日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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「戦闘現場」で武器使用 首相認める 小池議員「自衛隊が攻撃対象」

2014年07月16日

「赤旗」7月16日付

写真

(写真)質問する小池晃議員=
15日、参院予算委

 参院予算委員会は15日、前日の衆院に続き、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」についての集中審議を行いました。日本共産党の小池晃副委員長は、「閣議決定」がこれまで「戦闘地域に行かない」としていた「歯止め」を外し、自衛隊の派兵先が「戦闘現場」になる可能性がある問題をとりあげ、「自衛隊が攻撃対象とされて、応戦し、戦闘に参加することになる」と追及。安倍晋三首相は「戦闘現場」での武器使用を認めました。

 小池氏は「最高指揮官として、自衛隊員には戦闘が起こる可能性のある場所まで行けと言いながら、武器は絶対に使用しないというのか」と迫りました。

 安倍首相は「当然、身を守るために、また、任務を遂行するための武器の使用はあります」と述べ、実際に銃弾が飛びかっているような「戦闘現場」での武器使用を認めました。しかも、政府は従来、一連の海外派兵法で武器使用を「自己防護」に限っていましたが、首相は「任務遂行」での武器使用まで言及しました。閣議決定にあるような、他国部隊が攻撃された際に応戦する「駆け付け警護」などを可能とする海外派兵法の整備に強い執念を示したものです。

 小池氏は「自衛隊員の命が危険にさらされ、他国の人の命を奪うことになるかもしれない。そんな重大な国の針路の転換を、一片の閣議決定で進めることなど断じて許されない」と述べ、閣議決定の撤回を求めました。

「迫力ある」「具体的な中身わかった」

小池議員質問に反響

 集団的自衛権問題を審議した15日の参院予算委員会で安倍晋三首相を追及した小池晃議員の質問には、「よかった」「涙がでた」と感動した声が電話やメールで党中央委員会や地区委員会に、次々寄せられました。

 じっとしていられなくて初めて電話したという京都府向日市の元教員の男性は「絶対に教え子を戦場に送ってはなりません」と話しました。「迫力ありすばらしかった」とメールを寄せた男性は「集団的自衛権についての具体的な中身がよくわかりました」と感想を語りました。

 「感動した」という奈良県の女性は「草の根からの運動で、集団的自衛権行使の閣議決定を撤廃させましょう」とファクスを寄せました。「勇気をもらった」という岐阜県の男性は「侵略戦争反対を貫いた唯一の党ならではの素晴らしい質問でした」と話しました。

速記録を読む

○委員長(山崎力君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
憲法九条は、集団的自衛権の行使を認めておりません。日本は、海外での武力行使は行いません。
この従来の政府見解を大転換する閣議決定が行われたわけであります。(資料1提示)
今お示しをしておりますのが武力行使の新三要件なるものですが、「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使する」。
まずお聞きしますけれども、総理、「これを排除し、」というこのこれは何ですか。
余計なことを言わないでくださいよ。ちょっと時間。簡潔に。

○政府参考人(横畠裕介君) はい。
お答えいたします。
新三要件の第二要件に言う「これを排除し、」のこれというのは排除の対象でございます。すなわち、一つが、我が国に対する武力攻撃それ自体、もう一つが、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険をつくり出している他国に対する武力攻撃のことでございます。

○小池晃君 他国に対する武力攻撃を排除するまで武力行使するというふうになれば、これは必要最小限度にとどまることはあり得ないと。他国に対する武力攻撃の排除そのものを目的とするものではないというふうにおっしゃいますけれども、一旦武力行使に踏み切れば、これは相手からの反撃を招きます。際限のない戦争の泥沼に陥ることは避けられないと思うんです。今なお解決できないイラクやアフガンの事態を見れば、これは明らかだ。しかも、昨日からホルムズ海峡での機雷掃海という話もあるわけですから、これはもう地理的限定などどこにもないということになるわけです。
さらに、今回の閣議決定では、国際社会の平和と安定への一層の貢献という名目で、これまでアフガニスタン戦争、イラク戦争の際に自衛隊を派遣する特措法に書き込んだ戦闘地域に行かないという歯止めを外しました。そして、新たに戦闘現場なる概念を持ち出しました。
そこで聞きますけれども、今回新たに閣議決定した自衛隊の支援活動を行わないとする戦闘現場、これと、今までの法律で自衛隊の活動を行わないとしてきた戦闘地域、これはどこがどう違うんですか。
【資料2】戦闘現場

