日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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日本全土が戦場化 核・生物・化学攻撃を想定 自衛隊300基地2万3000棟強化 参院予算委 小池書記局長

2023年03月06日

赤旗2023年3月3日付

防衛省資料示し追及

 

 日本共産党の小池晃書記局長は2日の参院予算委員会で、防衛省が全国約300の自衛隊基地に保有している2万3000棟を、化学、生物、核兵器などの攻撃に耐えるよう「強靱(きょうじん)化」するため、ゼネコン関係者との意見交換会を昨年12月23日と今年2月2日に開いていたことを明らかにしました。小池氏は「日本全土の戦場化」を想定したものだと追及しました。(質問詳報)


写真

(写真)質問する小池晃書記局長=2日、参院予算委

 

 計画は「しんぶん赤旗」日曜版2月26日号がスクープ。これを受け、小池氏の求めに応じ防衛省が資料を提出しました。資料(図)には自衛隊施設の強靱化に関し「CBRNe(シーバーン)に対する防護性能の付与」などと明記。防衛省の杉山真人大臣官房施設監はCBRNeについて「化学、生物、核、爆発物等による攻撃のこと」だと答弁しました。

 

 防衛省は5年間で約4兆円をかけ、10年後までに約300の自衛隊基地を強靱化する計画を示しています。

 

 小池氏は、防衛省自身が「これまで経験したことのない規模の事業量だ」と書くほど、すさまじい基地強化だと指摘。「日本が敵基地攻撃を行えば反撃され、日本中が攻撃にさらされる危険があるから、これだけの基地の強靱化を進めるということだ」と迫りました。

 

 さらに、政府が敵基地攻撃能力の保有を「抑止」のためだと言いつつ、安全保障3文書では、その抑止が破綻する可能性に言及していると指摘。「軍事に対し軍事で構えれば、無限の悪循環になる」と批判しました。

 

 岸田文雄首相は「平和国家の歩みは変わらない。さまざまな装備は大事だが、問題はそれをどう運用するかだ」などと強弁。小池氏は「運用は政府に任せろということだ。法治国家が崩れてしまう。専守防衛を投げ捨てる敵基地攻撃、大軍拡は日本中に戦火を広げ、国民の命を危険にさらす」として、徹底した外交努力を行うよう求めました。

 

図

出典 防衛省提出資料

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今月、石垣島で初めての自衛隊の基地、陸上自衛隊石垣駐屯地が開設されます。これは建設中の写真です。20230302-パネル①
 私、新年、石垣島で無党派の地元議員の方の話聞きました。正月に島に帰ってきた若者たちがミサイル配備を心配して将来この島に戻ってこれるだろうかと話し合っていた、涙ながらに語っておられました。今こうした不安が広がっています。
 防衛省に聞きますが、石垣島にはいつどのようなミサイルを保有する部隊が配備されるんでしょうか。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 陸上自衛隊においては、令和五年三月中旬に石垣駐屯地を開設する予定としております。石垣駐屯地には、中距離多目的誘導弾等を有する八重山警備隊、一二式地対艦誘導弾を有する地対艦ミサイル部隊、〇三式中距離地対空誘導弾を有する地対空ミサイル部隊を配置する予定であります。

 

○小池晃君 弾薬庫から二百五十メートルも離れていない場所には住宅があります。
 防衛省、今後、長距離、長射程ミサイル、配備するんですか。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 今、スタンドオフミサイルの具体的な配備先は現時点では決まっておりません。

 

○小池晃君 まだ決まっていないということは、これから配備する可能性があるということを認めるわけですね。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 一二式地対艦誘導弾能力向上型を含む各種スタンドオフミサイルの具体的な配備先は決定しておりません。

 

○小池晃君 長射程ミサイルが配備されれば島守るどころか攻撃対象になってしまうと、そういう市民の不安、当然だと私は思うんです。
 長射程ミサイルに反対している石垣市議会の決議には、防衛省主催の住民説明会では、配備されるミサイルは他国領土を攻撃するものではなく迎撃用と説明されたとあります。その説明を聞いて基地建設に賛成した人も少なくないわけです。
 総理、政府は約束守るべきじゃありませんか。長射程ミサイル、配備しないと断言していただきたい。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど大臣からもありましたように、スタンドオフ防衛能力につきましては、スタンドオフミサイルにつきましては、具体的な配備先は決まっていないということであります。
 そして、このミサイル、スタンドオフ防衛能力、これも、基本的にミサイル防衛と、日本の、我が国の安全保障、防衛能力の強化という観点から配備するものであり、我が国の基本的な安全保障の考え方においては変化はないと認識をしております。

 

○小池晃君 そういうことを言っているんじゃなくて、他国領土を攻撃するようなミサイルは配備しないと市民に約束したから、だから認めたんですよ、賛成した人もいるんですよ。にもかかわらず、長射程ミサイルは配備しないと約束守るべきじゃないですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 説明においては、こういったミサイルを配備することについて説明をしたというふうに承知をしております。
 こうしたミサイルにつきましても、先ほど申し上げました武力攻撃三原則を始め、今までの原則の範囲内での対応であるということ、これは全く変わらないと認識をいたします。

 

○小池晃君 長射程ミサイル配備するって説明したんですか。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 現時点では、我々とすれば御説明したときに配備をしないというお話をしたわけでありますが、我々とすれば、いろいろな能力を考えれば、今後どのようになるかは分からないということであります。

 

○小池晃君 だから、配備しないと約束したんですよ、島の皆さんには。それを今、決まっていないということは配備する可能性があるということじゃないですか。約束どおり配備しないと明言してくださいよ。
 どちらでも結構です。防衛大臣でも総理でも。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 現時点では決めておりません。

 

