2010年174通常国会:速記録

厚生労働委員会


  • 介護施設整備 目標上げよ/小池議員 待機42万人解決を/参院委<(関連記事)
2010年3月31日(水)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 本法案は、旧措置入所者の負担軽減を継続するもので、当然だというのが我々の立場です。

 その上で、お聞きしたいのは、特養の待機者四十二万人ということが発表されまして、今回は特に待機者の五割が在宅だとか、あるいは要介護四、五だけでも六万七千人に上るという、非常にある意味、衝撃的な数字だったというふうに思うんです。やっぱりこれは施設整備が圧倒的に遅れているからであります。

 今日、資料をお配りしましたけれども、昨年三月まで三年間の第三期計画の実績値を見ますと、特養ホームは計画五・一万に対して三・七万、介護老健施設は二・七万に対し一・七万などなどで、全体としては見込みの七割の実績であったと。このほかに介護療養医療施設が二万八千減少していますから、これを差し引いて計算すると、結局十二・五万の見込みに対して五・三万ということで、四二・五%にすぎない数字になっています。

 私、大臣にお聞きしたいのは、やっぱりこれは今までの社会保障抑制政策の結果、こういう事態になっているというふうに思っておりまして、やっぱりそれが深刻な待機者問題あるいは介護難民というような事態を生み出した。やっぱりこういう路線の根本的な転換が必要だというふうに考えますが、大臣、基本的な認識をお聞かせください。

国務大臣(長妻昭君)

 やはり、計画についてはそれを達成をしていくということがもちろん必要だと思います。

 この平成二十一年度から二十三年度、三年間で十六万床という目標がありますけれども、これがやはり達成をもう前提として予算も組んでいるところでありますので、この目標を達成をしていく。と同時に、これは施設の目標でありますので、先ほど申し上げたような在宅での介護体制の整備というのにも取り組んでいくということで、この問題というのは優先順位の非常に高い問題であるというふうには認識しております。

小池晃君

 今、三年間で十六万増やすというお話があって、そういった形で大幅に力を入れていくことは、これはいいことだというふうに思うんですが。

 ただ、結局、こういうことでいくと第四期の終わりの二〇一一年までに第五期の整備目標のうち四万人分先取りしてやるということになっていくわけですね。しかし、スピードアップしてやったとしても、最終的な目標である施設入居者の割合を三七%とするという参酌標準については、これは変えようという議論は聞こえてこないわけであります。幾ら前倒しで進めたとしても、最終目標である二〇一四年の参酌標準をこのままにしておいたら、結局、必要な整備量は確保されないということになるのではないか。実際に、そもそも都道府県の整備状況を見ますと、もう既に参酌標準達成しているか大幅に超過している道県が三十三もあるわけですね。

 私は、今の大幅に基盤整備進めようということについては、これは支持をするものでありますけれども、だとすれば、やっぱり参酌標準もこれは見直して、次期計画の整備目標も引き上げていくと、やっぱりこういう議論も併せてやらなければ平仄が取れないということになるのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(長妻昭君)

 今おっしゃられた点は、平成二十六年度までに、要介護二以上の方のうち施設等を利用されている方の割合を三七%以下とする目標、これ参酌基準をお示しをしているということでありますけれども、これについては、当然その三七%という関係に縛られるものではありませんで、今おっしゃられたようにそれを上回っている地域もありますが、今度、平成二十四年度からは第五期以降の計画が立案されるわけでございますけれども、その議論の中で今の点も踏まえた形でそれをどうするか、あるいはまた別の目標にするのか、目標自体をどういう位置付けにするのかも含めて検討していきたいと思います。

小池晃君

 これはやっぱり見直すべきだと。こういう路線全体転換するというのであれば、きちっと参酌目標ということについても見直すべきだと思います。そもそも二〇〇五年の制度改定のときに大幅に引き下げられたという計画もありますので、参酌標準見直して必要な施設整備を進めていくということを求めたいというふうに思います。