○政府参考人(横畠裕介君) これまでのいわゆる非戦闘地域とは、現に戦闘行為、すなわち国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域をいいます。
現在は周辺事態法における後方地域として定義されております。一方、今回の閣議決定に言う現に戦闘行為を行っている現場とは、戦闘行為が現に行われている場所、平たく言えば戦場のことでございます。
この二つの要件といいますか、二つの考え方の違いでございますけれども……

○小池晃君 もういいです。法制局長官には私通告してないんです。
今それぞれの定義言ったんで、それが違いだということだと思うんですね。要するに、今までは戦闘地域には行かないと言っていた。しかし、これからは、今まで戦闘地域と呼んでいた地域であっても、つまり活動期間中に戦闘行為が始まる可能性がある場所であっても、その瞬間に戦闘行為が行われていなければ、これは行くことになるわけであります。
そして、総理は昨日の我が党の笠井亮衆議院議員の質問に対して、自衛隊の活動場所が、そこが戦闘行為の現場になる可能性はあるとお認めになりました。さらに、笠井議員が、自衛隊が支援活動をしている場所が戦闘現場になったときに相手から攻撃されたときどうするのかとただしたのに対して、防衛大臣は、速やかに引き揚げると、そう答弁されました。さらに、笠井議員が、そんなことになれば自衛隊が集中的に攻撃をされて、結局、攻撃に対して応戦し戦闘に参加することになっていくのではないかと、こう指摘したのに対して、防衛大臣は、そのような想定は考え過ぎだとお答えになりました。
何が考え過ぎなんですか。自衛隊員の生命、安全を考えれば、これ当然出てくる疑問ではありませんか。自衛隊員に出動を命じる立場でありながら、そういう事態について考え過ぎだというのは、私は無責任過ぎるというふうに思いますよ。
総理に聞きます。あなたはいいです。総理に聞きます。
総理は昨日認められました。自衛隊が今まで戦闘地域とされていた場所まで行くようになれば、そこが戦闘行為の現場になる可能性があると総理おっしゃったんですよ。そして、兵たん支援が一番狙われるというのは、これ軍事的な常識なわけであります。自衛隊員が攻撃をされても速やかに引き揚げるだけだというのであれば、これは日本の自衛隊は格好の攻撃対象になってしまいますよ。
攻撃が集中することになってしまうじゃないですか。総理、あなたは自衛隊の最高指揮官です。自衛隊員に対して戦闘が起こる可能性のある場所まで行けと今回言っているわけですよ。そう言いながら、攻撃されても応戦するなと言うんですか。
昨日は、総理はPKOの例を挙げて、今も引き揚げるということはやっていると言っていましたけれども、しかし、これはPKOの話じゃないです。米軍などの武力行使している場合の後方支援の話ですから、これきちんと答えていただきたい。
昨日の答弁に関連してですから、防衛大臣、結構です、総理答えてください。防衛大臣、結構。

