2010年174通常国会:速記録

厚生労働委員会 雇用保険法改正案に対する質疑


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2010年1月28日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 今回の法案は、雇用保険に対する国庫負担率を本則の二五%に戻すのに相当する三千五百億円を補充するというものでありますが、来年度から本則に戻すわけじゃないわけですね。私たち日本共産党もこの二五%の本則に戻すことをかねてから要求してまいりましたけれども、戻すんだったら、本則で来年度からやっぱり戻すというふうにすべきだと思いますし、大体、積立金、四兆円を超えているわけですから、国庫負担を引き上げるのであれば、併せてやはり給付の拡大をやるべきだと思うんですよ。今、失業者の中でも給付を受けている人、二四%、これは昨年十一月の数字でもこうなわけですから。ところが、新年度には四千四百億円、二事業に貸し出すというので、これは本当にちょっと分かりにくいと、はっきり言って。

 民主党は総選挙でも国庫負担を本則に戻すというふうに公約したんだから、やっぱりこういう分かりにくいことはしないで、すっきり来年度から本則へ戻して、戻したらば給付を増やすということをやっぱりやるというのが私はこれはやるべきだし、我々はずっと全国延長給付ということを言ってまいりましたし、給付額も給付日数も少ないわけだから、やっぱりそういったことをやるというふうに、国民から見て本当に分かりやすいやり方でやってほしいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

国務大臣(長妻昭君)

 限られた財源の中で、本当に財源が潤沢過ぎるぐらいあればいろいろな施策を考えたいところでございますけれども、その一方で、今言われたような全国延長給付というのも前国会でも御指摘いただきましたが、まずは、これは平成二十一年度の改正で個別延長給付ということで、昨年四月から十一月まで三十九万人の受給者に対して六十日の延長措置というのもしておりまして、国民の皆様の期待にこたえる、財源の制約もありますけれども、ぎりぎりの中で我々は取り組んでいきたいというふうに考えております。

小池晃君

 失業給付の会計として四兆円というのは私はかなり潤沢なものだというふうに思っていますので、ここはやっぱりすっきり本則で国庫負担率を引き上げて給付を拡大すると、政権交代というのにふさわしい分かりやすいやり方を。何か心からちょっと賛成できないような、何か引っかかるような、こういうことはやめていただきたいというふうに思います。

 それから、具体的にちょっと雇用の問題を聞きたいんですが、正規雇用から非正規へというか、雇用破壊みたいなのが政府の足下でちょっと起こっているんですね。

 国土交通省所管の独立行政法人都市再生機構、UR、ここの一〇〇%子会社の住宅管理協会が、これは全国の公団のサービスを請け負ってきた下請会社から派遣されてきた労働者に対して、派遣期間が三年になるのでもう派遣はできないと、引き続き働きたいのであれば、派遣先の住宅管理協会に非正規の嘱託にと、こういう通告をしているんです。

 これ、派遣といっても、こういう皆さんは請負会社のときからもう三年あるいは二十年ずうっと働いてきた社員の方ばっかりです。それが住宅管理協会に移籍をすると、四か月とか、長くても一年とか契約社員になって、契約更新の有無も分からず、一時金もなく、月平均十万円賃金がダウンすると。仕事は全く同じなのに一方的に労働条件切り下げられるという怒りの声が寄せられているんですよ。

 これ、元々は偽装請負が発覚したんです、三年前に、住宅管理協会の。これ、是正指導を受けたのをきっかけにして、それまで請負、下請会社だったんだけど、これを派遣会社になるようにして、言わば派遣という形に形だけ変えて、下請会社派遣事業登録もして、これやってきたんですね。つまりは、本来、偽装請負発覚したときに直接雇用にすべきだったのに、派遣会社にすることで逃れてきた。それが三年になったからもう切るんだと、こういう話なんですよ。

 国土交通省に聞きますが、住宅管理協会に対する派遣労働者の数は昨年のこの移籍の話の開始時点で何社で何人だったか、数字だけ簡潔にお答えください。

大臣政務官(長安豊君)

