日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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論戦ハイライト/衆参予算委集中審議 「森友・加計」に新疑惑/「政権へのデメリット」隠ぺい

2018年05月29日

赤旗2018年5月29日付

森友 官邸も絡み骨抜き工作
参院・小池氏 「検査院に介入、大問題」

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(写真)安倍晋三首相などに質問する小池
晃書記局長(右端)=28日、参院予算委

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(写真)安倍晋三首相らに質問する宮本
岳志議員(左端)=28日、衆院予算委

 28日の参院予算委員会で、学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐり、新たに政府の内部文書を明らかにした日本共産党の小池晃書記局長。財務省と国土交通省の隠ぺい工作を暴き、一連の改ざん・隠ぺいの源となっている安倍晋三首相の辞任・内閣総辞職を強く求めました。

 小池氏が明らかにしたのは、2017年9月7日午前に財務省の太田充理財局長と国交省の蝦名邦晴航空局長が面談した際の記録。国有地の売却価格が妥当だったかを検査していた会計検査院や官邸・国会への対応を協議した内容が記されています。

 小池氏の質問に太田局長は「できるだけ顔を合わせていろんな意味での意思疎通を図ろうとしていた」と、当日の面談を否定しませんでした。

 小池氏は、文書の内容を詳しく紹介(下表参照)。国が国有地大幅値引きの根拠とした地中ゴミをめぐり、検査院の報告書から「『総額』を消すことが重要」「『金額』よりも『トン数』の方がマシ」と相談した部分を読み上げ、ただしました。

小池 両者の密談通り、検査院は、ゴミの量が国試算の3~7割だった可能性があるとしたものの、金額は盛り込まなかった。政府から独立した機関である検査院の報告内容への介入を密談していたのは重大な問題だ。

理財局長 われわれに仮に希望があったとしても、検査院に通るわけがない。

小池 協議はそんなに甘いものじゃない。

 続けて小池氏は、官邸や国会への対応をめぐって「政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要はある」とのやりとりを読み上げ、安倍首相に迫りました。

小池 当時は総選挙の直前だ。安倍首相は総選挙で「丁寧に説明してきた」と言ったが、その裏で国会と国民をいかにだますか、会計検査院の報告をいかに骨抜きにするか、官邸も絡んで工作していた。徹底調査すべきだ。

 繰り返し調べるよう迫る小池氏に、安倍首相も調査を約束します。

首相 そういう文書があるか、どこがつくったかは調べてみたい。

 小池氏は、森友問題をめぐる一連の改ざん・隠ぺいについて「すべて安倍首相の“私や妻が関係していたら総理も議員も辞める”答弁が原点で、首相夫妻を守るために行われた」と強調。「うそをつくのは、もういいかげんにしてほしい」「資料は包み隠さず提出し、全ての関係者に国会で正直に話してもらい、内閣総辞職することを求める」と述べました。

“報告案なぜ知っていた”

衆院・宮本岳志氏 追及に政府、答弁不能

 日本共産党の宮本岳志議員は28日の衆院予算委員会で、同日の参院予算委で小池晃書記局長も取り上げた政府の内部文書「航空局長と理財局長との意見交換概要」をもとに、国土交通省航空局と財務省理財局が会計検査院の報告書案を国会報告前に事前入手し、「口裏合わせ」をしていた事実を明らかにしました。

 宮本氏の追及に、太田充理財局長と蝦名邦晴航空局長は、昨年9月7日に意見交換したことを認めました。

 宮本氏は、内部文書で、太田局長が会計検査院報告書案について「『総額』を消すことが重要だが、それが難しい場合には、失点を最小限にすることも考えなくては」「少なくとも(地中ゴミの)『トン数』は消せないのでは」などと語っていることにふれ、太田局長に次のように迫りました。

宮本 会計検査院報告書に「総額」や「トン数」が書かれていると知っていた。つまり、会計検査院から事前に報告書案を見せられていたということだ。(野党席から「ええ」「ひどい」の声)

理財局長 検査院からの指摘に答えるのが仕事なので、そういう作業はしていた。

宮本 (報告書案の内容を)知っていたのか。

理財局長 通告もなく、たずねられても答えようがない。

 宮本氏は、答弁を拒否する太田氏に「話にならない」と厳しく抗議しました。

 その上で、内部文書に菅義偉官房長官の秘書官の寺岡光博氏の名があると指摘。菅氏が昨年2月、当時の佐川宣寿理財局長と太田氏、航空局次長らを官邸に呼び協議した事実を突きつけてただしました。

宮本 最初から菅官房長官が関与して、隠ぺいや改ざんを進めてきたということだ。

首相 まったくの推測で、そんなことはない。

 宮本氏は、内部文書で太田局長が国会に提出すべき資料について「政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要がある」と述べていることに言及。「昨年9月7日、国会に出せるものの選定や、どういう説明で国会をごまかすか口裏あわせをした。これは事実か」と迫りました。

