日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

検索

国会ハイライト

国会質問・速記録・質問

派遣法改悪案 重大誤り撤回しかない 参院委 小池氏「訂正ですまぬ」

2014年05月08日

「赤旗」5月9日付
 
写真
(写真)質問する小池晃議員
=8日、参院厚労委

日本共産党の小池晃議員は8日の参院厚生労働委員会で、政府が今国会に提出している労働者派遣法改悪案の条文に誤りがあった問題を追及し、「法案そのものにこれだけ重大な誤りがある。見逃した厚労省、内閣法制局、安倍内閣の責任は重大だ」と述べ、法案の撤回を求めました。

誤りがあったのは、付則に盛り込まれた派遣事業者に対する罰則規定の条文です。経過措置で現行と同じ「1年以下の懲役」とするところを、「1年以上の懲役」としました。

小池氏は、「閣議決定までされており、訂正など不可能ではないか」と追及。厚労省の岡崎淳一職業安定局長は「形式的な転記ミス」と弁明し、田村憲久厚労相は「どうかご理解いただき、訂正させていただきたい」と述べました。

小池氏は、罰則規定に関わる重大な誤りで「訂正ですむ問題ではない」と指摘。改悪で「生涯ハケン」や「正社員ゼロ」への道が開かれると懸念する声を示し、「会期末までわずか、審議に入れる条件はない。いさぎよく撤回すべきだ」と主張しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
法案に入る前に幾つか質問したいんですが、四月二十三日のノーモア・ヒバクシャ岡山地裁判決について、昨日、厚労省は控訴断念をいたしました。この裁判は、三歳のときに長崎で被爆をして、被爆の当日、八月九日に爆心地から四百メートルのところに入市をされたという方ですね。二人の方の入市証明書があったんです。三歳でしたから、証明書が、確かに入ったという証明書が書類に添付されていたものをこれは見落としていたと。これは、国も裁判の中で、入市証明書が審査会において考慮の対象から漏れていた可能性は否定できないと認めているわけですね。その結果、原爆症認定はされなかった。当然認定されるべき人を、まさに国の重大な誤りによって認定されなかった。
これ、国家賠償法上の支払を国に求めたわけです。
判決は、本件却下処分及び本件棄却処分をした厚生労働大臣の行為は本件申請に係る証拠書類を十分に精査すべき職務上の法的義務に違背したものだということで、国家賠償法上の違法の評価を受けるものであると、厚生労働大臣に過失があったことは明らかであるから、原告が被った損害を賠償する責任があると、こういうふうに判決は言い渡しております。
これ、経過からいっても、控訴断念は私当然だと思うんですが、大臣、やはり控訴断念に至った経緯、説明をいただきたいのと、あわせて、原告は関係者も含めて東京に来るとおっしゃっていますので、是非会っていただいて謝罪をしていただきたいと。大臣の口からやはりきちっとこの経過について説明と謝罪をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 今のお話でありますが、岡山地裁の方での判決、大変厳しい判決をいただきました。関係省庁と協議の結果、これは控訴しないということにいたしたわけであります。
言われますとおり、申請書類等々、しっかりチェックできていないということで、これは二十年三月であったわけでありますが、四月以降に関しては、そのようなことがないようにということも含めまして、審査体制、これを審査部会をつくって強化をするとともに、申請書類の様式も変えて、そのような形がないような形に今なっております。
この案件に関しましては、こちらの方でしっかりと審査のときに審査書類をチェックできなかったということでございます。そういうこともございますので、手紙でおわびという形でおわびの文書を送らさせていただいたということでございます。

○小池晃君 やはり手紙でなくて、大臣が直接会って私は謝罪していただきたいと思います。重ねて求めますが、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 手紙でおわびを申し上げるということも余り例にない話なんですけれども、やはりこういう案件でございますので、率直におわびの言葉をということで手紙を送らさせていただきました。現時点はこのような形で対応させていただいて、おわびの思いというものを伝えさせていただくということであります。

