日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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IMF関連法案に反対 3兆円増資で小池氏 参院財金委

2024年04月16日

赤旗2024年4月14日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=11日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は11日の参院財政金融委員会で、国際通貨基金(IMF)の問題点を指摘し、約3兆円を増資するIMF関連法案に反対しました。同法案は、自民、公明、立民、維新などの賛成多数で可決されました。

 

 小池氏は、IMFは各国に融資する際に厳しい緊縮政策を求めており、途上国の国民生活の悪化をもたらしていることを指摘。この問題の根本に、IMFの意志決定システムが欧米に有利で、途上国、新興国の意思が反映しにくいことがあると述べました。鈴木俊一財務相は「米国には15%を超える投票権があり、事実上の拒否権を持っている」と認めました。

 

 小池氏は、IMFへの出資割合について、2022年に公表されたデータを当てはめるとどうなるかと質問したところ、財務省の三村淳国際局長は「14・8%になる」と答弁。小池氏は「このままでは米国は拒否権を維持できなくなる可能性があり、多くの国々から出資割合の見直しを求める声が上がっていたが、その声に反対し、現状維持に固執したのが、アメリカと日本だ」と指摘しました。

 

 そのうえで小池氏は、昨年、インド、アフリカ諸国など30カ国が、「低所得国、中所得国の発言権を強化する出資見直しをすべき」と警告したことを挙げ、「日本も、アメリカが拒否権を掌握している事態の是正を求める立場を打ち出すべきではないか」とただしましたが、鈴木財務相は「個々の国のシェアについて申し上げることは適当でない」と答えるにとどまりました。

 

