日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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消費税増税 中止しかない/貧困大国からの脱却を/参院予算委 小池副委員長の質問

2016年01月19日

「赤旗」2016年1月19日付

 日本共産党の小池晃副委員長は18日の参院予算委員会で、安倍政権が進める2017年4月の消費税率の10%への増税には「ひとかけらの道理もない」と三つの角度から追及するとともに、消費税増税は貧困対策にも逆行すると批判しました。


社会保障削減

増税と同時並行

写真

(写真)安倍内閣に質問する小池晃副委
員長(右端)=18日、参院予算委

小池氏はまず「経済の実態は首相のいう『好循環』とはほど遠い」と指摘。大企業が史上最高の収益をあげる一方で、多くの国民には景気回復の実感がなく、国民生活基礎調査でも「生活が苦しい」との回答が63・4%に達したとして、所得再配分の重要性を強調しました。

安倍晋三首相は「分配も極めて大切だ」と答弁。小池氏は「ならばなぜ消費税の増税なのか」と迫りました。

消費税はどんな貧困層にも容赦なく襲いかかる税です。家計と個人消費への深刻な打撃は間違いありません。

「増収分は全額社会保障の充実・安定化に充てる」と釈明する首相に小池氏は「実際には正反対のことが起こっている」と指摘し、現在の安倍政権が小泉政権を上回る社会保障削減路線を進めていることを告発しました。

具体的には、13、14、15年度と単年度で8000億円台から1兆円近くと見込まれた社会保障費の自然増(当然増)を毎年5000億円まで抑制。毎年3000億円から5000億円近くの削減をしてきたことになります。小池氏は「小泉政権の毎年2200億円を上回る削減が生活保護の改悪や介護報酬の削減などで行われた」と指摘。政府が消費税増税による社会保障充実を言いながら来年度予算でも自然増を5000億円未満に抑制しようとしていることを明らかにしました。

首相は「小泉政権のときを上回る形での適正化(=削減)等々が行われた」と認めましたが、「金額ありきではない」とものべ、抑制の金額も「目安」だと言い訳しました。

小池氏は、財務省の財政制度等審議会の建議では「目安」からの「逸脱は断じてあってはならない」とクギまで刺していると告発。「小泉政権のときは消費税増税をせずに『痛みに耐えて頑張れ』と社会保障の削減をした。安倍政権は社会保障削減を小泉政権以上に進めながら消費税の増税も同時並行でやっている。なにが社会保障のための消費税だ」と一喝しました。

「軽減税率」導入

逆進性はさらに

次に小池氏は、いわゆる「軽減税率」についてもただしました。

「軽減」といっても消費税10%への増税時に食料品などが8%に据え置かれるだけで今より軽くなるわけではありません。小池氏の確認に首相も「それはその通り」と認めざるをえませんでした。

小池氏が「一部を据え置いても大増税だ」と消費税10%への増税による負担増をただすと麻生太郎財務相は「単身所帯あたり2万2000円程度、2人以上の所帯にあたり4万1000円程度」との試算を示しました。

消費税の最大の問題は、所得が低いほど負担が重くのしかかる「逆進性」です。

小池氏は年収別の消費税負担率のパネルを示し、10%への増税でも年収1500万円では0・4%の負担率増加だが、年収200万円では負担率が約1%も増えると指摘。その層で2万円が消えるのは本当に深刻だと述べました。

小池氏が「10%に増税すれば、いくら据え置いたとしても逆進性が強まることを認めるか」とただすと麻生財務相は「計算するとそうなるのは当然のことだ」と認めました。

「所得の分配が必要なときに逆進性をさらに高める増税をやっていいのか」と迫った小池氏は、政府が、10%増税時の一部税率据え置きには約1兆円の財源が必要だとしていることの根拠を問いました。

増税時の「軽減税率の1人あたり負担軽減額は4800円」という安倍首相の試算を日本の人口1億2688万人でかけると6000億円程度にしかならないが、なぜ1兆円なのかとただすと、政府は答弁不能に陥り、審議はたびたび中断しました。

庶民には負担増

大企業に大減税

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小池氏が三つ目にあげたのが庶民増税の一方で大企業には減税の大盤振る舞いを行っている問題です。

安倍政権がこれまで実施してきた企業減税は、復興特別法人税の1年前倒し廃止や法人税率引き下げなど3兆円で、来年度以降はさらに1兆円加わります。

小池氏は、トヨタ自動車や三菱東京UFJ銀行をはじめ減税上位10社が過去3年間で莫大(ばくだい)な利益を上げる一方、労働者の賃金の伸びは微々たるものでしかないことを表すグラフ(図)を示し「こんな大企業減税をやっても、経済にも財政にも何の意味もないではないか」と迫りました。

麻生財務相は「企業の利益が出た分、内部留保が大幅に、約50兆円増えている。そういったものが賃金、配当、設備投資にもっと回されてしかるべき」だと、意味がないことを事実上認めました。

小池氏は、大企業がもうかれば庶民にも回るというアベノミクスが完全に破たんしていることを指摘し、こう力説しました。

「大企業に法人税減税をばらまく一方で消費税を増税する。社会保障のための消費税といいながら社会保障の削減を進める。所得の再配分が必要だといいながら配分にもっとも逆行する消費税増税をすすめる。ここにはひとかけらの道理もない」「来年4月の消費税10%増税は中止すべきだ。アベノミクスでさんざんもうけた富裕層、史上最大の利益を上げている大企業に応分の負担を求めるべきで、そうしなければ経済の好循環など生まれない。経済政策の根本的転換が必要だ」

女性と子どもの貧困

次世代にも連鎖

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アベノミクスの下で深刻になっているのが、貧困と格差の拡大です。日本の相対的貧困率は、全世帯で16・1%、子どもがいる世帯で16・3%(2012年)です。

小池氏は「日本は、6人に1人が貧困ラインを下回る社会になっている。貧困は“特別な人の問題”ではない。多くの国民にとって、貧困がすぐ身近にある、人ごとでない状況が生まれてきている」と強調しました。

とりわけ女性と子どもの貧困は深刻です。小池氏は「一人親家庭」の子どもの貧困率は54・6%(12年)と経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国で最悪であることを指摘し、「日本が世界有数の『貧困大国』である認識はあるか」とただしました。

安倍首相は、「『日本が貧困か』と言われれば、決してそんなことはない。国内総生産(GDP)でいえば、日本は世界でかなり裕福な水準になっている」と認めようとしません。

小池氏が「(平均より高い)貧困率になっているではないか」と迫ると、首相は「OECDの相対的貧困率の平均よりも日本の貧困率は悪い。傾向として(貧困が)進んでいるという状況はしっかりと把握している」と認めざるを得ませんでした。

