日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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都の道路整備に問題/小池氏「70年前決定の計画」

2015年04月12日

「赤旗」2015年4月12日付

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(写真)質問する小池晃
議員=7日、参院国交委

東京都が「防災」を名目に進める道路事業(特定整備路線)に対し住民から猛烈な反発が起こっています。日本共産党の小池晃議員は7日の参院国土交通委員会で、同事業の認可手続きや必要性に多くの問題があり「事業を強行してはならない」と主張しました。

小池氏は、対象路線の多くが1946年に都市計画決定されたことを指摘。「決定当時の原図は残っているのか」とただしました。

小関局長は「存在は確認されていない」と答えました。小池氏は「原図がないのに、どうやって事業内容が都市計画と適合していると(国交省は)判断したのか」と事業認可の不備を指摘。北区内と品川区内を通る路線名をあげてただしました。

小池氏は「『延焼遮断』としての意味は全くない」「現地の状況もしっかり見極めて再検討すべきだ」と追及。小関局長は「延焼遮断帯に資する道路だ」との答弁を繰り返しました。

小池氏は「70年前の『古文書』のような都市計画を持ち出し(道路事業を)強行しようとすれば、いまの成熟した町並みや住民の暮らしを壊すことにならざるをえない」と指摘。太田昭宏国交相は「関係者の理解と協力を得ながら進めることが重要だ」と答えました。

 

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 当委員会で初めてですので、よろしくお願いします。
 東京都が延焼遮断帯を名目に進めている特定整備路線という道路事業についてお聞きをします。この事業は、二十八区間二十六キロが対象で、都は二〇二〇年度までに一〇〇%整備するとしておりますが、町を壊し、住民を追い出すということで反対の声が起きています。しかし、国は、都からの申請を受けて、今年二月までに全区間について事業認可を行いました。
 そこで聞きますが、この事業の資金計画で示された二十八区間の事業費総額と国庫支出金の合計、幾らでしょうか。

○政府参考人(小関正彦君) 東京都の事業認可申請書の資金計画によりますと、事業費の総額は約三千五百億円、国庫支出金の総額は約千九百億円を見込んでおります。

○小池晃君 多額の国費が使われる事業であります。
 この対象路線の多くは一九四六年に都市計画決定されたもので、終戦直後、七十年近く前の計画なんですね。これらの路線について、都市計画決定された当時の原図は残っていますか。

○政府参考人(小関正彦君) 御指摘の昭和二十一年の戦災復興院告示第十五号に記載のある関係図面につきましては、現在、東京都におきまして存在が確認されていないと聞いております。

○小池晃君 都市計画法では、事業認可する際の基準として都市計画への適合を挙げているわけですね。原図がないのに事業内容が都市計画に合致しているかどうかというのはどうやって判断したんですか。

○政府参考人(小関正彦君) 東京都によりますと、当該都市計画道路の図面につきましては、他に決定された都市計画も併せて図示した資料に継承し、適切に管理されているというふうに聞いております。このため、当該都市計画の範囲につきましては、適切に管理されている図面により確認することができ、事業認可は有効であると考えております。

○小池晃君 だから、継承された図が元の原図と合致しているってどこで判断したんですか。

○政府参考人(小関正彦君) 都市計画の図面につきましては、都市計画の区域を明確に示す必要がございます。計画図が古くて実際の地形とそごを来している場合などにおきましては、適宜図面を更新して運用をすることとしておるところでございます。
 繰り返しでございますが、東京都におきましては、このような形で資料に継承し、適切に管理されていると判断をしておりますので、事業認可は有効であると考えております。

○小池晃君 これは駄目ですよ。こんなんだったら都合のいいように書き換えることができることになるわけですよね。
 実際に東京都の道路計画に携わった東京都の元建設局長山田正男さんはこう言っているんです。
 驚いたことに、東京の都市計画の原図はぼろぼろの継ぎはぎだらけの青写真集一冊だけで、これでは都市計画に協力したくても一体どこに家を建てていいのかが誰にも分からないから、住民が怒るのは無理もないし、建築の取り締まりようがない。それから、別のインタビューでは、だから僕はあきれ返っていたんだよと、図面のしわは分かっても法線なんか分からないもんねと、もっとも法線の証拠書類なら見付からない方がいいけどねと、こう言っているわけですね。
 大臣、そもそも原図ってこういうものだったんじゃないかと私思うんですね。やっぱりこれ、重大なんですよ、住民にしてみれば、財産権奪われるわけだから。その根拠となる原図がないというような中でこの住民の財産を奪うということが法治国家として許されると思いますか。今みたいに継承されているからいいんだって、そんなでたらめなやり方でこれ重大なこの権利侵害やっていいんですか。大臣、お答えください。
 大臣、答えてください。いいって、もう。

○委員長(広田一君) まずは小関都市局長、その後、太田大臣、お願いします。

○政府参考人(小関正彦君) 事業認可につきましては、都市計画決定に適合しているかどうかということ等を判断し、事業認可を下ろしたものでございますので、有効であると考えております。