 それから、今御指摘もあったんですが、介護療養病床の廃止問題、私もこれ聞きたいと思っていたんですが、先ほどの資料を見てもこれは二万八千減少していて、やはり手厚いケアを必要とする高齢者の行き場が失われつつあるわけであります。この介護療養病床の廃止も前政権時代の療養病床削減、再編の一環でありまして、やっぱりその最大の目標はこういう社会保障費抑制ということにあっただろうというふうに思うんですね。医療療養病床の削減計画については、これはもう前政権時代から見直しが始まっております。

 私は、先ほどちょっと答弁では実態把握などをやって夏までにそれを踏まえてというお話があったんですが、それをやられようというのは承知しているんですけれども、やはりこれは廃止ありきということで進めるのではなくて、この介護療養病床の廃止ということについてもこれ前提とせずに、これきちっと議論していくということで臨むべきだと思うんですが、大臣の答弁を求めます。

国務大臣(長妻昭君)

 私自身は廃止ありきで進めるというつもりはありませんで、やはりこれはもう患者さんがそこにいらっしゃるわけでありますので、配置転換というのがきちっとその受入れ体制がないままに強引に進めるというのは、これはあってはならないわけでありますので、これは夏ごろまでに結果を取りまとめて、皆様方にもこれを公表をして、そしてその結果を踏まえて議論をして、猶予ということも含めて今後の方針を決定をしていくということであります。

小池晃君

 猶予ということは、要するに存続は前提だということで検討されるということなんですか。

国務大臣(長妻昭君)

 基本的に、そこのベッドにおられる方がきちっとその方に見合う適切な介護あるいは医療が受けられるということが必要なわけでありまして、それを確保しないまま何か計画が始まったり、あるいはそれが実行されるということはないようにしていくということであります。

小池晃君

 すると、要するに、以前、予算委員会では基本的に廃止という方向性は変わらないというようなことをおっしゃっているんですけれども、要するに廃止する、ありきということで議論するという今までのやり方とは変えるという理解でよろしいですね。

国務大臣(長妻昭君)

 そうですね、廃止ありきではこれはありません。

小池晃君

 大事な問題なんでちょっとしつこく聞かせていただきましたけれども、やっぱり行き場がないというような事態は絶対生み出さないという立場で臨むべきだということを重ねて申し上げたいというふうに思います。

 最後に一点、ちょっと介護に絡んで、資料をお配りしておりますが、厚労省がアンケートをやっているんですね。国民の声を聴こうということはいいと思うんですが、このアンケートを見ますと、問いの六でこういうふうになっている。介護保険サービスの費用負担についてということで、現在のサービス水準を維持するために保険料を引き上げるのはやむを得ない、二、現在以上に介護サービスを充実するために保険料が引き上げられてもやむを得ない、三、保険料を現状程度に維持することが重要であり、そのために介護サービスが削減されてもやむを得ない、四、分からない。

 私、これ読んでちょっと恣意的なんじゃないのと。要するに、保険料を上げるのか、それが嫌だったらサービスは我慢しろという究極の選択肢しかないんですよね。このほかにやっぱり公費投入、税財源投入していくという方向だってこれはあるわけで、私はちょっとこれはいかがなものかと。やっぱりこのアンケート結果で国民は保険料の引上げを望んでいるとか、何かそんなとんでもない結論を出されたらもうたまらないというふうに思うんですが、大臣、これでこれが国民の意見ですなんてやっちゃいけないと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(長妻昭君)

 このアンケートで、これは国民の皆さんは保険料値上げに賛成しているということをもちろん直ちに我々は言うつもりは全くございません。この問いはこれは一部でありまして、ほかにも様々な問いがあって、そして自由記述欄というのもございますので、こういう御意見をお伺いをして、我々としては、公費の問題もいろいろ御指摘もいただいているところでありますので、財源との兼ね合いも含めて検討するための御意見ということで集めさせていただいております。

小池晃君

 いや、これは、負担についてはこの設問しかないんですよ。やっぱりちょっとこれは不適切だというふうに思います。これを基に政策決定するようなことはしないでいただきたいということを重ねて申し上げて、質問を終わります。

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