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貧困世帯の子どもと一般家庭の子どもでは大学進学率にも大きな差があります。小池氏の質問に馳浩文科相は、全世帯の進学率が73・0%に対し、生活保護世帯の子どもは37・1%、児童養護施設の子どもは22・6%と大きな格差があると答弁。小池氏が「決して自助努力で解決できない問題だ」と迫ると、馳文科相は「そういう認識をもっている」と認めました。

さらに小池氏は、全日本民医連の調査をもとに佛教大学の武内一教授がまとめた結果を紹介。貧困世帯では、入院4回以上が非貧困世帯の1・7倍、経済的理由で受診を控えているのが4・4倍など、「貧困が健康にも悪影響を与えている」(小池氏)のです。

加藤勝信少子化担当相は、貧困状況にある子どもの進学率・中退率が改善した場合、64歳までの所得合計が約2・9兆円増え、政府の財政が1・1兆円改善するという推計調査を報告しました。小池氏が、「貧困対策は日本の未来を開く力を持つ課題だ」とのべると、首相も「貧困の連鎖を断ち切ることが重要だ」と認めました。

不十分すぎる対策の実態

生存権破壊の道

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小池氏は、安倍内閣の貧困対策について、解消をすすめるどころか逆行するものだと追及しました。

2016年度予算案で示した、一人親世帯の第2子、第3子の児童扶養手当増額について、あまりにも少なすぎたので引き上げは当然だと述べたうえで、受給世帯の6割が子どもが1人にもかかわらず第1子分の引き上げがないと指摘。そのうえ、8%への消費税増税時に導入した給付金は、子育て世帯対象分(1人1万円、今年度3000円)を廃止し、低所得者世帯対象分(1人1万円、今年度6000円)は半減しようとしていると批判しました。

小池氏は、子ども1人の母子世帯では、昨年度2万円あった給付金が来年度は6000円になる一方、消費税10%で1万4000円~6000円の負担増がのしかかる(年収200万円以下の場合)として、「逆に貧困を加速することになる」と述べました。

安倍首相は「支援を確かなものにしていくうえで消費税の引き上げは必要だ」と開き直る一方、「一人親世帯の半分は子どもが2~3人いる。半分は恩恵を受ける。保育料については段階的に無償化をすすめる」と言い訳しました。

これに対し、小池氏は「子ども1人の世帯はどうでもいいのか」と指摘。安倍首相が説明した「保育料の段階的無償化」は多子世帯のみで、ほとんどの自治体が実施済みであり、多子世帯ほど保育料が高くなる問題には「何の手も打っていない。実態を分かっていない」と批判しました。

さらに小池氏は、生活保護基準の連続的引き下げによって子育て世代が打撃を受けていると追及。一人親世帯への生活扶助は母1人子1人なら月4580円減、子どもが2人なら1万3140円減、3人なら月1万5960円減で、子どもが多いほど削減額・削減率が大きいと指摘。暖房費にあたる冬季加算も多子世帯ほど多く削減されており、「子どもの貧困対策をするといいながら、やっていることはアベコベ。矛盾している」と追及しました。

塩崎恭久厚労相が「低所得世帯との均衡」が必要だと弁解したのに対し、小池氏は「結局、低い方へ合わせただけだ。さらなる貧困大国の道を突き進み、憲法25条の生存権を破壊する道だ」と批判しました。

安倍首相が「財源は限られている」「自立支援が大切」と強調したのに対し、小池氏は、日本では低賃金や男女の賃金格差のため、働いている一人親世帯の方が働いてない世帯より相対的貧困率が高いのが実態だと述べ、「頑張っているのに貧困から抜け出せない人たちに抜本的な支援をすべきだ。財源は大企業減税や軍事費を見直せばある」と求めました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
総理は、アベノミクスで経済の好循環が生まれたと、第二ステージは一億総活躍社会を実現すると、この補正はそのスタートだということだと思うんです。
しかし、第一ステージでの暮らしや景気の実態というのは、これは好循環とは程遠いのではないか。国民生活基礎調査では、生活が苦しいと答えた人は六二・四%、年々悪化しています。中でも、児童がいる世帯になると六七・四%。確かに、企業は史上最高の収益を上げています。あるいは株高で巨万の富を手にした投資家もいるでしょう。
しかし、国民には景気回復の実感はほとんどないと思うんです。
総理、これに対して総理は国会で、成長の果実を分配に回すんだとおっしゃっています。ということは、つまり総理は、今の最大の課題は所得の再分配、これが重要な課題になってきているという御認識でしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 分配か成長かという、そういう議論もあるわけでございますが、まずはしっかりと成長していく、そして、企業が収益を上げていくことによって賃金を上げていくことも可能となるわけでございますし、そうした企業が払う税金をこれはしっかりと活用していくことによって再分配機能を、これを生かしていくことが大切であろうと。そして、それが可能となっていくわけでありますから、しっかりと経済を成長させ企業が収益を上げる中において、我々が行っている政労使の懇談会においてそうした認識を共有し、十七年ぶりの高い賃上げ率を、連続でこれを確保している、高い賃上げ率を確保しているということは大きな実績だろうと、こう思っております。
今後とも、成長と分配の好循環を回していきたいと思っております。

○小池晃君 ですから、企業は史上最高の収益を上げているわけで、そういう点でいえば、今の一番やっぱり大事な課題は分配という認識なんですねと聞いているんです。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは共に必要でありまして、分配も極めて大切であるということについては共産党とも認識を一致しているのではないかと思います。

○小池晃君 認識一致しているのはいいことだと思いますが、ならば何で消費税の増税なのかということなんですよ。所得税や住民税免除される方でも生活保護世帯でもワーキングプアでも消費税というのは掛かってくるわけで、まさに所得再配分に最も逆行する税制なわけですね。
ところが、一年三か月後に一〇%増税が迫っているわけであります。二年前の八%の増税は、暮らしや経済に本当に深刻な打撃になっていますよ。
これは、二〇一四年度は年間通じてマイナス成長になりました。総理はワンショットの影響だとおっしゃったけれども、一五年度の四―六もマイナスです。七―九も僅かにプラスになったけど、景気回復には程遠いわけです。とても景気回復とは言えない。八%増税がどれだけ打撃になったのかを私は真剣に見るべきだと思うんです。
中でも深刻なのは家計ですよ。消費減退の大きな原因がまさに八%増税だった、これは明らかです。この上一〇%に引き上げれば、これは僅か四年間で十三兆円、前代未聞の連続増税になるわけですね。デフレの脱却どころか、個人消費と家計に深刻な打撃を与えることは間違いないわけです。
総理、これでも増税を強行するとおっしゃるんでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この八%への三%の引上げは、確かに消費に大きな影響を与えたのは事実であります。だからこそ、私たちは一〇%への引上げを一年半延期をしたところでありまして、この間、しかし、我々はしっかりと三本の矢の政策を進めていき、しっかりと成長軌道に戻しつつあるわけでございますし、その中で賃上げも順調に行われております。今年の四月も来年の四月も賃金が引き上げられていくという状況をつくり出していく中において、大切な社会保障制度を次の世代に引き渡していくためにも消費税の引上げは必要であろうと、こう考えているところでありますし、そういう環境をつくっていく考えであります。
ちなみに、この消費税の引上げによる増収分は全額社会保障の充実、安定化に充てることとしており、特に、所得の低い方々に対しては国民健康保険料の保険料軽減の拡充等に講じているわけでございまして、来年の四月の消費税の引上げについては、繰り返しになりますが、引き上げられる環境をつくっていく考えでございます。