○国務大臣(太田昭宏君) 私も都市計画や、そういうことに携わっているところの、土木を出て、卒業してきたわけでありますけれども、こうした例はやはり各地に戦争等々であるわけでありますけれども、その都度その場において図面を更新して運用するということの中で決定してきているものでありまして、この件については私は有効であるというふうに考えています。

○小池晃君 私の言っていることに全く答えてないと思いますよ。そういったことを言い出したら、もうとにかく行政の都合のいいように書き換えることだって可能だということになるわけで、都市計画決定したときの証拠と、じゃ、何でこれが適合性があるのかって、何の根拠もないってことになるじゃないですか。本当に必要な道路だっていうんだったら、私は七十年前の怪しげな古文書でやるんじゃなくて、きちっと手続やり直すべきだと思いますよ、本当に必要ならばね。
 しかも、本当に必要なのかと。延焼遮断という点でも妥当なのかということに疑問があって、今日お配りしていますけれども、地図見ていただきたいんですが、これは北区の補助八十六号線の志茂地域です。この赤い矢印で引いたラインのこの道路を拡幅して道路を通す、幅二十メートルの道路にするというわけですよ。しかし、道路の東側は、これは清掃工場があって、これは延焼も遮断されているわけですね。それから、清掃工場の南側にはもう立派な道路があるわけですね、ここ。並行してこれ走っているわけです。
 それから、二枚目見ていただくと、消防困難地域というのが設定されているんですけど、今度の特定整備路線と全く別の場所にあるわけですよ。八十六号線通っても全く関係ない。
 しかも、大臣、この道路というのは、東京都の第三次事業計画の優先整備路線になっていなかったんです。だから、すぐにやる道路じゃないというふうにされていた。住民もそう思っていた。二〇〇四年には建築制限緩和されて、三階建て建てることがこの道路沿線できるようになったので、私も実際ここへ行きましたけれども、三階建ての新築の住宅がいっぱい並んでいるんですよ。それを取り壊せというのかという声が上がっているわけです。
 それから、ほかにも、赤羽西の地域は、太田道灌が築城されたと言われている稲付城址、静勝寺、歴史と文化壊すのかという声も上がっています。
 それから、その西は、赤羽の自然観察公園とスポーツの森公園という広い敷地のど真ん中を道路が通るんですね。何でこの広い公園の真ん中を道路を通して、それが延焼遮断帯になるんですかと。これだっておかしいですよね。
 これ、大臣、地元ですからよく御存じだと思うんですよ、実際見たこともあるんじゃないかと思うんですね。
 私は、この道路計画には延焼遮断帯としての意味も、大臣、延焼遮断帯としてあの道路の意味はあると思いますか。住民から疑問の声は大臣のところには来ていないんですか。しっかり見極めて、大臣に私聞いているんだ、もういいです、あなた、しっかり見極めて、これ再検討すべきだと思いますが、大臣、どうですか。

○委員長(広田一君) まずは小関都市局長。

○政府参考人(小関正彦君) 北区志茂地区、委員御指摘の北区志茂地区につきましては、木造住宅密集地域でございます。災害時の避難場所への避難経路、一時避難場所として防災上有効なオープンスペースが不足しております。東京都が平成二十五年九月に調査した地域危険度測定調査によると、総合危険度でランク四から五ということで、防災上の危険性が非常に高いエリアになってございます。
 このため、東京都が補助八十六号線の当該区間六百二十メートルにつきまして、志茂地区の消防活動、それから延焼遮断帯、避難経路の確保に資する都市計画道路として整備の緊急性が高いということで、木密地域不燃化十年プロジェクトの特定整備路線に位置付けております。
 なお、東京都からは、整備に当たり、延焼遮断帯など地域の防災性の向上を図るほか、交通の円滑化、歩行者や自転車の通行の安全性、快適性の向上、電線類の地中化、街路樹の植栽を行い、良好な都市景観を創出していくと聞いております。

○国務大臣(太田昭宏君) 今、都市局長が言ったとおりでありますし、それから、この北区全体に木造密集地域が極めて多いということもありますし、あるいは、北本通りを挟んだ志茂の方からということからいきますと水害というようなこともありますし、あるいは耐震という地震に対してということもありますから、この道路については重要であり、命を守る道であるという声を多く聞いております。

