日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2014年10月16日 参院厚生労働委員会 速記録

2014年10月16日

2014年10月16日
参院厚生労働委員会

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
通常国会のちょっと続きのような議論から始めさせていただきたいんですが、医療・介護総合法案です。これは要支援外し、大問題になって、田村前大臣は、要支援者サービスの地域支援事業への移行については、これはサービスの抑制ありきではないと、要支援者の多様なニーズに対応するために、既存の事業者によるサービスに加えて、住民が担い手として参加するサービスの拡充を進めるというふうに答弁を繰り返しておられました。
厚労省に聞きたいんですが、ところが、これ七月にこのガイドラインを厚労省は案を発表された。
これ見ると、こう書いてあるんですね。「新しく事業の対象となる要支援者等については、自らの能力を最大限活用しつつ、住民主体による支援等の多様なサービスの利用を促す。」と。私、これ、自治体関係者はこれで仕事をするわけで、こういうガイドライン示してしまったら、やっぱり自治体は、新たにサービスを利用する人は、専らこれは多様なサービス、ボランティアなどのサービスに誘導するということにこれはなっちゃうんじゃないですか。いかがですか。

○政府参考人(三浦公嗣君) 高齢者の多様な社会参加、生活支援のニーズに応えていくということで、既存の介護サービス事業者によるサービスに加えまして、元気な高齢者を始め、住民が担い手として活躍する支援の充実などを図りまして市町村を中心とした支え合いの体制づくりを推進していくということは、今委員の方から御紹介いただいたとおりでございます。
総合事業の実施に当たりましては、これまでと同様に、地域包括支援センターなどによるケアマネジメントを行い、支援を必要とする高齢者の方々の状態、また置かれている環境を踏まえて、専門的なサービスを必要とするという方には専門的なサービスにつなげていくということを考えているところでございます。
一方、多様なサービスには支援する側、される側という、画一的ではなく、要支援者なども積極的に参加し、自ら活躍できるようなサービスも展開していくことが可能でございます。このような支援の形が、その方の介護予防、自立支援にとってふさわしいと判断されれば、積極的に多様なサービスにつなげていくべきものと考えております。

○小池晃君 今の話でいうと、例えば新規利用者であっても必要な人には現行相当サービスを続ける、提供するということですね。

○政府参考人(三浦公嗣君) 今お答え申し上げましたように、その方の状態あるいは置かれている環境というものを踏まえて、その方の最も適切なサービスというのが提供されるような仕組みを考えているというところでございます。

○小池晃君 それはきちっと本当にやれればいいと思うんですが、実際にはガイドライン案を見ると、現行相当サービスの対象は認知症の人とか退院直後の人というふうに限定する記述になっているし、その後ろには、断り書きとして、「一定期間後のモニタリングに基づき、可能な限り住民主体の支援に移行していくことを検討することが重要」だと。
結局、やっぱり現行相当サービスをできる限り限定して、一旦割り振っても可能な限り多様なサービスへと、ボランティアへということになっていってしまうんじゃないか。法案審議のときに指摘をしたような、やはり大規模な要支援切りというような事態が起こりかねないというようなこのガイドラインの書きぶりというのは大変問題ではないかというふうに私は思うんです。
さらに、要介護認定の問題ですが、資料をお配りしておりますけれども、これ、ガイドライン案にチャート図が出ております。現行のサービス利用手続というのは、これは、全員が窓口に相談した後、要介護認定申請をして要介護認定を受けるわけですが、この新しい総合事業実施後の利用手続というのを見るとどうなっているか。これ見ますと、市町村の窓口に相談に行くと。で、窓口の職員が判断をして、要介護認定を省略してチェックリストに回答しただけでサービスを割り振ることも可能になるということになっているわけで、こういうふうに窓口の職員の判断で要介護認定を省略された人が実際には要介護状態だったときには、一体誰が責任持つのか、どういう事態が起こり得るのか、これ非常に心配だ。
しかも、この図によれば、この窓口での振り分けを明らかに要介護一以上と判断できる場合、明らかに介護予防・生活支援サービス事業の対象外と判断できる場合、これ窓口の職員が判断をすると。今、チェックリストにも掛けないでも割り振ることができるということになっていて、私、市町村の窓口の職員にこういう判断を委ねてしまうと、これはもう下の方へ下の方へと割り振るということだって起こりかねないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(三浦公嗣君) 新しい総合事業の中では、生活上の困り事などのある方の相談を受ける場合には、具体的には、相談窓口におきまして、生活上の困り事などのある相談者に対しまして、相談の目的、希望するサービスなどを聞き取りまして、サービスの事業、要介護認定などの申請、一般介護予防事業などについて丁寧に説明することが必要であると考えております。
その中で、総合事業の説明の際には、基本チェックリスト活用の趣旨とともに、事業対象者となった後やサービス事業によるサービスを利用した後も、必要なときには要介護認定などの申請が可能であるということを説明し、利用者やその家族と相談しながら進めていくということが重要であると考えております。
また、この説明の段階で、例えば相談者の方が要介護認定を希望されるということがございましたら要介護認定の申請の手続につなぐということも考えられると、そういう手続を進めるということになろうと思います。
次に、相談者の方に対しまして、質問項目の趣旨を説明しながら、先ほど御紹介ございました基本チェックリストを実施しまして、利用するサービスへの当てはめなどを行っていくということになります。具体的なサービスの利用に当たりましては、地域包括支援センターなどの専門職によるケアマネジメントを通じて必要な支援につなげていくということでございますので、ここで改めて給付が必要だと、つまり要介護認定に基づくサービスが必要だということになれば、ここでまた要介護認定の申請をしていただくということも可能であるというふうに考えております。