○委員長(山崎力君) まず、先にそれじゃ、総理、おっしゃってから。防衛大臣からですか。どちらでもいいんですけど。

○小池晃君 簡潔に。じゃ、簡潔に。

○委員長(山崎力君) じゃ、簡潔に、小野寺防衛大臣。

○国務大臣(小野寺五典君) 済みません、先に。
委員は大分いろんなお話をかなり仮定で作られているような印象があります。あくまでも、戦闘が行われていない地域において自衛隊が活動している、そして様々なことが急変して、何かこれは活動が十分できないような状況になりましたら、これは活動を停止し中断する、あるいはそれから引き揚げるということ、これは現在のPKOでも同じような形になっていますので、PKOの活動において、今先ほどお話しされたような仮定の、何か物々しいようなことが起きていることはございません。
あくまでも、私ども先ほどからお話ししているように、もし何か事前に問題があって、そして本来安全なところが問題が起きるような状況があれば、それは活動を中止し、そして場合によっては引き揚げるという、そういうことであります。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどちょっと中断してしまいましたので、この違いのポイントは、非戦闘地域ではない地域は、現に戦闘行為を行っている現場と比較して、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないとは認められない地域が含まれる点が、これが現場ではなく地域という表現の違いもありますが、ポイントは今言った点の違いであります。
これは、憲法上の整理において、およそ一体化しないという大きな範囲の中でこうした規定にしたわけでございますが、今までの自衛隊の経験、そしてまた様々な国際的な国際安全保障措置の中の実態を見る中において、こうした絞り込みを行っても一体化しないということであります。
他方、それは、実態として自衛隊が戦闘に巻き込まれるかどうかということ、概念とは別でありまして、あくまでも憲法との関係において、一体化との関係においてそう判断したところでございまして、実際に戦闘が行われている場所に行くわけではなくて、もし戦闘が行われたら、戦闘現場となれば直ちにこれは引き揚げるわけでありまして、自衛隊だけが行くのではなくて、それは戦闘を行うような、ほかの部隊もいるわけでございまして、我が国には、そういう規定の中で行くということは十分に理解を得ながら、そうなったら直ちに帰ってくると、こういうことになるわけでございます。

○小池晃君 無責任だと思うんですよ。物々しい話とかとおっしゃるけど、物々しいことを提起しているのは皆さんじゃないですか。今まで行かないと言っていた戦闘地域まで行こうということを言っているわけですよ。戦闘地域と言われていた部分ですよ。戦闘地域と言われていた部分であっても、そこが現に戦闘が起こっていなければ、活動の期間を通じて戦闘行為が起こらないという場所には今までは行かないと言っていたのに、その期間の中で起こり得る場所にも行くということになれば、それは一歩先に、前に進むということになることは間違いないじゃないですか。だから、総理だって、昨日、そこで戦闘が起こる可能性は認めたわけでしょう。
そういったところに行って自衛隊に活動させるといいながら、ただ帰ってくる、逃げてくると、そんなことやったら一番狙われてしまうじゃないですか。そういうときに武器は絶対使用しないと、あなた、総理は最高指揮官としてそうおっしゃるんですか、お答えいただきたい。総理です。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、身を守るために、また任務を遂行するための武器の使用はあり得ます。
これは武力行使とは違いますが、武器の使用はするわけでございますが、基本的に物資の補給をする、これ兵たんは確かに委員のおっしゃるとおりで大変重要でありますから、十分に兵たん路は確保されている中において自衛隊はそれを持っていく。それはまさに戦闘現場ではなくて、言わばまず間違いなく後方的な地域において持っていくわけでございますが、それはそうした物資が取られないということが担保されているということも大変大切でありますから、そうしたものを集結する場所に持っていくということになります。そして、そこが戦闘現場になれば直ちに撤収をするということが原則でございます。

