日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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医療機関は危機 支援迫る 小池書記局長に自民席も「そうだ」 参院厚労委

2020年07月03日

赤旗2020年7月3日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=2日、参院厚労委

 日本共産党の小池晃書記局長は2日の参院厚生労働委員会で、新型コロナウイルスへの対応で経営危機に直面する医療機関の実態を示し、緊急の支援措置をとるよう求めました。小池氏が、日本医師会や病院団体、自民党の医系議員も要望していることをあげ、「この声に応えないで、何のための厚労大臣か」とただすと、自民党席からも「そうだ」の声がかかりました。

 

 小池氏は、東京女子医大が「夏季一時金を支給しない」と労組に回答し、看護師の退職希望が法人全体の2割にあたる400人を超える事態を示し、「大学側にも責任がある」としつつ、コロナ感染症対策の先頭に立つ医療機関が経営危機に直面している事実を指摘。日本病院会や日本医師会の調査でも、コロナ患者を受け入れた医療機関だけでなく、受け入れていない医療機関も経営が悪化していることを示して「日医や病院団体が要求しているように、過去の診療実績による概算払いを認めるなど、当面の資金ショート(不足)やボーナスカットを回避する緊急措置が必要だ」と迫りました。

 

 加藤厚労相は「経営状況が厳しくなっているという認識は共有している」といいながら、「2次補正予算では貸付原資として1兆2700億円を確保し、しっかり融資が行われるようにする」などというだけ。小池氏は、5月の診療報酬等の概算前払い件数は1402件で24万ある保険医療機関全体のわずか0・5%、福祉医療機構による融資件数も6月末現在で6600件しかないことを明らかにして「焼け石に水だ」と批判しました。

 

 そのうえで小池氏は、日本医師会や日本病院会が医業利益率は4月よりも5月が悪化しているとして、緊急の支援措置を要望していることを指摘。全ての医療機関の減収を3割と仮定し、そのうち8割を補償することなどを盛り込んだ自民党「医療系議員団本部」の「第2次補正予算試算案」(総額7兆5213億円)を示し、「いい提案だ。このような“医療版持続化給付金”が必要だ」「自民党の医系議員も共産党の私も『いい』といっているのだから、怖いことなど何もない」と述べ、2次補正予算の予備費10兆円を活用した医療支援を求めると与党席からも拍手が起こりました。しかし、加藤厚労相は「まずは2次補正予算としてもらったお金を交付する」というだけで、予備費活用などには触れませんでした。

 

 小池氏は「2次補正予算では対応できないから、医療団体は6月に入っていっせいに要望書を出している。これは党派を超えた声だ」と重ねて強調しました。

 

