日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2014年6月10日 参院厚生労働委員会 速記録

2014年06月10日

参院厚生労働委員会
2014年6月10日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。引き続き、介護利用料二割負担の問題を聞きます。
これまで厚労省の説明で一番はっきり言っているのは、去年九月二十五日の社会保障審議会介護保険部会での、夫婦の世帯が三百五十九万円というモデルの場合は二百五十万円から三百四十九万円という辺りの消費支出が近いということで、この二百四十七万円を当てはめると、可処分所得三百七万円から二百四十七万円を差し引き約六十万円が手元に残るという説明をしておりました。だから二割負担は十分に可能だと言ってきたんですが、今日は厚労省が新たな資料を出してきて、これは厚労省の方で今日配っているんですが、この資料について簡潔に説明いただくのと、改めて聞きますが、年金収入三百五十九万円のこの表で言うと一番右のモデルの消費支出に近い世帯は、この三つの区分の家計調査のうちどれになるんでしょうか。お答えください。

○政府参考人(原勝則君) ありがとうございます。
お手元に、小池議員の方から資料要求という形で、三百五十九万円の収入に近い消費支出ということで、これはこれ以外にないものですからこれを配付させていただきました。
これは、右側の方に私どもが二割負担をしていただく場合のモデル収入世帯、年金世帯を書いてございます。それから、点線の左側がいわゆる平成二十四年の家計調査で分かる無職高齢世帯二人以上の場合の収入と支出の状況でして、一番左に平均、それからその中で三区分ございまして、三つございます。
私ども、これまでは利用者負担割合を二割に今回引き上げたいということで、その場合の介護費用を負担する際に負担が可能な消費水準として比較対象としての階層はどれが適当かということを検討して、この表の中の真ん中、二百五十万から三百四十九万円の階層について説明をしてきたつもりでございます。
そうではなくて、今議員からお尋ねがございましたように、要介護状態になっていない現在の状態でという前提に立った場合には、年金収入が三百五十九万円であることを考えれば、モデル世帯の現在の消費支出は、強いて言えばこの表の右から二つ目のところ、年間収入三百五十万円以上の区分に近いと考えられます。

○小池晃君 介護保険部会では、そうではなくて二百五十万から三百四十九万円が近いと言ってきたんで、じゃ、この説明は撤回するんですね。

○政府参考人(原勝則君) 言葉足らずの説明であり、大変おわびを申し上げたいと思います。六十万円が手元に残る、余裕があるといったような説明については撤回させていただきます。

○小池晃君 六十万円残るどころじゃないんですよ。この右の三百五十万円以上が近いとすれば、これは可処分所得三百七万円ですから、消費支出三百四十二万円ですから、六十万円余るどころか三十五万円足りなくなるわけですよ。しかも、大体これ見ていただければ、どの年金世帯だって年金でお金が余るなんという家庭はないわけで、みんな貯金を取り崩している、そのことで生活成り立っているという実態ですよね。
大臣、大臣も、六月三日の質疑で実態に近い数字を使ったんだというふうに言いましたけど、これ、間違いですね、この説明は。実態に近くないし、実態に近いのは、今説明あったようにこの三百五十万の世帯ですよね。あの答弁は間違いだったということを認めていただきたい。

○国務大臣(田村憲久君) 前年収入という意味では、近いところはどこかといえば二百五十万から三百四十九万ということで申し上げたわけでありまして、三百五十万以上というのはそれ以上でありますから、これ、年金生活者の収入だけ、無職高齢者世帯とは書いてありますが、前年働いていた方々の収入というのも入ってくるわけでありまして、でありますから、あえて前年の収入で近いところはここだというようなお話をさせていただきました。前年の収入が多いということになれば、当然、七百万、八百万、現役世代の方々では一千万を超える方々もおられるわけであります。
ましてや年金収入が非常に多い方でありますから、そういう意味からいたしますと、そういうような方も入ってきておるということであえて申し上げたわけでありますが、委員のおっしゃられる意味の実態という意味からすればそれはおっしゃられるとおりでありまして、この三百十一万というところの方が近いということは間違いないと思います。
ただ一方で、この三百四十二万という数字は、要は実収入プラス今までの貯金の取崩しということでございます。三百四十二万ということは月々三十万近く支出があるということでありまして、かなり老後豊かな方々であろうということであろうと思います。

