質問をいたしまして、そもそも厚生労働省のこれまでの政策とまるっきり反対ではないかということで質問をいたしまして、当時の柳澤大臣から、今、小池委員の言われたような、そういう答弁もいただいた記憶があります。

 そういう質問をした記憶はありますが、今回の事業仕分を行っています行政刷新会議でのこの評価者の選任について、これは行政刷新会議の方でいろいろの事業に対する評価を行うについて、いろいろな立場とかいろいろな考え方を持っている、民間からは有識者というような形で選任をされているというふうに理解をいたしておりまして、個別の評価者について私の立場からいろんな所感を申し上げることについてはちょっと差し控えさせていただきたいというふうに思います。

小池晃君

 ちょっと歯切れが悪いなというふうに率直に思うんですが、今回の事業仕分では、例えば新規学卒者への就職支援の廃止とか、あるいはそのパート労働者の均等待遇推進等助成金の削減見直しとか、私は、ちょっと今の御時世からいうとこれはいかがなものかなという中身もあるんですね。

 大きな話でいうと、例えば防衛省の予算、軍事費が事業仕分の対象になっていないんじゃないかと私ども思っていますし、それから政党助成金なんというのは、これは仕分の対象に真っ先にすべきだというふうに私たち思いますが、今日はちょっと厚生労働に限って言うと、その範囲だけでもやっぱりこれはどうなんだろうというものがあるわけです。

 長妻大臣、もちろん無駄遣いを徹底的に洗い出すということは必要なことだと思うんですけれども、やっぱり労働者保護というのはこれは行政としては外してはならない大事なポイントだというふうに思いますし、労働者を保護するような観点が全くないような文書をかつて出しているこういう人物に事業仕分を行わせれば、やっぱり私は労働行政の根幹を非常にゆがめるということになるのではないかということを懸念を持つわけです。

 大臣、やっぱりその点についてそういう御懸念、大臣はお持ちでないのか。今の議論に対して、やっぱり大臣としてもしっかり物を言っていく必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(長妻昭君)

 行政刷新会議の、今、第二ワーキンググループのメンバーのお話だと思いますけれども、私も福井さんの御主張をすべてつまびらかに承知しているわけではありませんけれども、メンバーがかなり大勢いらっしゃる中のお一人だということでありまして、このメンバーの人選も専ら行政刷新会議が人選をしているというところでありまして、そういう意味では、いろんな意見を持っておられる方がこの事業についての御意見をいただくということで、当然この方一人がやるというわけではなくて、十人以上国会議員も入った中で御意見をいただいて、最後、いろいろな御意見の多数決的な表決、ただすべて多数決ではなくて、そこに議員の意思も入るやに聞いておりますので、そういう御意見を、あるいは御指摘をいただくということについては、行政刷新会議というのは非常に役割は大きいと感じておりますので、そういう意味では、一つの御意見として、多くのメンバーの中のお一人として御意見を、御指摘をいただくと、こういう趣旨で行政刷新会議は人選をしたのではないかと思っておりますので、私としてはこの人選がいい悪いというようなことを言う立場にはないと考えております。

小池晃君

 やっぱり国民の立場に立って判断できる人選が必要だと思いますし、もちろん中の一人ではあるかもしれません。しかし、メンバーを見ると、どうもそういう、この間、構造改革路線を推し進めてきたようなそういう方が非常に私は目立つと、マスコミでもそういう指摘もされているかと思うんですね。

 その人選だけじゃありません、問題は、もちろん中身です。医療分野の仕分結果を見ても様々な問題がありまして、これ診療報酬について言うと、収入が高い診療科の見直し、開業医、勤務医の平準化が結論になっています。それから、公務員人件費やデフレの反映ということも診療報酬に求めているんですね。しかし、診療報酬全体を底上げするというのが民主党の御主張でもあったし、長妻大臣もそういう主張をされていたと私は思うわけです。

 仕分の場に財務省が提出した資料があるんですよ。これを見ると、開業医の年収が勤務医の一・七倍という、これが出されていまして、これがほとんど通ってしまっているんですが、しかし実際、経営リスクとか、あるいは勤務医との年齢格差ということは考慮されていませんし、個人開業医というのは、これは院長給与じゃなくて収支差が示されていますから、この収支差額の中から事業にかかわる税や借入金の返済とか退職金の積立てなどの費用も捻出しなきゃいけない。しかし、それが、これは勘案されていない非常に粗い数字なんですね。診療科による収支差も出されているんですけど、これは各科ごとのサンプルが数十医療機関程度しかないというものでありまして、これでその十分な資料と言えるのか。しかし、仕分の結論というのは、こう見ると、財務省が出した資料のほとんどその流れに沿ったような結論になってきているのではないかというふうに私は思うんです。

