日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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論戦ハイライト 参院予算委 小池書記局長

2022年06月02日

赤旗2022年6月1日付

物価高 賃上げ・消費税減税迫る

首相 国民生活に背 軍拡前のめり

 

 「現役世代の賃金が上がらなければ、年金も上がらない」―。日本共産党の小池晃書記局長は31日の参院予算委員会で、物価が上昇するもと賃金の下落が続き、現役世代も年金世代もみんなが苦しんでいる実態を告発。アベノミクスで膨らんだ大企業の内部留保への課税を提案し、実効ある賃上げ政策へと切り替えるよう迫りました。また、岸田政権が進める軍拡が平和も暮らしも押しつぶすとともに、米国言いなりの先制攻撃につながる「敵基地攻撃」の危険も浮き彫りにしました。


 

年金

小池 物価上昇でも減額 見直せ

首相 「予備費の拡充」言うばかり

 

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(写真)質問する小池晃書記局長=31日、参院予算委

 4月の消費者物価指数は2・5%も上昇したのに、6月15日ごろから振り込まれる4、5月分の年金は昨年より引き下げられます。小池氏は、水光熱費や食料品などの値上がりが大きいため高齢者ほど影響は大きいと強調。「物価が上がっているのになぜ年金を下げるのか」とただしました。

 

 後藤茂之厚労相が2~4年度前の賃金動向を反映したものだと説明したのに対し、小池氏は「安倍政権のもとで賃金が下がったということだ」と指摘。現役世代の賃金が下がった結果、年金も下がる仕組みのもとで「現役世代も年金世代もみんな苦しんでいる」と述べました。

 

 年金が下がれば消費が冷え込み、地域経済が疲弊し、現役世代の賃金にも波及し、その結果また年金が下がる悪循環になります。

 

 小池氏は、年金が家計最終消費支出の20%を超える県が13にのぼり、東京を除く46道府県が10%を超えていることを政府に確認(表)。「年金は老後の生活を支えるだけではなく地域経済を支える。下げれば悪循環だ」と強調しました。

 

 岸田首相が、年金は減るが住民税非課税世帯への給付金などを昨年決定しているなどと釈明したのに対して、小池氏は「年金削減への直接の対策ではない。今回の補正予算案に対策はないのではないか」と追及。岸田首相は「補正予算には、そうした対策は入ってない」と認めました。

 

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 小池 世論調査でも6割以上が「年金制度は信頼できない」と答えている。物価が上がるときにも下がるような年金では、ますます信頼が失われ、制度を持続不可能にしてしまう。物価が上がるときにも年金が下がる仕組みは見直すべきだ。

 

 首相 持続可能な制度を維持しなければならない。補正でも予備費の拡充で今後の不測の事態に備えている。

 

 小池氏は「予備費で何でもやりますでは財政民主主義なんて成り立たない。持続可能にするなら賃金こそ上げなければならない」と強調しました。

 

賃上げ

小池 内部留保に適正課税 提案

財務相 「二重課税」禁止規定ない

 

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 現役世代の賃金が上がらなければ年金も上がりません。小池氏は「今回の補正予算案に現役世代の賃金を上げる施策はあるのか」と追及。岸田首相は「直接、賃金・年金対策はないが全体をみてほしい」などと述べました。

 

 小池氏は、政府が「賃上げ減税」の対象として見込んでいるのは、黒字企業の約1割程度で大企業では約1700社、中小企業では9・1万社にすぎないことを確認。「中小企業では残り264万社が対象外。これではまともな賃上げにならない」と指摘しました。

 

 その上で小池氏は、アベノミクスで大企業の内部留保は133兆円増えたが1人当たり実質賃金は年収で22万円も下がったとして、増えた大企業の内部留保に適正な課税を行って賃金上げ支援などを行う日本共産党の提案(表)を示し、「これをやれば大企業も中小企業も賃上げになり、グリーン投資も進み、税のゆがみもただせる」と迫りました。

 

 岸田首相が「内部留保課税には二重課税の問題もあり慎重でなければならない」と述べたのに対して、小池氏が「二重課税の禁止規定はあるのか」と質問すると、鈴木俊一財務相は「『二重課税』には法律上の定義や禁止規定はない」と答弁。小池氏は「二重課税と言うなら最大の二重課税は所得税の上に消費税をとられることだ」と批判しました。

 

 小池 総理は「成長と分配」と言いながら「分配」はどこにいったのか。金融所得課税の見直しも言わなくなった。

 

 首相 成長戦略でも政府として思い切った政策を用意する。

 

 小池 結局、分配がない。これでは好循環など生まれない。

 

 小池氏は、日本共産党が30日、参院に消費税減税法案を提出したことを紹介。消費税減税ならすべての品目で値下げできるし、コロナ禍でも世界85の国・地域で付加価値税(消費税)の減税が行われていると述べ、「国会で国民の前で議論しよう」と呼びかけました。

 

