日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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権利保障が大後退 医療・介護総合法案 小池氏撤回迫る 参院委

2014年06月05日

「赤旗」6月12日付
 

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(写真)質問する小池晃議員
=5日、参院厚労委

 日本共産党の小池晃議員は5日の参院厚生労働委員会で、要支援者へのサービスを介護保険給付から外すのは無理な線引きだと強調し、医療・介護総合法案の撤回を迫りました。

 要介護認定は地域差が大きく、特に要支援2と要介護1の区別は微妙で、基準となる認知症の重さも判断が分かれるのが実情です。

 小池氏は「ある地域で要介護になる人が別の地域では要支援になる。認定のたびに要支援と要介護を行き来する人もいる。こんな微妙な線引きで保険給付から外すのは大問題だ」と批判しました。

 要支援者向け訪問・通所介護を市町村事業に移し給付費を削減する問題で、小池氏が2035年度で2600億円もの削減になると指摘すると、原勝則老健局長は認めました。

 要支援者向けサービス事業費に市町村ごとに設けられた上限を超えた際に国庫補助が出るのかと質問すると、原氏は「基本的に上限の範囲でやってもらう」と答弁。小池氏は「市町村はサービス単価を下げるかサービス利用を減らすか、利用料を上げるしかなくなる」と批判しました。

 小池氏が「予算が足りなくなればサービス縮小や打ち切りも可能になる」と迫ると、原氏は「事情を聞いて判断する」と答えるにとどまりました。小池氏は「補正予算を組んででもサービスを保障する義務がある保険給付とは全く違う。要支援者が保険上の権利者として扱われず、権利保障の財源的裏づけもなくなる。歴史的大改悪だ」と強調しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。質疑時間への御配慮、ありがとうございます。
前回、私は、介護利用料の二割負担は可能だと言ってきた厚労省の今までの説明に問題があるんではないかということを指摘をいたしまして、御検討いただいたようなので簡潔に説明してください。

○政府参考人(原勝則君) 今、お手元に資料が配付されているかと思いますが、これに基づきまして簡潔に御説明申し上げます。
資料の一ページ目でございますが、このモデルは、一定以上所得者に該当する方のいる夫婦世帯で、年金収入を三百五十九万円、夫が今回の基準で考えています二百八十万円、妻が七十九万円でございますが、仮定しまして、そこから税、保険料を控除した可処分所得三百七万円と、家計調査の年間収入二百五十万から三百四十九万円の区分の世帯の消費支出を対比しております。昨年の社会保障審議会における審議のために作成し、以来、対外的な説明資料として使用してまいりました。
ここにあります消費支出は、モデルである年金収入三百五十九万円の世帯における消費支出を記載したものではなく、あくまでも二百五十万から三百四十九万円の階層の消費支出を比較対象としたものですが、この点の記載や説明が不十分で誤解を招く結果となったことから、資料の補足修正を行いましたので御説明をさせていただきます。
上の四角の二つ目の丸の部分でございます。
まず、消費支出については、モデルの年金収入の世帯の消費支出を平均的な年金を受給している世帯の消費水準、すなわち年金収入二百四十七万円の世帯を含む二百五十万から三百四十九万円の階層の消費支出の水準まで何とかやりくりをしていただければ、モデル収入の可処分所得との差が出てきて、負担割合の引上げに伴う負担増もお願いすることが可能になると考えられるということを記載しております。そのような考え方がこれまでこの図では記載されていなかったことから、図の右側、左側、それぞれに、矢印のところでございますが、その趣旨も少し丁寧に書かせていただきました。
さらに、二ページ目では、無職高齢者単身世帯の収支状況についてモデルで比較したものです。
無職単身世帯については、家計調査においては収入階層の区分が平均の一つしかありませんが、夫婦世帯と同様の趣旨から、資料について補足、修正させていただいております。
また、四ページをお開きいただきたいと思います。
一昨日の委員会で議論になった家計調査における各年間収入階級別の実収入、消費支出、可処分所得等の状況を記載しております。
さらに、五ページ、六ページでは、それぞれ収入階級が二百五十万から三百四十九万円の世帯、三百五十万円以上の世帯について、四ページでお示しした家計調査における収支状況を図にしたものでございます。実収入のほか、個人・企業年金の受取、預貯金の取崩し等により消費支出が賄われていることが分かります。
以上ですが、私どもにおける資料作成や説明が不十分で、小池議員を始め委員会の皆様に御迷惑をお掛けしたことを深くおわび申し上げたいと思います。

○小池晃君 私は元の資料も配っているんですが、今までの説明というのは、この二つの棒グラフは同じ世帯での年金収入と消費支出を比較したものだったという説明だったんですが、実はそうではなくて別の集団の収入と支出を並べたものだとおっしゃるわけですね。

○政府参考人(原勝則君) これは、この資料は、例えば右の方は、上の四角の丸、これは最初からここに書いてございますけれども、こういうモデルを、要するに今回私どもは、年金収入二百八十万円以上という、ここを一つの基準の提案をしておりまして、そういう限界ラインの基準のところのモデル世帯というものを収入として想定して、このところの消費支出のデータがなかったものですから、これに代わるものとして、消費支出の中で二百五十万から三百四十九万のところを取らせていただいたということでございまして、この点はもう当初から、資料ではちゃんとこういう階層の収入であるということは明記をしておりました。

○小池晃君 そういうでたらめ言っちゃいけないよ。だって、これを比べて六十万余裕があるからと言っていたわけですから、この右のグラフと左のグラフは同じ集団の収入と支出だという前提で議論をしてたじゃないですか。そこのところだけ認めてください。これは、今までは同じ集団だというふうに言っていたけれども、今は別だと説明されるんですね。イエスかノーかで、もうくどくど言わずに言ってください。