 委員にお答えいたします。

 財団法人住宅管理協会による直接雇用に移行する前の昨年十一月末の時点でございますが、七十七社、二百三十三名の派遣社員の方がいたと聞いております。

小池晃君

 二百人を超える労働者が失業か十万円の賃下げかという過酷な選択を今強いられています。

 URの子会社の派遣法違反のしりぬぐいで派遣労働者にさせられて、その挙げ句、嘱託という不安定雇用になれというふうに言われ大幅賃金引下げ、これは許されないと思うんですね。しかも、これ、移籍の労働条件説明する際に、協会は、口頭で契約期間を一回一年というふうに説明しておきながら、書面による労働条件の提示を拒否して、労働者が十一月末にやむなく契約をしたらば実際には今年三月末までの四か月というふうに書かれていたというんです。

 厚労省に聞きますが、募集時と契約内容が違う労働契約というのは認められるんでしょうか。違法、無効ということにならないんでしょうか。こういう場合、罰則あるんでしょうか。

政府参考人(森山寛君)

 お答え申し上げます。

 個別の事案につきましてはお答えは差し控えさせていただきますけれども、一般論といたしまして、これはもう御案内のように、労働契約は労使の合意によって成立をいたします。ですから、募集時に明示しました労働条件と労働契約締結時に明示しました労働条件が異なっている場合でありましても、労働者がその労働契約締結時に明示されました労働条件で働くことを合意したのであれば、その労働条件を内容とする労働契約が有効に成立するというふうに考えております。

 一方、先生今御指摘されましたように、締結された労働契約が有効でありましても、労働者の募集時に募集に応じた労働者に対して労働条件の明示を書面等で行っていない場合、これにつきましては職業安定法違反となりますので、指導、助言の対象となり得ます。

 また、虚偽の広告あるいは虚偽の条件の提示によりまして労働者の募集を行った場合には、職業安定法六十五条第八号によりまして罰則の適用もあります。

小池晃君

 ということなわけですが、今回のUR、住宅管理協会の、もう雇ってやるから大幅賃金ダウンはのめというのは、これは余りに私ひどいやり方ではないかなというふうに思います。

 一方で、都市再生機構も住宅管理協会も全部これ国土交通省の天下りだらけなわけですよ。都市再生機構の理事長は、これは国土交通審議官の天下りですが、年収は国土交通省に聞いたら二千九十万円だというふうに聞きました。

 こういう天下りを雇うために、一生懸命現場の労働者が本当に働かされて、そして不当な労働条件の改悪まで押し付けられているということが国のおひざ元で起きているということ、私はこれ看過できないというふうに思うんです。国土交通省にも、私、これ管理下、所管なわけですから、責任あると思う。東京土建などの労働組合とか下請会社が是正、改善求めております。

 住宅管理協会は、これはやっぱり少しでも雇用の安定につながるように誠実に対応すべきであると思いますし、そのように国交省からもきちっと指導していただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

大臣政務官(長安豊君)

 誠実にして、対応してまいりたいと考えております。

小池晃君

 大臣、ちょっと、大臣に聞くとは言っていませんでしたが、昨日も予算委員会で我が党の大門実紀史議員がNTTの問題を取り上げました。やっぱり、こういう政府の本来口が利けるような企業の中でやっぱりこういう事態が起こっているということに対して、やっぱり労働行政をつかさどる厚労省としてきちっと物を言っていくと。まあ、それは直接言えないでしょうけど、やっぱり政治主導でそこはきちっと物を言っていくということをこれからいろんな場面ではやっていくべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。決意を聞かせてほしい。

国務大臣(長妻昭君)

 これは、御存じのように、個別の案件についてはコメントできません。昨日出た案件というのは、これは民間企業であります。今の案件というのは独立行政法人ということでありまして、いずれにいたしましても、これは法令に反しているということが判明したときにはきちっと適切な処理をすると。

 そして、天下りの問題でございますけれども、これについては、もう全独立行政法人で一定の要件で公募というのを始めておりますので、こういう形を積み重ねをして、その弊害を取り除いていこうというふうに考えております。

小池晃君

 すべての省庁に対して、こうした非正規雇用を進めるような流れに対してしっかり物を言っていただきたいというふうに重ねて申し上げたいと思います。

 残る時間、ちょっと後期高齢者医療制度のことを聞きたいんですが、これは予算委員会で私、大臣と、これすぐにやめると言ったのに先送りではないか、廃止は四年後というのはこれは公約違反ではないかという議論をいたしまして、そのときに予算委員会で大臣は、負担を少しでも抑制していく措置を講ずるんだというふうにおっしゃいました。

