日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2015年4月1日 参議院予算委員会 速記録

2015年04月01日

2015年4月1日
参議院予算委員会

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
昨年四月一日に消費税が八%に増税をされ、今日でちょうど一年であります。社会保障のための消費税増税ということでした。総理、この一年で社会保障、どこがどう良くなったのか、ポイントに絞って説明してください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくためにこそこの消費税の引上げを行ったわけでございまして、その増収分は全額、社会保障の充実、安定化に充てられています。
平成二十六年度予算では、国民健康保険等における低所得者の保険料軽減の拡充、そして高額療養費制度の自己負担限度額の引下げ、そして難病対策の充実などの施策を実施をしています。平成二十七年度予算では、さらに、本日からの子ども・子育て支援新制度の予定どおりの施行、そして地域包括ケアシステムの構築に向けた更なる取組や認知症施策の推進、また介護保険における低所得者の保険料軽減の拡充、そして国民健康保険の財政基盤の強化などの施策を実施することとしています。
今後、平成二十九年四月の消費税率一〇%への引上げの際には、低年金生活者への福祉的給付や年金の受給資格期間の短縮、そして低所得者の介護保険料の一層の軽減などを行い、社会保障の更なる充実を図っていく考えでございます。

○小池晃君 今の説明で、八%になって社会保障が良くなったと実感できる人はほとんどいないと思うんですね。
結局、全額使った、全額使ったと言うけど、これまやかしなわけで、実際には、八%引上げによる増収八・二兆円のうち、社会保障の充実に充てられたのは、これ一六%ですよ。そのほかは今まで別の財源だったものを消費税に置き換えただけですから、社会保障の中身、良くなったわけじゃないんです。
第二に、充実どころか、社会保障の負担増、給付減が続いているわけです。
一月に、総理を本部長とする社会保障制度改革本部が医療保険制度改革骨子をまとめました。その中に後期高齢者の保険料軽減特例の見直しがあります。これ、どういうものか。後期高齢者医療制度では、政令本則に定められた軽減に加えて九割、八・五割などの特例軽減やっています。これをどれだけの人が受けているかというと、後期高齢者医療制度の加入者数千五百七十四万人のうち八百六十五万人ですよ。これ、いかに後期高齢者医療制度の加入者が低年金、低所得の人が多いかということを示している。
大臣に聞きますが、この特例措置、何でやってきたのか。それで、今打ち切っていいという理由は何ですか。端的に説明してください。

○国務大臣(塩崎恭久君) この後期高齢者医療の保険料軽減特例につきましては、所得などに応じまして、本則による保険料の軽減に加えて、平成二十年度の制度施行当初から、制度の円滑な施行を図るために、特例的な更なる軽減措置を毎年度予算措置によって講じてきたものでございます。
この後期高齢者医療の保険料軽減特例については、特例を開始して七年が経過をしたわけでありますが、この軽減特例のために毎年約八百億円の国費が充てられ、累積でこれまで、先ほどの申し上げた平成二十年度からの累積でいきますと六千三百億円の財源を、国費を投じてきたものでございます。
また、後期高齢者医療制度に加入する前に被用者保険の被扶養者だった方は、所得水準が高くても軽減特例の対象になっているというようなこともございました。
さらに、後期高齢者の保険料軽減は最大九割であって、国保では最大七割でありますから、それと比べても不公平が大きいなどから見直しが求められて、本年一月十三日の、先ほどの本部で見直しの、これは平成二十九年度から原則的に本則に戻すという見直しの大きな方向性を決定したものであって、急激な負担増となる方については……(発言する者あり)決まったことを申し上げているので、聞いてください。きめ細かな激変緩和措置を講じて、その具体的な内容については今後検討し結論を得ることとしておりまして、丁寧に検討してまいりたいと思っているところでございます。