○小池晃君 しかし、景気指標は次々悪化していますよ、今。こんな中で増税したら本当に深刻な事態になると思います。
しかも、今、社会保障に充てる充てると言うけれども、八%に増税して社会保障良くなったという国民の実感あるでしょうか。私はほとんどないと思いますよ。これ、増税分充てると言うけれども、八%引上げの増収八・二兆円のうち社会保障の充実に充てたのは一六%です。それ以外はほかの財源を消費税に置き換えただけですから、社会保障の中身自体は変わっていないわけです。
しかも、正反対のことがこの間起こっている。
安倍政権になって三年間で社会保障の自然増が毎年五千億円まで抑制されました。これ、自然増というのは、人口が伸びる、あるいは高齢化する、医療技術が進歩する、当然、何もしなくても増える部分です。だから、当然増という言葉もあるわけです。
これが、例えば二〇一三年度は、夏の概算要求のときに八千四百億の自然増の見込みだった。一四年度は九千九百億円だった。一五年度は八千三百億円だった。これが過去三年間五千億円まで抑制されたわけですから、まさに小泉政権の毎年二千二百億円を上回るわけですよ。生活保護の改悪あるいは介護報酬の削減、そういったことが行われたわけであります。そして、来年度もやはり五千億円にするという。
私、総理に率直に伺いたいのは、安倍政権がこの間やってきた社会保障の抑制、自然増の抑制は、これは数字で見れば、これは小泉政権時代を上回る規模でやってこられたということは事実としてお認めになりますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 結果としては、言わばそれを上回る形の適正化等々が行われたと、こう思っておりますが、小泉政権のときのアプローチと違うのは、最初に金額ありきではなくて、目安としては金額は置いておりますが、言わば各制度の適切化、適正化を図っていく、集約化を図っていくことによって、結果としてそういう数字になっているということでございます。

○小池晃君 でも、結果として抑制したことは認めた。
しかも、目安目安と言うけれども、財政審の建議で何と書いてあるかというと、目安から逸脱することは断じてあってはならない、三年間の目安であるからといって、歳出の伸びの抑制を先送りすることがあってはならない、最大級の表現で、これは目安という表現を事実上骨抜きにしたんですよ。これが実態だと。
小泉政権のときは、消費税増税せずに痛みに耐えて頑張れと言って社会保障の削減をやった。ところが、安倍政権は、社会保障の削減は小泉政権以上に進めながら、消費税の増税も同時並行でやると。何が社会保障のための消費税だということになるんじゃないですか、これでは。
それから、軽減税率なるものについても聞きたいんですが、軽減と言うけれど、これ、総理、聞きますが、軽減と言うけれど税率下がるわけじゃないですよ。今より軽くなるわけじゃないですよね。これ、お認めになりますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この軽減税率というのは、フルに掛かっている税率に比べて安い税率があるという、制度としてのこれは表現でございまして、しかし、一〇%になるものに対しましては、一〇%に上がらずに八%のまま、一〇%に比べれば当然これは軽減ということであろうと思います。

○小池晃君 いや、ごまかしちゃいけない。今より上がらない、今よりも軽減されるわけじゃないですよねと私聞いているんです。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) それはそのとおりでございますが、一〇%に比べれば二%軽減しているという意味で使わさせていただいているところでございます。

○小池晃君 だから、これ軽減じゃないんですよ、今より軽くなるわけじゃないんだから。据置税率なんですよ、あえて言えば据置税率だと。
自公両党は、食料品、新聞の税率を八%に据え置く、これで一致したわけですが、この税率、据え置いたとしても大増税ですよ。
財務大臣に聞きます。
酒類、外食を除く飲食料品及び新聞の税率を八%に据え置いた場合でも一〇%増税でどれだけの負担増になるのか、単身世帯とそれから二人以上世帯のそれぞれ平均で示してください。

○国務大臣(麻生太郎君) お待たせしました。済みません。
酒類及び外食を除く飲食料品及び一定の新聞の定期購読料を軽減税率の対象として、いわゆる標準税率を一〇%に引き上げることとしておりますが、今御質問の内容は、消費税負担の増加額を一定の仮定の下で機械的に試算をいたしますと、単身世帯当たり二万二千円程度、二人以上の世帯当たり四万一千円程度となるという計算ができております。

○小池晃君 お聞きになったように、二人以上世帯は平均で四万円超える、単身世帯は一人だけで二万一千円超える、大変な負担増なわけです。改めて家計への大打撃になるということですね。これ、軽減なるものをやってもこうなるわけですよ。
今、グラフをお示ししておりますが、(資料提示)消費税のやっぱり最大の問題点は逆進性です。
所得が低いほど重くのしかかってくるという問題です。年収二百万円以下の場合、これは消費税の負担率、家計に占める、年収に占める割合はこの増税によって一%程度増えます。それに対して、年収千五百万円では〇・四%の増加です。一%と言うけれども、年収二百万円で二万円収入が消えるというのは、これ、本当に深刻だと思いますよ。
一〇%に増税すれば、財務大臣、幾ら据え置いたとしても、八%のときよりもこのように逆進性が強まるということをお認めになりますね。

○国務大臣(麻生太郎君) 単純に計算すると、そうなるのは当然のことだと存じます。

○小池晃君 当然と平然と認めてもらっては困るんですよ。そういうことをやるんですかということですよ、これ。所得の分配が必要だというときに逆進性更に高める、そんな増税をやっていいのかということなんですよ。
財務大臣にちょっと聞きたいんですが、食料品、新聞の税率を八%に据え置くために必要になる財源は一兆円、一兆円というふうにこの間議論になりました。この一兆円の根拠をお示しいただきたい。通告してあります。

○国務大臣(麻生太郎君) 軽減税率導入によるいわゆる減収見込額につきましては、税率一%当たり消費税額二・一兆円、これは、国などにおけます負担する消費税額や住宅取得に係る消費税額を除いたものでありまして、家計消費に消費するものだけなんですが、家計調査における軽減税率の対象品目の消費額の割合二四%を掛けまして、これに軽減税率幅二%を掛けることなどにより一兆円程度ということを見込んでおるところであります。

