2009年171通常国会:参議院 予算委員会

論戦ハイライト
「西松」違法献金 疑惑明かせ 根本にメスを
参院予算委 小池政策委員長の質問


2009年3月7日(土)「しんぶん赤旗」より転載

 民主党の小沢一郎代表の公設秘書の逮捕など政界を揺るがしている西松建設の違法献金事件。日本共産党の小池晃議員は六日の参院予算委員会で、「西松マネー」に汚染された政治家が自民、民主両党に広がっている構図を明らかにし、事件の真相究明と、政治をゆがめる根本にメスをいれることを求めました。


小沢氏は説明責任果たせ

写真

(写真)パネルを示して追及する小池晃政策委員長=6日、参院予算委

 小池氏は、西松建設が隠れみのにした二つの政治団体、「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」を通じて行った献金が、約四億七千八百万円も流れたことを示し、違法献金問題の深刻さを告発しました。

 西松建設の公共事業完成工事高が二〇〇七年度で約九百三十七億円にのぼると国交省に答弁させ、「一千億円近い税金が西松にいっている。まさにこれは公共事業の無駄遣いにつながり、税金が献金という形で政治家・政党に還流することを示しているもので許されない」と強調しました。

 小池氏は、小沢代表の秘書が逮捕された事件の性格について、「西松建設からの献金が政治団体からの献金であるかのように偽装したことを、受け取り側も知っていたのではないか、あるいは西松建設と共同して行っていたのではないか」という国民の疑問に答えていないと指摘。「四日の小沢氏の会見では、国民に対する説明責任が果たされたとは言えない」として、民主党と小沢氏に説明責任を果たすことを求めました。

突出したパーティー券

答弁につまる二階経産相

 「西松建設の関連政治団体から資金提供を受けていたのは、小沢代表だけではない」。小池氏は〇四年から〇六年の三年間で西松建設の二つの政治団体から資金提供を受けた主な政治家・団体の一覧リストを掲げました。(図)

 パーティー券購入という形での資金提供が八百三十八万円とずば抜けているのが、二階俊博経済産業相が代表をつとめる政治団体「新しい波」です。

 小池 パーティー券は実際には西松建設が購入したものではないか。

 二階経産相 個々の寄付がどういう形で納められたか、いちいち承知していない。

 小池 パーティー券を購入した団体はわずか八団体で、西松建設の二団体の金額が突出している。

 二階経産相 いろいろパーティーがあり、せんさくしない。

 小池 八百万円ものお金を出してくれる"お得意様"が、どういう団体で、どういう性格の資金なのかわからないのに受け取るのか。そんな説明では誰も納得しない。極めて無責任な話だ。

 「存じ上げないものは存じ上げない」と終始居直る姿勢を続ける二階氏も、小池氏の怒りを込めた追及に、「今日、議論を呼んでいるわけだから、道義的に(献金を)返却することに決めた」と答弁。これに対し、小池氏は「返せばいいという問題ではない。道義的にとはどういうことか」とたたみかけると、二階氏は「(決定した)会議に出ていない。話を聞いた」と答弁不能に陥りました。

図

自民本部にも500万円

首相「必要なら調査」

 小池氏は、二階経産相の疑惑について、「個別の事案についてはコメントを差し控える」と答弁する麻生首相を「ひとごとではない」と批判。「新政治問題研究会」からは、自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)も五百万円(〇三年)の献金を受けていると指摘しました。

 そのうえで「国政協」が献金を受けた〇三年の政治資金収支報告書に記載されている「新政治問題研究会」の住所についてたずねると、総務省と国交省の担当者は「新政治問題研究会」の住所が西松建設本社と同じ「東京都港区虎ノ門一の二〇の一〇」だったことを認めました。

 小池氏は、「自民党の政治資金団体が、西松建設と同じ場所で届け出ていた。西松建設と一体の団体と認識していたということではないのか」と追及。麻生首相は、「寄付をした『新政治問題研究会』が間違った住所を伝えてきたためだ」などと居直りました。

 小池氏は、「総理にも、国民に対する説明責任がある」と首相自らが調査を行うよう主張。首相は、「必要であれば説明する」と答えました。

 小池氏は、「この問題では、民主党だけでなく、自民党にも自浄能力が問われている。お互いに疑惑にふたをするようなことは許されない」と述べ、西松建設の献金疑惑を解明するための集中審議を要求しました。

企業・団体献金は廃止を

政党助成金返上せよ

 「利益追求を目的とする企業が、見返りも期待しないで多額の献金をするわけがない。企業献金は必ず『わいろ性』をともなうものだ」。小池氏は、企業・団体献金が政治をゆがめる本質に迫りました。

 「政治とカネ」の問題が出るたびに政治資金規正法の改定が繰り返されてきました。

 民主党の小沢代表は四日の記者会見で「企業献金だという認識であれば政党支部で受け取ったはずだ」と語りました。

 「これは、政党支部も資金管理団体も、右のポケットか左のポケットかの違いにすぎないことを示した」と小池氏は指摘しました。

 小池 企業・団体献金の禁止に踏み込むべきだ。

 首相 企業・団体からの献金が悪とは考えていない。政治資金のあり方は、民主主義のコストをどう国民に負担してもらうかだ。

 小池 まったく反省がない。繰り返されてきた「政治とカネ」の問題の根源にまったく切り込むことができない。

 さらに小池氏は、政党助成金の廃止を要求しました。

 政党助成金は、"企業・団体献金をやめる"見返りを口実に導入されました。税金から総額三百二十億円が各政党(日本共産党を除く)に配分されています。

 小池氏は、与謝野馨財務相が、政党助成金が「政党の堕落を招く」といっていることを紹介。「まさに堕落だ。日本共産党は受け取っていない。この際、民主党・自民党は政党助成金を返上すべきだ」と求めました。

図


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