日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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「出口戦略」情報開示を 日銀金融緩和策 小池氏、総裁ただす 参院財金委

2023年12月08日

赤旗2023年12月8日付

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(写真)質問する小池晃議員=7日、参院財金委

 日本共産党の小池晃議員は、7日の参院財政金融委員会で、日本銀行が進めてきた大規模金融緩和策の正常化を図る「出口戦略」について、植田和男総裁に認識をただしました。

 

 小池氏は金融政策を正常化した場合、財務上の影響についての日銀の見通しを適切な形で国民に対して説明する必要があるのではないかと提起しました。

 

 小池氏は、イギリスの中央銀行・イングランド銀行では、四半期ごとに出口での財務状況のシナリオを公表し、累積のキャッシュフローがマイナス90兆円からマイナス230兆円にもなると、ホームページで公開していると紹介(資料)。日銀内部で行っているとされるシミュレーションについても「国民が納得でき、市場も不安なく対応できるよう適切な形で開示することは重要な課題ではないか」と迫りました。

 

 植田総裁は「今、そういうことに進むには時期尚早」と答弁。小池氏が「より具体的、積極的な情報開示を今後の課題として考える必要がある」と重ねて迫ると、植田総裁は「出口」の局面に至った際には「その少し前からさまざまな情報を開示し、皆さまがスムーズに対応できるよう努力したい」と答弁しました。

 