○小池晃君 だから、これからは配備する可能性があるということですよね。
 玉城デニー知事は、もし敵基地攻撃能力を含むような装備を南西地域に持つとしたら、私はそれは憲法の意思とは違うと明確に反対する、抑止力の強化がかえって地域の緊張を高め、不測の事態が生じるのではないかと述べています。
 沖縄県民が求めているのは説明じゃないんです。ミサイル配備の中止なんです。しかも、このミサイル配備というのは南西諸島だけではありません。
 総理は、スタンドオフ防衛能力の強化により、我が国の様々な地域から重層的に相手方の艦艇や上陸部隊等を阻止する能力を保有すると答弁されました。
 様々な地域と言うからには、これは地域限定ではない、全国各地に長射程ミサイルを配備するということですね。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の様々な地点から重層的に艦艇や上陸部隊等を阻止、排除するは、国家安全保障戦略に記載されており、地上発射や艦艇、航空機など多様なプラットホームからスタンドオフミサイルを発射することを意味しております。
 ただ、先ほど防衛大臣から申し上げたように、具体的な配備先は決定していない、これが現状であります。

 

○小池晃君 だから、南西諸島だけじゃないと、全国各地配備する可能性があるということですね。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 具体的な配備先は決まっていない、大臣から答弁したとおりであります。

 

○小池晃君 だから、全国各地に配備する可能性が、逆に言えばあるということですね。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 先ほどから繰り返し申し上げておりますが、いまだにこの全国に配備するということは決めておりません。

 

○小池晃君 買うだけ決めたけど、どこに置くか決めていないんですか。日本中、だって、どこだって、これ、だって、どこに置くんですか、じゃ、だって、全国どこでも置く可能性あるでしょう。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 今の、総理からもお話をされましたが、これは国家安全保障戦略に地上発射や艦艇、航空機、多様なプラットホームからスタンドオフミサイルを発射することを意味しているものと承知をしておりますと御説明をさせていただきました。
 いずれにしても、この全国における弾薬庫の配置というのは、これはこれから進めていくことであります。

 

○小池晃君 全国に弾薬庫を配置するということなんですよ。
 来年度予算でスタンドオフミサイル等の大型弾薬の火薬庫、どこにどれだけ確保しようとしていますか。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 現在、国家安全保障戦略及び防衛力整備計画においては、自衛隊の十分な継戦能力の確保、維持を図る必要があることから、必要十分な弾薬を早急に保有することとしております。このため、弾薬の生産能力の向上及び製造量に見合う火薬庫を確保する、進めることとしております。
 このような火薬庫の整備に関して、令和五年度予算案では、陸上自衛隊大分分屯地や海上自衛隊大湊地方監部、地方総監部における火薬庫等の新設、大湊地方総監部、祝園分屯地及び呉地方総監部における調査に関わる経費を計上しております。なお、調査を行う地区については、火薬庫設置の候補地の一つとして調査を行うものであり、その結果を踏まえた上で整備の可否を判断することとしており、現時点において正式に火薬庫の設置を決めたものではありません。
 また、現時点で個別具体的な火薬庫について、スタンドオフミサイルを保管するか否か決定しているわけではありません。個々の弾薬を保管する弾薬の種類についても、その詳細を示すことによって自衛隊の能力を明らかにするおそれがありますので、具体的にお示しすることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。

 

○小池晃君 防衛省の資料に、スタンドオフミサイル等の大型弾薬等の火薬庫って書いてあるじゃないですか。そういうものを造るわけでしょう。スタンドオフミサイルを入れる、入れることができる、そういう火薬庫を造ると、今年度予算で。まずは大分分屯地と、それから大湊、それは決めているじゃないですか。間違いないですね。20230302-パネル➁

 

○国務大臣(浜田靖一君) これは大型のミサイルということであって、スタンドオフミサイルということではありません。

 

○小池晃君 スタンドオフミサイル等の大型弾薬って書いてあるじゃないですか。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 我々とすれば、その今おっしゃった大型のミサイルということであって、スタンドオフというふうな、まだ我々としては想定をしておりません。(発言する者あり)

 

○理事(片山さつき君) 浜田防衛大臣。

 

○国務大臣(浜田靖一君) そこに書いてあるスタンドオフミサイルという表示については、これはまだ今現在存在をしていないわけでありますので、我々としての説明の仕方とすれば、この一二式の地対空、地対艦誘導型の向上型ということにお話をさせていただいているところであります。その中で我々とすればその資料を作ったということであります。

 

○小池晃君 だから、地対艦、一二式ミサイルの能力向上型はスタンドオフミサイルでしょう。長射程ミサイルじゃないですか。それを置く火薬庫をもう設置することが来年度予算案には計上されている。
 この来年度予算では、トマホークなどスタンドオフミサイル、一・四兆円計上しているわけですね。で、防衛省ね、こうした、じゃ、大型ミサイルでいいですよ、大型ミサイル、長射程ミサイル、これを保管する大型弾薬庫、いつまでにどれだけ造るんですか、日本国内で。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 国家防衛戦略及び防衛力整備計画においては、自衛隊の十分な継戦能力の確保、維持を図る必要があることから、必要十分な弾薬を早急に保有することとしております。このため、弾薬の生産能力向上及び製造量に見合う火薬庫の確保を進めることとしております。
 具体的に、令和九年度までに火薬庫の整備に係る計画として約七十棟程度を措置し、防衛省としてはおおむね十年後までには約六十棟程度の整備を目標としておるところであります。

 

