日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2016年3月31日 厚生労働委員会 速記録

2016年03月31日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 医療機関の負担する消費税の問題について今日は伺います。
 まず、ちょっと言わずもがなというところもあるんですが、大臣に、基本的な仕組み、確認したいんですが、保険診療は非課税、医療機関は患者から消費税は徴収しません。しかし、医薬品、医療機器の購入等々では消費税を負担している。この仕入れに掛かった消費税は控除されませんから、税の世界では、これは医療機関は身銭を切る状態になっているという仕組みですね。

○国務大臣(塩崎恭久君) これはいろいろな経緯があって今日の仕組みになっているわけでありますけれども、社会保険診療につきましては、消費税が非課税とされておって、医療機関が医薬品等を仕入れる際に支払う消費税分については、御指摘のとおり、仕入れ税額控除ができないという扱いになっています。
 こうした中で、医療機関が医薬品等を仕入れる際に支払う消費税分については、これまで診療報酬によって手当てをするという形で仕組まれてきておるところでございます。

○小池晃君 診療報酬の手当てというんですが、実態はどうか。これ、消費税増税したとき、あるいは五%増税時、消費税対応として点数上げていますが、その後、大幅に下がっている点数もあるわけです。
 厚労省にお聞きしますが、例えば血液化学検査、五項目以上七項目以下、この点数は消費税導入前は百九十点だったのが、導入時に五点加算されて、ところが今は九十三点になって、消費税導入時の半分以下と。これは一例でありますけど、さらにその点数そのものがなくなってしまったとか、包括化されたとか、ある意味では消費税対応分が行方不明になっているというのが実態ではないかと思うのですが、そういう状況ですね。

○政府参考人(唐澤剛君) 私ども、今先生御指摘いただきましたように、元年、九年の消費税の導入それから引上げに対しまして、医療機関の消費税負担分を診療報酬上で適切に対応を行ってきたところでございますけれども、元年あるいは九年における個々の診療報酬上の点数、これにつきましては、その後の累次の改定の中で点数が大きく変更になっているものもございますし、そもそも項目自体が統廃合によりなくなっているものなどがございます。
 したがって、現在の点数の中で当時の対応分がどの程度、どこに入っているかというようなことについては明確にはなっていないというふうに考えております。

○小池晃君 さらに、設備投資の問題があります。
 CTやMRIなど高額医療機器を購入した場合等々、これは高額の消費税負担するけれども、その回収は長期にわたってしまうわけですね。
 お配りしているのは日本医師会の作成した資料ですけれども、この試算では、八%の増税で医療機関が支払っている消費税は診療収入全体の三・六四%と。全国の持ち出しは年間二千五百六十億円という試算であります。これは、五から八まではちゃんと補填されているというかなり奥ゆかしい計算で、ここはちょっともっとそこも持ち出しあるんじゃないかと思っていますが、いずれにしても、やっぱり持ち出しがあるということはこれははっきりしている。
 中医協でも、設備投資については診療報酬で対応できないということは、これは支払側も含めて一致していると思うんですが、大臣、やっぱり診療報酬ではカバーし切れない持ち出しがあるという事実は、これは事実として認めていただきたいんですけれども。

○国務大臣(塩崎恭久君) これ、消費税が非課税とされている社会保険診療におきましては、医療機関が医薬品等を仕入れる際に支払う消費税分を、先ほど申し上げたように、消費税導入時や消費税率の引上げ時に、診療報酬点数の上乗せによって手当てをしてきたという整理になっているわけであります。
 また、累次の診療報酬改定においては、消費税負担を含めた医療機関等の費用の状況を勘案をして改定率を決定をしているわけでありますが、現時点での診療報酬は消費税負担の実績を踏まえた水準に設定をされているものというふうに考えているところでございます。

○小池晃君 いや、でも、私言ったことに答えていない。そういうふうに言うけれども、やっぱり補填されない部分というのはあるでしょうと、現実には。そのぐらい認めてください。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは繰り返し議論がなされてきて、課題があることはそのとおりで、だからこそ自民党の税調、与党の税調などでも検討課題として挙がっているということでありますし、また、特に設備投資というものに触れた大綱になっているわけでございます。