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 ちょっと冒頭、通告していないんですけど、今ニュース速報一斉に流れていまして、東京での感染者数が百人を超えるということであります。これ、各局が一斉に今流しております。今日も東京の感染者数については懸念の声が各議員からたくさん出されました。百人を超えたということであれば、これは五月二日以来ということになるわけでありまして、私はこれは深刻な数字ではないかなというふうに思っております。
 やはり、これ内閣府ということもありますが、厚生労働大臣として、やっぱり政府としてこの東京の今のこの感染の拡大について何らかの手だてを打つべきではないでしょうか。少なくとも、専門家会議は廃止されていないということも先ほど確認されましたし、やっぱり専門家の皆さんにこの今の東京の現状についてしっかり議論していただいて、打つべき手があるのではないかと私思いますので、そういう厚生労働大臣としてのやっぱり手を打っていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 済みません、ちょっと私、委員会中なので、一切そういうのを見ることができないので、その数字がどうなのかってちょっと分からない。ちょっと、それはちょっとおいておかせていただいた上で、現下の状況認識については、これまで他の委員の方に対する答弁の状況ではあります。
 ただ、従前から、懸念すべき状況であるということはこれまでも申し上げてきたところでありますので、当然そうした中において、必要に応じて専門家からのお話を聞いたり、分析を受けたり、あるいはそれ以外の方からもお話を聞いていく必要があるんだろうと思いますし、また同時に、これは各、この場合は東京都ということになりますから、東京都においても専門家を入れて、今度新たな指標も作られて、それを分析するということでもありますから、よく東京都、それを踏まえながらクラスター対策等も進めていくということでありますけれども、今のような状況でもう少し更に増えていくということになれば、それを踏まえながら必要な対応を取っていく、これは当然のことだと思います。
○小池晃君 私は緊急にやっぱり専門家会議を開催する必要がある段階なのではないかなというふうに思います。対応を求めたいと思います。
 コロナ感染症対策の先頭に立っている医療機関が今危機に瀕しています。東京女子医大は、夏期一時金を支給しないと労組に回答をしまして、看護師の退職希望が法人全体の二割に当たる四百名を超えるといいます。これ、経営責任ももちろん問われますが、しかしこれは、総理も予算委員会で、民間の経営が成り立たない、立ち行かないようなことがないように支援していきたいと答弁されているんですけど、このままでは本当に立ち行かなくなってしまう。危機的な状況になると思うんですね。
 そこで、大臣聞きますが、日本病院会の調査でも日本医師会の調査でも、コロナを受け入れた医療機関だけではなくて、受け入れていない医療機関も深刻な経営悪化が見られます。耳鼻科、小児科、あるいは眼科などで患者数が大幅に減っているということも報道されております。このコロナ受入れ患者はもちろん、受入れ医療機関はもちろんなんですが、受け入れていない医療機関への支援が本当に大事になってきていると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 病院団体あるいは先ほどもありました社会保険診療基金の四月分のデータ等を見させていただいても、大変経営状況が厳しくなってきているというのは私どもも共有をしているところでもありますし、それは新型コロナウイルス感染症の患者の方を受け入れているか否かにかかわらない、若干、診療科目によってかなり格差はあるようでありますけれども。コロナ対応を行う医療機関に対しては、診療報酬上の対応あるいは空床に対する補助金単価の引上げ、遡及適用等々を図らせていただきましたし、コロナを受け入れていない医療機関についても、院内感染防止対策等必要な対応を取っていただいていることに対するお金を支給するということも先般の補正予算の中で決定をし、具体的な金額もこれ既に医療機関等にも示させていただいたところでもございます。
 まずはこうしたことをしっかり活用していただくということが必要だろうと思いますし、その中で、今、先ほど申し上げた診療科目ごとにおいて、まず診療科ごとからもいろいろお話を頂戴しておりますから、そうした声も含めて、それから今後の動向も含めて、必要な対応についてもまた声を聞かせていただきながら検討していきたいというふうに思います。
○小池晃君 この院内感染対応と先ほどもあったんですが、これ消毒や動線確保の実費を、診療所で上限百万円です、病院でも数百万円です、実費の分だけですね。これはやっぱり減収対応にはならないですよ。
 概算前払ということをやられました。これ、請求した医療機関、どれだけだったですか。