○政府参考人(原勝則君) 明らかに、右は三百五十九万円、左は二百五十から三百四十九ということで、数字的にもこれは合いませんので、これは別のものでございます。

○小池晃君 そういうことをよく平気で言うね。
今まで、だって、これが同じだと、二日前だって、近いからこれ使ったって言ったんですよ。言ってたじゃないですか。だから、これ違うわけですよ。
しかも、今までの説明というのは、二割負担する余裕があると言っていたわけですけど、そうじゃないんですね。やりくりしていただければって、私、こういう言葉初めてこういう場で聞きましたけれども、要は、うんと切り詰めれば負担できないことはないということを言い出したわけですよ。
全然説明違うんですよ、これ。はっきり言って。
誰だって分かる、これは。
だから、今までは、同じ集団、ほぼ同じ集団ですよ、これが一番近いんだと言って、この年金収入に対応する消費支出はこうだと。その差額は六十万円あるから余裕はありますよと、そういう説明を審議会でもやったし、衆議院でもずうっとやってきた。ところが今、違うんですね、これは別の集団ですと。この年金の、これだけちょっと高めの年金もらっている人が、平均の年金のところまで頑張って節約してくれれば、そうしたらばこの分の差額が出てくるって、全然違うじゃないですか。
ということは、最初に配られた資料は、これはやはり間違っていたと、誤っていたということですね。これ、認めていただきたい。言葉が足りないとか、そうじゃないですよ。これ違うでしょう。
全く違う考え方ですよ、これ。いや、数字が違うだけじゃなくて、ロジックが全然違うんだ。だって、余裕があるというのと、やりくりしていただければそういうお金が生み出されますって、全然違うじゃないですか。だから、最初の説明は間違っていたということですね。認めてくださいよ、これは。

○政府参考人(原勝則君) 私どもの比較の考え方は、これは考え変わっておりません。ただし、説明が不十分であったということです。そこは是非御理解いただきたい。
それで、近いというのは、結局その三百五十九万というモデル年金世帯の収入そのものの消費支出というのがないものですから、あくまでも消費調査の中のところでこれを選んだということでございまして、そこの集団が違うということは始めから明確にしておったつもりでございます。

○小池晃君 大臣は、四月二十五日の衆議院の厚生労働委員会でこう言っています。この二百八十万というのは個人単位ですが、その方の個人の収入に対してその方がどれくらい平均として支出を使っておられるか、そういうものを見たときに、二割負担にしても、一定程度、生活においては何とかできる、こういう中で出させていただいたと、こう言っているんですよ、その方の収入に対してその方がどれだけ支出しているかと。明らかに同一の世帯集団を想定して二割負担は可能だと説明をしているじゃないですか。
今日の説明は全くロジックが違う。全く違いますよ、これ。違う説明していることは、大臣、お認めになりますか。衆議院で答弁したことと今局長が答えたことは違いますよね、これ、考え方が。
だって、やりくりしてなんて衆議院では一言も言っていませんよ。

○国務大臣(田村憲久君) いや、何とかと言っておりますので、それは、やりくりは何とかやりくりをするので、ただ、これは、いや、そういう意味で申し上げているんです。全く余裕があるというよりかは、これ出しているのは、モデルケース自体これは平均的な年金生活者の方々のモデルでもあるわけでありまして、先ほども言いました、ここに元から書いてあるのは収入二百五十万から三百四十九万、明確にこれ書いてあるわけですね、この方々のこれは消費支出であると。こちらは三百五十九万、年収と書いてありますから、当然これとこれ見ていただければ、これが違うということが分かるわけであります。ただ、これに対する支出がないわけでありますので、要は一番近いものを使ったということでございまして、そのような意味で私は申し上げたわけであります。
あわせて、何とかというのはやりくりと私はほぼ同義語だと思うんですが、努力をしていただいてという意味でございますので、それはやっぱり当然収入の多い方は消費支出は多いわけでありまして、収入の少ない方と収入の多い方を見れば、これは歴然と傾向は、収入の多い方々の方が娯楽費やいろんなものも多く使われるわけでありまして、それだけ余裕があられるわけでありますから、そこは、一定収入の方々に関しては今般は負担能力があられるということで、お助けをいただきたいということでございまして、二割負担というようなお願いをさせていただいておるわけであります。
ですから、一般的なモデルケース、平均的な支出よりかは、仮にこの六十万というのは、今般、二割負担になっても余裕があるというような形の中で御提案をさせていただいておるということであります。

○小池晃君 いや、ちょっと、私も十三年目にそろそろなりますけれども、これだけ無理のある答弁は私は初めて聞きますね。これどう考えたって、だって今まで言ってきたことは、この年金収入、可処分所得三百七万円、それは一致するものはないというふうに言っていたかもしれないけれども、それに相当する消費支出は大体これだと。だから、その差額で六十万円あるから、だから二割負担で上限まで行ったって負担可能ですよと言っていたのに、今度は違うでしょう、全く違う。
これ、だから、年金収入で三百五十九万円、可処分所得三百七万円の世帯とこの左の世帯、これは何を言っているかというと、二百四十七万円の年金だということは全く母集団が違うじゃないですか。全く母集団違うものを比較をして、こういう年金暮らしの方まで頑張って節約してもらえば、そうしたらば差額が生まれますよという話で、うなずいているけれども、それ全然違うじゃないですか、論理が。今までの説明と全く違う説明を始めましたよ。
こういうことを言っていたのでは議論になりません。ちょっと、これは認めていただかないと、これ以上議論できない。