 それから、一方で患者負担の増大につながる方向も出されていて、入院時のいわゆるホテルコスト、食費、居住費については、これは療養病床だけでなく、若年者も含めて一般病床へという方向が出されておりますし、薬価については保険適用範囲をジェネリック価格に絞るべきというコメント付いているんですね。さらに、後発医薬品の類似薬は保険対象外とすべきと、これは結論になっているわけです。

 こうした方向というのは、元々財務省がこれやれやれと言ってきたことなわけですよ、かねてより。それから、経済財政諮問会議で民間議員なんかが何度も言ってきたことなんですね。結局、私は、こういう中身であれば、財務省の予算査定が衆人環視の下で事業仕分の名を借りて行われていると言われても仕方がないような結論になってきているのではないかというふうに思うんです。

 大臣、やはり大臣は政府全体であると同時に、やっぱり厚生労働分野で国民の命を守る、やっぱり雇用の原則を守っていくという仕事があるわけですから、私は、こういう乱暴で非常識な切り分けやってしまうと、日本の医療、一層危機に陥るというふうに思いますし、大臣がこの間主張されてきた方向性ともこれは反する方向になりかねない中身が入っていると。きちんとやっぱり厚労省としては言うべきことをしっかり言うという立場で臨むべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(長妻昭君)

 この診療報酬といいますのは、御存じのように、厚生労働省の中に中医協というそういう配分を決めるところもありますし、その基本方針は、社会保障審議会で基本方針を打ち出すと、その全体につきましては内閣としてネットの伸びを決定すると、こういう仕組みが既にあるということでございまして、その中で行政刷新会議から御意見、御指摘をいただいたというふうに考えているところであります。この行政刷新会議の御指摘につきましては、私も先日、中医協の会議に私も出席しましたけれども、委員の皆様からもいろいろな御意見が出されたということも私も直接お伺いをしたところであります。

 いずれにしましても、貴重な御意見として我々もその中身を詳細に分析をして把握するということは、これはもう重要だと考えておりますけれども、最終的には今申し上げたような仕組みの中でそれぞれのつかさつかさで決定がなされると、こういうことになっております。

 私としては、やはり地域医療を立て直していくということと勤務医の皆様方の非常に今多忙な状況を改善をしていく、あるいは、これはもう外科あるいは産婦人科、小児科あるいは急性期の医療などを重点的に見直していくと、こういうような発想を持っておりますので、それについては貴重な御意見として承るということになります。

 そして、後半言われた例えば若者のホテルコストの徴収、入院時のですね、そういう御指摘もこれありましたけれども、あるいはこの薬の保険適用しないという御指摘もありましたが、いずれにしても患者さんの負担が増える案件もこの中には入っておりますので、そういう御指摘を踏まえて最終的には私が、あるいは内閣が責任を持って判断をする、そういう範疇の案件であるというふうに考えております。

小池晃君

 大臣、医療費、私ははっきり聞きたいんですけれども、今ネットの伸び抑制するっておっしゃったけど、そうなんですか。診療報酬全体底上げするのが新政権の方針なんじゃないですか、医療費全体を抑えるんですか、そこをはっきりさせてください。

国務大臣(長妻昭君)

 ちょっと今誤解があったかもしれませんが、私は、もう発想としてはネットの伸びはやはりプラスにしていきたいというふうに考えているところでありますけれども、プラスといっても、そのプラスの幅によっては患者さんの御負担が増えるなどなどいろいろな問題が発生してまいりますので、できる限り、例えばジェネリックなど医療の水準に支障がない範囲で薬価を下げて、そこに地域医療再生の報酬を埋め合わせていくと、こういうような発想を持って、そしてプラスということを目指していきたいというふうに私は考えております。

小池晃君

 ネットでプラス、当然だし、この間、抑制続いてきているわけですから、本当に深刻なやっぱり事態になっているわけで、私は大幅な増というのが今求められているというふうに思います。