○小池晃君 しかし、入口のところで市町村の職員の判断で振り分けてしまうということは否定しないわけで、やっぱりこれは大変私は危険だと。
結局、その窓口の職員の判断で要介護認定が遠ざけられてしまって安上がりサービスを割り振られるという危険だってこれは起こりかねない、こういう書きぶりですね。
明らかに要介護一以上と判断できるかどうかを市町村の窓口の職員に委ねると、こういう書きぶりでやったら、これはどんどんどんどん独り歩きしませんか。

○政府参考人(三浦公嗣君) これは、なるべく簡素な形でサービスを速やかに利用していただきたいということもございまして、チェックリストを使ったサービスの活用というようなことを考えてきたわけでございまして、先ほど御紹介がございましたとおり、確かに、例えばもう既に寝たきりになっているとか相当重いというような方、つまり、認定を受けるにふさわしいということは今や誰が見ても明らかというようなことであれば要介護認定の申請に行くということになりますし、そうでなくても、これに、要介護認定をお受けになった方がいいのではないか、あるいは受けたいという希望があれば、そこで要介護認定申請にも進んでいくと。
つまり、要介護認定に行くことについてそれをブロックするというような、何というんでしょうか、仕掛けというものがあるわけではなくて、むしろそれぞれの方々の御希望に応じて窓口で対応していくということが重要ではないかと考えております。

○小池晃君 答えてないですよ、やっぱり。ちゃんとここで窓口の職員に委ねてしまって、明らかに要介護一以上を判断できるんですかと。そこで何か問題が起こったときに誰が一体責任を持つんですか。実際、責任持てるんですかと言っているんです。

○政府参考人(三浦公嗣君) そういう意味では、認定の仕組みというのとチェックリストというのが言わば並立して動くということになりますし、自治体の職員の方で、これは今までの経験で、認定の方にふさわしい、あるいはサービスを、それにふさわしい、その認定を受けた上でのサービスが必要だというような判断があれば、この表で言いますと上の方の動きになってくる、つまり要介護認定の申請に進んでいくということでございます。

○小池晃君 これやっぱり法案審議でも問題になったけど、保険制度の根本に関わる問題で、保険料を払って受給権があるのに、職員の判断でこっちこっちというふうに割り振られると。受給権は一体どこで担保されるのかという根本問題ですよ、これ。やっぱりこれは法案の審議が本当に不十分だったなと改めてガイドラインを見てよく思うんです。
しかも、要支援者の自立の促進ということがこのガイドライン案には書かれていて、もちろん自立を否定しませんし、自立は大変いいことですよ。
必要なサービスを供給して、状態を改善して自立するんだったらいい。しかし、実際には何が書いてあるかというと、このガイドライン案の中にこういう記述もありますよ。例えば、掃除であれば掃除機からほうきやモップに変える、買物であればかご付歩行車を活用するなど、環境調整やその動作を練習することで改善することができるんだと、これが自立なんだろうかと。
幾らこう言われても、こういうガイドラインを出されてしまうと、自治体はやっぱりこれに基づいて仕事をするんですよ。結局、介護サービスの抑制、切捨てが横行することになるんじゃないですか。
大臣、このガイドライン、大変問題が大きいと私は思う。是非これは根本的に見直していただきたいというふうに思うんですけど、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) ガイドライン案ということでありますので、先生の御意見を含めて、今、いろいろな地方公共団体の皆様方の御意見も聞きながら検討しているところでございますので、今後いろいろと検討していきたいというふうに思います。

