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小池 晃

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感染封じ込めへ 大規模検査を 参院予算委中央公聴会 小池書記局長 尾身氏らに質問

2021年03月17日

赤旗2021年3月17日付

 

 参院予算委員会が16日に行った来年度予算案に関する中央公聴会で、日本共産党の小池晃書記局長は、12日に志位和夫委員長が政府に申し入れた「緊急要請 コロナ封じ込めのための大規模検査を」を示して公述人に見解を求めました。


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(写真)質問する小池晃書記局長(右)と意見陳述する尾身茂(中)、倉持仁両公述人=16日、参院予算委公聴会

 

 小池氏は高齢者施設などへの社会的検査について「1回限りでは意味がなく、カギは頻回に行うことだ」と指摘。高齢者施設の職員に対して頻回・定期的な検査を行う仕組みをつくるべきではないかと質問しました。

 

 政府の新型コロナウイルス対策本部分科会の尾身茂会長は、重症化リスクの高い場所への社会的検査は「感染対策の上で非常に意味がある」として、「いま高齢者施設でやっているが、福祉施設や医療機関などにも同じようにやっていけばいい」と主張。「この検査は1回だけやるのではほとんど意味がない。定期的に続けてやるのが極めて重要だ」と答えました。

 

 小池氏はモニタリング検査について、13都府県で「1日1万件をめざす」とする政府方針はあまりにも少ないと指摘し、感染拡大の予兆をつかむために「1日10万件」の規模に検査を広げていく方針を政府として示すべきだと提起。尾身氏は「いま検査のキャパシティー(能力)を格段に増やす絶好の機会だと思う。国が高い目標を持って決意を示してやることが重要だ」と答えました。

 

 宇都宮市で大規模検査などに積極的に取り組むインターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長は「10万件の余力を持つことは第4波への備えにもなる」と述べました。

 

 小池氏は変異株の疑いを確認する検査対象について、政府の「陽性者の5~10%」という基準は低すぎると指摘。「変異株の死亡率の高さが指摘される中で、実態を把握することが非常に重要だ」と強調し、検査を大規模に広げていく技術的な障害はあるかと聞きました。

 

 尾身氏は「技術的なことは障害にはならない。国がしっかりやるという意志を持てば、技術的には可能な状況だ」と述べました。

 

 また小池氏は、濃厚接触者に限らない、より広い接触者への検査、トレース(追跡)体制の強化、保健所体制の抜本的強化の必要性についても質問。尾身氏は「おっしゃる通り。保健所は目いっぱいで、今までのデータを深掘りし、感染源を突き止めるような積極的疫学調査はできていないが、深掘りでやることが必要だ」と応じました。倉持氏は「トレースができるような体制は至急つくるべきだ」と答えました。

 

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。 今日最後の質問になりますので、よろしくお願いします。
 貴重なお話聞かせていただきました。やはり、その現状を打開するためにあらゆる手だてを取ることが必要だということですが、今日はちょっと中心問題として、検査の問題に中心を置いてちょっとお聞きしたいと思うんですね。
 私どもの党として、十二日にコロナ封じ込めのための大規模検査を政府、菅首相に緊急要請いたしまして、要請の文書は昨日、両公述人にもお届けをさせていただきました。
 私たちの提案は三点で、一つは、社会的検査を高齢者施設とともに医療機関、障害福祉施設などにも広げて、職員に対して頻回、定期的に行う、利用者にも対象を広げて感染防御を図っていくということ。それからさらに、モニタリング検査については、やはり一日一万というのではなくてやはり一日十万程度、やはり桁を上げる、大規模に行って感染封じ込めを図っていく。そして、変異株検査の割合を大幅に引き上げるという三点を要請をしております。
 一つずつちょっと御見解を聞いていきたいんですが、まず高齢者施設などへの社会的検査の問題です。これ、一回限りでは余り意味がないというふうに思うんですね。鍵はやっぱり頻回に行うことではないかと。もうやるというのは大体もう政府も言っているわけで、これはやっぱり頻回、定期的にやっていく。
 私どもとしては、まずはやっぱり高齢者施設などの職員に対して、その地域の感染状況を踏まえて毎週あるいは隔週、定期的な検査を行う仕組みをつくるべきだと思うんですが、両公述人の御意見をお聞かせください。