○小池晃君 そんなことないですよ、実際現場行ったらね。もうここの、その地域もいっぱいみんな、皆さん反対というふうにポスター貼られているけれども、全く、すぐそばに広い道路があるのに何でここに必要なんですかとみんなおっしゃっていますよ、これ。それから、公園だってあるわけですよ、この近くにはね。
 私は、今の説明では、しかも、先ほどいろいろ言ったけど、消防活動困難区域は別の場所にあるじゃないですか。だから、これはやっぱり防災ということでもほとんど意味がない道路だというふうに言わざるを得ない。
 それから、ほかの対象道路についても同じことが言えて、例えば品川区は私の自宅があるんですが、補助二十九号線は、戸越公園駅付近の商店街の片側が潰されて、戸越銀座商店街という有名な日本一の長さの商店街が分断されるとか、様々な問題があるわけですね。これ、延焼遮断だと住民には説明しながら、東京都は、国への申請理由には交通の円滑化というふうに言っているんです。この点ではどうか。
 国交省は二〇〇七年に踏切交通実態総点検をやっていますけど、その中で歩行者ボトルネック踏切とされた戸越公園一号踏切というのは、今回の補助二十九号線の計画路線上にありますね。

○政府参考人(小関正彦君) 補助二十九号線周辺は木造住宅密集地域で、東京都の地域危険度測定調査によれば、火災危険度が高い地域が多く存在するエリアでございます。そのため東京都は、補助二十九号線約三・五キロメートルを当該地域の課題である延焼遮断帯の早期形成と沿道不燃化の促進に資する都市計画道路として整備されております。(発言する者あり)

○委員長(広田一君) 御静粛にお願いします。

○政府参考人(小関正彦君) 踏切につきましては、御指摘の戸越公園一号踏切でございますけれども、歩行者ボトルネック踏切でございます。踏切対策基本方針では、鉄道立体化をせずに安全対策を図るということになってございます。安全対策といたしまして、これまでにカラー舗装による動線誘導が実施されておりますが、今後、都市計画道路の整備におきましても、東京都において、歩行者、自転車交通の円滑化対策と併せ、積極的に安全対策が実施されるものと考えております。

○小池晃君 補助二十九号線の路線上にあるのかどうかと聞いたんです。それだけ答えてください。イエスかノーか。

○政府参考人(小関正彦君) 補助二十九号線の路線上に踏切がございまして、この安全対策について申し上げました。

○小池晃君 これ、対策が必要だと言われている踏切なんですよ。
 もしここで補助二十九号線が整備されると、これは一日の遮断時間は八時間で、二十九号線交通量は一万台想定されていますからね、これは自動車ボトルネック踏切に格上げされてしまうんですよ。踏切対策必要だと言っているときにわざわざ道路造って渋滞させようと、そういう計画なんだ、これ。東京都にこれを問いただすと、渋滞のシミュレーションをやっていないと言うわけですよ。
 国は、認可したときに、この問題は考慮したんですか。

○政府参考人(小関正彦君) 補助二十九号線の関係で、交通が集中して自動車もボトルネックになるのではないかという御指摘でございます。
 東京都におきましては、今年一月に地元品川区が策定した戸越公園まちづくりビジョンというのがございまして、これを踏まえた地元のまちづくりに関する動きや事業の進捗状況を踏まえて道路整備に当たり、交通管理者や鉄道事業者等の関係機関と十分に協議して必要に応じ検討するなどして、交通の円滑化に努めていく所存であるという
ふうに聞いております。

○小池晃君 もう全く答えになっていないですよ、私が指摘した問題について。
 だから、これは本当に道理がない計画だと。二〇二〇年まであと僅かなわけで、しかも、やっぱり七十年前の東京が焼け野原だったときに作った計画を持ち出してやるから、こういう矛盾が生まれてくるんですよ。
 大臣、まちづくりの基本は住民が主人公ですよね。やっぱり、改めて聞きますけれども、この事業、公共事業を行っていくに当たって、やっぱり住民の理解と合意、民主的なやり方、きちっとした法的な手続、これ当然必要だと思いますが、大臣、お答えいただきたい。

○国務大臣(太田昭宏君) 東京都の特定整備路線に限らず都市計画道路の整備においては、事業主体が関係者の理解と協力を得ながら事業を進めるということは重要なことだと思います。御指摘の路線についても、事業主体である東京都が関係者の理解と協力を得ながら事業が進められるものと認識をしているところであります。

○小池晃君 そういう手続がまともにやられていたら、こんな声は出てこないし、こういう矛盾だらけの計画にならないんですよ。大臣、もっと国としてイニシアチブを発揮しないと駄目ですよ。
 今から三十四年前、建設大臣、当時、斉藤滋与史さんはこの問題を、戦後直後のこういう計画でやったことについてこう言っている。事務レベルということでなく総合的に、縦横からよく検討させていただいて、軽々しく三十五年前、まあこのとき三十五年前だから今は七十年前なんだけど、三十五年前の計画を持ってきたから、はいよという形で認可することは私はなじまないというふうに考えていると、十分な配慮をもって対処してまいる所存でございますと、当時の建設大臣はこう答えているんです。
 政治がやっぱりそういう役割を果たして、きちっと法治国家にふさわしい形で、住民の理解も得てやらなきゃ駄目だと。東京都がやっているからいいんだというんじゃなくて、東京都がそんなことをやっていないんだから、きちっと、これは認可したのは国だし、多額の国税が入るんだから、改めて、改めて検討していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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