○小池晃君 これは抜本的見直しをしてほしいし、やはり医療・介護総合法を本当に実施を中止すべきだと。やっぱり余りに審議不十分だったし、これは問題がこれからいろいろ出てくると思いますよ、また医療事故の問題もありますけれども。そのことを指摘しておきたいというふうに思います。
そんな中で、先ほども議論ありましたけれども、財政審が介護報酬六%引下げということを打ち出しました。かつて小泉政権のときに介護報酬連続引下げやって、あれで大打撃になったわけですよ。
介護職の賃金、待遇の劣悪化、人材不足の加速、特養の整備抑制、いろんな事態が起きたわけですね。
大臣、マイナス六%などという史上空前の報酬削減やったら、介護の基盤崩壊するという認識はお持ちじゃありませんか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 財政審が出した数字でございますので、私どもがこれを受けてこのままやるようなことは考えているわけでもないし、これは一つのたたき台として、御意見として承って、私どもは社会保障審議会の中で議論を重ねていくということで、この厚生労働委員会や様々なところでの意見、与党の中も当然これから佳境に入ってくるわけでありますので、そういった意見を受けながら、最終的に年末の予算編成に向けて決めていきたいというふうに思っております。

○小池晃君 こんなのたたき台にしちゃ駄目ですよ。無視しないと、こんなのは。御意見といったって、こんなのでたらめですよ、こんなのは。
介護事業所の収支差が一般中小企業より良好だから削減していいと。しかし、実態を聞くと、格差はいっぱいあるわけです。人件費も土地代も高い都市部の施設の多くは、高収益を享受するどころか、もうぎりぎりの状態でやっている。都市部以外だって、公的支援によって辛うじてやっているところもたくさんあるわけですよ。
全国老人福祉施設協議会は、いろんな格差があると、収支差には、六%報酬削減をすれば五割を超す法人が赤字に転落すると言っていますよ。そうなれば介護の質が低下するわけですから。財政審が言っているみたいに処遇改善部分を多少加算したとしても、結局、報酬全体を大幅に下げたら先の見通し暗くなりますから。そうしたら、絶対これは待遇の改善なんかなりませんよ。
大臣、これは撤回せよと、そんなたたき台なんて言わないで、撤回せよというふうに言うべきじゃないですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 他省がおやりになっていることなので、我々は我々で議論を深めていくということだろうと思いますし、処遇の改善については、先ほど来お話が出ているように、人材確保のためにも必須のことでもございますし、しかし一方で、サービスの効率化というものも重点化とかそういうことも同時に必要で、いかに質の改善をしながら重点化それから効率化を図って、最終的な我々は国民負担ということも考えていかなきゃいけませんので、そういったことを含めて、一号被保険者の負担をどこまでお願いをするのかというのは極めて重要なお話でありますので、議論を深めていくということでございます。

