日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2015年5月21日 参議院厚生労働委員会 速記録

2015年05月21日

2015年5月21日
参議院厚生労働委員会

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
最初に中川参考人にお伺いしたいんですけれども、当初、規制改革会議が言っていた選択療養制度、あれに比べれば一定の歯止め掛かったということは私も理解するんですね。ただ、先ほど言われたような点でいうと、いろんな懸念、私持っているんですが、一点お伺いしたいのは、中川参考人は、将来的に保険収載につながることが大前提だというふうに言われているんですが、私もそのとおりだというふうに思うんですが、結局、今の評価療養を見ても、結局、保険収載に至っているケース、非常に少ないという実態があります。今回、こういう別ルート、さらに、一形態だとおっしゃったけれども、つくることによって、治験逃れ、特にやっぱりオーファン、希少薬などについては、やっぱり製薬企業はむしろ保険収載という王道を逃げる手段として使うのではないかと、やっぱりそういう懸念があって、ロードマップ作るとかいろいろ言っているんですけれども、逆にやっぱり保険収載が遅れてしまうんじゃないかという懸念を持つんですが、その点について参考人はどうお考えになりますか。

○参考人(中川俊男君) 質問は最後の一点だけですか。

○小池晃君 はい、そうです。

○参考人(中川俊男君) 治験逃れをするほど症例が患者申出療養という形で集まるかという、現実的に考えると私は難しいと思います。私は、中医協の場でも製薬協の代表の専門委員にこの辺のことは聞きましたが、先発品メーカーの矜持としてあり得ないということまでおっしゃいますので、それに近いことをおっしゃいますので、私はそういうふうにやってほしいと強く望みますし、そう信じたいと思います。心配はもちろんありますけれども、楽観はしません、厳重に監視はしていきますけれども、そういうことであります。
それと、質問にはなかったですけれども、最初の選択療養に比べれば大分ましになったという小池先生のお話ですけれども、私は全く別物になったというふうに思っています。
以上です。

○小池晃君 いや、余り別物というところまで行っていないんじゃないかなという気がするんですが、分かりました。私、余りちょっと製薬企業の矜持って信じていないものですから、しっかりやっぱり監視していかなきゃいけないんじゃないかなとは思いますが。
石黒参考人にお伺いしたいんですけれども、私が懸念するのは、要するに身近な医療機関で受けられるというのは、逆に言うと、もう非常に広がってしまう。それで、参考人はやっぱり一定の機能の病院で対応すべきだとおっしゃっていますが、今回の仕組みでいうと、とにかく臨床研究中核病院がいて、実施医療機関は施設基準もないわけで、実施計画作るけれども、それから外れるケースも出てくるということは厚労省も国会で認めていますし、そうなってくると、果たしてこれできちっと安全性が担保できるんだろうか、あるいは保険収載に向けたデータの集積という点でも、単なる症例報告になってしまって、エビデンスとして使えるようなデータが集まるんだろうか等々、非常に逆の意味で広がることの懸念を持っているんですが、その点はいかがでしょうか。

○参考人(石黒直樹君) 御指摘のとおりです。
データの信頼性を持たないものが果たして保険収載のときに審議対象になるかということです。これはよく御議論いただきたいと思います。
ですから、これは広がったらデータの信頼性は失われるかもしれません。審査体制と管理体制がないところでの医療機関、それがしっかりとして外形的に認められない以上は、そういうところでやれば必ずデータの信頼性は疑われる可能性があるし、指摘される可能性はあるということを申し上げたいと思います。

