日本共産党の小池晃政策委員長は、二十七日放映されたテレビ朝日系「朝まで生テレビ」に出演し、「どうする医療崩壊」をテーマに、医療関係者らと討論しました。司会は田原総一朗氏。政党からは小池氏と、自民党の大村秀章厚労副大臣が出席しました。
病院で救急患者の受け入れ不能が相次ぐ背景について、外科医の本田宏氏が「医師の絶対数不足が原因。日本は世界一高齢化が進んでいるのに、人口当たりの医師数は世界で最低だ」と提起しました。
小池氏は「一九八三年に当時の厚生省保険局長が『医療費亡国論』を唱えた。政府・与党が"医師は将来余る"と宣伝し、二回も閣議決定までして医師養成数を抑制してきた」と告発しました。元財務省官僚の村上正泰氏も「ずっと財政再建の名で医療費削減をやり、とくに小泉政権以後、医療をどう良くするかではなく、医療費をどう抑制するかという観点から医療『改革』が推進されてきた」と発言しました。
本田氏が「政府が支出する医療費はGDP(国内総生産)比でOECD(経済協力開発機構)平均以下だ。一方、個人負担は高い」と指摘。大村氏は「医療費は年々伸びている」と弁明しましたが、小池氏が「それを支えたのは国民だ。国民負担は増やし、国と企業の負担は減らしてきた」と一喝しました。司会の田原氏も、国・企業の医療費負担が減り、国民負担が増えて二〇〇六年に逆転したグラフを、フリップで示しました。
小池氏は、医療に一兆円の財政を投入すれば三・三兆円の経済波及効果があるとのデータも紹介し、「政治は『医療立国論』の観点にこそ立つべきだ」と強調しました。
また、財源をもっぱら消費税増税に求める議論について、小池氏は「税金には法人税も所得税もある。社会保険料も含めると、社会保障費に対する大企業の負担割合はヨーロッパの六-七割だ」と指摘。「消費税は導入時にも『福祉に使う』と言われたが、うそだった。消費税を上げたら消費は冷え込み、将来不安も増す」と述べ、増税に反対しました。
公立病院が減っていることも議論になり、小池氏は総務省の「公立病院改革ガイドライン」が、経営赤字の病院を統廃合に追い込んでいることを指摘しました。本田氏は「消防や警察は黒字でなくても待機している。病院も本来、同じ位置づけのはずだ」と訴えました。
医学生や看護学生らもフロアから発言。政府が臨床研修制度の見直しを打ち出したことに関し、「よい研修が受けられなくなるのでは」など疑問の声が出されました。小池氏も「よい医師を育てる視点が大切で、医師不足を研修医の研修先を制限することで補うやり方は間違いだ」と述べました。