○小池晃君 今総理は、戦闘現場に、自衛隊が行っている場所が戦闘現場になれば武器使用することを認めたわけですよ。そうなれば、結局、自衛隊がこれは戦闘に参加していくことになってしまうわけですね。
具体的に聞きたいと思います。
二〇〇四年のイラクへの自衛隊派兵は、戦争状態が続いている他国に重火器で武装した自衛隊を派兵するという戦後初めての道に踏み込むものでありました。陸海空合わせて一万人近い自衛隊員がイラクでの活動を経験いたしました。陸上自衛隊は、サマワの宿営地を高さ三メートルの土塁で囲み、宿泊施設をコンクリート壁と鉄板で固めるなど、要塞化しました。
それでも、ここに示しましたように、二年半の派遣期間にこれだけの攻撃があったことを防衛省は認めております。攻撃回数十四回に及びます。
【資料3】陸上自衛隊サマーワ宿営地・周辺への攻撃
迫撃砲弾やロケット弾など二十三発に上ります。
うち四回、四発のロケット弾は宿営地の敷地内に落下をして、コンテナを貫通したこともございます。宿営地外でも、移動中の陸上自衛隊の車両が遠隔操作爆弾で襲撃され、車両が破損したこともあります。こうした中で、私は、自衛隊員に人的被害が出なかったことはまさに奇跡的だということだったんではないだろうか。
当時、陸上自衛隊トップを務めてきた先崎一元統合幕僚長は、NHKテレビの「イラク派遣 十年の真実」でこう語っています。政治的には非戦闘地域と言われたが、対テロ戦が実際に行われている地域への派遣で、何が起こってもおかしくないと。忘れもしない、先遣隊、業務支援隊が約十個近くひつぎを準備して持っていって、クウェートとサマワに置いた。自分が経験した中では一番ハードルの高い、有事に近い体験をしたイラク派遣だったと。
航空自衛隊だって、米兵を始めとする多国籍軍の兵士を空輸し、米軍の掃討作戦を支援したわけですが、この活動も危険と隣り合わせでした。当時の国会では、久間章生防衛大臣、こう述べています。バグダッド空港については、一応アメリカ軍が多国籍軍として安全を確保しておる、その中ではありますけれど、やはりロケット砲等がよそから撃たれる、迫撃砲等が場合によっては狙われることもある、そういう緊張の中で仕事をしているというのは大変なことだと。よく、イラクで活躍している航空自衛隊がさも安全であるというような、そういうことばかり強調されていて、私たちも、そうじゃないということを絶えず隊員の皆さんから聞いている。一歩間違うと本当に人命に影響するような、そういう状況の中で活躍している。やいばの上で仕事をしているようなものだと、注意を払わないと大変なことになるという、そういう認識を持っていると。非戦闘地域で活動すると言っていたときですら、いつ何どき生命の危険があるか分からないと。久間大臣は、やいばの上で仕事をしているようなものだと言っているわけですよ。
ところが、今度は、これまで戦闘地域とされていたそういう地域も活動の対象になるわけですよ。
そうすれば、自衛隊の活動はこの二〇〇四年のイラク派兵のときに比べれば一層危険なものになることは間違いないじゃありませんか。総理、このことははっきり、私、認めていただきたい。自衛隊員が攻撃される危険性は、これは今までの派兵よりもより高まることは間違いないのではないですか。率直に認めていただきたい。総理にお答えいただきたい。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば、今、小池委員が言われたように、それは、サマワにおいてはこれは復興支援活動でありまして、言わば後方支援とは別の活動ではありますが、その中においても自衛隊の皆さんはそうした危険の中に身を置きながら日本国を代表して立派に仕事を完遂していただいたと、このように思っております。それは自衛隊員にしかできない仕事であると言ってもいいんだろうと、このように思うわけでございます。
その中におきまして、今までの概念として、任務を通じて非戦闘地域であると、戦闘地域にならない地域を非戦闘地域と言うという、この概念については、これは小池委員もおっしゃったように、それは言わば概念として果たして成り立つのかという議論も随分あったわけでございますが、これはまさに憲法との関係で一体化にはおよそ当たらないという考え方の下にそうした考え方を取ってきたところでございますが、今までの活動の現実に合わせまして、それは私は安全だと言っているわけではないわけでございますが、戦闘地域ではないところに自衛隊は行くと、戦闘現場ではないところに自衛隊は補給等で行くわけでございますが、その間、もちろんできる限り、言わば完全な安全な場所ではないけれども、自衛隊員の安全を確保することは当然でございますから、情報収集等も含めてできる限りのことを行っていくのは当然のことであろうと。
しかし、その中において、我々は、まさにこの後方支援という、一体化という考え方は生かしつつ、今回、今までの経験と照らし合わせて、一体化することはないという判断に至ったところでございます。

