日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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最低賃金引き上げを 小池氏「保護水準超えず」 参院厚労委

2014年03月27日

「赤旗」3月31日付け
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(写真)質問する小池議員

日本共産党の小池晃議員は27日、参院厚生労働委員会で最低賃金の地域格差や計算方法の問題点を指摘し、「生活保護水準をクリアしたというのはごまかしだ。全国一律最低賃金制で、中小企業支援と合わせ時給1000円以上を目指すべきだ」と求めました。

最低賃金額について、北海道以外では生活保護水準を上回ったという厚労省に、小池氏は「ごまかしだ」と批判。最賃と比較する生活保護の生活扶助費が「県の平均額」、住宅扶助費が「平均実績額」とされ、「県都など中心部に住む人は、最賃が生活保護基準以下だ」と指摘しました。

小池氏は、最賃の時給換算に用いる「労働時間」(月173・8時間)は「正月も夏休みも祝日もなく週40時間働いたとした、法定上限いっぱいの理論値だ」とし、フルタイム労働者の実態を反映した「労働時間」とするように求めました。

中野局長は「実績値だと変動する。安定した数値を使う必要がある」と説明しました。

小池氏は、最賃と比較する生活保護の住宅扶助費は”変動する実績値”で少なくしながら、最賃の時給換算に使う「労働時間」は”安定値が必要だ”と大きな数字を使う矛盾を指摘。「とにかく最賃を低く抑えるための計算だ。ご都合主義だ」と述べ、最賃の大幅引き上げを求めました。

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
雇用保険制度では、離職理由が自己都合とされると待機期間というペナルティーが設けられた上に給付期間にも格差が付けられるわけです。今回、特定受給者の基準が見直されて、残業四十五時間超えが三か月以上で離職した場合などは自己都合としないと。これは歓迎したいと思うんですね、こういう見直しは。徹底をしていただきたいというふうに思っております。
〔委員長退席、理事階恵美子君着席〕
同時に、今朝の、今日の午前中の参考人でも、やはり自己都合といってもいろんなケースがあるんだということが連合の参考人からも述べられまして、例えば遠隔地配転で離職を余儀なくされるという場合でもいろんな事情がある。
大臣、そもそも離職理由によってこれほど給付日数に差を付けたり待機期間を設けること自体にどこまで合理性があるのだろうかというふうに私は疑問に思っていまして、やっぱり離職理由による今のような大きな格差を付けることは見直すべきではないかと思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) これ、離職理由においてなぜこれだけ差を付けるかという話でありますが、やはり自己都合とそれから離職を余儀なくされるのとは状況が違うわけでありまして、自ら予想せずに離職を余儀なくされる場合には、やはりそれ相応に、いろんなこれからの生活設計においても大変な困難があるわけでありまして、そういう意味で離職理由というもの、これ自己都合との間、解雇等々に関して差を付けるというのはこれは一定の合理性はあるというふうに考えます。
〔理事階恵美子君退席、委員長着席〕
ただ一方で、委員がおっしゃられたように、いろんな状況があるわけでありまして、でありますから、賃金の不払でありますとか遅配でありますとか、それから過重労働、こういうものに関して、今回も要件を広げましたけれども、そのような形で特定受給資格者という形にさせていただいたわけでありますが、あわせて、これ、この離職理由を判定する場合、この場合も、異議がある場合はハローワーク等々で労使共にお話をお聞かせをいただくと、その中においてしっかりと我々判断していくということでございますので、言われるとおり、いろんな理由がありますから、それに対してはしっかりと対応させていただきたいと、このように考えております。

○小池晃君 雇用保険の国庫負担を本則どおりに二五%に引き上げて、削減された基本手当、元に戻すことも併せて、やはりこの自己都合というのが、自己都合、これは本当に判定、非常に微妙な問題もありますから、運用の面でと併せてやっぱり改革もこれは考えていく、必要だというふうに思います。
それから、今回の法改正によって就業促進定着手当が新設されて、離職時賃金から低下する条件で就職した場合には差額を一時金として支給すると。これで新たに算定業務が発生するわけで、その活用対象三十四万人というふうにもお聞きをしてまいりまして、ハローワークの業務がかなり増えるというふうに思うんです。
一方で、ハローワークの定員は、資料でお配りしていますが、毎年削減されておりまして、局長、常勤職員、非常勤職員について来年度どれだけ削減するのか、また四年間ではどれだけの削減になるのか、お答えください。