○小池晃君 私は、やっぱりこの点はちょっと今までの保険外併用療養と違う点ではないかな、根本的にやっぱり仕組みとして。やっぱりそれは大変懸念があるんじゃないかなというふうに思っております。
それから、伊藤参考人に、ちょっとこれ患者申出から離れるんですが、この間、入院食費問題で、私も予算委員会なんかでもやっているんですけれども、難病難病というふうに盛んに言うわけですよ、難病を除外したと。ちょっと待ってくださいと。これ一月から導入したばっかりなわけですよね。だから、今回対象から外れたということであって、決して、難病は除外した、弱い立場に配慮したと、それはちょっと違うでしょうというふうに思うんです。それから、指定難病になっていなければ、これはもう負担掛かってくるわけですよね。心臓病の本当にお子さんをお持ちの方なんかは大変負担がこれは重いという声も聞いています。
その点でいうと、やっぱり弱い立場に配慮したというふうに言うのであれば、これは一月からの難病の食費負担はもう撤回すると。今回のやり方も、もちろん私は認められないけれども、そうしないと筋が通らないんじゃないかなというふうに思っているんですが、その点いかがでしょうか。

○参考人(伊藤建雄君) 確かに、私どもも大変な中ですから、入院給食費が自己負担なくなるというのは希望するところですけれども、ただ、配慮をしていただいたというか、一部その負担がほかの方々より少なくなっているというのも、指定難病に限ってですけれども、それもあるのかなとは思いますが。指定難病といっても、特に入院の必要性が高い患者さんというのは、むしろ検査のときとか初期の方々が多くて、重症度認定の中では外されている方々ではないかという懸念もしております。
これもやっぱり調べるというか、調査が必要なんではないだろうか。どの程度指定難病の方が入院をしているのか、期間はどのぐらいなのかということも調べていかないと、我々の感覚だけではちょっと言えない部分はあるかなというように思っております。

○小池晃君 先ほどのお話の中で、やっぱり実態調査もしないでこういう負担増をやるのはおかしいというのは、私も全くそのとおりだと思いますので、その点もちょっと政府には引き続きただしたいと思います。
石黒参考人にもう一回お伺いしたいのは、今回、最初のケースで六か月、二回目以降は二か月というふうに言っているわけですよね、この患者申出について。結論出なければそこで打ち切るというか、それはしないとは言っていますけれども、ただやっぱり、今まで六か月と言っていたものを短くする、早いことがいいことだとは思いますが、早ければいいというものではないと思うし、やっぱりこういう形で期限を区切ることが現場へのプレッシャーということに働いてくるという懸念、この辺についてはどのようにお考えになるでしょうか。

○参考人(石黒直樹君) 御指摘の点は、ないとは言えません。要するに、症例を集めたいがゆえに誘発させるということだと思いますけれども、そういうプレッシャーとしてなる可能性はあると思いますから、やはりその期限を切るというのはいかがなものかと思いますし、患者さんの発生というものは私ども予測できません。

○小池晃君 ありがとうございました。
患者申出療養についてのちょっと懸念が様々浮かび上がった議論になったのではないかなというふうに思います。
終わります。

 

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
一日六百円、一か月になると一万八千円の入院食費の負担増の問題です。
大臣は本会議で、低所得者の負担を据え置くなどの配慮を行っている、あるいは受診抑制や医療費の膨張は起こらないという答弁されました。しかし衆議院では、受診抑制をするということは、結果として医療費が増えるということはあり得るという答弁もありました。矛盾しているんじゃないでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 結論から申し上げると、矛盾はしていない発言を二か所でしているというふうに思います。
四月二十四日の衆議院の厚生労働省委員会における答弁では、一般論として、患者負担の引上げによって医療機関の受診が遅れて、そのために重症化をすれば医療費に影響することはあり得るとお答えを申し上げました。
一方で、五月十三日の参議院の本会議におきましては、今回の見直しに当たっては、低所得の方の負担を据え置くなど、必要な受診が抑制されないよう配慮を行うことから、重症化や医療費の増加を招くとの御指摘は当たらないと答弁をしたものでございまして、衆議院での答弁とは矛盾をしていないというふうに考えます。

