日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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小池晃の活動報告

国民目線の対案で迫る小池氏 棒読み 答えぬ首相 参院本会議 代表質問

2023年10月27日

赤旗2023年10月27日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=26日、参院本会議

 岸田文雄首相の所信表明演説に対する代表質問が行われた26日の参院本会議。日本共産党の小池晃書記局長は暮らし平和を守るための対案を示し、実現を迫りました。しかし、岸田首相は真正面から答えず、答弁書を棒読みするだけで、国民の切実な願いに背を向ける姿勢に終始しました。

 

経済

 

賃上げと格差是正 消費税の減税こそ

 

 「必要なのは反省、反省、そして転換だ」―。小池氏は、財界言いなりで「コストカット型経済」を進めてきた自民党政治の責任を追及し、「具体的で実効性のある施策こそ必要だ」と迫りました。

 

 小池氏は、大企業の内部留保への課税で最低賃金時給1500円を実現する党の提案を紹介。「二重課税に当たるから慎重に」と繰り返し否定してきた岸田首相に対し、「法律上、二重課税の定義はなく禁止されていない」と迫りました。

 

 ところが岸田首相は、「二重課税に当たる」とまたも繰り返し、質問にかみ合ったまともな答弁ができませんでした。

 

 小池氏は、自公政権が「女性活躍」を掲げる一方で、非正規雇用を増大させてきたと指摘し、「なぜ女性が非正規雇用の7割を占めているのか」「なぜ男性より賃金が低いのか」と問いかけ。「その原因が性別役割分業を前提とした雇用慣行にあるという認識はあるか」とただしました。

 

 岸田首相は「性別役割分担意識は男女間賃金格差が解消されない要因の一つ」だと認めたものの、具体的な対策は語りませんでした。

 

 さらに小池氏は、「『国民に還元する』なら消費税減税だ」と主張。「消費税減税は確実に消費に結びつき、家計支援になるのはもちろん、景気対策、とりわけ中小企業支援になる」と強調しました。10月から始まったインボイス制度では、「課税業者になった小規模事業者やフリーランスには年間15万円もの負担が加わり、『1カ月分の収入が消える』と悲鳴が上がっている。これは税率引き上げを伴わない大増税だ」と指摘。「反対の声に耳を貸さずインボイス制度に固執するのは、さらなる消費税増税を行うための『地ならし』だ」と批判し、消費税5%への緊急減税とインボイス制度の廃止を求めました。岸田首相は、「考えていない」と否定し、国民の要求に背を向けました。

 

マイナ保険証・介護・農業

 

各分野から悲鳴が 現場の声に応えよ

 

 「(マイナ保険証の利用率は)8月はわずか4・7%だ。国民がマイナ保険証を信頼していないことの表れだ」。小池氏は力を込めてこう述べました。マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証はトラブルが続出し、登録件数は増加していますが、利用率は低下する一方です。

 

 全国保険医団体連合会調査で、回答した医療機関7070のうち、来年秋以降も保険証の存続を求めているのは87・8%にのぼっています。

 

 小池氏が「首相に『聞く力』が残されているなら現場の声にこたえるべきだ」と迫っても、岸田首相は「メリットを実感できるよう利用促進の取り組みを積極的に行う」と従来の説明を繰り返すばかりでした。

 

 来年度は介護保険改定の年です。現在1割負担となっている人の利用料を2倍にする検討がされています。

 

 小池氏は、物価高騰、年金削減、医療費負担増が高齢者を襲ったにもかかわらず、「さらに負担増の追い打ちをかけていいのか」と追及しました。

 

 介護職員の賃上げについて武見敬三厚労相の「月6000円程度が妥当」発言が関係者の失望をよんでいます。小池氏は「介護職の給与は全産業より月7万円も低い。『1桁足りない』という声が上がるのは当然だ。抜本的な処遇改善が必要ではないか」と現場の痛切な思いを代弁しました。ところが岸田首相は「ICT(情報通信技術)活用の生産性向上で処遇改善につながる仕組みを構築」としか答えませんでした。

 

 小池氏は、危機に直面する日本の農業についてただしました。低い米価、搾れば搾るほど赤字の酪農家、そこに気象災害が追い打ちをかけ生産者は悲鳴をあげています。

 

 小池氏は、食料自給率は38%、この10年間で農業者が3割減少し東京都の面積に匹敵する農地が失われたとして、「いま政府に求められるのは懸命に頑張る生産者を離農させない緊急支援だ」「自給率の目標達成を政府の責務にすべきだ」と迫りました。

 

大軍拡

 

税金の使い方違う 沖縄新基地断念を

 

 「税金の使い方が完全に間違っている」―。小池氏は、来年度概算要求における軍事予算は空前の8兆円に達し、岸田政権発足後のわずか2年で2・5兆円も増加したと指摘。2・5兆円あれば、義務教育の給食費無償化、大学入学金の廃止、大学学費の半減が実現できると強調し、「くらしも平和も危機にさらす、大軍拡は中止すべきだ」と訴えました。