○小池晃君 手紙を出していただくということ自体は、それは私はいいことだと思うんですね。ただ、やはり直接会って、こういう経緯で、本当にある意味では完全な過失ですよ、国の、これははっきり言って。それによって人生が狂わされたということなわけだから、これはやっぱりきちっと会って謝罪をすべきだと。これ、検討していただきたいというふうに思います。
それから、認定制度の在り方がやっぱり根本的に問われる事案だと思います。そのことについてはちょっと日を改めてまたこの委員会で議論させていただきたいと。まあ構造的な問題ではないかと思いますので、そのことも申し上げておきたいというふうに思います。
もう一点ですが、国会に提出されている労働者派遣法案に誤りがあったことが連休前に判明しまして、これ、厚労省に問い合わせたところ、まあ誤りは認められました。しかし、これはミスで済まされる話ではないと思います。罰則規定に関わる重大な誤りです。
厚労省に聞きますが、一体どういう誤りだったのか。閣議決定まで行っているわけで、訂正など不可能だと思いますが、どうするつもりですか。

○政府参考人(岡崎淳一君) 誤りがあった点につきましては、今回の改正によりまして特定労働者派遣事業の関係の規定が削除されますが、経過的にその事業主に対する行政処分の規定を残すということになります。その場合の罰則規定につきましても経過措置で残すということにしたわけでございます。したがいまして、これは現行の制度の中でやられているものをそのまま残すということでありますので、そのまま附則に転記しなければいけないということでございましたが、その場合に、現行本則規定では一年以下の懲役とあります、これを誤って一年以上の懲役というふうにしたものでございます。
これは、明らかにそのまま書くというべきものでございましたので、そういう意味では形式的に転記をミスしたということでございますが、先生御指摘のように、罰則規定におきましてこういうミスをしたということは誠に申し訳ないというふうに思っておりまして、これにつきましては謝罪させていただきたいというふうに思っております。
それで、この点につきましては、正しい条文にした上で国会で御審議していただく必要があるというふうに考えておりますので、関係省庁等と協議をいたしまして適切な対応を取らさせていただきたいと、こういうふうに考えております。

○小池晃君 これは訂正で済む話じゃないですよ。
だって、一年以下と一年以上では天と地ほども違うわけです、罰則規定が。
元々、この法案は、この委員会でも私、取り上げましたけれども、もう労働者派遣事業の在り方を抜本的に、根本的に転換するような大改悪なわけですね。しかも、労政審の審議過程でも派遣業界代表をオブザーバー参加させる、その意向に従って進めるという異様なものだったことをこの委員会でも私、指摘をいたしました。形式的な誤りで済む話じゃないと。法案自体にこれだけ重大な誤りがある、しかもそれを気付かずに閣議決定までした、内閣法制局もそれを見落とした。そして、安倍内閣の責任、これ極めて重大だと思います。
大臣、この法案は、生涯派遣になる、正社員ゼロ社会に道を開くと、これはもうナショナルセンターの違いを超えて労働団体からもあるいは法律家の団体からも反対の声が上がっている重大な法案です。しかも、今国会は会期末までもう僅かしかございません。審議に入れるような条件はないと思います。
大臣、これ、今回こういう誤りも出た。もう潔く撤回をすべきだと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 二十六業務は今まで三年を超えて期限なく働けたというものを、それを含めて三年を上限という形にしたわけでございまして、三年以上は基本的には働けないという形にする法律でもあるわけであります。そのような意味からいたしまして、ほかにもいろんな論点があるわけでありまして、まさにこの転記ミスの部分に関しても実は大きな論点があったわけであります。
その転記ミスということでは大変申し訳なく思っておるわけでありますが、これはまさに附則の方に転記するときのミスでございまして、今までのいろんな事例に照らしてみて、このような形のミスに関しましては出し直しということではなかったということでございまして、どうか御理解をいただく中においてこの法案、正誤ミス、訂正をさせていただければ有り難いというふうに思います。

○小池晃君 いや、これだけもう法案提出前からこの委員会でも何度も取り上げられているような大問題の極めて重大な法案で、しかも重大なミスがあったわけで、ほかの例と一緒にされたら困ります。これはもうあり得ない、撤回すべきだと。
議論入れませんよ、こんなので。潔くもう撤回したら、議論入る条件ないんだから、みんな分かっているんだから、もう。撤回した方がいいと思います。どうですか。重ねて訴えます。