○政府参考人(岡崎淳一君) 先生お配りの資料のとおりでございますが、常勤職員につきまして、今年度から来年度に向けては二百八人の減員でございます。二十三年度から比べますと六百三十三人の減ということでございます。
一方、非常勤職員でございますが、これも今年度から比べてみまして、来年度予算定員でございますが、千二百四人の減員でございます。二十三年度から比べますと四千五百五十八人の減員。これは、リーマン・ショック後に求職者が相当増えたときに特に非常勤職員は増やしましたが、これを順次、求職者の状況を見ながら減らしていると、こういう部分もあってこういう数字になっております。

○小池晃君 ハローワーク職員の精神、行動の障害による長期療養者、一・九%です。これ、国家公務員平均の一・五倍に上ると。やっぱり常勤、非常勤共に過重労働が懸念されますし、結果としてハローワークの職員が過重労働で苦しんでいるというのは、これは本当に私は大きな矛盾だというふうに思います。それが結局、短時間、不十分な相談という求職者に対するサービス低下にもつながる危険も懸念されます。
大臣はハローワークについて津田理事の質問に、しっかり維持して機能強化していくと答弁されていますが、改めて、不足している必要な人員を確保するため体制の充実に向けた大臣の決意をお述べいただきたい。

○国務大臣(田村憲久君) 行財政改革の一環で、今の話のとおり、一定程度減ってきておるわけでありますが、一方で、これから、この雇用保険法の改正等々も含めまして、必要な作業も増えてくるわけであります。現場では係長級含めて増員もしている部分もありますが、しかし、非常に厳しい状況の中でそれぞれ担当者の方々が御活躍をいただいておるということは我々も理解いたしております。
とにかく我々としては、しっかりこの雇用行政等々含めて対応できるような形の体制をつくっていかなきゃならぬわけでございまして、引き続き、必要な人員を要望していく中において体制づくりに努めてまいりたい、このように考えております。

○小池晃君 しっかりやっていただきたいというふうに思います。
残る時間、雇用に関わって、最低賃金制度について聞きます。
三月十九日に高知県議会で、全会一致で最低賃金の改善を求める意見書が可決されました。そこでは、地域別最賃で高知県は全国最低、フルタイムで働いても百二十万から百六十万にしかならず、到底まともな暮らしができないと、生まれ育った地域で暮らし、働き続けたいとの願いに応えるためにも最低賃金の地域格差の是正への改正と金額の大幅な引上げが必要だと述べています。
局長に聞きますが、そもそも日本のように地域別最低賃金制度のみを法律で決めている国は何か国でしょうか。

○政府参考人(中野雅之君) 二〇一二年のILOのレポートによりますと、政府又は三者構成機関等によりまして全国一律の最低賃金を設定せずに、地域別の最低賃金を設定している国は十五か国となっております。

○小池晃君 十五か国、いただいた資料を見ますと、OECD加盟国では日本とカナダとスイスだけです。地域別最賃というのはまさに少数派だし、先進国の大勢は全国一律最低賃金制だと思います。
私、予算委員会でもこの最低賃金の問題取り上げて、アメリカやドイツでは大幅な引上げという動きがあると、日本でも速やかに全国一律最低賃金制度で地域格差もなくして、中小企業への抜本的な支援も併せて時給千円以上ということを求めまして、景気対策としても重要ではないかと私が言ったら、安倍首相は、気持ちは分かると。気持ちは分かると言ったことは半歩前進かもしれませんが、でも、気持ちだけではやっぱり駄目なわけで、実際のやっぱり手だてが必要だと思います。
大幅な引上げが必要なんですが、当面、今、最賃の金額改定の審議で生活保護と最低賃金の比較算定方法を使われているわけですが、これについてちょっとただしたい。
まず、最賃法九条三項には生活保護費との整合性明記されていますが、その点に照らして現状、どこまで来ていますか。

○政府参考人(中野雅之君) 今御指摘ございましたように、最賃法九条三項の生活保護に係る施策との整合性に配慮すると、こういう規定に基づきまして、逆転現象が発生した都道府県につきましては計画的にその解消に取り組んできたところでございます。
今年度につきましては、最低賃金の引上げによりまして、改定前に逆転現象が生じておりました十一都道府県のうち北海道を除く十都府県でその逆転が解消されたところでございます。