○小池晃君 名古屋高裁のイラク派兵違憲判決に対する政府答弁書は、このように自衛隊の活動について述べています。現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に限って実施することとするなど、我が国の活動が他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みだと。
【資料4】2008年6月13日 閣議決定より
他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みであった非戦闘地域という枠組みを取り払えば、先ほどから総理はこれは憲法上の整理なんだというふうにおっしゃいます。
しかし、そこにとどまらないんじゃないですか。
これ、国際的に見れば、紛れもなく自衛隊が支援する他国の武力行使と不可分の軍事行動になりますよ、これは、これは国際社会から見ればですね。
そうすれば、攻撃対象になる危険は高まらざるを得ない。
今総理は、完全に安全なところではないと認めました。私は、それどころか今までよりもより一層危険なところになるのではないかと。これ当然の疑問ですよ。こういうことで活動地域を広げれば、当然これ今までより危険になるということになるじゃないですか。そのことを率直に認めていただきたいんですよ。いかがですか、総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今申し上げましたように、憲法の一体化との関係において非戦闘地域という概念をつくったのでございますが、今までのこの経験からいって、こうした概念ではなくて、新しい戦闘現場という概念において、これは具体的に一体化していないという判断ができるということに至ったわけでございまして、自衛隊員の安全を確保するということについてはこれはまた別の次元の問題でありまして、この非戦闘地域という概念の中でも自衛隊員の安全の確保に全力を尽くすわけでございますし、この戦闘現場という概念の中においても自衛隊員の安全確保に全力を尽くすのは当然のことであろうと思っております。

○小池晃君 信濃毎日新聞の社説は、首相の説明に欠けているのは、集団的自衛権の行使によって自衛隊員や国民が被るリスクだ、最悪の場合、戦後初の戦死者を出すことになるかもしれない、集団的自衛権を命の重さの観点から深く掘り下げなければならない。
命というのはかけがえのないものなんですよ。
それを実際に戦闘行為が起こる可能性がある場所まで行くと、そこまで踏み込んだんですよ。だったらば、それを率直に、今のこの質疑だって多くの国民見ているでしょう。自衛隊員の、あるいは自衛隊員の家族の皆さんも見ているでしょう。私は率直に……(発言する者あり)政争の具にしているんじゃないよ、何言っているんですか、命の問題じゃないですか。そのことを堂々と語るべきじゃないですかと私は言っているんですよ。
総理、これ逃げちゃいけませんよ。率直に語るべきですよ。それでなければ、国民はこれ、私が言っていることは当然の疑問ですよ。このぐらいのことに答えられない、そんな無責任な議論じゃ駄目ですよ。はっきり答えていただきたい。総理ですよ、総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今この議論は集団的自衛権の行使とは別の議論でありまして、集団安全保障措置に関わる後方支援でございますから集団的自衛権の行使とは別だということはまず申し上げておきたいと、このように思います。
そして、集団的自衛権の行使についても、まさに国民の生命、自由及び幸福を追求する権利が根底から覆されると、まさにこれ国民の命に関わることであるから、まさに事に臨んで危険を顧みず、身をもって任務を完遂するという宣誓をしてくれている自衛隊の皆さんにその任務を果たしていただくことをお願いする。これはもちろん非常に重い判断でありますよ。私も責任者としてめったにそういう判断というのはしないわけでありますし、そういうことが起こらないのが、そういう判断をしなくてもいい状況をつくっていくことに外交的に全力を尽くしていくことは当然のことでございますが、その中において、国際社会が平和を構築しようという努力をする中において日本が何をできるかという中において、武力行使と一体化することはできないという根本的な憲法との関係における議論は残して、憲法との関係における考え方、議論は残しつつ、現実に合わせ、今まで経験したことに合わせ、今回は概念を整理し、戦闘現場ではない地域という概念にしたところでございます。