大軍拡

小池 「相当な増額」 対米公約か

首相 日米において考えが一致

小池 それを世間では約束という

 

 “増税か、暮らし予算削減か、国債発行か”―。小池氏は、岸田首相が目指す大軍拡は日本を「軍事対軍事」の危険な道に引き込むだけでなく、暮らしを押しつぶすものだと厳しく批判しました。

 

 小池氏は、岸田首相が日米首脳会談で「防衛予算の相当な増額の確保」を表明したことを指摘し、次のように追及しました。

 

 小池 これは対米公約か。

 

 首相 わが国が主体的に決めるものであり、対米公約ではない。

 

 小池 独り言じゃないでしょ。バイデン大統領の前で約束しなかったのか。

 

 首相 「約束」という言葉の響きに、いやいやながら米国に何か求められたというような意味合いを感じる。日米において考えが一致したということだ。

 

 小池 そういうのを世間では約束という。

 

 小池氏は、自民党安全保障調査会が提言した5年以内にGDP(国内総生産)比2%以上(現在の2倍)の軍事費の増額をすれば、日本が世界で第3位の軍事費になると指摘。防衛省の予算が中央省庁の中ですでに農林水産省や文部科学省よりも多い実態を示し、「軍事費が2倍になれば国土交通省も上回り、厚生労働省に次ぐ巨大組織になる。このような事態になることを認めるか」と追及しました。

 

 岸田首相は「あらゆる選択肢を排除せず議論していく」と繰り返すだけ。小池氏は「積み上げる前に『相当な増額』と言ってしまっている」と批判しました。その上で、「相当な増額」の財源確保の選択肢は、▽社会保障予算などの「相当な削減」▽「相当な増税」▽安倍晋三元首相が主張する国債発行―の三つしかないと指摘。「この中で選択肢から排除されるものはあるか」とただしました。

 

 首相 この三つは一体として進めるべき議論だ。

 

 小池 参院選の前にそうしたことも示さずに「白紙委任が得られた」と進めるようなことは断じて許されない。

 

爆買い

首相 装備品 わが国の主体的な判断…

小池 米国言いなり 購入拡大に

 

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 岸田政権は、軍事費の増額と一体に、米国言いなりの兵器の“爆買い”を進めようとしています。

 

 小池氏は、防衛省の武器購入先は2015年以来、常に1位は米国政府で、FMS(有償援助)で武器の価格も納期も米国政府が決定権を持っており、一方的に変更できることを指摘。参院本会議では全会一致で警告決議があがり、FMSについては「改善すべき課題が山積み」としていることを示し、「FMSをめぐる問題をこのままにしていいのか」とただしました。

 

 岸信夫防衛相 課題の解決に向け精力的に取り組んでいく。

 

 小池 改善したかのようにいうが、FMSは安倍政権以来、3倍に膨れあがり、額は減っていない。

 

 小池氏は、岸防衛相のごまかしを批判。米インド太平洋軍の司令官が米下院軍事委員会の公聴会に提出した文書の中で、日本の武器爆買いについて、「日本は7年連続で過去最大の国防予算を承認し、引き続き、最新鋭の米国の防衛装備品を調達して、相互運用を向上させ、統合軍の攻撃力強化を図っている」とほめちぎっていることを告発し、次のようにただしました。

 

 小池 防衛予算の大幅増で、FMSによる米国からの武器購入をさらに拡大することになるのではないか。

 

 首相 国の防衛に必要な装備品をわが国の主体的な判断のもとに決定していく。

 

 小池 主体的というが、言いなりだ。

 

 さらに小池氏は、FMSによるF15戦闘機の改修費用が当初の見積もりから2倍近く膨れ上がった経過(グラフ)を追及。「低減したというが、当初見積もりに比べれば700億円以上も増えている。ずさんな見積もりで契約し、その後もあまりに身勝手な増額要求があった。軍事費を2倍にすればますますこうした事態がはびこる」と批判しました。

 

敵基地攻撃

小池 武力行使「着手」誰が判断

首相・官房長官 具体的に言えず

 

 小池氏は、政治の最大の役割は戦争を未然に防ぐ外交努力であるにもかかわらず、政府の議論は外交がほとんど出てこず、軍事力強化ばかりだと指摘。「中国や北朝鮮の軍事挑発に対し軍事で向かえば、ますます危険になる」と強調しました。岸田首相は「アジアではASEANが地域協力の中心として重要な役割を担っている」「ASEANの中心性を尊重しながら、枠組みを強化するべく協力する、こうした外交を進めていくことは重要だ」と述べました。

 

 小池氏は、F15戦闘機の改修は、射程900キロのスタンド・オフ・ミサイルを搭載できるようにするものだと指摘。朝鮮半島全域と中国、ロシアの一部を射程に含むとして次のようにただしました。

 

 小池 (スタンド・オフ・ミサイルは)敵基地攻撃に対応できる装備ということになる。

 

 岸信夫防衛相 いわゆる敵基地攻撃能力を目的としたものではない。

 