○委員長(石井みどり君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕

○委員長(石井みどり君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(原勝則君) 六十万円の余裕があるというような言い方についてはちょっと誤解を生むかと思いますので、この六十万という数字は落とさせていただきたいと思います。

○小池晃君 六十万円の余裕があるということは、撤回するんですね。

○政府参考人(原勝則君) 資料からは数字は落とさせていただきたいと思います。

○小池晃君 駄目ですよ。だってこれ、ずっと答弁だってしていたんだから。
六十万円余裕があるという答弁は撤回、答弁というか、それは、考え方は撤回するんですねと。
イエスかノーかで、認めてください。

○政府参考人(原勝則君) 余裕があるというような言い方は、ちょっと、私どもの方、やりくりをしていただきたいという趣旨からいくと、やっぱり余りふさわしくない表現だと思いますので、そこは直させていただきます。

○小池晃君 撤回すると素直に言ってください。

○国務大臣(田村憲久君) 月々三十万円、夫婦で収入があられるという御家庭であります。その中で、このモデルというようなものを出したものでありますから、六十万というような形で余裕のあるような見え方になってしまったわけでありまして、この六十万というような書きぶりは、これはもう撤回をさせていただきます。

○小池晃君 この六十万が、二割負担が可能な根拠だったんですよ。それを撤回するということは、審議会での議論、そして衆議院の議論、全部、これは振出しに戻りますよ。
二割負担が可能だという根拠は六十万円の余裕があるというような根拠だった、それを撤回するとおっしゃった。私、これ重大だと思いますよ。
これ、衆議院議員だって、これ聞いたら怒りますよ。だって、みんなそんなふうに理解せずにきっと多分議論してきたはずだ、それが違っていたんだという話になるわけですから、これは極めて重大だというふうに思います。
趣旨説明のときの事務的なミスと違いますよ、これは。やっぱり六十万円という数字ありきで、これ二割負担が可能だということを、これで、やっぱりデータを捏造したというふうに言われたって仕方ないですよ。
だって、大臣、違う違うと言うけれども、二日前に大臣は何と答弁したかというと、より近いところの数字を使わせていただいた、実態に近いところの数字を使わせていただいたと言っているわけだから、まさにこの年金収入三百五十九万円に、実態に近いところの数字を使ったというふうに言っているわけだから。だから、それで差額があるから六十万円余裕があるという議論をしてきたわけで、それはおかしいというふうに思います。
しかも、私、今回の説明だって納得いかないのは、これは、左側のグラフは何で使ったかというと、平均的な額の年金を受給した世帯の消費水準だからというふうにおっしゃるわけですね。年金の平均額、厚年と国年の合計が二百四十七万円だから、二百五十万円から三百四十九万円の世帯の消費水準に合わせたというわけですけれども、私が配付した資料の三ページ目を見ていただきたいんですね。
家計調査というのは、これは前年の収入でそれぞれ階層別に出しますから、その年の収入とは若干違ってくるわけです。詳しく中身も出ていまして、公的年金という項目は中にちゃんとあるわけです。それを見ていただきますと、年収二百五十万円から年収三百四十九万円の間の公的年金の収入額は二百十四万円なんですよ。だから、二百四十七万円という平均値より大幅に低い年金しかもらっていない方々なんです、これは。
じゃ、平均というのであればどれを取るべきか。
このデータでいえば、この高齢者無職世帯全体の平均の公的年金受給額は二百四十三万円ですよね。
だから、もしも厚生年金と国民年金の平均額を受給した人をモデルとして消費支出をする対象とするというのであれば、これは二百五十万から三百四十九万円の層を使うのではなくて、全体の数字を使うべきなんですよ。言っていること分かりますか。そうすると、全体の平均消費支出は二百八十九万円ですから、そうなるとモデル世帯の年金の可処分所得との差は約二十万円ですよ。だから、結局やりくりしたって六十万円なんて生まれないんですよ。二十万円なんですよ、二十万円そこそこなんですよ。
この今回の、新たに、多分、一晩ゆっくり考えて、どうやって言い逃れるかということで、もう無理やりこういう理屈を編み出したんだと思うけれども。いや、そうでしょう。でも、そういう理屈を編み出した結果を見たって、これは平均の年金と違うでしょうと。そこはどうですか。

○政府参考人(原勝則君) 私どもは、まず提案している合計所得金額百六十万円というものの基準について、そういう世帯、それから奥様が基礎年金を七十九万もらっていると、そういうモデル世帯がどの程度今回で二割負担で負担可能かということで、この図をお示ししておりまして、現実の家計調査における年金収入の額とその消費支出を何か直接比較するとか、そういうことではないと理解しております。

○小池晃君 一旦うそをつき始めると、こういうふうにうそにうそを重ねなきゃいけなくなるんですよ。
おかしいじゃないですか。だって、百歩譲って、年金の平均額の消費支出までやりくりしていただければ何とか六十万円生まれますと、そういう議論なんだけれども、その年金の平均支出じゃないんです、この二百四十七万円というのは。平均年金額じゃないわけですよ。言っていること分かりますか。だって、家計調査見てくださいよ。大体、これ見ていただくと分かるのは、三百五十万円以上というのは、大体五〇%か半分ぐらいはこうなっているわけですから、二百五十万から三百四十九万が真ん中に来るわけがないわけですよ。真ん中より下になるわけです、この層は。だから、あなたたちがまた言っているこの二百四十七万という消費支出の人たちの年金というのは平均より少ないんですよ。だから、平均的な年金よりももっと少ない年金の人たちまでやりくりすれば六十万円出てくるという、そういうことになるわけですよ。
ちゃんと答弁するんだったら、じゃ答弁してください。

