2009年171通常国会:速記録

2009年度予算案に対する基本的質疑


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2009年3月6日(金)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

  〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕

 西松建設の企業献金が大きな問題となっております。法務省に最初にお伺いしますが、逮捕された西松建設の国沢幹雄前社長の被疑事実、説明してください。

政府参考人(大野恒太郎君)

 国沢幹雄前西松建設株式会社社長の政治資金規正法違反に係る逮捕事実について御説明申し上げます。

 被疑者国沢幹雄は、岡崎彰文らと共謀の上、西松建設が国会議員の資金管理団体である陸山会に対し新政治問題研究会の名義で政治活動に関する寄附を行うことを企て、平成十八年十月ころ、新政治問題研究会の名義で陸山会名義の銀行口座に百万円を送金し、もって西松建設において本人の名義以外の名義で政党及び政治資金団体以外の者に対して政治活動に関する寄附をしたというものであるというように承知しております。

小池晃君

 西松建設、パネルに示しましたが、(資料提示)九三年のいわゆるゼネコン汚職の際に副社長が逮捕され、有罪となりました。これを契機に、政治家への献金で西松建設の名前が出ないようにと、九五年に新政治問題研究会、九八年に未来産業研究会を立ち上げました。この二つの団体の責任者は、いずれも西松建設のOBであります。

 この二つの政治団体から、これは〇六年に解散するんですが、それまでの間、与野党の政治家に対して約四億七千八百万円もの献金が行っています。資金は、海外でつくった裏金、あるいは社員にいったん会費という形で出させてボーナスで補てんするということが報道されている。つまり、二つの政治団体の名前を使って違法献金を行っていたということになります。

 国土交通省に、西松建設の公共事業完工高は幾らですか。

政府参考人(小澤敬市君)

 お答え申し上げます。

 西松建設株式会社が毎事業年度終了時に国土交通省に提出しております工事施工金額を記載いたしました書面によりますと、同社が平成十九年度において元請として請け負いました公共工事の完成工事高は九百三十六億九千八百八十七万円でございます。

小池晃君

 一千億円近いわけです。そのお金がこの二つの団体を通じて政治家に回る。まさにこれは公共事業の無駄遣いにつながるわけですし、税金が献金という形で政治家、政党に還流すると。これは許し難い、一刻も早く禁止すべきことであります。

 この件で民主党の小沢一郎代表の会計責任者が逮捕されました。一昨日記者会見が行われましたが、国民が納得する説明はなかった。西松建設からの献金が政治団体からの献金であるかのように偽装されたんではないか、受取側もそのことを知っていたんじゃないか、あるいは西松建設と共同して行っていたんじゃないかと。私たちとしては、小沢代表と民主党に引き続き国民に対して説明責任を果たす、このことを求めていきたいというふうに思っています。

 同時に、関連政治団体から資金提供を受けていたのは小沢氏だけではありません。多数の政治家、団体に渡っています。これは二つの政治団体の政治資金収支報告書から作成したものであります。〇四年から〇六年の三年間です。多数の国会議員が二つの政治団体から資金を受けている。これが実際には西松建設からの政治献金ではないのか。小沢代表のケースと同じ疑問が生じるわけです。

 パーティー券についてはどうか。最も多くのパーティー券を購入しているのが、二階俊博経済産業大臣が代表を務める政治団体、新しい波です。三年間で八百三十八万円に上ります。

 二階大臣にお伺いしたいんですが、これ収支報告書では新政治問題研究会と未来産業研究会がパーティー券を購入したことになっていますが、これは実際には西松建設が購入したものではないですか。

国務大臣(二階俊博君)

 新しい波というのは私も所属しておる政治グループでありますが、そのグループが開催しましたパーティーにおいて御協力をいただいたものだと思っておりますが、それは私たちのグループの国会議員やあるいは元国会議員、あるいは秘書、又は支援いただく多くの方々がそのパーティーのために御協力をいただくわけでありますから、個々の寄附がどういう形で納められたかということについて一々承知しておるわけではありませんが、正規に政治団体が許された範囲においてパーティーを開いて、それはきっちり政治資金規正法に基づいて報告をしているところであります。