○小池晃君 私は衆議院の議事録も見ましたけれども、決して一般論ではなかったと思います。今回のやはり制度がという質問に対してこう答えている。しかし大臣は、受診抑制すれば、結果として医療費が増えるということはお認めになる。じゃ、受診抑制に本当にならないのか。この案が通りますと、一か月入院した場合、先ほど櫻井委員も指摘をされていましたが、医療費八万円、高額療養費の対象にならない食事負担は四・一万円、合わせて十二万を超える負担になるわけですね。
平均的な給与だと三十万、まあ、月三十四万程度ですから、これ給与の三割超える負担になっていくということになります、平均的な方でですよ。
局長、これで配慮したと言えるんでしょうか。
これで受診抑制が起こらないとどうして断言できるんでしょうか。

○政府参考人(唐澤剛君) 今回の見直しにつきましては、先ほど大臣からもお話がございましたけれども、入院と在宅医療の公平を図る観点から食事代についてお願いをしているわけでございます。これは療養病床に入院されている六十五歳以上の方については既に負担をいただいておりますし、介護保険施設における平均的な負担額を踏まえて、食材費に加えて調理費相当分の御負担をお願いをするというものでございます。この金額は、先生の今御指摘いただきましたように、十七日入院するということにいたしますと、約二万三千円の負担というようなことになってまいりますので、食材費や調理費の相当額はこれは在宅でも御負担をいただいておるわけでございますので、この御負担については御理解をいただきたいと考えております。
それから、もちろん低所得の方につきましては、これは引上げをしないということにしているわけでございます。

○小池晃君 いや、その公平論というのはちょっと後で議論したいと思うんですが。
入院すると仕事もできなくなるわけで、今でも医療の現場では、入院勧めても、やっぱりこれは仕事が大変だから何とか通院でお願いしますという実態があるわけですよ。そこでやっぱりこの食事代が、高額療養費の対象にはならない部分が上がれば、私はこれは必要な医療が受けられないという事態が起こってくる危険性は極めて高いと思います。
それから、弱者に配慮した、弱者に配慮したと大臣は繰り返すんですが、これ現実を見てないんじゃないか。全国心臓病の子どもを守る会がこの間行った調査でも、重症の心臓病で手術、入院、在宅療養を繰り返している病児の保護者にとって、入院時の大きな負担となっているのが高額療養費の対象にならない食費あるいはリネン費なんですね。
熊本県にお住まいの純型肺動脈閉鎖症に苦しんでいる八歳の男児の親御さんからお話聞きました。
シャント手術二回、グレン手術一回、その後在宅酸素療法をやっている。五歳のときにフォンタン手術をされている。この方はこうおっしゃっているんですね。病児を一人でも持つということは家計に相当な負担を強いられます、病状が落ち着くまでは、まず母がフルタイムでは働きません、夫の収入が不安定なら家計全体が不安定になります、予防接種代、風邪を引きやすいための通院費、感染症に掛からないための予防のための医療費、入院に伴う必要経費、兄弟の預け代、保育代、酸素ボンベを運ぶための交通費、小さな出費が重なると山のようになり、確実に家計を圧迫するのです、少しでも医療費が少なくなりますようにと心から祈るばかりですと。
私、こういう声に耳傾けるべきだと思いますよ。
この方は難病ですが、この値上がりがそのまま襲う人たちなんですよ。二百六十円が三百六十円、四百六十円になるんです。こういう方たちに更に月一万八千円の負担増を浴びせる、これで弱者に配慮したと大臣繰り返すけれども、そんなことだと言えるんですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の入院時の食事代の見直しに当たって、小児慢性特定疾病、それから指定難病の患者の方については、本年一月から入院時の食事代が原則として一部自己負担となった影響を踏まえまして、負担額を据え置いたところでございます。
今回の見直しは、先ほど来申し上げているように、高齢化の進展等に伴って地域包括ケアシステムを構築する中で、入院とそれから在宅療養の公平を図るために行うもので、ただし、今お話がちょっと出ましたけれども、負担能力に配慮をして低所得の方の負担は据え置くとともに、一般所得の方についても急激な負担増とならないように段階的に二十八年度と三十年度に百円ずつ上げるという配慮をしているところでございまして、さらに指定難病のお話がございました。これは本年七月一日に現行の百十疾病から三百六疾病に拡大をする予定でございまして、指定難病の認定基準に該当する患者の方は医療費助成の対象となるとともに、今回の改正法案における入院時の食事代の見直しについても負担が据え置かれるということになっているところでございます。