 老齢加算の問題についてお聞きします。

 新政権になって母子加算復活しました。一方で、老齢加算そのままです。母子加算と同様に、これは保護世帯よりも低所得世帯の消費水準が低いということを理由に削減、廃止されたわけですが、母子加算を復活させるのに老齢加算復活させない、これはなぜなんでしょうか。

国務大臣(長妻昭君)

 この母子加算につきましては、我々野党の時代から民主党としてもプロジェクトチームをつくってかなり回数を重ねて検討してまいったところでありまして、そういう意味では子供の貧困解消を何とか図っていくということと、これは貧困の再生産、こういう言葉が適当かどうか分かりませんが、そういうことを防いでいくと、そういう強い意思を持ってこの母子加算の復活を我々も掲げ、そして今、連立合意の中でもこれを重点として打ち出させていただいておりますので、その意味で、十二月、これは来月でございますけれども、母子加算を予備費で復活をさせていただくということを決定をいたしました。

 そして、この老齢加算につきましても、これもかねてよりいろいろな御要望をいただいているというのは私もよく理解しているところでございますけれども、これにつきまして、私どもとしては多角的な視野に立って検討を進めるということは考えておりまして、それを含めて、今現在、ナショナルミニマム、憲法二十五条で保障されている最低限度の生活というのが具体的にどういう指標で把握すべきなのか、今の現在の把握の指標というのがそれで十分なのかどうかを検証をしているところでもありますので、そういう検証とともに、こういう問題についても取り組んでいきたいというふうには考えているところでありますが、これは直ちにということはなかなか、長期的なナショナルミニマムの水準と平仄を合わせた検討になろうかと思いますので、いずれにしましても、そういうものも含めた、我々、議論は重ねていきたいと思っております。

小池晃君

 今のでは理由がよく分からないんですよ。やっぱり母子加算は復活するけれども、老齢加算はなぜ検討するということにとどまるのか。

 老齢加算の廃止によってどういう声が上がっているかというと、こんな声です。交際費を捻出することができなくなって親族や友人との交流が絶たれてしまった、冠婚葬祭にも出席できなくなって、故人を弔うことができず申し訳なくて心を痛めていると、こんな声があります。また、百歳を過ぎた実母の見舞いにも行かれない状況で、実母が死亡した場合にも喪主としての務めを果たすことができるか心配である、老齢加算廃止後は日中寝ていることが多く、外出の機会が減り、生活の幅が狭まったと。江戸時代のいわゆる村八分というのでも葬式だけは付き合ってきたという日本の伝統がある中で、やっぱりこの高齢者の皆さんの、老齢加算の廃止によって、食事を減らしたりとか、外出の機会や親戚、友人の葬儀にも出席できなくなっていると、こういう声が皆さんのところにも多分寄せられているというふうに思うんですね。

 私は、母子加算の復活、これは歓迎するし、これは四月以降もしっかり維持をしていただきたいと思いますが、やっぱりこの老齢加算についても、ある意味では自公政治のときの本当に冷たいやり方だったと思いますし、それを変えるということが新政権期待をされていたというふうに思います。私は是非、母子加算と併せて老齢加算も復活していただきたい。

 長妻大臣は、私どもと一緒に母子加算の復活法案を提出したときの記者会見で、これは健康で文化的な最低限度の生活、憲法二十五条上も母子加算問題だと、この母子加算の廃止というのはまさにナショナルミニマムを引き下げるという国家判断で、説得性のないまま最も重要なナショナルミニマムの水準を下げるという国家の判断がなされたことは看過できないと大臣はおっしゃったんですよ。

 そういうことでいえば、この母子加算というところを老齢加算に置き換えてもこれは全く同じことが言えるはずでありまして、私は、先ほどのようなちょっと腰の引けたことではなくて、やっぱり老齢加算についても、高齢者の皆さんの生活実態に着目したナショナルミニマムの在り方についてこれは検討し、早急に結論を出すんだと、その結論が出る間だけでも老齢加算復活すると、そういうやっぱり今の高齢者の皆さんの願いにこたえる姿勢を新政権は示すべきではないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(長妻昭君)

 まず、大前提といたしまして、我々の政権では、社会保障の伸びを一律毎年二千二百億円カットすると、こういう機械的なことはしないと、こういう政権であることはまずもって申し上げた上で、この老齢加算にいたしましても、高齢者世帯の生活実態なども、先ほどのナショナルミニマムの議論と同時に、詳細に今現在の指標だけで見ていいのかどうかも含めてそれを分析して現状把握をすると、その上で検討していくと、こういうようなことで私どもとしては考えているところであります。