小池晃君

 知らなかったと、ちゃんと報告しているんだと、小沢代表と同じような説明をされるわけですが、これ、何か調べるの大変かのように言うけれども、新しい波のパーティー券買っていった政治団体そんなに多くないですよ。報告書で調べると、日本医師連盟、道路運送経営研究会など六団体。問題になっている二つの団体含めて八団体にすぎないんですよ。しかも、その中でもこの二団体は飛び抜けて多いんですね。

 八百万円ものパーティー券を買ってもらって、何でこれが分からないの。提供してくれる団体がどういう団体なのか、どういう性格の資金なのか分からないで受け取るんですか。私はこれ、国民から見て納得いかない、どんな団体だか知らないというのは。今言ったみたいに、そんなに数多くないんですよ。そんな説明通用しないと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(二階俊博君)

 八百幾らということをおっしゃっておりますが、それは、一遍にどこかのパーティーでそういうことであったというんではなくて、この我々のグループの中には、大阪の人たちもおりますし、名古屋の人たちもおりますし、東京の人たちもおりますから、それぞれのところでパーティーを開催したと。そういうところの集計がそういうことでありまして、これだけの額を知らなかったのかということでありますが、私は、それは一々詳細にわたって存じ上げているわけではありません。

小池晃君

 ちゃんと調べているんですよ。新しい波イン大阪、イン愛知、イン東京と、年に三回ぐらいしかやっていないじゃないですか。一つ一つの規模、物すごく大きいんですよ。その全部、報告書見たんです。八団体しかないんです。そのうち二団体が突出して多いんです。けた違いです。何でこれで、分からないで説明が納得できますか。

国務大臣(二階俊博君)

 これは政治団体で、そこに事務局長とかそういう関係者がおって、そういう人たちで運営されておるわけでありますから、私が一々その出し入れをチェックしたり、あるいは報告書を検討していると、そういうわけではありませんので、今お話を伺ったようなことがそういう事実であるかどうかということはまたよく伺ってみますが、私たちは一々、パーティーを開いて大勢の参加者がおいでをいただいた中で、それがどういう人であったかこういう人であったかということを一々確認するということはほとんど難しいことだと思っています。

小池晃君

 いや、そんなことを私聞いていないんですよ。パーティー券買った政治団体、八団体しかない。そのうち突出しているのは二団体だと。

 じゃ、それが西松建設との関係がなければ一体どういう団体だというふうに考えるんですか。八百万円もお金を出してくれている、もうお得意様じゃないですか。そこのことを知らないと言われても、これは納得できませんよ、だれも。

国務大臣(二階俊博君)

 これは、存じ上げないものは存じ上げないのであって、そして関係者にその辺はまた詳しく聞いてみたいと思っておりますが、個別の寄附やパーティーの購入について一々今日まで報告を受けておりませんので、それは私ども、詳細にわたって知るところではありません。

小池晃君

 詳細にわたって説明してくれと言っていないんです。根本的なところが、八百万円も買ってもらったところだったら、それが報告行かないというのはおかしいじゃないですか。おかしいと思いませんか、どうですか。

  〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕

国務大臣(二階俊博君)

 何とか政治団体と、こういう名前が列挙されておりますが、それについて、これは一体何の政治団体か、だれがやっているのかと、そういうことを我々せんさくし、一々調べたことはないと、こういうことです。

小池晃君

 到底納得できないですね。八百万円ものパーティー券買ってくれて、一体どういう団体なのか分からない。どういう資金が出てきたのか、もうえたいが知れない。そんなものを受け取るというのは私、極めて無責任だと思いますよ。逆に言えば、分からないで受け取っていたんだったら物すごく無責任な話じゃないですか。

 二階大臣に聞きますが、西松建設の国沢幹雄前社長とは面識ありますか。

国務大臣(二階俊博君)

 面識はあります。

小池晃君

 それじゃ、同じく西松建設におられた風間森夫さん、神田行道さんとは面識ありますか。

国務大臣(二階俊博君)

 大変失礼ですけれども、私は面識の記憶はありません。

小池晃君

 風間森夫さんは新政治問題研究会の代表です。神田行道さんは未来産業研究会の代表。面識はないと。

 面識もないような人が代表者をやっている政治団体が八百万円を超えるパーティー券を買ってくれると。私だったら不思議に思いますが、不思議に思わなかったんですか。

国務大臣(二階俊博君)