○小池晃君 だから、十年後までに百三十の大型弾薬庫を日本国中に造るわけですよ。
 来年度予算の陸上自衛隊大分分屯地、すぐそばにはこれ大分市のベッドタウン、敷戸団地などがあります。敷戸団地地区全体で二千七百世帯が暮らしています。分屯地の真向かいには大分大学があります。京都の祝園分屯地も、これ精華町です。京都のまさにベッドタウンであります。青森の大湊、それから呉、大型弾薬庫造られる、さらに、今後百三十か所。
 総理、ウクライナを侵略したロシアも弾薬庫を攻撃目標にしたじゃないですか。長射程ミサイルを保管する弾薬庫、これを百三十棟、市街地のすぐそばにも造る。真っ先に攻撃対象になるんじゃないですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) ミサイルや弾薬を十分な数量確保し、緒戦能力を高めることが重要であり、これは防衛力の抜本的強化の柱の一つです。
 このため、火薬庫を緊急的に整備をしていく、こうした方針を明らかにしているわけですが、委員の方から火薬庫は優先攻撃対象となるという御指摘でありますが、この防衛力の抜本的強化により、自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで武力攻撃そのものの可能性を低下させる、これが基本的な考え方です。
 火薬庫の整備に当たっては、当然のことながら、関係法令に基づいて、周辺施設と十分な距離を確保するなど、これ安全面について配慮を行っていく、当然、こうしたこの配慮は十分行っていく方針であります。

 

○小池晃君 だから、攻撃される可能性があるわけですよね。
 で、関係法令って何ですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 火薬取締法を始めとする国内の関係法案であります、あっ、法令であります。

 

○小池晃君 火薬取締法というのは、平時に安全に保管するための法律です。攻撃を想定した法律ですか。

 

○理事(片山さつき君) 岸田内閣総理大臣。(発言する者あり)

 まず、防衛省杉山大臣官房施設監。

 

○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。
 火薬庫の設置に当たりましては、火薬類取締法の関係法令に基づき、十分な保安距離などを適切に対応しているところでございます。(発言する者あり)

 

○小池晃君 攻撃を想定した法律ですかと聞いているんです。平時の火薬の保管の法律でしょうと言っている。

 

○国務大臣(浜田靖一君) いずれにしても、我々常に、この弾薬庫を造るということは、当然あらゆる危険性を排除するための努力をした上で作成をしている、造っているわけでございますので、その点については、法令的には火薬の取締法でありますけれども、我々は、独自にそういったあらゆる知見を集めて、安全性には十二分に配慮しながら造っているところであります。

 

○小池晃君 あのね、日本中にこういったものを、住宅地のそばにも大型のミサイルを保管する火薬庫、弾薬庫を配備すると。で、どこに配備するか決定していないということは、どこにでも配備する可能性があるということですよね。
 更に聞きたい。
 昨年十二月二十三日と今年二月二日、防衛省がゼネコン関係者などを集めて自衛隊施設の強靱化について会合を持っています。一体どのような目的で、どのような規模で開きましたか。

 

○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。
 今後十年間を掛けまして全国の自衛隊施設の強靱化を進めていくために、令和五年度予算には工事のマスタープランを策定するための経費を計上させていただいております。全国約三百か所の自衛隊施設の工事に係るマスタープランを策定する準備といたしまして、先般、民間事業者との意見交換会を実施したものです。建設業者は、土木、建築一式工事の各職種について総合審査数値上位四十社以上の企業、建設コンサルタントは、土木、建築、電気、機械、通信の各職種について総合審査数値上位三十社、上位三十位の企業を対象といたしまして、第一回目の意見交換会には九十五社、約二百名、第二回の意見交換会には九十三社、約二百名の民間事業者が参加されました。

 

○小池晃君 日付も言ってください。

 

○政府参考人(杉山真人君) 第一回目は昨年の十二月二十三日でございます。第二回目は本年の二月二日、開催いたしました。

 

○小池晃君 これは、そこで配付された資料であります。20230302-パネル③
 ここにあるHEMP攻撃、HEMP攻撃とは何ですか。

 

○政府参考人(杉山真人君) 防衛力整備計画におきましては、主要な整備品や司令部等を防護し、粘り強く戦う態勢を確保するために、主要司令部等の地下化、構造強化、電磁パルス攻撃の対策等を実施することとしております。
 電磁パルス攻撃とは、瞬時に強力な電磁波を発生させ、電子機器に過負荷を掛け誤作動をさせたり損傷させたりするものであり、そのうち、委員お尋ねのHEMP、HEMP攻撃とは、高高度の核爆発により電磁パルスを発生させる攻撃のことであります。

 

○小池晃君 その下にあるCBRNE、CBRNE、これは何ですか。

 

○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。
 CBRNE攻撃とは、化学、生物、核、爆発物等による攻撃のことでございます。

 

○小池晃君 あのね、午前中、雨漏りの改修とかトイレの改修って話あったけど、そういう話じゃないんですよ。核攻撃も想定した、これ見てください、全ての自衛隊主要司令部は地下化すると、壁、厚い壁に覆われた構造強化すると、こういう計画なんですね。20230302-パネル④
 今の戦術核というのは、広島型原爆のもう数倍の規模ですよ。そういうものがもし使用されたら筆舌に尽くし難い惨禍もたらす、断じてあってはならないことですね。そういったことも想定してやっていると。
 そして、防衛大臣に聞きますが、一体こういう工事を、どれだけの自衛隊施設をこれから何年掛けてどれだけの予算を投じて強靱化しようとしているんですか。

 

○国務大臣(浜田靖一君) 自衛隊施設の強靱化は、約四兆円を掛けて五年間に集中的に実施した上で、最終的には、おおむね十年後には全国約三百の自衛隊施設全てに対して措置ができるように進めたいと考えております。

 

○小池晃君 棟数そしてそれに掛ける予算、お願いします。

 

○政府参考人(杉山真人君) 自衛隊が保有する建物は全国で約二万三千棟でございまして、九千九百棟については耐震基準を満たしていない老朽化したものでございますので、それらをまず対象として整備を、建て替え、集約、建て替えなどの整備を行っていきたいと考えております。

 

○小池晃君 いや、九千九百だけじゃないと聞いていますが。基本的には自衛隊の全施設を強靱化していくということだと聞いていますが。

 

○政府参考人(杉山真人君) 先ほど老朽の度合いについて答弁させていただきましたが、自衛隊施設に必要な防護性能が満足されていないものについては改修などの措置を今後検討していきたいと考えております。

 

