日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

検索

国会ハイライト

国会質問・速記録・質問

被害拡大 金融庁に責任 スルガ銀行不正融資 小池氏が追及 参院財金委

2025年04月02日

赤旗2025年4月2日付

写真

(写真)質問する小池晃書記局長=3月24日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は3月24日の参院財政金融委員会で、スルガ銀行の不正融資問題を金融庁の対応を追及し、加藤勝信金融担当相は、金融庁に被害を拡大した責任があることを認めました。

 

 スルガ銀行はシェアハウスやアパート・マンション(アパマン)への不動産投資を行うオーナーに対し、業者と結託し「元金なしでも大丈夫」などと説明し、通帳を偽装し融資を行っていたほか、不当な高値で物件を売り付け、空き室があるのに満室のように家賃明細書を偽装するなどの組織的な不正を行ってきました。金融庁は2018年10月、行政処分として業務改善命令を出しました。シェアハウス問題は和解が成立しましたが、アパマンへの不正融資は解決に至っていません。

 

 同銀行は、被害に遭った各債務者の個別問題だとして、被害者にも投資家としての過失が認められるなどと責任転嫁しています。小池氏は「サラリーマンなどの一般の投資家が多い。元金なしでも融資すると銀行に言われたら信じてしまう。自己責任では片づけられない」と強調。金融庁の森信親(のぶちか)元長官がスルガ銀行を称賛していたとして「金融庁としても被害を拡大させた責任がある」と迫りました。

 

 加藤担当相は「金融庁が重大な問題を事前に察知できなかったことで被害が生じた」と同庁に被害拡大の責任があると認めました。

 