○小池晃君 他省と言うけれども、厚生労働省の責任、所管なんですから、そこではっきり物を言わなきゃ。責任あるんですから。
財政審もう一つ言っているのは内部留保の問題です。内部留保といったって、営利企業とは全然違うわけですよ、これ実態は。撤退が許されないわけですから、社会福祉法人というのは、これは永続性、安定性が求められるわけですし、かつては施設整備に補助金出ていたけれども、今全くこれは出なくなっているから、やっぱりそれに備えなきゃいけないという面もあるわけですよね。運営の規則で多額の借入れもできないわけですよ。
これを大体、厚生労働省が内部留保と呼ぶこと自体が私、大問題だと。何だか、実在内部留保だとか何かいろんな言葉付けているけれども、あんな内部留保なんて言うべきじゃないんですよ、この数字は。大体、内部留保、内部留保と財政審言いながら、二百八十五兆円も桁違いの内部留保を持っている大企業の法人税は減税するって、支離滅裂で御都合主義じゃないですか。こういうやり方を許しちゃいかぬですよ。
社会福祉法人が内部留保をため込み過ぎだという、ちょっと局長、これはやっぱりおかしいと、事実をねじ曲げているんだということをはっきりちょっと答弁していただきたい。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 社会福祉法人のいわゆる内部留保ということにつきましては、諸方面から様々な御指摘をいただいております。
こうした御指摘いただいている要因でございますけれども、いわゆる社会福祉法人の内部留保がいかなるものかということについては、実は確立した定義がございませんで、社会福祉法人の余裕財産を表す仕組みというのは今ございません。それから第二に、仮にそういった形で余裕財産が明確化されたといった場合におきまして、その余裕財産をどういったことに使うか、こういったことについても明確なルールはないというのが現状でございます。
したがいまして、私どもといたしましては、まず第一点ですが、社会福祉法人が、まずその余裕財産というものが自分の法人にどの程度あるのかということが、自ら説明責任が果たされるような、そういった見える化の仕組みをつくっていく必要があるだろうというふうに思ってございます。その上で、第二点でありますけれども、この余裕財産につきまして、もしそういうものが生ずれば、必要に応じてこれを地域の公益的な活動でございますとか、あるいは福祉サービスに再投下していただく、こういった仕組みができないかということを検討しているところでございます。

○小池晃君 自己改革とか内部努力は私も必要だと思いますよ。でも、それをまず言うんじゃなくて、これ、そもそも議論がおかしいんですとやっぱり言わないと、厚生労働省として。この議論は、やっぱり私は本当に理不尽だというふうに思っていますので、しっかり大臣、これ物を言っていただきたい。
しかも、財政審の中で言っているのは、私が冒頭言った要支援外しどころの話じゃないんですよ。
要介護一の生活援助についても地域支援事業に移行すると。この間、国会で大問題になって通ったばかりで、まだやってもいないことをもっとやれというふうに言い出している。それから、二割に引き上げたばかりの利用料の引上げまで言っている。ケアプランの有料化、特養ホームの多床室におけるホテルコストの徴収、もう言いたい放題言っているじゃないですか。
私は、やっぱりこういうことをやってしまったら、本当に介護保険制度は崩壊するというふうに思いますし、大臣は先ほど財政審の言うとおりにやるつもりはないというふうに言ったので、そこはちょっとしっかり見届けたいというふうに思うし、やっぱりこんなやり方で進んでいったら介護保険制度は壊れると、日本の社会福祉は壊れるということを、厚生労働省としてはっきり物を言うべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。
泉南アスベスト訴訟の問題です。先ほどもありました。
私、大臣、これ先ほどから申し訳ないというふうに何度も繰り返している、記者会見でも謝罪のコメントを述べました。しかし、いまだに原告に会って謝罪の言葉をおっしゃっていないんですよ。
大臣、原告の方は、テレビカメラの前では謝罪するのに何で原告には謝罪できないのかという怒りの声が上がっています。今日もたくさん傍聴に関係者も見えられています。是非、私は直接会っていただいて、謝っていただきたい。これが全ての出発点だと。いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 繰り返しますけれども、今回の裁判の判決は、国が規制行政において不作為の失敗をしたということで、その責任を問われたわけであります。その責任が確定をしたわけでありますから、これは大変国の行政としては重たい結論だというふうに受け止めるとともに、この責任を国が負った原告の皆様方には本当に申し訳ないという気持ちだし、それから先ほど申し上げているように、早期解決をするということで、今回の確定した賠償事案については、既に手続を取って、早急にこの賠償をするということが我々の国としての責務だというふうに思っています。
今、早く会うべきじゃないかと、こういうお話でありますが、これはもう先ほど来繰り返し申し上げているように、一つは高裁に差戻しになっている案件があるということと、他に裁判が進んでいて、そして我々としては早期解決ということにおいては何ら変わらない認識でいますので、一体何をすることが一番いいことなのかということを今検討中であるわけでございます。

○小池晃君 先ほどから高裁差戻しとおっしゃるけれども、別に裁判の結果、根本からひっくり返るような差戻しじゃないんですよ。これは確認をして賠償額を算定するための作業なわけですよ。
その点でいえば、私は、早くというのであれば、対策早く立てる必要があるというのであれば、まず会って思いを聞くべきじゃないですか。そこから始まるんじゃないですか、対策は。だから会ってほしいと言っているんですよ、早く解決するためにも。どうですか、早く会ってください。

