日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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「銀証連携」見直しを 「仕組み債」悪質販売で小池氏 参院財金委

2024年04月26日

赤旗2024年4月25日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=23日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は23日の参院財政金融委員会で、高齢者の老後資金を狙う「仕組み債」の悪質販売が広がっている問題を取り上げ、その背景にある、銀行と証券会社が連携し金融商品を販売する「銀証連携」の見直しを求めました。「銀証連携」について、日本共産党は、1992年の法改定の際に「不正取引を引き起こす」と反対していました。

 

 「仕組み債」とは、デリバティブを使って高い利回りをうたう一方、特定の株式や為替などに影響を受けて、損失が大きく膨らむ可能性のある金融商品。米国で始まり、日本では、98年の金融ビッグバンで解禁されました。

 

 小池氏は、仕組み債の実態について「定期預金の代わり」と言って勧められたり、「投資した退職金が元本割れした」など、被害者の多くが高齢者で、泣き寝入りさせられている実態を示し金融庁の姿勢をただしました。

 

 同庁の伊藤豊監督局長は、仕組み債など証券関係の苦情件数が「近時急増している」との認識を示し、鈴木俊一金融担当相も「不適切な販売勧誘によって多数の個人投資家が影響を受けており誠に遺憾だ」と述べた上で、金融庁が体制の適正化にむけてモニタリングなどを行うと答弁しました。

 

 小池氏は、千葉銀行と子会社の「ちばぎん証券」や武蔵野銀行が、銀行に対する高齢者の信頼を利用し、高齢者を標的に「適合性の原則」に違反して「仕組み債」を不法に販売していた問題では、千葉銀が紹介した顧客が「ちばぎん証券」から「仕組み債」を買うと、同銀に手数料の一部が入る仕組みで、同銀行員の業務目標にも組み込まれていたと指摘しました。

 

 その上で、千葉銀や武蔵野銀のケースは銀証連携の「ゆがみ」が問題だとして、規制強化が必要だと迫りました。

 

 鈴木金融担当相は「情報収集窓口などを設置するなど顧客保護が適切に執行されているか金融機関のモニタリングをしている。顧客情報などの規制のあり方についても検討する」と答弁しました。

 