 我々が、政治献金をしていただいた人とか政治のパーティー券を買っていただいた方、これをすべてオープンにしてしかるべき届けをしておるわけですから、一々それをせんさくするということはいたしておりませんが、我々、今日こういうふうなことで御議論を呼んでおるわけでありますから、新しい波としては、本意ではありませんので、昨日この会派で相談をして全員一致でこれを返却するということを決めて、今法律家と相談をし、その手続を取ろうとしておるところであります。

小池晃君

 返せばいいという問題ではない。しかも、返すと言うけど、二つとも解散したんですよ。ないじゃないですか。どこに返すんですか。西松建設に返すんですか。

国務大臣(二階俊博君)

 だから、今そういう点について法律家と相談する。そして、我々のは、これは正規のパーティーに、パーティー券を購入していただいたんですから、本来返す必要はないんです。しかし、それでも道義的に、こうした状況の中において我々はやはり返却をするというのが妥当だろうという会派の一致した意見でありますので、私もそれで結構だと、こういうことにしているわけであります。

小池晃君

 道義的な問題とは何ですか。

国務大臣(二階俊博君)

 私は昨日その会議に出ておりません。予算委員会の関係でお昼に開かれた会でありますから出ておりませんが、その会議の模様を報告いただいた方からそういう話を伺ったわけであります。

小池晃君

 自民党の派閥というのはこんなにいいかげんなものなんですか。八百万円ものパーティー券買ってもらって、一体どこのどなたか知らない、どんなお金か分からない、道義的な責任と言われても一体何なのか説明もできない。

 総理、総理は一昨日の記者会見で、金の話が政治に対する不信につながるのは大変残念だとおっしゃった。今の二階大臣の説明で不信は払拭されましたか、国民は納得すると思いますか。

内閣総理大臣(麻生太郎君)

 度々これまでもお答えしておりますが、個別の事案について、小池先生、コメントすることはありません。したがいまして、一般論として申し上げれば、個別のコメントに関しては、個別の事案についてコメントすることは差し控えさせていただきますと。

 一般論として申し上げれば、政治団体が法令にのっとって寄附やパーティー券代というものを受け取ることを含めて政治活動を行うということに関しては、何ら問題はないと理解しております。

小池晃君

 一般論で済む話じゃないじゃないですか、これは。閣僚の疑惑なんですよ。閣僚が代表をやっている派閥の疑惑なんですよ。

 しかも、人ごとじゃ済まないんだよ。これ、個別事案じゃないんだ。ちょっとこれね、自民党の資金管理団体である国民政治協会は二〇〇三年に新政治問題研究会から五百万円の献金受けています。御存じですか。

内閣総理大臣(麻生太郎君)

 存じません。

小池晃君

 総務省に聞きます。国民政治協会が献金を受けた〇三年の政治資金収支報告書では、新政治問題研究会の住所はどこですか。

政府参考人(門山泰明君)

 お答えいたします。

 新政治問題研究会の主たる事務所の住所につきましては、平成十九年七月十一日付けに国民政治協会から訂正願が出ておりますが、訂正前の住所は港区虎ノ門一の二十の十と記載されております。

小池晃君

 国土交通省に聞きますが、西松建設本社の住所はどこですか。

政府参考人(小澤敬市君)

 西松建設株式会社が建設業法に基づきまして国土交通省に提出されております登記事項証明書によりますと、同社の本店の所在地は東京都港区虎ノ門一丁目二十番十号となっております。

小池晃君

 同じじゃないですか、総理。これは、あなた、一般論で済ませる問題じゃないですよ。国民政治協会というのは自民党の資金管理団体ですよ。そこが、新政治問題研究所の住所を西松建設と同じ場所で届け出たんですよ。これは、同じ、一体の政治団体だというふうに自民党の資金管理団体が認識していたということじゃないですか。説明してください。

内閣総理大臣(麻生太郎君)

 御指摘の住所の誤りというものにつきましては、寄附をした政治団体、新政治問題研究会が間違った住所を伝えてきたためとの報告を受けております。

小池晃君

 そんな説明ではこれは済みませんよ。

 だって、西松建設と同じ住所で何の疑問も持たずにあなた方は総務省に届出出したんですよ。この問題は、これは自民党の問題ですから、これは他人事じゃないですよ、総理。国民に対する説明責任は、この問題では総理にあるんです。この問題では民主党にも自民党にも自浄能力問われていると私ども思います。お互いに疑惑にふたすることは許されない。