 小池氏は、金融緩和から引き締めに移る局面に向け「政府、国民が負担せざるを得ないコストの問題に今から対応策を考えておく必要がある。日銀、財務省のみならず国会も含めて取り組むべきだ」と述べました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。総裁、よろしくお願いいたします。
 総裁、九月三十日に、大規模金融緩和の出口局面での中央銀行の財務、金融政策について講演を行われています。その講演の中で総裁は、出口で中央銀行の収益や資本の減少をきっかけに中央銀行への信認が低下すれば金融政策運営には悪影響が生じると、そして、幾ら赤字や債務超過になってもよいということではない、中央銀行の財務リスクが着目されて金融政策をめぐる無用の混乱が生じる場合、そのことが信認の低下につながるリスクがあると、日本銀行としては、こうした考え方の下で財務の健全性にも留意しつつ、適切な政策運営に努めていきたい、こう述べられました。
 総裁おっしゃるとおりで、やっぱり日銀の信認の低下が起きるようなことになれば、これは日本経済にも重大な影響が生じるわけであります。
 この講演の中で総裁は、対外的なコミュニケーションの重要性ということに言及されていらっしゃいます。出口局面で実際に日銀の財務は一体どうなるのか、やっぱり日銀は国民に対してやっぱり今後の見通しを適切な形で説明する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(植田和男君) それは委員おっしゃるとおりかと思います。
 ですので、今御指摘、言及いただきました講演では、一般的な話としてですが、出口局面で中央銀行のバランスシートあるいは収益にどういうことが起こるか、そこをどういう条件が規定していくのかということについて論点整理を行わせていただいたところでございます。
○小池晃君 これ、もちろんいろんな考慮をしなきゃいけない変動要因はあるとは思うんですね。ただ、やっぱりそういったことを前提を置いた上で、今後の見通し、私は率直にいいことだけじゃなくて悪いことも含めて国民には示していく必要があるんじゃないかと思うんですね。
 その点で、総裁、いずれの中央銀行も、海外の例ですね、機会を捉えて丁寧な説明に努める姿勢がうかがわれるというふうにもおっしゃっています。
 総裁が講演の中で指摘されているイングランド銀行、これホームページのことについても講演では触れられておりますが、このイングランド銀行のホームページ見ますと、四半期ごとに出口での財務状況のシナリオを詳細にこれ公表をしています。
 十一月三日発表の最新の報告、今日は資料でお配りしておりますが、これでは、二〇二二年の十―十二月期から現在まで四四半期連続で損失が発生しているということを公表しております。さらに、報告では、三四年までの資産購入制度のキャッシュフローの予測をグラフで示しておりまして、これがそのグラフなんですね。これ見ますと、幾つかのシナリオを挙げて検討しているんですけど、累積キャッシュフローがマイナス五百億ポンド、マイナス九十兆、九十兆円、それからマイナス千三百億ポンド、マイナス二百三十兆円になるというふうにしているんですね。
 総裁はこれまでの国会の審議の中で、いろんなシミュレーションをやっていますと、金融政策を正常化していった場合に日銀の財務にどういう影響が及ぶのかというシミュレーションを内部でたくさんしていますというふうに御答弁されています。
 私は、幾通りかのシナリオを含めて国民が納得できて市場も不安なく対応できるようにするためには、内部でシミュレーションをやっているだけではなくて、まあ、それそのままってならないかもしれませんが、適切な形でこれを開示していく、そしてやっぱりコミュニケーションを図っていくということが今後の重要課題ではないか。その点で、イングランド銀行がやっているようなことも参考にしながら、やっぱり日銀も適切なコミュニケーションということを行っていく必要があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(植田和男君) ちょっと抽象的な言い方で恐縮ですけれども、私ども、先ほどの議論にも出ましたように、現在用いている政策手段のようなものが複数ございます。短期の金利、長期の金利、それから国債のオペ、ETFの購入、更にベースマネーについて一応ある種のコミットメントをしたりしております。
 たくさんある中で、どれをどういうふうに仮に出口が来たときに動かしていくべきかというのは非常に難しい問題で、出口が近づいたときの、繰り返しで恐縮ですが、経済金融情勢次第という面がございますし、他方で、外の中央銀行のことをお話しして恐縮ですが、イングランド銀行含めまして、シミュレーションの姿を割と具体的に出している場合は、その出口の周りでどういう戦略でいくかということがある程度固まったところで数値的なものも出していくということであったかなというふうに理解しております。
 ですので、今ちょっとそういうことに進むには、ちょっと時期尚早か、あるいは生煮えのものを出してしまいますと、かえって市場とのコミュニケーションに支障を来すというようなことを考えて、一歩控えた姿勢を取ってございますが、一昨日、三日前ですか、月曜日に開催いたしました、今実行しております政策のレビュー等では、私の講演よりもまた一歩進めた形で、こうした話について内外の有識者との意見交換をしたりもしております。
○小池晃君 おっしゃっていることの意味もよく分かるんですね。一定、ちょっともう少し見えてこないと今の時点ではなかなかやっぱり困難であると、むしろ混乱をということは理解はできるんですが。
 やっぱり私はその出口ということになってきたときに、今後の課題としては、より具体的、積極的な情報開示ということを将来の課題としてはやはり考えておく必要があると思うんですが、その点はいかがでしょうか、
○参考人(植田和男君) もちろん出口出口と、余り現時点で言う状況ではないかもしれませんが、そこに至ったときに、スムーズに行けるためにはその前、少し前から様々な情報を私どもから開示していって、皆様にもスムーズに対応していただけるように努力したいとは思っております。
○小池晃君 これは、今後非常に大事な課題になってくるのではないかなと思います。
 これまで世界多くの中央銀行が手じまいして、金利の引上げ踏み出しておりますが、日本でも必ずそういう局面はやってくる。その際に発生する日銀の財務コスト、これはひいては政府、国民が負担しなければいけないコスト、これはやっぱりイギリスの例に倣って、今からでも正面から見据えて、その対応策を事前に確立すると。これはもう日銀だけの課題じゃないと思います。財務省、そして国会も含めて、やっぱりそういったことを考えておくというのが責任ある対応ではないかということを指摘しておきたいというふうに思います。ちょっとこの問題は、またいずれ改めて議論させていただきたいと思うんです。
 ちょっと残った時間、インボイスのことをお伺いしたいんですが。