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 仕組み債の悪質販売と、銀行と証券、銀証連携の問題について聞きます。
   〔委員長退席、理事山田太郎君着席〕
 仕組み債は、デリバティブを使って高い利回りをうたう一方で、特定の株式や為替などに影響を受けて損失が大きく膨らむ可能性がある金融商品です。アメリカで始まって、いわゆる九八年の金融ビッグバンで解禁が日本でもされまして、当初はプロ向けのものだったと思うんですが、どんどん一般市民にまでこの販売が広がってきた。
 私の事務所に、二〇一七年に二回に分けて二千七百万円仕組み債を買った高齢の女性から相談がありました。それまで何度か取引していた大手のD証券会社の担当者に元本保証の安全資産でとお願いしたらすぐに自宅まで来て、元本保証で四%付くものがあると、トルコリラ債券を組み合わせた仕組み債を提案してきたそうです。担当者は、トルコは若い人が多くてこれから経済発展するので、五年間預けることになるけれどもリターンは大きいと、これから会社に電話を掛けるので、はいとだけ言ってくださいと言われて、電話で五分間ぐらい説明を受けて、はいと言って、それで書類を作ったと。そして、結局全額損失で、全て失ったというんですね。
 金融庁にお伺いしますが、仕組み債をめぐる問題については、金融庁としては、いつ頃からどのような被害が出ていると認識されていたか、被害の広がりについてどのように対処してこられましたか。
○政府参考人(伊藤豊君) お答えを申し上げます。
 特定非営利活動法人の証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACというのがございますけれども、ここに証券関係の苦情が寄せられているところでございまして、この苦情件数だけで全貌を把握することはもちろんできませんけれども、御参考までに申し上げますと、二〇一二年度から二〇一八年度ぐらいまでは、年によって差は大きいものの、平均するとおおむね百件程度の苦情、年間ですね、ございましたけれども、二〇一九年度には二百二十六件、二〇二〇年度には百八十九件、二〇二一年度には百五十二件、直近でございますけれども、二〇二二年度には三百六十四件ということで、近時、苦情件数が急増しているという状況でございます。
○小池晃君 被害は広がっていると思うんですね。
 大臣にお伺いしたいんですが、これ定期預金の代わりだといって勧められたとか、強引に勧められて三千六百万円被害に遭ったとか、顔見知りの銀行行員から勧められて損失出た、退職金が元本割れした等々、これ被害が広がっているんですね。これ、被害者の多くは高齢者で、泣き寝入りさせられているというのが実態です。この深刻さ、どう認識されていますでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 仕組み債をめぐりましては、金融機関による不適切な販売勧誘によりまして多数の個人投資家が影響を受け、結果として複数の金融機関に対して行政処分を発出する事態に至っておりまして、誠に遺憾であると、そのように思っております。
 このような事態を受けまして、日本証券業協会では、自主規制ガイドラインを改正をして、金融機関の経営陣が自ら仕組み債の販売方法の策定を行う、そして事後検証と販売体制の見直しに関与することを求めるなど、販売勧誘体制の適正化に向けた取組が進められているところであります。
 金融庁といたしましても、販売勧誘体制の適正化に向けた対応が十分に取られているかどうか、しっかりモニタリングを行うとともに、経営陣との対話を通じまして顧客本位の業務運営を徹底してまいりたいと、そのように思っています。
○小池晃君 この背景に何あるかという問題なんですが、千葉銀行と子会社のちばぎん証券、あるいは千葉銀行と包括提携を結んでいる武蔵野銀行、これ、高齢者を標的にして適合性の原則に違反して仕組み債を不法に販売していたことが明らかになって、三月、今年三月ですが、千葉銀行の佐久間英利会長は責任を取って会長を辞任されています。
 昨年、金融庁は行政処分を行っていますが、その内容を簡潔に説明してください。
○政府参考人(伊藤豊君) お答え申し上げます。
 ちばぎん証券におきましては、顧客の投資方針や投資経験に照らして不適切な仕組み債の販売が行われていたこと、千葉銀行及び武蔵野銀行におきましては、顧客属性を確認、検討せず顧客を仕組み債に誘引するなど、投資家保護上問題のある形で証券会社への顧客紹介が行われていたことが認められたことから、証券取引等監視委員会による処分勧告を踏まえ、ちばぎん証券等に対し、昨年六月二十三日に業務改善命令を発出したところでございます。
 この業務改善命令におきましては、ちばぎん証券に対しましては適切な業務運営体制の構築、経営管理体制及び内部管理体制の強化等、千葉銀行及び武蔵野銀行に対しては、これらに加えて、銀証連携ビジネスモデルの構築と法令等の遵守及び適正かつ健全な業務運営を行うことを含む業務改善計画の策定、実施を命じたところでございます。
○小池晃君 配付資料に問題点をまとめたものがあります。御覧いただきたいと思うんですが、元々プロ向けの商品なわけですが、プロだったらいろんなリスクも理解して投資すると思うんですが、金融機関が対面で販売する場合はこれ高齢者が多いわけで、非常にリスクが十分説明されないまま、特に銀行、やっぱり銀行ということで信頼してしまって、購入してしまう。
 地銀はやっぱり低金利で本当に長期にわたって苦しんでいるから、手数料収入高いのでこういったものに流れていくというのはあるんだと思います。それから、本来はやっぱり想定されなかった、若年層はネット証券なんかを今は使いますから、やっぱり本来想定されなかった高齢者なんかにこの仕組み債というのが売られている。
 問題は、私、先ほど言いました、銀行に対する高齢者の信頼を利用して、銀行と証券が一体に行われているということなんですね。これ、千葉銀行では、紹介した顧客がちばぎん証券から仕組み債買うと千葉銀に手数料の一部が入るという仕組みで、千葉銀の行員の業務目標に組み込まれていた。武蔵野銀行も同様の仕組みで、武蔵野銀行は役員が支店長に対して店別の仕組み債収益実績表というのを送付して積極的な仲介を指示していたと。まさに組織的な販売を、銀行、証券一体でやってきたんですね。