○小池晃君 聞いていないことまで答えているんですけど、私そのことを言っているんじゃなくて、そういう人でもこれだけ負担増になる、これが果たして弱者に配慮したと言えるんですかと。しかも、指定難病についても、難病据え置いた、据え置いたというふうにこの間ずっと胸張っているんだけど、もうこれ一月から負担増になったばかりだから、さすがにこれは対象にできなかったというだけの話じゃありませんか。
やっぱり、おとといも若干議論あったけど、今紹介した心臓病のお子さんのような、もう難病としか言いようのない状態ですよ、こういった方もたくさんいる。あるいは、がんというのは難病指定じゃないわけですから、非常につらい状況で治療をしているわけですよ。こういう人にまで負担増をかぶせる、これで弱者に配慮したと言えるんですかと。
私は、弱者に配慮と言うんだったら、今回これもう撤回すべきだと思うし、そんなに言うんだったら、難病、小慢だって今年の一月から自己負担導入したこと、これ撤回すべきだと私は思いますけど、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 原則は先ほど申し上げたとおりでございますので繰り返すことはいたしませんが、私どもとしては、この入院と在宅療養の公平性を図るという範囲内でこれをやらせていただくということで、低所得のラインをどこで切るかとかいろいろな問題はもちろんあって、そのボーダーラインのところでは必ず先生からの御指摘を受けるようなことはあり得るわけでございますので、そういう中で別途、小慢についても、あるいは指定難病についても、この指定の見直しということを別途やって、それなりのやっぱり配慮をしなければいけないという疾病については、それに取り込むということをしているわけでございます。
ちなみに、先ほどお話がございました心疾患の中でも、例えば拡張型の心筋症とかファロー四徴症などが、この七月から小児慢性特定疾患に該当されるということになるというふうに聞いております。

○小池晃君 私はこれは配慮したという中身になっていないですよ、この実態を見ると。
それから、先ほどから何度も何度も繰り返している公平論、これ、そもそも振り返ると、二〇〇五年に介護施設の食費、居住費を自己負担にしたときに、これは介護施設、特に特養ホームはついの住みかだと、生活の場なんだと、だから在宅との負担の公平を図るというふうに言った。
それから、二〇〇六年に六十五歳以上の療養病床の食費、居住費負担を決めたときは、これは介護施設と病院の負担の公平だと。つまり、介護施設も療養施設も、療養病床も、生活の場だから実態としては、だから、同じだから負担をそろえると言ったわけですよ。
今回の改定は、局長、そうした長期療養施設でもない、治療のために短期間入院する、そういう場合も介護施設と同じだけの食費負担を取るということでしょう。今までのロジックと全く違うじゃないですか。こんなことが通用するんですか。
いつも公平、公平と言っているけれども、公平の中身、全く違いますよね、議論としては。そのことを認めてください。

○政府参考人(唐澤剛君) この食事代をどの水準で御負担いただくかということにつきましては、今先生から御指摘ございましたように、二〇〇五年、平成十八年のときに、介護保険におきまして、御指摘のような介護保険施設はある種の住居であるという御議論がありまして、この食費に、食材費、あるいはそれに生活分というような御議論ありましたけれども、御負担をお願いしたわけでございます。
もちろん、今回は急性期病院の入院でも四百六十円の御負担をいただくわけでございますので、当時とは、ついの住みかであるかどうかという観点とは違う観点から御負担をお願いしているのは事実でございます。それは、在宅との公平という観点から、社会保障国民会議の中で、負担能力に応じた負担をお願いしたいという御議論を踏まえまして今回の御負担をお願いしている、ただし低所得の方については据置きをしているということでございます。