○国務大臣(田村憲久君) これは、おっしゃられておられるのは三百五十万円以上というこのカテゴリーですよね。

○小池晃君 そんなこと言っていないです。平均を使いなさいと言っているんですよ。
平均値があるんです。これ、全体と書いてあるのは全部の平均なんです。高齢者無職世帯、全体の平均なんです。高齢者全体、無職世帯の平均の公的年金の受給額が二百四十三万円ですから、だから、皆さんが言っている厚年と国年の平均額の合計に一番合うのはこの数字じゃないですかと言っているんですよ。そうすると、これは消費支出は二百八十八万円でしょうと。そうすると、この差額は二十万円しか出てこないじゃないですかと言っている。
ちょっと分からないみたいですから、また止めてください。

○政府参考人(原勝則君) 私どもが家計調査における二百五十から三百四十九万円の世帯の消費支出をなぜ取ったかということだと思います、先生がおっしゃっているのは。
それは、一つは、モデル収入の三百五十九万円に近いところというのが一つありますけれども、もう一つは、現在の国民年金と厚生年金の平均年金額の合計額が二百四十九万円と。確かに、この家計調査における実際の年金額の平均とは少し差がありますけれども、要はこの階層をなぜ取ったかというところで、私どもはそういう現実の、国民年金、厚生年金の平均額が大体二百四十九万でしたので、この階層を選んできたということを申し上げているんでございます。

○小池晃君 私には全く理解できませんので、これももう一回整理してください。

○委員長(石井みどり君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕

○委員長(石井みどり君) 速記を起こしてください。

○小池晃君 ちょっと何かよく理解していただけないようなので、私が言っていることが。私は極めて事実に基づく冷静な議論をしているつもりなんですが、ちょっと整理していただいて、ちょっと今日のところは何かもう回答不能みたいなので、改めて答えを出していただくということで進めたいと思います。
それで、前回も私申し上げましたように、私が本来求めたのは、この年金収入のいわゆるモデル世帯に対応する消費支出の数字を出してくれと言ったので、それは結局、今日は出てきていないわけです。別のロジックで言い出しているわけですね。
だから、委員長には、引き続きその資料を厚労省に出すように理事会で協議をお願いします。

○委員長(石井みどり君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。

○小池晃君 六十万円の余裕が出たということを撤回した以上、私は、この法案の根本的な誤りを認めたことになるので、法案も撤回すべきだということを申し上げたいと思います。
引き続きこれは議論したいと思います。
今日ちょっと本来やる予定だった要支援の問題について聞きます。
先ほどから要支援外しのことが指摘をされてまいりましたけれども、本法案が実行されれば、要支援一、二の人が訪問介護、通所介護を保険給付では受けられなくなるということになるわけですね。新事業のサービスの多くはこれは地域のNPOとかボランティアによって担われるわけで、これは地域包括支援センターの判断で既存の介護事業所によるサービスが受けられる場合があるというふうにこの間言っていますけど、それは一部だけだと思います。一方で、要介護一以上なら引き続き保険給付がされるわけです。
ところが、これは介護保険部会の委員からも疑問があったように、要介護認定の公正・妥当性についてはいろんな疑問の声がありまして、今日、私の方の配付資料の四枚目を見ていただきたいんですけれども、これ、地域による認定率のばらつきです。要支援の認定は、一番低い茨城県が二・八%に対して、一番高い長崎県は七・六%、実に三倍近い格差があるわけですね。それから、要介護一も、一番低い栃木県が二・六%で、一番高い長崎県が四・四%。地域の事情で多少のばらつきはあったとしても、このばらつきは、特に要支援の認定率のばらつきはこれは非常に大きい、大き過ぎる。これでは、結局同じような状態像にある人が、ある地域では要介護一、別の地域では要支援というふうになってしまう。
今までは要介護度によって支給限度額とかサービス内容が違っても、同じ保険給付の中の世界でした。ところがこの法案が実行されると、これによってその保険給付から外れてしまうということになるわけです。
大臣、要介護認定の地域格差がこれだけある中で、ある地域では保険給付になる、ある地域では外れる、これで私は介護保険制度に対する信頼性が保たれるのかと疑問に思いますが、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 一般的に、介護ニーズというものは高齢化の率に比例していくものであります、一定程度でありますが。ただ、要支援となりますと、その地域での高齢者の方々の社会への参加でありますとか、また予防に対しての取組、こういうものでばらつきが出てくるわけでございまして、そのような側面も多々あるというふうに認識いたしております。

○小池晃君 そういう面ももちろんあるでしょうけれども、要支援でいうと三倍近い格差があるわけですよ。私は、これは、そういうものだけじゃなくて、やっぱり認定そのものに地域によるばらつきがあることは間違いないと思うし、それによってある地域では保険給付なのに、ある地域では、今までもそれはあったと思うんですが、保険給付から外れるかどうかということが決定的だと私は思う。
しかも、要支援二と要介護一というのは、これはタイムスタディーが三十二分以上五十分未満で同じなわけですよ。これを分けるのは、認知症の日常生活自立度ですね。日常生活自立度が一、すなわち、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立していると判断されれば要支援二になる。日常生活に支障を来すような症状、行動、意思疎通の困難さが出てくると二以上になって、そうすると要介護一になる。
厚労省の認定審査会委員テキストを見ても、認知症高齢者の日常生活自立度は慎重な吟味が必要だと、総合的に判断というふうにされていて、極めて微妙だということは厚労省も認めているわけですね。
局長、こんな微妙な部分で保険給付かどうかという境目ができちゃうというのは、これは問題があると思いませんか。