 金融庁の調査では、二〇二二年三月時点で八割の地銀が仕組み債を扱っていたというわけです。やはり、これは構造的な問題があるんではないか。この事件を報じた日経新聞は社説で、千葉銀などのケースが悪質なのは地銀と系列証券の提携が不適切販売の温床となった点だと指摘しているんですね。
 金融庁に聞きたいんですけど、千葉銀行、武蔵野銀行のケースというのは、これ、銀証連携のゆがみの表れではないでしょうか。
○政府参考人(伊藤豊君) お答え申し上げます。
 まず、千葉銀行、武蔵野銀行とちばぎん証券との間の問題点について、今委員からも御指摘ございましたけれども、申し上げますと、この両銀行とこのちばぎん証券の間では金融商品仲介業務に係る提携契約というのを締結しておりまして、この内容では、両行は、この両行のお客さん、銀行のお客さんに対して、証券会社が扱う商品のラインナップのみを説明をすると、個別の勧誘はしないということでございましたけれども、実態は、顧客属性を確認しないまま、銀行のお客さんを仕組み債購入に誘引するといった、投資家保護上極めて不適切な形で証券への顧客紹介を行っていたということが認められております。
 これも委員御指摘のとおりでございますけれども、このような不適切な顧客紹介が行われた原因としては、銀行の行員の業績評価体系が高手数料の仕組み債提案を招きやすいというものになっていたこと、紹介顧客からの苦情について、苦情もたくさん出ておりましたけれども、発生原因分析や改善策の立案を行っていなかったということ、それから、顧客への説明内容等の内部管理部門によるチェックが形式的なものにとどまっていたというような銀行の業務運営体制の不十分さに原因があり、また、ちばぎん証券におきましても、銀行から紹介された顧客について、本来は証券において適合性原則を踏まえて売るか売らないかということを判断しなければいけないわけですけれども、それをしないままに、銀行から送られてきたその内容、お客さん、それから誘引した商品について売っていたというような販売管理体制の問題があったと、こういうこの銀証の関係がこのちばぎん証券、千葉銀行、武蔵野銀行に関する問題となって表れたというふうに認識しておりまして、こういった点を是正するように今もフォローアップをしているところでございます。
○小池晃君 個別の管理体制の問題はもちろん問題なんですけど、やっぱり背景にはこのやっぱり銀証連携という仕組みですよね。
 これ、実は一九九二年の金融制度改革関連法の質疑の際に、私ども日本共産党は、金融と証券との垣根を取り払い、銀行が子会社方式で証券業務に本格的に参入できる道を開けば、不正取引を引き起こすもとになるんじゃないかと指摘をしました。やっぱりそういう事態が生まれてきているんではないかなというふうに思うんです。
 大臣、やっぱり今回の事態が示しているのは、やはり規制緩和ではなく規制強化が必要なんではないか。ファイアウオール規制を見直して、罰則の強化など更に厳しい措置をとるべきではないか。
 それからもう一つ、併せてお聞きしますが、今、岸田政権は、資産所得倍増プランということで、貯蓄から投資へという、そういう旗を振っているわけですけど、こうした中で全銀協は、新しい資本主義の実現に向けて、逆に銀証ファイアウオールを緩和すべきだということを主張しているんですね。金融審議会でもそういう主張をされています。私は、規制強化こそ必要であって、更なる規制緩和というのは今の時点でこんなことは許されないんではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) まず、御指摘のファイアウオール規制でありますが、一九九三年に、同一金融グループ内において、銀行業、証券業を営むことを可能とする規制緩和を実施した際に、顧客情報の適切な保護や利益相反取引の防止等の弊害防止措置として併せて設けられた規制でございます。
 この規制につきましては、これまで数次の見直しを行ってきましたが、その際には、規制緩和を通じたより高度な金融サービス提供等を通じた顧客の利便性向上などを目指すのみならず、顧客情報管理や利益相反管理、優越的地位の濫用防止といった弊害防止措置の実効性を確保するための追加的な措置を必要に応じて講じることによりまして、顧客保護に支障が生じないよう、必要な制度整備を行ってきたところでございます。
 そういう経過もある中で、例えば最近の二〇二二年の見直しの際には、規制緩和と同時に、私ども金融庁に優越的地位の濫用防止に係る情報収集窓口というものを設置いたしまして弊害防止措置の実効性を強化するための措置を講じておりまして、当該窓口に寄せられる情報、こういうものを活用しながら、顧客保護が適切に図られているか、金融機関に対する必要なモニタリングを行っているところでございます。
 そして、その後、このファイアウオール規制の緩和につきまして、全銀協からの要望も受けております。この要望のほかにも、このファイアウオール規制につきましては、昨年の新しい資本主義グランドデザイン及び実行計画二〇二三改訂版においても、規制の在り方や必要とされる対応について検討を行うこととされているところでございます。
 金融庁といたしましては、この規制の在り方の検討に当たりましては、より高度な金融サービスの提供を通じた顧客の利便性向上のみならず、顧客情報管理や利益相反管理、優越的地位の濫用防止といった弊害防止措置の実効性をしっかり確保しながら、しっかり確保できるかどうか、これを確認しながら進めることが重要と考えておりまして、この点をしっかり念頭に置きながら検討をしてまいりたいと思っております。
○小池晃君 質問はもうしませんが、ファイアウオール規制の強化こそ、私は今必要になっているということだと思います。
 そして、やはりこうした事態が生まれる背景にあるのは、老後の資金が二千万円必要だという、これは金融審議会が出した報告書で、年金だけでは暮らしていけないというやっぱり高齢者の不安に付け込んでいるという問題もあるというふうに思います。公的年金の検証の年でもあって、やっぱり老後資金についてどうやってしっかりと安定的なものにしていくのかということは、これは政府全体を挙げてきちんと考えていただく課題ではないかということも申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 以上です。

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