○小池晃君 文科省に聞きますが、国立大学病院及び私立医大病院での消費税の負担どうなっているか、診療報酬で補填されていない部分も含めてお答えください。

○政府参考人(松尾泰樹君) お答えいたします。
 国立大学四十二大学四十三病院につきましては、国立大学附属病院長会議の調べの推計でございますが、消費税増税三%による影響額は百七十一億円となってございます。また、診療報酬改定による補填後の病院の負担額は五十四億円と推定されております。
 また、私立大学につきまして申し上げますと、これもあくまで推計でございます、日本私立医科大学協会の調べによりますと、私立大学二十八大学、本院、分院合わせて八十病院につきましては、三%の影響額は百四十九億円、補填後の病院の負担額は七十八億円と推計されております。
 また、八%につきましての全体の影響額でございますが、これは私立大学二十九大学八十二病院でございますが、総額、これも推計でございますが、六百二億円、補填後の病院の負担額は百八十二億円と推計されてございます。

○小池晃君 決して部分で済ませられる額ではないわけですね。
 これ、国立大学については、これは大学法人移行後初めて赤字になっちゃったわけですよ、この消費税八%になってから。来年度の設備投資も、この資料にあるように、配付した資料にあるように、これは抑制になっていて、これ深刻な事態ですよね。
 それから、私立医大協会の今数字あったように、これ、一大学当たり二十億円、補填差し引いても一大学当たり六億円が持ち出しというのが今の実態なわけです。今までの八%分全部でですよ。これはもう大変深刻。だから、これ一〇%になったらもうやっていけないという声が出ているわけですね。
 私立医大というのは、都市部に本院を持ちながら医療過疎地に分院も持ったりして、やっぱり非常に大きな役割を果たしているし、医師派遣という点でも本当に大きな役割を果たしているわけです。そこが本当にやっていけないような事態になってしまう。私、これは文部科学省の管轄ではあるけれども、厚生行政としても深刻な問題として考えるべきじゃないかと思うんですが、ちょっと私、これは通告していないですけれども、大臣、どうですか。この事態、何とかしないといけないと思いませんか、この大学病院の実態。

○国務大臣(塩崎恭久君) 消費税に絡んでどういう影響が出ているのかというのは、昨年の十一月に公表をした補填状況調査というのがございます。比較的設備投資が多いと思われる特定機能病院、これは大学病院がほとんど入るわけでありますけれども、それを含めて医療機関等全体及び病院の機能別のいずれもおおむね補填をされているということでありますが、一方で、確かに特定機能病院、それからこども病院とかですね、こういうところでは補填が一〇〇%はなされていないということもあるので、いろいろやはり課題はあるということは私どもも認識をしつつも、この間の十一月の補填状況はこのような結果だったということでございます。
 よくこのやはり設備投資の多い病院で、なおかつ設備投資が多いときにはかなりいろいろあるということはよく分かっておるところでございます。

○小池晃君 いや、もっと危機感を持ってほしいんですよ、これ。やっぱりこんなことをやっていたら地域医療、崩壊しますよ。日本の医学教育がなくなっちゃいますよ。そういう危機感を持ってこの問題には臨むべきだと私は思う。
 ちょっと、そもそも医療機関が行う保険診療が非課税となっている理由は何ですか。

○政府参考人(神田裕二君) 社会保険診療は社会政策的な配慮から非課税というふうになっております。また、諸外国、欧州諸国においても原則として医療については付加価値税が非課税とされているということから、非課税扱いというふうになっているものと承知しております。