○国務大臣(田村憲久君) 重ねて、御理解をいただく中でミスの訂正をさせていただければ有り難いというふうに思います。

○小池晃君 これ、訂正は院が認めなきゃできませんよ、国会法で。どうですか。

○国務大臣(田村憲久君) いえ、ですから、お願いをさせていただいて、どうか訂正をいただきますようにということでございます。

○小池晃君 まあ、これ以上やってもあれなので。
ちょっとこれは、本当にもう審議に入る条件が完全に失われた法案だと思いますので、撤回を求めていきたいというふうに思います。
法案に入ります。
私どもは、一九九九年の中央省庁再編以来、独法化が国民生活に関わるサービスの低下につながるということで反対をしてまいりました。国立研究機関というのは長期的な観点で研究をすべきであって、五年という短期的評価、効率性と採算性優先ということではやはり満足な研究もできなくなり、これは国家的損失だというふうに思います。
医薬基盤研究所は、医薬品などの基盤的技術研究、生物資源研究などを、国立健康・栄養研究所は、一九二〇年の創立以来、国民の栄養食生活の改善や健康増進に貢献をしてまいりました。しかし、この間の独立行政法人化などによって本来の役割が果たせてきたのか、そこで働く職員、研究職員の労働条件あるいはその研究を支える条件が一体どうだったのかということの検証がやっぱり必要だと思うんです。
そこでお聞きしますが、医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所の人件費と運営費交付金の削減の比率はそれぞれどうなっているか、二〇〇五年度と比べた二〇一二年度の比率でお答えをください。

○政府参考人(三浦公嗣君) まず、人件費でございますが、平成十七年度の人件費としての執行額は基盤研で約六・六億円、健康・栄養研究所、健栄研で五・二億円でありまして、平成二十四年度の人件費としての執行額は、基盤研で六億円、健栄研で四・四億円でございます。人件費については、それぞれ、基盤研で九・五%、健栄研で一三・八%の減少となっているところでございます。
また、運営費交付金でございますが、平成十七年度の運営費交付金は、基盤研で約百十四・七億円、健栄研で約八億円でございます。二十四年度の運営費交付金は、基盤研で八十四・九億円、健栄研で約六・三億円でございまして、運営費交付金については、それぞれ、基盤研でマイナスの二六%、健栄研で二一・八%となっているところでございます。

○小池晃君 資料も配付させていただきましたけれども、今あったように大幅な予算削減を行われて、現場では、例えば施設のメンテナンスなども十分にできず、雨漏りの対策も満足にできないという話も聞いています。
大臣、これ、今までのようなこういう削減を今後も続けていって、基盤的な技術研究あるいは難病・疾患資源研究、発展させることができるんでしょうか。やっぱりこういうどんどん削減ありきというようなやり方を見直すときなんじゃないですか。

○国務大臣(田村憲久君) 必要な人件費、研究費というものは、基本的には運営費交付金という形でございます。二十七年度統合に向かって、これしっかりと運営費交付金、これを確保していかなきゃならぬわけでありまして、必要なものは必要な分、しっかりと確保していきたいというふうに考えておりますが、一方で、研究費といいますと、運営費交付金だけではなくって、競争的資金、研究費があるわけでありますので、そういう外部資金をしっかり獲得していくということも重要であろうと思いますから、必要な部分というものはそういうものも含めて確保してまいりたい、このように考えております。

○小池晃君 医薬基盤研究所も国立健康・栄養研究所でも非常勤の研究職員あるいは任期付きの研究職員が増えている、その問題についてちょっと次に聞きますが、これ、数見ますと、二〇〇五年と比べて一三年度は、非常勤研究職員数、任期付研究職員数は、医薬基盤研では任期付研究職員が二十人増えています。非常勤が三十六人増加しています。それから、国立健康・栄養研究所では任期付研究職員が十一人増加をしています。厚労省にお伺いしますけれども、この結果、それぞれ、任期付研究職員と非常勤研究職員が研究職員総数の中でどれだけになってきているのか、これも二〇〇五年と二〇一三年度でお答えください。比率だけ。

○政府参考人(三浦公嗣君) 平成十七年度の研究職の職員総数に占める常勤の任期付職員と非常勤職員の割合でございますが、基盤研が二・四%、健栄研が一六・一%でございました。二十五年の研究職職員総数に占める常勤の任期付職員と非常勤職員の割合でございますが、基盤研については七〇・四%、健栄研については五九・三%となっております。
特に、基盤研につきましては、平成十七年から二十五年にかけまして、常勤の任期付職員と非常勤の職員の割合が大きく伸びておりますが、これについては、平成十七年四月の基盤研発足以来、研究内容を検討し、プロジェクトごとに必要な研究職員を雇用しているという状況にあるからと考えております。