○小池晃君 だから、答えてほしいんですけど、二百八十三地区ですね。一体、全体としてはどれだけの建物を幾ら掛けて強靱化、適正化するのか。

 

○政府参考人(杉山真人君) 約三百地区につきまして、駐屯地の建物、施設の最適化、再配置につきましては、令和五年度予算でそれぞれの基地、駐屯地でそれぞれ検討を行うこととしております。(発言する者あり)

 

○委員長(末松信介君) 施設監、そうしたら。防衛省杉山大臣官房施設監。

 

○政府参考人(杉山真人君) 五年間で見込んでいる四兆円の内訳でございますけれども、司令部の地下化等では約〇・二兆円、火薬庫の整備では〇・二兆円、防護性能、耐震性能付与ということで一・七兆円、災害対策では約〇・四兆円、部隊の新編、新規装備品の導入等に係る施設整備等では約一・四兆円を見込んでいるところでございます。

 

○小池晃君 これ、最適化事業の対象の全リスト、ちょっと字が小さいんですけど、もう本当に、全国あらゆる地域で。20230302-パネル⑤会議資料にこれまで経験したことのないような事業量だと書くぐらいの、すさまじい基地強化。市街地にある自衛隊基地も決して例外ではありません。
 総理、これだけの基地の強靱化、核攻撃にも耐えるような主要司令部の地下化、厚い壁に地下で囲まれる、そして核攻撃にも耐えるような設備も設ける。結局、日本が敵基地攻撃行えば、反撃されて、日本中が攻撃されていくということを、そういう危険があるということでこういう計画を、かつてないような規模の自衛隊基地の強靱化を進めていくということですね。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 厳しい安全保障環境の中で、我が国の緒戦能力、これを高めることが重要だという問題意識があり、その一端として、自衛隊施設の抗堪性を向上していく、こうした、この取組を進める、こうしたこの方針を明らかにした次第であります。
 これ、我が国が厳しい安全保障環境の中で国民の命や暮らしを守るために能力をしっかり備えることができるか、こうした議論を積み重ねた結果であります。こうした自衛隊の施設の抗堪性の向上もそのための一環として重要な要素であると認識をしております。

 

○小池晃君 敵基地攻撃能力を持てば、相手は攻撃しなくなるんだと言っていましたよね、抑止のためなんだと。ところが、その抑止が破綻するということを前提にして、こうした計画が進んでいるわけですよね。自衛隊の司令部は地下に潜って核攻撃にも耐えられるようにするという計画を敵基地攻撃能力と同時に今政府は進めようとしているわけじゃないですか。
 敵基地攻撃というのは結局こういう危険をもたらすんですよ、日本中に。長射程のミサイル、弾薬庫を配備して、そんなことやれば、反撃に遭えば、こういう危険が出てくると。軍事に対して軍事で構えるということをやっていくと、私は無限の悪循環になるだけだということがここにはっきり出ているというふうに思います。
 大体、防衛省がゼネコン関係者を集めて意見交換を行ったのは十二月二十三日です。予算が国会に提出されたのは一月二十三日です。国会の予算審議どころか、予算案提出する一月も前から来年度予算の事業の詳細をゼネコンに説明をし、発注に向けた会議を開いているわけですよ。しかも、この意見交換会は全く明らかにされていなかった。しんぶん赤旗の日曜版が情報をつかんで、私たちが資料請求して、この一連の資料初めて出てきた。私たちが要求しなければ、それがなければ今も秘密裏にこの会議続けられていたはずですよ。
 総理、こういう説明、私たち受けていませんよ。こんな自衛隊の基地の強化をするという説明、総理、しましたか。今まで一切していないじゃないですか。国会の予算審議を愚弄するものじゃないですか。財政民主主義を踏みにじるものではありませんか。

 

○国務大臣(浜田靖一君) この意見交換会は、専門家とともに相談し、公正性を確認しながら進めてきたものであります。
 また、実際にマスタープラン策定のための契約を締結するに際して、際しては、予算成立が前提となることは当然と認識しております。
 このため、国会審議や財政民主主義の観点からも問題になるとは考えておりません。

 

○小池晃君 問題だらけじゃないですか。マスタープランが、だって、マスタープラン、来年度予算ですよ、ですよね。来年度予算に計上されているんですね、マスタープランは。そのマスタープランに基づく事業を何で予算の審議の真っ最中に、いや、予算が国会に提出する前にやっているんですか。

 

○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。
 防衛力整備計画におきましては、施設整備に関して、自衛隊施設の抗堪性の向上、大規模災害対策、老朽化対策といった取組を民間の知見等を活用しつつ集中して円滑に実施していくこととしております。
 このため、今後の施設整備に関して円滑に集中して実施していくために、また一日も早く事業効果を発揮させるとの観点から、民間事業者からのアイデア聴取を行うために意見交換会を実施したものでございます。

 

○小池晃君 防衛力整備計画は閣議決定ですよ。閣議決定だけでこんなことをどんどんやっているわけですよ。ゼネコンだけに丁寧に説明しているんですよ。おかしいじゃないですか。
 こうしたことを進めようというんであれば、国会にまず説明をすると。で、予算が成立してから始める、せめてね、我々予算は反対だけど。それが筋じゃないですか。これは全く言い訳にもなっていない、こういうやり方は。
 総理、日本中に長距離ミサイルを配備する、軍事費をGDP二%にする。防衛予算が文教予算の二倍になりますよ。一体どこが平和国家ですか。専守防衛投げ捨てた紛れもない軍事国家ではありませんか。そうした道を歩まないと誓ったのが戦後の出発点だったんじゃありませんか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員が言うように、平和国家の歩みが変わるということはないということを再三申し上げております。
 まず、我が国の防衛力強化については、現実的なシミュレーションの下に、本当に我が国の国民の命を守れるのか、こうした観点から必要な内容を積み上げてきたということであります。そして、その結果をこの防衛力の強化と、あるいは三文書の提出という形でお示しをさせていただいているわけですが、いずれにせよ、憲法や国際法やあるいは国内法に準拠して対応する、これは当然のことであります。
 結果として、専守防衛も非核三原則もこの従来と全く変わりません。平和国家としての歩みがこれをもって変わるというのは、このミスリードな発言であると思っています。