 十月二十六日の事務連絡では、後期高齢者負担率の上昇に伴う部分については国庫補助を行う、要するに若年齢の減少分、まあ高齢化の進行分については国が手当てをするというふうに言ったわけですね、事務連絡で。

 これ、実際、予算措置されたんでしょうか。大臣、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。どうですか。

国務大臣(長妻昭君)

 これについては、この通知の中で、検討ということにしておった通知でありますけれども、基本的に一つの広域連合の余剰金というのを活用する、そしてもう一つは安定基金というのを活用すると。安定基金については、これを支出したときに同じ金額を国から負担をすると、こういうような仕組みで保険料の上昇を抑えるということです。

小池晃君

 いや、私の言ったことに答えていない。

 それは書いてありますよ。でも、それとは別に、高齢者の人口の、高齢者の負担率の増加分は国庫負担、国庫補助するものとして、自治体にはそういうふうに計算しろという事務連絡出しているんですよ。ところが、この部分、もう一回言いますよ、後期高齢者負担率の上昇に伴う保険料の増加分について国庫補助は行ったんですか。

国務大臣(長妻昭君)

 この国庫補助は直接的には行っておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、基金のお金を使って各広域連合が、あるいは都道府県と判断して支出をしたときに、同じお金を国庫から支援すると、こういうスキームはあるわけであります。

小池晃君

 それは別の話なんです。

 この後期高齢者負担率の上昇、二・六%の保険料上昇分については抑えるんだと。これ、負担を抑制するという予算委員会での私への答弁に反するじゃないですか。これ、おかしいじゃないですか。答弁に反すると思いますが、いかがですか。

大臣政務官(足立信也君)

 済みません、委員もお分かりのように、この事務連絡で、保険料の増加を極力抑制するために試算作業を行って報告してほしいと。それ、順番がありましてですね、やはり剰余金の活用が最初に書かれていて、そして安定化基金を、これを使ってほしい、その安定化基金の中には国が三分の一出していると、それもある。

 先ほどのお尋ねの件ですが、さっき大臣もお答えしたように、検討しております。確かに検討はしたんです。したんですが、安定化基金を積み増して取り崩すようなことも考えると、そこに国庫もちゃんと負担するようになるというのが見解でございます。

小池晃君

 いや、だからそれは書いてあるから分かっているので、そうじゃなくて、それとは別に国庫補助しますというふうに言っていたのにしていないと。

 だから、大臣、これは、長妻さん、廃止をすぐにやるというふうに言っていたこともやらないし、廃止するまでの間は痛みを抑える措置をとると言ったのもやらないし、これは私は国民に対して二重の裏切りだと思いますよ。そういうふうに言われても仕方がないんじゃないですか。

 大臣、大臣に答えていただきたい。大臣、おかしいです。大臣、おかしいですよ。

国務大臣(長妻昭君)

 目的は保険料の上昇を抑えるというのが、これが目的になるわけでありまして、その中でどういう手段が取れるかということで、これも先ほど申し上げましたような剰余金とか、あるいは財政安定化基金ということを取り崩す、そして積み増しが行われる場合は国もきちっとそのお金を拠出するということを通じて、この上昇の保険料の度合いをできる限り低くしようということで、これはかなりそれは低くさせていただく。

 ただ、それにしても上昇部分はあるわけでございますけれども、その中で我々は当初の目的である保険料を抑制すると、できる限り抑制すると、こういうような目的を達成すべく今取り組んでいるということです。

小池晃君

 もう質問しませんが、私はやっぱり、ここで、だって皆さんと一緒に廃止法案通したんですよ。そのとき、すぐやめると、こういう痛みはもう許されないというので頑張ったんですよ。それを、やめることも先送りするし、痛みも実際に抑えるという、それはやっていることは分かりますよ、財政安定化基金の取崩しということで。でも、国庫補助、この部分削る、ちゃんと手当てしますよと、自治体にはそれで計算してくださいねとまで言いながらそれはやらないというのは、私は、これは一緒にこの場で廃止のために闘った者としてやっぱりどうしても言わざるを得ない。

 こういう形でやっていたらやっぱり国民から何なんだということになると思いますので、今からでも遅くないですから、直ちにやっぱり国民に対して誠実に対応していただくということを求めて、私は質問を終わります。

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