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
 令和二年五月診療分の診療報酬等の概算前払件数でございますけれども、医科が六百七十一件、歯科が四百五十件、保険薬局が二百六十七件、指定訪問看護事業者が十四件、合計千四百二件でございます。
○小池晃君 概算前払を申請した医療機関は保険医療機関全体の僅か〇・五%で、焼け石に水なんですね。
 多くの医療機関は六月下旬に四月の診療報酬振り込まれて、これが減収で苦しんでいる。二次補正の支援策が振り込まれるのは早くても八月の下旬ということになってくる。そうなると、この七月の下旬に振り込まれる五月分の診療報酬、これ、日本医師会によれば、全国の医師会病院の医業利益率は四月よりも五月が悪化しているといいますし、今日お配りをしている日本病院会の大臣宛ての緊急要望書でも、入院、外来患者数共に五月は更に減少というふうに記載されております。資料20200702①
 七月下旬に振り込まれる診療報酬が六月よりも更に減額となれば、これは資金ショートの危機に直面すると思うんですよ。こういう状況に対する対策は用意されていますか、大臣。
○国務大臣(加藤勝信君) まさに、資金ショートにならないように、当面の資金繰りを行うため、二次補正予算においては、貸付限度額の引上げあるいは無利子無担保枠の引上げを行って、貸付原資として一兆二千七百億円を確保しており、申請に対してしっかりと融資が行われるよう、また、実際今、申請に対する融資についても適宜、その資金繰りを見ながら、緊急性が高いところは優先的に約三日から四日ぐらいで申請から決定までなされているというふうに承知をしているところであります。
 融資だけだということがお話がありますが、その先の八月においてはこのぐらいのお金が支給されるということ、これは先ほど申し上げた二次補正の内容を既に医療機関等にお示しをさせていただいています。そういった見通しを持っていただきながら、この七月の資金繰り等に当たっていただけるように、当たっていただきたいというふうに思っております。
○小池晃君 融資という話ありました。福祉医療機構による新型コロナ対応融資はどこまで行っていますか。
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
 独立行政法人福祉医療機構が行っております医療貸付けにつきましては、令和二年の二月に、新型コロナ感染症の影響により経営が悪化した医療機関に対し、通常の融資よりも貸付上限額、貸付利率、償還期間を優遇する融資を創設いたしました。三月には、予備費第二弾に基づきまして貸付上限額、貸付利率、償還期間の更なる拡充を行い、無利子無担保の融資を開始したところでございます。
 また、四月には第一次補正予算を活用し、六月には二次補正予算も活用して今拡充をしているところでございますが、御質問いただきました貸付けの実績につきましては、先ほど申し上げました融資を創設した令和二年二月の二十一日から六月の三十日までの実績において申し上げますと、申請が約六千九百件、約四千百億円であるところ、融資決定として約六千六百件、約三千八百億円を行っているところでございます。
○小池晃君 いずれにしても、これも焼け石に水の世界なんですね。
 私は、少なくとも非常事態宣言下の五月診療分については、日本医師会ややっぱり病院団体がこぞって要求しているように、過去の診療実績による概算払を認めるなど、それだけじゃないですよ、いろんなやり方があると思いますが、やっぱり当面の資金ショートとかボーナスカットを回避する何らかの緊急措置が必要だと思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど申し上げたように、そうした意味での資金のショートに対して融資等を活用していただく……(発言する者あり)いやいや、しかも、その先において八月にこれだけのものが出るということをよく理解していただいた上で対応していただくということが必要なんだろうというふうに思います。
 それから、概算払のお話がありますけれども……(発言する者あり)よろしいですか。いやいや、まあそうですね、はい。
○小池晃君 概算払は地震のときだから駄目だと言うんでしょう。地震みたいなことが起こっているわけですよ。大変な被害が医療機関に襲っているわけですよ。財務省は何だか、ほかの業種にはやらないんだから医療だけやるのかとか言っているらしいですけど、それは芸術分野だって物づくりだって大切だけれども、医療機関というのはコロナ対応の最前線で命守っているわけだから、これをやっぱり支援するのは当然だと私は思うんですよ。
 それで、私がここに持っているのは自民党新型コロナウイルス対策医療系議員団本部の第二次補正予算案というのを持っているんですけど、これ、なかなかいいことを書いてあるわけですよ。