 小池氏は、業務改善命令を出して6年たっても問題が解決しておらず、「被害者の声を直接聞いて、スルガ銀行を指導すべきだ」と述べ、金融庁に踏み込んだ対応を求めました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 スルガ銀行の組織ぐるみの不正融資、前回、柴理事も取り上げました問題について聞きます。
 二〇一八年に発覚したシェアハウス事件、これはオーナー側と和解が成立をしておりますが、投資型アパート・マンション、いわゆるアパマンローンの問題、いまだ解決されずに、多くの方苦しんでいます。
 スルガ銀行が不正を認めたのは七千件近いんですね。アパート、マンション一棟丸ごと投資対象として、その八割が築二十年を超える中古物件で、全国各地に点在しておりました。
 金融庁にお聞きしますが、スルガ銀行によるアパマンローン不正融資、これまでの経過と金融庁の対応について御説明ください。
○政府参考人(伊藤豊君) お答え申し上げます。
 スルガ銀行につきましては、二〇一三年頃からシェアハウス向け融資やいわゆるアパマン向け融資への取組を本格化させたところでございます。こうした融資につきましては、金融庁による検査、スルガ銀行が委嘱した第三者委員会による調査などにより不適切な事案が多数認められたところでございまして、金融庁はその後、業務改善命令を発出をしております。個々の債務者への適切な対応を行うよう、これまで繰り返し求めてきておりますけれども、シェアハウス向け融資につきましては既に問題解決が図られておりますけれども、アパマン向け融資につきましては現在も解決には至っておらず、スルガ銀行と債務者との間で民事調停の協議交渉と並行して保有する物件の任意売却による債務の弁済を実行するなど、具体的な解決方法について調整が行われているものと承知をしております。
 金融庁といたしましては、債務者にとって可能な限り早期に問題解決が図られることが重要であると考えておりまして、引き続き、こうした点を銀行に求めていきたいと考えております。
○小池晃君 スルガ銀行は大手不動産会社と結託をして、より多くの融資を受けさせるために資産や年収のデータを偽装して、本来なら融資を受けられないような人でも融資審査が通るように組織ぐるみで不正をやっていた。驚くべきものであります。
 五十代の会社員、不動産会社から銀行からの紹介物件だと言われて二億四千万円で大阪市内に投資用マンション一棟購入した、銀行のお墨付きだったので信用して物件直接見ないで購入した。遠方の物件紹介されて直接見ずに購入させるというのも手口の一つだと言われています。不動産業者、マンション一括して借り上げて、この会社員の方に四十九部屋、月額百三十七万五千円の家賃を保証するサブリース契約を提示して、マンション購入の融資はスルガ銀行が行っています。被害者のほとんどが頭金は要らないと言われて、この方の契約の際の通帳残高は四十九万円、後にスルガ銀行から資料を取り寄せると、通帳のコピーは同じ日付なのに三千三百四十九万円と、三千三百万円も水増しされていた。通帳を偽造するというのは、これ銀行としてはやっぱり前代未聞のやり口じゃないかなと思います。
 さらに、払った覚えのない手付金二千五百八十万円の領収書も偽造されていたと。家賃収入も改ざんされていて、実際に入居していない部屋も全て埋まっていることにして実際の二倍以上高い金額にして、こうすることで本来より高い収益性を有する物件であるかのように見せかける高値づかみ売り付けが行われた。被害者のほとんどが、不動産業者から家賃収入の黒字で融資はすぐ返済できると言われて信用してしまったと話しておりますが、この方の場合も四十九部屋中二十部屋しか埋まらず毎月三十万円の赤字になったということなんですね。
 金融庁、第三者委員会の報告書は、こうした不正をスルガ銀行が組織的に行っていたとしています。不正はスルガ銀行もこれは認めているわけですね。イエスかノーかで。
○政府参考人(伊藤豊君) お答えいたします。
 今委員から御指摘ございましたような第三者委員会の報告書の中身につきましては、スルガ銀行としても認めているというふうに承知をしております。
○小池晃君 こうした不当な売り付け、レントロールの偽造、家賃明細書の偽造、預金通帳、売買契約書、払ってもいない手付金の領収書の偽造、全部シェアハウスの問題と同じなわけですよ。スルガ銀行も組織的不正を認めているのに、これ行政処分が下ったのは二〇一八年十月ですから、六年たっている。何で六年たっても解決できないんですか。
○政府参考人(伊藤豊君) アパマン向け融資につきまして、スルガ銀行の主張でございますけれども、それぞれの債務者との間における銀行側の責任の有無や程度が個別具体の事案によって様々であり、シェアハウスとは異なって各事案に応じた検討がされる必要があるという銀行の主張でございますが、これに対しまして、弁護団の方ではシェアハウス向け融資と同様の一律の解決を主張しておられるということで、見解に相違があるという中で、先ほど申し上げた民事調停等の今状況にあるというふうに承知をしております。
○小池晃君 まあ銀行がそう言っていると言うけれども、第三者委員会でもこれ結局みんな同じ手口でやっているということは認めているわけですよね。第三者委員会の報告見ますと、やっぱり、ほとんどの銀行員もそれ知っていたということまで書かれているわけですよ。だから、もう組織的にやっていたという点ではシェアハウスの問題と全く同じ構造だと。組織的な不正だということはもう第三者機関も認めているわけで、アパマンだけは個別事情だということは、私、筋通らないと思いますよ。いかがですか、この銀行の主張、これ筋通らないと私思うんですが。
○政府参考人(伊藤豊君) 個別の事案の今交渉がなされているというところでございまして、先ほど申し上げましたように、金融庁といたしましては、業務改善命令を発出して一刻も早い解決を申し上げているところでございますが、この民民の関係につきまして、金融庁からこの案件についてはこう、この案件についてはこうということは申し上げられないということは御理解を賜れればと思います。