○小池晃君 いや、僕が言った実態じゃなくて、皆さんが実態はこうだと言ってきたんだから、そういうことを言っちゃいけないですよ。
大体、要は、結局、何か今度の二割負担の人は、黙っていても二割負担やるような余裕があるんじゃないんですよ。やっぱりそういった人たちも、その水準の消費支出に比べると、うんと節約しなければ二割負担のお金は出てこないということを示すものじゃないですか。
大体、介護保険部会も、それから衆議院での審議でも、そんな説明は一切しなかったわけですよね。実態として六十万円余ると言ってきたんですよ。それでこういうことになった以上、この法案は撤回するしかないじゃないですか。これ、そもそも二割負担を可能にしてきた論拠が崩れたんですよ。もうこれは潔く、これはもう法案撤回してください。

○国務大臣(田村憲久君) 何度も申し上げますけれども、この世帯でいきますと、月三十万近い、ほぼ三十万の収入がある夫婦世帯で、年金収入であります。そういう世帯であります。消費支出も三百四十二万、これは実収入が多ければ当然のごとく、それに貯蓄を取り崩すので、かなり豊かな、豊かなとは言いませんけれども充実された支出もされるのでありましょう。そういう方々には、申し訳ありませんが、最大二十二万円ぐらいになると思います。それが二割負担の最大の方々であろうと思います。こういう方々に関しましては、何とか御理解をいただいて御負担をいただければ有り難いということであります。

○小池晃君 二十二万円という数字も今まで言っていなかったんですよ。なぜか急に介護だけの話になっているわけですよ。介護だけで上限まで使うなんというのは実態としてはないわけで、上限まで介護を使うような人は医療だって上限まで使っているんですよ。だから、最初の説明は二十二万なんて言わないで六十万と言っていたわけじゃないですか、医療、介護の上限額使えば六十万だと。その説明も変えてきている。
私は、これは、こういう説明は今までしなかったことははっきりしているんです。参議院の審議になってから初めて説明しているんですよ。それは間違いないじゃないですか。そういう点でいえば、せめて、これから政令で定めるわけでしょう、二割負担のラインは。だったらば、今回のこの参議院での指摘を踏まえて、やっぱり政令で定める二割負担の所得水準はせめて医療の保険の上位所得者と同じラインにするとか、そのくらいの反省の姿勢を示すべきじゃないですか。どうですか。

○国務大臣(田村憲久君) 反省はします。しかし、反省とか反省じゃなくて、負担能力のある方々には負担をお願いをさせていただきたいということでございますので、その点はどうか御理解をいただければ有り難いというふうに思います。

○小池晃君 反省と口だけ言ったって駄目なんですよ。だって、態度で示さなきゃ、やっぱり政策で示してもらわなきゃ、こんなの前代未聞なんだから。ずっと説明してきたことと全然違うことを参議院で言い出したわけだから、これは重いですよ。これは、趣旨説明の文章にコピペがあったとかそういうレベルの間違いじゃないですから、これは。だから、これどっちかですよ。もし意図的に六十万という数字を導き出そうとしてやっていたとすれば、非常にこれは捏造だと言われても仕方がないし、もし間違っていてこれをやっていたんだとすれば、これは厚生労働省の能力が問われる問題ですよ、本当に。これは深刻な問題だと私は思いますよ。やっぱり、この指摘踏まえて本当に見直していただきたい。
これ、もうこればかりやっていると時間なくなっちゃうので、ちょっとこの問題は引き続き、今日の答弁も再検討させていただいて、これはまた取り上げていきたいというふうに思います。
医療事故の調査制度の問題について聞きます。
この第三者機関の創設については私どもも求めてきたことなので、ただ、今回のその制度には懸念もあるのでただしたいと思うんですが、今回の制度は、これは大臣も繰り返し答弁していますけれども、再発防止と医療の安全性の向上を図るものであって責任追及ではないということなんですが、ただ、再発防止というふうに言うと、これは原因究明必要になってきます。原因究明というふうになると、それは直ちにやっぱり責任追及に結び付いていく可能性もあるわけですよ。その懸念が医療界にもあるわけですね。
大臣は、ここにどう応えるのか。安全性の向上、再発防止という政策目的と責任追及ということが今回の制度ではどう遮断されているのかいないのか、ちょっと説明していただきたい。