○小池晃君 今までの論理とは違うということをお認めになった。とにかく公平とさえ付ければ、どんどんどんどん負担水準高くするところに持っていったら、みんな高くなっちゃうんですよ、こんな議論やっていたら。私は本当にこれは無責任な議論だと思う。
在宅との公平というふうにおっしゃるけれども、入院患者というのは、在宅で治せない重症だから入院するんですよ。入院治療の間は仕事もできないんですよ。入院食は治療の一環なんですよ、特にこの急性期病床で言えば。これは明らかなんですよ。
在宅で入院と同じような食事指導できるんですか、食事管理ができるんですか。できないじゃないですか。どこが公平なんですか。入院の食事というのは、特にこういう急性期病床の入院の食事は、家での食事と全く違うじゃありませんか。家で取る食事と病院の食事、同じだと言うんですか。
局長、説明してください、どこが公平なんですか。

○政府参考人(唐澤剛君) この食事代につきましては、これは全体として負担能力に応じた負担をお願いをしていくということで、低所得の方に配慮しつつお願いするということでございますけれども、その際に、どこまでのものをお願いをしていくかということがございます。
これは、先生御指摘のとおり、これまでは食材費、つまり材料費に相当するものをお願いをしてくるということで、一般所得の方は二百六十円、低所得の方は、一番低い方は百円、その間の人は二百十円ということをお願いしているわけでございますけれども、今回は、この食材費に加えまして調理費相当額というものをお願いをしたいということでございます。もちろん、これは食事全体ということではございません。栄養管理などは、これは別になっているわけでございます。

○小池晃君 説明になっていないでしょう。何で調理費分は取っていいんですか。今の論理だと全く説明になっていないですよ。六百六十円分四百六十円まで取ったら、もう一〇〇%まではあと一歩ですよ。結局、食事代は全部保険から外すとこのままいったらなっちゃいますよ。
こういう公平の拡大の論理やっているから、財務省の主計局は何を言い出していますか。これは、介護施設、六十五歳以上の療養病床と同じく、居住費まで徴収せよと言い出しているじゃないですか。大臣、アパート暮らしの人が病気の治療で一週間入院したら、アパート代一週間安くなるんですか。なりませんよ。こんなときに居住費を取る。
急性期患者から居住費まで徴収せよ。結局、厚労省がこんなことをどんどんどんどん拡大してくるから、財務省もこんなところまで言い出しているんじゃないですか。
私、こんなことをやっていたら日本の医療は崩壊すると思います。大臣、いかがですか。こんなこと許していいんですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) あくまでも財政審がそう言っているということなので、それはそれとして財務省のやっておられることなので、まだ我々としては正式にその議論を共にしているわけではございませんで、現在の入院時の居住費については、療養病床に入院されている六十五歳以上の方に限って、介護保険施設における負担を勘案して、原則として一日三百二十円の光熱水費相当額を負担をしていただいているわけでありまして、入院患者の居住費に係る負担の見直しについては、今先生御指摘の財政制度審議会における論点の一つになっていることはもちろん聞いてはおりますけれども、急性期の病床は住まいとしての機能を有すると言えるのかどうか、それから、そのような中で居住費の負担を求めることをどう考えるのかといった課題が私どもから見ればあるということなので、今後それが議論の対象になるならば、我々は我々の考えをしっかり言っていかなきゃいけないというふうに思います。

○小池晃君 そもそも、参議院での審議の最中に、その成立前提にして次の課題を財務省が言う。こういうのを言ったら厚労省は怒らないといけないんじゃないですか。聞いていませんで済む話じゃない。しかも、大体聞いていないというけど、本当なんですか。
この間、僕は財務省と闘ってくれとか言ったけど、どうも違うんじゃないかと。財務省が言ったことが何年かたったら必ず実現しているじゃないですか。私、こんなことを認めていたら、これ厚労省も相談の上やっているんでしょう、こういうことを。こんなこと許されるんですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 私には一切相談がございませんので、それで私どもは議論をしていないと言っているわけであります。
財務省が言ったことは必ず実現しているということは全く不正確なお話でございまして、売上税だってうまくいかなかったわけでありますので、そういうことでは、必ずしもそうなっていないこともたくさんありますので、そこはやっぱり国民の世論がどう考えるのかというのが一番大事だというふうに思います。