 蝦名氏も「やりとりは記憶していない」と説明を拒否。宮本氏から、どう責任を取るのかと追及された石井啓一国交相は、航空局は「地主」として近畿財務局と協議してきたなどと話をすり替えました。宮本氏が、太田、蝦名両局長らの証人喚問を求め、委員長が理事会協議を約束すると、野党席から拍手が上がりました。

 宮本氏は、安倍首相をさらに追及しました。

宮本 結局、改ざんも隠ぺいも、すべて安倍政権を守るために行われてきた。あなた自身がその政治責任を負うのは当たり前だ。

首相 妻が名誉校長を引き受けたこと等、反省すべきは反省しながら、李下に冠をたださずの精神をしっかり肝に銘じて行政を進めていきたい。

宮本 反省するなら辞職すべきだ。

「航空局長と理財局長との意見交換概要」(一部)

 日本共産党の宮本岳志衆院議員と小池晃書記局長が28日、衆参両院の予算委員会で紹介した政府の内部文書「航空局長と理財局長との意見交換概要」の一部は以下のとおりです。(意見交換が行われたのは2017年9月7日、出席者は蝦名邦晴国土交通省航空局長と金井昭彦同局総務課長、太田充財務省理財局長と中村稔同局総務課長。記述中の「寺岡」は寺岡光博官房長官秘書官のこと)

会計検査院対応について

航空局 「総額」を報告書から落とすことと、「瑕疵(かし)担保免責」の考え方を認めさせて、リスクを遮断するために見える範囲で最大限合理的な範囲で見積もったと主張できるようにしておくことが重要。

理財局 「総額」を消すことが重要だが、それが難しい場合には、失点を最小限にすることも考えなくてはいけない。少なくとも「トン数」は消せないのではないか。「金額」よりも「トン数」のほうがマシ。仮に「総額」が残る場合には、むしろ試算額をたくさん記述させ、いろいろなやり方があるとしておいた方がいい。

航空局 局長レベルの対応をした後、官邸や与党などに対してどのような対応をしていくか。

理財局 検査院に対しては官邸だからといって通用しない。説明していくタイミングも考える必要がある。両局長が官邸をまわっている姿をマスコミに見られるのはよくない。まずは寺岡を通じて官房長官への対応するのが基本。

国会対応について

航空局 テープや資料等がこれからも出てこないか心配している。

理財局 もうある程度は出尽くしているのではないかと思っている。

航空局 「検査中なのでコメントできない」だけでもつのか。

理財局 「検査中なのでコメントできない」だけではもたないし、マイナスのイメージを拡大させてしまうと思う。

航空局 今後決裁文書等について、どこまで提出していくべきか。

理財局 ないものは出せないが、これまでもある程度出してきており、個人的には出せるものはできるだけ出した方がいいと思う。出てしまうと案外追及されなくなるという面もある。ただし、政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要はある。

加計 “面談なしでは説明不能”

小池氏 獣医学部新設、経過に矛盾

 小池氏は同日、加計学園問題をめぐっても安倍首相を追及しました。小池氏は、2015年2月25日の加計孝太郎理事長と安倍首相の面談を否定する学園のコメント(26日)について、「首相の名をかたって獣医学部新設を実現しようとしたとしている」として、利用されたのに抗議しない安倍首相の姿勢に疑問を呈しました。

小池 自らをかばうものだと知っているから平然としているのではないか。

首相 私は常に平然としている。コメントのしようがない。

 小池氏は「学園のコメントは信じられないが、愛媛県文書が正しいことの傍証にはなる」と指摘。2月25日以降の経過を年表(下表参照)で示して迫りました。

小池 2月25日に首相と加計氏が会っていなければ説明のつかないことが多すぎる。どう説明するのか。

首相 県の文書にコメントする立場にない。2月25日にはお目にかかっていない。

小池 コメントできないのは、県の文書を否定も反証もできないからだ。

 小池氏は「首相を守るために官僚だけでなく、学園までうそをつき始めている」と指摘。安倍首相が繰り返した「ウミを出し切る」の言葉についてもただしました。

小池 加計問題での「ウミ」とは何か。

首相 ウミを出すと発言したのは公文書の問題について述べた。

小池 加計問題は「ウミ」じゃないのか。自民党席から「ウミはもともとない」との声が上がっている。いいかげんな言葉で国民をだまし、でたらめな議論を続けることは許されない。

 小池氏は、愛媛県文書に存在が示唆されている関係資料の提出と、加計氏の証人喚問、中村時広愛媛県知事、菅良二今治市長の参考人招致を求めました。

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