 

○公述人(尾身茂君) 先ほどのいわゆる社会的検査ということですね。
 これは実は、今、小池委員がおっしゃった高齢施設とかいうのは、もう我々は実は去年のもう夏の頃から、無症状者でも、ここでいくとインパクトが高いですよね、感染が、インパクトという意味は、重症者がたくさん出ちゃうし、特に高齢者の場合には従業員がウイルスを持ち込むということが、まあこれ本人の責任じゃなくて、分かっていますから、そういう意味で、これは一般のコミュニティーに全員にやるということとは違って、ここに重点的にやるというのは、私はこれは感染対策上、社会的というよりはもう感染対策上非常に意味があるので、これについては私はしっかりと、今は高齢者施設はやっていますけど、ほかの福祉施設とか医療機関なんかもだんだんと同じようなことでやっていけばいいんじゃないかと思います。(発言する者あり)頻度ですね。
 これは、委員おっしゃるように、この検査というのは一回だけやるというのはほとんど意味がないですね。そのときのことは分かるけれども、これは、どのぐらい頻回というのはキャパシティーの問題でありますけれども、なるべく定期的に何回か続けてやるということは極めて重要で、それをしないとほとんど感染対策に意味がないと思います。

 

○公述人(倉持仁君) 社会的検査に関しては、もうこれは明らかに院内感染、それから福祉施設の感染した方が亡くなっている率が明らかに多いということですから、これは国民の命を守るためにはもう至急やらなければいけないことだと思いますし、それから、私のクリニックでは、九月から全例、職員をプール法で五人やっております。そして、自院で機械を持っていますので、プール法で一人千円でできる、一人といいますか、一検体千円ぐらいで原価ですとできるんですね。そうしますと、スタッフ一人当たり二百円ですから、そういう仕組みさえつくれば安くできます。
 それから、実際に栃木県の那須塩原市や芳賀町とは一緒に協力をして、希望する福祉施設の方には一回千円とかで安い値段で公的な補助を出してやるというような動きも出ていますから、ですから、できるだけ頻度は多い方がいいに決まっていますし、それから、その仕組みが簡単であればそういう仕組みをどんどんつくっていけばいい。それから、PCRの機械も今は安くできるキットがたくさん出てきていますので、一年前とは大分違います。
 ですから、それほど、あとは人員の問題とか資金面の問題ですから、そういったところを整えて、まずはきちんとそういう体制を構築するというのは非常に意味があることだと思います。

 

○小池晃君 ありがとうございました。
 キャパシティーの問題というのが出ましたけれども、これは十七万できるというふうに、一日ね、政府も言っているわけですね。一年前からこのキャパシティーというのは、ちょうど一年前、この場で尾身公述人と私、議論させていただいて、あのときも公述人はキャパシティーの問題があるのでなかなかPCR広げられないということをおっしゃいましたが、やはり今ある意味では感染が一定少なくなってきて検査にも余力があるわけで、そういうときに検査数を減らしてしまうとまた悪循環になるというふうに思いますので、こういう検査能力にある程度余裕がある今こそ、思い切って社会的検査を広げて感染を事前に抑えていくということが必要ではないかと思うんですね。
 それから、モニタリング検査について、今日、尾身公述人は、見えにくい感染源、隠れた感染源、これを抑えるんだと。そのとおりだと思うんですが、先ほどもちょっと議論ありましたけど、一日一万件では、これはそういう感染源を抑えるのはなかなか困難で、余りに少な過ぎるのではないか。先ほども、最初は一万件でやるけど、これからとおっしゃったけれども、やっぱり私は、きちんと最初から目標を示して、やっぱり一万だったら対象地域十三都道府県でいうと一県当たり一日千件ぐらいになりますから、これではやっぱり感染源を抑えられないと思うんですね。感染拡大の予兆をつかむというのであれば、やっぱり少なくとも一日十万件ぐらいの規模に思い切って広げていくという方針を政府として私は示すべきではないかというふうに思うんですが、両公述人の御意見をお聞かせください。