○国務大臣(田村憲久君) 平成二十年に医療安全調査委員会設置法案大綱案というものを示させていただきました。この中では、医療法二十一条、これを免除するということのために、公的な第三者機関、ここで故意であったりだとか重度の過失、こういうものがあった場合は報告を警察にすると、届け出ると。また、これは行政処分の対象にもなってくるわけでありました。
これでいろんな議論をしたんですが、やはり医療関係者も含めいろんな方々から異論が出ましたので、今般の法案になったわけでございまして、この中は、まさにこの医療法二十一条、これに関しては、あっ、ごめんなさい、医療法じゃない、医師法二十一条、これに関しては対象にしていないと。そもそも、そういうような話ではなくて、あくまでも民間の第三者的な機関、つまり医療事故調査・支援センターなるものが、これが言うなれば届出を行ったりでありますとか、また行政処分の対象というような形で報告書をまとめたりだとかはしないわけでございまして、報告書等々を受け取った場合においても、これはもちろん遺族の方々にはお渡ししますが、その内容も、誰がどのようなことをやったという個人名でありますとか、過失があるだとか、責任があるだとか、そういうような書きっぷりにはしないと。これはガイドラインで具体的には定めてまいりたいというふうに思いますが、そのような責任追及というようなガイドラインの内容にはせず、あくまでも医療の事故、どういうような理由で事故が起こったか、さらには原因究明の後、それを再発防止のための参考資料として使っていくというような内容にしてまいりたいと、このように考えております。

○小池晃君 その再発防止の問題なんですけれども、これは報告書の中に個別ケースの再発防止策が書かれていると、これは結果回避義務違反に問われる可能性もあると言われています。
局長に聞きますが、再発防止策については一定の事例が集まった段階でまとめて、個々のケースが特定できないようにした上で公表するといったような配慮が必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(原德壽君) お答え申し上げます。
医療事故調査支援センターでは再発防止に係る普及啓発を行うこととしておるところでございます。御指摘のような、一定の事例が集積された段階で類似事例についてまとめて普及啓発策を提案すると、そういうことも有効な手法であるとは考えております。
ただ、具体的にどういった形でやるかについては、今後ガイドラインを策定する中で検討する予定でございますので、責任追及や紛争解決を目的とした制度ではないということを踏まえて、医療従事者の氏名や過失の有無など個別の事例が特定できないような形での配慮は十分にしていきたいというふうに考えております。

○小池晃君 条文の中には第三者機関に対する公費負担の規定ないんですけれども、やはり国が十分な責任を果たす必要はあると思うんです。
遺族の費用負担が事故調査をちゅうちょさせるようなものであってはならないと思うんですが、この点はどうお考えですか。

○政府参考人(原德壽君) 費用負担についてはどうするかということで、特にいわゆる医療事故調査・支援センターが調査に掛かる場合に、その費用についてどうするかについて、この検討会の段階では、当然ながら遺族や医療機関からの申請に基づき行うものであるから、一定のそれぞれの負担は必要だろうと。そのほか、一般的な支援センターの運営には学会や医療関係団体からの支援、あるいは国からの補助金等々が必要だとされております。
その上で、その遺族から費用をいただくとしても、その検討段階では、調査を申請した遺族や医療機関の負担を求めるものの、制度の趣旨を踏まえ、申請を妨げることとならないよう十分配慮しつつ負担の在り方について検討することとされておりますので、そういうような観点で検討していきたいと考えております。