○小池晃君 質問に端的に答えてください。七年間で七十五歳以上の高齢者の生活実態は改善したんですか。良くなっていないですよ。社会保障の負担増、消費税増税、アベノミクスで物価上昇、みんな大変なわけです。
これ、簡単に言うけど、どれほどの値上がりかというと、今九割減額適用受けている人は、これは基礎年金の満額以下の人ですから、年金は四万、五万の人です。そういう人は三倍になります、保険料が。それから、八・五割減額の適用は、基礎年金の上に僅かな二階部分乗っている、まあ大体七、八万ぐらいの年金です。これは二倍になります。さらに、健康保険の扶養家族、これは年収百八十万以下の方ですから、何も高額というわけじゃないですよ。この方たちは後期高齢者医療制度始まる前までは保険料の負担なかったわけで、その保険料が五倍から十倍になる。
具体的に実態調べてみました。(資料提示)埼玉県在住の七十七歳の男性、Aさん。独り暮らしで、年金は五十九万四千円、月額四万九千五百円です。今の保険料、年額四千二百四十円ですが、特例軽減が廃止されると一万二千七百二十円となります。それから、大阪府の七十六歳、Bさん。これは娘さんの扶養家族で、年金は月六万四千四百円、現在の保険料五千二百六十円ですが、二万六千三百円と、五倍になります。それから、福岡県の八十三歳、Cさん。息子さんの扶養家族で、年金月六万四千四百円、現在の保険料五千六百五十円が五万六千五百円、十倍であります。
これ、全国こういう比率で上がっていくわけですね。数字は県によって違いますが、もう倍率は全く全国同じです。まさに低年金者を狙い撃ちにした大負担増じゃないですか。
総理、年金削減、物価上昇に苦しむ後期高齢者、高齢者の方々にこんな負担増を浴びせれば、私は、高齢者の貧困、一層加速することになると思いますが、総理にはそういう認識はありませんか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今、先生パネルで御指摘をいただきました。皆さんもそれを御覧になっていただいたわけでありますけれども、まず第一に、これ、例えば一番上のAさん、四千二百四十円と書いてございますけど、これは年額でございまして、月額にいたしますと三百五十三円になるということであり、次は四百三十八円、それから四百七十一円ということで、月額で見ますと随分イメージが少し変わってくるんじゃないかなというふうに思います。
そこで、先ほどの、負担になり過ぎるじゃないかというお話でございますけれども、先ほどいろいろ御異論を言われましたけれども、さっき申し上げたように、この本部で一月十三日に決めた際に、この二十九年度から原則的に本則に戻す、この見直しの大きな方向性を決定したところでございます。その中では、急激な負担増となる方についてはきめ細かな激変緩和措置を講ずるということとし、その具体的な内容については、どのような方が急激な負担増となるかなどを踏まえて丁寧にこれから議論するということを申し上げているのであって、ですけど、今のようなレベル感において国民の皆さん方にも正しく認識してもらうために、今のは年額であって月額ではないということを申し上げます。

○小池晃君 丁寧にと言うけど、最終的にこういう数字になることは否定できないでしょう。結局、幾ら段階を設けてもこうするわけですよ。
この特例軽減を継続してほしいというのは、例えば宮城県、愛知県などの後期高齢者医療広域連合議会も意見書を採択していますよ。これは党派を超えた声ですよ。
もう一つ、入院食事代の負担増について、私聞きたいと思います。
一般病床、精神病床、六十五歳未満の療養病床の入院患者が負担している食費、一食二百六十円を四百六十円まで引き上げると。入院時の食事というのは治療の一環です。それなのに、医療保険の療養の給付から外し、今度は更に負担を引き上げようということであります。
日本栄養士会の小松龍史会長は、栄養管理は全身の状態を整え治療効果を向上させる、入院期間の短縮にもつながり、政府が目指す入院医療費の削減にも役立っている、まさに入院中の食事は医療の一環だと負担引上げに反対しておられます。
一食四百六十円にするということは、三十日間入院すると、これは四万一千四百円ですから、今の二万三千四百円から一万八千円の値上げですね。しかも、これは高額療養費制度の対象になりません。丸ごと掛かってまいります。長期入院となりやすいがん患者あるいは難病患者などからは悲鳴が上がっています。大臣、これ、なぜこんなこと
をするんですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 入院時の食事代につきましては、現在、食材費相当額の一食二百六十円というのを御負担をいただいているわけでございます。一方で、在宅でも療養される方がおられるわけでありますけれども、そういう方々は食材費のほかに調理に掛かるコストも負担をお願いをしているわけであります。
現在、現行の仕組みでいきますと、療養病床に入院されている六十五歳以上の高齢者の皆様方には食材費相当額に加えて今の調理費相当、これも既に一食四百六十円を御負担をいただいているわけでございまして、介護保険においても既に一食四百六十円を御負担をいただいております。
こうした中で、今後の高齢化の進展を踏まえて、地域包括ケアシステムの構築に向けて入院医療と在宅医療との公平性を図るという観点から、在宅でも御負担をいただいている調理費相当額を御負担いただこうということで、一食二百六十円の負担額を段階的に引き上げて、平成三十年度から一食四百六十円とさせていただきたいと考えているわけであります。ただし、低所得者や難病患者、小児慢性特定疾病の患者の皆様方については負担額を据え置くということにしておりまして、配慮が必要な方に対しては適切な配慮を行うことにしております。