 

○小池晃君 自民党の……(発言する者あり)

 

○委員長(末松信介君) 高市大臣、どうぞ、御了解いただきましたので。

 

○小池晃君 総理ね、自民党の元幹事長を務めた古賀誠さん、敵基地攻撃能力を持てば完全に専守防衛を逸脱してしまう、抑止力よりも不安の方が大きくなる、こう述べられています。これ、ミスリードですか。こうした声に応えるべきじゃありませんか。
 古賀誠さんは、戦争がいかに愚かで、いかに多くの人たちが苦しみ、血と涙を流したかということを僕は体で知っている、体験しているからこそ自分の考える平和を訴え続けていきたいと。重く受け止めるべきじゃありませんか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) これ様々な御意見を承っております。だからこそ、従来の平和国家としての歩みは変わらないというこの一線、これをしっかり守っていく、こういったことを再三申し上げております。
 様々な装備、ミサイル技術の進歩の中で様々な装備を用意する、このことは大事だと思いますが、問題はそれをどう運用するかということであります。その運用において、間違っても憲法や国際法や国内法のこの範囲を超えることはない、専守防衛は守る、非核三原則は維持する、こういったことを申し上げています。
 様々な装備、もちろんしっかり用意することは大事でありますが、何といっても、これ信頼はその運用の仕方であると思います。だからこそ、我が国政府がこうした装備を準備することについて多くの国が理解を示しているということになっているんだと思います。是非、この点、これからも十分に説明をしていきたいと思っています。

 

○小池晃君 運用の問題だということは俺に任せろってことですよ。政府に任せろってことですよ。法律で、決定で、国会の議決で、それが法治国家じゃないですか。それを運用の問題だと、こんなことになったら本当に法治国家崩れますよ。
 専守防衛を投げ捨てるような敵基地攻撃、大軍拡、日本中に戦火を広げる、国民の命危険にさらす。私は、今やるべきことは戦争の準備ではないと思います。徹底した外交努力で地域の緊張を緩和する、平和な環境をつくることだと、それが政治の責任だということを申し上げたいと思います。

 

○委員長(末松信介君) 質問でしょうか。

 

○小池晃君 いいです。いいです。
 物価高騰への対応を聞きます。
 総理は、臨時国会で物価上昇に見合う賃上げを掲げて、今国会でも足下で物価上昇を超える賃上げが必要だと言いましたが、全く実現していません。20230302-パネル⑥
 総理、賃金が伸びていないのは日本だけです。実質賃金は、十年で年間二十四万円、月二万円減りました。出生率が八十万、出生数が八十万割ったのも低賃金が最大の原因ではないかと言われています。賃金が上がる国にしなければ未来がありません。どのように変えるんですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 我が国においては、バブル崩壊以降、長引くデフレ等を背景とし、他国に比べて低い経済成長が続きました。この間、企業は賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を抑制した結果、需要が低迷し、デフレが継続する悪循環となりました。こうした中で、収益増加や労働生産性の上昇に見合う分配が行われず、賃金が伸び、他国よりも低い賃金水準となった、このように考えています。よって、今、物価高騰において、国民生活が大変苦しい状況にある等を考えますときに、やはり賃上げが重要であるということを申し上げています。
 物価高騰に見合う賃上げをこの春しっかりと実現することによって、その先に持続可能な賃上げ、すなわち構造的な賃上げにつなげていきたいと考えています。

 

○小池晃君 どういうふうに賃上げするか一切言っていませんよ。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 賃上げ、基本的には民間の労使における話合いによって決まるものではありますが、そのための環境整備を国としてしっかり行っていきたい、こうしたことを申し上げています。
 国として、その環境整備として、公共価格あるいは政府調達に参加する企業の賃金を引き上げていく、賃上げ税制を用意する、価格転嫁を実現する、こうした環境をつくっていく、政府としてそういった環境をつくることによって民間の賃上げを後押ししていく、これがまず第一段階であります。その先にこの構造的な賃上げを目指さなければならない。
 そこで、そのために、その労働者自らが様々なスキルアップを図ることができる、またそのスキルをしっかり評価する企業のこのありようを変えていかなければならない、そして円滑な労働移動を実現する、この三本を一体に進める、労働市場改革を進めることで構造的な賃上げを実現していきたいと考えています。

 

○小池晃君 参議院本会議では私に生産性の向上ということを言ったんですが、それはもうやめるんですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 価格転嫁の部分において、サプライチェーンの一環に、一角に参加している中小零細企業においては、この大企業を含めたサプライチェーンの中でのその成長の果実の分配を考えてもらう、そういったことで価格転嫁を考えますが、サプライチェーンに参加していない企業も含めて、生産性の向上、これは大事であるということを申し上げています。
 生産性の向上を支援するための様々な支援策、予算の中にも政府として用意をさせていただいている、こういった次第であります。

 

○小池晃君 生産性の向上、安倍元首相もアベノミクスの一環として生産性革命だというふうに言ってきたわけです。しかし、生産性を上げれば賃金上がるのか。
 これ、国の研究機関である労働政策研究・研修機構の樋口美雄理事長は、アメリカやユーロでは賃金上昇が労働生産性の伸びに近いのに対して、日本では両者に大きな乖離があると。これ、グラフで見れば一目瞭然で、本当に乖離があるわけですね。20230302-パネル⑦
 実際、日本では、総理、生産性上がっているにもかかわらず、賃金がそれに伴って上がってきていないんですね。総理、この事実をお認めになるか、そして、何で生産性が上がっているのに賃金が上がらないのか、お答えください。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 生産の果実を分配に回していき、それを消費に回していき、次の成長につなげていく、この成長と分配の好循環が重要だと申し上げています。この好循環を実現するためにこの成長をしっかりと活用していくことが重要であると考えています。

