日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2016年5月23日 厚生労働委員会 速記録

2016年05月23日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 とりわけ岡部参考人、衆議院でああいう経過があり、こういう形で来ていただいて、お話聞けて大変良かったなと、参議院としての役割を果たせたのかなというような思いで聞いておりました。
 そこで、お聞きしたいと思いますが、事前にお伝えしている質問、二問させていただきたいと思います。
 一つは、今回、衆議院での経過も踏まえて、障害者や難病患者の皆さんに対する合理的配慮、これを整備する上で、国会においてそれを整備する上でどのようなことを要望されますでしょうか、まずお聞かせください。

○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) まずは、通訳の技能が大きく影響するので、とてもうまい人を二人そろえることです。二つ目に、事前に陳述の内容の原稿を作成することはもちろんです。
 三つ目は、事前に、議員さんからも前日までに私への質問を出してもらうことです。それなら、事前に私の答弁を作成しておくので全く時間は問題ないです。四つ目は、委員会での質問に対して、私の質問は最初にしていただいて、答弁は最後にさせていただければ、その間にこれだけの速度で答弁を作成できます。五つ目は、私の質問に対して私の代理で答弁できる者を事前に指定させていただいて、それを認めていただければと思うのです。この代理人の発言は、あくまでも当事者が発言できないやむを得ない事態が発生した場合に限ります。
 以上です。

○小池晃君 ありがとうございました。
 ちなみに、今回この参議院では今言われたとおり実現しているということになりますでしょうか。

○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 四つの工夫によってこの参考人を務めさせていただいていますので、とてもそれは対応してくださったと思います。

○小池晃君 ありがとうございます。
 それから、入院時のコミュニケーションの難しさが命の危険につながるという指摘、あるいは喀たん吸引や胃瘻などの問題、医療行為が慣れたヘルパーの付添いが必要だという御指摘をされています。
 そこで、岡部さんが入院された際に実際に困ったこと、悩み苦しんだこと、これを具体的にお聞かせいただけますでしょうか。この点で改善を期待することもあればお願いします。

○参考人(岡部宏生君)(陳述補佐) 私は、この病気に罹患してから、胃瘻の造設や気管切開して人工呼吸器を付けたときなどに入院しています。
 特に、気管切開をしたときは二か月の入院生活でした。そのときに、在宅で使う呼吸器に慣れるために、病院の呼吸器を外して在宅用の呼吸器を使っているときに、回路の緩みがあったことに気付かずに呼吸困難になったことがありました。
 また、私の両肘は拘縮していますが、そのときの入院時にリハビリテーションの時間はあったのですが、コミュニケーションが取れなかったことから希望が伝えられなかった結果として拘縮してしまいました。
 特に悩んだことは、看護師さんにコミュニケーションを求めることが困難なことでした。看護師さんたちはいつも忙しくしていて、私に時間を割いてくれとは言えない状態であることが分かったことです。看護師さんの中には、私のために休みのときに仕事をしている人もいました。そんな状態で、私はコミュニケーションに時間を掛けてほしいとは言えなくなりました。それが最もつらかったことです。
 以上です。

○小池晃君 ありがとうございました。
 先ほど、石井委員の方からは実際病院に見に行こうじゃないかという御提案もあって、これ私も賛成ですから、石井先生と私が賛成すれば大体できるんじゃないかなと思いますので、是非これも実現の方向に向けていければなと思います。
 藤岡参考人に伺います。
 今回の法案は骨格提言を法制度化するということに全くなっていないんじゃないかという、私も本当にそのとおりだなというふうに思っておりますが、やっぱり基本合意、骨格提言、権利条約を実現するという基本姿勢に立ち返ってほしいと。
 そして、その前提として、この間、国会の答弁で厚生労働大臣が、基本合意は、これは障害のある方を始め当事者の皆様の思いが込められたものであると言っているんですね。これちょっと違うんじゃないかなと。これ約束ですよね。何か障害者と当事者の思いが込められたものだから重視するんだというのは、この答弁は私はちょっとおかしいというふうに、率直に言って。これはもう国のやはり責任が生じていると、約束なんだというふうに、先ほどのお話だとそういうことになるかと思うんですが、この点いかがでしょうか。

○参考人(藤岡毅君) もう先ほどその点についてはかなりはっきり申し上げたとおり、国約ですということで、国の約束を守っていただきたいということです。

○小池晃君 ありがとうございます。
 さらに参考人は、この資料の二十六ページで、権利規定が非常にされていないと、設けられていないという問題点を指摘をされています。
 やはりサービスメニュー羅列法から権利保障法へと、障害者の基本的人権を保障し、その行使を支援する法律に転換することが大事だというふうにおっしゃっているわけですが、具体的にこの権利規定についてどのようなことが必要かというふうにお考えでしょうか。