○小池晃君 とはいうものの、現在の水準ではとても暮らしていけないというのが声であります。
そもそも、今御説明あったように、生活保護水準クリアしていると言うけれども、本当なんだろうか。生活保護基準を時給換算する方法にいろんな問題があるんではないかというふうに思うんです。
まずお尋ねしたいのが、二つあるんですが、一つは、比較対照としている生活保護基準の生活扶助費をその県の平均額で出しているために、県都など中心部に住む人はこれは生活保護基準以下になってしまうという問題があります。それから二つ目は、住宅扶助費もやっぱり同様に特別基準額でなく平均実績額にしている。これではやっぱり県の中心部では生活保護以下の水準になってしまうと思うんです。
何で平均額にするのか。最低水準なんですから、やはり全ての労働者に生活保護水準以上の賃金を保障する金額に私はすべきだと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(中野雅之君) 最低賃金と生活保護については、両者の基本的性質が異なることもありまして、例えば最低賃金額は時間額であるのに対しまして、生活保護制度による各種扶助は月額であるなど一義的に比較できるものではないことから、比較方法の検討に当たりましては最低賃金審議会において御審議いただき決定しているところでございます。
審議会におきましては、ただいま先生御指摘がありましたように、生活扶助基準や住宅扶助基準につきましては、労側は上限値を使うべきであると主張し、使用者側は上限値を用いた場合には級地が低い市町村では使用者に対して過度の負担となるという側面があるので平均値を使うべきだというふうに主張しまして、意見の一致が見られなかったところでございますが、公益委員見解として、若年単身世帯の生活扶助基準の都道府県内人口加重平均に平均の住宅扶助の実績値を加えたもので比較を行うという方法が示されまして、最低賃金審議会におきましてはこれを尊重して、平均値を用いた方法に基づきまして審議を行っていただいているものと認識しております。

○小池晃君 異なる制度の比較が困難だということを理由にして、やはり生活保護水準を下回ることが最初から分かるような設定すべきでないと思うんです。生保と最賃の整合性の趣旨については、これは法制定当時の労働基準局長の答弁では、最賃は生保を下回ってはならないということだと説明しているわけで、やはりこの趣旨を踏まえれば、これは誰もがやはり生活保護を下回らないように県都の級地の生活扶助費を私は使うのが当然だと思います。
続けて三つ目に、勤労必要経費なども計算に入っておりません。これは、働くためには服装もあるいは教養もリフレッシュも必要で、当然様々な費用掛かるわけですけれども、これは全く反映されていない。
それから四つ目には、社会保障費の計算方法ですけれども、これは全国一勤労所得の少ない県、現状では沖縄県の税と社会保障費が収入に占める割合を使っているわけですね。これでは最低賃金額を低く抑えるために恣意的にやっているんではないかと言われても仕方がないんではないかというふうに思います。
局長、勤労必要経費も当然算入すべきだと思いますし、社会保障費こそ平均的な税額で、所要額で算定すべきじゃないですか。

○政府参考人(中野雅之君) この点につきましても審議会において議論がなされて労使の見解が一致しなかったことから、公益委員見解として示されたものに沿って、現在、最低賃金審議会におきまして、これを尊重して審議を行っていただいていると認識しております。
ただいま御指摘がありました勤労控除を考慮しない理由は、勤労控除は生活保護法に規定する他の扶助とはその趣旨が異なりまして、生活保護受給者の自立を助長する観点から設けられた制度でありまして、直接的に衣食住の水準に関連するものではないことから、公益委員見解におきましてこれを考慮しないこととしたものと考えております。
また、税、社会保険料につきましては、そもそもどのような基準で考慮するかは、技術的な事項であることに加えまして、自治体ごとに差異がございまして、多種多様な控除や免除もありますために、自治体ごとの個別事情を考慮して控除割合を定めることが困難であることが一つの理由でございますし、また比較の計算を行うに当たって一定の基準を設定する必要があることから、審議会におきまして真摯に議論していただいた結果、公益委員見解におきまして、最も低い地域の税、社会保険料を用いるということになったものでございまして、それを尊重して今労使で最低賃金審議会において議論をいただいているというふうに認識しているところでございます。