 

○小池晃君 いや、答えてないんですね。
 何で生産性が上がっているのに賃金は上がらないんですかと聞いているんです。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 何で上がらないのか、これは今までのこの評価の問題ですから、まさに先ほどお答えしたとおりであります。バブル崩壊後、長引くデフレを背景として、低い経済成長が続いた、賃金を抑制し、そして消費も抑制された、需要が低迷した、デフレが継続した、この悪循環であるからして賃金が上がらなかったと申し上げています。ですから、成長と分配の好循環を実現したいと申し上げております。

 

○小池晃君 あのね、じゃ、聞き方変えますけど、要するに、こういう事態ということは、結局、労働生産性が上がっても賃金追い付いてないわけですから、働く人の努力が足りないわけでもスキルが足りないからでもないわけですよね。
 この間、大企業、利益増やして、もう専ら配当や内部留保に回ったわけですよ。分配のゆがみですよ。ここに最大の問題があるということを素直に認めていただきたいんですが、どうですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) ですから、この収益増加や労働生産性の上昇に見合う分配が行われず、賃金が伸び悩み、他国よりも低い賃金水準となった、このように考えております。

 

○小池晃君 非正規雇用が増大したこと、あるいは最低賃金がやっぱりヨーロッパに比べれば低いこと等々、様々あると思うんですが、私たちはこのゆがみ正すために、大企業の内部留保から賃上げ分を控除して、五年間二%課税して、その財源十兆円を中小企業支援に回して、最低賃金を全国どこでも時給千五百円以上にと提案してまいりました。
 総理、ヨーロッパで既に時給千五百円超える水準です。日本は加重平均で九百六十一円です。抜本的に引き上げるべきではありませんか、総理。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 最低賃金については引き上げるべきであると従来から申し上げています。全国加重平均千円以上となることを目指し、引上げに取り組むとともに、その後も引上げに向けた努力、続けてまいります。実際、本年度、三十一円の引上げ、これ過去最高であります。
 是非、今後とも、この最低賃金の引上げ、努力を続けていきたいと思っています。

 

○小池晃君 じゃ、答えてください。何で千円なんですか。千円、千円と言うけど、千円の根拠は何ですか。

 

○国務大臣(後藤茂之君) あっ、失礼しました。
 最低賃金の問題については、今、私ちょっと生産性の話で答弁で手挙げていたつもりだったんですけれども、しかし、しかし、最賃の話の千円の話についても、これはやっぱり中小企業が支払能力と、それから地域の中小企業の力と、そしてその働く人たちの正しい評価と、そういうものをしっかりと積み上げることでまずは千円を少しでも早くに到達するということで臨んでいると思います。
 それから、今、本当に先生から御指摘の点は最も重要な点だと思いまして、生産性を高めるということは要素生産性ということで、きちっとイノベーションを進めていくということのほかに、適切な価格付けを通じてマークアップ率を高めて、物価上昇に負けない賃上げ、そしてコスト上昇に見合う支払をしっかり行っていくという、そういう好循環をつくっていくこと、内部留保等がたまらないようにしっかりと企業活動、また供給サイドも元気にしていって、そしてそれを分配に回すということだろうというふうに思っております。

 

○小池晃君 でも、内部留保たまらないようにと言いながら、アベノミクス以来で百五十兆円も増えて五百兆円超えているわけですよ。
 今いろいろ言われたけど、何で千円なのかってはっきりしないんですよ。支払能力がとかって言うけど、これ何の根拠もない。
 EUの理事会が、昨年十月、最低賃金に関する指令を採択しました。働く貧困層をなくすと、こういう考え方、明確にしているわけです。賃金中央値の六割、あるいは平均賃金の五割を加盟国が採用すべき最低賃金の基準として挙げました。ドイツは、このEUの指令に基づいて時給十二ユーロ、約千七百円に引き上げた。これ、EU指令を受けたものです。今後、ほかの加盟国でもEU指令に沿った改定が進む見通しだといいます。
 このEU指令を日本の賃金に当てはめてみると、計算してみました。二〇二一年の賃金構造基本統計の所定内給与額の中央値、これに、ここには賞与入っていないのでちょっと統計違うんですけど、これしかないので毎月勤労統計の賞与を加算して、そうすると、二〇二一年の時給中央値の六割は千四百十二円になる。これ二年前ですから、その後、最賃は六・五%アップしているので、これ加味すると、大体時給千五百四円ということになると。
 総理、私は、この数字はともかくですよ、EUは明確な理念を持って貧困をなくす、ワーキングプアをなくすと、その水準は賃金中央値の六割だというような基準を持っているんですよ。日本もやっぱりそういう明確な、この国から働く貧困層をなくすという政策が必要じゃないですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) EUの最低賃金に対する考え方の紹介がありましたが、我が国の最低賃金制度、これは最低賃金法第一条のとおり、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働者の生活の安定に資すること、事業の公正な競争の確保に資すること、これを目的をしています。
 このため、各地域における労働者の生計費と賃金と、そして企業の賃金支払能力、この三つの要素を考慮して地域別最低賃金を決定している、これが我が国の考え方です。この三つを考慮して決定しているこの最低賃金、各地の最低賃金、この全国加重平均についてまずは先ほど千円以上を目指すと申し上げています。
 なぜ千円なのかという御質問がありましたが、まさにこの考え方に基づいて、三つの要素に基づいて地域別最低賃金を決定している、その当面の目標として千円を目指そうではないか、このように政府として申し上げ、今年度、過去最高の引上げを実現した、こうしたことであります。

 