○小池晃君 最後に、大臣に医師法二十一条について聞きたいと思います。
二〇〇一年四月三日の当委員会で、私の質問に対して当時の医政局長は、医師法二十一条の規定は医療事故そのものを想定した規定ではないというふうに答弁しました。しかし、その後の動きの中で拡大解釈が広がりました。改めて、医師法二十一条についての厚労省の解釈をお述べいただきたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君) 医師法第二十一条でありますけれども、死体又は死産児、これにつきましては、殺人、傷害致死、さらには死体損壊、堕胎等の犯罪の痕跡をとどめている場合があるわけでありまして、司法上の便宜のために、それらの異状を発見した場合には届出義務、これを課しているわけであります。医師法第二十一条は、医療事故等々を想定しているわけではないわけでありまして、これは法律制定時より変わっておりません。
ただ、平成十六年四月十三日、これは最高裁の判決でありますが、都立広尾病院事件でございます。これにおいて、検案というものは医師法二十一条でどういうことかというと、医師が死因等を判定をするために外表を検査することであるということであるわけであります。一方で、これはまさに自分の患者であるかどうかということはこれは問わないということでありますから、自分の患者であっても検案というような対象になるわけであります。さらに、医療事故調査制度に係る検討会、これ平成二十四年十月二十六日でありますけれども、出席者から質問があったため、我が省の担当課長からこのような話がありました。死体の外表を検査し、異状があると医師が判断した場合にはこれは警察署長に届ける必要があると。
一連の整理をいたします1と、このような流れの話でございます。

○小池晃君 これで医師法二十一条が何でも医療事故を届けるようなものでないということがきちっと確認されたと思います。私はきちんとこれは法改正もすべきだというふうに思います。
あわせて、やっぱり今回の法案全体でいうと、これはむしろ逆に医療を崩壊させるようなことになって医療事故を起こすようなことに私はなりかねないというふうに思っていますので、このやっぱり医療事故の問題は改めて切り離してきちんと議論すると、法案としてもそういう処理を求めたいということで、質問を終わります。
以上です。

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
私たちはこの法案全体としては医療、介護の大改悪だということで反対をしているんですが、この事故調査制度についてはスタンスはちょっと違って、やはりこれは必要だということで以前から主張してきた問題なんですね。だから、本当はもう切り離してほしいというふうに思っていますし、集中審議を是非ということも申し上げてきて、今日こういった形でこの問題についての参考人質疑できたことは大変良かったのではないかなというふうに思っております。
〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕

その上で、まず豊田参考人にお聞きしたいのは、先ほどお話があった信頼される制度にするための五つの課題、私も大変よく分かるんですね。しかし、そういう中で、今、ある意味じゃ、長年主張してきたことが実現という道が見えてきているという中で、僕も何度も集会に参加もさせていただいたし、どんな思いで今この議論、どんな期待を、どんな思いをお持ちなのか、率直な感想というか、この間取り組んでこられた思いをちょっと聞かせていただければなと思うんですが。

○参考人(豊田郁子君) ありがとうございます。
本当にここまでたどり着いたということでは、本当に、本日の発言の機会をいただいたことも含めて、大変有り難いことだというふうに思っています。
その一方で、やはり形だけの調査制度になってしまいますと、いつどこでどの場面で関係性が崩れてしまうか分からない、医療機関と患者との関係性が崩れてしまうか分からないような制度にもしなってしまったとしたら、それは本末転倒だというふうに思っておりまして、実際に私も医療事故調査報告書というものは受け取った経験がございますけれども、その中を見ると、しっかりとした聞き取りを行っていないので事実関係が違っていたり、結論も私たちが求める根本原因を究明するためのものではなかったりということになっておりますので、調査の本当に医学的評価の部分だけをしっかりさせるということだけでいいわけではありませんし、それから最初の、今、入口のところの窓口のお話も出てきましたけれども、その入口のところで届出が行われない。それは、先ほどから申し上げていますように、費用が医療機関が負担できないから調査を行うことができない、届出をすることができないというところから、もうそこで階段を踏み外してしまうということにもなると思いますし、本当にどこの過程で何が起きてしまうか分からないというような調査制度でしたらつくってもらわない方がよかったということになってしまいますので、これは本当にそう簡単にできる制度ではないというふうに考えておりますことから、やはり是非集中審議をお願いしたいというふうに思っております。