小池晃君

 私は、やっぱり政治が変わったんだというのを本当に分かりやすい形でもっと国民に示していくと。予算委員会では後期高齢者医療制度の問題取り上げましたけれども、こういったところでやっぱり新政権の姿勢が問われているんだということは重ねて申し上げたいというふうに思います。

 それから、天下りの問題についてお聞きをしたい。

 天下りの問題ですが、これはもう厚生労働行政の長年の底なし沼みたいないろいろと深い問題が私はあると思っていまして、やっぱりこういうやみの部分にしっかりメスを入れる、徹底的に実態を洗い出す、そういったことをしないで単純に補助金をカットするというだけに終わってしまうと、私はこの問題の解決につながるのかということを大変懸念をしておりまして、結局、国民生活の犠牲ということになりかねないような部分も私は感じているわけです。

 そのやみの実態ということで今日ちょっと御紹介したいのが日本社会事業大学の問題でありまして、これは、日本社会事業大学というのは最も歴史のある福祉系の大学で、いろんな人材も輩出してきた。資料を今日お配りをしておりますけれども、国有財産の貸与契約と併せて人事にかかわる覚書が締結されていて、これが、現在もこの覚書に基づいて人事がなされております。

 政府参考人、教職員の採用にかかわる部分、簡単に御紹介いただきたい。

政府参考人(清水美智夫君)

 平成三年一月七日付けの厚生省社会局長と日本社会事業大学の理事長、学長との間の覚書ということでございまして、十八年前のものでございまして、今現在必ずしもその内容どおりの実務取扱いということではございませんが、内容は、社会事業大学が教職員を任免するに際しまして学内で候補者を選定する、その後にあらかじめ厚生省社会局長に文書をもってそのことを協議しなければならないといったことを定めているものでございます。

小池晃君

 この覚書の当事者は厚生省の社会局長と、それから元厚生省社会局長、天下りの大学理事長と、それから大学の学長さんの三者の覚書なんですね。人事は事前承認が必要で、常時連絡を密にするということも書かれていますし、寄附行為の変更、給与規程などの変更についても社会局長の承認を受けるということが出ていて、実際に人事についてかなり綿密な協議が行われていると。

 大臣、こういうふうに大学の人事、運営について社会局長の承認を得なければいけないという、こういう覚書まで結んで、そしてそこに天下りをしているという、こういう構造、実態についてどういうふうに思われますか。

国務大臣(長妻昭君)

 これも調査をいたしますと、この学校法人日本社会事業大学の理事でございますが、無給の非常勤も含めて十四名の方がおられますけれども、その中で五名の方が厚生労働省のOBであるということと、あと監事でございますけれども、お二人がおられますが、お二人とも厚生労働省のOBであるという実態もある。そして、この覚書で非常に、その人事についても、厚生労働省と事前に協議をするというような覚書は、私はもうこの覚書というのは廃棄をするということを直ちにしていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 ちょっと、やっぱりこういうのは本当に私は徹底的に、ほかにもこういうことがいっぱいあるんではないかなというふうに思うんですよ。やっぱり徹底的に解明する必要がある。

 それから、資料の二枚目以降は、これは社大の評議員の改選取扱いについてという文書なんですが、これは昨年、厚生労働省が情報公開の求めに応じて出したものであります。

 この文書で紹介されているのは、当時の社会・援護局企画課長、老人保健福祉局企画課長、児童家庭局企画課長、社会・援護局施設人材課長が、ポスト指定で評議員に就いていたということが明らかになっていまして、しかし文書の中には、綱紀粛正の折、関係団体との関係の在り方が問題点だというふうに指摘をされていまして、委託費を支出しており、その中で十分に指導できると考えられるので、関与する必要はないといいながら、結局、施設人材課長のみとするということが決定しています。評議員の中にポスト指定で入っていくと。

 この資料、これは厚労省に聞いたらば、これは、こういう資料はないんだというふうに言ったんですけれども、こういう関与、何か後ろめたいことでもあってこれは資料を出していただけないんですか。情報公開で取ったものがあると言ったんだけど、いや、厚生労働省から出せませんと言われたんですが、いかがですか。

政府参考人(清水美智夫君)

 御指摘いただきまして私どもの内部でファイル等を調べたわけでございますけれども、この九七年の文書というものが確認できなかったということでお答えを申し上げたわけでございます。