○国務大臣(塩崎恭久君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、今、関係省庁と何ができるのかということを議論をして今いるところでございますので、早期解決ということを基本としながら考えていきたいというふうに思います。

○小池晃君 先ほど内閣委員会で我が党議員が質問して、官房長官はこれは厚労省に任せてあるんだというふうに言っていますよ。他省庁とと言うのなら、厚労省が責任なんですよ。だから、私は、まず担当の大臣である塩崎さんが原告と真摯に向かい合って、何度も何度も謝罪するんだったら、じゃ、何で直接原告に会って謝罪しないのかと。
そこで話を聞いて、そこからじゃないですか、対策というのは。
しかも、大臣は、亡くなられている方もいるとおっしゃった、御存じなわけですよね。訴訟を提起されてから十四名が亡くなっているんです。ほとんどの原告は東京に出てくることもままならない状態なんですよ。原告からは、死んでから謝られても何にもならないと、墓に布団掛けられないじゃないかという声も上がっているんですよ。原告は一刻を争って大臣と会いたいというふうに言っているんです。大体、最高裁で確定した判決で、加害者側が会いに来るのが当然じゃないかと、何で被害者側が会ってくれと言わなきゃいけないんだと。私、本当にそのとおりだと思いますよ。こういう議論をすること自体が本当にむなしい。私は、やっぱり直ちに会う、これは政治家としてのまず第一歩じゃないかと思いますが、重ねて聞きます。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先生の今の御意見も含めてよく考えていきたいと思います。

○小池晃君 私、一刻も早く会っていただきたい。
塩崎大臣は、かつてこういう種類の問題を解決した経験を持っているわけですよ。大臣は、第一次安倍内閣の官房長官のときに、筑豊じん肺訴訟の最高裁判決で原告勝訴、そのときに同趣旨の北海道石炭じん肺訴訟では和解協議で解決をしているわけですね。今回、同じ地域で分かれているわけですよ。だったらば、あのときやったように、一括して早期解決のためのテーブルをつくって、違法性が認められた時期の全てのやっぱり被害者の救済、あのときのようにイニシアチブを発揮すべきじゃないですか、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) そのことも当然私は認識をした上で、先ほど来申し上げているように考えているところでございます。

○小池晃君 政府、四年前に、前政権のときですが、泉南アスベスト訴訟を解決するという方向を決めた経過があると。そのときにはどれだけの方々が対象になるか試算したというふうに聞いています。その数字を明らかにされたい。

○政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。
お尋ねの点につきましては、当時の資料あるいは担当者にも当たったところでございますけれども、現時点では確認ができなかったところでございます。
今お話がございました救済すべき人数の推計という点につきましては、その参考となるものといたしまして、私ども、平成十七年から石綿暴露作業における労災認定等事業場の公表というものをやっております。この公表の中に含まれております泉南地区を管轄する岸和田署における石綿の労災認定件数、これが平成二十五年の公表分までに労災保険法に基づく保険給付の支給決定件数、これ七十九件ございます。それから、石綿救済法に基づく特別遺族給付金が三十三件、合わせて百十二件ございますので、これが今お話があった点の参考になるというふうに考えております。

○小池晃君 弁護団は、泉南地域の石綿被害者を六百名程度として、現実的な補償対象は原告とは別に六十名程度と、そういう数なんですよ、試算をされているんです。
大臣、重く受け止めるとおっしゃるのであれば、やっぱり今回の原告だけではなくて、判決で示された期間に泉南で働いて発症した全ての方々を対象にこれ解決すべきじゃないですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど来申し上げているとおり、様々なことを協議をしながら、今早期解決に向けて政府部内で検討をしているところでございますので、そのように御理解をいただければと思います。

○小池晃君 今回の最高裁判決は、これはっきり確定したわけであります。アスベストの粉じんがもうもうと舞い上がる工場、建設現場で多くの労働者が暴露して今も被害が続いているわけですから、やはり今回のこの最高裁判決を受けて、私は、国に対してあらゆるアスベスト被害者に対して補償と救済の仕組みを整備することが求められているんだと、これはもう党派を超えた課題だということを申し上げて、質問を終わります。

 

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