○小池晃君 でも、シェアハウスは民民の関係だけどきちんとやったじゃないですか。私はね、これは本当に金融庁の責任も問われていると思います。(発言する者あり)実際そうなんですよ、これからその話しますけど。
 投資家といっても、サラリーマンとか、あとはドクターとか、投資経験ない一般の投資家がほとんどなんですね。しかも、やっぱり不動産業者と銀行が結託しているなんて夢にも思わずに、元金なしでも融資しますと銀行に言われたら、これ信じてしまうというのはむべなることかなと思いますよ。これ、自己責任だということで片付けられない、民民だからといってほっておくわけにはいかないケースだと思います。オーナーの中には、一人で悩んで自殺された方もいるわけですね。自宅が競売に掛けられたり、離婚を余儀なくされたという方もいると聞いております。
 今もお話ありましたが、二〇一七年当時の金融庁の森信親長官は、スルガ銀行を、特異なビジネスモデルで高い収益を上げている地銀のモデルケースだと称賛したわけですよ。別にこのケースを称賛したわけじゃそりゃないと思いますけど、でも、金融庁として高く評価したということはこれ責任大きいと思いますよ。
 大臣、やはりこれ、金融庁としても、この被害を拡大させた責任ということを重く受け止めてやっぱり対応する必要があるんじゃないかなと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今後は、不正融資問題に関連して、スルガ銀行の経営管理態勢、また内部管理態勢に一部業務停止を含む業務改善命令に相当するような重大な問題があったにもかかわらず、これを私ども金融庁が事前に察知することができなかった、そしてこうした被害が生じた、このことは事実としてしっかり受け止めていかなければならないと考えております。
 その上で、先ほどから事務局からお話をさせていただいておりますが、債務者にとって可能な限り早期に問題解決が図られることが重要であり、スルガ銀行の経営陣に対して、様々な機会を通じて債務者との協議に真摯に応じるなど適切な対応を引き続き求めていきたいと考えています。
○小池晃君 鈴木前大臣は国会の答弁で、業務改善命令を出しっ放しで、あとはそのままということはあってはならない、これの実効性を高めていくことは重要だというふうに答弁されたんですよ。
 大臣、やっぱり金融庁として、今お話あったけれども、もっと踏み込んでやっぱりスルガ銀行を指導するべきじゃないかと、一刻も早く。私、そのためにも、被害者の声を金融庁として聞いてほしいと。このことを求めたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 金融庁は、この不正融資問題をめぐる事案について、スルガ銀行はもとより、被害者団体からも説明や主張をお伺いをしているところでございます。もっとも、個別具体的な解決方法、これは当事者間の協議、交渉に委ねるべきものであるということではあります。
 したがって、先ほどから同じことを申し上げて恐縮でありますけれども、金融庁としては、債務者にとって可能な限り早期に問題が図られる、これが重要であり、そういった姿勢で引き続き取り組んでまいります。
○小池晃君 やはり、民民だからといって先ほど、金融庁の方は腰が引けた私は対応だと思いますよ、それでは。やっぱり踏み込んでこれ対応する責任が私はあるというふうに言いたいと思います。
 あわせて、これ、スルガ銀行だけの問題なんだろうかと。日銀の金融レポートによれば、地方銀行の不動産向けの貸出残高、これ、大手行を上回って増加の一途をたどっているというふうにしております。
 金融庁は、地域金融機関に融資拡大の要請を強めてきているわけです。まあ、それは適切な融資は必要ですよ。しかし、この不動産向けの貸出残高がどんどん伸びている。アパマンローンというのはスルガ銀行以外の地方銀行も実行しているわけで、ほかの銀行でも不正が起こり得る可能性は私はあるんじゃないかなというふうに思います。
 やはり金融庁としても、こうしたスルガ銀行の事態を受けて実態調査を行うというふうなやっぱり対応が必要ではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほどのスルガ銀行でありますが、二〇一八年に業務改善命令を発出いたしました。それに基づき、現在も三か月ごとに民事調停の状況を含む債務者の方々への対応の進捗状況、これらについて報告を求めるなど、随時ヒアリングをし、フォローアップもさせていただいているところでございます。
 また、今お話がありました地域金融機関における不動産向け貸出しの増加傾向等、貸出残高は増加傾向にございます。こうした傾向や、スルガ銀行における問題、これを踏まえて、金融庁では、地域金融機関における投資用不動産向け融資について、各金融機関から徴求したデータを基に各行の貸出動向を分析をするとともに、アンケート調査や立入検査などを通じて、顧客を紹介する不動産業者の業務の適切性をどのように検証しているかといったリスク管理の状況も把握するなど、その実態を確認するとともに、必要に応じ改善を促してきているところであります。
 引き続き、様々な機会を通じて、地域金融機関における投資用不動産向け融資について、提携する不動産業者の業務の適切性の検証状況、融資審査における牽制機能の発揮状況などを確認することにより適切なリスク管理態勢が構築されているか、しっかりとモニタリングをしてまいります。
○小池晃君 やっぱり、スルガ銀行のこと、ヒアリングだけ、モニタリングだけということでは解決しない問題だと思います。やはり、その業務改善命令出てから六年たっても解決しないというのは非常にやっぱりゆゆしき事態だというふうに言わざるを得ないと思います。
 もっと踏み込んだ対応を金融庁には求めるということを申し上げて、質問を終わります。

閉じる

ご意見・ご要望