○小池晃君 この間の独法化による人件費抑制のあおりを受けて、不安定な非常勤研究職員、任期付研究職員が増えているわけですね、比率が。激増していると言ってもいいと思います。
現場の職員の話では、常勤の研究者が退職すると、その後の新たな採用は任期付きになっていて、任期付職員の方は常勤者と違って住宅手当出ないし退職金もなくて、非常にやっぱり研究に専念できる環境という点ではいろんな問題があるというふうに聞いているんですね。
私は、国が責任を果たすべき研究機関です。研究者の環境改善にやっぱり全力を挙げる必要があるんではないか。やっぱり落ち着いて国のための研究に取り組むためにも、大臣、今後はやっぱり非任期付きの研究職員の比率をこれは増やしていく、配置を増やすべきではないですか。いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 任期制の活用は、中期目標の中で、これは中に入れていくわけでありまして、こういう中期計画の中において定められた下において進めていくわけでありますが、これは平成十三年、第二期科学技術基本計画、この中において、若手の研究者ですね、こういう若手の研究者に関しては任期付きでこれを採用すると、その上で業績等々を評価した上で任期なしへと、このような形で転換していくと、こういう方向性が示されているわけでありまして、それは成果という問題を考える上でも、それから競争という意味でも、一定の研究開発環境を整えていくという意味では意義があるんであろうというふうに思います。
いろいろと、プロジェクトの実施期間でありますとか、それからそれぞれの将来に向かっての発展性、こういうものを勘案しながら、今委員おっしゃられました任期付きというものを任期なしというような形に移していくわけでございまして、一定程度はこれは致し方がないというふうに思っております。
いずれにいたしましても、優れた人材を育成していくということがこれは研究にとっては大変重要なことでございますので、これからもそのような形で人材育成に取り組んでまいりたい、このように考えております。

○小池晃君 研究の結果というのは、そんなに短期間で結果が出ないことだっていっぱいあるわけですよ。そういう点でいうと、やっぱり国が、特に厚生労働省が責任を持っているような研究機関で、やっぱりとにかく短期に結果を出せというような形での雇用ばかり進めていくというのは私は問題があると、もっと落ち着いて研究に取り組めるような環境をつくるためにやっぱり国としての責任を果たすべきだということは改めて申し上げたいというふうに思います。
それから、先ほどから議論ある何のための統合なのかというのはちょっとこれやってもしようがないというか、もう。七年前に閣議決定しながら、結局今までやらなかったということにはっきり現れているわけで、何のための統合なのかの合理性はほとんどないと思いますよ、私、はっきり言って。結局、やっぱりNIHつくるということのためで、大臣は先ほども、何か食品と医薬品は口から入るから同じだって、ああいうことではやっぱりこれはいけないわけで、ビジョンがないことを物語っているというふうに私は聞きました。やはり数合わせのものだという、先ほどからそういう指摘ありますけど、私もそのとおりだというふうに思います。
最後に、二点ちょっと確認したいんですが、国立健康・栄養研究所、統合されて解散となりますが、その際の職員の雇用の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。
今回の法改正案の附則の第二条で、国立健康・栄養研究所の一切の権利及び義務は、そのときにおいて独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所が承継するというふうにされておりますが、大臣、ここは大臣に答えていただきたいんですけど、ここで言う一切の権利及び義務には国立健康・栄養研究所の職員の雇用は含まれるんですね。

○国務大臣(田村憲久君) 国立健康・栄養研究所の権利義務は、これは言われるとおり新独法の方に継承されるわけでありまして、そこには雇用、これも入っております。

○小池晃君 この附則第二条に雇用が含まれるということを確認させていただきました。
それから、内閣官房からも来ていただいていますが、今度は、国立健康・栄養研究所から独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所、新独法に職員を引き継ぐことはこれは法文上にも入っているということなわけですが、一方で、いわゆる新独法、日本版NIH、日本医療研究開発機構への異動に伴う職員の雇用、この確保についてはどうなるのかということについてお聞きをしたいんですが、新独法日本医療研究開発機構への異動によって職員の雇用は守られるということになるんでしょうか。このことについてお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(中垣英明君) 今委員御指摘の医薬基盤研究所から日本医療研究開発機構に業務が移管されるわけでございますけれども、現に従事している医薬基盤研究所の職員につきましては、本人が希望される場合には基本的に日本医療研究開発機構においても職員として採用し、業務に従事していただくことになるものというふうに考えておるところでございます。

○小池晃君 分かりました。
新しく設立される独立行政法人に雇用をきちんと継承する責任を果たさせる、その責任を内閣官房としても果たしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

閉じる

資料

ご意見・ご要望