日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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要支援切り捨てるな 医療・介護法案に反対続々 参院公聴会 小池氏が質問

2014年06月16日

「赤旗」6月17日付

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(写真)公述人に質問する小池晃議員(右)=16日、
参院厚労委

 16日の参院厚生労働委員会で医療・介護総合法案に関する公聴会が行われ、要支援者への訪問介護と通所介護を市町村の事業に移してボランティアに委ねることなどに反対意見が続出しました。

 全日本民主医療機関連合会の山田智副会長は「(要支援者の)日常生活ができなくなり介護度が上がる」「認知症の人の感情が不安定になる」などの危険性を強調。「市町村事業への移行は断じて行うべきではない」と述べました。病床の大幅削減についても、高齢者の傷病で救急車の出動が増えていると指摘し、「急性期病床を減らさず、必要な医療を受けられる体制を整えるべきだ」と主張しました。

 連合の古賀伸明会長は「今回の介護保険法『改正』には反対だ」と表明し、「サービスの地域間格差が拡大し、要支援者の切り捨てにつながりかねない」と指摘。「19本の法案を束ねた当法案の審議は拙速だ。このように不十分な審議で見切り発車となれば将来に禍根を残す」と批判しました。

 日本ホームヘルパー協会の因利恵会長は「利用者の自宅に行き、1人で対応するヘルパーの仕事は難しい。ボランティアが育ったのをみたことはない。高齢者の社会的関わりが低下する時期から専門性あるヘルパーが関わることが重度化を予防する」と強調しました。

 日本共産党の小池晃議員は、特養ホームの入所制限(原則要介護3以上)をどう考えるかと質問。山田氏は「要介護1~2の待機者、約17万人を無視すべきではない。(施設の)基盤整備を行うべきだ」と答えました。

 小池氏はまた、介護保険料が保険給付でなく市町村の事業に回される点について「現役労働者の理解を得られるか」と質問しました。古賀氏は「保険料の納付に対し、給付が担保されてはじめて保険制度といえる。保険料が新しい地域支援事業に行くのは、社会保険制度の性格を逸脱する」と応じました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
両公述人、ありがとうございました。
古賀公述人にお伺いしたいと思うんですが、先ほどの介護保険制度改定についての御意見、大変共感しながら聞いておりました。やはり、保険料と給付という関係でいうと、保険料を納付する、それに対して個人の給付が担保される、このことによって権利性がやっぱり保障されていると私は思うし、もちろん自治体の事業であってもそれは住民の権利は保障されなければいけないと思いますが、より制度としてきちっと権利性を保障されている。ところが、今度、保険から外してしまうわけですね。
特に二号の保険料、連合との関係でいえば大事な問題だと思うんですが、これが結局、ある意味では保険給付以外に流用されてしまうということに、流用が拡大するということになっていくわけで、このことに現役労働者、被保険者の皆さんの理解、納得が得られるというふうにお考えでしょうか。

○公述人(古賀伸明君) 先ほど公述でも申し上げましたように、我々は、今おっしゃったようなそういう状況があるので、この介護保険法の改正については反対であるという立場を冒頭申し上げたということでございます。やはり、保険という性格上、そこには原則があってしかるべきだと思います。
繰り返しますけれども、保険料を納付すればそれがきちっと担保される、個人への給付が担保されるというそういう仕組みがちゃんと整って初めて保険制度と言えるものであって、今回の、したがって、新しい総合支援事業の財源にその保険料が行くということは、その性格、社会保険制度としての性格を逸脱するものではないかというふうに私は思っております。
以上です。

○小池晃君 ありがとうございます。私も全く同感であります。
それから、財源保障の問題なんですが、制度移行当初はその水準は確保するというふうに厚労省は今言っているんですが、その後は今までの伸びを後期高齢者の数の伸びに抑制をするというふうに言っておるわけですね。そうすると、結局、給付水準がこれから先低下していく、サービスの質と量が低下していくことが懸念されるんですが、この点はいかがでしょうか。

○公述人(古賀伸明君) 私どもも同様の考えを持っております。現在の移行段階では財源の比率は変えないということでございますけれども、高齢者がこれから増えるに従って、結局、その財源が少なくなってしまうんではないかという危惧をしているところでございます。
先ほどの議論でもございましたように、要支援の人こそきちっと支援をして要介護にならないような予防をすることこそが全体の社会にとっても非常に重要である、その観点からすれば、要支援の方に対するそのような対応というのは、マクロで見ても中長期的に見ても私はおかしいんではないかというふうに思っております。