○小池晃君 中医協に出された資料を見ると、自民党の社会部会の消費税導入時の見解が引かれていて、そこには結構いいこと書いてあるんですよ。
 医療は所得の大小にかかわらず生命を守るために選択の余地なく支出をせざるを得ないものだと、低所得者でも生きていくために医療は支出をせざるを得ないので、医療に課税する影響は低所得者ほど大きく、逆進性という批判を受けるからと。
 政策的配慮と今おっしゃったのはそういうことだと思うんですね。
 しかし、診療報酬で補填するというやり方をやっていれば、それは結局、窓口負担、大臣、やっぱりあるいは保険料負担ということになるわけで、やはり、非課税といいながら実質的にこれ負担増になるというやり方でいいんですか。私は、こういう診療報酬でやっていくというやり方ではもう駄目だというふうに思うんですが、大臣の見解を伺います。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、これに関しても長年いろんな議論があることは私もよく分かっているわけであります。先ほど局長から答弁申し上げたように、社会政策的な配慮から消費税が非課税となっているわけで、それがゆえにいろいろ御議論があるということもよく分かっているわけでありますし、また、医療機関が医薬品等を仕入れる際に支払う消費税分は、これまでの診療報酬によって手当てをされているということになっておりますが、医療費の一部として保険者と患者とが負担をしているという格好になっていることはそのとおりでございます。
 ただし、社会保険診療が非課税取引とされていることによって患者などの御負担は課税取引に比べて抑制をされている上に、高額療養費制度などによって税の世界とはまた別に所得や年齢に応じて自己負担限度額を設けて、制度全体としての患者の負担をできる限り抑制する仕組みを取っているわけでありますが、いろんな御議論がありますので、更にいろいろな議論を深めて答えを出していっていただければというふうに思います。

○小池晃君 いろんな御意見は、いろんな御議論って、もうそんな段階じゃないですよ、これ。だって、中医協の森田会長だって、率直に言って、個別の医療機関が負担した消費税を患者個人が支払う診療報酬で還元するのは不可能だと、中医協の外で決着付けてほしいと、こういうふうに言っているんですよ。だから、私、これ、もう本当にこれいよいよ決断しなきゃいけないときが来ているというふうに思いますよ。
 今のような、いろいろあるからみたいなのじゃなくて、やっぱりこれはきちんときれいな形で決着付けると。今日、私、この後、午後、財金で麻生大臣にもこの問題を取り上げて聞くんですけど、厚生労働省らしい発言してくださいよ。どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 厚生労働省は、大学病院であろうとも、やはり病院は病院としてきちっと見ていかなきゃいけないので、その経営状況にも配慮していくということはそのとおり大事な問題だというふうに思っています。
 この消費税の問題につきましては、医療界自身にも様々な御意見があるのはこれ否定し難い事実でございまして、今回三月二十三日の日本医師会の医業税制検討委員会の答申によれば、今回現行の非課税制度を前提としてということになっているわけでございますので、その中でどう工夫をしていくのかというのが大事なんだろうというふうに思います。今申し上げたように、私どもは病院がちゃんと機能をしていくということが日本の医療制度を守ることでありますから、そういう観点からこの問題にもきちっとした考えを持たなきゃいけないと思っております。
 昨年末のこの与党税制改正大綱では、抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるように実態の正確な把握をまず行って、税制上の措置について、医療保険制度における手当ての在り方の検討等々と併せて関係者の意見、特に高額な設備投資に係る負担が大きいとの指摘等も踏まえて、平成二十九年度税制改正に際し、総合的に検討し結論を得るということになっているわけでありますので、私どもとしてもこの論点を踏まえながら、私どもの医療への責任を果たしていきたいというふうに思います。

○小池晃君 何だかよく分からない答弁なんですけど、もっと踏み込んで物を言ってほしいんですけど、私はやっぱり財務省に対してばしっと物を言わなきゃ駄目だと思いますよ。今みたいに何かもう、何か玉虫色みたいな話ばっかりずっとしている。もう来年でしょう。迫っているんですよ。
 これはやっぱり、こうすべきだってばしっと言うべきですよ、やっぱり。日医のこの提案なんかも、私は一つの参考になると思う。やっぱり、実際に税の世界の中できちんと還付するという仕組みをつくらない限りこの問題は解決しないし、これをやらないで、これをやらないで消費税一〇%なんてとんでもない話だと、もう消費税増税、こんなんだったら消費税一〇%は絶対中止すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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