○小池晃君 いや、私は、大体何年かたったら、ああ、あのとき財務省が言っていたことが出てきたなということがこの間続いていると思いますよ。
本当にこんなことを許していたら日本の医療は壊れるし、今の議論だって、急性期病棟とやっぱり在宅は違うんだと、居住費の問題でも。だったら、食事だって同じじゃないですか。やっぱり食事代を急性期の入院、短期の入院からも取るというのは、これは間違いであるということを改めて申し上げたいと思います。
それから、紹介状なしの大病院受診時の五千円から一万円の定額負担なんですけど、この間の答弁では外来機能分化のためだと繰り返していますが、何で定額負担を義務化すると外来機能分化が進むのか、ちょっと簡単に答えてください。

○政府参考人(唐澤剛君) これは、やはり我が国はフリーアクセスでございますので、大学病院でもそれから普通の診療所でも、特に制限なく受診できるということでございますから、やはりその中で、これだけではありませんけれども、外来機能の分化ということをしていかなければなりませんので、その施策の一環としてこの措置をお願いしたいと、こういうことでございます。

○小池晃君 根拠を示してと言ったんですよ。何で外来機能を分化するんですかと。

○政府参考人(唐澤剛君) 外来機能がなぜこれで分化されるのかと、こういうことでございますか。
これは、どのぐらい効くのかということは、これまでのいろいろな施策も併せて考えていく必要があると思いますけれども、幾らぐらいであれば受診を考えるかという、私どもの委託をした研究では五千円程度というような御議論もありますし、もちろんこれだけで、経済的な措置だけで外来の機能を分化するということではございません。これは、いろんなほかのものと併せて医療機関にも考えていただくことが必要だと思います。

○小池晃君 全く根拠を示せないということだと思うんですが。
私、資料をお配りしたのは、中医協で皆さんに配った資料ですけど、これを見ますと、逆紹介率を上げるための課題の第一は、医学的に逆紹介できる患者が少ないこと。第二は、地域に連携できる医療機関が少ないこと。第三は、患者数を確保するなど経営上の理由があることだと言っています。それから、紹介率を上げるための課題のトップは、選定療養を取っていても紹介状を持たない患者が多数受診すること。役に立たないと言っているわけですよ、選定療養は。第二は、患者数を確保するなど経営上の理由があることです。そしてこの間、紹介率、逆紹介率を上げるために新たに行ったことのトップは、地域で広報活動をした、三八%。ほかの医療機関と事前に連携を行うようになった、三三・三%。選定療養を増額した、あるいは徴収し始めたというのは合わせて四・五%なんですよ。
これ、中医協に皆さん出した資料ですよ。選定療養費では機能分化は進みませんと、機能分化のためには患者教育あるいは広報活動、医療機関の連携だと言っているじゃないですか。

○政府参考人(唐澤剛君) いや、先生御指摘のように、そういういろいろな取組と併せてやることが必要なんだと思っております。
これは、医療機関も、他に連携できる医療機関がないからなどと堂々と言うのはちょっと問題だと思っておりまして、これはやっぱり開業の先生と病院とそれから中小の病院とそれぞれ連携をつくっていただいて、患者さんが安心して受診できる仕組みをつくっていくということが非常に重要ではないかというふうに思っているわけでございます。