 

○公述人(尾身茂君) 私は、今、いわゆる検査のキャパシティーを格段に増やす絶好の今機会だと思います。なぜかというと、いろんな民間の方も少しずつやっているし、国の方もキャパシティーがだんだんと。今、しかも今こういう大事な時期に来ているので、これはもうしっかりと国が高い目標を持って、それを決意を示してやることが私は重要だと思います。

 

○公述人(倉持仁君) 今日、私がちょっとお配りした資料の一番最後に検査数が書いてあるんですけれども、それを見ると、今回の第三波のピークのときで十万件行かないぐらいなんですね。これを見ると、民間のやはり検査会社を入れてから検査件数が圧倒的に増えています。
 実際にこのモニタリング検査一万件というのがどこから出てきた数字なのか、つまりそれはコストの問題なのか、あるいは、統計学的に今感染率が二、三%だと思いますので、そこからきちんと疫学的に意味がある数字として出したのか、まずそういった説明なりデータをしっかりと明示するべきであって、もしそれが十万件必要であるのならば、十万件の余力を持つことは第四波に備えることにもなると思います。もし第四波が来たときに、その検査件数をそちら、医療側に振り向ければいいですから。今の検査体制というのは全部医療での限局されたPCRにとどまっていると思いますので、是非これを機会に、尾身先生も賛成していらっしゃいますし、そういう体制を至急つくるというのが大事なことだと思います。

 

○小池晃君 非常に大事な問題だと思います。やはり一日一万件というのは、やっぱりきちんと科学的な根拠を、疫学的にどれだけモニタリングの件数をやれば感染の予兆をつかめるのかということを国民の納得のいくような形で示していただくということも分科会の先生方にも強くお願いしたいというふうに思います。
 それから、変異株の問題なんですが、これも先ほどから議論ありますが、厚生労働省は三月八日に、変異株PCR検査で陽性であれば感染研でのゲノム解析を経ていなくても変異株と確定してよいというような連絡文書も出しておりまして、今実際自治体レベルでは、神戸市だけではなくて埼玉県、広島県などが、五%から一〇%という国の基準に縛られずに、ウイルス量が一定程度存在する検査が可能な検体についてはできる限り調べるという方針を取って、実際実践をされております。
 そういった自治体にもお聞きしましたけれども、実際にはロシュ製の試薬なども購入をして、連続的にやれば、もうPCR検査に連続をして、あるいは一体に変異株の検査までできるようになっているということなんですね。それで数時間で変異株の確定まで時間も要せずにできるんだと。
 私たちはやっぱり今の五%から一〇%というのは余りにこれも低過ぎるというふうに思っていまして、私はもう全例やるべきだというふうに思いますよ。やっぱり変異株の死亡率の高さということがいろんなリサーチで今示されつつありますから、これやっぱり対策にとって非常に重要な情報になってくる。
 今、やっぱり変異株ウイルスのPCR検査、変異株PCR検査を大規模に、五%、一〇%という規模じゃなくて、もっと広げていく技術的な可能性はあるというふうに私は理解しているんですが、その点についての御意見をお聞かせください。

 

○公述人(尾身茂君) 技術的なことは、私はそれが障害にはならないと思います。むしろ、国がいわゆる大学とか先ほど申し上げている民間の自主検査も含めて一緒に巻き込むというようなことをやれば、技術的な問題はそれが主たる障害にはならない。むしろ意思、意思ですね、どれだけをしっかりやるかという意思を持てば、それは可能な状況だと思います、技術的には。