 なぜ西松建設と同じ住所で届け出たのか、一体の団体だという認識が当時あったのではないか、このことについてきちっと調査して報告してください。どうですか。

内閣総理大臣(麻生太郎君)

 今の段階で細目を詳しいわけではありませんが、詳細について必要であれば党の方できちんと説明させたいと存じます。

小池晃君

 いや、必要ですよ。だって、国民がこれ疑惑持ちますよ。ちゃんと説明してください。もう一回答えてください。

内閣総理大臣(麻生太郎君)

 重ねて申し上げます。

 詳細につきましては党の方で説明される、必要であれば、と申し上げました。

小池晃君

 必要であります。

 委員長に申し上げます。

 西松建設の献金をめぐる疑惑解明するための集中審議を開いていただきたい。

委員長(溝手顕正君)

 お申し越しの件につきましては、後刻理事会において協議させていただきたいと思います。

小池晃君

 今日取り上げた問題を通じて、やっぱりこれは疑惑ありますよ。これは説明納得できないですよ、今のね。いや、個別にだれが受け取ったか、個々人の名前まで説明しろと言っているんじゃないんです。極めて大口の目立っている団体が一体どのような団体であったか知らない、どういうお金だったか分からない、八百万円もらっていた、国民は絶対にこんな説明じゃ納得できないんです。

 根本にあるのが企業・団体献金の問題です。利益追求を目的とする企業が、見返りも期待しないで多額の献金するわけないんですよ。そういう意味では、必ず企業献金は賄賂性を伴う。ましてや、公共事業受注企業からの献金というのは税金の還流だと。なおさら許されないわけです。

 民主党の小沢代表は記者会見で、政治団体からの寄附だと思ったから資金管理団体で受け取った、企業献金だという認識であれば政党支部で受け取ったはずだと。これ、結局、政党支部も資金管理団体も右のポケット、左のポケットということにすぎないということで、今までの改正が何の規制にもなっていないということだと私は思う。

 しかも民主党は、二〇〇二年に我が党とともに公共事業受注企業からの献金を禁止する法案を提出している、〇四年には民主党単独でも提出していると。ですから私納得できないんです。この間、政治と金の問題が出るたびごとに規正法の改正が繰り返されたけれども、疑惑は後を絶ちません。

 総理、やっぱり企業・団体献金の禁止、ここに踏み込むべきだと思いますが、いかがですか。

内閣総理大臣(麻生太郎君)

 私は、基本的に企業、団体からの献金が悪と考えているわけではありません。

 政党本位、政策本位というので、政治というものを目指す政治改革の理念などなど踏まえて、政党及び政治資金団体に対しては企業、団体は、資本金などの額に応じて定められた限度額の範囲で献金できると決められております。一方、これら以外の政治家個人、資金管理団体、その他の政治団体に対しては企業・団体献金が禁止をされている、もうよく御存じのとおりです。

 いずれにいたしましても、政治資金の在り方につきましては、民主主義のコストというものをどのように国民に負担をしていただくのかということで、こういう観点から各党、各会派において御議論いただくべき問題だと考えております。

小池晃君

 私は、全く反省がないと思いますね。この間の政治と金の問題繰り返されてきたその根源にやっぱり切り込むこともできないと。しかも、企業・団体献金禁止するから政党助成金をつくると言ったじゃないですか。政党助成金、赤ちゃんからお年寄りまで二百五十円、一人当たり、三百二十億円ですよ。政党助成金を始めるときに、これ、企業・団体献金やめるためだと言ったのに、これは禁止には背を向けて政党助成金は受け取り続ける。与謝野大臣は、自ら努力しないで獲得できる政治資金があるのは政党のある種の堕落を招くと。私もまさに堕落だと思いますよ。私ども受け取っていない。しかし、これは廃止すべきであると。

 少なくとも、この際、自民党も民主党も政党助成金を私返上すべきだと、こういう事態になって。政党助成金をやっぱり廃止をするという道に踏み込むべきだということを日本共産党はこの場で強く求めて、質問を終わります。

委員長(溝手顕正君)

 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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