○政府参考人(原勝則君) 要介護認定、要支援認定については全国画一の基準で公正にやるところはもうそのとおりでございまして、一応、要介護一と要支援二との関係は、今議員がおっしゃいましたように、要介護認定等基準が三十二分以上五十分未満である状態又はこれに相当すると認められる状態と判定された場合には、続いて状態の維持・改善可能性に係る審査判定を行い、最終的に要支援二又は要介護一の判定を行うということでございます。
この状態の維持・改善可能性に係る審査判定は、認知機能の低下、状態の安定性の観点から判定を行っておりまして、その際、介護認定審査会資料、特記事項、主治医意見書の記載内容を基に認知症高齢者の日常生活自立度がおおむね二以上である状態と判断した場合を要介護一と判定をしておりまして、要は一次判定とそれから審査会で二次判定できちんと適正にやっているということでございます。

○小池晃君 それが適正にやれるんですかと言っているんですよ。今の仕組みのことは私だってよく分かっているんです。しかし、そこが非常に微妙な線引きになっているじゃありませんかと、そのことは厚労省だって認めてきたことでしょうと言っているわけですよ。
大体、私、認知症というのは、これは医学的に言えば記憶障害や理解能力の低下などで生活に支障が出てくる進行性の疾患なわけで、そもそも認知症というふうに診断された時点でやっぱり見守り支援が必要なはずなんですね。だから、認知症の人と家族の会などは、もう日常生活自立度などという区分で区切るのはやめて、全ての認知症患者はやはり要介護者と扱うようにと言っている。
私はこれは当然の要求だというふうに思いますよ。
それほど微妙なさじ加減なわけです、この要支援二と要介護一の間というのは。
ところで、聞きますけれども、厚労省は衆議院の議論の中で、訪問・通所介護が地域支援事業になっても既存の介護事業所からサービスを受けられる例として、一次判定のときに日常生活自立度が二以上と判断された人が要支援二の中に七・七%いると、これ例示しているわけですけど、現行制度では日常生活自立度二以上だったらば要介護一になるはずですよね。なぜ、日常生活自立度二以上で要支援二になっている、そういう人がいるんですか。

○政府参考人(原勝則君) お尋ねでございますけれども、要介護度別にこれは一次判定時の認定調査結果における認知症高齢者の日常生活自立度二以上を集計したものは、御指摘のように要支援二では七・七%ということでございます。介護認定審査会における状態の維持・改善可能性に係る審査判定では、認知症高齢者の日常生活自立度がおおむね二以上と判断すれば要介護一と判定されるわけでございますが、介護認定審査会資料、特記事項、主治医意見書の記載内容から総合的に判断するために、必ずしも一次判定時の認定調査結果がそのまま審査会で同じ結論になるということはない場合もございまして、介護認定審査会の判断が異なる場合があるということでございます。
したがいまして、介護認定審査会は、認知症高齢者の日常生活自立度二以上とは判断せずに、要支援二と判定した高齢者のうち、その方の一次判定に遡って見たときの、その認定調査結果を見たときに、二以上の方が七・七%あったということをお話ししているわけでございます。

○小池晃君 だから、これはいかにこの境が微妙かということを示しているわけですよ。本人と直接会った認定調査員は日常生活自立度二以上と判断したけれども、認定審査会でやったらば意見が違ったから要介護一にならなかったというわけじゃないですか。このぐらい要支援二と要介護一というのは行ったり来たりするわけです。微妙なんです、さじ加減なんです。だから、実際にも認定更新のたびに要支援二になったり要介護一になったり、行ったり来たりという人がいるわけですよね。
大臣に聞きますけど、私はこの線の引き方そのものが、やっぱり極めて恣意的なことになりかねない微妙な、本当に微妙な線で引いてしまう。そして、それによって保険給付になるのかならないのかでもう天国と地獄のように違ってくる。そうなりますよ、それはこれから議論するけれども。
保険給付かどうかというのは権利擁護の点で全く違うわけですから。だから、私はこういう線の引き方には大変問題があると、大きな無理があると思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 要支援二と要介護一が恣意的に決定できるというものではないわけでありまして、これはもう委員も、もう中身は言いません、よく一次判定、二次判定御理解いただいておりますので言いませんが。そういう意味で、言うなれば、確かにここは一つしか境がありませんから、そういう意味では要介護になられる方もおられますし要支援に戻ってこられる方もおられるのは、それは間違いのないことであります。
ただ、申し上げるのは、要支援二であれば全く同じようなサービスが受けられないかといえば、それは今般、地域支援事業の中でも専門性のあるサービスというものはしっかりとそのまま残れるようになっておるわけでありますから、決して要支援になったからといって、今まで受けておったのと同じようなサービスが受けられないというわけではないということでございますので、要支援の中において今まであった、予防給付の中においてあったサービス、既存事業等々に関しても要支援のまま行うことができるというわけでございますから、適切なサービスを受けていただければ結構だというふうに思っております。

○小池晃君 行ったり来たりはあるということはお認めになったし、これは微妙なんですよ、極めてこの線は。でも、地域支援事業になってもこれは必要なサービスは提供されるんだ、地域の実情に応じてできるんだ、適切なケアマネジメントを行って既存の介護事業所からサービスを提供する余地も残すんだ、さんざん言われてきました。しかし、現実に今、全国から私、聞いている声でいうと、もう要支援者のサービスはやめますと、撤退しますという介護事業所だっていっぱい出てきているんですよ。それが実態だと。
実際に、大丈夫だ大丈夫だと言うけれども、今回の制度改変によって訪問・通所介護と地域支援事業の給付費の総額を後期高齢者の伸び率に抑えるという目標を持っていらっしゃいます。現行制度のままでいうと、通所介護、訪問介護は五から六%で増加していくけれども、それを後期高齢者の人口増加率の三から四%に抑えるというわけですね。
局長、もう簡潔に、五から六%と三から四%、直近四年間で具体的な伸び率を言ってください。
そして、要支援者への訪問・通所介護の給付費の直近の数を言ってください。