○小池晃君 一兆円だと。
一方、総理は衆議院の予算委員会で、食料品を軽減税率の対象とした場合の二人以上世帯の一人当たりの負担軽減額が年間四千三百円程度というふうにお答えになっています。総理の答弁なので総理にお答えいただきたいんですけど、これに新聞加えて単身世帯も含めた場合の全世帯ではどうなるんでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 酒類及び外食を除く飲食料品及び一定の新聞の定期購読料を軽減税率の適用対象とした場合の総世帯の一人当たりの負担軽減額については、一定の仮定の下、機械的に試算すれば四千八百円程度となるものと見込まれております。

○小池晃君 四千八百円程度だと。
今の日本の人口というのは一億二千六百八十八万人なんですよ。これ、四千八百円ということにすると、単純計算でこれ掛けると六千億円ちょっとになるんですね、六千百億円ぐらいかな。一方で、一兆円というわけですよ。これ、どうしてなんですか。この一兆円と六千億円の差額は一体どこに行くんですか。

○委員長(岸宏一君) ちょっと待ってくださいね。

○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のとおり、今の話で、ちょっとにわか勉強で誠に恐縮ですが、これは、全体で取っている数字と家計調査に基づいて足してきた数字との差が多分これに出てきているのではないかと想像されます。

○小池晃君 そんな説明通用しないでしょう。だって、九千億円と一兆円とか、九千八百億円と一兆円というのなら分かりますよ。六千億円と一兆円ですよ。全然違うじゃないですか。
大体、家計調査、確かに家計調査で把握できないものはありますよ。ただ、食料品というのは一番把握しやすいんですよ。高額の消費であれば、それは把握できない部分はあるかもしれない。それがこれだけ乖離がある。これは全く説明になっていない。これでは駄目です。これ、納得のいく答弁してください。

○委員長(岸宏一君) じゃ、どうですか。ちょっと、じゃ、宿題にして。

○小池晃君 いや、駄目ですよ。

○委員長(岸宏一君) じゃ、ちょっと待って、ちょっと待ってください。
これ時間にカウントになっていないから、ゆっくり待ってください。
じゃ、一応、速記を止めて。
〔速記中止〕

○委員長(岸宏一君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(麻生太郎君) 大変お待たせしました。
基本的に、先ほど申し上げましたように、家計調査というものを我々はいろいろな方にお願いをして出してもらっているわけですが、その出している方々が書いていただいているやつを我々は基にして、先ほど申し上げたことになりますけど、実際全部書いていられるかというと、なかなかそんなことは書いていられませんよ、調査してみたら分かりますから。当然でしょう、だって、書いていない部分は意図的に書いていないとかいうのではなくて、全体としては非常にもっと大きなものになりますので、そうなりますと、その全体の、税収入全体でいきますと、その差が出てきているのは当然なんだと思いますが。

○小池晃君 今の説明だったら、家計調査って全く信用できない調査だということになりますよ。だって、六千億円と一兆円の違いですよ。僅かな誤差じゃないじゃないですか。これは駄目ですよ。
だったら、さっきの、例えば大臣は一世帯当たりの負担増の数字も出したけれども、あれも全部でたらめだということになりますよ。こんなのじゃ議論できないですよ。ちゃんとした正確な数字出してください。やっぱりこれが、六千億円、この家計調査の方が間違っているんだとすれば、これは今までの議論が全部間違っているということになりますよ。
それから、もしかして軽減税率一兆円だというのが過大な数字だとすれば、これは、今まで衆議院では全部一兆円の軽減税率だと、財源どうするんだという議論をしてきたのが全部駄目になりますよ。全部議論やり直しですよ、これ。はっきりさせてください。こんなのじゃ駄目です、政府の統一見解を出してもらわないと。
今の説明では、家計調査がちゃんと把握できないからそれでは合わないなんという、そんな説明では全くこれは誰も納得できないですよ、これはどう考えたって。多少の誤差ならともかく、これは国民、テレビを御覧の皆さんだってこれはやっぱり納得できないと思いますよ。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま財務大臣から答弁したとおりでありまして、家計調査の場合は、家庭にお願いをして言わば家計簿を付けていただいて、それをサンプルとして我々が集めたものを、そしてそれを、例えば言わば全ての世帯がこのとおりという、そういう計算をするわけでございますが、我々が一兆円とお示しをしているのは、まさにこれはマクロの数字として、実際に言わば今まで八%の既に消費税を掛けているわけでございますが、そのベースとなったものに一〇%を掛ければ当然この一兆円が出てくると、こういうことでございますから、当然、今までの既に実績ベースで出されてきたマクロの数字としては正しいものが一兆円であると、こういうことでございまして、家計調査についてこれ割り返してみたらどうなんだという質問を民主党からいただいたものでありますから、そこで、新聞を除いたものとして四千三百円かな、というものを出したわけでございまして、通常、そこから、では税収がどれぐらい減るかということをこれは計算するものではないわけであります。
それはなぜかといえば、これはそれぞれの家庭に家計簿を付けていただいている、これは全部の家庭ではなくて幾つかにサンプルをお願いをしていると、こういうことでございますから、そもそもこの家計調査とこういうマクロの数字を取るという、これは趣旨がそもそも違う、性質が違うということに起因するものでございます。(拍手)

○小池晃君 あのね、拍手するところじゃないですよ。政府の統計がでたらめだという答弁なんですよ。そういうことじゃないですか。家計調査が全く反映していないということじゃないですか。
大体、それだとすれば、これだけの誤差が起こるということは納得できないですよ。だって、家計調査は確かに全世帯調査じゃないから、車を買った世帯とそうでない世帯と、差は出ますよ。ただ、食料品というのはどんな家庭だって買うんですよ。一番誤差が少ない部分なんですよ、家計調査の中でね。一番実態把握しやすい部分でしょう、食料品というのは。それがこれだけ違うというのは、これは全く、だって説明になっていないでしょう。これじゃ説明になっていないです。

○国務大臣(麻生太郎君) 重ねて申し上げるようで恐縮ですが、少なくとも、小池先生のおっしゃるように、間違いなく家計調査というものはきちんとしたお願いをさせていただいた方々のところですから、サンプル量は当然小さくなるのは当たり前の話なんであって、そのものに対して我々は、その比率から計算して、税収全体から見てこういった比率だと、それを掛け合わせますので、そちらの側の方の全体、税収全体から見たら一兆円になるという話を申し上げているのであって、決して私どもは、サンプルを基にしてそういう比率を割り出しておりますから、そういった意味では決して間違っていないと思いますが。
(発言する者あり)

○委員長(岸宏一君) 速記を止めて。
〔速記中止〕

○委員長(岸宏一君) 速記を起こしてください。
じゃ、麻生財務大臣。

○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のことに関しまして、明確な答弁が今は数字の上でできませんので、後刻資料をもって提出させていただきます。