 

○公述人(倉持仁君) 小池先生おっしゃるように、変異株の検索ももっともっとできる範囲で、実際に本当にこのウイルス学的に追跡をしていく、濃厚接触者の追跡、これニュージーランドとかそうやっているようですが、やはり変異をちゃんと追っていくことでこの人が感染者かそうじゃないかと調べているので、医学的、科学的な意味からいえば全例きちんとやるというのが好ましいと思いますし、逆に言えば、それを目指すならばやはり感染拡大をどんどんどんどん許してしまってはいけなくて、コントロールできるならば一定数に抑えるべきだと思います。
 どうしてもその変異株の問題を検索するに当たって、実はそういうことができる、例えば、私の母校の医科歯科大学でもできますし、遺伝研でもキャパシティーはあるんですが、先ほども言いましたが、人を雇うお金と試薬を買うお金がないんですね。ですから、こういう緊急事態ですので我々全力で、例えばそういうロシュ製のいいものがあれば我々のクリニックでも一日六千件できます。ですから、そういったものを活用していただいて、是非今のこの国難に立ち向かえるように、先生方からも我々に是非お力をいただきたいと思います。

 

○小池晃君 ありがとうございます。
 やはり五%から一〇%などという低い数字ではなくてね、戦略をやっぱり政府として明確に示して、民間の力、大学の力なども総動員してやはり変異株を抑えるんだという決意を示すような方針を出していただきたいというふうに思うんです。
 最後の質問になるかと思いますが、その見えない感染源を見付け出すためには、広域的な連携、深掘りの積極的疫学調査が必要だということを、今日、尾身公述人も強調されました。だから、これは変異株への対応という点でもこれ重要な提起だというふうに思うんです。それを実効あるものとするためには、やはり濃厚接触者に限らないより広い接触者への検査、トレース体制の強化、保健所の体制の抜本的強化が必要だと思いますが、御意見をお聞かせください。

 

○公述人(尾身茂君) 濃厚接触者以外にもっと広げるべきだというのは、今重点検査、モニタリング検査というのはそういうことですね。おっしゃるとおりで、その濃厚接触者がいるとかそういうことじゃなくて、もっと、今までもクラスターが起きた、あるいはこれから起きるような場所を先にもう決めて、そこを頻回に、しかもかなり、なるべく、できるだけ範囲を広くしてやるということがいわゆる初兆、予兆をつかむ。
 積極的な疫学調査というのは、ちょっと私の説明が足りませんでしたが、それは、もう少し更に深掘りで、さらに検査するだけじゃなくて、今までのデータをもう一回深掘りして、感染者がいれば後ろ向きの、過去の行動を振り返って感染源を突き止めるというのは、今ほとんどやられていないんです。それは、今先生おっしゃる保健所の方がもう目いっぱいになっていて、いわゆる濃厚接触者等の調査はやっていますけど、いわゆる我々が前から言っている後ろ向きの感染源を突き止めるということはやっていないので、私は、首都圏はそれがかなり高い蓋然性で至る所に起きていて、見えない。そのために、いわゆるさっきの重点検査とは少し別に、重点検査はPCRだけですから、検査、これは、その検査というよりもそこの今までのデータがあるわけです。それをもう少し深掘りにやっていくとどういうことがあって、必要だったら検査もやるし、抗体検査もやる、そういうことで、ちょっと説明があれでしたけど、両方必要だと思います。

 

○公述人(倉持仁君) これから、今まだまだいろいろなやること、やっていくべきことというのはあると思いますので、例えばその検査も、PCR検査、変異の検索だけじゃなくて、接触者の追跡をするんだったら、やはりそのCOCOAのようなアプリが何で一年たって駄目なんだろうとかですね、我々すごくがっかりしていますし、それにめげずに早くそういったものをつくっていただいて、少しでもそういうトレースができるような体制というのを至急つくっていただきたいと思います。

 

○小池晃君 ありがとうございました。
 終わります。

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