○政府参考人(原勝則君) まず、いわゆる給付費の伸び率でございますが、直近四年間で申しますと、これは二十一年度から二十四年度まででございますけれども、五・六%でございます。予防訪問介護と予防通所介護の給付費合計の直近の四か年でございますけれども、十九年度から二十年度までで五・六%でございます。済みません、ちょっと訂正させていただきます。
また、後期高齢者数の近年の伸び率の平均は三・七%でございます。また、平成二十四年度における予防訪問介護と予防通所介護の給付費の合計は二千四百九十五億円でございます。

○小池晃君 もう二〇一二年度の二千四百九十五億円を出発点にして、今の数字をいただいたので計算してみました、単純にこの伸び率を掛けたわけですが。要するに、五・六%の増加で今までどおり増え続けた場合と、三・七%に抑制した場合です。
五・六%増であれば、訪問・通所介護の給付費は、二〇二五年度で五千六十六億円、三〇年度で六千六百五十三億円、三五年度では八千七百三十七億円です。一方、三・七%増の場合は、二〇二五年度で四千二百二十五億円、二〇三〇年度で五千六十六億円、三五年度で六千七十六億円、こういうふうになるわけですね。
これ、数字間違いないですね。確認、事前にしてありますので、イエスかノーかで答えてください。

○政府参考人(原勝則君) 機械的に計算すればそういうことでございます。

○小池晃君 こうなると、二〇二五年度で八百億円の給付費の抑制です。二〇三〇年度では千五百億円です。二〇三五年度は二千六百億円の給付費の削減になるわけですね。
大臣、大丈夫なんだと、今までどおりなんだというふうに盛んにおっしゃるけれども、これだけの給付費削減をサービス後退させずに一体どうやって実行するんですか。

○国務大臣(田村憲久君) 高齢化の伸びというものを一つ出しているわけでありまして、それに抑えるといいますか、それを目指していくという形ですよね。いや、目指していくんです、これは……(発言する者あり)目指して、目指すんです。
それを目指していくんですが、本来ならばその目標数値というものになるはずであって、本来は、本来はですよ、(発言する者あり)いや、質を落とさずにですよ。というのは、その分だけその方々が新しく要支援に入ってこられるわけでありますよね。ですから、その分だけ今の同等程度のサービスを受けておられれば、高齢化の伸びに給付がなるわけですよね。
それ以上に今伸びておるというのは、我々は、本来もっと違ったサービスを受けていただいた方がその方々にとってはいいという方々がおられるわけであります、全員じゃありませんよ、要支援者は。そういう方々が適したサービスを受けていただくことによって、本来、高齢化の伸びの中に収まっていくはずのものがそれ以上に伸びておるということを分析したときに、本来受けていただかなくていいようなサービスを受けておられる方々もおられる。それしかないから、今受けざるを得ないという現状があるわけでありますので、適したサービスというものに変えていただく。それは、その状態像に応じて、その方が、要するにその状態像を悪くしない、若しくは改善する、悪くなったにしても今までよりも悪くなる度合いを緩める、このような形を提供いただこうということでございます。あわせて、それによって悪くならなかった分もこれまた改善分になるわけであります。

○小池晃君 いろいろおっしゃるけれども、法案ではちゃんと予算の枠決めているわけですよ。今後、自治体が地域支援事業に使える予算の総額について、七十五歳以上の被保険者の数を勘案して政令で定める範囲というふうにしております。今の制度は、これは、地域支援事業の総事業費を政令で給付費の三%以内としているわけですね。
これ、局長、新制度では、政令でこれは各自治体の後期高齢者の人口増加率の範囲に収めるような総額を設定するという意味なんでしょうか。

○政府参考人(原勝則君) 現在は、給付費に連動した上限管理になっておりますけれども、私どもとしては、こうしたいろんな多様な主体による多様なサービスというものの充実を図りながら、将来的に、結果的に介護の費用というものを効率化していきたいということで、そのための指標としては、その市町村の七十五歳以上、後期高齢者の伸び率等に合わせた方が合理的ではないかということで、一応、法律ではそういうことを書かせていただきまして、具体的にはこれから検討して政令で定めていきたいと思っています。

○小池晃君 いろんな、これから基準、政令で出すんだと言うけれども、確認しますけど、個別事情を勘案するとか、何かバッファーもつくるとかというふうに今まで答弁されていますけど、国がいろいろ決めた基準、すなわち基本は後期高齢者の増加率だと、しかし地域の事情も勘案すると、バッファーも置くと、それを超過した分には国庫補助は出るんですか、出ないんですか。

○政府参考人(原勝則君) 上限の範囲内であれば、これはもちろん義務的経費でございますから、現在でもそうですけれども、ちゃんと精算をしております。
上限を超えた場合には、これはまさに個々の事情を市町村からいろいろお聞きしまして、そして、そういったやむを得ないような事情がある、例えば急にサービス事業所が増えたりして、予想もしなかったような事業所が増えたりというような、いろんな事情が考えられますけれども、これは、具体的にはこれからよく市町村なんかの御意見を聞きながら決めていきたいと思いますが、基本的には上限の範囲内でやっていただくということになります。