○小池晃君 さっきから平成二十九年、三十年といって、要するに参議院選挙終わってから全部これやろうというような計画になっているわけですね。
今、説明あったけれども、結局今の説明でいうと、高齢者は既に一食四百六十円払っているから、だから公平のために今度は現役世代、四百六十円にするという話ですよ。後期高齢者の保険料については、高齢者と若年世代の負担の公平だといって、これを高齢者の負担を上げるというわけでしょう。食費の方は、高齢者の方が負担が大きいからといって、今度若年者を上げるというわけでしょう。とにかく、何でもかんでも公平公平といって、高い方に負担を合わせるというだけの話じゃないですか。これ本当に、私、御都合主義だと思いますよ、こういうのは。
しかも、国民負担増というのはこれにとどまらないわけです。紹介状なしの大病院の受診には五千円から一万円の定額負担、これを義務付ける。そして七十歳から七十四歳の医療費窓口負担も引き上げる。国保料、国保税の更なる引上げにつながる市町村国保の都道府県化などなどやろうとしているわけですね。
そうした中で、高齢者の所得保障である年金はじゃ、どうでしょうか。安倍政権はこの間、特例水準の解消という名目で、二〇一三年十月に一%削減をし、二〇一四年四月に〇・七%削減、二度にわたる年金削減やりました。これまでのこの二回の特例水準の解消というやり方、これは本当に生活に打撃になっているという声が出ているわけです。高齢世帯から所得と購買力を奪うものだったと思います。なぜ、こういうことをやったんでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 本来、年金は物価か賃金か、かつては両方の、どちらかでやって、今はどちらか低い方でやるということで合わせて、保険料を現役世代に過度な負担が行かないようにということでやってまいりました。
したがって、デフレになった場合に物価が下がれば年金額も下げるというのがスライドとしてあるべき姿であるわけでありますけれども、それをやってこなかったというのを解消してきたわけでありまして、この四月からまたそれを最後の解消をするということになるわけでございます。

○小池晃君 要するに、物価が下がったから、かつて下がったときに下げなかったから、それを元に戻すんだと。
よく政府の方が、もらい過ぎていると、年金を、物価水準から見てというふうに言うんだけれども、ちょっと確認しますが、二〇〇〇年度に物価スライドを凍結する前年の物価と二〇一四年度の前年物価、これ比較すると、物価は何%下落していますか、同じ時期に年金改定率何%マイナスになっていますか、お答えください。数字だけでいいで
す。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘の二〇〇〇年度から二〇一四年度までの全国消費者物価指数の対前年比変動率の各年の公表値を機械的に足し上げるとマイナス三・五%となります。また、二〇〇〇年度から二〇一四年度までは特例水準による年金給付でありますけれども、この間の年金額の各年の改定率を機械的に足し上げるとマイナスの三・九%となります。