○委員長(岸宏一君) ただいまの件につきましては、これまでの答弁を精査の上、後刻政府から統一した見解を文書で提出し、答弁するようお願いしたいと思います。よろしいですか。

○小池晃君 いや、後刻じゃ、後刻じゃ駄目。後刻、いつまでですか。あしたの委員会が始まる前までに出してください。

○委員長(岸宏一君) ちょっと、じゃ、速記を止めて。
〔速記中止〕

○委員長(岸宏一君) 速記を起こしてください。麻生財務大臣、どうぞ。

○国務大臣(麻生太郎君) あしたの午前中、始まるまでに。

○委員長(岸宏一君) よろしいですか。それでは、そのようにいたしましょう。

○小池晃君 これ、いずれにしても、今までの衆参両院での説明、全部間違っていたことになるんですよ。(発言する者あり)そうですよ。だって、家計調査に基づいて答弁しているんだから。だから、全部それ違っていたわけですよ。家計調査、把握できていなかったというんだから。これは重大ですよ。本当は、臨時国会やればこんなことにならないんですよ。これ、自民党と公明党だけでやるからこういうずさんなことになるんだよ、国会でちゃんと議論しないから。
一方で、消費税増税の一方で法人税の減税、これも本当に納得いきません。法人税の減税によって、総理は、賃金に還元し、消費が増えて、さらに、企業の収益が上がっていくといういい循環に入ることが日本全体のためだと言ってきた。安倍政権がこれまで実施してきた企業減税は、復興特別法人税の一年前倒し廃止、法人税率引下げなど平年度ベースでは三兆円、来年度以降はこれに一兆円が加わるわけですね。これにどれだけの効果をもたらしたのか調べてみました。
これ、各企業の有価証券報告書を取り寄せて、上位減税十社、増税分はちゃんと差し引いて、増減税差引きで、上位十社調べてみました。ベストテンの詳しい資料は配付資料の中にあります。一位はトヨタ、トヨタ自動車、二位は三菱東京UFJ銀行、三位はNTTドコモ、三井住友銀行、KDDI、みずほ銀行、国際石油開発帝石、JR東海、富士重工業、第一生命保険と続くわけですね。
グラフにしてみましたが、この十社足し合わせると、過去二年の税引き前利益は二兆三千億円増えています。安倍政権の下で行われた増減税差引きで三千億円超える減税になり、さらにこれから一千五百億円の減税をやろうとしている。ところが、賃金は九百億円しか増えていません。一方で、配当は一兆円を超える増加なんですね。これ大半は海外投資家の懐に消えていますよ。
私、これ、総理、大企業憎しということで言っているんじゃないんです。こんな形での減税やって何の意味があるんですかと。経済にも財政にも何の意味もないじゃないですか、これ。どうですか、この減税。いかがですか、総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この法人税の減税につきましては、これはまさに日本の企業の競争力を高めていくということもあるわけでございます。同時に、我々は、減税を行うことによって、通常であれば政府が企業に対して賃金を引き上げろということは今まで自由主義経済の中ではなかったのでございますが、デフレから脱却をしていく上において、政府は政府としての努力をしていく上において、企業もしっかりと努力していただきたいと、こうお願いをしたわけでございまして、政府の努力としては、ビジネス環境を良くしていく、競争力を引き上げていく上において法人税の減税を行ったところでございますが、これがやはり一つの例、後押しをしていく、企業の背中を強く押していく効果はあったのではないかと、こう思うわけでございます。
その結果、十七年ぶりの高い賃上げ率が実現をしているわけでございますし、そして、それはまた設備投資へも回っていくということについては、結果としてそれはさらに更なる成長に結び付き、経済の好循環につながっていくと、こう考えております。

○国務大臣(麻生太郎君) 補足を申し上げるようで恐縮ですが、二〇一四年のあの税制改正のときは、あれは復興法人特別税の廃止であって、あれは当初の予定を一年間前倒ししたものなのであって、恒久的な減税として扱うのは少々おかしいんじゃないんですかね。
二〇一五年、一六年度の設定に関しては、税率引下げが、これ課税ベースの拡大とセットになっていますから、そういったもので行われておりますので、試算ではその点が十分に勘案されていないんじゃないのかなという感じがしておりますのと、いわゆる外形標準課税の拡大については勘案されているような計算になっていますけれども、国の法人税課税ベースの拡大の影響については忘れられていると思っているのが二点目。
税制改正につきまして言わせていただければ、二〇一六年度までのカウントしておられますけれども、賃金の増加は二〇一四年までしか勘案されていないんじゃないですかね、これは。そういった意味では、細目にわたって言わせていただくといろいろ言わせていただきたいことはいっぱいあろうと思いますが、いずれにいたしましても、こういったものは慎重に考えねばならぬことだと思いますが。
私どもがずっと申し上げておりますのは、企業の利益が出た分に関しましては、内部留保がかなりな、大幅に増えておるという状態を考えた場合に、その内部留保が二十四兆の二十六兆、約四十九兆九千億、約五十兆増えておりますので、そういったものを、少なくとも賃金、配当、設備投資にもっと回されてしかるべき、これはずっと申し上げてきておりますが、その点は事実だと思います。

○小池晃君 いろいろごちゃごちゃ言ったけれども、これ回っていないということは認めるわけですよ、事実としてね。それから、これまでの減税分にも達していないじゃないですか、賃金、これから上がるかもしれないとおっしゃったけど。その今までの賃金増加分、これまでの減税分の半分以下しかないじゃないですかと言っているんですよ。これが実態でしょうと、どれだけの効果があったんだと。
だから、大企業には法人税減税ばらまく一方で消費税を増税する。社会保障のための消費税の増税だと言いながら、社会保障の削減を進める。所得の再配分が必要なときだと言いながら、配分に最も逆行する増税をする。私、これ一かけらの道理もないというふうに思います。
来年四月の一〇%増税は中止をすべきだと。増税するなら消費税ではない、アベノミクスでさんざんもうけた富裕層ではないかと。史上最高の利益を上げている企業に応分の負担を求めることではないか、大企業減税を中止することこそ必要なんじゃないかと。そうしなければ経済の好循環なんて生まれないですよ。国民の暮らしが良くなければ経済の好循環なんて生まれないんですよ。根本的に転換するということは必要だということを申し上げたいと思います。さらに、貧困の問題を取り上げます。
政府の統計でも相対的貧困率が上昇を続けているわけですね。OECDや厚生労働省の相対的貧困の定義及び貧困ラインと、相対的貧困率について全体及び子供の数字を示してください。