 総額七兆五千億円。コロナウイルス患者を受け入れていない医療機関においても減収している、このような背景を踏まえて減収補償、休業補償を行う。全ての医療機関の減収を三割と仮定して、そのうち八割を補償する。期間は三月から八月の六か月。診療所で一兆五百四十四億円、コロナ非対応病院の減収補償で一兆二千九百六十四億円、歯科で五千六百四億円、合わせて三兆五百二十二億円。
 これ、大臣も御覧になっていると思います。自民党の提案です。これ、診療報酬でやるというのがちょっとね、こうなると患者負担も増えますから。だとすれば、これは二次補正の予備費の出番じゃないですか、十兆円もあるんだから。二兆円は医療に使うといって、その五兆円分もほかにあるわけだから、これやらなきゃ。やっぱり医療の持続化給付金が必要なんですよ。大臣、そうだそうだって、だって、これ大体、自民党の提案だからね、これ。自民党の提案ですからね。自民党の医系議員が言っていて、共産党の私がこれがいいと言っているんだから、何も怖いものはないじゃないですか。全ての医療団体が今こういう補償が必要だと言っているので。
 私が言うのは損害賠償的な意味の補償じゃないですよ。医療活動が継続できるためのやっぱり支援なんですよ。大臣、八月には入ると言うけど、それはコロナ対応病院ですよ。コロナ非対応病院にはほとんど入らないんです、今の仕組みでは。これでいいのかと言っているんです。真剣にやっぱりこの声に応えなかったら、何のために大臣やっているのかと言われても仕方がないですよ。応えていただきたい。
○国務大臣(加藤勝信君) いや、八月、別に新型コロナ対応病院だけではなくて、先ほど申し上げた、その掛かり増しといっても、いやいや、掛かり増しといっても、これは単に、もう根っこから使われている経費も含めてかなりの幅のところまで見ていくと、こういう方向性ももう既にお出しをさせていただいているわけでありますから、まずはそういったものをしっかり活用していただく。
 私どもも、経営をしっかり守っていくことは大事だということは思っているわけでありまして、その中で必要な手当てを二次補正でやらせていただき、そしてこれからの情勢、先ほど八月とおっしゃいましたけど、また六月、七月等々の情勢を見ながら必要な対応はやらせていただきたいと思います。
 それから、概算払のお話をされましたけど、それ、災害時だけということじゃなくて、そもそも診療報酬というのは診療に必要なために皆さんから保険料をいただいているわけでありますから、診療がなされてない部分にまで使うということ、これはなかなか法律の建前からいっても難しいということを申し上げているところであります。
○小池晃君 医療機関が軒並み倒れるようなときに、そのことに診療報酬使うからといって誰も文句言いませんよ。しかも、これは前年度水準でやるんだから、新たな出費が支払側に出てくるわけでもないわけですよ。非常に合理的なやり方だと私は思いますよ。
 やっぱり、大臣、危機感持ってください。六月だってもう足下悪くなっているとさっき認めたじゃないですか。だったらば、二次補正の対応でとどまっていたら日本の医療機関を守ることできませんよ。日本の医療機関を守ることができないような大臣だったら存在意義がないですよ。やっぱり本気でこれやっていただきたい。
 だから、大臣、じゃ、具体的にはいいですよ、二次補正からやっぱり一歩出て、この今の医療機関の苦境を救うための手だてを取るという決意を、やっぱりそれは述べていただきたい。具体的にどこまで言えなくても、やっぱりこれやらなきゃいけないという認識を共有していただきたい。いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) その一歩でも二歩でもではなくて、基本的に医療基盤をしっかり守っていくということは我々も基本的な姿勢として持っているわけでありまして、それに対して、今、まずは二次補正予算としていただいたこのお金をしっかりと交付をしていく、そして、状況の中で今刻々と移っているわけでありますから、それに対して必要なものに対しては、また関係者のお話も聞かせていただきながらしっかり対応させていただくと、こういう中において、医療基盤、そしてそれが最終的には国民の皆さんの安心にもつながっていく、安全を守っていく、こういう思いで取り組んでいきたいと思います。
○小池晃君 医療団体は、みんな二次補正では駄目だから、六月になって一斉に要望書を出しているんですよ。二次補正では対応できないんですよ。予備費十兆円あるわけでしょう。だったらば、それの出番じゃないですか。
 そういったことをやっぱり厚生労働大臣だったら旗振ってもらわないと、何のためにやっているのかと言われてもしようがないということを申し上げたいと思います。これは、党派超えてこの声は国会で上がっていますから、是非やっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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