○小池晃君 要するに、物価よりも年金の方が下がっちゃったわけですよ。
結局これ、グラフ見ていただくと分かるように、この間の年金の引下げによって、要するに物価に追い付こうということで下げてまいりました。しかし、この最後の、昨年の四月の時点ですね、二〇一四年と書いてあるところですが、そこで逆転しているわけです。もらい過ぎどころか、既に削り過ぎなんです。
何でそうなっているかというと、物価スライドというと物価だけに合わせるように聞こえるんだけれども、実は物価よりも賃金が下がったらば賃金に合わせて更に引き下げるという仕組みなわけですね。だから、既に物価よりも下がってしまっているわけです。ところが、安倍政権は、今年度もまたこれがもっとやらなきゃいけないということで年金を引き下げ、後でも議論しますが、さらに今年から初めてマクロ経済スライドを発動して更なる引下げをやると。
ちょっと数字が続くのでゆっくり説明したいと思うんですが、実は今年度の年金改定率の指標となる消費者物価はプラス二・七%です。これ、消費税の増税、アベノミクスで物価が上がっていますから、二・七。年金改定が物価スライドだけだとすれば、年金も二・七%引き上げなければいけないはずなんです。ところが、先ほど述べたように、物価と賃金を比べると、賃金追い付いていないんです。二・三%しか賃金上がっていないから、まずこの二・三というのが適用されて、これだけで物価よりも〇・四%下がるんです。
つまり、これ全部合わせるとどういうことになるかというと、元々昨年度の段階で年金は物価水準よりも〇・四%低かったんです。そこに今年の改定でも物価よりも賃金の方が低いためにマイナス〇・四%が加わるわけです。そしてもう一回、過去の特例水準の解消分で〇・五%が下がるんです。そして、今年初めてマクロ経済スライドが適用されてマイナス〇・九%になる。まさにトリプルパンチなんですね。このグラフ見ていただくと、もう今年の物価と年金の乖離はすさまじいですよ。二・二%も物価よりも低い水準になる。大臣、私の今の説明、間違いないですね。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今の説明は正しいと思います。

○小池晃君 こういうことになるわけですね。
具体的に、これを年金額に合わせるとどういうことになるかというと、総理、ちょっと聞いてくださいね。基礎年金満額受給の方であれば、今月分から六万六千四百円に二千円増額となるべきところが、こういったことをやるわけで、六万五千八円、六百円ちょっとしか上がらないんですよ。それから、夫婦二人で合わせて月二十万円の年金の御夫婦で、本来だったら月六千二百円のアップとなるところなんですが、これ千八百円しか上がらないわけです。
総理、消費税増税ですよ。物価も上がっていますよ。このように年金を目減りさせて、高齢者の生活水準維持できるというふうにお考えでしょうか。賃上げを賃上げをと一方で言いながら年金の切下げをやって、どうしてデフレ脱却ができるんですか、説明していただきたい。
総理。もういいです、もう何度も一緒、答弁したから。総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、年金につきましては、これはまさに給付と負担のバランスでありますから、負担をしていただかなければこれは給付も確保できないという中において、十六年に改正を行い、そしてその際、マクロ経済スライドの考え方を導入したのでございます。それは、将来世代の負担を過重にすることを避けつつ、制度を持続可能なものとするため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドの仕組みを導入をしました。
これによって、賃金、物価の上昇率ほどに年金額は上昇しないことになりますが、現役世代と高齢世代のバランスを確保し、将来にわたって老後の所得保障としての役割を果たし続けるために必要な措置であります。これは、まさに平成十六年にこのことについてさんざん議論した結果、こういう設計を入れたわけでございます。
マクロ経済スライドについては、〇・九%以上になって初めてこれはマクロ経済スライドが、〇・九%を引いていくわけでありますから、言わばインフレ状況をつくって初めてこれは当然マクロ経済スライドが導入されるわけでございますが、それは、導入というのは、そういう経済状況ができたことによって言わばマクロ経済スライドがこれは発動されることになったわけでございまして、それは、そういう仕組みを平成十六年につくったということでございます。
高齢者の生活の維持という面では、昨年行った財政検証において、経済の再生と労働市場への参加が進めば、現行の年金制度の下で将来的に所得代替率、これは現役世代の平均所得水準に対するモデル的な新規受給者の年金水準の比率でありますが、五〇%を確保できることが確認されたわけでございます。
安倍政権では、企業収益の拡大を賃金の上昇につなげ、そして経済の好循環を継続させていくことを目指しており、デフレ脱却を確かなものとして、賃金上昇を含む経済の再生に取り組んでまいりたいと考えております。
そして、昨年、消費税を三%引き上げた際には、年金受給者の方々には、簡易な給付措置として、この三%上がった支出の増加に見合う給付を行ったということはもう皆様御承知のとおりでございます。
なお、低年金の方については、社会保障・税一体改革の中で、医療や介護の保険料負担軽減や、低所得で低年金の高齢者に対する福祉的な給付金など、社会保障全体を通じて低所得者対策の強化を図ることとしております。