○小池晃君 これ、やっぱり保険給付と決定的に違うわけですよ。保険給付というのは対抗給付が保証されるわけですからね。これは予想以上に給付が伸びた場合はきちっと国庫補助出るわけですよ。
しかし、やっぱり地域支援事業になったらば、いろいろおっしゃるけれども、結局、上限設定されて、そこを超えたらば国からお金出なくなる、自治体の持ち出しになる、そうなったらば、結局これはサービス単価減らす、利用を制限する、利用者の自己負担を増やす。大臣、大丈夫だ、大丈夫だ言うけれども、結局そういうことに、すぐに始まってその年からそうなるとは言いませんよ、しかし、この仕組みが始まっていったら必ずそういったことが自治体で起こってくるのは間違いないじゃないですか。いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 今と同じような率で今と同じようなサービスを受けておられる方々が、七十五歳以上の人口が伸びていく、その伸び率の中で収まるはずですよね、これは。それはそうですよね。そういうことでしょう。言っている意味、御理解いただけます、ですよね。ですから、それ以上に伸びておる原因は一体何なのかということを我々としては分析をしなければならぬわけであります。
そのときに、本来、要支援者の方々が受けられるサービスというもの、受けてその方にとっていいサービスというのはどういうものだろうということを総合事業やモデル事業で我々はいろいろと検討してきたわけでありまして、その中において、効果のあるそのような事業というものを今回総合事業の中で提案をさせていただくわけであります、地域支援事業の中で。そういうものを使っていっていただければ、改善もしてまいりますし、当然、本来、今受けて、本来は御本人も受けたくないという方もおられるかも分かりませんけれども、そのサービスを受けざるを得ない方々にとっては、自分たちにもいいわけでありますし、実際それだけのものを必要にならないわけでありまして、必要なサービスをつくっていくことによって全体を抑える。
ただ、そうならない、今言ったように、事業者が何かの理由でわあっと増えちゃったという、増えちゃうということが本当にあるのかどうか分かりませんが、そういう場合にどうするんだというのは、それは個別事案で御相談に乗ります。少なくとも、掛かったものでございますから、それに対しては一定程度こちらも御相談に乗らさせていただきますけれども、ただ、その次の年に対してどうするかというのは、やはりそこでいろいろと話をさせていただきながら、なるべくいい方向にこちらとしてもなっていただかないと、こちらが望んでいる方向、もっと言うと利用者の方々にとっていい方向、そうじゃない方向に行ってしまうということ自体は我々の狙いではありませんので、それはいろいろとその後のことも含めて御相談をさせていただくということであります。

○小池晃君 私は、給付費が伸びているのは、何か後期高齢者の伸び率以上に伸びているのは、やっぱり現状のサービスがまだまだ足りないからだと、介護サービスがやっぱり十分されていないから、必要に応じて、やっぱり皆さん、そんな不必要なものを使うなんて実態はないですよ。
それがやっぱり根本にあるんだというふうに思いますし、同時に、今大臣おっしゃるような、そんなきれい事でいかないんじゃないのというふうに思うんです。結局、サービスの質を低下させる、効率化するというようなことになるんじゃないか。
例えば、四月に厚労省の老健局の振興課の課長補佐が都内で介護関係者を相手に講演しているんです。私ども、この中身を入手しています。その中ではどういうことを言っているかというと、こういう効率化です。
まず、既存の訪問介護事業所に、これまでのプロのヘルパーによる介護サービスとは別に、地域支援事業に参入するための、例えばヘルパー一人にボランティア三人による新サービスの看板を掲げてもらってはどうか。あるいは、今、要支援二で週二回ヘルパーによる身体介護を受けている人がいたとすると、週二回の身体介護だと負担限度額いっぱいになるけれども、それをヘルパーとボランティアのサービスに変えて、身体介護を週一回にして、あとはボランティアによる掃除と洗濯にすれば、人件費安いので単価は低くなる、こうした手法をオールジャパンで実現すれば給付費の抑制ができると。こういうことを厚労省の課長補佐が講演しているんですよ、こういうことをやりなさいと。
結局、給付費を減らすためには、手厚いサービス少ない回数にとどめて、人件費の安いサービスに置き換えようということに実態としてはなっていくし、厚労省の官僚がそれをやりなさいとレクチャーをしているんですよ。これが実態なんですよ。
大臣、こんなことを日本中でオールジャパンで始まったらば、要支援者に対する介護の質が保たれるとお考えですか。いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) いや、ですから、専門職の方が提供をされなければならない、そういうような状態像の方、これはケアマネジメントの中で、そのような形でケアマネジメントをしていくわけであります。
そうではない方々に関しては、それで費用が抑制すると、そこの部分だけ捉えておっしゃっておられますが、その前段、後段、私はどういうことを言っておるか分からないので何とも申し上げられませんが、そういう部分が確かに必要なものとしてそのようなサービスが必要な方々に対して提供すれば、その部分は確かに給付抑制になる部分はあります。
ただ、それが主眼ではなくて、我々は、そもそも状態像が改善したり悪くならない、若しくは悪くなる度合いが遅くなる、こういうような形の中において要は給付の伸びというものを抑えていくというのが我々の一番の眼目でございますので、それに向かって提案をさせていただいておるということであります。

○小池晃君 私は、これでは介護の質は保つことは当然できない、要支援者に対するサービスの質が低下する、そうなれば、結局、介護度が悪化して介護保険財政にだって私はマイナスに働いていくという本当に悪循環になると思います。
そもそも、やっぱり根本的な考え方がおかしいと思うんです。保険給付でなくしてしまうことを何か大臣は、いや、それは大丈夫なんですよ、地域支援事業でも同じようにやりますよと言うけれども、権利保障という点では、これは保険給付とそうでないのは決定的に違うじゃないですか。現行制度では、要支援者に対するサービスは保険料を負担したことに対する対価として、これは保険給付としてやられているわけですよね。
もう一回確認しますが、厚労省に、現行制度ですよ、要支援者が予防給付のサービスを予測以上に利用して予算不足した場合は、今の保険制度ではどう対応するんですか。

