日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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包摂的平和の枠組みこそ 参考人、外交努力訴え 参院委 軍拡財源法案 小池氏の質問に

2023年06月05日

赤旗2023年6月2日付

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(写真)意見をのべる参考人。左端が纐纈氏、1人おいて黒江氏=1日、参院財金委

 5年間で43兆円もの大軍拡のための「防衛力強化資金」を創設する軍拡財源法案の参考人質疑が、1日の参院財政金融委員会で行われました。

 

 纐纈厚山口大名誉教授は、岸田政権が主張する“軍事力に裏づけられた外交”では常に軍事が表に出ることにもなり、逆に外交の柔軟性を欠いてしまうと指摘。諸外国に圧力をかける防衛力をもちながら外交を展開するとの考え方の「防衛外交」が「本来のあるべき外交のあり方か大変疑わしい」と強調しました。

 

 日本共産党の小池晃議員は、主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の首脳宣言が事実上の中国包囲網「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)に重点を置いていることに言及した上で、東南アジア諸国連合(ASEAN)がよびかける包摂的な平和の枠組みの重要性について質問しました。

 

 纐纈氏は、戦前の日独伊三国同盟に触れ、軍事ブロックや軍事同盟が戦争を呼び込むことは歴史が示していると強調。「包摂的な枠組みづくりこそ安全を担保する唯一無二の策だ」と主張し、中国、ロシア、北朝鮮を包摂的協議に取り込む努力の必要を訴えました。

 

 また小池氏は、安保3文書に向けた有識者会議メンバーの黒江哲郎元防衛事務次官が「(安全保障の)第一のアプローチは外交」だと発言したことを受け、その内容を質問。黒江氏は「紛争を話し合いで解決するという国際秩序に(中国・ロシアを)復帰させる」と述べましたが、「どう復帰させるか」の具体論はなく、「防衛抑止を前提とした外交」の例の一つに日米軍事同盟を挙げるにとどまりました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
 ちょっと四人の参考人の方全員に質問できないかもしれませんので、お許しください。
 黒江参考人にお伺いしたいんですが、抑止力ということが先ほどからも議論になっております。そして、黒江参考人は、これは毎日新聞のインタビューですかね、抑止力というのは相手国の意思に働きかけることなんだと、相手国に、日本を攻めたら反撃されるというリスクを感じさせる軍事力だということなんですね。
 そうなってくると、相手国はその軍事力を上回る軍事力、軍拡をしていくことになっていくだろうと思うんですね。結局、やっぱり際限のない軍拡競争になっていくのではないかということが懸念されると思います。特に中国のような圧倒的な経済力を持っている国であれば、そういった懸念は大いにあると思うんですね。
 その点で、そういったことも、日本の軍事力がもう際限なく抑止力という名の下に広がっていくことは、これはやむを得ないというふうにお考えなのか、それとも何らかの歯止めが要るのか要らないのか、その点はどうお考えでしょうか。

 

○参考人(黒江哲郎君) まさに相手国の意思に働きかけるというものなわけですが、我々が考えております抑止力といいますのは、別に相手国の能力と同等のものを持つことで相手国に攻めさせないということではなくて、相手国が攻めてこようとしたら相当な損害が出ると、そういうリスクを感じさせるということで相手国の意思を制約するという、そういう意味で申し上げておりますので、それの観点からしますと、たとえ中国のある程度の軍拡があったとしても、それに追随して我が国が際限なく軍拡を進めていくということには必ずしもならないんだろうというふうに私は考えております。

 

○小池晃君 その何らかの歯止めということは、特にその点では考えなくても大丈夫だというのがお考えですか。

 

○参考人(黒江哲郎君) 歯止めと言われている御趣旨がちょっと私必ずしも理解できていないかもしれないんですが、まさにこれは我々の防衛力整備につきましても、これは従来から言われていることでございますが、国の他の諸施策との調和ということを考えるということがまず前提としてございます。
 国力にそぐわない防衛力、これを持つということはまさに軍事大国ということでございまして、我が国はそれを目指さないということを申し上げておるわけでございますので、そういう意味では、まさに国力の中で他の施策を遂行していく中でのバランスを考えてどれだけの防衛力に投資をしていくのかという、そういう考え方が必要なんだろうというふうに思っております。
 まさにそれがこれまでであればGDPの一%であったし、現在の状況に照らしていえば二%であるということだというふうに思っております。

 

○小池晃君 私も、やはりまさにそれがGDP一%という一つの考え方としてあったんだろうと思うんですが、それがやはり今回のような形で反撃能力というところまで広がっていくと、これは際限のないものになりかねないのではないかということは、懸念は拭えないんですね。
 それから、参考人は、戦略的アプローチの第一は外交だということを先ほども、今も繰り返されました。ただ、私は、安保この三文書を読んでもどういう外交戦略を持っているのかということがなかなか読み取れないんですが、安保三文書で言っている外交戦略というのは一体何でしょうか。

 