 ストップインボイス、インボイス制度を考えるフリーランスの会が行った実態調査で、回答者の半数が制度について相談できる人がいないというふうに答えています。今本当に大混乱が現場では起こっておりまして、この調査でも三千件に及ぶ声が寄せられています。財務省にも実態調査、これ届いていると思いますが、どう受け止めていらっしゃいますか。
○副大臣(矢倉克夫君) お答えいたします。
 インボイス制度につきましては、中小・小規模事業者の方を始め、様々な不安や悩みを抱えていらっしゃるということをよく認識もしておりますし、御指摘の点、非常に重要な課題であるというふうに理解もしております。
 今挙げていただきました、十一月十三日に財務省に届けられた要請書、その中の緊急意識調査等におきましても、御指摘のとおり、相談先がない、相談窓口が不足している、取引先等が不当な扱いを受けているといった指摘がなされていることも私も拝見もいたしました、承知をいたしているところであります。このうち、相談窓口の不足に関しましては、引き続き関係省庁で連携をして各種相談窓口の周知に取り組むとともに、国税庁のインボイスコールセンターについて相談体制の拡充を進めているところであります。
 また、取引先等からの不当な扱いについては、免税事業者からの仕入れに関する経過措置の周知、広報に加えまして、公正取引委員会等による監視といった取引環境の整備等についても引き続き取り組んでいくこととしております。
 今後とも、御指摘も踏まえ、また制度の施行状況等をフォローアップしつつ、事業者の立場に立って一つ一つの課題にしっかりと対応してまいります。
○小池晃君 ちょっとその点で一点具体的なことをお伺いしたいんですが、インボイス実施から三年間は、消費税の計算上インボイスを必要としない少額特例、それから納税額を売上げに係る消費税の二割に抑える二割特例、これが創設されました。
 令和四年中に免税事業者からインボイス発行事業者になった方で、インボイス登録申請書のほかに消費税課税事業者選択届出書、これを提出していた場合、これ、インボイス実施前に課税業者を選択していたということになってしまって、このままでは二割特例を受けられなくなると聞いています。こうした人たちが特例の対象になるために今年中に手続をしなければならないと聞いていますが、どういうことか、そのことをどうやって周知しているのかをお答えください。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、インボイス発行事業者の登録申請書と消費税課税事業者選択届出書を令和四年中に提出しております免税事業者である個人事業者の方が令和五年分の申告におきまして二割特例の適用を受けるためには、法令上、その課税期間の末日、すなわち令和五年十二月三十一日までに消費税課税事業者選択不適用届出書を提出する必要がございます。したがいまして、令和五年中に当該届出書を提出していない場合には令和五年分の申告について二割特例は適用できないことになります。
 国税庁におきましては、こうした状況になり得る全ての事業者の方に対しまして、二割特例の適用に係る必要な手続等について留意事項をお知らせする書面の送付や電話による個別接触を行っているところでございまして、このほか、税理士の方へは日本税理士会連合会を通じたお知らせを行うなど、様々な手段で周知あるいは注意喚起をしているところでございます。引き続き、事業者の立場に立って丁寧な対応をしてまいりたいと考えております。
○小池晃君 これ、個人でいうと五千件程度あると聞いているんですね。そこに今一生懸命電話を掛けていらっしゃるということなんですけど、そういう事態になっている。
 一方で、令和五年中に免税事業者からインボイス発行事業者になって課税事業者選択した場合、これは二割特例を適用するにはどうしたらいいんでしょうか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 免税事業者である個人事業者がインボイス発行事業者の登録申請を行った上で令和五年中に消費税課税事業者選択届出書を提出した場合には、その効果は令和六年一月一日から生じるため、令和五年の申告につきましては他の要件を満たす限り二割特例を適用することができるということでございます。
 また、二割特例の適用に当たりましては、事前に届出書等の提出は必要ございませんで、確定申告の際に申告書に二割特例を適用する旨の付記を行うことでその適用を受けることができるということでございます。
○小池晃君 二割特例欄にチェックして丸付ければそれで二割特例が受けられるわけですね。
 私は、令和四年中にインボイス登録した人というのは、ある意味ではすごく真面目に、財務省が提起した問題をもう一刻も早くやらなきゃいけないとやった人たちだと思うんですよ。そういう人たちが逆にこういう事態になっているというのは、このままでいいんだろうかと思うんですね。
 だから、やっぱり令和四年中に手続した人も同じくやっぱり二割特例欄にチェックすればいいというふうにすればいいと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 繰り返しになりますが、インボイス登録申請書と消費税課税事業者選択届出書を令和四年中に提出している免税事業者である個人事業者が令和五年分の申告において二割特例の適用を受けるためには、法令上、その課税期間の末日までに消費税課税事業者選択不適用届出書を提出する必要があると定められております。
 したがいまして、消費税課税事業者選択不適用届出書を提出しなかった事業者の方につきましては、申告書の二割特例欄にチェックをしたとしても、令和五年分の申告段階で二割特例の適用を認めるといった対応は現行法令上はできないということでございます。御理解をいただきたいと思います。
 国税庁におきましては、こうした状況で意図せず二割特例の適用を受けることができなくなる事業者が可能な限り生じないよう、様々な手段で周知あるいは個別の注意喚起を行っているところでございまして、引き続き事業者の立場に立って丁寧な対応をしてまいりたいと思います。
○小池晃君 いや、可能な限り生じないといったって、生じちゃうわけですよ、これ、漏れる人がね。出てくるだろうと私は思いますよ。だから、法律そうなっているからしようがないと、まあこれ以上ちょっと国税庁に言っても、それは法律そうなっているからしようがないという話だと思いますが、僕はやっぱりこれは何らかの救済策というのを政治の判断ででもやるべきではないかなというふうに思うんです。
 結局、これは何でこんなことになっているかというと、インボイス反対の声がわあっと起こったから少額特例とか二割軽減やることにした。しかし、それを後からやったもんだからこういうことが起こっているわけですよね。制度は複雑になる。実際に、インボイスの問題では、一方的な値引き、単価の切下げ、仕事の打切り、様々起こっているわけですよね。
 私は、今回の問題は一つの矛盾の大きな現れだと思いますが、こういうインボイスはきっぱり中止すべきであるということを改めて申し上げて、質問を終わります。

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