○小池晃君 もう何かいろいろいろいろおっしゃったけど、一つ一つちょっと言いますが、低年金者給付というけど、上乗せは年金保険料を十年納めて月千二百円ですよ、二十年納めて月二千五百円ですよ。スズメの涙ですよ、これは。それから、現役世代の五〇%を保障したというのはもうやめた方がいいです、そのでたらめは。はっきり言って、これはでたらめです。だってこれモデルは、四十年間夫はサラリーマン、妻は専業主婦という本当にあり得ないモデルですよ。それでようやく五〇%が最初は保障される。しかし、年金もらい始めたらどんどん下がっていくわけです。単身者なんて最初から五〇%を切っているわけです。だから、もうこういう説明はやめていただきたい。
それから、先ほどから現役世代、現役世代、公平だと、経済のためだと言うんだけれども、しかし、年金切り下げて年金世代の購買力を奪えば内需は冷え込んで、景気悪化の悪循環になりますよ。それから、年金が物価水準すら保障されないということになれば、現役世代はどうか。これは、財布のひもが締まりますよ。消費は落ち込みますよ。ますます景気悪くなりますよ。
だから、結局、こんなことやっていたら、私は、もうダブルパンチで年金財政だって悪くなる。年金財政の基本というのは保険料収入なんですから、現役世代の。そこが、景気が悪くなるようなことをどんどんやったら、ますます年金財政だって悪くなるでしょうと。私は、年金財政の中での帳尻だけ合わせても、そんなことばっかりやっていたら、暮らしも景気もどんどん縮小していくと。そんな国にしていいんですかということが、私、真剣に考えなければいけないんではないかと思う。だから、年金の削減で日本経済にどんな打撃が加わるか。二・二%抑制するということは、これは一兆円以上の年金給付が減るということになるわけです。特に、地方では、これは県民所得のかなり大きな部分を占めているわけですが、これは、年金給付額がその県における民間消費の二割を超えている県名、どのくらいありますか、挙げてください。

○国務大臣(塩崎恭久君) 厚労省の厚生年金保険・国民年金事業年報とか内閣府の県民経済計算に基づいて計算をいたしますと、平成二十三年度において二〇%を超える都道府県は、島根県、山口県、佐賀県、奈良県、鳥取県、愛媛県、岐阜県の七県でございます。

○小池晃君 大臣の愛媛県もそうなんですよ。地域の民間消費の二割は年金占めているわけですよ。それ削ることは私、地方経済にとって大きな打撃になるんだと思うんです。
しかも、マクロ経済スライドによる年金給付の抑制がいよいよ今年から行われる。これ今年で終わりでないわけで、基礎年金でいえば少なくとも二〇四〇年代まで抑制が続きます。
計算してみました。政府は再来年四月に消費税一〇%増税を強行すると言っているわけですが、それによって起こる物価上昇分だけを想定して今後の物価と年金水準を推計すると、こういうグラフになります。物価は消費税の影響だけで今後だんだん上がって、一・九%上がってまいります。これ、消費税の増税の影響だけを計算しました。年金には最大で一・一%のマクロ経済スライド掛かるので、ずっと据え置かれたままになるわけです。その結果、二〇一九年度、年金水準と物価上昇の乖離は四・一%。繰り返しますが、これは消費税の増税分だけを見込んでいますから、これは物価が更に上がればこの乖離はますます広がっていく。
こういうことをやっておいて、何が百年安心なんですか。もう本当に年金世代の不安はどんどん増していく。年金で暮らしていけない日本になってしまう。これでいいんですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今の問題点は、基本的な大枠は総理から答弁したとおりでありますが、今お示しをいただいたこの数字は、考え方はそのとおりかも分かりませんけれども、まあ、このようになるかどうかはまた別問題でして、ただ、大事なことは、先ほど現役世代の保険料支払と受取の年金受給額の話だけをおっしゃいましたが、何度ももうこれ総理から申し上げたように、やはりこれは、将来もらう方々も含めて、それこそ五十年、百年の先まで考えた上でどうなのかということを考えなきゃいけない。
それが実は、先ほどどんどん年金に対する信頼を失うぞと、こういうお話でありましたが、やはり先をちゃんと見据えるという意味でマクロ経済スライドのこの法案を通して、さきの民主党政権もこれを、かつては否定していましたけれども、政権時にはこれをやっぱり、いや、踏襲すべきということになったわけでありまして、やはり将来世代の受取も考えた上で今の世代の年金保険料支払とそれから受取の年金額とをそれぞれ少しずつ我慢をする形でやっていく。
しかし、そうは言っても、その所得代替率は五〇%、先生は否定されますけれども、五〇%ということでつくって、なおかつ、もしそれが均衡しないということになったときにはまた必要な見直しをすることになっていますが、しかし、少なくとも、去年の財政検証をやってみても、日本経済が再生をし、女性や高齢者の労働市場への参加が進めば所得代替率五〇%を確保できるということが確認をされているわけでありますから、大事なことは、経済政策とセットであって、例えば年金額だけで全ての生活を守るというようなことでやっているわけではないので、やはりこれは、年金制度そのものを支えるためには、デフレ脱却を図りながら賃金を上げ、そして経済の再生も上げて、労働参加も上げていく中で、同時に少子化あるいは子育て対策をすることが実はこの制度そのものを守るんだということであることも言わなきゃいけないというふうに思います。