○参考人(黒江哲郎君) これは、まさに戦略三文書の中にも書いてございますけれども、まさにその紛争というのを話合いによって解決するというのが戦後の国際秩序、それがルールだったわけで、それに復帰をさせるということがまさに外交戦略の第一なんだろうと。
 それを実際に実施していく上で、我が国の外交を先ほどの固める地歩として、それなりの防衛力を持って抑止力として機能させていくということが前提になった上で、そういう外交戦略を、外交政策を展開していくということだと思います。
 細かく言えば、これは日米同盟を強化していくことであり、あるいは他国との関係を強化していく。これは、同志国にとどまらずに、今いわゆるそのグローバルサウスと言われている国との関係でも良好な関係をつくっていくと。各国が結集できるような、できるだけ多くの国が結集できるようなアジェンダをつくることで、先ほど申し上げたような低下しつつある国際社会のカバナンスというのをもう一度機能するものに持っていこうと、それがまさに日本が考えている外交戦略なんだろうと私は理解をしております。

 

○小池晃君 外交戦略について纐纈参考人に伺いたいと思うんですが、私たちはやっぱり東アジアに平和な環境をつくる上でASEANが提唱しているAOIP、アジア太平洋、インド太平洋構想、これは非常に重要だと思っているんですね。
 一方で、先日のG7サミットの首脳声明見ても、AOIPには触れているんですが、どちらかというとFOIP、自由で開かれたインド太平洋構想か、FOIPの方、こちらに重点が置かれているように思います。
 これ、結局、中国を排除、包囲していくブロック的な対応になっていく危険はらんでいると思うんですが、やっぱりあらゆる脅威の国、排除するんでなく、包摂的な平和の枠組みをつくろうということをASEANは提唱しているわけですけれども、やはりこういった方向こそが必要なんではないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。

 

○参考人(纐纈厚君) 御質問ありがとうございました。
 先ほど、二点目に軍事ブロックの参入の問題を指摘させていただきました。私は、中国、ロシア、あるいは朝鮮という、まあ日本にとってはある意味では防衛三文書におきまして仮想敵国視された国々に対してむしろ包括的な協議の枠組みの中に取り込むという努力、これを最初から放棄したいわゆる日本の防衛政策の根幹というものは非常に懐疑的、問題があります。
 ある意味では、戦前もそうでした。日独伊軍事同盟、これを一九四〇年に結び、その翌年には日英米戦争に踏み切った。もっと遡及すれば、一九〇二年に日英同盟が結ばれ、そしてその二年後に、一九〇四年に日露戦争が起きた。つまり、そういった軍事ブロックあるいは同盟というものは戦争を呼び込むものでしかないということをやはり歴史が示していると思うんですね。
 そういう意味でいうと、今議員がおっしゃったような意味での包括的な枠組みづくりというものが安全を担保する。要するに、唯一無二という言葉を先ほども使わせていただきましたけれども、そういう方向性の中でやっぱり行かないと、どこそこを排除し、どこそこを同志国だから抱え込んでそれ以外は駄目だという陣取り合戦的なその安全保障論というのは、極めていびつ、かつリスキーな安全保障だと思います。
 そういう考え方は、だんだんだんだん、少なくとも学界では、非軍事的な安全保障論であるとか、民衆の安全保障論であるとか、命の安全保障論、様々な呼び名を基に構想されておりまして、恐らくそういう動きが学界等々からもこれから今後出していかなきゃいけないなというふうには思っております。
 以上です。

 

○小池晃君 中国との関係について更にお伺いしたいと思うんですが、私たちはやっぱり中国の覇権主義的な行動についてはこれ厳しく批判してきた政党です。
 そして、同時に、やっぱり日本と中国というのは、これは政治的、経済的、文化的、歴史的に深い結び付きがあります。最も重要な二国間関係と言ってもいいんであろうと。
 ところが、今、様々な紛争、緊張、対立があるわけですね。これ、何とか打開しなければいけない。外交努力が必要だと思いますし、参考人は中国の大学や研究機関などでも講演したりしてきたという関係がおありだと聞いております。
 やっぱりこの今の二国間関係を打開していくためにどういう努力が必要なのかということについて、お聞かせをいただきたいと思います。

 