○小池晃君 総理、答えてないですよ。やっぱり国民は、これで一体どうなるんだと。今、自衛隊員の家族から私どもの方にも、このままだと本当に危険なことになるんじゃないかと……(発言する者あり)うそじゃないですよ、そういう声が今来ているんですよ。そういう中で、総理、私は、率直にやっぱり国民に対してリスクがあるんだということを語らなければこんな、真面目な議論にならないじゃないですか。逃げちゃいけないと思うんですよ。結局、非戦闘地域だというときにもやいばの上でと言っているんですよ、久間さんは。
そうしたらますます危険なことになっていくではないかと。こんな素直な、素朴な疑問にも答えられないで、私は国民の疑問に答えることはできないというふうに思うんです。
武力行使を目的とする戦闘には参加しないと言うけれども、新三要件を満たせば海外で武力行使もする、今まで行かないと言っていた戦闘地域まで行って武器弾薬の補給もする、そんなことをすれば自衛隊員が攻撃され、それに応戦する形で他国の人を殺傷する、殺し殺される、そんな危険が高まるではありませんか。そのことを何で率直に認めないのか。
六十年間自衛隊は一人の他国の人も殺しませんでした。一人の戦死者も出しませんでした。それは、憲法九条があったから、自衛隊を世界有数の軍事組織に拡大したけれども、でも、海外での武力行使はしてはいけないという、その歯止めが働いていたからであります。
元自民党幹事長の古賀誠さんは、雑誌「世界」でこう言っています。人間の生命が戦争によって失われては絶対にいけない、さきの大戦の愚かさを我が国は二度と繰り返してはいけない、これが歴代政権が踏襲してきた政府解釈の本質だ、過去の戦争への反省もなく、深みのある議論もなく、先人や先達が積み重ねてきた選択への敬意もなく、また、それによってもたらされることへの責任も覚悟もないままにこの解釈改憲を実行するならば、将来に重大な禍根を残すであろうと。総理はこうした重い指摘にどう答えられますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この私たちが今行っている議論は、まさに国の存立が脅かされ、そして国民の生命や自由や幸福を追求する権利が根底から覆される状況において自衛隊が武力を行使する。これは、自衛権の行使、個別あるいは集団的自衛権いかんに問わず、そういう要件の中において、そういう要件に備えて日々自衛隊の諸君は鍛錬をしているわけであって、精強性を保っているわけでございます。
言わばこれは、一般の公務員とは違う、先ほど申し上げましたように、宣誓を行って、国民の命を守るために身をもって任務を完遂するわけでありまして、それは、個別的自衛権において彼らに防衛出動を下令する際にもそういう覚悟が必要なんですよ、日本のために命を懸けるわけですからね。
そういう意味において、今の事例としては、これは、集団安全保障措置の中のこれは警察権的な形における武器の使用ということになるわけでありますが、これは、任務を遂行するためとするかどうかということについても、これは法整備について議論を行っていくわけでございますが、身を守るためにおいては、今までもPKO活動において武器の使用ができるわけでございます。つまり、基本的に武器を携行しなければならない地域で活動していることは事実でありますから、当然、そういうリスクの中で仕事をしていただいているということについては感謝を申し上げるわけでありますし、久間議員が、久間章生さんですね、久間章生さんがかつて述べられたことも、これも私はそのとおりだと思いますよ。そういう中で仕事をしていただいているということだろうと、このように思います。