○国務大臣(塩崎恭久君) OECDの定義がございまして、相対的貧困率とは、いわゆる等価可処分所得の中央値、すなわち一人一人の可処分所得を一定の計算式で算定をいたしまして、全ての人を低い順から並べて、その場合の真ん中の人の所得額の半分の額、これが貧困ライン、貧困線として、それに満たない方々の人数の割合を相対的貧困率と呼んでいます。
国民生活基礎調査によりますと、これは平成二十四年の調査ですが、相対的貧困率平成二十四年は一六・一%、子供の貧困率は一六・三%で、貧困線は百二十二万円となっております。そこまででよろしいですか。

○小池晃君 六人に一人が貧困ラインを下回る社会に日本はなっているんですね。特別な人の問題でないわけです。多くの国民にとって貧困がすぐ身近にある、人ごとでない、そういう状況が生まれてきているわけですよ。
新聞や雑誌で貧困特集なされて、下流老人、貧困女子、漂流青年、困窮中年、あらゆる年代、階層が貧困に陥ってしまう危険と隣り合わせの暮らしになっている、これが実態だと。とりわけ女性と子供の貧困が深刻なんですね。昨年暮れの朝日新聞でシングルマザーの記事で、食べ物がなくて幼い姉妹がティッシュを口にして、ティッシュって甘いのもあるんだよと。本当に切ない記事でした。
今お示しした世界の統計を見ると、子供の貧困率は日本は世界一です。OECD加盟三十四か国で最悪です。OECDのホームページを見ると日本だけグラフに入っていないんです。五〇%が上限だから、欄外になっちゃっているんですよ。
総理、日本が世界有数の貧困大国になったという認識はありますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) このOECDの比較でございますが、厚労省の数字と総務省の数字はそれぞれ少し違うわけでございまして、厚労省の数字ではOECDの平均よりも子供の貧困率は低いわけで、低いというのは以下になっているわけでございますが、総務省の数字はまた別であろうと思います。
いずれにいたしましても、大切なことは、しっかりと経済を成長させていくことと、子供たちが家の経済状況に左右されないで幸せな生活を送れる、そしてまたしっかりと学ぶことができるという環境を整えていくことではないか、また再分配の機能をしっかりと発揮していくことも大切ではないかと考えております。

○小池晃君 いや、厚労省の数字というのがOECDの平均以下なんて、違うでしょう、今の。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、以下と言ったのは、これ低いという、全体よりも、言わば以下というのは高いという、貧困率が高くないという意味で、貧困率が高いということにおいては厚労省の数字が高くて経産省の数字が低いと、こういうことでございます。(発言する者あり)総務省の数字が低いということであります。

○小池晃君 何か混乱しているようですけれども、役所によって数字が違うというのはおかしな話だと思いますが、OECD、厚労省がこの問題は基本なんだから、それはOECD平均より悪いのは明らかなんですよ。
総理、私の質問に答えていないんです。日本は世界有数の貧困大国だという認識があるかと聞いているんです。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この子供の貧困率ということについていえば、言わばこれは、先ほど申し上げましたように、どういう基準で計算をしているかということについては厚労大臣がお示しをさせていただいたわけでありますが、小池委員が、では日本が貧困かといえば、それは決してそんなことはないわけでありまして、言わば国民所得、そしてまたあるいは総生産を一人で割っていく一人当たりのGDP等でいえば、もちろん日本は世界の標準で見てかなりこれは裕福な国になると、こういうことではないかと思います。

○小池晃君 日本が貧困かどうかなんというそんなばくっとした話じゃない。貧困率、相対的貧困率というのは世界の標準の数字なんですから、それで見れば日本は世界有数の貧困大国になっているでしょうと、そういう認識から出発しなくちゃいけないじゃないですか。総理、その認識聞いているんです。

○国務大臣(塩崎恭久君) 小池先生が御指摘のように、OECDのこの相対的貧困率の国際比較を見てみても、確かに順番はこれ日本はかなり低い方であることは間違いない。今日お配りをいただいている子供の貧困率も、大人一人、一人親家庭ですね、この子供がいる場合の数字も一番高いという数字を配っていただいていますが、今総理から申し上げたのは、総務省とそれから、これ家計調査とデータが取っているものが違うということでレベルが違うけれども、方向としてはいずれも高まってきているということは間違いないところでございます。
ただ、相対的貧困率というのは、先生も御案内のように、例えば現物給付は全くカウントしない、所得だけで見ると、さっき私から定義を御説明申し上げたとおりでありまして、そういうこともありますので、様々な指標を併せ見ていかなければいけないけれども、OECDが指摘しているように、貧困率について、相対的貧困率については確かに日本はレベルとしてもかなり高いし、なおかつ方向としても増えてきているということでありますから、それぞれの対策を打っているわけで、年末にも一人親等の対策としてパッケージを出させていただいて、今回の補正予算、そして二十八年度予算にも様々入れさせていただいているということで、基本的な認識はそういうことでございます。

○小池晃君 総理も同じ認識でよろしいですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この厚労省のお示しをしている相対的貧困率においてはOECDの平均よりも低いというのは、言わば悪いという意味で使ったわけでございますが、総務省では、これはOECDの平均よりはいい数字が出ているわけでありますが、いずれにいたしましても、しかし、我々としては、傾向としては、これは安倍政権の成立をする前の、最新のものは二〇一二年であろうと、こう思うわけでありますが、傾向としてはそれが進んでいるという状況はしっかりと把握をしておりますので、今般も一人親世帯あるいは多子世帯を支援すること等に七千億円、補正予算そして来年度予算に計上しているところでございます。

○小池晃君 どの政権がというような小さい話じゃないんですよ。やっぱり大きな流れとして貧困大国になっている、そこから出発して政策立てないといけないんじゃないか。
文部科学大臣に聞きます。
子供の貧困が次の世代に連鎖していくという問題があります。進学率への影響あるいは学力への影響、いろんな調査があると思います。お答えいただきたい。

○国務大臣(馳浩君) お答えいたします。
家庭の経済状況と学力の関係については、全国学力・学習状況調査に基づく調査研究によりますと、家庭所得や保護者の学歴に基づき設定した指標である家庭の社会経済的背景が高い児童生徒の方が各教科の平均正答率が高い傾向が見られること、社会経済的背景にかかわらず、平日の学習時間が長い児童生徒の方が各教科の平均正答率が高い傾向が見られ、学習時間の長さが不利な環境を克服する手段の一つとして考えられることなどが示されていると承知をいたしております。
また、家庭の経済状況と大学進学率の関係については、全世帯の子供の現役大学等進学率が七三・〇%であるのに対し、生活保護世帯の子供は三一・七%、児童養護施設の子供の高校卒業後の進学率が二二・六%であるなど、家庭の経済状況によって大学等の進学率に差があるものと承知をいたしております。

○小池晃君 深刻な実態だと思うんですよ。
それから、先ほど前半で述べたことで、これ、社会経済的背景の高い子供が全く学習しなかったときの正答率と社会経済的背景の低い子供が三時間以上学習した場合の正答率を比べると、低い子供の三時間以上勉強した子の方が正答率が低いという、そういう数字もあるわけですね。決して自助努力だけで解決できない問題じゃないか、そういう認識はありますか。