○小池晃君 苦し紛れにいろんなことを言わないでくださいよ。結局、外来機能分化のために選定療養を義務化すると言うけど、それが根拠じゃないじゃないですか、これだったら。そんなことをやったって、外来機能分化なんてできないということじゃないですか。
大体、病院の外来患者の九割は再診患者です。
そして紹介状を持ってくる患者さんは三割です。
ということは結局、初診患者、しかも紹介状を持たない患者の対策だけやっても数%の患者にしかならないということなんですよ、これは。
これは、実際に、外来機能の分化と言うけれども、そんなことを本気で考えた提案ではない、はっきり言って。結局、財務省から言われたことを何らかの形でやらなきゃいけないということで、苦肉の策で出してきている、それだけの話なんじゃないですか。しかも、これ、選定療養を義務化すると患者負担は大幅に跳ね上がります。病院一軒当たり診療費二万円、二万四百九十三円、三割負担だと六千百四十七円。ここに五千円が加われば、平均実日数一・六一日ですから一万四千百九十七円で、負担割合は実に六九%になります。これ一万円になったらもう一〇〇%を超えます。
これは、二〇〇二年の改正健保法附則第二条の「医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持する」、これに反するんじゃないですか。

○政府参考人(唐澤剛君) この健保法の給付の割合七割というのは、これは保険の中の給付割合、三割負担、七割給付ということをお示しをしているというふうに承知をしております。
今回の場合は選定療養でございますので、その外側にあるものでございますが、ただ、先生の御指摘にもございましたように、現在、特定機能病院、大学病院でも約六割の方が紹介状がない、地域医療支援病院でも約七割の方が紹介状がないというままの事態はやはり改善をしませんと、病院の勤務医の皆さんの疲弊も大きくなりますし、医療も効率的にならないんじゃないかと考えております。

○小池晃君 だからそれは、その効果がないと認めたでしょう、そのいろんな手の中の一つだと、大事なのは広報活動だったりというふうに認めたじゃないですか。
それで、今お答えとしては、要するに保険給付外だから大丈夫なんだと、クリアしているんだと言うけれども、患者から出てくるお金は、財布から出てくるお金は保険の給付の外でも内でも同じですよ、これは。しかも、今回の法案で新たに附則第二条、二〇〇二年と同じ第二条なので分かりにくいんだけど、ここには、保険給付の範囲について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずると言った。
すなわち、こんなことをやっていたら、保険給付の範囲を見直して保険給付外の負担を増やしていくということをやったらば、七割給付を維持するという附則は完全に死文化するんじゃないですか。局長、どうなんですか。こんなことをやっていいんですか。

○政府参考人(唐澤剛君) この七割給付というのは法定されているわけでございますので、これは、この問題をどうするのかというのは、これはもう根本的な大議論であろうと思います。
それから、私どもの今回の法律の附則に付いておりますのは、何かを特別に想定をしたわけではございません。ただ、幅広い意味で、給付の内容であるとか負担の公平であるとかいうことにつきましては、引き続き、医療保険制度、国民皆保険を堅持する観点から議論をしていく必要があるということを書かせていただいたものだというふうに受け止めております。

○小池晃君 今回の附則の二条は、だから何でもありだということですよ、これ。
保険給付の範囲について、こういった形で、もう本当に言い逃れのような形で保険外の負担だからいいんだというふうに言い出したらば、保険外の負担がどんどんどんどん拡大していく、実質的な三割負担というのが拡大していくことになるんじゃないですかと私言っている。それに対する答えはなかった。結局、私、こんなことをやっていたら本当に実質的な負担率はどんどん上がっていく、国民皆保険制度が本当に壊れるということになると思いますよ。
社会保障・税一体改革では、受診時定額負担の導入がうたわれていました。今日の資料の二枚目にあるように、工程表にも示されておりました。
これを見ますと、受診時定額負担で千三百億円マイナスということを言っております。
厚労省は、その後、それは撤回したんだと言うけれども、今回のこの選定療養の義務化というのは、事実上の受診時定額負担なんじゃないか。だって、今度の制度について厚労省が医療保険部会に示した資料では、紹介状なしで特定機能病院及び五百床以上の病院を受診する場合等には、原則として、定額負担を患者に求めると書いてある。
受診時定額負担ですよ、これ。そのものではありませんか。
保険給付の範囲内で定額負担を取れば三割負担を超えてしまうから、保険給付から外出しで差額徴収という形を取っているけど、これは事実上の受診時定額負担じゃありませんか。違うというなら、その根拠を説明してください。