○政府参考人(原勝則君) 現行制度におきましては、介護給付費と予防給付については、当該年度に見込んでいた費用を結果的に超えた場合については翌年度に公費及び二号保険料による精算が行われる仕組みでございます。

○小池晃君 要するに、保険給付ですから、義務ですから、要介護認定という担保があれば、そういった方への給付を予算がないですからといって打ち切ることはできないわけですよ。要介護認定されて適正なサービスであれば、たとえ当初予算を上回っても保険者が追加負担をして給付を保障しなければいけないわけです。それが保険制度の根本的な考え方ですよね。
それが地域支援事業になったらどうなるか。これは、訪問・通所系サービスは市町村が予算の範囲内で行う事業になるわけです。訪問・通所系サービスの利用者、希望者が予測を超えて地域支援事業に掛ける予算が足りないというふうになった場合は、これは原理的にサービスの縮小、事業の打切りが可能になりますよね、イエスかノーかで答えていただきたい。

○政府参考人(原勝則君) そこはいわゆる上限管理の問題として、先ほど来言っていますように、市町村のいろんな事情なんかを個別にお聞きして判断をさせていただくということでございまして、やむを得ない事情で限度額を超えてやってしまうというような場合には、これはきちんと手当てをしていきたいと思っております。

○小池晃君 それは、だから恣意的な解釈が行政によって可能になるわけですよ、これはやむを得なかったのかどうかって。
今まではもう自動的に給付されるわけですよ。
だから、もしそれで上限超えれば、それでそのやむを得ない事情なるものが厚労省が認めなければ、そこでそれは打切りになりますよね、イエスかノーかで答えてください。

○政府参考人(原勝則君) それはあくまでもやっぱり個別で御事情を聞かないと一律には申し上げられませんけれども、もちろん、全く何も理由がなくて、ただ上限を超えてしまったような場合は、これはやっぱり、制度的にはそれは、それ以上は国費としてはお付き合いできないわけでございますけれども、そこはあくまでも個別にいろいろ御相談をさせていただきたいと思っております。

○小池晃君 やっぱりサービスの縮小は絶対しませんとは言えないわけですよ、これは保険じゃないから、保険給付じゃないから。そこは保険給付から、大臣笑っているけれども、保険給付かどうかというのはやっぱり権利擁護という点では全く違うわけですよ。そこは結局、行政のさじ加減になるわけですよ、最終的には。それで権利が守られるのかということですよ。
しかも、予防給付であれば、認定に不服がある場合は介護保険審査会という不服申立ての仕組みがあります。市町村事業にはそうした行政不服審査の仕組みはないと思いますが、いかがですか、局長。

○政府参考人(原勝則君) 確かに介護保険審査会の要介護認定処分、これは処分でございますから、現行制度では不服申立ての対象になっております。
一方、現行制度においてでもでございますけれども、サービスの利用に当たって給付をやるわけでございますけれども、これは利用者の意向や状態像等を踏まえたケアマネジメントに基づきましてサービスが提供されているということでございます。更に言えば、御本人が同意の上で提供されておりますので、その過程においていわゆる行政処分というのは現行制度におきましてもございませんで、不服申立ての対象となっておりません。
また、したがいまして、地域支援事業に移行後もそこは同じことになろうかと思います。

○小池晃君 実態は変わらないと言うけど、現行の義務的給付ならば、法定された給付が実行されないという場合は、当然これは不服申立ての対象になりますよね。当然そうだと思うんです。
しかし、訪問・通所サービスが地域支援事業で予算の範囲内の事業というふうになって、予算不足などを理由にして市町村の判断でこれはサービス内容を変えたという場合に、介護保険審査会に不服申立てできるんですか。

○政府参考人(原勝則君) 地域支援事業におきましては不服申立ての対象ではございませんが、現行制度の介護給付あるいは予防給付におきましてもサービスの給付については、これは行政処分ではございませんので不服申立ての対象にはならないということを申し上げております。

○小池晃君 もうちょっと時間が来ちゃったんで、ですけど、やっぱり、保険給付かどうかということの違い、やっぱりきちっとこれは、だって介護保険つくるときには利用者が選択できる制度にするんだと言いましたよね。パターナリズムではなくて、措置制度ではなくて、それぞれの利用者がやっぱりニーズに応じて使えるように保険制度を組んだわけでしょう。そこから何で外してしまうのか。これは外すということはやっぱり決定的に違うと思うんですね。やっぱり給付権が保障されなくなるわけですよ。個人の権利としての保障がないような経費に個人の保険料を充てるということ自体も、私は、その保険料の目的外使用だという指摘もありますけれども、そういう指摘だってこれは生まれてくるというふうに思いますよ。権利保障の財政的裏付けが全くなくなってしまうわけですよね。
だから、これは実態として、私は、サービスの低下ということが起こってくるだけじゃなくて、やっぱり個々人の、保険者、加入者としての権利がやはり地域支援事業ということになることによって守られなくなってしまうという制度の根本的な改悪だと、これ歴史的な改悪だというふうに思います。
今日は冒頭で利用料の二割負担の問題を取り上げましたけれども、あれも本当にでたらめな説明だったと思うし、全く根拠がなくなったというふうに思いますし、今日の議論を聞いていても、やっぱり医療計画の問題も、本当にこれ実行不可能だというようなことが盛り込まれているというふうに私も聞いていて本当によく分かりましたし、そういう点では、これを、短期間でこの歴史的な大改悪の法案を通してしまうなどということは絶対やってはいけないというふうに思います。もっともっと徹底した審議で中身を深めていくということを参議院としてはやるべきだというふうに思いますし、今国会では廃案という選択を取るのが一番だということを改めて申し上げたいというふうに思います。
終わります。

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