○小池晃君 ありがとうございました。
本当に懸念とか課題とかいっぱい私もあるなと思っていて、今日お話聞いて、ちょっとこれは山本参考人の御意見をお聞きしたいと思うんですが、この仕組み自体は医療機関側、しかも管理者が提起するということでスタートするという仕組みになっているわけで、やっぱり先ほどの豊田さんのケースなども、内部告発というようなこともあったわけですね。やはり遺族側からの提起、発議によって、そういう仕組みがないわけですよ、やっぱり一定の何か仕組みを、この制度とは別になるのかもしれません、この制度の中に仕組めれば一番いいとは思うんですが、そういう遺族側から発議をして解決をする、訴訟でない手段で解決していくという仕組みは、やっぱり何らかの形でできないんだろうか。
あるいは、医療者の側でも、例えば東京女子医大の最近の例でいっても、内部で、それも中枢部で深刻な意見の対立があったりすることもあるわけですし、また逆のケースもいろいろあると思うんですが、そういった問題を解決していくという点で課題は何なのか、御意見をお聞かせ願えますでしょうか。

○参考人(山本和彦君) ありがとうございます。
調査部会、検討部会の議論の中でも、委員のおっしゃるような制度が必要ではないかという意見、かなり強い意見はあったというふうに理解をしております。
ただ、先ほど申し上げましたが、基本的な考え方として、この制度、今回の制度をつくるに際しては、以前の制度とはかなり考え方を変えて、やはり医療機関の自主性、自律性、そのプロフェッションとしての責任に期待していくという考え方が基礎として置かれたということがありますので、まずは医療機関の方でそれが届出をすべき医療事故かどうかということを判断をしていただく、自律的に判断をしていただく、それを前提に院内調査の手続に入っていただくと。
ただ、そこが医療機関ごとにずれたり、あるいは本来は届け出るべきものを届け出なかったりということがあってはならないので、そこに共通の物の考え方、こういうものはやはり届けるんだということをガイドラインなり一定の共通の基準を設けていこうというスタンスで制度が組み立てられているということでございますので、今のところでは、患者側からの直接ということはややその基本的な考え方とずれがあるということなんだろうというふうに思います。
ただ、私自身はそういうこの仕組みがうまく機能していくということを期待していますし、現在の医療界の自分たちのこれは責任でやっていくんだという機運みたいなものを私は非常に重視して尊重したいと思っているわけですけれども、ただ、もしこの制度がそういう意味で必ずしもワークしないような事例というものが多く出てくるというようなことがあるとすれば、委員が御指摘のようなことを、おっしゃるように、この制度の内か外かということは分かりませんけれども、考えていく必要が出てくる事態というのは、そういうのは起こってほしくないとは思いますけれども、そういうこともあり得るかなと、今のところそういうふうに思っております。

○小池晃君 ありがとうございました。
私も、本当にこれはそういう意味ではガイドラインがすごく大事だと思っていて、ある意味では法律並みにというか、法律以上にかなりこれはきちっと作らないといけないものだと思うんですけど、それはちょっとなかなか議論ができないまま、やっぱり法律が先行してしまう。それは大変懸念を持っていて、やっぱりそういう点でもちょっとこれは切り離して、本当に集中的な審議をやる必要があるんじゃないかなというふうに思います。
あと、済みません、一言、後参考人に。
これ、報告書を拝見すると諸外国の医療事故報告制度なども研究されておられるようですけれども、その点で日本が学ぶべき点というのが何かもしあれば一言お願いできればと思います。

○参考人(後信君) ありがとうございます。
こういう報告制度で、日本のように人口規模が一億人を超えていてしかも全国の医療機関を対象にしていて、しかも報告される一例一例を見ると、麻酔の事故とか手術の事故とか、そういう実質的に非常に学ぶべきものが多く報告されているというような報告制度というのは、私は海外でいろいろお話をしても余りない、ほとんどないと。例えば、患者さん同士がけんかをしたとか転倒したとか、そういうものばかり、数ばかり報告するような仕組みになってうまくいかなかったというようなことは聞いたことはございますが、このような仕組みというのは非常に評価されておりまして、それで海外からも講演の御依頼なども参っているということでございます。