○国務大臣(馳浩君) そういう認識は持っております。

○小池晃君 これは本当に重大な問題だと私は思うんです、これは。
それから、健康に対する影響も紹介したいんですが、これ全日本民医連に加盟している十一医療機関で、二〇一四年度に入院した小児のうち協力が得られた七百二十七件、相対的貧困家庭とそうでない家庭比べて仏教大学の武内一教授がまとめた調査です。これ見ますと、入院四回以上が貧困世帯では一・七倍、経済的な理由で受診を控えている方は四・四倍、気管支ぜんそく基礎疾患している方は一・九倍、ぜんそく発作による入院は約二倍、それからインフルエンザワクチンを接種していない比率は三倍以上と、健康にも影響を与えているということであります。
少子化担当大臣にお聞きしますが、こうした子供の貧困状態を改善することによってどのような経済、財政への効果があるのかという調査あると思いますが、分かりやすくお示しいただきたい。

○国務大臣(加藤勝信君) 政府において特にあるわけではありませんけれども、直近では昨年十二月に日本財団等が公表された資料がございます。
それによりますと、子供の貧困対策を講じることによって、現在十五歳の子供のうち貧困状況にある子供約十八万人において進学率、中退率、これが改善した場合には、六十四歳までの間で生涯所得の合計額が約二・九兆円増加、また、それに伴い税、社会保障の納付が増加することなどから、政府の財政が一・一兆円改善するという研究がございます。

○小池晃君 これは非常に大事だと思うんですね。
これは、貧困世帯を一人親とか生活保護世帯だけに限定しているという問題点、この調査はあるんですけれども、これは大事な調査だと私は思う。
現在十五歳の子供だけですから、これは一定の年代でやればもっと大きな効果が出てくるわけですよ。
改めて総理にお聞きしますが、素直にお答えいただきたいんだけれども、やっぱりこれは、貧困というのは本当に日本の政治にとって重大な課題だし、これを放置することは日本社会にとって重大な損失だし、これを本気で解決することは、日本の未来を切り開く力を持っていると、そういう課題であるという認識を総理はお持ちでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この点につきましては、小池委員が御指摘されたように、未来の担い手となる子供たちの貧困の連鎖を断ち切っていくことが極めて重要であろうと、こう思います。
政府は、二〇一四年八月に子供の貧困対策に関する大綱を初めて定めまして、対策を総合的に推進することとしました。昨年十一月には、一億総活躍国民会議で取りまとめた緊急対策において子供の貧困対策を大きく取り上げたわけでありまして、昨年の十二月に決定したひとり親家庭・多子世帯等自立支援プロジェクトでは、第二子以降への児童扶養手当の加算額の倍増、奨学金の充実など、大綱に盛り込まれた施策を大幅に拡充することとし、今般の補正予算と来年度予算に盛り込んだわけでありまして、今後ともこうした取組を通じて子供の貧困対策に力を入れていきたい、政府を挙げて全力で取り組んでいく考えであります。

○小池晃君 いろいろやっておられることは承知をしているわけですよ。しかし、じゃ、何で消費税をこういうとき増税するんですかという話にまたなってくるわけですね。
八%に増税したときに、政府は、その影響緩和のためだといって、これ、一回限りではありますけど、低所得世帯には臨時福祉給付金、子育て世帯には子育て世帯臨時特例給付金、これ出した。なぜかといえば、子育て世帯に消費税増税というのは非常に打撃になるからやったわけでしょう。
極めて不十分ではあったけれども、その対策取ったわけでしょう。にもかかわらず、一〇%増税すると。
総理、やっぱり、今、政府を挙げて子供の貧困対策やろうというときに、私はこれほどの逆行はないんじゃないかと思いますよ。いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この一〇%への引上げは、子育て支援を進めていく、今、小池委員が御指摘をされ、私が答弁をさせていただきましたように、言わば貧困家庭への支援も含めているわけでありますが、そうした子育て支援をしっかりと充実をしていく、そしてまた、高齢者の福祉の支援、社会保障の充実のために、言わば一〇%の引上げ分は全てこれは振り向けていくわけでございます。
そうした意味におきましても、この社会保障を充実をしていく、社会保障制度を次の世代に引き渡していくためにも一〇%への引上げは必要であると、こう考えております。

○小池晃君 社会保障の充実とまた言うんですけれども、じゃ、具体的に聞きますよ。
児童扶養手当を拡充すると先ほど前段で御説明がありました。確かに、第二子の加算額を現在の五千円から一万円に、第三子以降を三千円から六千円に引き上げると。これ、第三子は二十二年ぶり、第二子は実に三十六年ぶりの引上げになると。二子、三子の加算引上げというのは、これは関係団体も強く求めてきたことです。月三千円、月五千円というのはもう余りにも少な過ぎたわけで、これ引上げは当然だと思いますが、第一子分には引上げ、ないわけですね。
厚労省に聞きますが、一人親家庭のうち、お子さんが一人の比率、どれだけですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 平成二十三年度の全国母子世帯等調査によりますと、一人親家庭のうちで子供が一人の家庭の比率は五四・七%となっております。

○小池晃君 ちょっと直近の数字は違うんですけれども、まあ五割、六割、六割近いという数字を言っていたわけですね。これは引上げ対象にならないわけです。
先ほど指摘した給付金はその後どうなったのか。
臨時福祉給付金は、昨年度は一人一万円、今年度は六千円が支給されました。また、子育て世帯臨時特例給付金は、昨年度は子供一人一万円、今年度は三千円でした。ところが、来年度は、臨時福祉給付金が半減の三千円になる、子育て世帯臨時特例給付金は廃止だと。
これは、子供一人の母子世帯で見ると、昨年度は二つの給付金の併給はなかったが、二万円もらえました。今年度は一万五千円でした。これが来年度は六千円になるわけです。そこに消費税の増税が加わってくるわけですね。この母子世帯の年収が二百万円以下であれば、消費税が八%から一〇%に引き上げられた負担増が一万四千円から六千円だと。児童扶養手当の引上げは全く関係ないわけですよ。
総理、こういうことで貧困の解消できますか。
貧困の解消どころか、逆にこれで消費税増税加われば、給付金もなくなって、児童扶養手当のかさ上げもなくて、貧困加速することになりませんか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の七千億円につきましては、これは補正予算と本予算を合わせたものでございますが、これは、保育の受皿の量の拡大あるいは保育士の人材確保等々を行っていくわけでございますし、また一人親家庭につきまして、また多子世帯への支援につきまして先ほど申し上げたとおりでございますし、また幼児教育の無償化の段階的拡充も行っていくわけでありまして、プラス三百八十億円程度を行うところでございます。
児童扶養手当の多子加算の倍増につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、今後とも多子世帯あるいは一人親家庭への支援を進めていきたいと、こう思っております。そして、それとともに、先ほど申し上げましたように、こうした支援を確かなものとしていく上においても消費税の引上げは必要であると考えております。