○小池晃君 こんなことやっていたら、世界からどんどん取り残されると思いますよ。
 企業の支払能力を最低賃金の基準にしているような国は日本ぐらいですよ。全国四十七都道府県、全て最低賃金が違う。こんなことやっているのは世界で四か国しかないんですよ。
 私は、やっぱり全国一律で、やはり労働者の暮らしを、やっぱり貧困をなくすんだという明確な目標を持って時給千五百円以上ということをやるべきだ、中小企業への手厚い支援をやってですよ。ところが、今年、来年度予算は中小企業対策費削減されているわけです。構造的な賃上げというのであれば、我々が提案している賃上げ提案に応えるべきだと申し上げたい。
 十月に迫ったインボイス、これ、中止を求める声は大きく広がっています。今出しているのは、アニメ業界、声優業界の声です。上のグラフはアニメ業界、アニメーターの四人に一人がインボイス導入によって廃業する可能性があると回答しています。下のグラフはVOICTIONという声優業界で働くフリーランスの皆さんの調査、これも二七%の方が廃業するかもしれないと答えています。20230302-パネル⑧
 総理、これ、危機的だと思いませんか。

 

○国務大臣(鈴木俊一君) インボイス、政府として十月から導入をしたいと、こういうふうに思っているところでございますが、インボイスの導入につきましては、今お示しをいただいたそのグラフも含めて、様々な御心配の声があるということは私どももしっかり受け止めているところでございます。そうした業界も含めまして、インボイス制度への移行によって、免税事業者のままでいた場合に取引から排除されるのではないか、課税事業者になったとしても価格転嫁ができないのではないか等の中小・小規模事業者の方々の御心配、その声があります。
 まず、このうち、免税事業者のままでいた場合の御心配につきましては、制度移行後も六年間は免税事業者からの仕入れであっても一定の割合を控除できるようにするなど十分な経過措置が設けられており、こうした仕組みについて周知しているところです。そして、課税事業者となる場合の御心配につきましては、令和五年度税制改正において、免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の二割に軽減する三年間の負担軽減措置などを講じることとしております。
 加えて、免税事業者を始めとした小規模事業者の取引につきましては、各事業者団体への法令遵守要請などを行う取引環境の整備に取り組むとともに、独禁法等に基づく書面審査の実施、下請Gメン、相談窓口の対応等の取組を実施いたしまして、適切に対処することといたしております。
 さらに、令和四年度補正予算におきましては、持続化補助金について、インボイス発行事業者に転換した場合の補助金額の五十万円一律引上げ、IT導入補助金について、インボイス対応のため、より安価な会計ソフトも購入できるよう、補助対象の拡大、中小企業団体による相談体制の整備のための予算措置など、様々な支援策を行っているところでございます。
 インボイス制度は複数税率の下で適正に課税する上で必要なものでありまして、こうした様々な対応をしながら、十月からの円滑な実施ができますように、今後ともしっかりと進めていきたいと思います。

 

○小池晃君 いろいろ一生懸命説明してもらったんですけど、これでもやっていけないという声はあるんですよ、広がっているんですよ。皆さんこれ納得していないんですよ。実際には、今まで全く消費税を納めていなかった人が納めなきゃいけなくなるわけですから、幾ら軽減されたって軽減にならないんですよ。あるいは、これもう期限付なんですね。
 ちょっと具体例示します。日本のアニメは世界に誇る文化ですが、これ、アニメーター、年収三百万円以下の方が五割超えます。これ、東京の豊島区でアニメーター、四十歳独身の方の例です。売上げ三百万円の免税業者で、諸経費、税、保険料の引いた手取りは百七十五万円、月額十四万六千円。これ、インボイス始まると免税のままでは取引から排除されかねませんから、これ課税業者になることを選んだとすると、これは消費税分をもらったとみなされてその分を納税しなければならなくなるわけです。この方は実際には売上げは三百万円のままなのに、今までゼロだった消費税の負担が十三・五万円、一か月分近い収入消えるんですね。20230302-パネル⑨
 いやいや、きちんと消費税を支払うよう指導しますって、先ほどね、おっしゃるんだけど、インボイス始まっても発注される中身変わんないんですよ。それなのに、消費税一〇%分、じゃ、三十万円上乗せしてくれるか。くれないですよ。みんなそれを心配しているから、だからフリーランスの人たちみんな、中止してほしいと言っているんじゃないですか。
 総理、これ実質的な増税ですよ、これは。こんなことを、やっぱりこれはやめるべきだと申し上げたいけど、どうですか。

 

○国務大臣(鈴木俊一君) 今、その表を拝見をいたしました。
 先ほど、経過措置でありますけれども、この令和五年度税制改正において、納税額を売上税額の二割に軽減する三年間の負担軽減措置ということでありまして、そこにあります二十七万円掛ける、これ〇・五、〇・五というのは簡易課税の本則でありますが、この十三万五千円、これを納めなくちゃいけないということでありますが、今回の経過措置によりまして、この十三万五千円が五万四千円になるということでございます。
 その上で、先生から、今、これは増税ではないかと、こういうふうにお話しでございましたが、これはですね、インボイス制度というのは、先ほど申し上げましたとおり、あくまで複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであります。インボイス制度の導入によりまして、免税事業者のうち、課税事業者となることを選択してインボイス発行事業者になる者がいるとの点を踏まえれば、一定の増収が、国の方にですね、一定の増収をもたらすものと考えますが、税率の引上げのような増税を目的としたものではなく、あくまで複数税率の下で適正な課税を確保するための必要な制度であるということを御理解いただきたいと思います。

 

○小池晃君 取られる側は結果的な増税になるんですよ。十三万五千円が五万四千円になると言うけど、ゼロから五万四千円になるんですよ。これは取られる側にしてみれば、それだって大変だと。当然じゃないですか。
 それから、大臣、繰り返し適正な課税だとおっしゃる、適正な課税のためだと、複数税率の下で適正な課税のためだと。複数税率になって四年目ですよ、複数税率になって。適正な課税になっていないんですか、じゃ。今、税務署にみんな申告していますよね。今税務署が受け付けている申告書は、あれ、適正じゃないんですか。

 

○国務大臣(鈴木俊一君) それを適正なものにしていこうと、より適正なものにしていこうと、より適正なものにしていこうと、こういうことであります。

 