○小池晃君 今まで、自国が攻撃されないときに武力行使することなかったわけですよ。それを自国が攻撃されてなくても、広げたわけじゃないですか。命を懸けると、そういうことを国民に、自衛隊員に求めている。それを、そんな重大な、人の命に関わる、国の進路に関わる重大な決定を、憲法を変える手続すら踏まずに一片の閣議決定で進めることなど断じて許されないと私申し上げたい。
しかも、憲法上の歯止めを外して日本が行おうとしている海外での武力行使というのは一体どういうものですか。総理は、自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してありませんと言っています。
しかし、集団的自衛権の行使を可能にし、非戦闘地域で活動するという歯止めもなくせば、アメリカは、これは最前線での支援も求めてくるでしょう、武力行使も求めてくるでしょう。
実際に、イラク戦争当時、アメリカ・パウエル国務長官の首席補佐官だったローレンス・ウィルカーソン氏、これはテレビ朝日のインタビューで、もし日本がイラク戦争当時に集団的自衛権の行使ができたら、米国は日本政府に参戦するよう要請したかと問われて、イエス、要請したと思う、実際、我々は政治的支援か軍隊の派遣を求める戦略をまとめていた、もし日本が軍隊をどこにでも派遣できる準備が整っていたら、私は日本から部隊を二つ送るとその戦略に書いたでしょうと言っています。
昨日の衆議院での質疑では、日米同盟に深刻な影響が及ぶ場合は武力行使の新三要件に該当するのかという質問に対して、当てはまる可能性が高いという答弁もありました。
日米同盟に影響が及ぶ場合に日本も武力行使可能になるなどとしたらば、これは総理、アメリカからこういう要求、実際にはアメリカは要求すると言っているわけですよ、こういう事態になれば。
そうなれば、この派兵要請を断ることなど到底できなくなるんじゃありませんか。総理、これは断れると言えるんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、小池委員は意図的に、集団安全保障措置における後方支援において一体化しない非戦闘地域と今度の戦闘現場という概念整理と、集団的自衛権における同盟国である米軍に……(発言する者あり)いや、ですから、意図的にそれを分かっていながら混乱させようとして同じように使っておられるというふうに申し上げているわけでありますが、これはもう小池委員がよく御存じのように、これは別の事柄でございまして、そして、集団的自衛権においても集団安全保障においても、海外に一般に派兵することはできないという今までの考え方は変わりはないわけでありますし、武力行使を目的としてイラク戦争や湾岸戦争のような戦闘に参加することはこれからもないわけでありますから、それを要請されてもそれはできないと答えるのは当たり前のことであろうと思いますし、それはかつての政権の幹部がそういう話をされたかもしれませんが、それは今回の我々の閣議決定の中身、政府の考え方を十分に承知をしておられないんだろうと思うわけでありますが、今の段階においては、小野寺防衛大臣も先般、ヘーゲル国防長官と話をしながら十分な説明をしているところでございますし、今後とも法案整備における中におきましても米国と政策対話をしていくことは当然のことだろうと、このように思っております。

○小池晃君 アメリカからの要請があっても断ることはできるんだというふうにおっしゃいますが、一九九七年十月七日の衆議院予算委員会で、我が党の志位和夫書記局長、当時、質問に対して、当時の橋本龍太郎首相はこういうふうに答えております。「第二次世界大戦後、我が国が国連に加盟いたしまして以来、我が国が、米国による武力行使に対し、国際法上違法な武力行使であるとして反対の意を表明したことはございません。」と、総理、こう橋本龍太郎首相は答えている。
【資料5】1997年10月7日 衆議院予算委員会での橋本龍太郎首相の答弁
この答弁以降、日本がアメリカの武力行使に反対した、そういう事実はありますか。総理、お答えいただきたい。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 様々な武力行使を米国は行っておりますが、その時々、それに対する支持であったり理解であったり、いろいろあるのかな。今突然の御質問でありますから、一概に答える……(発言する者あり)あっ、通告、通告してある。外務大臣がそれに答えますが、しかし、それと、賛成する、支持するとはまた別に、自衛隊を送って武力行使するというのは全く別の次元だということは申し上げておいた上で、詳細については外務大臣から答弁させていただきたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) 過去に米国の武力行使に際しまして我が国が遺憾の意を表明した、こういった実例は存在いたします。一九八三年グラナダ派兵の際、そして一九八九年パナマ軍事介入の際、我が国はこの遺憾の意、これを公に表明しております。