○小池晃君 私が聞いたことに答えていないでしょう。
これ、一人親家庭の場合は、今回の措置で何のいいこともないじゃないですかと、一人親家庭、子供一人であれば。これ、給付金はどんどん減っちゃう、加算もない、消費税だけのしかかる。こういうことで子育て支援、子供の貧困解決になるんですかと私は聞いたんです。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) しかし、一人親家庭において子供が一人の家庭の比率は先ほど厚労大臣が答弁をいたしましたように五割ということでございますから、あとの五割の方々は二人、三人と子を持っておられるわけでございますから、一人親家庭全てがこれは恩恵を被らないということではないんだろうと。半分はこれはそうであるわけでございますし、また一人親であるか否かにかかわらず、これ幼児教育の無償化を進めていくわけでございますから、そうした恩恵はしっかりとあるんだろうと、こう思っているわけでございます。
そしてまた、所得の低い方々は、所得と今回の軽減税率によって恩恵を被る比率はこれは高まっていくと、このように、所得の低い方よりも、消費に占めるこれ食料品の比率は高いわけでございますので、そうしたものもしっかりと対応していると、こういうことでございます。

○小池晃君 私、説明になっていないと思うし、幼児教育無償化というけれども、二子、三子でしょう。二子、三子は市町村がほとんど無償化を今やっているんですよ。しかも、問題になっているのは、今、税制の見直しによって保育料がどんどん上がっているんですよ。それに対して何の手も打っていないじゃないですか。私は、今の話は本当に実態が分かっていないというふうに思います。
しかも、子供が多ければというふうに、半分はもうどうでもいいという今の答弁ですよ。子供一人だったら別にそれはどうでもいいという話になりますよ。
しかも、子供が多ければ多いほどどうなるかと。
生活保護で何が起こっているかというと、この間、生活扶助基準の適正化によって、過去三年間連続的な引下げによって、このパネルにあるように、生活扶助基準は、一人親家庭の場合、母一人子一人だと月四千五百八十円の削減、二人だと一万三千百四十円、三人だと一万五千九百六十円、削減比率も増えているんです。さらに、今、冬季加算の削減ということも行われていて、寒空の下、大変なことが起こっていて、これも子供の数が増えれば増えるほど削減額増えていくわけですよ。
これやっぱり、子供の貧困問題対策をするんだと言いながら、子供の多い家庭には手厚くやるんだと言いながら、全くやっていることがあべこべじゃないですか。これ、矛盾していませんか。

○国務大臣(塩崎恭久君) まず、生活保護でございますが、先生には釈迦に説法ではありますけれども、国民のテレビを見ていらっしゃる方に向かって少しお話をしたいと思いますが。
元々、これは憲法第二十五条で全ての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると、この権利に基づいて生活保護法が定められておりまして、「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」と、これが生活保護の一番の基本でございます。
今、生活扶助基準それから冬季加算の見直しについて御指摘がございましたけれども、それらにつきましては、低所得世帯の消費実態、つまり特に低所得の方々で、一番近いところは第一・十分位と呼ばれているところでありまして、この方々の消費実態と物価の動向を勘案して見直しを行っていると。
それから、世帯人員、人数別の消費実態を勘案をして必要な適正化を今回この二つの問題については図っているものでありまして、生活保護を受給していない低所得世帯との均衡の取れた最低限度の生活を保障するという、今申し上げた生活保護の制度の趣旨に沿った見直しをしているということでありますけれども、同時に、この見直しに当たっては、当然のことながらやっぱり一定程度の配慮はしないといけないということで、改定幅は一〇%以内という限度を設けているということ、それから、三年間掛けて段階的に見直しを行うということで、生活保護受給者への影響を緩和をするという配慮をして、これがちょうど二十七年度が三年目の年に当たっているということでございます。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま厚労大臣が答弁したとおりでございますが、一人親世帯で子供一人についての比率が五割あるじゃないかと、こういう御指摘でございましたが、同時に、子供の人数が多いほど就労収入が一人親世帯では少なくなり、かつ、当然、子供が多いわけでありますから、支出は多くなるわけであります。
その中で、限られた財源の中でそれをどのように振り向けていくかということでございまして、経済的に厳しい家庭に振り向ける方策として、第二子、第三子にこれは多子加算をしているということでございまして、第一子四万二千円でありますが、第二子は言わば五千円、そして三千円ということでございましたから、第二子、第三子が生まれた場合は、この第二子、第三子に対しましては、今申し上げましたように、これは所得によってちょっとこれ変わりますが、基本的モデル世帯では倍増していくということにしたわけでございます。
さらに、先ほど厚労大臣が答弁をいたしましたように、大切なことは、一人親世帯において自立を支援をしていくことも極めて重要であろうと、こう思います。そのために、一人親の就職に有利な資格取得支援あるいは保育所利用の負担軽減など、総合的な支援を実施しております。

○小池晃君 自立支援、自立支援って言うんですよ。しかし、日本の母子世帯の就業率は世界有数の高さなんですよ。そして、相対的貧困率を比べると、働いている一人親家庭の貧困率と働いていない一人親家庭の貧困率を比べると、働いている家庭の方が高いんですよ、貧困率が。こんな国は世界で日本だけなんです。大体、ヨーロッパは働けば貧困率は改善するんです。
今の低賃金、男女間の賃金格差、これがあるわけですよ。就労によって自立するという母子支援策の誤りを認めるべきだと私は思う。そんなことを強調していったら、もうますます子供と触れ合う時間もなくなっていく、非常に深刻な事態になるわけです。頑張っているにもかかわらず貧困から抜け出せない、そういう人たちに対して抜本的な支援をやるべきなんですよ。
財源がない、財源がないと言うけれども、じゃ、あの大企業に対する減税はどうなんですか。あるいは、軍事費、五兆円超えたじゃないですか。そういったところに見直す余地はないのか。私は、日本の未来ということを考えるのであれば、本気でやっぱりこういうことに取り組むことが今求められているというふうに申し上げたいと思うんです。
生活保護の問題もありましたけれども、実態に合わせるということでしょう、結局。低い方に合わせるということでしょう。こんなことばっかりやっていたら、まさに日本は貧困大国の道を突き進むことになりますよ。憲法二十五条の生存権が全く破壊されるような、そんな国になっていいのか。
私は、根本的な政治の転換が必要であると、この貧困から抜け出すためにも必要なんだと、消費税の増税は絶対にやるべきでないということも重ねて申し上げて、質問を終わります。

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