○小池晃君 労使で労使でと言うけれども、その労側の要求が少しでも入って、幾つか譲って労使で決着付いているんだったらいいですけど、全部労働側の主張は退けられているじゃないですか。
全部使用者側とおりのことになっている。何のための公益委員かという議論ですよ、これでは。こういうことでいいんだろうかと。
それから、平均難しい、算定難しいと言うけれども、何で、じゃ、わざわざ一番低い沖縄使うんですか。これはやっぱり恣意的だと言われたって仕方がないと思うんですね、私。
さらに、労働時間の設定にも大きな問題がありまして、これフルタイマー労働者の所定内労働時間実績を基にしないで、正月も夏休みも祝日もなくて週四十時間働いたとした法定上限いっぱいの理論値百七十三・八時間を使っている。どうしてこれで平均的な労働者の時給に換算したと言えるんですか。

○政府参考人(中野雅之君) 月額に換算する際の労働時間につきましても、平成十九年改正の際の国会における審議状況も踏まえつつ、その後、最低賃金審議会において議論がなされました。
この点につきましても、労使の意見の一致が見られなかったことから、公益委員見解といたしまして、週四十時間を前提とした法定労働時間、今委員御指摘ございました百七十三・八時間を用いて比較を行うという方法が示されまして、審議会におきましてはこれを尊重しまして、この方法に基づいて審議を行っていただいているものと認識しているところでございます。

○小池晃君 だから、さっきから言っているように、それだって労働側の要求を全部退けてやっているわけでしょう。
正月、夏休みも含めて、業種、企業の違いも含めた平均値は、厚労省の例えば毎月勤労統計の平均所定内実労働時間なんかも使えるじゃないですか。何でこれを使わないんですか。

○政府参考人(中野雅之君) 実績値等でございますと、それは変動値でございますので、安定した数値を用いることが制度運営上必要であるということと、最低賃金が全ての労働者に適用される最低限度の基準であるということから、法定労働時間を用いることにつきましては不合理であるとは言えないというふうに考えておりますので、このような見解が公益委員見解としては示されたわけでございまして、それを受けて労使が、その見解を尊重して審議会においてそれを基に御議論をいただいていると、こういうことだと認識しております。

○小池晃君 毎年の変動があるから使わないんだと言うんだったら、何で住宅扶助については、安定している住宅扶助の特別基準値を使わずに支給実績値使って、毎月毎月変動している数字を何で使うんですか。ダブルスタンダードじゃないですか。御都合主義もいいところじゃないですか。とにかく低く抑えるためのそういう計算しているんですよ、これは。これでは、私、説得力ないと思います。
大臣、やはりその最低賃金設定の目安の在り方を見直す目安全協が、これは再来年度までには結論を出す方向でその議論が始まるというふうに聞いております。やっぱり、この際、この問題、今私が指摘したようないろんな様々な問題も含めて、最低賃金額と生活保護水準の整合性を図るための今の比較算定方式については、やはりこれは見直す議論を始めるべきじゃないですか。いかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 目安の在り方に関する全員協議会でありますが、大体おおむね五年で一回開かれておるという形でありますが、これ、中央最賃審議会がこれを設定をするわけであります。そういう意味からいたしますと、これによって、この協議会の中において、協議会が、今言われたような最賃と生活保護、その比較をするということも含めて、どのような事項を調査審議するかということをお決めになられて議論をされるということでございますから、まずは中央最賃審議会、ここでしっかりと御議論をいただいて、その上でどうあるべきかということはお決めをいただくということになってこようと思います。

○小池晃君 そういう形の上だけの話じゃなくて、政治家としてやっぱりちょっと、これ労使の話合いの結果だと言うけれども、労働側の主張をことごとく退けて、それで結果だと言っているんでしょう。だから、さっきから言っているように、幾つかは労働側の主張を取り入れているんだったら私もそんなに言いませんけれども、これは何もかも使用者側の主張どおりで決まっているというのは、これは納得いかないでしょうと言っているんですよ。やっぱりここは見直すべきだというふうに思います。
安倍政権は、賃上げこそが景気回復の鍵だというふうに言っているわけで、それはやっぱり最低賃金というのは、これは経団連にわざわざお願いしなくたってすぐにできる賃上げなわけですから、これ生活保護水準クリアしたなんというのは、これははっきり言って私ごまかしだと思います。クリアしておりません。
実際のこういう問題は見直して、世界の趨勢は全国一律最低賃金制です。やはり中小企業大変だという声もありますから、ここは抜本的な支援をして、これこそがやっぱり経済の好循環だと、最低賃金全国一律千円以上を目指してこれは進むべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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