○小池晃君 ありがとうございました。
終わります。

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
参考人の皆さん、ありがとうございます。
勝田参考人にお伺いしますが、参考人は介護保険部会の部会に出席をされて、繰り返し二割負担の所得のラインがこれはおかしいということを提起されて、当時厚生労働省は、これは負担可能なんだと、六十万円手元に残るんだと説明をしておりました。
それが、この参議院の委員会での私の指摘で、六十万円手元に余裕があるのは撤回すると、これは何とかやりくりしていただくという意味だったと。今日の午前中は、大臣は反省していると、こう言いました。しかし、反省で済む話ではないわけであって、これはやはり介護保険部会に私は差し戻すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○参考人(勝田登志子君) 私もこれを聞いたときには本当に驚きと怒りと両方でした。私たちが介護保険部会で真摯に論議をしているその資料の出し方、それが間違っていたと、そして厚生労働大臣が間違いであったと認めたのであれば、当然、これは差し戻すべきだというふうに私は思っています。

○小池晃君 重ねてお聞きしますが、厚生労働省は、これは説明不足だったんだと、言葉が足りなかったんだというふうに言うんですが、私は全く違うことを説明していたんだと思うんですが、会議に参加されていた参考人の受け止めはいかがでしょうか。

○参考人(勝田登志子君) おっしゃるとおりです。そういう点では、ほかの実は出される資料もいろいろと、これでは私たち委員が間違った判断をすると思われる資料が随分ありました。ですから、例えば高齢者は金持ちだという資料を出されるときでも、例えばゼロの方と一億の方で真ん中が五千万だから中央値とか平均値という出され方をしたので、そういうのは困るというふうに言いました。
ただ、今御指摘のあった部分についても、これは意図的だったのではないかと今は思っております。

○小池晃君 私もその可能性は大いにあるというふうに思っていますので、ちょっと今日のお話も含めて、大臣にも総理にもしっかり伝えていきたいというふうに思いますし、これは撤回しかないというふうに思います。
それから、石橋参考人にお伺いしたいんですが、参考人は極めて紳士的にお話をされましたけれども、私が参考人の言いたいことを私なりに言うと、二〇〇七年に国会で一元化決めたくせに五年も準備期間あったのにそれをやらずに、それを更に三年延ばした上に今度また一年延ばすと、何をやっているんだというふうに多分おっしゃりたいんではないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○参考人(石橋真二君) おっしゃるとおりです。

○小池晃君 私は、介護福祉士の資質の向上、専門性向上するということでやったわけであって、介護の仕事はやっぱり本当に高度な知的労働だと思うんですよ。それをやっぱりきちっとした基準で国家試験でやるというのは当然のことだと思っていますし、ハードルという話あったけど、六百時間って最初言っていたんですよね、それを四百五十時間に下げたわけですからね。
実は、これ一年間でこれからいろいろ検討すると言っているわけで、私、大変心配しているのは、更にハードル下げるんじゃないかと。厚生労働省は外国人労働者とは関係ないとは言うんだけれども、でも、一方でそういうことがざわざわざわざわやっているわけで、私は、これは全体として介護労働者の地位の向上という方向から見てまさに逆行でしかないというふうに思うんですね。その点では、この一年間でハードルをこれ以上下げるようなことはやっぱりやるべきでないと思うんですが、参考人のお考えはどうでしょうか。