○小池晃君 私は、一九九七年の橋本首相の答弁を引いて、違法な武力行使だとして反対の意を表明したことはないという答弁があったわけですよ。
グレナダ侵攻八三年、パナマ侵攻八九年じゃないですか。その後の九七年に橋本首相はアメリカの武力行使に反対したことは一度もなかったと言っているんですよ。あなた、外務大臣がこんなでたらめな答弁しちゃ駄目ですよ。しかも、実際にグレナダではアメリカの侵攻を批判する国連決議に日本は棄権している、パナマでは反対しているんですよ。ごまかしちゃいけないですよ。一度も反対してないんですよ。
歴代の自民党政権は、アメリカの武力行使に遺憾の意を表明したと言うけど、遺憾の意を表明したその表明の最後に何と言っているか、それぞれ理解するとちゃんと言っているんですよ、遺憾だけど理解すると言っているんですよ。そういったことばっかりやってきたんですよ。結局、過去のアメリカの武力行使、ベトナム戦争、パナマ、グレナダ、アフガン、イラク戦争、いずれも無法な軍事介入や侵略戦争なんですよ。このままでは日本の若者が無法な侵略戦争で血を流すことになってしまう。
総理、あなた、日本が侵略戦争に加担することなど絶対ないと、総理、あなた言い切れるんですか。お答えいただきたい。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど、恐らくこれ、外務大臣が答弁させていただいたことが事実であって、もしかしたら橋本総理も、橋本……(発言する者あり)申し訳ないけれども橋本総理が、失礼というか、外務大臣は調べて答弁をさせていただいておりますので、橋本総理はこれはちょっと間違えられたんだろうと、このように思うわけであります。
その上において、その上において加担というものを何をもって加担と言うか、言わば自衛隊を派遣してその武力攻撃に加担ということにおいては、それは侵略戦争に我が国が加担するということはこれからもこれは絶対ない、今までもなかったようにこれからもないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。

○小池晃君 あのね、あなたは、侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていないと、国と国との関係でどちらから見るかで違うと言ったじゃないですか。そんなあなたが侵略戦争に参加しない、そんなこと言って誰が信用するんですか。何が侵略戦争かも分からない人が日本は侵略戦争に加担をしませんと言ったって、それは誰も信用できないですよ。私、このままでは無法な侵略戦争に加担をして日本の若者の血が流される、そして他国の人の命も奪うことになる、侵略戦争で殺し殺される国になる、こんなことは断じて許されないと思います。
時の政権が国家の存立が脅かされる明白な危険があると、そう判断したらば、地理的な限定もなく、海外での武力行使がどこまでも広がっていく、結局限定するなんというのは全くまやかしだと、必要最小限度と言うけれども、一旦海外での武力の行使に踏み切れば、これどんどんどんどん広がっていく、これが歴史の教訓だ。
しかも、新潟県の加茂市長さんはおっしゃっている。そんなことになったら、もはやアメリカからアメリカ並みの派兵要求を断ることができなくなる、その結果、やがて自衛隊は世界の熾烈な戦場でおびただしい戦死者を出すことになり、自衛隊に入る人は極めて少なくなる、しかし、防衛力は維持しなければならないので、徴兵制をしかざるを得なくなり、日本国民は徴兵制の下で招集され世界の熾烈な戦場で血を流し続けることになる、元防衛庁教育訓練局長ですよ、新潟県加茂市長の小池清彦さん、こうおっしゃっているんですよ。実際、石破幹事長は徴兵制は奴隷的な苦役とは言えないというふうに言っているじゃないですか。
私は、日本の道を根本的に誤る集団的自衛権の行使を認めた閣議決定は断固撤回すべきだというふうに思います。
そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

○委員長(山崎力君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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