○小池晃君 ちょっと、中身ないのに答弁ばかり長いのやめてくださいよ、もう。私が言ったことに全く反論できていないですよ。だって、五〇%を維持するって、そうなっていないと言ったのに全く反論できていないんだから。もうそういったことはやめてください、そういうことを言うのは。
それで、将来世代、将来世代と繰り返すけれども、マクロ経済スライドというのは将来になればなるほど効いてくるんですよ。私なんかの世代でいうと、もう一千万円ぐらい生涯年金受取減る、そういう仕組みつくったじゃないですか。だから、通した、通したと言うけど、あれ強行採決でやったんですよ。今まで実施できなかったものを、いよいよ今年、今月から発動するというわけであります。
しかも、マクロ経済スライドというのは高額な年金だけに掛かるわけではありません。これは基礎年金にも掛かるわけで、これが今後三十年以上抑制されることになれば、政府の社会保障審議会でも、基礎年金の水準低下が大き過ぎて年金としての機能が失われるという、そういう声だって出ているじゃないですか。そういったことに耳を貸さずに、とにかくもう、あなたの方が年金のこと、年金財政の帳尻合わせしか考えていないですよ。日本経済全体のことを考えれば、こんな年金削減やったら経済は壊れるんだと私は申し上げているんです。
しかも、今月から介護保険料も上がります。財務省の試算によると、現在全国平均で月約五千円の六十五歳以上の介護保険料、月五千五百五十円に上がります。実際には、月六千円を超えるところが続出します。政令市、県庁所在地、東京二十三区の三割に当たる二十一自治体で、例えば大阪市、京都市、新潟市などで月六千円を突破する。年金天引きで徴収される介護保険料が上がれば、手取り年金更に減ります。消費税増税、アベノミクスによる物価高騰、年金削減、介護保険料の値上げ、さらに医療や介護の自己負担増、三重苦、四重苦、人によっては五重苦、六重苦ということになる。
昨年六月の骨太の方針二〇一四では、医療、介護を中心に社会保障給付について、いわゆる自然増も含め聖域なく見直し、徹底的に効率化、適正化していくとしました。
総理、この基本方針の下で作られたのが今年の予算ですが、社会保障予算の削減項目を並べてみると、合計で三千九百億円になります。今日の質疑で与党議員も危惧を表明した介護報酬の引下げ、介護利用料の二割負担導入、医療では協会けんぽの国庫補助引下げ、七十歳、七十一歳の窓口負担二倍化、年金の削減、そして生活扶助基準の引下げや冬季加算、住宅扶助の見直し。
総理、社会保障のための消費税増税だと言いながら、増税した翌年にこれだけの社会保障予算の削減、国民が納得すると思いますか。総理にお答えいただきたい。もういいです、厚生労働大臣いいです。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に、まさに年金というのは法律にのっとってしっかりと制度設計の上において給付と負担のバランスを取っていかなければならないわけでありまして、まさに平成十六年の改正の際に、給付と負担のバランスを取るという中において、マクロ経済スライド、これは生産人口と平均寿命等々の要素を入れて、言わば給付と負担のバランスを取り、そして将来世代と今もらっている世代との不公平をなくしていくという観点から導入をしたわけでございまして、それはしっかりと実行ていくことこそがこれは年金の安定性に私はつながっていくと思うわけでございます。
確かに、小池委員が言われたように、年金の給付を増やしていくことによって消費を増やしていく、そういう考え方はございますが、しかし、年金の給付については、これはやはり年金のしっかりと設計の上において給付と負担のバランスを取っていくという考え方が必要であって、経済の要請において給付をこれは恣意的に調整すべきではないかと、こう思うわけでございます。
いずれにせよ、そういう意味において、必要なことを我々は行っているということは申し上げておかなければならないと。と同時に、消費税を三%引き上げたことによって、充実分については一番最初の冒頭の御説明でお話をさせていただいたとおりで、しっかりと拡充にも取り組んでいきたいと、こう考えているところでございます。