○小池晃君 今の、だから、今やっている、税務署が受け付けているのは適正じゃない申告書を受け付けているんですか。

 

○国務大臣(鈴木俊一君) インボイス導入前、今、今現在ですけれども、これが何か不都合かということのことだと思いますが、複数税率の下で適正な課税を確保するためには、売手と買手で税率の認識が一致していることを制度として確保する必要がございます。
 この点、現行制度の下では、売手側に請求書等の交付義務やその写しの保存義務もない一方で、買手側は、一定の場合には、請求書等の保存がなくとも消費税の仕入れ税額控除が可能になっています。そのため、仮に、売手が軽減税率で申告しているものについて買手が標準税率で控除を行ったとしても、請求書等が保存されていない場合があり、適用税率の適否について事後的な確認が困難となっておりまして、消費税の適正な課税を確保するとの観点からは問題があると、そのように考えているところでございます。
 こうしたことからも、インボイス制度は複数税率化の下で消費者の方に御負担いただいていることとなっている消費税の適正な課税を確保していくために重要なものであると考えております。

 

○小池晃君 既に、実際にインボイスなしでも請求書、領収書区分してやっているわけですよ。今みんな一生懸命やっていることは適正じゃないと言うんですか。そんなことないでしょう。私は、こんなこと導入する必要全くないと。
 誰もこれ、インボイス導入して喜ぶ人はどこにいますか。誰が喜びますか。(発言する者あり)そのとおりだ、財務省しか喜ばない、これは。これはインボイスなしでもやれているんですよ、四年間ずっと。みんなが嫌がること何でやるんですか。では、何だかんだといろいろ言うんだったら、消費税五%に下げて複数税率やめればいいじゃないですか。きっぱりとそういう道進むべきだと。
 総理、これね、これだけ批判の声が上がっているんですからやめるべきじゃありませんか、インボイス。国民の声に応えてインボイスは中止すると。総理、決断してください。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) これはもう再三御説明させていただいています。基本は、インボイス制度、これ、複数税率の下で適正な、この適正な課税を実現するための制度であると考えています。
 そのために、国民の皆さんにおいて円滑に、円滑な導入に結び付けていただくためのこの様々な対策を講じてきております。これ、十月まで、ぎりぎりまで政府として円滑な導入に向けて何が必要なのか、これからも様々な方策について検討を行っていきたいと思っています。

 

○小池晃君 都合が悪くなると様々と言うのは本当だなと思いながら聞きました。
 やっぱりこんなものはやめるべきだということを申し上げておきたいと思います。
 外務省、昨年六月、G7首脳コミュニケ、性的少数者に関する部分、読み上げてください。20230302-パネル➉

 

○政府参考人(今福孝男君) お答え申し上げます。
 昨年のG7エルマウ・サミットで発出された首脳コミュニケには、我々は、女性と男性、トランスジェンダー及びノンバイナリーの人々の間の平等を実現することに持続的に焦点を当て、性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、誰もが同じ機会を得て、差別や暴力から保護されることを確保することへの我々の完全なコミットメントを再確認するという記述や、我々は、あらゆる多様性を持つ女性及び女児、そしてLGBTIQ+の人々の政治、経済及びその他社会のあらゆる分野への完全かつ平等で意義のある参加を確保し、全ての政策分野に一貫してジェンダー平等を主流化させることを追求するという記述がございます。

 

○小池晃君 総理は、このコミュニケ、我々の一人だと思います。LGBTIQ+の人々の政治、経済及びその他社会のあらゆる分野の完全かつ平等で意義ある参加、これ、実現する責任があると思います。
 LGBTQに対する差別禁止、同性婚を法制化すること、これは、G7サミットで総理が確認した国際社会に対する責任じゃないですか。これを責任果たさずにサミット議長国の役割果たせますか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 昨年のこのG7エルマウ・サミットで発出された首脳コミュニケ、この記載のとおり、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見、これはあってはならないと考えており、政府として、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会を実現していく。その実現に向けて、引き続き国民の声を受け止めてしっかり取り組んでいく、これが我が国政府の基本的な考え方であります。
 御指摘の様々な課題についても、国民の声を受け止めながらこの議論を進めていく、こうした方針について申し上げております。

 

○小池晃君 議論じゃないですよ。総理なんだから、実現する責任があるでしょう。国際社会に公約したんですよ。責任があるんじゃないですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 公約、そのサミットで発出された首脳コミュニケについてのことをおっしゃっているわけですが、その内容について先ほど説明をさせていただきました。そういった方向性を持って政府として努力をしていく、こういったことを説明させていただきました。
 是非、この方向性を大事にしながら、国内の議論を進めていきたいと考えています。

 

○小池晃君 ならば、LGBTQ差別禁止法、同性婚法制化、やるべきじゃありませんか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のこの差別解消法案については、昨年の通常国会で野党から衆議院に提出され、継続審議となっていると承知しております。そして、理解増進法案については、これは超党派の議論の結果として策定されたものですが、自民党においても議論を進めてまいります。そして、同性婚にも御指摘がありました。同性婚についても、この国民生活の基本に関わる問題、国民一人一人の家族観に関わる問題ということでありますので、国民の意見、国会での議論、訴訟の動向、地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入や運用の状況、こうしたことを注視してまいります。
 議論を進めていく、これは大事なことであると思っています。

 

○小池晃君 G7コミュニケで言っているのは、LGBTQの差別禁止ですよ。差別禁止です。理解増進じゃないですよ。
 G7で差別禁止法がないのは日本だけです。G7で同性婚を認めてないのは日本だけです。世界は既に変わっているんです。日本の世論調査では、六割から七割、同性婚を認めるべきだと言っている。日本社会も既に変わってるんですよ。変わっていないのは自民党と総理、あなたしかないんです。変わっていない。こんなことでは世界から取り残される、G7議長国の資格はないと言わなければいけないということを申し上げて、質問を終わります。

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