○参考人(藤岡毅君) 現在の総合支援法が権利保障法になっていないということを例えば検証する一つとして、移動支援が挙げられると思うんですね。今の法律では、七十七条の地域生活支援事業をやりましょうという中で幾つかの事業が羅列されていて、第一項八号に六文字で移動支援事業と、ただ六文字書いてあるだけなんですよね。一体これは何のために何をすればいいのかということが何にも書いていないんですよね。
 そうではないはずで、障害を持った人は社会生活上の移動の自由が奪われていて、それを保障することによって社会生活に参加するんだという、まず移動の自由、権利というものが保障されなければいけないということを法の総則部分、骨格、基礎部分に書かなければいけないですよね。それに基づいて、実際にどういう施策、事業をやりますかというのは各論として提示する、そういう構造にするべきなんですね。それがなっていないということで、じゃ、どうすればいいのという答えは骨格提言にあると思うんですね。
 私、手元に今、百二十一ページの骨格提言、二〇一一年の骨格提言を持ってきているわけですけれども、これを条文化、法制化すればいいわけですね。私の配付資料でいうと、二十六ページに、地域で自立した生活を営む基本的権利の保障規定を設けなさいということを骨格提言が言っていて、実際に七項目あるいは支給決定に関しての数項目の具体的な規定が提案されていますので、こういうものをしっかりと総則部分に書き込んで、それに基づいて各施策を書くということをすればいいと思うんですね。実際上もうここにある種の答えはあるわけですから、二〇一一年の骨格提言を法制化するという方向性を確認していただきたいんですね。
 実際は法の条文化に落とし込む作業について官僚の皆さんに丸投げをしてしまっていますので、そこが問題だと思うんですね。だとしたら、権利条約を実現するための骨格提言法制審議会みたいなものを例えば内閣府の下につくるなりして、できれば、そういうメンバーは、障害者の支援を頑張っている弁護士とか法律家、有識者、あるいはそういう権利論に詳しい障害当事者の方に入っていただいて、そういうものを骨格提言の具体的法案化という作業をすればいいと思うんですよね。
 もしそれができないというのであれば、障害者権利条約推進議連ってあるじゃないですか、超党派で。そういう母体で、皆さん、権利条約を実現するということにはもう党派性なく一致されているわけですから、そうであれば、先ほどのようなものを議員連盟の部隊としてのチームにして法案化作業をして、議員立法で国会に提出するなりして、あくまでも権利条約を実現するための骨格提言法案化というものを徹底してやっていただきたいということを改めて強く求めたいと思います。

○小池晃君 大事な指摘ありがとうございます。
 それから、先ほどちょっと時間の関係で余り触れていただかなかった部分で、自立支援医療の低所得者無償化がほごにされているという、これも私、今度の法案の非常に重要な問題点ではないかなと思っているんですが、この点について、先ほどお話しいただけなかったことも含めてお願いできますか。

○参考人(藤岡毅君) これは、二〇一一年以降、毎年約束いただいていたんですけど、毎年裏切られてきているという経過があります。
 難病法が成立する過程において、政府が自立支援医療についての負担というのはもうこれで固定されているんだということで、あれに合わせましょうということで、現行の自立支援医療を無償化することを前提でなくて、今有料化しているんだからということで、無償の難病者が有料化に引き上げられたという経過が今回あったんですね。
 これはまさに基本合意の趣旨を損なう話ですので、そういう議論というのは本当に本来やめていただきたいですね。あくまでも基本に立ち返っていただいて、自立支援医療の低所得者無償化の実現というのは合意ですので、約束は果たしていただきたいと思います。

○小池晃君 ありがとうございます。
 さらに、介護保険優先原則の問題なんですが、先ほど原理原則として、社会保険原理と社会保障制度というか、これは異なるんだという、そういうお話がありました。保険原理と相入れないんだと。それに加えて、判例やあるいは学説という点から見て、介護保険優先原則というのがやはり誤っているんだという辺りの御指摘、先生されていると思うんですけれども、そこをお話しいただけますでしょうか。

○参考人(藤岡毅君) いや、ちょっとこの場では、二十三ページ、二十四ページにいろいろ書いていますので、ちょっとそれを今ここで解説するのは時間がないので難しいと思うんですが、現場では重度訪問介護と介護保険の訪問介護というものが一緒じゃないかということで優先原理で困っているという現実があるんですが、私から言わせると、マラソンで例えるんであれば、重度訪問介護というのは、六時間以上、八時間以上を見守るという、オーダーメードで一人一人のペースで、マラソン、市民ランナーがゆっくり走るので、それを見守りますよという制度なんですね。
 介護保険のもう家事援助等の居宅における訪問介護って、もうストップウオッチを持って、二十分、三十分の間に、やれ洗濯をやりましょうというような、非常に慌ただしくて、既製品であって大量生産に合うような、そういう二つの全く違う、異なるものなんですね。
 短距離走と市民ランナー、これを一緒くたにせよというのが今の介護保険優先原則のイメージなんですね。そういう根本的に間違ったことはやめてほしいということを御説明させていただきます。

○小池晃君 ありがとうございました。
 終わります。

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