 小池氏は、安倍晋三氏も首相だった時には岸防衛相と同じ答弁をしながら、昨年11月の講演ではスタンド・オフ・ミサイルについて「打撃力、反撃能力としても行使できるようにしていくことが求められる」と述べていると指摘。「これが本音だ」と批判しました。

 

 その上で小池氏は「敵基地攻撃能力」について、日本が攻撃されなくても同盟国への攻撃やそれへの「着手」があれば「存立危機事態」として日本が攻撃することになるとして、次のようにただしました。

 

 小池 安保法制にもとづく集団的自衛権の行使にあたっても敵基地攻撃は可能か。

 

 防衛相 武力行使の要件は(集団的自衛権の行使を含む)いわゆる新3要件となった。

 

 小池 日本が攻撃されていない、集団的自衛権行使の場面でも敵基地攻撃はあり得るということになる。この武力行使の「着手」は、誰がどのようなことをもって判断するのか。

 

 首相 個別具体的な状況に即して客観的合理的に判断する。

 

 松野博一官房長官 政府として主体的に判断する。

 

 小池 圧倒的な情報収集能力を持っている米国の判断に依拠することになるのは明らかだ。

 

 小池氏は、日本は米国の武力攻撃に一度も反対したことがなく、結局、日本への武力攻撃がなくても米国が戦争を始めたら自衛隊は相手国の中枢まで攻撃することになると指摘。相手国から見れば先制攻撃に他ならず、報復を呼ぶとして「安保法制の危険性がいよいよ明らかになった」と指摘しました。

 

辺野古弾薬庫

防衛省 日米間調整の内容言えない

小池 これで独立国と言えるか

 

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 小池氏は、沖縄県が本土復帰50年にあたり新たな建議書で辺野古新基地建設断念を求めたにもかかわらず、5月23日の日米首脳会談で新基地推進を確認したことを批判。「沖縄の声を一顧だにしない強引な姿勢だ」と強く抗議しました。

 

 小池氏は、米軍キャンプ・シュワブ陸上部の工事について、2006年以降の状況を質問しました。防衛省の土本英樹整備計画局長は「20年までの支出総額は597億円であり、30棟を提供した」と答弁。小池氏は「普天間基地移設と何ら関係のない辺野古の隣接地の米軍基地強化費用を日本の税金で負担するものだ」と批判しました。

 

 さらに小池氏は、隣接する辺野古弾薬庫の建て替え工事についても質問。土本氏は「契約額は31億円で、今年の2月に4棟が完成した」と答弁したのに対し、「13の弾薬庫を解体し、新たに12の弾薬庫と武器の組み立て区画の設置を含む」とする14年の米海兵隊の文書を示し、追及しました。

 

 小池 米国からの追加要求はあるのか。

 

 増田和夫防衛政策局長 日米間の調整の内容は言えない。

 

 小池 大事なことを国民に言えない。これで独立国と言えるか。

 

 増田防衛政策局長は米軍からの要求について否定しませんでした。

 

 小池氏は「沖縄県内の米軍弾薬庫について、自衛隊による共同使用案が日米両政府内で浮上」との報道に触れ、事実関係をただしたことに増田防衛政策局長は「特定の地域を排除することなく幅広く検討する」と述べ、米軍弾薬庫の日米共同使用について否定しませんでした。

 

 さらに小池氏は、秋葉剛男国家安全保障局長が在米公使だった09年、米側から沖縄への核貯蔵庫建設について打診され、肯定的な回答をしていたことに触れ、辺野古弾薬庫への核配備の可能性の危険も指摘しました。

 

 小池氏は「県民の新基地反対の民意は揺るがない」と強調し、建設の中止を求めました。

 

核禁条約

小池 廃絶の入り口 入ってない

首相 米の抑止力にしがみつく姿勢

 

 小池氏は、日米首脳会談で岸田首相が確認した「拡大抑止」とは、いざとなったら核を使用するとの議論だと指摘。広島に本社を置く中国新聞が核兵器について議論する「広島サミット」について、「核兵器廃絶を議論するどころか、被爆地を舞台に核抑止力をアピールする場になりかねない」と指摘していることを紹介し、「核兵器廃絶を目指す」と掲げながら、「核抑止」に固執する岸田首相の姿勢は「核廃絶から逆行するものだ」と批判しました。

 

 小池 核兵器は人類と共存できない絶対悪の兵器だ。核兵器のない世界をめざすのなら、核抑止と決別すべきだ。6月下旬の核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバーで参加すべきだ。

 

 首相 核禁条約は出口として重要だが、核兵器国が一国も参加していない。米国とともに核兵器のない世界をめざす。

 

 首相はこう述べ、締約国会議への参加の有無を一言も述べないばかりか、米国の核抑止にしがみつく姿勢をあらわにしました。

 

 小池氏は「(核兵器のない世界への)入り口にさえ入っていない。広島出身の総理などと二度と言わないでほしい」と厳しく批判しました。

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