 小池氏は、昨年9月のG20首脳宣言で、国際金融機関の改革における途上国の発言権の強化の必要性が強調され、グローバルサウスの国々からは出資割合の見直しを求める声が上がっていたにもかかわらず、「こうした問題点を先送りしたまま、約3兆円もの増資には賛成できない」と、IMF関連法案に反対しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 本案によるIMFの増資は支援のための財源確保が目的ですが、その融資条件は厳しい緊縮政策を求めて、途上国の国民生活の悪化をもたらしております。
 その問題の根本に、IMFの意思決定システムが欧米に有利で、途上国、新興国の意思が反映しにくいという問題があると思います。最大の問題は、アメリカには一五%を超える一七・四%の投票権があって、事実上の拒否権を持っているということだと思います。
 そこで財務省にお聞きしますが、IMFの出資割合について、これは二〇二二年に公表されたデータを計算式に当てはめて機械的に計算した場合、米国と日本の出資割合どうなりましょうか。
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
 IMFが、先生御指摘のとおり、二〇二二年の七月に公表した試算というものがございます。その時点で得られましたデータを現行の計算式に当てはめたときに各国のクオータシェアがどうなるかと試算したものでございますが、このIMFの公表した試算によりますと、二〇二二年七月の試算、米国が一四・八%、日本が四・九%と、こういう計算結果になってございます。
○小池晃君 ですから、一五%切るんで、これ、米国が拒否権を持てなくなる可能性があるわけです。
 今回、増資の際にも、多くの国から出資割合の見直しを求める声が上がりました。それに反対して現状維持に固執したのがアメリカと日本です。昨年十月のIMF総会前には、インド、アフリカ諸国など三十か国が出資割合見直しを求める共同声明出しました。低所得国、中所得国の発言権を強化する出資見直しをしなければ、国際社会に否定的なシグナルを送ることになると。
 出資割合については、先ほど大臣からも答弁ありましたが、計算式の在り方も含めて今後話合いを進めるということなんですが、日本としては、やっぱりアメリカが拒否権を掌握しているような事態の是正を求める立場を打ち出すべきではないでしょうか。大臣、お答えください。
○国務大臣(鈴木俊一君) クオータの変更や協定改正等には総投票の八五%以上の賛成が必要とされておりますので、米国が一五%以上の投票権を持っていることから、これらの重要事項について事実上の拒否権を有しているということは御指摘のとおりだと思います。
 クオータシェアは各国との交渉を経て合意された計算式等に基づいて結果的に決まるものでありまして、個々の国の水準について個別にその適否を評価すること、これは適当ではないと思いますが、我が国としては、各国が自らの投票権に見合った責任を果たしつつ、IMFがその機能を適切に果たせるよう協力していくこと、これが重要であると、そのように考えているところであります。
○小池晃君 私は、やっぱりアメリカが特権的な拒否権、事実上の拒否権を持っているような事態、このままでいいんだろうかということは非常に疑問に思うということは申し上げておきたいと思います。
 続けて、この間ちょっとこの委員会でも取り上げてきた社会保険料の滞納の問題なんですが、ちょっと幾つか国税庁にお伺いしたい。
 コロナ期間中に社会保険料の特例猶予を受けていた人が、特例猶予が終了した後も社会保険料を払い切れずに滞納額が累積しているような場合、申請型の換価の猶予は納期限から六か月以内という規定になっておりまして、猶予制度の適用を受けることができないという事態が今各地で起こっております。
 国税庁としては、こういう場合はどのように対応しているんでしょうか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 申請による換価の猶予につきましては、納期限から六か月以内に申請を行っていく必要がございます。
 しかしながら、国税の滞納整理におきましては、納期限を六か月経過した場合でありましても、要件に該当するときは税務署長が職権により換価の猶予を適用して分割納付を認めるなど、法令等に基づき適切に対応しているところでございます。
○小池晃君 分かりました。
 さらに、今起きている事態ですが、年金事務所がそもそも無理な納付計画を立てさせて、払えなかったら誠意がないなどといって差し押さえることが行われています。例えば、事業所まで行って、お客さんとか従業員がいる前でレジを開けさせて、差押えだといってレジに入っている百万円持っていくというようなことが現場で多々起こっているんですね。
 国税庁、お聞きしますが、国税徴収法の基本通達では、差し押さえる際にも、事業に影響を与えることの少ない財産とされているというふうに思うんですね。誠意がないなどといってこんな徴収はできないんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 一般論として申し上げますが、国税の滞納整理におきましては、猶予を適用するに当たりましては、納税者の事業内容、業績、資金や財産の状況等、個々の実情を十分把握した上で分割納付を認めるなど、法令等に基づき適切に対応しているところでございます。また、納付計画の不履行があった場合でも、その原因を聴取し、取引先からの入金遅延など納税者の責めに帰さないやむを得ない理由がある場合には納付計画の変更を認めることとしております。
 その上で、やむを得ず差押えを行う場合でありましても、差し押さえる財産の選択に当たりましては、滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える影響等に十分留意して行うこととしております。
○小池晃君 そういう原則でやられていると。現場でもやっぱりそれを徹底していただきたいとは思いますが。