○参考人(石橋真二君) 基本的には小池議員がおっしゃるとおりだというふうに思っています。
やはり二〇〇七年の法律改正のときには資格取得方法一元化をして質を担保して、そして社会的評価を得ようということが皆さんたちの合意だったはずだというふうに思っております。それが最低限、最低限の縛り、縛りというか、質の担保に必要だというふうに思っております。
今現在、介護福祉士の資格を取られている方の、ちょっとほかの話になるかも分かりませんけど、やはり半数近くは潜在介護福祉士といって、せっかく資格を取っても介護の現場に来ていないという非常にもったいない話です。その人たちの多くの方たちは、一部要件がきちんと満たされれば介護の現場に帰っていきたいというふうに思っています。それは、やはり介護福祉士としての社会的評価を得たい、それなりの待遇面とか労働環境の整備等もありますけれども、そういうような条件面の整備というのがやはり最優先するのではないかなというふうに思っています。

○小池晃君 私は、こういうことも盛り込まれているんですよね、今回の法案ね。これはやっぱり、余りにももうごちゃごちゃにこういういろんな問題あることが盛り込まれているということだとこれも思います。
それから、勝田参考人、もう一度、要支援を保険給付から外す問題について聞きたいんですが、私、質問で取り上げたのは、やはり要支援二と要介護一というのは非常にもうさじ加減なんだと。
これタイムスタディーでは全く同じなわけで、日常生活自立度ということで分けるという仕組みですよね。大体、そもそも日常生活自立度で分けること自体がおかしいんではないかなと。要するに、認知症というのはある意味では進行性の疾患なわけですから、これはもうとにかく、認知症と診断された段階ですべからく要介護というふうにすべきであって、しかもここで保険給付か否かという、もう何というか全く違う世界に入ってしまう。今まではもう違ったわけですけれども、今回はもう保険かどうかということで分けてしまうわけで、これはやっぱり、ちょっと認知症の御家族からしてもこれは本当に耐え難いやり方ではないかなと思うんですが、この点いかがですか。

○参考人(勝田登志子君) このことに関しましては、やはり要介護認定で調査項目が少なくなったときの厚生労働省は、私たちに、自立度二a以上だったら必ず要介護一と、一にすると約束しました。ところが、先日の出された資料を見ましても、要支援一、二でその自立度二a以上でも、約一五%の方が介護一になっていないんですね。そういう点では、今おっしゃるとおり、要支援二と介護度一はほとんど同じ状況ですし、私たちとすれば、本当にそういう点ではおっしゃるとおり、認知症できちっと認定を受ければ当然要介護一以上にすべきだというふうに今後はしっかり主張もしていきたいというふうに思っています。

○小池晃君 今おっしゃったとおりで、やっぱりそういうふうになっているということ自体が要介護一と要支援二というのはいかに微妙なラインなのかということを示すことでもあると思っておりますので、やっぱりここ、線の引き方としてもおかしい。そもそも保険給付から外すということ自体が、保険料払っているのに給付から外すことに大問題だと思っていますけど、ちょっと線の引き方にここも、二割負担の線の引き方も大問題ですけれども、この線の引き方もやはり大問題ではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○参考人(勝田登志子君) やはり、四十歳以上の強制加入保険ですから、払っておりながら、やはり受給権に関わることだというふうには思いますし、特にやはり認知症にとっては、要支援になるか要介護になるかによって本当に分かれ目になって、その方が要介護一でなれば一定度きちっと専門的なケアが受けられるのに、要支援になったために受けられなくて一気に悪くなるという事例はたくさんありますし、最近、例えば要介護二の方が要支援に落とされたりするというのがあちこちから報告されています。
そういう点での、やはり要介護認定そのもののおかしさというか、いうことは、私たちはやはりこれは、その人に合った適切なサービスをきちっと提供するべきだというふうには思っています。

○小池晃君 ありがとうございました。
鉄道事故のあの本当にひどい判決が出て、やっぱりああいう判決出ちゃうと本当にもう座敷牢に入れるしかないじゃないかという、本当に怒りの声が上がっています。やっぱり、認知症の人たちに対してこの国は本当に余りに冷た過ぎるし、施策がなさ過ぎるし、それを更に制度上区切っていってしまうというようなこういうやり方については、もう本当に私は認められないというふうに思っていますので、今日のお話も受けて、もうこれは廃案しかないということを与党の皆さんにもしっかり分かっていただきたいなというふうに思います。
終わります。

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