○参考人(纐纈厚君) 中国の海洋進出は、確かに多くの日本人あるいは世論の中に脅威感情をかき立てていることは間違いございません。
 海警という形ですけれども、大変軍艦に近い戦艦を出してきておりますし、また、日本が固有の領土だと主張しております尖閣の周辺にも、ある意味ではどんどん出てまいります。そのことは、可視化された脅威として常に大きな問題となっております。だからこそ、中国との関係性の改善というものは必要だと思います。
 どうしたらいいかという問題につきましては、やはり日中の、一九七二年の日中共同宣言のあそこに戻りつつ、やはり中国との対話再開というものをやっぱり念じるべきだろうと思います。朝鮮とも平壌宣言がございました。中国とも、今申しましたように一九七二年の日中共同宣言等々で両国は平和関係を構築するんだということを強く強く、当時の多くの先生方も御尽力をいただいて和解をつくってきたわけです。しかし、だんだんだんだんと中国の軍拡が進み、そして日本とアメリカとの関係性が強化されるに従って、日中関係が非常にこじれてまいりました。
 私先ほど申しました日中和解というのは、即無理であっても、和解なき協調、和解なき平和というのはあり得ると思います。幾つかのプロセスを経て、漸次、段階的にであれ、中国との接近外交というものをやる。相手の懐に飛び込み、そして胸襟を開くということは、中国の人たちも言います。先ほど御紹介いただきましたけれども、もう今までに二十以上の大学で講演とか講義を現在も続けておりますけれども、中国のいわゆる知識人、メディアの人、研究者、何と言っているかというと、もちろん中国の核兵器なり中国の通常戦力の拡大というのはあくまでアメリカの対中国包囲戦略に対する対抗措置である、決して私たちから向かうことはないんだと。
 これ信じるか信じないかはそれぞれもちろん皆さん方も御自由だと思いますけれども、私は、長年彼らとの付き合いの中で確信的に得ているのは、彼らは経済力によって世界のリーディングセクター、引っ張り役を任じようとしているのであって、軍事力によってではない。もう既に、先ほど繰り返しておりますように、中国のGNPは二千七百兆円、IMFの統計でありますけれども、世界第一位でございます。そのせっかく勝ち得た経済大国を、紛争や侵略戦争等々で台なしにするわけがない。十四億の民を食わせていくことはできない。
 それから、もう一つ付け加えさせていただきますと、中国は資源大国ではなく資源小国です。じゃ、資源をどこから持ってくるかと。海洋です。海洋をもし封じられれば、中国は兵糧攻めに遭って、十四億の民は飢え死にしかねない、論理的には。そういう恐怖感を彼らは持っています。なので、海洋は常に自由にしておきたいというのが彼らのある意味では戦略です。ならば、お互いに折り合えるチャンス、折り合える議論の余地というのは十全にあると思います。
 是非是非、皆さん方の御尽力で、日中和解という方向性の中で日本の安全保障を考えていただきたい。日中和解が日本の最大の安全保障と、これはもう繰り返し繰り返し申し上げたいというふうに思います。
 以上でございます。

 

○小池晃君 その点で、日中両政府間にはこれ重要な合意が、今参考人もおっしゃいました日中共同声明もありますけれども、二〇〇八年の日中共同声明では、お互いに脅威とはならないということを、これは何度も繰り返し確認しているわけですね。それから、尖閣の問題では、二〇一四年の日中両政府間の合意で、これは対話と協議を通じて問題解決を図ると。それから、先ほど私冒頭申し上げましたAOIPというのは、これは日本政府も中国政府も共通の目標にしている。これ、岸田首相にこの点を私ども申入れをした際には、首相認めて、これは重要なやっぱり土台だとおっしゃっているんですね。
 やっぱりその日中双方の政府が、これはもう日本だけじゃないですよ、中国もですよ、やっぱりお互いに脅威とはならないという合意をした以上は、やはり今のような尖閣での行動のような覇権主義的な行動を慎む、日本側も慎む、そういった中でやはりその両国の関係を前向きに進めていくということが、これは私は党派を超えた、今、日本の政治に求められている課題ではないかと考えているんですが、いかがでしょうか。

 

○参考人(纐纈厚君) もとより、今議員がおっしゃったように、安全保障の問題は、与野党の問題たがわず、共通認識の下に進めなければ、やはり大きな力あるいは大きな政策として実現は不可能です。そういう意味で、野党、与党という枠組みを超え、あくまで民意はどこにあるのか、民意はやっぱりたくさんのトマホークを持つことで安全が担保されるとは思っていない。沖縄の人たち、言うまでもなく、耳を傾けるならば、自分たちの島が、まして軍事基地になろうとは思ってみなかった。
 昨年、二〇二二年九月に与那国島危機事象対策交付金というのが交付され、有事の際には島民にお金を出すから島に、出てくれというようなとんでもない条例が制定されたと聞いています。つまり、与那国島が軍事基地化するということは、回り回って西南諸島あるいは沖縄、さらに日本列島全体が軍事基地化するという、論理的にはそういう方向性をたどるかもしれないというときに、果たしてそれで本当に日本の国民、生命、財産守れるんだろうかと。そのことへの危機感が今ふつふつと湧いてきているんじゃないでしょうか。
 そういうことを十分に考えた場合に、野党、与党の防衛政策をすり合わせる中で、やはり選択すべき方向性は何かということを今もう一度原点に立ち返りつつ考えなければいけないというふうに思います。
 以上でございます。

 

○小池晃君 今日、財政的にもこれだけの多額の赤字国債を発行している国がこれだけの大きな負担をしていくことについてのやっぱり問題点も指摘をされたというふうに思うんですが、やっぱり私は立ち止まって、やっぱりこの国の安全保障の在り方を本当に真剣に考える議論をこの法案の議論を通じてやらなきゃいけない、それがやっぱりちょっと、やはりまだまだ不足しているのではないかというふうに思いますので、今日の参考人の質疑でいただいた意見も十分反映させた徹底した審議を今後やっていこうということを求めて、質問を終わりたいと思います。
 以上です。

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