○政府参考人(唐澤剛君) 受診時定額負担につきましては、前に御提案をさせていただきましたときにはなかなか御賛同が得られなくて撤回をした形になっております。
それで、受診時定額負担自体は、これはもう外来のたびごとに全ての人に御負担いただく、例えば百円というような金額で御議論をいただいたわけでございますが、こちらの方は大病院に限って、しかも紹介状のない方ということでございますから、できるだけ中小規模の病院でありますとか開業の先生をかかりつけ医に持っていただくと、それで紹介状があればこの負担はないわけでございますので、そうした役割分担を是非お願いしたいということでございます。

○小池晃君 そうすると、受診時定額負担との違いは、病院の規模とか対象の患者の違いだけですね。

○政府参考人(唐澤剛君) 御質問の趣旨がちょっとあれなんですが、これはもうかなり違うものだと思います。これは、受診時定額負担というのは、負担するかどうかということは患者さんは別に選べませんけれども、大病院の負担は、別にこれをお支払いいただきたいと私は考えているわけではございませんで、できるだけかかりつけ医を持って、外来機能の分担ということを是非患者さんもお考えいただきたいとお願いをしているものでございます。

○小池晃君 しかし、そんなことを言い出したら、例えば主治医がいないという人はもう受診時定額負担を取るとか、そういったことだって可能になるじゃないですか。病院の機能分化、かかりつけ医機能の強化、そういう、頭に付ければ何でもできますよ。だから、どこが違うのかと言っているんですよ。

○政府参考人(唐澤剛君) そんなに何でも負担をしろなどと私ども全く思っておりませんので。
本当に、やっぱり大学病院ですとか、五百床を超えるような、五百床と決めているわけじゃありませんけど、大きな病院というのは、やはり専門外来をやっていただきたいと、そういうことでございます。

○小池晃君 結局、これは本当に受診時定額負担の突破口になるんですよ、こんなことをやったらば。今の議論を通じてもこの違いというのをきちっと示せないですよ。これどんどん拡大しますよ、こんなことをやったらば。
財務省、これは、財政審何と言っているか。受診時定額負担、保険免責制度の導入と言っているじゃないですか。財務省は執念深くこれやっているじゃないですか。
大臣、幾ら否定しても、今回の選定療養義務化が財務省が狙っている受診時定額負担の突破口になる、その呼び水になることは明らかじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) これはもう先ほど来繰り返し申し上げているように、今までどちらかというと機能分化のことを前面に出していましたが、機能分化と、それからさっきもちょっと出ましたけれども、やはり勤務医の医師の皆さん方への過重な負荷、そしてそれが結果として患者さんに、三時間待ちの三分診療みたいなことがかつて言われていましたが、それと同じような状況が起きている。これをどうやって、本来プライマリーケアをやる、地域の、あれですね、今かかりつけ医と言っていますが、この地域の医師とそれから大病院の更に高度な医療ができるところとの分化を図って、お互いが分かち合ってそれぞれの役割を果たし合うということをやれるようにするための手だてとして我々は考えているわけであって、今お話が出ているような受診時定額負担というような発想とは全く違うことで我々は提案をしているということでございますし、また、保険免責制度の話が出ましたけれども、これについては財政審が議論をしているようでありますけれども、公的医療保険でカバーする範囲を狭める考え方であって、国民皆保険の理念とか、あるいは将来にわたり、先生が先ほどおっしゃった百分の七十を維持するものとするという平成十四年の健康保険法の改正法の規定の経緯や考え方との整合性など、これは慎重に議論をしなければいけないところがあるお話が今財政審でどうも出ているようだと、こういうことだというふうに我々は理解をしております。

○小池晃君 これじゃ駄目ですよ。こんなことやってたら、どんどんどんどんやっぱり財政審で言われているようなことが実現することになる。そして、その突破口になるのが今度の法案ですから、これやっぱり廃案にするしかないということを改めて申し上げたいと思います。
終わります。

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