 三月二十二日のこの委員会で、社会保険料の滞納整理手続について、厚生労働省が答弁として、事業に影響が少ない財産を差し押さえても滞納解消が認められない場合には売掛金の差押えを行うという、ちょっとまるで一気呵成に差し押さえるかのような、そういうふうにも聞こえかねない答弁をされているんですが、国税庁としての考え方はいかがなんでしょうか、お答えください。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 国税の滞納整理におきましては、納税者から一括納付が困難との申出があったときは、納税者個々の実情を十分に把握した上で、法令の要件に該当する場合には納税の猶予などの緩和制度を適用するなど、適切に対応しております。
 一方、自主的な納付を促しても納付の意思が認められないような場合や納付約束の不履行が繰り返されるような場合などにつきましては、期限内に納税した納税者との公平性の確保を図る観点から、財産の差押えを行うなど、法令に基づき必要な対応を行うこととしております。ただし、差し押さえる財産の選択に当たりましては、滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える影響等に十分留意して行うこととしております。
 なお、滞納者にとって特に重要と認められる売掛金などの財産の差押えを行う場合には、組織として、滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える影響等を十分検討した上で慎重に対応することとしております。
○小池晃君 これが私も原則的な考え方だと思うんですが、ちょっとやっぱり現場の、やっぱり社会保険、日本年金機構、年金事務所の対応というのは、本来はこの国税通則法準じて対応するということが基本的な考え方だと思うんですが、そういったことがやられていない。そういう中で、この間も取り上げてまいりましたが、社保倒産と言われるような事態が今生まれてきているわけであります。払わないんじゃない、払えないと言っているのに、別にその意図的に悪意があって払わないわけじゃなくて、本当に深刻な事態で払えないというふうに言っているにもかかわらず、事業の継続に直接関わるような、先日、盛岡のタクシー会社の問題で、タクシーの差押えまでやっているというお話を私大臣にさせていただきましたが、やっぱり非常に乱暴なやり方ではないかなというふうに思っているんですね。
 税の分野では、今御答弁ありましたように、事業が継続できなくなるようなところまで追い込んでしまうような対応は認められていないという答弁ありました。破綻に追い込むような差押えではなくて、やはり事業が継続ができるようにして、その中でやっぱりきちんと税も払ってもらうという対応が必要だというふうに思うんですが、これ税の話でお答えいただくしかないかとは思いますが、ある意味では、政治家として、今これ社会保険料も含めてこういう事態が起こっているということもありますので、きちんとやっぱり、税の世界ではこうした事態が、私は、今社会保険の分野でこういう事態が起こっているということも含めて、政治家としてのちょっと大臣のお考えをお聞きしたいなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) まず、税としての立場に、財務大臣としての立場で税について申し上げますが、税は社会に必要とされる様々な公的サービスを支える財源でありまして、法令に沿って適正に納付していただく必要がありますが、他方で、その徴収に当たり、経営上の理由等により納付ができない方々について、それぞれの実情も勘案し、適切に対応することも重要であると考えております。
 国税の滞納整理については、国税当局において、法令に基づき納税者の事業や財産の状況など個々の事情を十分に把握した上で、法令の要件に該当する場合には納税の猶予などの緩和制度を適用するなど、その実情に即しつつ適切な処理に努めていると承知をしております。今後とも、個々の事情を十分に把握をした上で法令にのっとり適切に処理をしていただきたいと、このように考えております。
 こうした滞納者に対する配慮というのは、社会保険料についてもやはり基本的には同じであるのがふさわしいのではないかと、そういうふうに考えます。
○小池晃君 私も、そのとおりだというふうに私も思うんですね。やはり今中小企業の賃上げということが政権としても一丁目一番地だというふうにおっしゃっておられるわけで、そういう中で、一方で昨年度の企業倒産は三割も増えているという、そういう統計も出てきている。そういう中で、今この社会保険料の問題をめぐって、やはり中小企業、零細企業、本当に大変な局面に追い込まれるような場面が起こっているというのは、これは政権としても看過できない事態ではないかなというふうに思っておりますので、是非こういったことについて基本的に見直して対応を改めていただきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。

 

(反対討論)

○小池晃君 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 IMFには、対外支払が困難になった国への融資、支援の役割があるものの、短期間でプライマリーバランスの黒字化を求めるなど厳しい財政緊縮を融資条件としており、借入国の国民生活を圧迫しています。問題は、米国の投票権シェアが一五%を超え、事実上の拒否権を握っており、これが途上国、新興国等の意見の反映を困難にしてきたことです。今回の増資協議の中でも、こういった米国中心、先進国優位のガバナンスの見直しが求められました。
 昨年九月のG20の首脳宣言では、国際金融機関の改革における途上国の発言権の強化の必要性が強調され、グローバルサウスの国々からは出資割合の見直しを求める声が上がっていました。
 また、本日の質疑で明らかにしたように、直近の経済データで算出すると米国出資割合は一四・八%に低下し、拒否権を失う可能性がありました。しかし、米国は出資割合の現状維持を主張、日本政府もこれに追随し、見直しは見送られました。その結果、米国中心で先進国優位のガバナンスを維持する方針が続いています。
 こうした問題点を先送りしたまま、日本の出資上限を約三兆円も引き上げる法案には賛成できないということを申し上げて、討論とします。

 

 

 

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