 

 さらに小池氏は、敵基地攻撃が可能な長射程ミサイルの配備が狙われる沖縄県で今、再び戦場にされるとの不安と怒りが広がっていると強調。14日から実施されている日米共同訓練で県の2度にわたる自粛要請も無視し、陸上自衛隊のオスプレイが新石垣空港で実動訓練を強行したことを挙げ、「敵基地攻撃を可能とする装備の県内配備、敵基地攻撃能力保有そのものをやめるべきだ」と求めました。

 

 岸田首相は、「反撃能力として活用しうるスタンド・オフ・ミサイルの配備先は現時点で決まっていない」などと述べ、県民の不安に背を向けました。

 

 小池氏は、米軍辺野古新基地建設で、政府が県に代わって設計変更を承認する「代執行」に向け提訴を行ったことについて、「強権的なやり方を絶対に認めるわけにいかない」と批判しました。

 

 米軍基地は国際法に違反し住民の土地を奪ってつくられ、県民は米軍機の墜落、米軍機の昼夜を分かたぬ爆音、米軍関係者が引き起こす事件・事故に苦しめられてきました。小池氏は、「県民が同基地建設に一貫して反対の意思を示してきたのは、こうした歴史を無視し、新たな基地を押し付け、将来にわたって固定化するものだからだ」と述べ、米軍普天間基地の即時撤去、辺野古新基地建設の断念を求めました。

 

 岸田首相は、民意を踏みにじりながら「地元の皆さんに丁寧な説明をしていく」などと強弁しました。

 

イスラエル・ガザ紛争

 

封鎖と空爆批判し停戦への交渉促せ

 

 人道危機が深刻なイスラエル・ガザ紛争―。小池氏は「無差別攻撃を行ったハマスを非難することはもちろんだ」としたうえで、「イスラエルがガザ地区を封鎖し、水も食料も断ち切り、住民を大量に殺戮(さつりく)していることをなぜ、厳しく批判しないのか」と指摘。日本政府は、イスラエルのガザの封鎖と空爆を批判し、最悪の人道危機をもたらす大規模侵攻を中止させ、停戦に向けた交渉を促すべきだと主張しました。

 

 また、小池氏は、日本国憲法前文の「平和的生存権」を読み上げ、憲法9条が、他国に先駆けて戦力の不保持、交戦権の否認を規定し、国際社会での積極的な軍縮推進を課していることを挙げ、「いまこそ、この憲法の理念に基づく平和外交の出番だ」と訴えました。

 

 岸田首相は、改憲策動には全く触れず、「今後とも平和国家としての取り組みを続けていきたい」などと答弁。小池氏は「憲法を変えるのではなく、実現することこそ、いまの日本政治の最優先課題だ」と強調しました。

 

万博

 

国民の身切る事業

 

統一協会

 

財産保全の協議を

 

 「オールジャパンで進める」と岸田首相が所信表明で豪語した大阪・関西万博。来年4月から建設労働者などの時間外労働規制が開始されるにもかかわらず、日本国際博覧会協会(会長=十倉雅和経団連会長)が、万博工事は適用除外にするよう政府に働きかけたと報道されています。

 

 小池氏は「法律を守れば建設できず、労働者の命を犠牲にしなければならないような事業は破綻している」と追及しました。

 

 会場建設費用も当初見積もりの2倍の2350億円に膨らみ、さらに増大が懸念されています。小池氏が「国民の『身を切る』ような事業だ」と指摘すると、「身を切るな」の声が飛び、拍手が起こりました。

 

 小池氏が、万博の真の狙いは「莫大(ばくだい)な費用がかかり、カジノ業者だけでは不可能なインフラ整備を、国策である万博を口実に公費で進めることだ」と暴露し、万博中止とカジノ計画断念を岸田首相に迫りました。岸田首相は「IRと万博は別のプロジェクト。引き続き適正に対応する」と開き直りました。

 

 さらに小池氏は、統一協会(世界平和統一家庭連合)の解散命令請求は「被害者の声が動かした結果だ」と評価。岸田首相に2点求めました。

 

 一つは、財産保全のために特別な法律制定に向けた与野党協議の開催です。

 

 「被害者を泣き寝入りさせてはいけない。統一協会の財産を海外に流出させず、急いで保全しなければならない」。小池氏は被害者の切実な思いに寄り添いながら、「首相は『各党の動きを注視する』と言うがそれでいいのか。党派を超えて実現の先頭に立つべきではないか」と主張しました。岸田首相は「注視する」と繰り返すのみ。

 

 もう一つは、統一協会と自民党の癒着解明です。

 

 小池氏は、盛山正仁文科相が「遅くとも昭和55年(1980年)ごろから」被害があったと述べているとし、「ならば癒着の解明も過去にさかのぼって徹底調査を」と強く求めました。岸田首相は「大切なことは未来に向かって関係を断つこと」と述べ、自らの責任で調査する考えを示しませんでした。

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