○小池晃君 質問に全く答えてない。私が示した来年度の社会保障予算の削減、これが納得できるかというのに全く答えられないんですよ。
やっぱり、消費税を増税しておいて、これだけの社会保障の削減をどおんと盛り込む、こんなことが国民の納得が得られるわけがないわけですよ。やっぱり、財源、財源というふうによくこの社会保障の問題で言うけど、私は根本的に財源の考え方は間違っていると思う。
やっぱり、これ見てください、不公平があるわけですよ。所得税、これ所得階層別の税負担率、これ見てください。所得税というのは累進課税ですから、本当は所得が多くなればどんどん負担率高くなるはずのものが、これ一定の水準を超えるとどんどん下がっていく、これが今の実態ですよ。
それからもう一つ、法人税。これも税率が大企業になればなるほど下がっていく。これなぜかというと、結局、ほとんど大企業しか使えないような様々な減税措置があるから、だからこれ下がっていくわけですね。
ここを正す改革をやれば、私は、負担と給付、負担と給付と言うけれども、みんなが負担しているわけじゃないんですよ。負担してない人がいるんですよ。ここにしっかり負担を求めれば、負担と給付を立て直して安定した社会保障をつくれるんだと。
例えば、トヨタ自動車一社だけで研究開発減税は千二百億円の減税がやられているんですよ、千二百億円、一社だけで。介護報酬削減による国庫負担の削減額、これ千百三十億円ですよ。だから、介護報酬削減によって浮く国庫負担と同額の減税がトヨタ一社にやられているんですね。
私は、これはちょっと政治の方向が違うんじゃないだろうかというふうに思うんです。やっぱり、こういったところをしっかり見直してきちんと負担をしてもらえば、私は安定した社会保障をつくっていくことはできると。逆に、こういう社会保障をどんどんどんどん貧しくするような改悪をやり、一方で消費税を増税し、そして法人税は減税する、こんなことをやっていたら、もうますます日本の社会というのは壊れていってしまう、政治の方向は間違っていると私は思います。
法人税の減税は賃上げのためだというふうに、まあ聞いたら多分延々と言うと思うのでもう聞きませんけど、法人税の減税は賃上げのためだというふうにおっしゃるんでしょう。ただ、例えばトヨタでいえば、純利益は一兆円、内部留保は九兆円あります。しかし、今年の賃上げはボーナスも含めて五十億円。結局、内部留保の二千分の一しか賃上げには回ってないんですよ。これが実態ですから、大規模な、十分な体力のある大企業には減税をして、こういった形で社会保障は削減をし、社会保障のためだと言って消費税の増税を庶民に押し付ける、こういうやり方は許されないというふうに思います。
私ども日本共産党は、この社会保障の財源、消費税ではない別の道でつくっていこうではないかという提案をしています。税というのは負担能力に応じて負担をするのが大原則ですから、やはり所得税、法人税、きっちり累進課税の構造でやっていく、不公平を正していく、それで財源をつくる。あわせて、一人一人の所得が増やすような、そういう経済改革をやって財源をつくっていく。この道しかないというせりふはこういうときに使うせりふだというふうに申し上げて、質問を終わります。

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