日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2013年12月5日 参院本会議 速記録

2013年12月05日

参院本会議
2013年12月5日

○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案、いわゆる社会保障プログラム法案に断固として反対する立場から討論を行います。
本法案は、衆議院での採決強行に続き、参議院においても、本会議の趣旨説明、質疑を求めた野党の要求を無視し、付託が強行されました。そして、厚生労働委員会においても不正常な委員会の状態のまま、僅かな審議時間で採決に付されようとしております。
こうした経過については、もちろん与党に一義的な責任がありますが、本法案の土台となった三党合意を推進し、委員会審議に欠席を続けた民主党もその責任を免れるものではありません。たとえ法案への賛否に違いがあったとしても、参議院として審議を尽くすことが全ての会派に対して国民から負託された責任である、そのことを私は改めて強調するものであります。
反対理由の第一は、本法案が、国が講ずべき社会保障制度改革の基本を自助・自立のための環境整備と規定したことであります。社会保障制度改革国民会議の八月の最終報告にあった自助、共助及び公助という言葉すら消えうせてしまいました。
これは、憲法二十五条に基づく社会保障という考え方を完全に放棄し、国民を無理やり自助に追い込む宣言にほかなりません。歴代政権の悪政によって国民の貧困と生活苦が深刻化する中、その解決を自己責任に押し付けることなど、断じて許されるものではありません。
反対理由の第二は、本法案が、医療、介護、年金など社会保障の全分野にわたる制度改悪の実行を政府に義務付けていることであります。本法案でスケジュールが法文化されている内容は、国民の暮らしと健康に深刻な打撃を与える改悪のオンパレードとなっています。
医療では、七十歳から七十四歳の窓口負担増が、高齢者を更なる生活苦や深刻な受診抑制に追い込むことは必至であります。入院給食費の保険給付から外せば、数千億円に上る患者への大負担増になりかねないことも明らかになりました。国保加入者の貧困化が深刻になる中、財政の都道府県単位化によって国保税の値上げを迫る政府の姿勢が矛盾を一層深刻化させることも間違いありません。介護保険では、利用料の二割負担への引上げが、一部の高所得者とは到底言えないような広範な利用者に襲いかかること、要支援者の介護サービスの切捨てや軽度者の特養ホーム入所制限が、必要な給付を抑制して高齢者の要介護度の重度化を招きかねない問題点も明瞭であります。
年金では、今年度から三年間掛けて実施される約一兆円の支給削減に続き、マクロ経済スライドの発動で連続的な支給削減のレールが敷かれた上、年金の支給開始年齢の先送り、年金課税の強化も検討されています。
子ども・子育て支援新制度が保育の現場に深刻な影響を与える問題点も参考人質疑などで指摘されました。
本法案は、政府が決めた社会保障の全分野にわたる大改悪の以上のようなスケジュールを国会に可決させ、政府にお墨付きを与えるものとなっています。このような自作自演の既成事実化は断じて容認できるものではありません。
反対理由の第三は、本法案が目指す社会保障制度改革なるものが、消費税の増税分を社会保障にという一体改革の偽りの看板すら投げ捨て、社会保障の理念と制度を根底から掘り崩す社会保障解体路線にほかならないということであります。
本院の審議の中で、今後、政府が実施を予定する医療、介護、年金の負担増、給付削減の総額が、明らかにされている分だけでも年間三兆円を超え、消費税増税による充実分と宣伝された二・八兆円を上回ることが明らかになりました。昨年成立した社会保障制度改革推進法では、社会保障の公費負担は消費税収を「主要な財源」としていましたが、本法案では消費税収を社会保障給付に「活用」するという規定にとどまり、同時に、社会保障の給付の重点化及び制度の運営化の効率化などによる社会保障費削減を行うこととしています。消費税は社会保障のためなどという議論は、もはや完全にほごとされているのではないでしょうか。国民には消費税増税を押し付けながら、社会保障は縮小、解体する。まさに、国民生活と日本経済の土台を根底から壊す道を進むわけにはまいりません。
同時に、委員会審議でも明らかになったように、本法案は医療、介護、年金などの制度改悪の枠組みだけを決めるという異例なものであります。したがって、それぞれの改定内容は、広範な国民の意見を聴き、当然のことながら、今後の徹底した国会審議によって決定されるべきものであります。日本共産党は、安倍・自公政権の社会保障解体路線と全面的に対決し、消費税に頼らずに社会保障を再生、充実する対案を掲げ、国民的共同を広げて闘う決意を述べ、反対討論を終わります。

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