小池晃君

 いや、でも、これは別に秘密で取った資料でも何でもなくて、情報公開請求で昨年、厚生労働省出したんですよ。そのことは間違いないですね。

政府参考人(清水美智夫君)

 大変恐縮でございます。小池先生の御指摘、そのとおりかと存じますけれども、現時点で、私ども、昨年、情報公開においてこれを出したということが確認できないのは大変恐縮なところでございます。

小池晃君

 こういうのをどう思います、こういう資料があるんだかないんだかもはっきり言わないと。私は、やっぱりこういったことについて本当に徹底的にうみ出さないといけないと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(長妻昭君)

 今のお話で、情報公開請求で資料を取り寄せたとすれば、これはどこかに記録があるというふうにも思いますし、ただ、この文書の保存期間との関係でどうなのかということもありますが、再度徹底的に調査をいたします。そして、仮に、この文書は私も拝見いたしましたけれども、この文書が今も有効であるとすれば、先ほどと同じような趣旨で、私は廃棄されてよい文書ではないかというふうに考えております。

 いずれにしても、調査をしてまいる所存です。

小池晃君

 大学の内部の皆さんの声としては、やっぱり厚生労働省の意向をちらつかせたこういう天下りのシステムについて非常に強い批判があるんですね。だから、今回、OBがいるというだけで補助金減らされるということで、実際こういう人たちにこそ厳しい対処が必要なんではないかという声が大学の中からも出ているわけです。

 大臣、やっぱりこういう異常な関係、徹底的に改める、この問題については破棄するとおっしゃったけど、ただ単にやっぱり破棄するではなくて、徹底的にこういうやみの部分について、厚生労働省の中にある問題について徹底的に洗い出してうみを出していただきたい。

 私がこの問題を取り上げ始めて調査し始めた直後に、社会・援護局の福祉基盤課長がこの大学の教授会に乗り込んで、チェック機関をつくれと、研究、教育の成果出さないと委託を切れと言われるからもっとちゃんとやれと、もう慌てて動き始めているということも聞いているんですよ。

 大学の実際いる皆さんは、もちろん天下りじゃない人ですけれども、何だかその内部告発なんかしたら出ていけという、消えるぞと言われたような気がするというふうにおっしゃっていて、六十年間福祉の問題で一生懸命やってきたこの大学が、こういう厚生労働省のいろんな思惑の中で危機にさらされていいのかという声も上がっているわけですね。こういう天下りに本当に苦しめられてきた現場の実態によく耳を傾けてやっぱり徹底的にこういう問題について調査をする。私、そういったことをやらないでただ単に補助金をカットするというだけやったらば、こういう問題がやみに埋もれたままになりかねないし、被害を受けなくてもいい人のところに被害が行ってしまうと。

 今日はちょっと時間の関係で質問できませんけれども、例えば産業医大の補助金が二割カットされる。産業医大というのは、大学の医学部の入学定員を増やしたんですね。そういうことであればやっぱり増えてしかるべきだと思うんですが、そこまで削られているといういろんな問題があって、これはもう答えないでいいですけれども、指摘だけにしますが、でも私はやっぱり、もちろん厳しく対処していくことは必要だけれども、まずいろんなことの前提としてやっぱり徹底的な調査、解明を厚生労働省が今やることが求められているんではないかというふうに思いますので、この問題について歴史的な経過も含めてきちんと検証していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(長妻昭君)

 こういう覚書を結んでいるということが仮にほかの団体ではないのかどうかも含めて、これは調査をする必要があるというふうに思います。

 天下りは、我々、天下りを受け入れる団体の補助金を単純にカットするだけではありませんで、天下りの三つの類型、持参金型、人質型、創業型という三つのものが、詳しくは説明をいたしませんけれども、持参金型というのは補助金がお土産で付いてくるもの、必要性の低い仕事がそのまま付くもの、これも今チェックをしております。人質型というのは監督官庁からのOBを受け入れると監督が緩くなるんじゃないかと、そういう下心で受け入れる天下り。創業型というのは、これも今私どもも見直しをしておりますけれども、厚生労働省のOBが株式会社をみんなでつくってそこに随意契約等でお金が流れ込むと、こういうような問題も細かく分析をして、国民の皆さんの税金が有効に使われるように我々も努力をしていこうというふうに考えております。

小池晃君

 終わります。

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