○小池晃君 山田公述人にお伺いしたいと思うんですが、先ほど公述人はこの今回の政府提案全体を是認されるという立場でした。同時に、財政再建的な手法には危惧を持っていると。その例として、自立支援法やあるいは後期高齢者医療制度を挙げられました。そういう点でいいますと、今私が古賀公述人とお話ししたように、今回の地域支援事業というのは、この運用いかんによっては非常にサービスの低下、財政削減的手法に使われる危険性、私は十分あるんではないかなと。
例えば、現状の水準から伸び率と言うけれども、現状の水準も自治体によってかなり違うわけですね。かなり高い到達点でやっている自治体もあれば、そうでないところもあると。それをどうするんですかというふうに厚労省に聞くと、それはバッファーを置きますとかいろいろ言うんですよ。
結局、かなりさじ加減で抑制的な方向に働いていくような制度になるんではないかということを危惧するわけですけれども、そういった点についてはどうお考えでしょうか。

○公述人(山田啓二君) ですから、障害者自立支援法も後期高齢者医療制度も、そうした財政再建的なところが出てきた瞬間に私たち地方六団体は一致して結束して立ち上がって、そして多くの方々も立ち上がっていただきまして、補正予算を組んでいただきまして、その数は数千億円に上って、今は制度としては安定化してきております。
ですから、制度自身が悪いというよりは、その後、厚生労働省、私信頼していないといっても信頼している部分もありますので、要するにいろいろな圧力の中でなかなか厳しい点がある。本来は、私たち地方団体と厚生労働省、タッグを組んでやっていかなきゃならない部分がありますので、それをもう二度いろいろ勉強されたんだから今回三度目はそれはないでしょうと、そこをやっていただかなきゃ困りますよ、そうでなければ本当の意味でいい福祉の行政はできないということでありますし、やはりある程度、市町村が置かれている実情が非常に異なります、人材面でも様々な面でも異なっている、社会環境も異なっている、そのときに一律の形で物事を進めていくのは限界にかなり来ているんじゃないかというのが、これは地方公共団体側の共通した思いであるということは御理解いただきたいなというふうに思います。

○小池晃君 私は、二度あることは三度あるということを思いますが、そうならないように本当に願いますが。
最後に、古賀公述人にもう一問お伺いしたいのは、最近のちょっと厚生労働省の様々な、あるいは安倍政権と言ってもいいのかもしれませんが、政治手法といいますか、特に労働者派遣法あるいは今議論されている残業代ゼロ法案、政府の規制改革会議なり産業競争力会議という公労使三者構成ではないところで、首相も関与する形で大きな政策決定が行われてしまう。そして、労働者派遣法についていえば、労政審に派遣業界の代表をオブザーバー参加させる。やはり、ILOの大原則である公労使三者原則、これを実際に実行しないような形で労働者の命綱であるいろんな法令もつくっていくと、こういう非常に乱暴な今の安倍政権のやり方、この点についてどうお考えか、最後にお聞きをしたいというふうに思います。

○公述人(古賀伸明君) 日本の社会や経済を持続可能性あるものにするためには、五千万人とも六千万人とも言われる雇用労働者が雇用不安を解消をして、そして将来共に安心して働き続けられる、そんな環境をつくることが第一義であるというふうに思っております。そういう意味では、現在行われているまさに雇用分野や労働分野の規制緩和、我々の言葉でいいますと労働者保護ルールの改悪については、とんでもないことだというふうに思っております。
しかも、今御質問にございましたように、国際労働機関、ILOは、労働政策については三者構成主義という原則があるにもかかわらず、労働者の代表が一人もいないところで労働政策が議論をされ、そして方向付けされている、このことについては私たちも非常な憤りを感じているということでございます。
以上です。

○小池晃君 ありがとうございました。
古賀会長が、働く者の犠牲の上に立つ成長戦略は許されないと、人は商品ではないというふうに主張されております。まさにそのとおりだというふうに思いますし、この厚生労働委員会ではそういう立場でやはり社会保障制度も労働政策もしっかり議論していきたいというふうに思っておりますし、十九本の法律をというお話が冒頭ございました。やっぱり拙速な審議は許されないと思っていますので、徹底的な審議を求めていきたいというふうに思っております。
ありがとうございました。

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